特許拒絶査定不服審判
2022-008697
プログラム
- 審判番号
- 2022-008697
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-096282外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年06月07日
- 審決日
- 2023年05月29日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社パインベース
- 【請求人代理人】松田 朋浩
- 【請求人代理人】西木 信夫
- 分類
- P18 .121-WZ (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 96282「プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年11月26日出願公開、特開2020-190954〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年5月22日(優先権主張 令和元年5月15日)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 3月30日付け:拒絶理由通知書
令和3年 6月 3日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 8月12日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和3年10月21日 :意見書の提出
令和4年 3月16日付け:拒絶査定
令和4年 6月 7日 :審判請求書の提出
令和5年 2月14日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和5年 4月11日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
令和5年4月11日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
ディスプレイ、ユーザインタフェース、及びメモリを備えた端末装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
地図を示す地図データを取得する地図データ取得処理と、
移動体が経由する特定地点を示す地点名の入力を受け付ける入力画面を前記ディスプレイに表示する第1表示処理と、
前記ユーザインタフェースを通じて入力された前記地点名を取得する第1取得処理と、
前記特定地点を示すオブジェクトを、前記地図上に配置して前記ディスプレイに表示する第2表示処理と、
前記オブジェクトを前記地図上で移動させる入力を前記ユーザインタフェースを通じて受け付ける第1受付処理と、
前記地図上における前記オブジェクトの移動後の位置を示す位置情報を取得する第2取得処理と、
前記第1取得処理で取得した前記地点名と、前記第2取得処理で取得した前記位置情報とを、前記メモリに記憶されたフォーマットデータが有する入力フィールドに入力して提供データを生成する生成処理と、
前記地図を前記ディスプレイに表示させ、当該地図上における複数の位置の指定の入力を、前記ユーザインタフェースを通じて受け付ける第2受付処理と、
前記受け付けた複数の位置を繋いだ経路を特定する経路特定処理と、
前記経路を地図上に表示する経路表示処理と、
前記経路を示す経路情報を取得する第5取得処理と、を前記コンピュータに実行させ、
前記生成処理は、取得した前記経路情報を、前記フォーマットデータの入力フィールドに入力して前記提供データを生成する処理をさらに含む、プログラム。」
第3 拒絶の理由
令和5年2月14日の当審が通知した拒絶理由のうちの理由3は、次のとおりのものである。
請求項1-10に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献3、4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献3:西沢 明、標準的なバス情報フォーマット作成ツール(西沢ツール) データ入力演習テキスト、[online]、2018年12月21日、[検索日:2021年3月30日]、インターネット<URL:https://www1.n-it-its.jp/act/%E5%88%A5%E6%B7%BB%EF%BC%92%E6%A8%99%E6%BA%96%E7%9A%84%E3%81%AA%E3%83%90%E3%
82%B9%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%88%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%83%84%E3%83%BC%E3%83%AB.pdf>
引用文献4:国土交通省総合政策局公共交通政策部、静的バス情報フォーマット(GTFS-JP)仕様書(第2版)、[online]、2019年3月、1-31ページ、[検索日:2023年1月31日]、インターネット<URL: https://www.mlit.go.jp/common/001283244.pdf>(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献3の記載
引用文献3には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
2ページ「
[図:0001400090000001.jpg]
」
3ページ「
[図:0001400090000002.jpg]
」
4ページ「
[図:0001400090000003.jpg]
」
5ページ「
[図:0001400090000004.jpg]
」
7ページ「
[図:0001400090000005.jpg]
」
8ページ「
[図:0001400090000006.jpg]
」
9ページ「
[図:0001400090000007.jpg]
」
10ページ「
[図:0001400090000008.jpg]
」
11ページ「
[図:0001400090000009.jpg]
」
22ページ「
[図:0001400090000010.jpg]
」
24ページ「
[図:0001400090000011.jpg]
」
25ページ「
[図:0001400090000012.jpg]
」
26ページ「
[図:0001400090000013.jpg]
」
28ページ「
[図:0001400090000014.jpg]
」
29ページ「
[図:0001400090000015.jpg]
」
30ページ「
[図:0001400090000016.jpg]
」
31ページ「
[図:0001400090000017.jpg]
」
32ページ「
[図:0001400090000018.jpg]
」
33ページ「
[図:0001400090000019.jpg]
」
34ページ「
[図:0001400090000020.jpg]
」
35ページ「
[図:0001400090000021.jpg]
」
36ページ「
[図:0001400090000022.jpg]
」
37ページ「
[図:0001400090000023.jpg]
」
39ページ「
[図:0001400090000024.jpg]
」
40ページ「
[図:0001400090000025.jpg]
」
41ページ「
[図:0001400090000026.jpg]
」
42ページ「
[図:0001400090000027.jpg]
」
43ページ「
[図:0001400090000028.jpg]
」
44ページ「
[図:0001400090000029.jpg]
」
ここで、引用文献3に記載されている事項について検討する。
(1)上記2、3ページの記載から、「地理院地図でバス停座標を取得し、ツールファイルの各シートにデータを入力し、ツールファイルでGTFS-JPを出力し、地理院地図で補正データを作成しつつ、経路形状作成ツールでshapes.txtを作成し、GTFS-JPが(一応)完成する、標準的なバス情報フォーマット作成ツール」が記載されていると認められる。
(2)上記24-26、28、29ページの記載から、「地理院地図のサイトを開き、「マーカー(アイコン)を追加」ボタンをクリックすると、マーカーの情報を入力するウィンドウが表示され、「名称」にバス停名を入力し、マーカー(赤丸)を地図上でドラッグして、バス停(標柱)の場所に移動し、バス停の位置でクリックすると、位置が確定し、何か所か入力したら、「確定」をクリックして、入力内容を仮保存し、データを保存するときは、「選択している情報をまとめて保存」ボタンをクリックし、ファイル形式の選択画面が表示されるので、「GeoJSON形式」を選択し、「上記の内容で保存」をクリックすると、パソコンのダウンロードフォルダに、GeoJSONファイルが保存される」ことが記載されていると認められる。
(3)上記31、32ページの記載から、「「標準的バス情報フォーマット作成ツール」(エクセルファイル)を開き、停留所・標柱情報シートを表示させ、「バス停座標を読み込む」をクリックし、保存したGeoJSONファイルを選択し、バス停データのバス停名及び座標(緯度・経度)が停留所・標柱情報シートの「停留所・標柱名称」フィールド、「緯度」フィールド及び「経度」フィールドに入力される」ことが記載されていると認められる。
(4)上記33-34ページの記載から、「経路形状作成ツールでは、標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)のデータに、路線を地図上に表示するための路線形状データ(shapes.txt)を作成して追加することができ、このツールでは、GTFS-JPデータに含まれるバス停(標柱)の位置(座標)、経路、時刻表(当該経路が通るバス停)の情報と、国土地理院が公開している道路の地図データから、路線形状データ(座標を列挙したもの)を作成し、このツールでは、バス停間を最短距離の道路で結んでいる」ことが記載されていると認められる。
(5)上記35-37ページの記載から、「経路形状作成ツールのエクセルファイルを開き、説明ウィンドウの「プログラムを開始する」ボタンをクリックすると、プログラムのウィンドウが開き、本ツールで作成するファイルを保存するフォルダを作成し、PC内に保存してある標準的フォーマット(GTFS-JP)データのstops.txtを指定し、バス停のデータが読み込まれ、東大空間情報科学研究センターのサーバから道路中心線データがダウンロードされ、バス停を道路リンク上に位置付け、リンクデータをバス停で分割し、経路ごとのバス停並びデータを作成し、バス停間の最短距離ルートを求め、shapes.txtを作成して標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)に追加し、shapes.txtを含む標準的フォーマットデータファイル、作成した経路形状データを検証(確認)するための地理院地図で表示するgeojsonファイル並びに経路(route_id)ごとの経路の形状ファイル及びバス停ファイルが作成される」ことが記載されていると認められる。
(6)上記39-42ページの記載から、「地理院地図のサイトを開き、各経路ごとに作成された検証用の経路(route)とバス停(hyochu)のgeojsonファイルを地理院地図のドラッグ&ドロップすると、路線とバス停が表示され、修正したい部分を拡大表示し、地図上にバス停名が表示され、バス停から次のバス停までの間の正しいルートの点を順次クリックし、最後の点は2回クリックし、このとき、道路の中心線上の点をクリックしていき、起点と終点も(バス停の点の上ではなくて)バス停の直近の道路中心線上をクリックし、次のバス停(の直近の道路中心線上)で2回クリックし、入力が済んだら、「確定」をクリックし、「GeoJSON形式」にチェックを入れ、「上記の内容で保存」をクリックすると、PCのダウンロードフォルダにgeojsonファイルが保存される」ことが記載されていると認められる。
(7)上記43ページの記載から、「経路形状作成ツールにおいて、地理院地図で作成したルート修正データを読み込み、ルート修正データを加味してshapes.txtを作成しなおし、shapes.txtを含む標準的フォーマットデータファイル、作成した経路形状データを検証(確認)するための地理院地図で表示するgeojsonファイル並びに経路(route_id)ごとの経路の形状ファイル及びバス停ファイルが作成される」ことが記載されていると認められる。
2 引用発明
上記1からみて、引用文献3には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「地理院地図でバス停座標を取得し、ツールファイルの各シートにデータを入力し、ツールファイルでGTFS-JPを出力し、地理院地図で補正データを作成しつつ、経路形状作成ツールでshapes.txtを作成し、GTFS-JPが(一応)完成する、標準的なバス情報フォーマット作成ツールにおいて、
地理院地図のサイトを開き、「マーカー(アイコン)を追加」ボタンをクリックすると、マーカーの情報を入力するウィンドウが表示され、「名称」にバス停名を入力し、マーカー(赤丸)を地図上でドラッグして、バス停(標柱)の場所に移動し、バス停の位置でクリックすると、位置が確定し、何か所か入力したら、「確定」をクリックして、入力内容を仮保存し、データを保存するときは、「選択している情報をまとめて保存」ボタンをクリックし、ファイル形式の選択画面が表示されるので、「GeoJSON形式」を選択し、「上記の内容で保存」をクリックすると、パソコンのダウンロードフォルダに、GeoJSONファイルが保存され、
「標準的バス情報フォーマット作成ツール」(エクセルファイル)を開き、停留所・標柱情報シートを表示させ、「バス停座標を読み込む」をクリックし、保存したGeoJSONファイルを選択し、バス停データのバス停名及び座標(緯度・経度)が停留所・標柱情報シートの「停留所・標柱名称」フィールド、「緯度」フィールド及び「経度」フィールドに入力され、
経路形状作成ツールでは、標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)のデータに、路線を地図上に表示するための路線形状データ(shapes.txt)を作成して追加することができ、このツールでは、GTFS-JPデータに含まれるバス停(標柱)の位置(座標)、経路、時刻表(当該経路が通るバス停)の情報と、国土地理院が公開している道路の地図データから、路線形状データ(座標を列挙したもの)を作成し、このツールでは、バス停間を最短距離の道路で結んでおり、
経路形状作成ツールのエクセルファイルを開き、説明ウィンドウの「プログラムを開始する」ボタンをクリックすると、プログラムのウィンドウが開き、本ツールで作成するファイルを保存するフォルダを作成し、PC内に保存してある標準的フォーマット(GTFS-JP)データのstops.txtを指定し、バス停のデータが読み込まれ、東大空間情報科学研究センターのサーバから道路中心線データがダウンロードされ、バス停を道路リンク上に位置付け、リンクデータをバス停で分割し、経路ごとのバス停並びデータを作成し、バス停間の最短距離ルートを求め、shapes.txtを作成して標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)に追加し、shapes.txtを含む標準的フォーマットデータファイル、作成した経路形状データを検証(確認)するための地理院地図で表示するgeojsonファイル並びに経路(route_id)ごとの経路の形状ファイル及びバス停ファイルが作成され、
地理院地図のサイトを開き、各経路ごとに作成された検証用の経路(route)とバス停(hyochu)のgeojsonファイルを地理院地図のドラッグ&ドロップすると、路線とバス停が表示され、修正したい部分を拡大表示し、地図上にバス停名が表示され、バス停から次のバス停までの間の正しいルートの点を順次クリックし、最後の点は2回クリックし、このとき、道路の中心線上の点をクリックしていき、起点と終点も(バス停の点の上ではなくて)バス停の直近の道路中心線上をクリックし、次のバス停(の直近の道路中心線上)で2回クリックし、入力が済んだら、「確定」をクリックし、「GeoJSON形式」にチェックを入れ、「上記の内容で保存」をクリックすると、PCのダウンロードフォルダにgeojsonファイルが保存され、
経路形状作成ツールにおいて、地理院地図で作成したルート修正データを読み込み、ルート修正データを加味してshapes.txtを作成しなおし、shapes.txtを含む標準的フォーマットデータファイル、作成した経路形状データを検証(確認)するための地理院地図で表示するgeojsonファイル並びに経路(route_id)ごとの経路の形状ファイル及びバス停ファイルが作成される、
標準的なバス情報フォーマット作成ツール。」
3 引用文献4の記載
引用文献4には、次の事項が記載されている。
23ページ下から1-5行「2-9.描画情報(任意:shapes.txt)
標柱以外の通過ポイントを指定する場合に設定します。描画情報を設定しない場合、標柱間を単純に結んだ線が経路として表示されるため、より正確に運行ルートを表現したい場合に設定します。通常は設定しなくても、経路検索は可能です。」
図表13 描画情報の設定項目(23ページ下部)「
[図:0001400090000030.jpg]
」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
1 引用発明の「パソコン」及び「PC」(以下まとめて「パソコン(PC)」という。)はともに、計算機分野の技術常識に照らすと、本願発明の「ディスプレイ、ユーザインタフェース、及びメモリを備えた端末装置のコンピュータ」に相当する。
2 引用発明において、「地理院地図のサイトを開き、「マーカー(アイコン)を追加」ボタンをクリックすると、マーカーの情報を入力するウィンドウが表示され、「名称」にバス停名を入力し、マーカー(赤丸)を地図上でドラッグして、バス停(標柱)の場所に移動し、バス停の位置でクリックすると、位置が確定し、何か所か入力したら、「確定」をクリックして、入力内容を仮保存し、データを保存するときは、「選択している情報をまとめて保存」ボタンをクリックし、ファイル形式の選択画面が表示されるので、「GeoJSON形式」を選択し、「上記の内容で保存」をクリックすると、パソコンのダウンロードフォルダに、GeoJSONファイルが保存され」る処理及び「地理院地図のサイトを開き、各経路ごとに作成された検証用の経路(route)とバス停(hyochu)のgeojsonファイルを地理院地図のドラッグ&ドロップすると、路線とバス停が表示され、修正したい部分を拡大表示し、地図上にバス停名が表示され、バス停から次のバス停までの間の正しいルートの点を順次クリックし、最後の点は2回クリックし、このとき、道路の中心線上の点をクリックしていき、起点と終点も(バス停の点の上ではなくて)バス停の直近の道路中心線上をクリックし、次のバス停(の直近の道路中心線上)で2回クリックし、入力が済んだら、「確定」をクリックし、「GeoJSON形式」にチェックを入れ、「上記の内容で保存」をクリックすると、PCのダウンロードフォルダにgeojsonファイルが保存され」る処理は、計算機分野の技術常識に照らすと、「パソコン(PC)」によって実行される、いわゆる「ブラウザ」というプログラムで実行され、その実行の際に、地図を示す地図データを取得していることは明らかである。したがって、本願発明と引用発明は、「地図を示す地図データを取得する地図データ取得処理」を「コンピュータに実行させ」る点で一致する。
3 引用発明の「バス」は、本願発明の「移動体」に相当する。また、引用発明の「バス停」は、バスが経由する特定地点であるといえるから、本願発明の「移動体が経由する」「特定地点」に相当するといえる。さらに、引用発明の「バス停名」は、バス停を示す地点の名称であるから、本願発明の「移動体が経由する特定地点を示す」「地点名」に相当するといえる。加えて、引用発明において、「地理院地図のサイトを開き、「マーカー(アイコン)を追加」ボタンをクリックすると、マーカーの情報を入力するウィンドウが表示され、「名称」にバス停名を入力」することから、バス停名の入力を受け付ける入力画面をパソコン(PC)のディスプレイに表示する処理を実行していることは明らかである。したがって、上記1を踏まえると、本願発明と引用発明は、「移動体が経由する特定地点を示す地点名の入力を受け付ける入力画面を前記ディスプレイに表示する第1表示処理」を「コンピュータに実行させ」る点で一致する。
4 引用発明において、「地理院地図のサイトを開き、「マーカー(アイコン)を追加」ボタンをクリックすると、マーカーの情報を入力するウィンドウが表示され、「名称」にバス停名を入力し、マーカー(赤丸)を地図上でドラッグして、バス停(標柱)の場所に移動し、バス停の位置でクリックすると、位置が確定し、何か所か入力したら、「確定」をクリックして、入力内容を仮保存し、データを保存するときは、「選択している情報をまとめて保存」ボタンをクリックし、ファイル形式の選択画面が表示されるので、「GeoJSON形式」を選択し、「上記の内容で保存」をクリックすると、パソコンのダウンロードフォルダに、GeoJSONファイルが保存され」、「「標準的バス情報フォーマット作成ツール」(エクセルファイル)を開き、停留所・標柱情報シートを表示させ、「バス停座標を読み込む」をクリックし、保存したGeoJSONファイルを選択し、バス停データのバス停名」「が停留所・標柱情報シートの「停留所・標柱名称」フィールド」「に入力され」ることから、パソコン(PC)のユーザインタフェースを通じて入力されたバス停名を取得する処理を実行していることは明らかである。したがって、上記1、3を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記ユーザインタフェースを通じて入力された前記地点名を取得する第1取得処理」を「コンピュータに実行させ」る点で一致する。
5 引用発明の「マーカー(赤丸)」は、「地理院地図のサイトを開き、「マーカー(アイコン)を追加」ボタンをクリックすると、マーカーの情報を入力するウィンドウが表示され、「名称」にバス停名を入力し、マーカー(赤丸)を地図上でドラッグして、バス停(標柱)の場所に移動」することから、バス停の地点を示すオブジェクトであることは明らかである。したがって、引用発明の「マーカー(赤丸)」は、本願発明の「前記特定地点を示すオブジェクト」に相当する。また、引用発明において、「マーカー(赤丸)を地図上でドラッグして、バス停(標柱)の場所に移動」することから、マーカー(赤丸)を地図上に配置してパソコン(PC)のディスプレイに表示する処理を実行していることも明らかである。よって、上記1、3を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記特定地点を示すオブジェクトを、前記地図上に配置して前記ディスプレイに表示する第2表示処理」を「コンピュータに実行させ」る点で一致する。
6 引用発明の「座標(緯度・経度)」は、本願発明の「位置情報」に相当する。また、引用発明において、「地理院地図のサイトを開き、「マーカー(アイコン)を追加」ボタンをクリックすると、マーカーの情報を入力するウィンドウが表示され、「名称」にバス停名を入力し、マーカー(赤丸)を地図上でドラッグして、バス停(標柱)の場所に移動し、バス停の位置でクリックすると、位置が確定し、何か所か入力したら、「確定」をクリックして、入力内容を仮保存し、データを保存するときは、「選択している情報をまとめて保存」ボタンをクリックし、ファイル形式の選択画面が表示されるので、「GeoJSON形式」を選択し、「上記の内容で保存」をクリックすると、パソコンのダウンロードフォルダに、GeoJSONファイルが保存され」、「「標準的バス情報フォーマット作成ツール」(エクセルファイル)を開き、停留所・標柱情報シートを表示させ、「バス停座標を読み込む」をクリックし、保存したGeoJSONファイルを選択し、バス停データの」「座標(緯度・経度)が停留所・標柱情報シートの」「「緯度」フィールド及び「経度」フィールドに入力され」ることから、地図上におけるマーカー(赤丸)をドラッグして移動させる入力をパソコン(PC)のユーザインタフェースを通じて受け付け、移動した後の位置を示す座標を取得する処理を実行していることは明らかである。したがって、上記4、5を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記オブジェクトを前記地図上で移動させる入力を前記ユーザインタフェースを通じて受け付ける第1受付処理」と、「前記地図上における前記オブジェクトの移動後の位置を示す位置情報を取得する第2取得処理」とを「コンピュータに実行させ」る点で一致する。
7 引用発明の「停留所・標柱情報シート」は、計算機分野の技術常識に照らすと、パソコン(PC)のメモリに記憶されていることは明らかである。また、引用発明の「停留所・標柱情報シート」は、フォーマットされたデータであるといえるから、本願発明の「前記メモリに記憶された」「フォーマットデータ」に相当する。さらに、引用発明の「「停留所・標柱名称」フィールド、「緯度」フィールド及び「経度」フィールド」は、停留所・標柱情報シートが有しているものであり、本願発明の「入力フィールド」に相当する。加えて、引用発明の「作成」は、本願発明の「生成」に相当する。したがって、引用発明の「地理院地図のサイトを開き、「マーカー(アイコン)を追加」ボタンをクリックすると、マーカーの情報を入力するウィンドウが表示され、「名称」にバス停名を入力し、マーカー(赤丸)を地図上でドラッグして、バス停(標柱)の場所に移動し、バス停の位置でクリックすると、位置が確定し、何か所か入力したら、「確定」をクリックして、入力内容を仮保存し、データを保存するときは、「選択している情報をまとめて保存」ボタンをクリックし、ファイル形式の選択画面が表示されるので、「GeoJSON形式」を選択し、「上記の内容で保存」をクリックすると、パソコンのダウンロードフォルダに、GeoJSONファイルが保存され」、「「標準的バス情報フォーマット作成ツール」(エクセルファイル)を開き、停留所・標柱情報シートを表示させ、「バス停座標を読み込む」をクリックし、保存したGeoJSONファイルを選択し、バス停データのバス停名及び座標(緯度・経度)が停留所・標柱情報シートの「停留所・標柱名称」フィールド、「緯度」フィールド及び「経度」フィールドに入力され」、「標準的フォーマットデータファイル」「が作成され」ることは、上記4、6を踏まえると、本願発明の「前記第1取得処理で取得した前記地点名と、前記第2取得処理で取得した前記位置情報とを、前記メモリに記憶されたフォーマットデータが有する入力フィールドに入力して提供データを生成する生成処理」を「コンピュータに実行させ」る構成と「前記第1取得処理で取得した前記地点名と、前記第2取得処理で取得した前記位置情報とを、前記メモリに記憶されたフォーマットデータが有する入力フィールドに入力して」「データを生成する生成処理」を「コンピュータに実行させ」る点で共通する。
8 引用発明の「地理院地図のサイトを開き、各経路ごとに作成された検証用の経路(route)とバス停(hyochu)のgeojsonファイルを地理院地図のドラッグ&ドロップすると、路線とバス停が表示され、修正したい部分を拡大表示し、地図上にバス停名が表示され、バス停から次のバス停までの間の正しいルートの点を順次クリックし、最後の点は2回クリックし、このとき、道路の中心線上の点をクリックしていき、起点と終点も(バス停の点の上ではなくて)バス停の直近の道路中心線上をクリックし、次のバス停(の直近の道路中心線上)で2回クリックし、入力が済んだら、「確定」をクリック」することから、地図をパソコン(PC)のディスプレイに表示させ、当該地図上における複数の正しいルートの位置を指定するクリック入力を、パソコン(PC)のユーザインタフェースを通じて受け付ける処理を実行していることは明らかである。したがって、上記1を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記地図を前記ディスプレイに表示させ、当該地図上における複数の位置の指定の入力を、前記ユーザインタフェースを通じて受け付ける第2受付処理」を「コンピュータに実行させ」る点で一致する。
9 引用発明において、「経路形状作成ツールでは、標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)のデータに、路線を地図上に表示するための路線形状データ(shapes.txt)を作成して追加することができ、このツールでは、GTFS-JPデータに含まれるバス停(標柱)の位置(座標)、経路、時刻表(当該経路が通るバス停)の情報と、国土地理院が公開している道路の地図データから、路線形状データ(座標を列挙したもの)を作成し、このツールでは、バス停間を最短距離の道路で結んでおり」、「地理院地図のサイトを開き、各経路ごとに作成された検証用の経路(route)とバス停(hyochu)のgeojsonファイルを地理院地図のドラッグ&ドロップすると、路線とバス停が表示され、修正したい部分を拡大表示し、地図上にバス停名が表示され、バス停から次のバス停までの間の正しいルートの点を順次クリックし、最後の点は2回クリックし、このとき、道路の中心線上の点をクリックしていき、起点と終点も(バス停の点の上ではなくて)バス停の直近の道路中心線上をクリックし、次のバス停(の直近の道路中心線上)で2回クリックし、入力が済んだら、「確定」をクリックし、「GeoJSON形式」にチェックを入れ、「上記の内容で保存」をクリックすると、PCのダウンロードフォルダにgeojsonファイルが保存され」、「経路形状作成ツールにおいて、地理院地図で作成したルート修正データを読み込み、ルート修正データを加味してshapes.txtを作成しなおし」ていることから、道路の中心線上の点をクリックしていくことで、複数の正しいルートの位置を繋いだ経路を特定する処理によって路線形状データ(shapes.txt)を作成していることと、経路を地図上に表示していることは明らかである。したがって、上記8を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記受け付けた複数の位置を繋いだ経路を特定する経路特定処理」と、「前記経路を地図上に表示する経路表示処理」とを「コンピュータに実行させ」る点で一致する。
10 引用発明の「路線形状データ(shapes.txt)」は、経路を示すものであるといえるから、本願発明の「経路情報」に相当する。また、引用発明の「地理院地図のサイトを開き、各経路ごとに作成された検証用の経路(route)とバス停(hyochu)のgeojsonファイルを地理院地図のドラッグ&ドロップすると、路線とバス停が表示され、修正したい部分を拡大表示し、地図上にバス停名が表示され、バス停から次のバス停までの間の正しいルートの点を順次クリックし、最後の点は2回クリックし、このとき、道路の中心線上の点をクリックしていき、起点と終点も(バス停の点の上ではなくて)バス停の直近の道路中心線上をクリックし、次のバス停(の直近の道路中心線上)で2回クリックし、入力が済んだら、「確定」をクリックし、「GeoJSON形式」にチェックを入れ、「上記の内容で保存」をクリックすると、PCのダウンロードフォルダにgeojsonファイルが保存され」、「経路形状作成ツールにおいて、地理院地図で作成したルート修正データを読み込み、ルート修正データを加味してshapes.txtを作成しなお」すことは、路線形状データ(shapes.txt)を取得する処理をしているといえる。したがって、上記9を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記経路を示す経路情報を取得する第5取得処理」を「コンピュータに実行させ」る点で一致する。
11 引用発明の「経路形状作成ツールにおいて、地理院地図で作成したルート修正データを読み込み、ルート修正データを加味してshapes.txtを作成しなおし、shapes.txtを含む標準的フォーマットデータファイルが作成される」ことは、上記7、10を踏まえると、本願発明の「前記生成処理は、取得した前記経路情報を、前記フォーマットデータの入力フィールドに入力して前記提供データを生成する処理をさらに含む」ことと、「前記生成処理は、取得した前記経路情報を含む前記データを生成する処理をさらに含む」点で共通する。
12 引用発明は、計算機分野の技術常識に照らすと、パソコン(PC)によって実行されるプログラム(エクセル及びブラウザ等)であって、上記1-11において検討した各処理をパソコン(PC)に実行させるプログラムであるといえる。
したがって、本願発明と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「ディスプレイ、ユーザインタフェース、及びメモリを備えた端末装置のコンピュータによって実行されるプログラムであって、
地図を示す地図データを取得する地図データ取得処理と、
移動体が経由する特定地点を示す地点名の入力を受け付ける入力画面を前記ディスプレイに表示する第1表示処理と、
前記ユーザインタフェースを通じて入力された前記地点名を取得する第1取得処理と、
前記特定地点を示すオブジェクトを、前記地図上に配置して前記ディスプレイに表示する第2表示処理と、
前記オブジェクトを前記地図上で移動させる入力を前記ユーザインタフェースを通じて受け付ける第1受付処理と、
前記地図上における前記オブジェクトの移動後の位置を示す位置情報を取得する第2取得処理と、
前記第1取得処理で取得した前記地点名と、前記第2取得処理で取得した前記位置情報とを、前記メモリに記憶されたフォーマットデータが有する入力フィールドに入力してデータを生成する生成処理と、
前記地図を前記ディスプレイに表示させ、当該地図上における複数の位置の指定の入力を、前記ユーザインタフェースを通じて受け付ける第2受付処理と、
前記受け付けた複数の位置を繋いだ経路を特定する経路特定処理と、
前記経路を地図上に表示する経路表示処理と、
前記経路を示す経路情報を取得する第5取得処理と、を前記コンピュータに実行させ、
前記生成処理は、取得した前記経路情報を含む前記データを生成する処理をさらに含む、プログラム。」
(相違点1)
本願発明では、「提供データ」であるのに対し、引用発明では、「標準的フォーマットデータファイル」であるが、「提供」に関するデータであるのか明確に特定されていない点。
(相違点2)
取得した前記経路情報を入力する構成において、本願発明では、「フォーマットデータの入力フィールドに入力」するのに対し、引用発明では、このような構成について特定されていない点。
第6 判断
1 相違点1について
標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)は、当該技術分野の技術常識に照らすと、事業者などへ提出することが前提のものであることは明らかであるから、引用発明の「標準的フォーマットデータファイル」を「提供データ」とすることは、当業者が適宜なし得た程度のことである。
2 相違点2について
例えば、上記第4の3のように、shapes.txtが入力フィールドを有するフォーマットデータであることは、本願優先日前における周知技術にすぎない。したがって、引用発明において、当該周知技術を適用し、相違点2の構成とすることは、当業者が適宜なし得た程度のことである。
3 効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献4に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
4 請求人の主張について
請求人は、令和5年4月11日提出の意見書において
「二 本願発明1の作用効果
・・・(中略)・・・
(3)本願発明1に係るプログラムは、地図データを読み込み、読み込んだ地図データを用いてバス停の位置を示す位置情報やバスの経路を示す経路情報を生成する。
したがって、内部データとして地図データを有する場合に比べ、地図データを最新のものに更新する必要がなく、また、地図データを提供する複数の地図アプリの一つに不具合やトラブルがあっても、他の地図アプリを利用することができる。
・・・(中略)・・・
[2]引用発明の認定について
(1)引用文献3には、エクセルとは別に地理院地図(地図アプリ)をユーザが起動させることについては記載されている。しかし、エクセルが地図データを読み込んで地図を表示させることは引用文献3に記載されていない。
(2)引用文献3には、地理院地図が、ユーザによるアイコンの移動や位置の指定を受け付けて生成したバス停の位置情報及びバスの経路情報を、ユーザが指定したダウンロードフォルダに出力すること、及びエクセルが、ユーザが指定したフォルダに記憶された情報を位置情報及び経路情報として取り込むことが記載されている。しかし、エクセルが、ユーザによるフォルダの指定なしに地理院地図からバス停の位置情報及びバスの経路情報を直接取得することは記載されていない。
(3)引用文献3には、内部データとしての地図データと、地図上でのユーザの指定を受け付けて位置情報を生成するUI(ユーザインタフェース)とを備える地理院地図(地図アプリ)については記載されているが、地理院地図が地図データを他から取り込んで使用することについては何ら記載されていない。
(4)そうすると、審判官は、引用文献3に記載された地理院地図(地図アプリ)が実行する処理と、エクセル(表計算プログラム)が実行する処理と、ユーザによるフォルダの指定という処理が、あたかも1つのプログラム(ツール)により実行されるものと認定し、しかも、これに他から地図データを取り込む機能をも追加して、引用発明を認定したものと考える。
換言すれば、引用発明では、地図アプリとエクセルとの2つのプログラムに分かれており、そのために「地図アプリの起動操作」及び「フォルダの指定操作」が必要になるのであるが、審判官は、この二つの操作をエクセルが実行するものとして地図アプリとエクセルとを統合させたうえ、他から地図データを取り込む機能をも根拠なく追加して、引用文献3に開示されていない架空のプログラムを作り上げて引用発明として認定している。
このように引用文献3に記載も示唆もされていない架空のプログラムを作り上げ、作り上げた架空のプログラムを引用発明として認定した審判官の判断に誤りがあることは明らかである。
(5)引用文献3から認定される引用発明は、「ユーザが指定したフォルダに記憶された情報をバスの位置情報及びバスの経路情報として取り込む処理」と、「ユーザの入力操作を受け付けてGTFS-JPの標準的フォーマットデータファイルを生成する処理」と、を実行する「エクセル」である。
[3]相違点について
(1)引用発明の認定に誤りがあるから、当然相違点の認定にも誤りがある。
(2)本願発明1と、正しく認定した引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
本願発明1が、地図を示す地図データを取得する地図データ取得処理を実行するのに対し、引用発明では、エクセルとは別でユーザが地理院地図(地図アプリ)を起動させる。
<相違点2>
本願発明1が、地図上におけるオブジェクトの移動後の位置を示す位置情報を取得する第2取得処理と、地図上における複数の位置の指定の入力を、ユーザインタフェースを通じて受け付ける第2受付処理と、受け付けた複数の位置を繋いだ経路を特定する経路特定処理と、前記経路を示す経路情報を取得する第5取得処理と、を実行するのに対し、引用発明では、ユーザが指定したフォルダに記憶された情報を位置情報及び経路情報として取り込む。
[4]容易想到性
本願発明1の課題は、「オペレータによる提供データの生成の容易化」及び「地図データを提供する地図アプリに不具合が生じた場合の他の地図アプリの利用」である。
かかる課題については引用文献3及び引用文献4に記載されていないし、それを示唆する記載も見当たらない。
本願発明1の課題が存在しない引用文献3あるいは引用文献4に記載された発明に基づいて、かかる課題を解決するために、本願発明1の「地図データ取得処理」、地図上におけるオブジェクトの移動後の位置を示す位置情報を取得する「第2取得処理」、地図上における複数の位置の指定の入力を、ユーザインタフェースを通じて受け付ける「第2受付処理」、受け付けた複数の位置を繋いだ経路を特定する「経路特定処理」、前記経路を示す経路情報を取得する「第5取得処理」を着想することは、決して容易ではない。」と主張する。
以下、上記主張について検討する。
(1)上記「[2]引用発明の認定について」において、「あたかも1つのプログラム(ツール)により実行されるもの」との認定を行っていると主張しているが、引用発明の認定は上記第4の2のとおりであり、請求人が主張するような認定は行っていない。したがって、当該主張は採用できない。
(2)上記「[3]相違点について」において、本願発明は、単一のプログラムであり、引用発明は、複数のプログラムである点が相違点である、という主張がなされていると認められるため、この点についても検討する。
本願発明は、上記第2のとおりであり、単一のプログラムで構成されているとは限定されていないから、当該主張は、請求項1の記載に基づいた主張とは認められない。したがって、当該主張は採用できない。
なお、仮にこの点が相違点であるとしても、複数のプログラムを単一のプログラムとすることは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎないから、引用発明において、標準的バス情報フォーマット作成ツール(エクセルファイル)、経路形状作成ツール(エクセルファイル)及びブラウザ(地理院地図のサイト)という複数のプログラムを単一のプログラムで構成するようにすることは、当業者が適宜なし得た程度のことである。
また、本願明細書【0033】には「プログラム35は、単一のプログラムであってもよいし、複数のモジュールからなるプログラムであってもよい。例えば、プログラム35は、ディスプレイ23に画像を表示させてオペレータの入力を受け付けるUIモジュールと、提供データを生成する本体モジュールと、通信を行う通信モジュールとで構成されていてもよい。」という記載もある点に言及しておく。
(3)上記「[3]相違点について」において、ユーザによる「地図アプリの起動操作」及び「フォルダの指定操作」が相違点である、という主張がなされていると認められるため、この点についても検討する。
本願発明は、上記第2のとおりであり、ユーザの操作なしにコンピュータで自動処理する構成であるとは限定されていないから、上記主張は、請求項1の記載に基づいた主張とは認められない。したがって、当該主張は採用できない。
なお、仮にそれらが相違点であるとしても、コンピュータ技術に関する技術水準を適用して、ユーザが行う操作をコンピュータにより自動的に処理するようにすることは、当業者が日常的なシステム設計手法を用いて行える程度のことであるから、引用発明において、ユーザの操作による処理をコンピュータにより自動的に処理するようにすることは、当業者が適宜なし得た程度のことである。
(4)上記「[4]容易想到性」において、引用文献3には「オペレータによる提供データの生成の容易化」という課題が存在しない旨の主張がなされているが、GUIを利用して、表示画面を見ながら誰でも簡単に入力操作を行えるようにすることは、コンピュータ技術の分野に共通な一般課題であるから、引用発明も同様の課題を有しているといえる。したがって、当該主張は採用できない。
(5)上記「[4]容易想到性」において、本願発明の課題として、「地図データを提供する地図アプリに不具合が生じた場合の他の地図アプリの利用」を挙げ、また、上記「二 本願発明1の作用効果」(3)において、「内部データとして地図データを有する場合に比べ、地図データを最新のものに更新する必要がなく、また、地図データを提供する複数の地図アプリの一つに不具合やトラブルがあっても、他の地図アプリを利用することができる」という作用効果を主張しているが、本願発明は、上記第2のとおりであり、地図データをどこから取得するのか限定されておらず、また、地図データを提供する地図アプリに不具合が生じた場合に他の地図アプリを利用する具体的構成も記載されていない。さらに、当該課題及び作用効果は、本願明細書及び図面にも記載されていない。したがって、この点に基づく上記主張は、請求項1の記載に基づいた主張とは認められない。よって、当該主張は採用できない。
(6)上記のとおり、請求人の主張を採用することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献3に記載された発明及び引用文献4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-008697