商標拒絶査定不服審判
2022-005745
カラアゲトリイチ、トリイチ
- 審判番号
- 2022-005745
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-098111
- 請求日
- 2022年04月17日
- 審決日
- 2023年05月09日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社串style
- 【請求人代理人】宇都宮 将之
- 審判長/審判官
- 審判長 豊瀬 京太郎
- 審判官 板谷 玲子
- 審判官 須田 亮一
- 分類
- T18 .261-WY (W29) / T18 .262-WY (W29) / T18 .263-WY (W29)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020- 98111拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願商標は,登録すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は,令和2年8月6日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年3月16日 :手続補正書の提出
令和3年6月2日付け :拒絶理由通知書
令和3年7月12日 :意見書,手続補正書の提出
令和4年1月11日付け:拒絶査定
令和4年4月17日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,登録出願され,その後,指定商品については,上記1の手続補正書により,最終的に,第29類「唐揚げ用の肉製品,鶏肉の唐揚げ」と補正されたものである。
3 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第5455934号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成23年6月27日に登録出願,第29類「魚の西京漬け,ちりめんじゃこ」を含む第29類ないし第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同年12月9日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。
4 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,「からあげ」の平仮名と「とりいち」の平仮名(以下,これらをまとめて「本願文字部分」という。)を手書き風の書体で上下二段に横書きし,「ち」の文字の右側に,ひよこをモチーフとしたとおぼしき図形と鶏をモチーフとしたとおぼしき図形(以下,これらをまとめて「本願図形部分」という。)を横に並べて配してなる結合商標である。
そして,「からあげ」の文字は,「(唐揚げとも書く。)小魚・鶏肉などを,衣をつけずに,あるいは小麦粉・片栗粉などを軽くまぶして油で揚げること。また,その揚げたもの。」の意味を有する「空揚げ」の語(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)を平仮名表記したものと容易に認識できるものであり,また,「とりいち」の文字は辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識されるものである。また,本願図形部分は,特定の意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないから,特定の称呼及び観念は生じないものである。
そうすると,本願文字部分と本願図形部分は,視覚上明確に分離して看取され得るものであることに加え,観念的に関連性を有しているものではないし,一連一体となって何らかの称呼が生じるともいえないものであるから,本願文字部分と本願図形部分のそれぞれが独立して商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
そこで,本願文字部分についてみると,上記のとおり認識させる「からあげ」の文字は,本願の指定商品との関係において商品の用途又は商品そのものを示す語である一方,「とりいち」の文字は,上記のとおり,特定の意味合いを認識させることのない一種の造語として認識されるものであって,本願の指定商品との関係において,商品の品質等を表す語として一般に使用されている語ではないことから,当該文字部分が,商品の出所識別標識として取引者,需要者に対して強く支配的な印象を与えるものといえる。
そうすると,本願文字部分の構成中,「とりいち」の文字部分が,商品の出所識別標識として,取引者,需要者に対して強く支配的な印象を与える部分であるといえ,本願商標から「とりいち」の文字部分を要部として抽出し(以下,「とりいち」の文字部分を「本願要部」という。),この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきである。
したがって,本願商標は,本願文字部分全体の構成文字に相応して生じる「カラアゲトリイチ」の称呼のほかに,本願要部の構成文字に相応して,「トリイチ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は,別掲2のとおり,「とり市老舗」の平仮名及び漢字を筆書き風の書体で横書きしてなるところ,その構成文字はいずれも同書,同大,等間隔にまとまりよく表されており,外観上一体的に看取されるものである。
そして,引用商標の構成全体から生じる「トリイチロウホ」及び「トリイチシニセ」の称呼は,冗長ではなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。
また,引用商標の構成中,「老舗」の文字は,「代々つづいた商店。」等の意味を有する語(前掲書)であるものの,これと「とり市」の文字が結合してなる「とり市老舗」の文字としては,辞書等に掲載のないものであって,全体として,特定の意味合いを生じることのない一種の造語として認識されるものである。
以上からすると,引用商標の上記構成及び称呼においては,殊更に「とり市」の文字部分のみに着目し,これのみをもって取引に資されるというよりは,むしろ,引用商標の構成文字全体を一体不可分のものとして認識し,把握されるとみるのが相当である。また,他に引用商標の構成中の「とり市」の文字のみが,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。
そうすると,引用商標は,その構成文字全体に相応した一連の称呼のみを生じるものと判断するのが相当である。
したがって,引用商標は,その構成文字に相応して「トリイチロウホ」及び「トリイチシニセ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標の類否
まず,本願要部と引用商標とを比較すると,外観においては,両者は語尾における「老舗」の文字の有無という顕著な差異を有することに加え,本願要部が平仮名のみからなるのに対し,引用商標は平仮名と漢字からなるものという差異等があるから,外観上,判然と区別し得るものである。
また,称呼においては,本願要部から生じる「トリイチ」の称呼と,引用商標から生じる「トリイチロウホ」及び「トリイチシニセ」の称呼とを比較すると,前半における「トリイチ」の音を共通にするとしても,後半部における「ロウホ」又は「シニセ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから,それぞれを一連に称呼するときは,称呼において,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念については,本願要部と引用商標は,ともに特定の観念を生じないものであるから,比較することはできない。
そうすると,本願要部と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観において判然と区別することができるものであって,称呼において明瞭に聴別し得るものである。
また,本願商標全体及び本願文字部分全体と引用商標とを比較しても,上記の相違点のほか,本願図形部分の有無や「からあげ」の文字の有無等の明らかな差異を有するから,互いに判然と区別できるものである。
したがって,これらを総合して判断すれば,本願商標と引用商標とは,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから,両商標の指定商品の類否について判断するまでもなく,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。
その他,本願について,拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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