2022-007203
補正測定流量の決定
- 審判番号
- 2022-007203
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-098176外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月13日
- 審決日
- 2023年01月05日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】マイクロ モーション インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人 有古特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G01F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第50条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年2月26日を国際出願日とする外国語特許出願である特願2018-544872号の一部を令和2年6月5日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
同月 9日 :上申書及び手続補正書の提出
(原査定の謄本の送達日:同月18日)
同年 5月13日 :審判請求書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~12に係る発明は、令和4年5月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に特定されるとおりのものである。
「【請求項1】補正測定流量を決定する方法であって、第1の流量計で流量を測定するステップと、第2の流量計で流量を測定するステップであって、前記第2の流量計は前記第1の流量計に直列に流体結合される、ステップと、第1の流量計の測定流量を第1の流量計の推定ゼロ流動不安定性を用いて補正することにより、前記第1の流量計の前記測定流量を前記第2の流量計の前記測定流量を用いて補正するステップであって、推定ゼロ流動不安定性は、第1の流量計の測定流量と第2の流量計の測定流量の差で構成されるステップと、を含み、前記第1の流量計のゼロ流動不安定性は、前記第2の流量計のゼロ流動不安定性よりも大きい、方法。」
第3 原査定の概要
原査定の本願発明に係る拒絶の理由の概略は、次のとおりである。
なお、令和2年6月9日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2に係る発明が、本願発明に対応する。
本願発明に対応する請求項2に係る発明は、下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.特表2013-501933号公報
2.実願昭53-010673号(実開昭54-117177号)のマイクロフィルム
第4 当審の判断
1 引用文献の記載事項並びに引用発明及び技術常識の認定
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(1) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用する引用文献1(特表2013-501933号公報)には、次の事項が記載されている(下線は、合議体が付した。)。
「【請求項1】振動式フローメーターを動作させるための方法であって、第一の振動式フローメーターからの第一のセンサー信号と、少なくとも第二の振動式フローメーターからの第二のセンサー信号とを受け取るステップと、前記第一のセンサー信号から第一の流量を求め、前記第二のセンサー信号から第二の流量を求めるステップと、前記第一の流量及び前記第二の流量に基づいて、前記第一の振動式フローメーターの差動ゼロオフセットを求めるステップとを有する、方法。【請求項2】前記第一の振動式フローメーターからさらに後の第一のセンサー信号を受け取るステップと、受信した、さらに後の第一のセンサー信号と求められた前記差動ゼロオフセットを用いて、補償済み流量を求めるステップとをさらに有する、請求項1に記載の方法。」
「【0001】本発明は、振動式フローメーターに関するものであり、とくに振動式フローメーターの差動ゼロオフセットの変化を決定して補償する方法及び装置に関するものである。【背景技術】【0002】続きを表示(全13行)たとえばデンシトメーター及びコリオリのフローメーターの如き振動式センサーが、公知となっており、フローメーター中の導管を流れる材料の質量流量及び他の情報を測定するために用いられている。例示的なコリオリフローメーターは、ジェー イー スミスら(J.E Smith et al)へ全てが譲渡されている米国特許第4,109,524号、米国特許第4,491,025号及び再発行特許第31,450号に開示されている。これらのフローメーターは、直線構造または曲線構造を備えた1つ以上の導管を有している。コリオリ式質量フローメーターの各導管構造は、単純曲げモード、ねじれモードまたは組み合わせタイプでありうる一組の固有振動モードを有している。好ましいモードで振動するように各導管を振動させることができる。物質は、フローメーターの流入口側に接続されている配管からフローメーターの中に流れ込み、一つ以上の導管を通り、フローメーターの流出口側から流出する。物質が充填された振動するシステムの固有振動モードは、導管の質量及び導管内を流れる物質の質量の合計により部分的に規定される。【0003】フローメーターに何も流れていないとき、振動力が導管に加えられると、導管に沿ったすべての部位が、同一の位相で振動するか、または僅かな時間だけ遅れて振動する。このゼロ流量で測定される時間遅れを「ゼロオフセット」と呼ぶ。物質がフローメーターを流れ始めると、コリオリ力により、導管に沿った各ポイントが異なる位相を有するようになる。たとえば、フローメーターの流入口端部の位相は中央のドライバーの位置の位相より遅れ、流出口の位相は中央のドライバーの位置の位相よりも進んでいる。導管上のピックオフセンサーは当該導管の運動を表す正弦波信号を発生する。ピックオフセンサーから出力される信号が処理されてピックオフセンサー間の位相差が求められる。2つ以上のピックオフセンサー間の時間遅れは、導管を流れる物質の質量流量に比例する。ドライバーに接続されているメーター電子機器は、ドライブ信号を出力してドライバーを動作させ、またピックオフセンサーから受け取られる信号から材料の質量流量及びの他の特性を求める。ドライバーは、複数の周知の構成のうちの1つの構成を有しうる。しかしながら、磁石及び対向するドライブコイルは、フローメーター産業において非常に高い評価を受けている。交流が、ドライブコイルに流され、所望のフローチューブの振幅及び振動数で導管を振動させる。また、上述のドライバーの構成と類似したマグネットとコイルとからなる構成のようにピックオフセンサーを形成することも当該技術分野において知られている。しかしながら、ドライバーが運動を引き起こす電流を受け取り、ピックオフセンサーはドライバーによって提供される運動を利用して電圧を誘発することができる。ピックオフセンサーによって測定される時間遅れの大きさは非常に小さく、ナノセカンド単位で測られることが多い。従って、トランスデューサの出力が非常に正確であることが必要となる。【0004】一般的に、コリオリフローメーターを、初期段階で較正し、ゼロオフセットとともに流量較正係数が生成され得る。使用時、ピックオフセンサーによって測定される時間遅れからゼロオフセットを減算し、それと流量較正係数を乗算することにより質量流量を求めることができる。ほとんどの状況では、コリオリフローメーターは、一般的に製造業者によって初期段階で較正され、その後の較正を必要とせずに、正確な測定を実現すると考えられている。それに加えて、従来のアプローチには、設置後、ユーザーがフローメーターのゼロ較正を、流れを止め、弁を閉じることでコリオリフローメーターにあるプロセス条件におけるゼロ流量基準を提供することにより行うことが含まれている。上述のように、コリオリフローメーターを含む多くの振動式センサーでは、従来のアプローチで初期段階に補正されているゼロオフセットが存在している可能性がある。この初期段階で求められたゼロオフセットが限定された状況では十分に測定結果を修正することができるものの、このゼロオフセットは、主に温度である様々な運転条件の変化により時間の経過とともに変わる可能性があるので、部分的な補正にしかならない恐れがある。しかしながら、圧力、流体密度、センサー取付状態などを含む他の運転条件もまたゼロオフセットに影響を与える恐れがある。さらに、ゼロオフセットはメーターによっては異なる割合で変わる場合もある。このことは、1以上のメーターが直列に接続されて、同一の流体流れを測定する場合に、各メーターが同一の読取値を示す状況下では非常に重要なことである。従って、振動式センサーのゼロオフセットの変化を求めて補償する方法が必要とされている。本発明により、この問題及び他の問題が克服され、当該技術分野における進歩が達成される。」
「【0017】図1に示されている実施形態では、1つ以上の電子機器20は、ピックオフ105、105’からピックオフ信号を受信するようになしてある。経路26は、1つ以上の電子機器20がオペレーターと通信することを可能とする入力手段及び出力手段を提供している。1つ以上の電子機器20は、たとえば位相差、周波数、時間遅延、密度、質量流量、体積流量、総合質量流量、温度、メーター検証の如き流動物質の特性、及び他の情報を測定する。特に、1つ以上のメーター電子機器20は、ピックオフ105、105’及び1つ以上の温度センサー(図示せず)からたとえば1つ以上の信号を受け取り、この情報を用いて流動物質の特性を測定する。たとえばコリオリフローメーターまたはデンシトメーターの如き振動式センサー組立体が流動物質の特性を測定する技術はよく知られている。従って、記載を簡潔なものとするため、詳細な説明は省略する。簡潔に上述されているように、コリオリフローメーターの如き振動式センサー組立体に関する1つの問題は、ゼロオフセットの存在である。ゼロオフセットとは、流量がゼロのときのピックオフ105、105’の時間遅れの測定値のことである。ゼロオフセットが、流量及びさまざまな他の流れ測定値の算出の際に考慮に入れられなければ、流れ測定値(flow measurements)は通常は、測定の際の誤差を含むこととなる。ゼロオフセットを補償する典型的な従来のアプローチは、初期の較正プロセス時における初期のゼロオフセット(Δt0)を測定することである。初期の較正プロセスは、弁を閉じることと、ゼロ流量基準状態を形成することとを通常含んでいる。このような較正プロセスは、当該技術分野において一般的に知られているので、明細書を簡潔なものとするために、詳細な説明は省略されている。いったん初期のゼロオフセットが求められると、動作中、流れ測定値は、次の式(1)に従って、測定された時間差から初期のゼロオフセットを減算することにより補正される。続きを表示(全36行)【数1】[図:0001397887000001.jpg]この式で、【数2】[図:0001397887000002.jpg]は質量流量であり、FCFは流量較正係数であり、Δtmeasuredは、測定された時間遅れであり、Δt0は、初期のゼロオフセットである。式(1)は、一例として提供されているだけであり、本発明の技術範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。質量流量を計算するための式(1)が提供されているが、いうまでもなく、さまざまな他の流れ測定値が、ゼロオフセットによって影響を受けるので、修正されてもよい。【0018】このアプローチは、運転条件が、初期の較正及びゼロオフセットΔt0の決定中に存在して運転条件と実質的に同一である状況において満足な結果を提供することができるものの、多くの場合、使用中の運転条件は、較正中に存在する運転条件とは実質的に異なるものである。条件が変わる結果として、振動式フローメーターは、ゼロオフセットがズレて(drift)しまう場合もある。換言すれば、ゼロオフセットは、初期に算出されたゼロオフセットΔt0から変わってしまう場合もある。ゼロオフセットのズレは、センサーの性能にひどく影響し、不正確な測定をもたらす場合もある。というのは、従来技術では、運転中、測定された時間差を補償するために用いられるゼロオフセットが、ゼロオフセットが変わることを考慮することなく、初期に算出されたゼロオフセットだったからである。従来の他のアプローチでは、手動によりセンサーを再較正することが要求される。通常、再較正には、センサーをゼロ調整するためにセンサーを流れる流れを停止させる必要がある。このことは、システム全体を通常シャットダウンしなければならないから、費用のかかるものとなりうる。また、周囲温度が流体温度と異なっている場合、従来のゼロ較正を行なうために流れを止めると、メーターの温度が急速に変わってしまう場合もある。このことは、ゼロ較正を信頼性の低いものとしてしまう場合もある。【0019】本発明のある実施形態によれば、メーター電子機器20は、ゼロオフセットと1つ以上の運転条件との間の相関関係を作成するように構成されうる。本発明のある実施形態によれば、メーター電子機器20はゼロオフセットのズレを補償するように構成されている。本発明のある実施形態によれば、メーター電子機器20は、ゼロオフセットと1つ以上の測定可能な運転条件との間の相関関係に基づいてゼロオフセットのズレを補償しうる。本発明の1つの実施形態によれば、ゼロオフセットは絶対零度オフセットである。本発明の他の実施形態によれば、ゼロオフセットは差動ゼロオフセットである。差動ゼロオフセットは、センサーの初期のゼロオフセットを2つ以上のセンサー間の差動誤差と組み合わせたものである。差動ゼロオフセットは、較正されるセンサー及び基準センサーを流れる流量を実質的に等しくするために必要となる場合もある。換言すれば、上述の式(1)を参照すると、同一の流体流量が、較正されるセンサーと基準センサーとを流れる場合、これら2つのセンサーは、式(1)を各センサーについて用いて2つの質量流量を生成することができる。基準センサーの質量流量が較正されるメーターの質量流量と等しいと仮定すると、較正されるセンサーの差動ゼロオフセットを算出することができる。この方法により、較正されるセンサーについて、基準流量を反映した新たなゼロオフセットが求められる。この新たなゼロオフセットは実質的に差動オフセットである。このことは、式2及び式3に示されている。【数3】[図:0001397887000003.jpg](当審注:式(2)は、ドットの位置がmRの上にあるべきところ、右辺の上にあるという明らかな誤記がある。正しくは、[図:0001397887000004.jpg]とされるべきである。)【数4】[図:0001397887000005.jpg]この式で、【数5】[図:0001397887000006.jpg]は基準質量流量であり、Δt0cは較正されるセンサーの初期のゼロオフセットであり、ΔtEは差動誤差であり、Δtcは較正されるセンサーの測定された時間遅れであり、FCFcは較正されるセンサーの流量較正係数である。式(3)について、較正されるセンサーのゼロオフセットと差動誤差とを組み合わせることによりさらに簡単にすることができる。その結果、式(4)に示されている差動ゼロオフセットを定義する式が得られる。【数6】[図:0001397887000007.jpg]この式で、ΔtDは差異ゼロオフセットである。(当審注:「差動ゼロオフセット」の誤記と認める。)【0020】従って、較正されるセンサーの差動ゼロオフセットとは、ゼロ流量を基準とするという意味での絶対的なゼロオフセットのことではない。もっと正確にいえば、このゼロオフセットは、2つのセンサー間の差を考慮に入れているという意味での差動ゼロオフセットである。この差動オフセットが求められ、除去されると、対になったセンサーの示差測定法の性能が著しく向上されることとなる。運転条件が変わる場合の差動オフセットを求めることが必要となる場合もある。流量較正係数または初期のゼロオフセット値の如きある値が一定のままであると仮定することにより、式(4)を複数の方法でさらに簡略化することができることは理解されるべきである。従って、式(4)がどのような形態であるかによって本発明の技術範囲が限定されるべきではない。いずれの実施形態であっても、本発明は、センサーを流れる流れを停止させることなくゼロオフセットのズレを補償することができる。有利なことに、本発明は、通常の使用中にセンサーを動作させながらゼロオフセットのズレを求めて補償することができる。」
「【0024】処理システム203が、例えば質量流量または体積流量の如きさまざまなフロー特性を生成するので、振動式フローメーターのゼロオフセットに起因して、もっと具体的にいえば、振動式フローメーターのゼロオフセットの変動またはズレに起因して、求められた流量には誤差が含まれている恐れがある。ゼロオフセットは通常上述のように初期段階で算出されるものの、ゼロオフセットは、振動式フローメーターの温度の如き1つ以上の運転条件の変化を含む複数の要因に起因してこの初期段階で算出された値からズレてしまう場合もある。温度変化は、たとえば流体温度、周囲温度、またはその両方の変化に起因している。温度変化は、初期のゼロオフセットを求めていときのセンサーの基準温度または較正温度T0からの変化である場合もある。温度変化は、センサー温度の変化、メーター電子機器温度の変化、またはその両方に起因している場合もある。本発明のある実施形態によれば、メーター電子機器20は、以下にさらに記載するような差動オフセット決定ルーチン213を実行することができる。本発明は、単一の振動式フローメーターについて記載されてきたが、連結された複数の振動式フローメーターを用いる用途も多い。これらのほとんどの用途において、それぞれの別個のフローメーターによって測定される絶対流量については重要ではない。もっと正確にいえば、重要であるのは、さまざまなフローメーターによって測定される流量の差である。このような場合の一般的な2つの具体例としては、燃料効率測定及び漏洩検出測定における用途が挙げられる。図3には燃料効率における用途が示されているが、この図は、複数のフローメーターが順次実行され、少なくとも2つのフローメーター間の測定結果の差が関心の対象である、漏電検知システムの如き他の場合にも同様に適用可能である。【0025】図3は、本発明のある実施形態にかかるフローメーターシステム300を示すブロック図である。フローメーターシステム300は典型的な燃料効率システムとして示されているが、燃料はたんなる1例に過ぎず、このシステム300は他の流体にも同様に適用可能であることは理解されるべきである。従って、燃料の使用により本発明の技術範囲が限定されるべきではない。フローメーターシステム300は、燃料供給源301と、燃料供給導管302と、この燃料供給導管302に配置されている第一の振動式フローメーター10と、燃料流出口304と、燃料返還導管306と、燃料返還導管306に配置される第二の振動式フローメーター305とを備えている。通常、エンジンまたは他の燃料消費デバイスは、第一のフローメーター10と第二のフローメーター305との間に配置されているが、図面の複雑さを減らすため、このデバイスは図面から削除されている。図示されていないが、いうまでもなく、フローメーター10、305は通常1つ以上のメーター電子機器に接続されている。実施形態によっては、第一のフローメーター10及び第二のフローメーター305が同一のメーター電子機器に接続されている場合もある。本発明のある実施形態によれば、第一のフローメーター10及び第二のフローメーター305はコリオリフローメーターでる。しかしながら、これらのフローメーターは、コリオリフローメーターの測定能力を欠く他のタイプの振動式センサーであってもよい。従って、本発明はコリオリフローメーターに限定されるべきではない。【0026】使用時、燃料の如き流体を流体供給導管302を通じて第一のフローメーター10に供給することができる。第一のフローメーター10は、上述のように、流体流量を含むさまざまな流体パラメーターを算出することができる。その後、燃料は、第一のフローメーター10から流出し、燃料消費デバイスを通り、燃料流出口304または第二のフローメーター305のいずれかへと至る。たとえばエンジンが動作して燃料を消費している場合のように燃料が燃料流出口304から取り入れられている場合、第一の振動式フローメーター10から流出する燃料の一部分だけが第二の振動式フローメーター305へ流れていくことになる。従って、第一の振動式フローメーター10と第二の振動式フローメーター305とによって測定される流量は異なることになる。未使用の燃料は、第二の振動式フローメーター305を通り、図示されているような燃料供給源301へと戻ることができる。燃料効率システム300は1つの燃料流出口304と2つの振動式フローメーター10、305だけしか示していないものの、実施形態によっては、複数の燃料流出口があり、従って2を超える数の振動式フローメーターがある場合もあることは理解されるべきである。本発明のある実施形態によれば、第一のフローメーター10と第二のフローメーター305とによって測定される流量の差は、流体流出口304から流出する燃料、すなわちエンジンによって消費される燃料の流量と実質的に等しい。従って、2つのフローメーター10、305間の測定流量の差は、図3に示されている構成に類似するほとんどの用途において関心の対象となる値である。従って、一方のメーターを基準メーターとしてセットし、流量が同一であると考えられる場合、すなわち流体が燃料流出口304から流出していない場合に、他方のメーターを基準メーターと一致させるように較正することができる。ほとんどの実施形態では、どちらのメーターを基準メーターとしてセットするかは重要なことではない。【0027】燃料流出口304から流出する燃料の流量(流体消費量)は、供給導管302及び返還導管306の流量よりも通常はるかに小さく、センサーのサイズが大きすぎることになる。これらの構成では、圧力降下がほとんどない、すなわちフローメーターのサイズ対して比較的低流量となるようなサイズにフローメーターを形成したいという願いが存在する。そのようなメーターサイズに対してそのような低流量にすると、ピックオフ間の時間遅れも比較的小さくなる。測定される時間遅れがゼロオフセットに非常に近くなると、フローメーターのゼロオフセットがフローメーターの精度に深刻な影響を与えることができるようになる。システム300のゼロオフセットに対する感度が大きくなるので、ゼロオフセットのほんの小さなズレでさえシステム全体に悪い影響を与えることができるようになることは理解されるべきである。しかしながら、測定結果の差が目的とする値であるので、個々のフローメーター10、305のゼロオフセットの絶対値は測定結果を補正するにあたって必要なものではない。もっと正確にいえば、1つのメーターについては、初期段階で較正されたゼロオフセットを用いることができ、次のメーターについては、先に定義されたような差動ゼロオフセットを計算することができる。一例としては、第二のフローメーター305は第一のフローメーター10を基準とすることができる。従って、ゼロオフセットが差動ゼロオフセットである実施形態では、フローメーターのうちの一方が基準メーターとされ、この基準メーターと一致するように他方のフローメーターのゼロオフセットが較正される。従って、差動ゼロオフセットを式(4)を用いて算出することができる。」
「【0029】図4には、本発明のある実施形態にかかる差動オフセット決定ルーチン213が示されている。本発明のある実施形態によれば、メーター電子機器20は、たとえば差動オフセット決定ルーチン213を実行するように構成されてもよい。差動オフセット決定ルーチン213は、センサーが設置された後、製造業者によって実行されてもよいしまたはユーザーによって実行されてもよい。実施形態によっては、差動オフセット決定ルーチン213が図3に示されているような複数のフローメーターに対して用いられる場合には、ルーチン213は、流体流量がゼロであるときを含めて2つ以上のフローメーターを流れる流量が実質的に同一であるときに実行されるようになっている場合もある。差動オフセット決定ルーチン213は、2つ以上のフローメーター間の差動ゼロオフセットを較正するために実行されてもよい。従って、差動オフセット決定ルーチン213は、フローメーターを較正して正確な質量流量の絶対値を読み取る必要は必ずしもない。もっと正確にいえば、フローメーターは、2つのフローメーター間の差の読取値(differential reading)が正確であるように較正される場合がある。たとえば、試験器または同様のデバイスにより求められるような第一のフローメーター10を流れる実際の流量が2000kg/時間であり、流出口304から流出する流体の流量が1000kg/時間である場合、第二のフローメーター305と第一のフローメーター10との間の差が1000kg/時間に等しいことが望ましい。しかしながら、ほとんどの実施形態では、第二のフローメーター305が1020kg/時間を示すように較正され、第一のフローメーター10が2020kg/時間の流量を示す場合に条件を満たしていると考えられる。従って、各メーターを流れる流量の絶対値が正確でない場合であっても、それらの差である読取値が正確であるまたは少なくとも許容誤差範囲内にある。上記の値は例示のみを意図したものであって、本発明の技術範囲を限定すべきものではないことは理解されるべきである。【0030】続きを表示(全11行)差動オフセット決定ルーチン213は、エンジンの如き流体消費デバイスがオフであるときに実行することができる。他の実施形態によっては、差動オフセット決定ルーチン213は、第一のフローメーター10及び第二のフローメーター305によって測定される流量が同一の測定値であると予想されるとき、たとえば漏電検出システムが漏洩を示していないと判断されたときに実行されるようになっている場合もある。従って、いうまでもなく、差動オフセット決定ルーチン213中、フローメーター10、305を流れる流量が必ずしもゼロ流量である必要はなく、ほとんどの実施形態では、ゼロ流量とはなっていない。本発明のある実施形態によれば、差動オフセット決定ルーチン213は、振動式フローメーターの初期段階の較正の後に行なわれてもよいし、または、振動式フローメーターの初期段階での較正の一部であってもよい。差動オフセット決定ルーチン213は、振動式フローメーターのゼロオフセットと振動式フローメーターの1つ以上の運転条件との間の相関関係を求めるために用いられてもよい。ゼロオフセットは、絶対ゼロオフセットであってもよいし、または、上述されているような差動ゼロオフセットであってもよい。差動オフセット決定ルーチン213はステップ401から開始され、このステップで、第一の振動式フローメーター10及び第二の振動式フローメーター305から1つ以上のセンサー信号を受け取ることができる。これらのセンサー信号は、たとえば第一の振動式フローメーター10のピックオフセンサー105、105’の如きピックオフセンサーによって受け取られてもよい。図3のように複数の振動式フローメーターが存在するので、流体がこれらのフローメーターを流れているとき、センサー信号が両方のフローメーターから受信されるようになっていてもよい。【0031】ステップ402では、受信されたセンサー信号は、第一の振動式フローメーター10によって求められるような第一の流量及び第二の振動式フローメーター305によって求められるような第二の流量を求めるように処理されてもよい。たとえば式(1)を用いて、第一の流量及び第二の流量を求めることができる。ステップ403では、第一の振動式フローメーター10の差動ゼロオフセットを求めることができる。本発明のある実施形態によれば、たとえば式(4)を用いて差動ゼロオフセットを求めることができる。本発明のある実施形態によれば、当該求められるゼロオフセットは、初期段階で求められたゼロオフセットであってもよい。このことは、ゼロオフセット決定ルーチン213が、たとえば振動式フローメーターの初期段階の較正の一部として実行される場合に当てはまりうる。本発明の他の実施形態によれば、当該求められるゼロオフセットは、さらに後で求められるゼロオフセットであってもよい。さらに後で求められるゼロオフセットは、初期段階で求められるゼロオフセットと異なるものであってもよい。このことは、たとえば運転条件が初期段階のゼロオフセットが求められた時の運転条件とは異なる場合にとくに当てはまりうる。実施形態では、ルーチン213はステップ403の後に終了してもよい。他の実施形態によれば、ルーチン213は、ステップ404またはステップ406のいずれかに引き続き進みうる。ステップ404では、1つ以上の現在の運転条件を求めることができる。1つ以上の現在の運転条件は、ステップ401で受け取られたセンサー信号を処理することにより求められてもよい。それに代えて、1つ以上の運転条件は、外部の温度センサー、粘度計などの如き外部入力から求められてもよい。1つ以上の運転条件は、温度、圧力、流体密度、センサー取付条件、ドライブ利得などのうちの1つ以上でありうる。1つの実施形態によれば、ドライブ利得は閾値と比較することができ、ドライブ利得がこの閾値を超えている場合、ステップ402で求められたゼロオフセットをエラーと考えることができ、格納しない。たとえば、このエラーは混入ガスに起因するものでありうる。運転条件のうちの1つが温度である場合、この温度はたとえばRTDを用いて求められてもよい。たとえば、この温度は、フローメーター温度であってもよいしまたはメーター電子機器温度であってもよい。本発明のある実施形態によれば、この温度は、第一のフローメーター10と第二のフローメーター305との間で実質的に同一であると仮定される。本発明の他の実施形態によれば、第一のフローメーター10と第二のフローメーター305との間の温度差が実質的に一定のままであると仮定される。」
「【0039】ステップ406では、さらに後の第一のセンサー信号が第一の振動式フローメーター10から受け取られる。さらに後の第一のセンサー信号は、初期段階での第一のセンサー信号及び第二のセンサー信号の後に受け取られてもよい。たとえば、第一のセンサー信号及び第二のセンサー信号が、第一の振動式フローメーター10を流れる流量と第二の振動式フローメーター305を流れる流量とが実質的に同一であるときに受け取られ、さらに後の第一のセンサー信号が、エンジンが動作して燃料を消費しているときの如き第一のセンサーを流れる流量信号と第二のセンサーを流れる流量信号が同一でないとき受け取られるようになっていてもよい。ステップ407では、補償済み流量が、さらに後で受け取られた第一のセンサー信号及びステップ403で求められた差動ゼロオフセットに基づいて求められてもよい。いうまでもなく、ステップ403で求められた差動ゼロオフセットは、第一の動式フローメーター10を流れる流量と第二の振動式フローメーター304を流れる流量とが再度実質的に同一となり、新たな差動ゼロオフセットを求めることができるまで用いられるようになっていてもよい。有利なことには、差動オフセット決定ルーチン213は、運転条件を求め、運転条件をオフセット相関関係の前の運転条件と比較する必要はない。どちらかと言えば、差動ゼロ決定ルーチン216は、運転条件が、差動ゼロオフセットが最後に求められた時の運転条件と実質的に同一であると仮定する。」
「【図3】[図:0001397887000008.jpg]」
「【図4】[図:0001397887000009.jpg]」
イ 図3から読み取れる事項の認定
引用文献1の【図3】から、「第二の振動式フローメーター305は、第一の振動式フローメーター10に接続されていること」がみてとれる。
ウ 引用発明の認定
前記アに摘記した事項及び前記イにおいて認定した事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「流量がゼロのときのピックオフ105、105’の時間遅れの測定値であるゼロオフセットがズレて(drift)しまう場合があり、換言すれば、ゼロオフセットは、初期に算出されたゼロオフセットΔt0から変わってしまう場合がある振動式フローメーターの差動ゼロオフセットの変化を決定して補償する方法であって、(【0001】、【0017】、【0018】)第一の振動式フローメーター10からの第一のセンサー信号と、少なくとも第二の振動式フローメーター305からの第二のセンサー信号とを受け取るステップ401と、(【請求項1】、【0030】、【図4】のステップ401)前記第一のセンサー信号から第一の流量を求め、前記第二のセンサー信号から第二の流量を求めるステップ402と、(【請求項1】、【0031】、【図4】のステップ402)前記第一の流量及び前記第二の流量に基づいて、前記第一の振動式フローメーターの差動ゼロオフセットを求めるステップ403と、(【請求項1】、【0031】、【図4】のステップ403)続きを表示(全20行)前記第一の振動式フローメーター10からさらに後の第一のセンサー信号を受け取るステップ406と、(【請求項2】、【0039】、【図4】のステップ406)受信した、さらに後の第一のセンサー信号と求められた前記差動ゼロオフセットを用いて、補償済み流量を求めるステップ407と、(【請求項2】、【0039】、【図4】のステップ407)を有する、方法であって、第二の振動式フローメーター305は第一の振動式フローメーター10に接続され、(図3から読み取れる事項)差動ゼロオフセットは、基準センサーの質量流量が較正されるメーターの質量流量と等しいと仮定することにより算出されるものであり、下記の(式A)を用いて求められ、補償済み流量(m(・))は下記の(式B)で求められる(【0019】、【0031】)方法。ΔtD = (Δt0c + ΔtE) = Δtc - mR(・)/ FCFc ・・・・・(式A)m(・) = FCFc (Δtmeasured - ΔtD) ・・・・・(式B)式A及び式Bにおいて、各記号は、次を表す。ΔtD 差動ゼロオフセットmR(・) 基準質量流量Δt0c 較正されるセンサーの初期のゼロオフセットΔtE 差動誤差Δtc (較正されるセンサーと基準センサーに同一の流体流量が流れると仮定して較正するときの)較正されるセンサーの測定された時間遅れFCFc 較正されるセンサーの流量較正係数Δtmeasured 較正された後のセンサーの測定される時間遅れ」
(2) 引用文献3~6の記載事項と技術常識の認定
ア 引用文献3の記載事項
当審において新たに引用する特開2012-127864号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。)。
「【0037】基準流量計21は、既に検定等がなされ、測定対象たるガスの流れに対して流量の測定精度が確保されている流量計である。検定装置20では、基準流量計21による流量の測定値を真の流量として採用する。ブロア22は、例えば、回転数をインバータ制御等することにより送風量を変更することができる送風機である。回転バルブ23は、弁体を回転させることによって、流路の開状態と閉状態を周期的に切り換えることができる弁装置であり、弁体の回転数を変更することによって、ガスの流れの脈動周波数を調整することができる。絞りバルブ24は、測定対象たるガスの流路における管内抵抗を調整するための弁装置であり、絞りバルブ24の開度を変更することによって、ガスの流れの脈動振幅を調整することができる。さらに、検定装置20は、ラミナー式流量計2による測定対象たる流れ場の温度条件を整えるためのヒータ26等も備えている。そして、検定装置20は、測定対象たるガスの平均流量、脈動周波数、脈動振幅等の各条件を変化させることができ、測定対象たるガスの真の流量を把握しつつ、脈動周波数や脈動振幅が異なる種々のパターンのガスの流れを再現することができる。」
「【図2】[図:0001397887000010.jpg]」
イ 引用文献4の記載事項
当審において新たに引用する「流量計測ハンドブック」(日刊工業新聞社、昭和54年7月10日初版発行)(以下「引用文献4」という。)の43ページの「6・2 校正方法およびその装置 (1)液体の場合」には、次の事項が記載されている。
「流量計を試験校正する場合には,校正する流量計と基準流量を正しく測定する測定器(一般的に、基準器または標準器といわれる)とを管路により接続し,試験流体を一定流量でその管路を通して流し、流量計と基準器による測定値を比較して,式(6・1)により器差を求める」
ウ 引用文献5の記載事項
当審において新たに引用する「計装エンジニアのための流量計測AtoZ」((有)工業技術社、平成7年11月1日初版発行)(以下「引用文献5」という。)の15ページの「2.2 校正方法」には、次の事項が記載されている。
「流量計の校正は、基準流量を正しく測定できる標準器と、校正される流量計(受験器)とを管路によって接続し、試験流体を流して両方の計量値を求める。」
エ 技術常識Aの認定
前記引用文献3~5に記載されているように、次の事項は、技術常識であると認められる(以下「技術常識A」という。)。
<技術常識A>
「流量計の校正に用いられる基準流量計(「基準器」や「標準器」などともいう。)は、校正される流量計よりも測定精度が高いこと。」
(3) 引用文献2の記載事項と引用文献2記載の技術事項の認定
ア 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用する引用文献2(実願昭53-010673号(実開昭54-117177号)のマイクロフィルム)には、次の事項が記載されている(下線は合議体が付した。)。
「考案の詳細な説明この考案は流量計の校正装置に関する。ところで、上下水道施設、水力発電プラント、原子力発電や火力発電の復水等の流体の流量測定には、口径(D)がφ500~φ3000程度までの巨大な流量計が用いられている。このような流量計には精度も高く、定期的に点検したいという要求が出て来ている。この場合、流量計を取外して再検定すれば良いが、上記のようなプラントは停止することが不可能である。しかして、その流量は「昼夜」,「月によつて」,「年間を通じて」等で著しく変化することが多い。たとえば上下水道施設では、昼間が夜間の数倍流れているのが普通である。かかる事情に鑑み、この考案では上述した流量の変化に対応して添付の図面に示す如く、流量計1を取付けられた径Dなる流量管2の主バルブ3の上下流間に径d(<D,上下水道では一般にD:d=2~4:1)なるバイパス管4を配設すると共に、バイパス管4に取外し可能なる基準流量計5を取付け、基準流量計5の上下流にそれぞれバルブ6,7を設ける。しかして、流量管2の流量が少なくなつた時を見はからつてバルブ6及び7を開け、主バルブ3を閉めることにより流量計1と基準流量計5とを直結させる。これにより、流量計1の校正を基準流量計5を用いて行なうことができる。一方、流量計1の出力に調節器11を接続しておき、流量管2の流量が所定の値より低下した時にこの低下を検知し、自動的にバルブ6及び7を開けて主バルブ3を閉め、流量計1の出力と基準流量計5の出力とを比較装置12で比較する。しかして、比較装置12からの校正信号CSを校正ユニツト13に伝送し、その校正後に主バルブ3を開け、基準流量計5系のバルブ6及び7を閉じるようにしても良い。以上のようにこの考案の校正装置によれば、低コストでかつ余りスペースもとらないで所要の校正を行なうことができる。」
「[図:0001397887000011.jpg]」
イ 引用文献2記載の技術事項の認定
前記アに摘記した事項から、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されていると認められる。
<引用文献2記載の技術事項>
「基準流量計を流量計に直結させて、流量計の校正を行なうこと。」
2 対比
(1) 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
ア(ア) 引用発明において「補償済み流量を求める」ことは、本願発明において「補正測定流量を決定する」ことに相当するから、本願発明と引用発明は、「補正測定流量を決定する方法」の発明である点で一致する。
(イ) さらに、引用発明は、「流量がゼロのときのピックオフ105、105’の時間遅れの測定値であるゼロオフセットがズレて(drift)しまう場合があり、換言すれば、ゼロオフセットは、初期に算出されたゼロオフセットΔt0から変わってしまう場合がある振動式フローメーターの差動ゼロオフセットの変化を決定して補償する方法」である。
したがって、本願発明と引用発明は、「ゼロオフセットがズレて(drift)しまう場合があり、換言すれば、ゼロオフセットは、初期に算出されたゼロオフセットΔt0から変わってしまう場合がある振動式フローメーターの補正測定流量を決定する方法」の発明である点で一致する。
イ(ア) 引用発明の「第一の振動式フローメーター10」及び「第二の振動式フローメーター305」のうち、「較正されるメーター」に該当する方が本願発明の「第1の流量計」に相当し、「基準センサー」に該当する方が、本願発明の「第2の流量計」に相当する。
(イ) 引用発明の「第一の振動式フローメーター10からの第一のセンサー信号と、少なくとも第二の振動式フローメーター305からの第二のセンサー信号とを受け取るステップ401と、前記第一のセンサー信号から第一の流量を求め、前記第二のセンサー信号から第二の流量を求めるステップ402」は、本願発明の「第1の流量計で流量を測定するステップと、第2の流量計で流量を測定するステップ」に相当する。
(ウ) 引用発明においては、「第二の振動式フローメーター305は第一の振動式フローメーター10に接続され」、「差動ゼロオフセットは、基準センサーの質量流量が較正されるメーターの質量流量と等しいと仮定することにより算出されるもの」であるから、引用発明は、本願発明における「前記第2の流量計は前記第1の流量計に直列に流体結合される」ことに相当する構成を備えていることは明らかである。
(エ) 前記(ア)から(ウ)をまとめると、本願発明と引用発明は、次のステップを有する点で一致する。
「第1の流量計で流量を測定するステップと、第2の流量計で流量を測定するステップであって、前記第2の流量計は前記第1の流量計に直列に流体結合される、ステップ」
ウ(ア) 引用発明において、「差動ゼロオフセットは、基準センサーの質量流量が較正されるメーターの質量流量と等しいと仮定することにより算出されるものであり、下記の(式A)を用いて求められ」、「補償済み流量(m(・))は下記の(式B)で求められる」。
ΔtD = (Δt0c + ΔtE) = Δtc - mR(・)/ FCFc ・・・・・(式A)
m(・) = FCFc (Δtmeasured - ΔtD) ・・・・・(式B)
(イ) ここで、式Bの左辺の「m(・)」は、較正されるメーターの補償済みの質量流量を表し、式Bの右辺には「ΔtD」が含まれているところ、式Aによれば「ΔtD」は「mR(・)」を含む式により記述され、「mR(・)」は基準センサーの測定した質量流量を表すのであるから、式Bは、較正されるメーターの測定した質量流量が、基準センサーの測定した質量流量を用いて補償されることを意味することになる。
(ウ) 前記(イ)の点も踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記第1の流量計の前記測定流量を前記第2の流量計の前記測定流量を用いて補正するステップ」を備える点で共通する。
(2) 一致点及び相違点の認定
前記(1)の対比結果をまとめると、本願発明と引用発明は、次のアの一致点において一致し、後記イの相違点において相違する。
ア 一致点
「ゼロオフセットがズレて(drift)しまう場合があり、換言すれば、ゼロオフセットは、初期に算出されたゼロオフセットΔt0から変わってしまう場合がある振動式フローメーターの補正測定流量を決定する方法であって、第1の流量計で流量を測定するステップと、第2の流量計で流量を測定するステップであって、前記第2の流量計は前記第1の流量計に直列に流体結合される、ステップと、第1の流量計の測定流量を前記第2の流量計の前記測定流量を用いて補正するステップと、を含む方法。」
イ 相違点
(ア) 相違点1
「第1の流量計の測定流量を前記第2の流量計の前記測定流量を用いて補正するステップ」が、
本願発明においては、「第1の流量計の測定流量を第1の流量計の推定ゼロ流動不安定性を用いて補正することにより」行われるものであり、「推定ゼロ流動不安定性は、第1の流量計の測定流量と第2の流量計の測定流量の差で構成される」のに対し、
引用発明においては、下記の(式A)を用いて求められる差動ゼロオフセットを下記の(式B)に代入して補償済み流量(m(・))を求める点。
ΔtD = (Δt0c + ΔtE) = Δtc - mR(・)/ FCFc ・・・・・(式A)
m(・) = FCFc (Δtmeasured - ΔtD) ・・・・・(式B)
(イ) 相違点2
本願発明においては、「前記第1の流量計のゼロ流動不安定性は、前記第2の流量計のゼロ流動不安定性よりも大きい」ことが特定されているのに対して、
引用発明においては、「第一の振動式フローメーター10」及び「第二の振動式フローメーター305」のうち、「較正されるメーター」(「第1の流量計」に相当する。)に該当する方のゼロ流動不安定性が、「基準センサー」(「第2の流量計」に相当する。)に該当する方のゼロ流動不安定性よりも大きいことは、明示的には特定されていない点。
3 判断
(1) 相違点についての検討
ア 相違点1について
(ア)a 引用発明において、補償済み流量は、次の(式B)で求められる。
m(・) = FCFc (Δtmeasured - ΔtD) ・・・・(式B)
ここで、差動オフセットΔtD は、次の(式A)で求められる。
ΔtD = (Δt0c + ΔtE) = Δtc - mR(・)/ FCFc ・・・・(式A)
b 式Bに式Aの左側の等式を代入して、式変形をすると、(式C)が導かれる。
m(・) = FCFc (Δtmeasured - Δt0c - ΔtE)
= FCFc (Δtmeasured - Δt0c)- FCFc ΔtE ・・・・(式C)
ここで、引用文献1の式(2)は、次のとおりである。
mR(・) = FCFc [Δtc - (Δt0c + ΔtE)]
式(2)を変形すると、
mR(・) = FCFc [Δtc - (Δt0c + ΔtE)]
= FCFc (Δtc -Δt0c) - FCFc ΔtE
であるから、上記の右辺第1項を左辺に移項し、移項した後の式の左辺と右辺を入れ替えると、次の(式D)のとおりとなる。
- FCFc ΔtE = mR(・) - FCFc (Δtc - Δt0c) ・・・・(式D)
c (式C)において、右辺第1項である「FCFc (Δtmeasured - Δt0c)」は、初期ゼロオフセットの補正に対応している。
そして、右辺第2項である「- FCFc ΔtE」は、ゼロオフセットのズレを較正するための補償流量となっている。
ここで、(式D)をみると、この式の右辺は、「基準質量流量 mR(・)」から「較正されるセンサーのゼロオフセットのズレの較正前の測定流量」である「FCFc (Δtc - Δt0c)」を引いた値になっている。
これは、本願明細書の段落【0045】において、「第1の流量計5aの推定ゼロ流動不安定性」であると規定している次式(4)が表すものに相当する。
[図:0001397887000012.jpg]
ここで、
[図:0001397887000013.jpg]
は、第1の流量計によって測定される流量であり、
[図:0001397887000014.jpg]
は、第2の流量計5bの測定流量である。
d 前記aからcまでの検討により、引用発明における(式A)を用いて求められる差動ゼロオフセットを(式B)に代入して補償済み流量を求めることは、(式C)が示すように、初期ゼロオフセットの補正とともに、ゼロオフセットのズレを較正することと等価であり、ゼロオフセットのズレを較正するための補償流量は、(式D)が示すように、基準質量流量から較正されるセンサーのゼロオフセットのズレの較正前の測定流量を引いたものになっている。
したがって、引用発明における(式A)を用いて求められる差動ゼロオフセットを(式B)に代入して補償済み流量を求めることは、相違点1の「第1の流量計の測定流量と第2の流量計の測定流量の差で構成される」「推定ゼロ流動不安定性」に相当することが理解できる。
(イ) 引用発明において、差異オフセットΔtDによる較正から、ゼロオフセットのズレを較正するための補償流量を導出した前記(ア)の考察は、単純な代数学を用いた式変形にすぎないものであり、当業者には自明のことである。
したがって、引用発明において、差異オフセットΔtDによる較正に代えて、ゼロオフセットのズレを較正するための補償流量を求めて較正するようにすること、すなわち、「差動ゼロオフセットを用いて、補償済み流量を求める」というステップに代えて、「第1の流量計の測定流量と第2の流量計の測定流量の差で構成される」「第1の流量計の測定流量を第1の流量計の推定ゼロ流動不安定性」を用いて補正することにより補償済み流量を求めるようにすることは、当業者にとっては、容易に理解できることにすぎない。
したがって、前記相違点1は、当業者にとっては自明である。
イ 相違点2について
(ア)a 引用文献2には、「基準流量計を流量計に直結させて、流量計の校正を行なうこと」が記載されている(前記1(3)イの「引用文献2記載の技術事項」参照)。
b ここで、「流量計の校正に用いられる基準流量計(「基準器」や「標準器」などともいう。)は、校正される流量計よりも測定精度が高いこと」は、技術常識である(前記1(3)イの「技術常識A」参照。)
c したがって、引用文献2に明示の記載はなくとも、当業者は、「校正される流量計よりも測定精度が高い基準流量計を、校正対象の流量計に直結させて、流量計の校正を行なっていること」は、当然に把握できることである。
(イ) また、そもそも、基準とする流量計の精度が校正対象のものより低ければ、校正を実施することができないことも自明である。
(ウ)a そうすると、引用発明において「第一の振動式フローメーター10」及び「第二の振動式フローメーター305」のうち、「較正されるメーター」に該当する方の精度より、「基準センサー」に該当する方の精度が高くあるべきことは、当業者には、あまりにも自明のことにすぎない。
b ここで、精度の誤差について、引用発明においては、「流量がゼロのときのピックオフ105、105’の時間遅れの測定値であるゼロオフセットがズレて(drift)しまう場合があり、換言すれば、ゼロオフセットは、初期に算出されたゼロオフセットΔt0から変わってしまう場合がある」ことを前提としており、これは、本願発明の「ゼロ流動不安定性」に相当するのであるから(本願明細書の段落【0005】を参照)、引用発明においては、「第一の振動式フローメーター10」及び「第二の振動式フローメーター305」のうち、「較正されるメーター」に該当する方の「ゼロ流動不安定性」が、「基準センサー」に該当する方の「ゼロ流動不安定性」よりも大きいことは、明示の記載なくとも、当然に把握できることにすぎない。
したがって、相違点2は、実質的な相違点ではない。
(2) 請求人の主張について
ア 請求人の主張内容
折りたたみ中(クリックで表示)
請求人は、審判請求書において、次の(ア)~(ウ)の主張をしている。
(ア) 請求人の主張1~本願発明と引用発明の相違
引用文献1は、第1の流量計のゼロ流動不安定性が、第2の流量計のゼロ流動不安定性よりも大きいことを開示していない。引用文献1には、このようにすることを示唆する記述もない。引用文献1では、対照的に、較正されるセンサーの差動ゼロオフセット(Δtd)を決定する際に、どのメーターを基準メーターとするかは重要でない、と教示している。すなわち、引用文献1は、「基準流量計」となる第2の流量計のゼロ流動不安定性を、第1の流量計のゼロ流動不安定性より小さくすることは、特に必要ではないことを示唆している。
(イ) 請求人の主張2~本願発明と引用文献2に記載された事項の相違
引用文献2には、ゼロ流量不安定性についての議論は、一切なく、第1の流量計のゼロ流動不安定性が、第2の流量計のゼロ流動不安定性よりも大きいことは、何ら記載されていない。
引用文献2には、バイパス管4の径を流量管2の径より小さくすることは記載されているが、これは「低コストでスペースもとらないで所用の校正を行うため」であり、流量計1と基準流量計5のゼロ流動不安定性の関係に何ら示唆を与えるものではない。
(ウ) 請求人の主張3~知財高裁判例について
知的財産高等裁判所は、「具体的な理由を示すことなく、本願発明の相違点に係る構成に到達することが容易であると結論付けることは、妥当を欠く」(平成22(行ケ)10351、知的財産高等裁判所平成23年9月23日)と判断している。
この案件では、相違点に係る構成が周知技術であることを示すための文献が挙げられているが、その場合においてさえ、対象発明が想到容易とするには、周知技術を引用発明に適用する動機付けが必要であると判断している。
一方本願では、相違点に係る構成について、先行文献には教示も示唆もない。
イ 請求人の主張についての検討
折りたたみ中(クリックで表示)
(ア) 請求人の主張1についての検討
引用文献1の段落【0026】には、「一方のメーターを基準メーターとしてセットし、流量が同一であると考えられる場合、すなわち流体が燃料流出口304から流出していない場合に、他方のメーターを基準メーターと一致させるように較正することができる。ほとんどの実施形態では、どちらのメーターを基準メーターとしてセットするかは重要なことではない。」と記載されているが、当該記載は、単に基準メーターとしてどちらの位置のメーターを選定するかについて自由度がある旨を述べているのであって、基準メーターとして選定されたメーターの精度や不安定性が、校正対象となるメーターよりも劣っていることを容認するような記載ではない。
前記1(2)エにおいて認定したように「流量計の校正に用いられる基準流量計(「基準器」や「標準器」などともいう。)は、校正される流量計よりも測定精度が高いこと」は技術常識であり、基準とする流量計の測定精度が校正対象のものより低ければ、校正を実施することができないことも自明であるのだから、引用発明において「第一の振動式フローメーター10」及び「第二の振動式フローメーター305」のうち、「較正されるメーター」に該当する方の精度より、「基準センサー」に該当する方の精度が高くあるべきことは、当業者には、あまりにも自明のことにすぎず、引用発明においては、「ゼロ流動不安定性」に起因する精度の誤差を前提にするのであるから、引用発明において「第一の振動式フローメーター10」及び「第二の振動式フローメーター305」のうち、「較正されるメーター」に該当する方のゼロ流動不安定性が、「基準センサー」に該当する方のゼロ流動不安定性よりも大きいことは、明示の記載がなくとも、当然に把握できることにすぎない。
したがって、請求人の主張1は採用することはできない。
(イ) 請求人の主張2についての検討
請求人の主張するように、引用文献2においては「ゼロ流動不安定性」に関する直接の記載は無い。また、基準流量計がどのようなものであるかといった記載も認められない。
しかしながら、引用文献2には、「基準流量計を流量計に直結させて、流量計の校正を行なうこと」が記載されており(「引用文献2記載の技術事項」)、「流量計の校正に用いられる基準流量計(「基準器」や「標準器」などともいう。)は、校正される流量計よりも測定精度が高いこと」は、技術常識である(「技術常識A」)から、当業者は、引用文献2に明示の記載はなくとも、「校正される流量計よりも測定精度が高い基準流量計を、校正対象の流量計に直結させて、流量計の校正を行なっていること」は、当然に把握できることである。
以上のとおりであるから、請求人の主張2は、前記(1)イの結論を左右するものではない。
(ウ) 請求人の主張3についての検討
請求人は「一方本願では、相違点に係る構成について、先行文献には教示も示唆もない。」と述べているが、前記(1)イにおいて説示したように、「流量計の校正に用いられる基準流量計(「基準器」や「標準器」などともいう。)は、校正される流量計よりも測定精度が高いこと」は、技術常識であるから、引用文献2に明示の記載はなくとも、当業者は、「校正される流量計よりも測定精度が高い基準流量計を、校正対象の流量計に直結させて、流量計の校正を行なっていること」は、当然に把握できることである。
また、そもそも、基準とする流量計の精度が校正対象のものより低ければ、校正を実施することができないことも自明である。
したがって、引用発明において「第一の振動式フローメーター10」及び「第二の振動式フローメーター305」のうち、「較正されるメーター」に該当する方の精度より、「基準センサー」に該当する方の精度が高くあるべきことは、当業者には、あまりにも自明のことにすぎない。
ここで、引用発明においては、「ゼロ流動不安定性」に起因する精度の誤差を前提にするのであるから、引用発明においては、「第一の振動式フローメーター10」及び「第二の振動式フローメーター305」のうち、「較正されるメーター」に該当する方の「ゼロ流動不安定性」が、「基準センサーに該当する方の「ゼロ流動不安定性」よりも大きいことは、明示の記載なくとも、当然に把握できることにすぎない。
相違点2については、動機付けが必要という問題ではなく、引用発明の目的からして、当業者が当然に配慮すべき事項にすぎないものである。
請求人の主張は、技術常識に基づく主張とはいえない形式主義的な主張であり、当業者の立場に立っての主張といえるものではないから、採用の限りではない。
第5 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-007203