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特許拒絶査定不服審判

2022-006446

車両の乗員を認証するためのシステムおよび方法

審判番号
2022-006446
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-158042外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年04月27日
審決日
2023年02月21日
公報発行日
2023年03月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-158042「車両の乗員を認証するためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月15日出願公開、特開2021- 60986、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年9月22日の(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年(令和1年)10月7日(以下、「優先日」という。) 米国)の出願であって、その手続の経緯は次のとおりである。 令和3年 9月30日付け :拒絶理由通知書 令和3年12月 1日 :意見書の提出 令和4年 1月25日付け :拒絶査定(原査定) 令和4年 4月27日 :審判請求書、手続補正の提出 令和4年 9月22日付け :拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)書 令和4年11月23日 :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和4年1月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-19に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2012-203428号公報 B.国際公開第2015/189967号 C.特開2011-215942号公報 D.特開2004-276783号公報 E.特開2017-220094号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 (理由1)進歩性 本願請求項1-11に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2012-203428号公報(原査定時の引用文献A) 2.特開2003―132023号公報 3.特開2003-91509号公報 (理由2)明確性 この出願は、特許請求の範囲の記載が以下1、2の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 1 請求項1に「少なくとも顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別(以下、「顔情報による識別」という)と、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別(以下、「音声情報による識別」という)とを実行し」(以下、「記載1」という)、また、「複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び/又は音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別する」(以下、「記載2」という)と記載されている。 記載2では「顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び/又は音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づいて」とあり、顔情報と音声情報のいずれか一方だけの識別結果に基づいて層別する態様も含まれるが、そのような態様の技術的意義が、本願明細書及び図面の記載を参酌しても、また、本願優先日前の技術常識を参酌しても不明であるから、請求項1の記載は不明確である。 また、請求項2-11も、同様の点で不明確である。 2 請求項2に「アプリケーションポリシーには、アプリケーションの機能の重要度が高くなるほど、複数の識別条件を含む、より厳格な乗員の識別条件が定められている」と記載されているが、この「複数の識別条件」は、顔情報による識別と音声情報による識別とからなる2つの識別を指すものなのか、あるいは、上記1で検討したように、請求項1では、顔情報による識別と音声情報による識別とのいずれか一方の識別結果に基づいて層別を行う態様を含むことからすると、顔情報又は音声情報のいずれか一方における識別の条件(例えば、口の動きと網膜に関する条件)を指すとも考えられるが、これらのいずれを指すのかが明確ではないから請求項2の記載は不明確である。 また、請求項3、4、7、8、10、11も同様の点で不明確である。 (理由3)サポート要件 この出願は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 記載2に関しては、段落【0036】、【0038】、【0039】の記載より、「テーブル300」の「値309」を参照することで、アプリケーション機能が有効化できるか無効化できるかを識別(層別)していると理解できる。 しかしながら、「値309」の内容が具体的に記載されておらず、「アプリケーションポリシー」が、「顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び/又は音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別する」ように構成されていること、特に、記載2は、「顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果」のみに基づいて層別すること、「音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果」のみに基づいて層別すること、さらに、「顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果」と「音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果」の両方に基づいて層別することを含むが、これらをどのように実現しているのか明細書に記載されているとはいえない。 したがって、請求項1の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 また、請求項2-11も、同様の点で、発明の詳細な説明に記載されたものではない。 さらに、請求項6-8の「モバイルデバイスを利用した乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別する」点も、同様に発明の詳細な説明に記載されたものではない。 第4 本願発明 本願請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、令和4年11月23日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 乗員の少なくとも顔情報及び音声情報を利用して乗員から乗員情報を取得するように構成された1つ以上のセンサと、 1つ以上のセンサと通信するコントローラと、を備え、 コントローラは、 少なくとも顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別と、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別とを実行し、 複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別するように構成され、 顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づく、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能との層別は周期的に実行される、車両内システム。 【請求項2】 アプリケーションポリシーには、アプリケーションの機能の重要度が高くなるほど、複数の識別条件を含む、より厳格な乗員の識別条件が定められている、請求項1に記載のシステム。 【請求項3】 顔情報は、乗員に関連する口の動きデータを含む、請求項1又は2に記載のシステム。 【請求項4】 システムは、さらに、モバイルデバイスと通信する無線トランシーバを備え、 コントローラは、さらに、少なくともモバイルデバイスを利用して乗員を識別するように構成される、請求項1に記載のシステム。 【請求項5】 1人以上の乗員の少なくとも顔情報及び音声情報を利用して、1人以上の乗員から乗員情報を取得するように構成された1つ以上のセンサと、 モバイルデバイスと通信する無線トランシーバと、 1つ以上のセンサおよび無線トランシーバと通信するコントローラと、を備え、 コントローラは、 少なくとも顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別と、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別と、モバイルデバイスを利用した乗員の識別とを実行し、 複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果、及びモバイルデバイスを利用した乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別するように構成され、 顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づく、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能との層別は周期的に実行される、車両内システム。 【請求項6】 アプリケーションポリシーには、アプリケーションの機能の重要度が高くなるほど、複数の識別条件を含む、より厳格な乗員の識別条件が定められている、請求項5に記載のシステム。 【請求項7】 少なくとも車両内のカメラおよびマイクロフォンを利用して、乗員から顔情報および音声情報を取得すること、 コントローラが、少なくとも顔情報および音声情報を利用して乗員を識別すること、 コントローラが、複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、顔情報を利用した乗員の識別結果及び音声情報を利用した乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別すること、を備え、 顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づく、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能との層別は周期的に実行される、車両内の方法。 【請求項8】 アプリケーションポリシーには、アプリケーションの機能の重要度が高くなるほど、複数の識別条件を含む、より厳格な乗員の識別条件が定められている、請求項7に記載の方法。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について ア 引用文献1の記載事項 引用文献1(原査定時の引用文献A)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。) A 「【0038】 以下、本発明にかかる認証システム及び認証方法を具体化した一実施の形態について図1~図8を参照して説明する。なお、本実施の形態の認証システム及び認証方法は、複数のユーザに共有される自動車に搭載される車両用情報端末の諸機能の利用権限や、同車両用情報端末を介して提供される車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションの利用権限の認証に用いられるものである。 【0039】 図1に示すように、本実施の形態の認証システム及び認証方法では、上記車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションなどの利用権限を示すアカウント情報等を管理するアカウント管理サーバ100が用いられる。また、本実施の形態の認証システム及び認証方法では、アカウント管理サーバ100との無線通信機能を有する携帯電話機やスマートフォン等によって構成される携帯情報端末200が用いられる。また併せて、本実施の形態の認証システム及び認証方法では、自動車Cに搭載されて車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーション等の各種サービスの利用に供される利用機器を構成する車両用情報端末300が用いられる。 【0040】 このうち、アカウント管理サーバ100は、サービスの利用権限を示すライセンス情報と同サービスの利用ユーザ毎に固有の識別情報とが各々関連付けされて登録されるユーザアカウント管理テーブル110を有している。ここで、図2及び図3にユーザアカウント管理テーブル110に登録される情報の一例を示す。」 B 「【0042】 また、各ライセンス情報ls1~lsNには、同ライセンス情報ls1~lsNを有する利用ユーザ毎に固有の識別情報Ifaが関連付けられている。本実施の形態では、この識別情報Ifaは、各種サービスの利用ユーザ名もしくは利用ユーザIDと、当該ユーザの他の固有の情報である固有情報Ifa1とが関連付けされた情報として生成される。利用ユーザの固有情報Ifa1としては、例えば、同ユーザと実体の所有関係を有する所有物に関する情報等が用いられる。すなわち、利用ユーザの固有情報Ifa1としては、同ユーザが所有する携帯電話機や音楽再生機器等の各種機器に予め規定されている固有ID、同ユーザが所有する運転免許証やクレジットカードに付された運転免許証番号やクレジットカード番号等に関する情報が登録されている。またこの他、利用ユーザの固有情報Ifa1としては、個人を識別可能なコンテンツや同コンテンツの構成情報、さらには利用ユーザの指紋情報をはじめとする生体情報が登録されている。なお、利用ユーザIDとしては、例えば利用ユーザ毎に個別に付与される所定数の英数字等が用いられる。 ・・・中略・・・ 【0045】 このように本実施の形態では、自動車C(車両用情報端末300)や携帯情報端末200の利用ユーザ毎に、アカウント情報Acと該アカウント情報Acに対応する認証情報Psとが関連付けられる。これにより、アカウント管理サーバ100では、例えば携帯電話機の固有IDに基づき、同固有IDに関連付けられている同携帯電話機のユーザと同ユーザに与えられているアカウント情報Acとを特定することができるようになっている。またこれにより、アカウント管理サーバ100では、利用ユーザに割り当てられた車両用情報端末300の諸機能の利用レベルが特定可能とされている。また併せて、本実施の形態では、こうしたアカウント情報Acが関連付けられる利用ユーザ毎に、課金済みの車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションのライセンス情報ls1~lsNの各々が関連付けられる。なお、本実施の形態のアカウント情報Acには、同アカウント情報Acの利用ユーザに関連付けられているライセンス情報lsを示す情報も含まれる。これにより、本実施の形態では、アカウント情報Acを参照するだけで、各利用ユーザの車両用コンテンツデータや車両用アプリケーションの利用の可否権限の有無を把握することが可能となっている。」 C 「【0076】 以下、本実施の形態の認証システム及び認証方法の作用を図7及び図8を参照して総括する。 図7に示すように、例えば自動車Cのアクセサリーポジション(ACC)がオフ状態からオン状態に切り替わることによって車両用情報端末300が起動すると、まずステップS300において、ユーザが所有する携帯情報端末200の認証アプリケーションが起動される。これにより、同ユーザの固有情報Ifa1が携帯情報端末200からアカウント管理サーバ100へと無線送信される。 【0077】 次いで、アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致する固有情報Ifa1が、ユーザアカウント管理テーブル110に存在するか否かが判定される。そして、こうした固有情報Ifa1の照合を通じて、固有情報Ifa1を送信してきたユーザが識別される(ステップS301)。また、アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致した固有情報Ifa1に関連付けられている認証情報Ps及びアカウント情報Acがユーザアカウント管理テーブル110から抽出される(ステップS302)。そして、これら抽出された認証情報Ps及びアカウント情報Acは、アカウント管理サーバ100から上記固有情報Ifa1の送信元となる携帯情報端末200に配信される。なお、こうした認証情報Ps及びアカウント情報Acの配信は、車両用情報端末300を共有する各ユーザが所有する各携帯情報端末200から固有情報Ifa1が送信される都度、各固有情報Ifa1の送信元となる携帯情報端末200の各々に対して行われる。 【0078】 次いで、携帯情報端末200は、アカウント管理サーバ100から配信された認証情報Ps及びアカウント情報Acを受信すると、この受信した認証情報Psを、同認証情報Psとともに受信したアカウント情報Acに対応付けて画像表示部250に可視表示する。そして、この画像表示部250に可視表示された認証情報Psは、携帯情報端末200のユーザによって車両用情報端末300の入力装置320に入力される。 【0079】 車両用情報端末300では、認証情報Psが入力されると、アカウント管理サーバ100との通信状態が判定される(ステップS303)。車両用情報端末300は、アカウント管理サーバ100との通信が可能であると判定すると、同アカウント管理サーバ100にユーザのアカウント認証を依頼する(ステップS304)。すなわち、車両用情報端末300は、入力装置320に入力された認証情報Psをアカウント管理サーバ100に送信する。 【0080】 アカウント管理サーバ100は、車両用情報端末300から送信されてきた認証情報Psをもとにユーザアカウント管理テーブル110を参照することによって、利用ユーザのアカウントの認証処理を実行する(ステップS305)。次いで、アカウント管理サーバ100は、この認証結果と該当するアカウント情報Acとを、アカウント管理サーバ100から車両用情報端末300に返信する。 【0081】 そして、車両用情報端末300は、アカウント管理サーバ100から配信された認証結果と該当するアカウント情報Acとに基づいて、ユーザが要求してきたアカウントでのログインを許可する(ステップS306)。また、車両用情報端末300は、こうした認証処理に用いられたアカウント情報Ac及び認証情報Psをストレージ領域310に保存する(ステップS307)。そして、車両用情報端末300は、ログインを許可したアカウントに認められている利用権限に応じて、同車両用情報端末300の諸機能や車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションの利用を許可する。」 D 「【図1】 [図:0001394978000001.jpg] 」 E 「【図2】 [図:0001394978000002.jpg] 」 F 「【図7】 [図:0001394978000003.jpg] 」 イ 引用発明 A 上記アAの段落【0038】、図1(上記アD)によれば引用文献1には、“複数のユーザに共有される自動車Cに搭載される車両用情報端末300の諸機能の利用権限や、同車両用情報端末300を介して提供される車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションの利用権限の認証に用いられる認証システム”が記載されている。 B 上記アAの段落【0039】、図1(上記アD)には、“認証システムは、上記車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションなどの利用権限を示すアカウント情報等を管理するアカウント管理サーバ100と、アカウント管理サーバ100との無線通信機能を有する携帯電話機やスマートフォン等によって構成される携帯情報端末200と、自動車Cに搭載されて車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーション等の各種サービスの利用に供される利用機器を構成する車両用情報端末300とを用いるものであ”ることが記載されている。 C 上記アAの段落【0040】には、“アカウント管理サーバ100は、サービスの利用権限を示すライセンス情報と同サービスの利用ユーザ毎に固有の識別情報とが各々関連付けされて登録されるユーザアカウント管理テーブル110を有するものであ”ることが記載されている。 D 上記アCの段落【0076】、図7(上記アF)には、“自動車Cのアクセサリーポジション(ACC)がオフ状態からオン状態に切り替わることによって車両用情報端末300が起動すると、まずステップS300において、ユーザが所有する携帯情報端末200の認証アプリケーションを起動し、これにより、同ユーザの固有情報Ifa1が携帯情報端末200からアカウント管理サーバ100へと無線送信され”ることが記載されている。 E 上記アCの段落【0077】、図7(上記アF)には、“次いで、アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致する固有情報Ifa1が、ユーザアカウント管理テーブル110に存在するか否を判定し、そして、こうした固有情報Ifa1の照合を通じて、固有情報Ifa1を送信してきたユーザを識別し(ステップS301)、また、アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致した固有情報Ifa1に関連付けられている認証情報Ps及びアカウント情報Acがユーザアカウント管理テーブル110から抽出し(ステップS302)、そして、これら抽出された認証情報Ps及びアカウント情報Acは、アカウント管理サーバ100から上記固有情報Ifa1の送信元となる携帯情報端末200に配信”することが記載されている。 F 上記アCの段落【0078】、図7(上記アF)には、“次いで、携帯情報端末200は、アカウント管理サーバ100から配信された認証情報Ps及びアカウント情報Acを受信すると、この受信した認証情報Psを、同認証情報Psとともに受信したアカウント情報Acに対応付けて画像表示部250に可視表示し、そして、この画像表示部250に可視表示された認証情報Psは、携帯情報端末200のユーザによって車両用情報端末300の入力装置320に入力”することが記載されている。 G 上記アCの段落【0079】、図7(上記アF)には、“車両用情報端末300では、認証情報Psが入力されると、アカウント管理サーバ100との通信状態が判定し(ステップS303)、車両用情報端末300は、アカウント管理サーバ100との通信が可能であると判定すると、車両用情報端末300は、入力装置320に入力された認証情報Psをアカウント管理サーバ100に送信することで、同アカウント管理サーバ100にユーザのアカウント認証を依頼(ステップS304)” することが記載されている。 H 上記アCの段落【0080】、図7(上記アF)には、“アカウント管理サーバ100は、車両用情報端末300から送信されてきた認証情報Psをもとにユーザアカウント管理テーブル110を参照することによって、利用ユーザのアカウントの認証処理を実行し(ステップS305)、次いで、アカウント管理サーバ100は、この認証結果と該当するアカウント情報Acとを、アカウント管理サーバ100から車両用情報端末300に返信” することが記載されている。 I 上記アCの段落【0081】、図7(上記アF)には、“そして、車両用情報端末300は、アカウント管理サーバ100から配信された認証結果と該当するアカウント情報Acとに基づいて、ユーザが要求してきたアカウントでのログインを許可し(ステップS306)、また、車両用情報端末300は、こうした認証処理に用いられたアカウント情報Ac及び認証情報Psをストレージ領域310に保存し(ステップS307)、そして、車両用情報端末300は、ログインを許可したアカウントに認められている利用権限に応じて、同車両用情報端末300の諸機能や車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションの利用を許可する”ものであることが記載されている。 J 上記アBの段落【0042】には、“利用ユーザの固有情報Ifa1としては、同ユーザが所有する携帯電話機や音楽再生機器等の各種機器に予め規定されている固有ID、同ユーザが所有する運転免許証やクレジットカードに付された運転免許証番号やクレジットカード番号等に関する情報、個人を識別可能なコンテンツや同コンテンツの構成情報、さらには利用ユーザの指紋情報をはじめとする生体情報であ”ることが記載されている。 K 上記アBの段落【0045】には、“アカウント情報Acには、同アカウント情報Acの利用ユーザに関連付けられているライセンス情報lsを示す情報も含まれ、これにより、本実施の形態では、アカウント情報Acを参照するだけで、各利用ユーザの車両用コンテンツデータや車両用アプリケーションの利用の可否権限の有無を把握することが可能となっている”ことが記載されている。 L 上記AないしKの記載内容からすると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「複数のユーザに共有される自動車Cに搭載される車両用情報端末300の諸機能の利用権限や、同車両用情報端末300を介して提供される車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションの利用権限の認証に用いられる認証システムであって、 認証システムは、上記車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションなどの利用権限を示すアカウント情報等を管理するアカウント管理サーバ100と、アカウント管理サーバ100との無線通信機能を有する携帯電話機やスマートフォン等によって構成される携帯情報端末200と、自動車Cに搭載されて車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーション等の各種サービスの利用に供される利用機器を構成する車両用情報端末300とを用いるものであって、 アカウント管理サーバ100は、サービスの利用権限を示すライセンス情報と同サービスの利用ユーザ毎に固有の識別情報とが各々関連付けされて登録されるユーザアカウント管理テーブル110を有するものであって、 自動車Cのアクセサリーポジション(ACC)がオフ状態からオン状態に切り替わることによって車両用情報端末300が起動すると、まずステップS300において、ユーザが所有する携帯情報端末200の認証アプリケーションを起動し、これにより、同ユーザの固有情報Ifa1が携帯情報端末200からアカウント管理サーバ100へと無線送信され、 次いで、アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致する固有情報Ifa1が、ユーザアカウント管理テーブル110に存在するか否を判定し、そして、こうした固有情報Ifa1の照合を通じて、固有情報Ifa1を送信してきたユーザを識別し(ステップS301)、また、アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致した固有情報Ifa1に関連付けられている認証情報Ps及びアカウント情報Acがユーザアカウント管理テーブル110から抽出し(ステップS302)、そして、これら抽出された認証情報Ps及びアカウント情報Acは、アカウント管理サーバ100から上記固有情報Ifa1の送信元となる携帯情報端末200に配信し、 次いで、携帯情報端末200は、アカウント管理サーバ100から配信された認証情報Ps及びアカウント情報Acを受信すると、この受信した認証情報Psを、同認証情報Psとともに受信したアカウント情報Acに対応付けて画像表示部250に可視表示し、そして、この画像表示部250に可視表示された認証情報Psは、携帯情報端末200のユーザによって車両用情報端末300の入力装置320に入力し、 車両用情報端末300では、認証情報Psが入力されると、アカウント管理サーバ100との通信状態が判定し(ステップS303)、車両用情報端末300は、アカウント管理サーバ100との通信が可能であると判定すると、車両用情報端末300は、入力装置320に入力された認証情報Psをアカウント管理サーバ100に送信することで、同アカウント管理サーバ100にユーザのアカウント認証を依頼し(ステップS304)、 アカウント管理サーバ100は、車両用情報端末300から送信されてきた認証情報Psをもとにユーザアカウント管理テーブル110を参照することによって、利用ユーザのアカウントの認証処理を実行し(ステップS305)、次いで、アカウント管理サーバ100は、この認証結果と該当するアカウント情報Acとを、アカウント管理サーバ100から車両用情報端末300に返信し、 そして、車両用情報端末300は、アカウント管理サーバ100から配信された認証結果と該当するアカウント情報Acとに基づいて、ユーザが要求してきたアカウントでのログインを許可し(ステップS306)、また、車両用情報端末300は、こうした認証処理に用いられたアカウント情報Ac及び認証情報Psをストレージ領域310に保存し(ステップS307)、そして、車両用情報端末300は、ログインを許可したアカウントに認められている利用権限に応じて、同車両用情報端末300の諸機能や車両用コンテンツデータ及び車両用アプリケーションの利用を許可するものであって、 利用ユーザの固有情報Ifa1としては、同ユーザが所有する携帯電話機や音楽再生機器等の各種機器に予め規定されている固有ID、同ユーザが所有する運転免許証やクレジットカードに付された運転免許証番号やクレジットカード番号 等に関する情報、個人を識別可能なコンテンツや同コンテンツの構成情報、さらには利用ユーザの指紋情報をはじめとする生体情報であって、 アカウント情報Acには、同アカウント情報Acの利用ユーザに関連付けられているライセンス情報lsを示す情報も含まれ、これにより、本実施の形態では、アカウント情報Acを参照するだけで、各利用ユーザの車両用コンテンツデータや車両用アプリケーションの利用の可否権限の有無を把握することが可能となっている、 認証システム。」 2 引用文献2について 引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている。 A 「【0022】また、このような暗証番号やパスワード、ICカードなど、知識や物を持っていることを確認することにより認証するものとは別に、声紋や指紋などの生体情報を測定することで認証するものも存在する。ここでは、1つの単語を発声させる認証方式(「声紋(1語)」)には認証レベル1が設定され、5つの単語またはこれらを含む文章を発声させる認証方式(「声紋(5語)」)には認証レベル3が設定されている。また、指紋を入力して8カ所のサンプリングを行う認証方式(「指紋(特徴点数8カ所)」)には認証レベル2が設定され、指紋を入力して16カ所のサンプリングを行う認証方式(「指紋(特徴点数16カ所)」)には認証レベル4が設定されている。同様に、顔の静止画像を入力する認証方式(「顔静止画像」)には認証レベル2が設定され、所定の単語を発声させた際の顔の動画像を入力する認証方式(「顔動画像(単語発話)」)には認証レベル4が設定されている。さらに、目の虹彩を入力する認証方式(「虹彩」)には認証レベル6が設定されている。 【0023】そして、この個人認証装置3は、認証判定プログラム321が、この認証評価データ324を用いて、認証プログラム322により実行された複数の認証処理の総合的な評価値を算出し、認証成立の有無を判定する点を特徴としている。たとえば、認証成立の条件として要求される認証レベル値が5であって、利用者が6桁の暗証番号を入力するとともに5つの単語を発声し、この入力に基づく2つの認証が成功した場合に、認証判定プログラム321は、各々の認証レベル値を足し合わせて総合的な認証レベル値を6とし、この認証を成立と判定する。ちなみに、この2つの認証方式は、双方とも、単独では認証成立の条件を満たさないものであり(認証レベル値3)、従来のように、いずれか一方のみで認証を成立させてしまうと、その認証精度を著しく低下させる。 【0024】次に、図4を参照して、この個人認証装置3における認証処理時の動作手順を説明する。図4は、この個人認証装置3における認証処理時の動作手順を示すフローチャートである。 【0025】認証処理を実行する時、この個人認証装置3では、まず、認証判定プログラム321が、端末装置2から認証成立の条件とする認証レベル値を受信する(ステップA1)。次に、利用者が選択した認証方式に対応する認証プログラム322が、センサユニット31から受け取ったデータと個人特徴データ323とに基づいた認証処理をそれぞれ実行する(ステップA2)。 【0026】また、認証判定プログラム321は、これらの認証方式の総合的な認証レベル値を認証評価データ324に基づいて算出し(ステップA3)、この算出した総合的な認証レベル値が端末装置2から受信した認証レベル値を越えているかどうかを判定する(ステップA4)。 【0027】そして、この算出した総合的な認証レベル値が端末装置2から受信した認証レベル値を越えている場合(ステップA4のYES)、認証判定プログラム321は、端末装置2に対して認証成立を通知し(ステップA5)、一方、越えていない場合(ステップA4のNO)、端末装置2に対して認証不成立を通知する(ステップA6)。 【0028】このように、この個人認証装置3は、種々の認証方式に対応した複数の認証プログラム322を備えることにより、たとえば指紋による認証など、所定の認証方式では認証誤りを発生させ易いユーザを救済し、同時に、認証判定プログラム321が、複数の認証方式の総合的な認証レベル値を算出して認証成立の有無を判定することにより、端末装置2が要求する認証精度を確実に保証する。」 B 「【0034】なお、この認識判定プログラム321による選択結果は、必ずしもユーザに意識させる必要はない。すなわち、ユーザには所定の手順に沿った動作を行わせて一通りのデータを取得し、これらのデータの取捨や取り扱い方法をその都度個人認証装置3内で制御すればよい。たとえば、ユーザには常時何らかの単語を発声させることとし、ある時はその声紋から認証を行い、ある時はその顔動画像から認証を行う等、種々の方法が可能である。」 C 「【図3】 [図:0001394978000004.jpg] 」 3 引用文献3について 引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている。 A 「【0018】図1は本発明における携帯電話でのセキュリティレベル設定の一例で、携帯電話の機能により重要度のレベルは1~3まであり、数字が大きいほど要求されるセキュリティレベルは高くなる。レベル1の認証は、使い勝手が優先されるため、指を置くだけですむ指紋認証を使用する。レベル2の認証は、ある程度のセキュリティを必要とするため、指紋認証と暗証番号入力の2つとし、両方認証されなければならない。レベル3での認証は、セキュリティ重視のため、指紋認証を2回(異なる2本の指)と暗証番号入力で、合計3回の認証を必要とする。携帯電話で認証を必要とする機能全部については、これら3つのセキュリティレベルのうち一つを割り当てる。なお、本実施例ではセキュリティレベルを3つとしたが、4つ以上でも良く、その場合の認証は、指紋認証回数あるいは暗証番号入力回数(暗証番号を複数記憶する)を増やせば良い。」 B 「【図1】 [図:0001394978000005.jpg] 」 4 引用文献B-Eについて ア 引用文献Bの記載事項 引用文献Bには、図面とともに、次の事項が記載されている。 A 「[0039] 図4は、本実施例の携帯端末1のアプリの許可動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、携帯端末1により本人認証を行い、ユーザの状態を確認し、ユーザの状態に応じて起動するアプリケーションを限定する処理を示したものである。 まず、静的な生体情報を検出して本人認証を行う。静的生体情報取得部1110にて静的生体情報を取得し、予め登録された静的生体情報1031との比較を本人認証部1011にて行い、同一であるか否かで本人認証を行う(S401)。例えば、静的な生体情報である指紋を検出して本人認証を行い、登録された指紋と同一であると判定した場合は、ロック制御部1013にて携帯端末1のロックを解除し(S402)、アプリ起動部1014は許可レベル1のアプリケーションの起動を許可する(S403)。 [0040] 許可レベル1のアプリケーションは、例えば時計アプリ、ウェブブラウザ、地図アプリ、カメラアプリ、天気予報アプリ、音楽アプリ、計算機アプリ、辞書アプリ、ゲームアプリ、ナビゲーションアプリ等、本人の情報に関わりがなく、本人以外の使用に特に問題がないアプリである。なお、アプリ毎の許可レベルは予め許可レベルテーブル1034に登録しておく。 [0041] この時の、携帯端末1の画面の表示例を図5Aに示す。時計アプリ、ウェブブラウザ、地図アプリ、計算機アプリ、辞書アプリは、許可レベル1のアプリケーションとしているため起動可能であり、その他のアプリはアイコンの色が異なり、起動不能であることを示している。 [0042] なお、本人認証は指紋認証の他、静脈認証、顔認証、虹彩認証、網膜認証など別の生体認証で行ってもよく、例えば携帯端末1を手首等へ装着する場合に、装着部の静脈認証により本人認証を行うようにすれば、他人が装着して本人になりすますことを防ぐことができる。あるいはパスコードを入力してロックを解除してもよく、指の軌跡によりパターンロックを解除してもよい。 [0043] 一般に、指紋認証、静脈認証、顔認証、虹彩認証、網膜認証などの静的な生体情報の取得時間は、パスコードの入力時間と差がなく、許可レベル1のアプリケーションが起動可能になるまでの時間は、数秒程度である。 [0044] 次に、動的な生体情報を検出してユーザの状態を判定する。動的生体情報取得部1120にて動的生体情報を取得し、予め登録された動的生体情報1032との比較を状態判定部1012にて行い、ユーザの状態を判定する(S404)。 [0045] 例えば、動的生体情報である心拍数、血圧、体温を平常状態にて測定し、動的生体情報1032として登録しておき、動的生体情報取得部1120にて心拍数、血圧、体温を測定し、心拍数、血圧、体温が平常状態の下限値以下の場合は、睡眠状態と判定する。また、例えば心拍数、血圧が平常状態の上限値以上の場合は、ストレス状態と判定し、睡眠状態でもストレス状態でもない状態を平常状態と判定する。」 B 「[0113] 睡眠状態検出のログがある場合は、ステップS1432に進み、図15のようなパスコード入力要求画面を表示し、ステップS1433において、操作デバイス104や音声入力デバイス141等のユーザインタフェース1040から入力された生体情報以外の情報であるパスコードが、予め設定されたパスコードと一致した場合のみ、ステップS1402に進む。なお、パスコードではなく、指の軌跡によりパターンロックを解除してもよい。」 イ 引用文献Cの記載事項 引用文献Cには、図面とともに、次の事項が記載されている。 A 「【0010】 上記課題を解決するため、本発明におけるユーザ認証装置は、登録ユーザの顔データと複数のフレーズを記憶する記憶部と、ユーザから認証の要求があったときに、前記記憶部に記憶された複数のフレーズから1つのフレーズをランダムに選択し、当該選択されたフレーズを表示装置に出力するフレーズ選択部と、前記ユーザを撮像した撮像データを用いて前記ユーザの口の動きを解析し、前記ユーザが前記フレーズを発声しているのかどうかを判定する口の動き解析部と、前記ユーザが発声した音声の音声データを用いて前記ユーザの発声した音声を解析し、前記ユーザが前記フレーズを発声しているのかどうかを判定する音声認識部と、前記撮像データを用いて前記記憶部に記憶された前記登録ユーザの顔データのうちに前記ユーザの顔データが存在するのかを判定する顔認証部と、前記口の動き解析部と、前記音声認識部と、前記顔認証部の判定結果に基づいてユーザ認証を行うユーザ認証部と、を有することを特徴とする。」 ウ 引用文献Dの記載事項 引用文献Dには、図面とともに、次の事項が記載されている。 A 「【0012】 (作用) 請求項1又は2に記載の発明によれば、前記照合手段により照合が一旦一致とされた後、車両用ドアの閉状態から開状態への切り替わりが判断されるまでの間で、所定期間及び所定走行距離の少なくとも一方の経過ごとに、画像が再取得されて該画像と予め登録されている顔画像とが照合(再照合)される。すなわち、車両に乗員が入場し、乗員の入れ替えが想定し得ない状態(車両用ドアが閉状態から開状態に切り替わらない状態)において照合(再照合)される。従って、この照合において再取得された画像が前記照合手段により照合が一旦一致とされたときの顔画像と異なると判断されたとき、不自然な乗員の入れ替えとして異常を判断しうる。」 エ 引用文献Eの記載事項 引用文献Eには、図面とともに、次の事項が記載されている。 A 「【0030】 これに対して、車室内カメラ2により撮影した顔画像(例えば1分ないし数分程度の時間、設定時間間隔で連続的に撮影した顔画像)から取得した心拍数のデータが、図7(a)に示すように変化したとする。図5、図6、図7(a)を比較すると、心拍数が所定の閾値Aを越えている部分が存在するのは、図5と図7(a)であることから、図5と図7(a)は一致していると判定する。 【0031】 また、車室内カメラ2により撮影した顔画像に基づいて取得された運転者3の感情判定の情報を、ウエアラブル機器4、6から取得した心拍数の情報と比較する場合には、次のようにして比較する。まず、車室内カメラ2により撮影した顔画像(例えば1分ないし数分程度の時間、設定時間(例えば1秒、2秒または3秒等程度の時間)間隔で連続的に撮影した顔画像)から取得した感情判定のデータが、図7(b)に示すように変化したとする。この場合、図7(b)において、「Calm」と「Anger」との境界をB1とし、「Anger」と「Calm」との境界をB2とする。また、車室内カメラ2により撮影した顔画像に基づいて取得された運転者3の心拍数の変化を示す図7(a)において、心拍数のグラフと閾値Aの交点をC1、C2とすると、B1がC1にほぼ一致し、B2がC2にほぼ一致する関係がある。従って、図5、図6、図7(b)を比較すると、心拍数が所定の閾値Aを越えている部分、即ち、感情判定として「Anger」の部分が存在するのは、図5と図7(b)であることから、図5と図7(b)は一致していると判定する。 【0032】 さて、上記ステップS130において、生体情報が一致するウエアラブル機器4があったときには(YES)、ステップS140へ進み、車載装置7の制御部17は、上記生体情報が一致したウエアラブル機器4を、運転者3のウエアラブル機器4として特定する。続いて、ステップS150へ進み、車載装置7の制御部17は、上記特定したウエアラブル機器4と運転者3とを紐付ける処理を実行する。この場合、車室内カメラ2により撮影した顔画像の中の前記した複数の特徴点を解析し、解析した複数の特徴点の各形状や位置のデータを、運転者3のパーソナルデータとして、記憶部16内に記憶する。そして、上記運転者3のパーソナルデータに、上記特定したウエアラブル機器4の識別IDのデータを紐付けて(即ち、対応付けて)記憶部16内に登録する。」 第6 当審拒絶理由についての判断 1 理由1(進歩性)について (1)本願発明1について ア 対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「ユーザ」は、本願発明1の「乗員」に相当する。 そして、引用発明の「認証システム」は「自動車Cのアクセサリーポジション(ACC)がオフ状態からオン状態に切り替わることによって車両用情報端末300が起動すると、まずステップS300において、ユーザが所有する携帯情報端末200の認証アプリケーションが起動され、これにより、同ユーザの固有情報Ifa1が携帯情報端末200からアカウント管理サーバ100へと無線送信され」るものであって、「固有情報Ifa1」としては、「利用ユーザの指紋情報をはじめとする生体情報」が含まれるものであり、また、通常、生体情報は何らかのセンサによって取得されるものであるから、引用発明の「認証システム」の「携帯情報端末200」は、乗員の少なくとも生体情報を利用して乗員から乗員情報を取得するように構成されたセンサを備えているといえる。 そして、本願発明1の「顔情報及び音声情報」は、いわゆる生体情報である。 してみると、引用発明の「認証システム」が備えるセンサと、本願発明1の「乗員の少なくとも顔情報及び音声情報を利用して乗員から乗員情報を取得するように構成された1つ以上のセンサ」とは、後記の点では相違するものの、“乗員の少なくとも生体情報を利用して乗員から乗員情報を取得するように構成された1つ以上のセンサ”の点では共通する。 (イ)引用発明の「認証システム」は、「携帯情報端末200」、「アカウント管理サーバ100」、「車両用情報端末300」から構成されるものであって、各々に、各々の制御を行ういわゆるコントラーラを有していることは明らかであって、また、各々のコントラーラを総称して「認証システム」のコントローラといい得るものである。さらに、上記アで検討した、「携帯情報端末200」の「指紋情報」を取得するセンサは、当然、「携帯情報端末200」のコントラーラと通信しているものと認められる。 してみると、引用発明の「認証システム」が備えるコントローラは、本願発明1の「1つ以上のセンサと通信するコントローラ」に相当する。 (ウ)引用発明は「自動車Cのアクセサリーポジション(ACC)がオフ状態からオン状態に切り替わることによって車両用情報端末300が起動すると、まずステップS300において、ユーザが所有する携帯情報端末200の認証アプリケーションが起動され、これにより、同ユーザの固有情報Ifa1が携帯情報端末200からアカウント管理サーバ100へと無線送信され、」「次いで、アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致する固有情報Ifa1が、ユーザアカウント管理テーブル110に存在するか否かが判定され、そして、こうした固有情報Ifa1の照合を通じて、固有情報Ifa1を送信してきたユーザを識別(ステップS301)」するものであって、上記(ア)の点も踏まえると、生体情報(指紋情報)を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別を実行しているものといえる。 また、この識別を、上記(イ)で検討した、「認証システム」が備えるコントローラで行っていることは明らかである。 したがって、引用発明の「認証システム」が備えるコントローラによる生体情報(指紋情報)を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別を実行することと、本願発明1の「コントローラは、少なくとも顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別と、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別とを実行」することは、後記の点で相違するものの、“コントローラは、生体情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別を実行する”ことの点では共通する。 (エ)引用発明は「アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致した固有情報Ifa1に関連付けられている認証情報Ps及びアカウント情報Acがユーザアカウント管理テーブル110から抽出」するものであるから、「ユーザアカウント管理テーブル110」の「アカウント情報Ac」と「ユーザ」の識別条件とを関連付けを定義したものといえる。 さらに、引用発明の「アカウント情報Ac」は、「同アカウント情報Acの利用ユーザに関連付けられているライセンス情報lsを示す情報も含まれ、これにより、アカウント情報Acを参照するだけで、各利用ユーザの車両用コンテンツデータや車両用アプリケーションの利用の可否権限の有無を把握することが可能とな」るものであるから、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致した固有情報Ifa1に関連付けられている認証情報Ps及びアカウント情報Acがユーザアカウント管理テーブル110から抽出」することは、車両用アプリケーションの実行を許可するユーザの識別条件との関連付けを定義する「ユーザアカウント管理テーブル110」を参照して、生体情報を利用して取得した乗員情報に基づくユーザの識別結果に基づいて、有効化するアプリケーションと無効化するアプリケーションとを層別することと認められる。また、アプリケーションが有効化または無効化されれば、当然、そのアプリケーションの機能も有効化または無効化されるものである。 そして、引用発明の「アカウント管理サーバ100では、携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致した固有情報Ifa1に関連付けられている認証情報Ps及びアカウント情報Acがユーザアカウント管理テーブル110から抽出」することを、上記(イ)で検討した、「認証システム」のコントローラで行っていることは明らかである。 してみると、引用発明の「ユーザアカウント管理テーブル110」は、本願発明1の「アプリケーションポリシー」に相当し、引用発明の「認証システム」のコントローラが「携帯情報端末200から送信された固有情報Ifa1と一致した固有情報Ifa1に関連付けられている認証情報Ps及びアカウント情報Acがユーザアカウント管理テーブル110から抽出」することと、本願発明1の「コントローラは、」「複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別する」とは、後記の点で相違するものの、“コントローラは、複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、生体情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別する”点では共通する。 (オ)引用発明の「認証システム」は、上記(ア)、(イ)を踏まえると、本願発明1の「センサ」、「コントローラ」に相当する構成を有するものであるから、本願発明1の「車両内システム」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点と相違点とがある。 〈一致点〉 「乗員の少なくとも生体情報を利用して乗員から乗員情報を取得するように構成された1つ以上のセンサと、 1つ以上のセンサと通信するコントローラと、を備え、 コントローラは、 生体情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別を実行し、 複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、生体情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別するように構成される車両内システム。」 〈相違点1〉「生体情報」が、本願発明1では、「顔情報及び音声情報」であって、「乗員の識別」が「少なくとも顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別と、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別」であるのに対して、引用発明では、「指紋情報」であって、「乗員の識別」が「指紋情報」を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別である点。 〈相違点2〉 本願発明1が、「顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果」に基づいて層別するのに対して、引用発明では、「指紋情報」のみに基づいて層別する点。 〈相違点3〉 本願発明1では、「顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づく、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能との層別は周期的に実行される」ものであるのに対して、引用発明では、その旨の特定がされていない点。 イ 相違点についての判断 相違点1ないし相違点3は、「顔情報」と「音声情報」の両方を利用した処理である点において連関するのでまとめて判断する。 相違点1ないし相違点3に係る本願発明1の技術的事項は、「顔情報」と「音声情報」の両方を利用して乗員を識別し、その識別結果に基づいて有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別すると共に、当該層別を周期的に行う、というものと認められる。 一方、引用文献1ないし3には、相違点1ないし相違点3に係る本願発明1の上記技術的事項は、記載されておらず、また、当該技術的事項が本願の優先日前に周知の技術であったとも認められない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1ないし3に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (2)本願発明2ないし4について 本願発明2ないし4は、本願発明1を更に限定したものであるので、同様に、当業者であっても引用文献1ないし3に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本願発明5について 本願発明5は、概ね、本願発明1の「車両内システム」が、さらに、「モバイルデバイス」を備え、「顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別と、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別」に加え、「モバイルデバイスを利用した乗員の識別」を実行し、また、アプリケーション機能とを層別が、「顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果、」に加え、「モバイルデバイスを利用した乗員の識別結果」に基づくとしたものであって、相違点1ないし3に係る本願発明1の上記技術的事項に対応する事項を備えているから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1ないし3に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本願発明6について 本願発明6は、本願発明5を更に限定したものであるので、同様に、当業者であっても引用文献1ないし3に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)本願発明7について 本願発明7は、本願発明1の「車両内システム」を、「方法」の観点から記載したものに過ぎず、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1ないし3に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 (6)本願発明8について 本願発明8は、本願発明7を更に限定したものであるので、同様に、当業者であっても引用文献1ないし3に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 理由2(明確性)、及び理由3(サポート要件)について 本件補正後の請求項1ないし4、7、8では、「複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果及び音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別する」と補正され、また、請求項5、6では、「複数のアプリケーション機能と、それら複数のアプリケーション機能の実行を許可する乗員の識別条件との関連付けを定義するアプリケーションポリシーを参照して、顔情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果、音声情報を利用して取得した乗員情報に基づく乗員の識別結果、及びモバイルデバイスを利用した乗員の識別結果に基づいて、有効化するアプリケーション機能と無効化するアプリケーション機能とを層別する」と補正された結果、当審拒絶理由の理由2(明確性)及び理由3(サポート要件)はいずれも解消した。 第7 原査定についての判断 本件補正後の請求項1ないし8に係る発明は、本件補正により相違点1ないし相違点3に係る本願発明1の上記技術的事項を有するものとなった。 前記技術的事項は、原査定における引用文献A(当審拒絶理由における引用文献1)ないしEには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし8は、当業者であっても、原査定における引用文献AないしEに記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-006446

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