2022-007116
移動体通信装置及び運行管理システム
- 審判番号
- 2022-007116
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-199915外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月12日
- 審決日
- 2023年05月30日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社パインベース
- 【請求人代理人】松田 朋浩
- 【請求人代理人】西木 信夫
- 分類
- P18 .121-WY (H04M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 19項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年1月16日に出願した特願2017-004936号の一部を令和2年12月1日に新たな特許出願(特願2020-199915号)としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
当審拒絶理由」という。)
第2 原査定の概要
原査定(令和4年2月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-4、7-8に係る発明は、以下の引用文献A-Cに基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特表2008-521077号公報
B.特開2015-226208号公報
C.特開2005-295516号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願請求項1-4、7-8に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2008-521077号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開2013-219438号公報(当審において新たに引用した文献)
3.特開2013-219559号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、令和5年4月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-12は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報が連続して入力される情報入力部と、上記情報入力部に入力された上記運行情報を記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された上記運行情報を、第1通信会社の基地局との通信用の第1バンド及び第2通信会社の基地局との通信用の第2バンドにおいてUDP通信により送信可能な第1送信部と、続きを表示(全59行)上記第1バンドと上記第2バンドとのうち、通信状態の良い方のバンドを選択し、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる制御部と、を備え、上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部の第1ポートから送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第1送信部の第2ポートから送信する、移動体に搭載される移動体通信装置。【請求項2】アンテナによって受信した上記第1バンド及び上記第2バンドの電波の強度を検出する電波強度検出部をさらに備え、上記制御部は、電波強度の強い方のバンドを通信状態の良い方のバンドとして選択し、最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる請求項1に記載の移動体通信装置。【請求項3】上記第1送信部は、上記第1バンドの電波を受信する第1通信アンテナと、当該第1通信アンテナで受信した上記第1バンドの電波の強度を検出する第1電波強度検出部と、電波強度情報及び通信が可能か否かを示す通信確立情報を含む通信状態情報を出力する第1ドライバとを有し、上記第1通信会社の基地局と通信を行う第1通信モデムと、上記第2バンドの電波を受信する第2通信アンテナと、当該第2通信アンテナで受信した上記第2バンドの電波の強度を検出する第2電波強度検出部と、電波強度情報及び通信が可能か否かを示す通信確立情報を含む通信状態情報を出力する第2ドライバとを有し、上記第2通信会社の基地局と通信を行う第2通信モデムと、を備え、上記制御部は、上記第1ドライバ及び上記第2ドライバから、上記通信状態情報を取得し、通信が確立され、かつ電波強度が強い方のバンドを通信状態の良い方のバンドとして選択し、最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる請求項1に記載の移動体通信装置。【請求項4】上記第1通信モデムは、SIMカードが装着される第1装着部を備え、上記第2通信モデムは、SIMカードが装着される第2装着部を備える請求項3に記載の移動体通信装置。【請求項5】上記制御部は、上記記憶部に記憶された上記運行情報を暗号化する暗号化処理を行う請求項1から4のいずれかに記載の移動体通信装置。【請求項6】請求項1から5のいずれかに記載の移動体通信装置と、上記移動体通信装置から送信された運行情報が入力される管理サーバと、を備え、上記移動体通信装置は、時刻情報を出力するクロックモジュールをさらに備え、上記記憶部は、上記移動体通信装置に個別に付与された識別記号を記憶し、上記制御部は、上記運行情報と、上記運行情報が入力された時の時刻情報とを対応させて上記記憶部に記憶させ、上記運行情報と上記時刻情報と上記識別記号とを対応させて上記第1送信部から送信させ、上記管理サーバは、上記運行情報と上記時刻情報と上記識別記号とを対応させて記憶する装置メモリを備える運行管理システム。【請求項7】音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報が連続して入力される情報入力部と、上記情報入力部に入力された上記運行情報を記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された上記運行情報を、第1通信会社の基地局との通信用の第1バンド及び第2通信会社の基地局との通信用の第2バンドにおいてUDP通信により送信可能な第1送信部と、上記第1バンドと上記第2バンドとのうち、通信状態の良い方のバンドを選択し、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる制御部と、上記記憶部に記憶されたデータをTCP通信を用いて送信可能な第2送信部と、を備え、上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部を用いて送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第2送信部を用いて送信する、移動体に搭載される移動体通信装置。【請求項8】アンテナによって受信した上記第1バンド及び上記第2バンドの電波の強度を検出する電波強度検出部をさらに備え、上記制御部は、電波強度の強い方のバンドを通信状態の良い方のバンドとして選択し、最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる請求項7に記載の移動体通信装置。【請求項9】上記第1送信部は、上記第1バンドの電波を受信する第1通信アンテナと、当該第1通信アンテナで受信した上記第1バンドの電波の強度を検出する第1電波強度検出部と、電波強度情報及び通信が可能か否かを示す通信確立情報を含む通信状態情報を出力する第1ドライバとを有し、上記第1通信会社の基地局と通信を行う第1通信モデムと、上記第2バンドの電波を受信する第2通信アンテナと、当該第2通信アンテナで受信した上記第2バンドの電波の強度を検出する第2電波強度検出部と、電波強度情報及び通信が可能か否かを示す通信確立情報を含む通信状態情報を出力する第2ドライバとを有し、上記第2通信会社の基地局と通信を行う第2通信モデムと、を備え、上記制御部は、上記第1ドライバ及び上記第2ドライバから、上記通信状態情報を取得し、通信が確立され、かつ電波強度が強い方のバンドを通信状態の良い方のバンドとして選択し、最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる請求項7に記載の移動体通信装置。【請求項10】上記第1通信モデムは、SIMカードが装着される第1装着部を備え、上記第2通信モデムは、SIMカードが装着される第2装着部を備える請求項9に記載の移動体通信装置。【請求項11】上記制御部は、上記記憶部に記憶された上記運行情報を暗号化する暗号化処理を行う請求項7から10のいずれかに記載の移動体通信装置。【請求項12】請求項7から11のいずれかに記載の移動体通信装置と、上記移動体通信装置から送信された運行情報が入力される管理サーバと、を備え、上記移動体通信装置は、時刻情報を出力するクロックモジュールをさらに備え、上記記憶部は、上記移動体通信装置に個別に付与された識別記号を記憶し、上記制御部は、上記運行情報と、上記運行情報が入力された時の時刻情報とを対応させて上記記憶部に記憶させ、上記運行情報と上記時刻情報と上記識別記号とを対応させて上記第1送信部から送信させ、上記管理サーバは、上記運行情報と上記時刻情報と上記識別記号とを対応させて記憶する装置メモリを備える運行管理システム。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。以下、同様。)。
「【0033】図1Aは、車両を制御し及び監視するコンピュータシステムの高レベルアーキテクチャを示す。複数の車両110は、追跡することができる少なくとも一つのトランスポンダ105を有し、車両115の遠隔制御機能を可能にする。【0034】トランスポンダ105は、複数の通信ネットワーク又はその組合せに接続する。一実施の形態において、そのような通信ネットワークを、複数のセルラ基地局120及びサービスプロバイダ135を有するセルラネットワークとする。他の実施の形態において、そのような通信ネットワークを、SMS受信機125を有する複数のセルラ基地局及びサービスプロバイダ140を有するセルラネットワークとする。他の実施の形態において、そのような通信ネットワークを、複数の衛星受信機及び送信機130並びに衛星地上局145を有する衛星ネットワークとする。更に別の実施の形態において、そのような通信ネットワークを、短波通信ネットワークとする。【0035】通信ネットワークは、トランスポンダ105がバックエンド制御システム150と通信するのを可能にする。トランスポンダ105は、イベント情報をバックエンド制御システムに送信し、バックエンド制御システム150から通信ネットワークを通じてトランスポンダ105に送信されたコマンドに応答する。バックエンド制御システム150は、こーデック155とのやり取りを行う複数のゲートウェイ151,152,153及び154を有する。コーデック155を、バックエンド制御システム150の中央のコーダ及びデコーダとし、これによって、バックエンド制御システムは、あらゆる通信ネットワークに適合し及びあらゆる通信ネットワークと通信することができる。モジュール設計によって、監視及び報告ソフトウェアを変更する必要なく新たなハードウェア及びネットワークプロトコルを導入することができる。バックエンド制御システム150は、通信の開始及び終了を非同期で効率よく処理することができる非同期ルーティングシステム159も有する。一実施の形態において、非同期ルーティングシステム159は、複数のルーティングサービス156と、少なくとも一つのデータベース157と、ウェブサーバ158とを有する。ルーティングサーバ156によって送られたメッセージは、クライアントコンソール176に直接送信される。クライアントコンソール176は、車両115及びトランスポンダ105の情報をオペレータに提供する。クライアントコンソール176は、トランスポンダ105に対するコマンドを、バックエンド制御システム150及び通信ネットワークを通じて送信する。」
「【0039】トランスポンダハードウェア設定図2は、トランスポンダ105の内部のボード240を示す。トランスポンダボード240は、少なくとも一つのGPS受信機215と、少なくとも一つのCPU210と、少なくとも一つのセルラモデム220と、少なくとも一つのメモリモジュール280とを有する。少なくとも一つのブルートゥース受信機を内部のボード240に含めることができる。一実施の形態において、追跡システムは、最も手ごろに全世界をカバーするためにセルラネットワークと衛星ネットワークの両方を利用する。」
「【0047】ピンの少なくとも九つが入力部345として機能する。入力部345は、トランスポンダ105が載せ置かれたアーティクルの状況に関連する情報を収集する役割を果たす。各入力部を、対応する特定の設定可能なイベント又は動作に割り当てることができる。入力信号をアナログ又はデジタルにすることができる。一実施の形態において、各入力部345は、光学的に切り離され、過電圧/不足電圧の電流サージに対して保護される。さらに、各入力部345を、シリアルケーブル又は無線を通じて局所的に個別にイネーブルし又はディスエーブルすることができる。さらに、各入力部345を無線によって局所的に設定可能にする。これら入力部345は、ユーザの特定の要望及び使用に対して設定可能である。これらの機能を後に詳細に説明する。」
「【0061】イベントを物理的又は論理的にすることができる。物理イベント及び論理イベントは、所定の条件に適合したときに無線によるメッセージの送信を開始する。大抵の論理イベントは、GPSの位置と時間や速度のような他の要因との組合せを用いた規則に基づく。物理イベント及び論理イベントによって開始されたイベントメッセージは、イベントメッセージそれ自体を有し、そのような情報は、緯度、経度、速度、方向、時間、全ての入力部345の状態、走行距離、イベントの理由又は原因、及び他のあらゆる関連情報を有する。論理イベントは通常、駆動されたソフトウェア、GPSの位置に基づく計算、及び典型的にはGPSの位置から引き出される計算である。トランスポンダ105は、ユーザが所望するのと同数の論理イベントを有するよう設定可能である。一実施の形態は、互いに異なる少なくとも六つの設定可能な論理イベントを有する。」
「【0089】トランスポンダ105は、履歴報告要素を有することもできる。トランスポンダ105が主要な通信媒体を通じたカバーの不足のためにデータパケットを送信できないときは常に、パケットは、オンボードフラッシュメモリの少なくとも二つのヒストリログの一つに記憶される。トランスポンダが、通信リンクが再確立されたことを決定すると、メモリに格納されたあらゆるパケットは、プライオリティとして識別されたメッセージとともに順次送信が開始される。例えば、緊急又は牽引車支援は、接続が再確立されたときに送信される最初のメッセージとなるプライオリティメッセージである。」
「【0091】バックエンド制御システム図6は、バックエンド制御システム150を示す。バックエンド制御システム150は、ゲートウェイシステム151~153と、コーデック155と、非同期ルーティングシステム159とを有する。非同期ルーティングシステム159は、ウェブサーバ156と、複数のルータシステム620,622と、リアルタイムデータベース630と、ヒストリデータベース642と、フリートデータベース670とを有する。【0092】リアルタイムデータベース630は、位置、速度、方向、走行距離読出し等のトランスポンダの最近の情報形態を維持する。ヒストリデータベース642は、非同期ルーティングシステム159から送受信した全てのイベント及びトランザクションの記録を維持する。最後に、フリートデータベース670は、トランスポンダが取り付けられた制御された移動及び静止オブジェクト(例えば、車両)ユーザ、トランスポンダ設定、フリート等の全てのアドミニストレータエンティティの記録を保持する。」
「【0094】通信ゲートウェイ151~153は、データをトランスポンダ105の各々からバックエンド制御システム150に流すように誘導する。ゲートウェイシステム151~153は、コマンド及び問合せを適切なトランスポンダ105に誘導する。各ゲートウェイは、通信ネットワーク651~653との通信リンクを確立し及び維持する。一実施の形態において、ゲートウェイを、インターネット/セルラネットワーク651に接続するユーザデータグラムプロトコル/インターネットプロトコル(UPD/IP)パケット受信機及び送信機151とする。データを送受信する1個を超えるUDP/IPゲートウェイ151が存在してもよい。UDP/IPゲートウェイ151によって、バックエンド制御システム150は、UDPパケットを用いてGSM/GPRSネットワーク、CDMA/1xRTTネットワーク及びCDPDネットワーク上でトランスポンダ105と通信を行うことができる。」
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数の車両110は、追跡することができる少なくとも一つのトランスポンダ105を有し、車両115の遠隔制御機能を可能にし(【0033】)、トランスポンダ105は、複数の通信ネットワーク又はその組合せに接続し(【0034】)、通信ネットワークは、トランスポンダ105がバックエンド制御システム150と通信するのを可能にし、トランスポンダ105は、イベント情報をバックエンド制御システムに送信し、バックエンド制御システム150から通信ネットワークを通じてトランスポンダ105に送信されたコマンドに応答し(【0035】)、続きを表示(全18行)トランスポンダ105の内部のボード240は、少なくとも一つのCPU210と、少なくとも一つのセルラモデム220と、少なくとも一つのメモリモジュール280とを有し(【0039】)、入力部345は、トランスポンダ105が載せ置かれたアーティクルの状況に関連する情報を収集する役割を果たし(【0047】)、イベントメッセージは、緯度、経度、速度、方向、時間、全ての入力部345の状態、走行距離、イベントの理由又は原因、及び他のあらゆる関連情報を有し(【0061】)、トランスポンダ105は、履歴報告要素を有することもでき、パケットは、オンボードフラッシュメモリの少なくとも二つのヒストリログの一つに記憶され、メモリに格納されたあらゆるパケットは、順次送信が開始され(【0089】)、バックエンド制御システム150は、ゲートウェイシステム151~153と、コーデック155と、非同期ルーティングシステム159とを有し、非同期ルーティングシステム159は、ウェブサーバ156と、複数のルータシステム620,622と、リアルタイムデータベース630と、ヒストリデータベース642と、フリートデータベース670とを有し(【0091】)、リアルタイムデータベース630は、位置、速度、方向、走行距離読出し等のトランスポンダの最近の情報形態を維持し、ヒストリデータベース642は、非同期ルーティングシステム159から送受信した全てのイベント及びトランザクションの記録を維持し、フリートデータベース670は、トランスポンダが取り付けられた制御された移動及び静止オブジェクト(例えば、車両)ユーザ、トランスポンダ設定、フリート等の全てのアドミニストレータエンティティの記録を保持し(【0092】)、通信ゲートウェイ151~153は、データをトランスポンダ105の各々からバックエンド制御システム150に流すように誘導し、UDP/IPゲートウェイ151によって、バックエンド制御システム150は、UDPパケットを用いてトランスポンダ105と通信を行うことができる(【0094】)トランスポンダ105。」
2 引用文献2
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0020】〈通信システムの構成〉図1は、本実施形態に係る通信システムの一例を示す図である。本実施形態1の通信システム100は、ユーザ端末3と、当該ユーザ端末3の無線回線を介した通信を管理する管理システム10とを有する。管理システム10は、ネットワーク4を介して接続する通信管理装置1や基地局装置2を有する。なお、ネットワーク4には、ウエブページ等のコンテンツを提供するコンテンツサーバ5も接続している。【0021】基地局装置2は、異なる複数の通信キャリア(通信事業者)毎に設けられており、図1の例では、通信キャリアA~通信キャリアDの基地局装置が示されている。なお、図1では、便宜上、各通信キャリアの基地局装置2をそれぞれ1つのみ示したが、基地局装置2は、サービスエリアを構成する複数のセル毎に設けられる。【0022】通信管理装置1は、図1に示すように、選択部11、通信量管理部15、出力制御部16、セッション管理部17、データベース18を備えている。【0023】選択部11は、各通信キャリアの無線回線を介したユーザ端末3と基地局装置2との通信状態を判定し、前記複数の通信キャリアの無線回線のうち前記通信状態が所定条件を満たす無線回線を選択する。本実施形態の選択部11は、通信状態を判定するため、速度判定部12、安定性判定部13、繋がり易さ判定部14を備えている。」
「【0030】データベース18は、顧客データベースや、接続データベース、地図データベースを有する。顧客データベースは、各ユーザのIDやパスワードといった認証情報等を記憶する。地図データベースは、地図画像を位置情報と対応付けて記憶している。当該地図画像は、地図画像中の原点の位置を特定する等して地図上の位置と現実の位置との対応関係が定められている。例えば、現実の緯度及び経度を指定すると、対応する位置を地図画像上で特定できる。」
「【0032】図2は、接続データベースのデータ構成例を示す図である。図2に示すように、接続データベースは、識別情報、優先モード情報、位置情報、回線情報、接続時間情報、パケット情報を有している。」
「【0036】回線情報は、キャリア種別、回線種別、周波数、電波強度、回線速度、エラー回数、エラー種類、ノイズの値、瞬断回数、瞬断最大時間、瞬断最小時間等の項目を有している。」
「【0039】周波数は、無線通信に用いる電波の周波数を示す情報である。電波強度は、無線通信を行った際にユーザ端末3が受信した電波の強度であり、ユーザ端末3から受信して記憶する。なお、本実施形態では、電波強度を5段階で示している。」
「【0055】図4は、ユーザ端末3の概略構成図である。図4に示すように、ユーザ端末3は、本体内にCPU(central processing unit)やメインメモリ等よりなる演算処理部31、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(フラッシュメモリ)32、入出力ポート33、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)34、接続情報記憶部35等を備えたコンピュータである。」
「【0057】CCU34は、無線回線を介して他のコンピュータとの通信を行うものである。CCU34は、異なる複数の通信キャリアの無線回線を用いて通信が可能である。例えば3GやWiMAX、IEEE802.1等、通信形式毎に異なる複数のCCU34を備えても良い。また、通信形式が同じであれば異なる一つのCCU34で異なるキャリアの基地局装置2と接続する構成としても良い。また、CCU34は、通信を行う際、接続エラーやパケットロス再送回数、エラー回数、電波強度など、通信状態を検出し、記憶する記憶部32には、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトウェア、設定データ等がインストールされている。」
「【0061】接続情報記憶部35は、各通信キャリアA~Dの基地局装置と接続する際の接続情報を記憶したメモリである。接続情報記憶部35は、内蔵のメモリに接続情報を記憶させた構成でも良いし、各通信キャリアA~Dが発行したSIMカード等の記憶媒体を複数装着した構成としても良い。」
上記記載から、引用文献2には次の技術が記載されているものと認められる。
「通信システム100は、ユーザ端末3と、当該ユーザ端末3の無線回線を介した通信を管理する管理システム10とを有し、管理システム10は、ネットワーク4を介して接続する通信管理装置1や基地局装置2を有し、基地局装置2は、異なる複数の通信キャリア(通信事業者)毎に設けられており、通信管理装置1は、選択部11、通信量管理部15、出力制御部16、セッション管理部17、データベース18を備えており、続きを表示(全13行)選択部11は、各通信キャリアの無線回線を介したユーザ端末3と基地局装置2との通信状態を判定し、前記複数の通信キャリアの無線回線のうち前記通信状態が所定条件を満たす無線回線を選択し、データベース18は、顧客データベースや、接続データベース、地図データベースを有し、接続データベースは、識別情報、優先モード情報、位置情報、回線情報、接続時間情報、パケット情報を有しており、回線情報は、キャリア種別、回線種別、周波数、電波強度、回線速度、エラー回数、エラー種類、ノイズの値、瞬断回数、瞬断最大時間、瞬断最小時間等の項目を有しており、周波数は、無線通信に用いる電波の周波数を示す情報であり、電波強度は、無線通信を行った際にユーザ端末3が受信した電波の強度であり、ユーザ端末3から受信して記憶し、ユーザ端末3は、通信制御部(CCU:Communication Control Unit)34、接続情報記憶部35等を備えたコンピュータであり、CCU34は、異なる複数の通信キャリアの無線回線を用いて通信が可能であり、接続情報記憶部35は、各通信キャリアA~Dが発行したSIMカード等の記憶媒体を複数装着した構成としても良いこと。」
3 引用文献3
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0021】〈通信システムの構成〉図1は、通信システムの一例を示す図である。本実施形態1の通信システム100は、ネットワークを介して接続するユーザ端末3や中央制御サーバ1を有する。なお、ネットワークには、他のユーザ端末4も接続している。【0022】中央制御サーバ1は、図1に示すように、アプリケーション連携部(通知部)11、地図作成部12、測位部13、選択部14、回線状況データベース15を備えている。【0023】アプリケーション連携部11は、アプリを実行しているユーザ端末3,4との通信を行う手段であり、例えばユーザ端末3からの選択要求の受信や、選択した通信キャリアの通知、ユーザ端末3,4で測定した回線状況情報の受信等を行う。」
「【0026】選択部14は、ユーザ端末3から選択の要求を受けた場合に、当該ユーザ端末3から受信した前記位置情報と対応する回線状況情報を通信キャリア毎に求め、当該回線状況情報が所定条件に適合した通信キャリアを選択する。」
「【0038】図4は、ユーザ端末3の概略構成図である。図4に示すように、ユーザ端末3は、本体内にCPU(central processing unit)やメインメモリ等よりなる演算処理部31、演算処理の為のデータやソフトウェアを記憶した記憶部(フラッシュメモリ)32、入出力ポート33、通信部(CCU:Communication Control Unit)34、接続情報記憶部35等を備えたコンピュータである。」
「【0040】CCU34は、無線回線を介して他のコンピュータとの通信を行うものである。CCU34は、異なる複数の通信キャリアの無線回線を用いて通信が可能である。例えば3GやWiMAX、IEEE802.1等、通信形式毎に異なる複数のCCU34-1~34-4を備えても良い。また、通信形式が同じであれば異なる一つのCCU34で異なるキャリアの基地局と接続する構成としても良い。また、CCU34は、通信を行う際、接続エラーやパケットロス再送回数、エラー回数、電波強度など、通信状態を検出する。」
「【0042】接続情報記憶部35は、各通信キャリアA~Dの基地局装置と接続する際の接続情報を記憶したメモリである。接続情報記憶部35は、内蔵のメモリに接続情報を記憶させた構成でも良いし、各通信キャリアA~Dが発行したSIMカード等の記憶媒体を複数装着した構成としても良い。【0043】演算処理部31は、前記OSやアプリを記憶部32から適宜読み出して実行し、入出力ポート33やCCU34から入力された情報、及び記憶部32から読み出した情報を演算処理することにより、選択要求部311や切換部312、測定部313、送信制御部314としても機能する。【0044】選択要求部311は、無線通信の利用位置を示す位置情報を前記管理装置に送信するとともに、前記異なる複数の通信キャリアのうち、無線通信に利用する無線回線の通信キャリアの選択を中央制御サーバ1に要求する。」
「【0046】測定部313は、無線回線の回線状況を測定する。例えば電波強度(つながり易さ)、回線速度、安定度(エラー回数)等を検出して中央制御サーバ1に送信する。」
上記記載から、引用文献3には次の技術が記載されているものと認められる。
「通信システム100は、ネットワークを介して接続するユーザ端末3や中央制御サーバ1を有し、中央制御サーバ1は、アプリケーション連携部(通知部)11、地図作成部12、測位部13、選択部14、回線状況データベース15を備えており、アプリケーション連携部11は、ユーザ端末3,4で測定した回線状況情報の受信等を行い、選択部14は、ユーザ端末3から受信した前記位置情報と対応する回線状況情報を通信キャリア毎に求め、当該回線状況情報が所定条件に適合した通信キャリアを選択し、続きを表示(全11行)ユーザ端末3は、演算処理部31、通信部(CCU:Communication Control Unit)34、接続情報記憶部35等を備えたコンピュータであり、CCU34は、異なる複数の通信キャリアの無線回線を用いて通信が可能であり、接続情報記憶部35は、各通信キャリアA~Dが発行したSIMカード等の記憶媒体を複数装着した構成としても良く、演算処理部31は、選択要求部311や切換部312、測定部313、送信制御部314としても機能し、選択要求部311は、前記異なる複数の通信キャリアのうち、無線通信に利用する無線回線の通信キャリアの選択を中央制御サーバ1に要求し、測定部313は、無線回線の回線状況を測定し、電波強度(つながり易さ)、回線速度、安定度(エラー回数)等を検出して中央制御サーバ1に送信すること。」
4 周知技術
上記引用文献2及び引用文献3に記載されているように、通信システムにおいて、各通信キャリアの無線回線を介したユーザ端末と基地局装置との通信状態を判定し、通信状態の良い方の通信キャリアの無線回線を選択することは、周知技術である。
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 「音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報が連続して入力される情報入力部と、」について
引用発明の「車両115」は、本願発明1の「移動体」に相当する。
引用発明の「緯度、経度」及び「速度」は、それぞれ本願発明1の「位置情報」及び「車速情報」に相当する。
引用発明の「イベントメッセージ」は、「緯度、経度、速度、方向、時間、全ての入力部345の状態、走行距離、イベントの理由又は原因、及び他のあらゆる関連情報を有」(【0061】)することから、本願発明1の「音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報」に相当する。
引用発明の「入力部345」は、「トランスポンダ105が載せ置かれたアーティクルの状況に関連する情報を収集する役割を果た」(【0047】)すことから、本願発明1の「音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報が連続して入力される情報入力部」に相当する。
イ 「上記情報入力部に入力された上記運行情報を記憶する記憶部と、」について
引用発明においては、「トランスポンダ105は、履歴報告要素を有することもでき、パケットは、オンボードフラッシュメモリの少なくとも二つのヒストリログの一つに記憶され」(【0089】)ることから、引用発明の「オンボードフラッシュメモリ」は、本願発明1の「上記情報入力部に入力された上記運行情報を記憶する記憶部」に相当する。
ウ 「上記記憶部に記憶された上記運行情報を、第1通信会社の基地局との通信用の第1バンド及び第2通信会社の基地局との通信用の第2バンドにおいてUDP通信により送信可能な第1送信部と、」について
引用発明においては、「トランスポンダ105は、イベント情報をバックエンド制御システムに送信し、」(【0035】)「UDP/IPゲートウェイ151によって、バックエンド制御システム150は、UDPパケットを用いてトランスポンダ105と通信を行うことができる(【0094】)」ことから、トランスポンダ105がイベント情報を送信するための送信部を備えることは明らかである。
また、引用発明においては、「メモリに格納されたあらゆるパケットは、順次送信が開始され」(【0089】)ることから、上記イを踏まえると、引用発明のイベント情報を送信するための送信部は、本願発明1の「上記記憶部に記憶された上記運行情報を、第1通信会社の基地局との通信用の第1バンド及び第2通信会社の基地局との通信用の第2バンドにおいてUDP通信により送信可能な第1送信部」と「上記記憶部に記憶された上記運行情報を、UDP通信により送信可能な第1送信部」である点で共通する。
エ 「上記第1バンドと上記第2バンドとのうち、通信状態の良い方のバンドを選択し、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる制御部と、」について
引用発明においては、本願発明1の「上記第1バンドと上記第2バンドとのうち、通信状態の良い方のバンドを選択し、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる制御部」に対応する構成は特定されていない。
オ 「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部の第1ポートから送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第1送信部の第2ポートから送信する、」について
引用発明においては、本願発明1の「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部の第1ポートから送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第1送信部の第2ポートから送信する、」に対応する構成は特定されていない。
カ 「移動体に搭載される移動体通信装置。」について
引用発明においては、「複数の車両110は、追跡することができる少なくとも一つのトランスポンダ105を有し、車両115の遠隔制御機能を可能に」(【0033】)することから、引用発明の「トランスポンダ105」は、後述する相違点を除いて、本願発明1の「移動体に搭載される移動体通信装置」に相当する。
以上のことから、本願発明1と引用発明とは、
「音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報が連続して入力される情報入力部と、上記情報入力部に入力された上記運行情報を記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された上記運行情報を、UDP通信により送信可能な第1送信部と、を備えた移動体に搭載される移動体通信装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
(相違点1)本願発明1は「第1通信会社の基地局との通信用の第1バンド及び第2通信会社の基地局との通信用の第2バンドにおいて送信可能」であり、「上記第1バンドと上記第2バンドとのうち、通信状態の良い方のバンドを選択し、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる制御部」を備えるのに対し、引用発明はそのような構成が特定されていない点。
(相違点2)本願発明1は「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部の第1ポートから送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第1送信部の第2ポートから送信する」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成が特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、相違点2に係る本願発明1の「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部の第1ポートから送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第1送信部の第2ポートから送信する」という構成は、上記引用文献1-3には記載も示唆もされておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2~6について
本願発明2~6も、本願発明1の「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部の第1ポートから送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第1送信部の第2ポートから送信する」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明7について
(1)対比
本願発明7と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 「音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報が連続して入力される情報入力部と、」について
引用発明の「車両115」は、本願発明7の「移動体」に相当する。
引用発明の「緯度、経度」及び「速度」は、それぞれ本願発明7の「位置情報」及び「車速情報」に相当する。
引用発明の「イベントメッセージ」は、「緯度、経度、速度、方向、時間、全ての入力部345の状態、走行距離、イベントの理由又は原因、及び他のあらゆる関連情報を有」(【0061】)することから、本願発明7の「音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報」に相当する。
引用発明の「入力部345」は、「トランスポンダ105が載せ置かれたアーティクルの状況に関連する情報を収集する役割を果た」(【0047】)すことから、本願発明7の「音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報が連続して入力される情報入力部」に相当する。
イ 「上記情報入力部に入力された上記運行情報を記憶する記憶部と、」について
引用発明においては、「トランスポンダ105は、履歴報告要素を有することもでき、パケットは、オンボードフラッシュメモリの少なくとも二つのヒストリログの一つに記憶され」(【0089】)ることから、引用発明の「オンボードフラッシュメモリ」は、本願発明7の「上記情報入力部に入力された上記運行情報を記憶する記憶部」に相当する。
ウ 「上記記憶部に記憶された上記運行情報を、第1通信会社の基地局との通信用の第1バンド及び第2通信会社の基地局との通信用の第2バンドにおいてUDP通信により送信可能な第1送信部と、」について
引用発明においては、「トランスポンダ105は、イベント情報をバックエンド制御システムに送信し、」(【0035】)「UDP/IPゲートウェイ151によって、バックエンド制御システム150は、UDPパケットを用いてトランスポンダ105と通信を行うことができる(【0094】)」ことから、トランスポンダ105がイベント情報を送信するための送信部を備えることは明らかである。
また、引用発明においては、「メモリに格納されたあらゆるパケットは、順次送信が開始され」(【0089】)ることから、上記イを踏まえると、引用発明のイベント情報を送信するための送信部は、本願発明7の「上記記憶部に記憶された上記運行情報を、第1通信会社の基地局との通信用の第1バンド及び第2通信会社の基地局との通信用の第2バンドにおいてUDP通信により送信可能な第1送信部」と「上記記憶部に記憶された上記運行情報を、UDP通信により送信可能な第1送信部」である点で共通する。
エ 「上記第1バンドと上記第2バンドとのうち、通信状態の良い方のバンドを選択し、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる制御部と、」について
引用発明においては、本願発明7の「上記第1バンドと上記第2バンドとのうち、通信状態の良い方のバンドを選択し、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる制御部」に対応する構成は特定されていない。
オ 「上記記憶部に記憶されたデータをTCP通信を用いて送信可能な第2送信部と、」について
引用発明においては、本願発明7の「上記記憶部に記憶されたデータをTCP通信を用いて送信可能な第2送信部と、」に対応する構成は特定されていない。
カ 「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部を用いて送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第2送信部を用いて送信する、」について
引用発明においては、本願発明7の「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部を用いて送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第2送信部を用いて送信する、」に対応する構成は特定されていない。
キ 「移動体に搭載される移動体通信装置。」について
引用発明においては、「複数の車両110は、追跡することができる少なくとも一つのトランスポンダ105を有し、車両115の遠隔制御機能を可能に」(【0033】)することから、引用発明の「トランスポンダ105」は、後述する相違点を除いて、本願発明7の「移動体に搭載される移動体通信装置」に相当する。
以上のことから、本願発明7と引用発明とは、
「音声以外の情報であって、移動体の位置情報及び車速情報を少なくとも含む運行情報が連続して入力される情報入力部と、上記情報入力部に入力された上記運行情報を記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された上記運行情報を、UDP通信により送信可能な第1送信部と、を備えた移動体に搭載される移動体通信装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。
(相違点)
(相違点3)本願発明7は「第1通信会社の基地局との通信用の第1バンド及び第2通信会社の基地局との通信用の第2バンドにおいて送信可能」であり、「上記第1バンドと上記第2バンドとのうち、通信状態の良い方のバンドを選択し、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部に送信させる制御部」を備えるのに対し、引用発明はそのような構成が特定されていない点。
(相違点4)本願発明7は「上記記憶部に記憶されたデータをTCP通信を用いて送信可能な第2送信部」を備え、「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部を用いて送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第2送信部を用いて送信する、」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成が特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点4について先に検討すると、相違点4に係る本願発明7の「上記記憶部に記憶されたデータをTCP通信を用いて送信可能な第2送信部」を備え、「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部を用いて送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第2送信部を用いて送信する、」という構成は、上記引用文献1-3には記載も示唆もされておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明7は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
4 本願発明8~12について
本願発明8~12も、本願発明7の「上記記憶部に記憶されたデータをTCP通信を用いて送信可能な第2送信部」を備え、「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部を用いて送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第2送信部を用いて送信する、」という構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明7と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定についての判断
令和5年4月25日付けの補正により、補正後の請求項1-6は、「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部の第1ポートから送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第1送信部の第2ポートから送信する」という技術的事項を有し、また、請求項7-12は、「上記記憶部に記憶されたデータをTCP通信を用いて送信可能な第2送信部」を備え、「上記制御部は、上記記憶部に記憶された最新の上記運行情報を上記第1送信部を用いて送信するとともに、通信障害が生じたか否かを判断し、通信障害が生じたと判断したことを条件に、通信障害が生じていた期間に上記記憶部に記憶された上記運行情報を上記第2送信部を用いて送信する、」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、いずれも原査定における引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)、B及びCには記載も示唆もされておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-12は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-007116