2022-005157
測位システム、測位方法、測位プログラム及び通信端末
- 審判番号
- 2022-005157
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-539381外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年04月06日
- 審決日
- 2023年04月06日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G01S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 15項目
第1 手続の経緯
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本願は、2019年(令和元年)8月22日を国際出願日とする日本語特許出願であって(優先権主張 平成30年8月29日)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
同年11月 5日 :意見書、手続補正書の提出
(同年 2月 1日 :原査定の謄本の送達)
同年 4月 6日 :審判請求書、手続補正書の提出
なお、令和4年12月16日付けで当審において通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、令和5年2月9日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年2月9日に提出された手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】第一周波数帯電波により、セルラー通信用の第一周波数帯基地局を介してセルラー通信を行う通信端末を備える測位システムであって、前記測位システムは、セルラー通信用の第二周波数帯基地局から、前記通信端末のセルラー通信に割り当てられていない第二周波数帯電波を受信する受信部と、三台以上の前記第二周波数帯基地局の各々に係る前記第二周波数帯電波の品質を表す第二周波数帯質情報に基づいて、前記通信端末の位置を表す第二周波数帯位置情報を取得する処理部と、を備え、前記受信部及び前記処理部のうちの少なくとも前記受信部の位置は前記通信端末の内であり、前記受信部は、設定情報に基づいて前記第二周波数帯電波を受信し、前記設定情報は、複数の設定情報の中から、外部から受信した入力情報に基づき選択される、測位システム。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうち、本件補正前の請求項1に係る発明に対する理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
(進歩性の欠如)本件補正前の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において発行された、下記引用文献に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開2003-75164号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3.特開2018-26643号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特表2013-501944号公報
第4 引用文献に記載された発明の認定等
1 引用文献4に記載された事項、引用発明及び技術常識の認定
(1) 引用文献4に記載された事項
当審拒絶理由で引用された前記引用文献4には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したもので、以下同様である。
ア 【0003】、【0007】
「【0003】II.背景1つ又は複数のワイヤレス・セルラ・ネットワーク(例えば、セルラ電話ネットワーク)にアクセスしている移動局の位置測位を実行するため、いくつかのアプローチは、いくつかの個々の基地局と、セルラ電話機のような移動局との間で送信された基地局のタイミング情報の使用に基づいて3辺測量を実行する。CDMAにおけるアドバンスト・フォワード・リンク3辺測量(AFLT(Advanced Forward Link Trilateration))、GSM(登録商標)における強化観測時間差(E-OTD)、又はWCDMAにおける観測到達時間差(OTDOA(Observed Time Difference Of Arrival)と称される1つのアプローチは、移動局でいくつかの個々の基地局から送信された信号の相対到達時間を測定する。これらの時間は、ロケーション・サーバ(例えば、CDMAにおける位置決定エンティティ(PDE(Position Determination Entity)))に転送可能であり、この位置決定エンティティがこれらの受信時刻を使用して移動局の位置を算出する。これらの基地局での送信時刻は、特殊な時点において、複数の基地局と関連付けられた日時が指定されたエラーバウンドの範囲内にあるように調整される。基地局の正確な位置と、受信時刻とは、移動局の位置を決定するために使用される。」
「【0007】上記方法のさらに別の変形形態では、基地局101から移動局111へ送信され、次に返送される信号に対し、ラウンド・トリップ遅延(RTD(round trip delay))が(例えば、基地局101によって)見つけられる。同様の代替的な方法では、移動局111から基地局101へ送信され、次に返送される信号に対し、ラウンド・トリップ遅延が(例えば、移動局111によって)見つけられる。個々のこれらのラウンド・トリップ遅延は、一方向伝搬遅延の推定値を決定するために2分割される。基地局101のロケーション、及び一方向遅延の情報は、移動局111のロケーションを地上の円に制約する。別個の基地局101からのこのような2個の測定値は、その結果、2つの円の交点を生じ、この交点は、次に、ロケーションを地上の2点に制約する。第3の測定量は(到達角又はセルセクタ識別表示でも)曖昧性を解消する。」
イ 【0031】~【0035】、【図3】
「【0031】図3は、本発明の一実施形態による移動局111を表現するブロック図を示す。移動局111は、通信送受信機305をGPS受信機321と組み合わせる。通信送受信機305は、基地局101からの基地局信号を処理する。GPS受信機321は、GPS衛星303から生成されたGPS信号を処理する。セルラ基地局などの一部の基地局101は、セルラ基地局通信リンク350を介してセルラ基地局信号を供給する。例えば、ワイヤレスLANアクセスポイント(AP)、フェムトセルなどの他の基地局101は、アクセスポイント通信リンク360を介してアクセスポイント基地局信号を提供する。通信アンテナ311は、様々なタイプの基地局101(例えば、セルラ基地局及びワイヤレスLANアクセスポイント)から信号を受信するために使用される。通信送受信機305は、異なったエアー・インターフェースの信号を受信するために分離した、かつ、別個のアンテナを使用することがある。さらに、通信送受信機305は、受信ワイヤレス信号の少なくとも部分的な処理のために分離した、別個のコンポーネントを使用することがあり、異なったエアー・インターフェースのワイヤレス信号の処理に一部のコンポーネントを共有してもよく、又は共有しなくてもよい。例えば、通信送受信機305は、RF信号処理のための分離した回路を有し、同じデータプロセッサ資源を共有することがある。この記述から、組み合わされた受信機の様々な組み合わせ及び変形形態が当業者に理解できるであろう。【0032】…(中略)…【0033】本発明の一実施形態では、通信送受信機305は、(例えば、セルラ基地局通信リンク350又はアクセスポイント通信リンク360を経由する)通信のためのある一定数の異なるエアー・インターフェース(例えば、IEEE802.11、Bluetooth、UWB、TD-SCDMA、iDEN、HDR、TDMA、GSM、CDMA、W-CDMA、UMTS、LTE、WiMAX、又は他の類似するネットワーク)と共に使用される能力をもつ。本発明の一実施形態では、通信送受信機305は、通信のための1つのエアー・インターフェースと共に使用される能力をもち、また、他のエアー・インターフェースを用いて信号を受信するために使用される能力をもつ。本発明の一実施形態では、通信送受信機305は、通信のための一方のエアー・インターフェースと共に使用される能力をもち、同時に、タイミングインジケータ(例えば、タイミングフレーム又はシステム時刻)を抽出するために、又は、移動局111の局部発振器を校正するために他方のエアー・インターフェースにおいて信号と共に使用される能力をもつ。タイミングインジケータを抽出するか、又は局部発振器を校正する移動局111に関するより詳細については、米国特許第5874914号明細書及び米国特許第5945944号明細書に見出されることがある。【0034】移動局111の一実施形態では、GPS受信機321によって生成されたロケーションデータは、セルラ基地局通信リンク350を介して、又はアクセスポイント通信リンク360を介してサーバへ送信される。ロケーション・サーバ115は、その後、移動局111からのロケーションデータと、ロケーションデータが測定された時刻と、GPS受信機321、又は暦データのようなデータの他のソースから受信された暦データとに基づいて移動局111のロケーションを決定する。ロケーションデータは、その後、移動局111内の通信受信機332、又は他の遠隔ロケーションへ返送することができる。セルラ基地局通信リンク350を利用する携帯受信機に関するより詳細は、米国特許第5874914号明細書において見出すことができる。【0035】本発明の一実施形態では、移動局111は、データ処理システム(例えば、個人情報端末、又は、携帯型コンピュータ)を含む(又は、データ処理システムに結合されている)。データ処理システムは、マイクロプロセッサ及びメモリ(例えば、ROM、揮発性RAM、及び/又は、不揮発性メモリ)に結合されているバスを含む。バスは、様々なコンポーネントを1つに相互接続し、さらに、これらのコンポーネントを当技術分野でよく知られたディスプレイコントローラ、及びディスプレイ装置、並びに入力/出力(I/O)装置などの周辺装置に相互接続する。バスは、当技術分野でよく知られているような様々なブリッジ、コントローラ、及び/又は、アダプタを介して互いに接続されている1本又は複数のバスを含むことがある。一実施形態では、データ処理システムは、通信ポート(例えば、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)ポート、IEEE-1394バス接続用ポート)を含む。本発明の一実施形態では、移動局111は、メモリと、メモリに記憶されているソフトウェアプログラム命令とを使用して、ワイヤレス・アクセスポイントに関するロケーション情報を抽出し強化するため(例えば、ワイヤレス・アクセスポイントのタイプに応じて)ワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示(例えば、MACアドレス)を記憶する。一実施形態では、移動局111は、通信コネクションが接続されているとき、移動局111のロケーションと、(例えば、コンピュータポート、又はワイヤレス通信リンクを経由した)サーバへの送信用のワイヤレス・アクセスポイントの識別表示とだけを記憶する。」
「【図3】[図:0001397817000001.jpg]」
ウ 【0036】~【0043】、【図4】
「【0036】図4は、ハイブリッド測位システムの一実施例を示す。位置決定のため、移動局111は、第1のワイヤレスネットワーク121の基地局101(例えば、セルラ基地局)、及び/又は、第2のワイヤレスネットワーク122の基地局101(例えば、セルラ基地局)、及び/又は、第3のワイヤレスネットワーク123の基地局101(例えば、アクセスポイント)から信号を受信する(図5)。移動局111は、GPS衛星303からGPS信号を受信するGPS受信機321を含む。同様に、移動局111は、タイミング測定値(timing measurement)を決定するときに、基地局タイミング測定値(例えば、擬似距離、ラウンド・トリップ時間、信号の到達時間、及び/又は、信号の到達時間差)を作成することがあり、これらの基地局タイミング測定値は、GPS信号、及び/又は、第1、第2及び第3のワイヤレスネットワーク121、122、123のうちの1つ又は複数からのワイヤレス信号に基づいている。【0037】タイミング測定値は、移動局111の位置を決定するために使用されることがある。一般に、個々のワイヤレスネットワーク121、122及び123は、ある一定数の基地局101(例えば、セルラ基地局又は無線アクセスポイント)を含み、異なった仕様を用いて動作することがあると理解される。例えば、第1のワイヤレスネットワーク121、及び第2のワイヤレスネットワーク122は、同じタイプであるが、しかし、異なったサービスプロバイダによって運用されているエアー・インターフェースを使用することがある。第1のワイヤレスネットワーク121、及び第2のワイヤレスネットワーク122は、同じ通信プロトコルを用いて、異なる周波数で動作することがある。第1のワイヤレスネットワーク121、及び第2のワイヤレスネットワーク122は、異なったタイプのエアー・インターフェース(例えば、TDMA、GSM、CDMA、W-CDMA、UMTS、LTE、WiMAX、TD-SCDMA、iDEN、HDR、Bluetooth、UWB、IEEE802.11、又は他の類似するネットワーク)を使用する異なるサービスプロバイダにより提供されることがある。代替的に、第1のワイヤレスネットワーク121、及び第2のワイヤレスネットワーク122は、同じサービスプロバイダによって運用されているが、異なったタイプのエアー・インターフェースを使用することがある。続きを表示(全16行)【0038】移動局111は、GPS衛星303からのGPS信号から抽出された情報と、基地局101から抽出された情報とを通信する。GPS信号からの情報は、信号受信の時刻を決定するために比較のため、擬似距離測定値、及び/又は、GPSメッセージの記録を含むことがある。基地局101からの情報は、少なくとも1台の基地局101に対する識別表示、受信信号強度、及び/又は、ラウンド・トリップ又は一方向時間測定値を含むことがある。一部の実施形態では、この情報は、第1のネットワーク121、又は第2のネットワーク122などのワイヤレスネットワークのうちの1つを介して、ロケーション・サーバ115へ通信されている。例えば、情報は、移動局111がアタッチされるか、又は第2のワイヤレスネットワーク122の加入者であるが、第1のワイヤレスネットワーク121の加入者ではないとき、ロケーション・サーバ115へ通信される。【0039】ロケーション・サーバ115は、複数のワイヤレスネットワークのための単独のロケーション・サーバ115として組み合わされることがある。代替的に、ロケーション・サーバ115は、1台のロケーション・サーバ115が個々のワイヤレスネットワークのため存在するように分離されていることがある。例えば、第1の基地局アルマナック・サーバ413は、第1のワイヤレスネットワーク121のためのアルマナックデータを保持し、第2の基地局アルマナック・サーバ413は、第2のワイヤレスネットワーク122のためのアルマナックデータを保持する。代替的に、基地局アルマナック・サーバ413は、第1のワイヤレスネットワーク121と、第2のワイヤレスネットワーク122との両方のためのアルマナックデータを保持することがある。このアルマナックデータは、1つの例証的な実施では、単に、識別表示情報によって指定された個々の基地局101の緯度及び経度を一覧化するデータベースでもよい。【0040】ロケーション・サーバ115は、移動局111の位置を決定するために、移動局111から通信された情報と、一方又は両方のネットワークからのアルマナック内のデータとを使用することがある。ロケーション・サーバ115は、ある一定数の異なった方法で移動局111のロケーションを決定することがある。例えば、ロケーション・サーバ115は、第1のワイヤレスネットワーク121のための第1の基地局アルマナック・サーバ413、及び/又は、第2のワイヤレスネットワーク122のための第2の基地局アルマナック・サーバ413から基地局101のロケーションを取り出すことがある。ロケーション・サーバ115は、移動局111の位置を算出するために、取り出されたロケーションと、距離測定値(移動局111と基地局101との間の距離を指示する)と、GPS擬似距離測定値と、GPS暦情報とを使用することがある。米国特許第5999124号明細書は、単独のワイヤレスネットワークからの距離測定値とGPS擬似距離測定値とが移動局111の推定位置を算出するためにどのように組み合わされるかについて検討している。代替的に、ロケーション・サーバ115は、多数(例えば、4つ以上)の距離測定値を作成できる場合、推定位置を算出するために、複数のワイヤレスネットワークの複数のワイヤレス・アクセスポイントへの地上距離測定値(又は、信号強度測定値などの他のタイプの測定値)だけを使用することがあり、この場合、GPS擬似距離又はGPS暦情報を取得する必要がない。GPS衛星までのGPS擬似距離が利用可能である場合、これらの擬似距離は、推定位置算出に付加的な情報を与えるために、米国特許第6185427号明細書に記載されているように、移動局111又はGPS基準受信機の集合のいずれかによって取得されたGPS暦情報と組み合わせることができる。【0041】バックボーンネットワーク220は、様々なエンティティ間での情報交換のためのローカル・エリア・ネットワークと、1つ又は複数のイントラネットと、インターネットとを含むことがある。ロケーション・サーバ115と、(第1のワイヤレスネットワーク121のための)第1の基地局アルマナック・サーバ413と、(第2のワイヤレスネットワーク122のための)第2の基地局アルマナック・サーバ413とは、単独のサーバプログラムとして、又は単独のデータ処理システム、若しくは(例えば、異なるサービスプロバイダによって保持、運用されている)別個のデータ処理システム内の異なったサーバプログラムとして実施されることがあると理解される。異なるサービスプロバイダが、移動局111によって推定位置決定のために使用される第1のワイヤレスネットワーク121と、第2のワイヤレスネットワーク122とを運用することがある。移動局111は、一方のワイヤレスネットワークだけの加入者であることがあるので、移動局111は、一方のワイヤレスネットワークだけを使用する(そして、アクセスする)権限が与えられていることがある。しかし、加入していないワイヤレスネットワークから信号を受信することが可能であるので、加入していないワイヤレスネットワーク内のワイヤレス・アクセスポイントに関連して距離測定又は信号強度測定を行うことが可能である。【0042】この状況の1つの具体的な実施例は、2つのサービスプロバイダからPCS周波数帯域信号を受信することができるトライモードCDMAセルラ電話機を含む移動局111を伴う。例えば、移動局111は、第1のサービスプロバイダによって運用されている第1のワイヤレスネットワーク121からの信号と、第2のサービスプロバイダによって運用されている第2のワイヤレスネットワーク122からの信号とを受信し処理する能力を有しているが、ユーザは、両方のサービスプロバイダに加入しなければならない。ユーザが第1のサービスプロバイダだけに加入し、第2のサービスプロバイダに加入していない場合、このユーザのための移動局111は、第1のワイヤレスネットワーク121で動作する権限が与えられているが、第2のワイヤレスネットワークで動作する権限が与えられていない。移動局111が、第1のワイヤレスネットワーク121からの唯一の基地局101が利用可能であり、移動局111と無線通信する能力があるが、第2のワイヤレスネットワーク122からの多数の基地局101が移動局111の無線通信範囲内にあるという環境内にある場合、移動局111は、第1のワイヤレスネットワーク121から1台の基地局101を経由してロケーション・サーバ115から(必要に応じて)衛星支援データを取得することがある。移動局111は、移動局111で取得されたGPS擬似距離を第1のワイヤレスネットワーク121からの1台の基地局101を経由してロケーション・サーバ115へ送信することがある。しかし、第2のワイヤレスネットワーク122から1台又は複数の基地局101への距離測定値が取得されない限り、別の基地局101までの2つ以上の距離測定値を取得する可能性がないことになる。したがって、移動局111は、第2のワイヤレスネットワーク122から利用可能な基地局101への距離測定値を取得することになり、それによって、複数の距離測定値(例えば、移動局111と第2のワイヤレスネットワーク122からの2台の基地局101との間の距離)を提供し、これらの複数の距離測定値は、推定位置算出に使用することができる。【0043】サービスプロバイダは、第1のワイヤレスネットワーク121のための第1の基地局アルマナック・サーバ413上のアルマナック情報と、第2のワイヤレスネットワーク122のための第2の基地局アルマナック・サーバ413上のアルマナック情報とを別個に保持することがある。移動局111は、ワイヤレスネットワークのうちの1つだけに通信アクセス権を有しているが、ロケーション・サーバ115は、第1の基地局アルマナック・サーバ413、及び第2の基地局アルマナック・サーバ413の両方にアクセス権を有することがある。第1のワイヤレスネットワーク121、及び第2のワイヤレスネットワーク122の両方の基地局101(例えば、ワイヤレス・アクセスポイント)の識別情報を決定した後、移動局111は、基地局識別表示情報をロケーション・サーバ115へ送信し、このロケーション・サーバ115は、対応する基地局101の位置を取り出すために第1及び第2の基地局アルマナック・サーバ413を使用し、対応する基地局の位置は、移動局111の推定位置を決定するときに使用できる。」
「【図4】[図:0001397817000002.jpg]」
(2) 引用発明の認定
ア 引用文献4の【0036】及び【図4】から、ハイブリッド測位システムが、移動局111、ロケーション・サーバ115、第1の基地局アルマナック・サーバ413、及び、第2の基地局アルマナック・サーバ413を備えていることが読み取れる。
イ 前記(1)イ及びウの記載事項及び前記アの認定事項を総合すると、引用文献4には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
<引用発明>
「移動局111、ロケーション・サーバ115、第1の基地局アルマナック・サーバ413、及び、第2の基地局アルマナック・サーバ413を備えるハイブリッド測位システムであって(前記アの認定事項)、移動局111は、通信送受信機305をGPS受信機321と組み合わせ(【0031】)、通信送受信機305は、(例えば、セルラ基地局通信リンク350又はアクセスポイント通信リンク360を経由する)通信のためのある一定数の異なるエアー・インターフェース(例えば、IEEE802.11、Bluetooth、UWB、TD-SCDMA、iDEN、HDR、TDMA、GSM、CDMA、W-CDMA、UMTS、LTE、WiMAX、又は他の類似するネットワーク)と共に使用される能力をもち(【0033】)、移動局111は、メモリと、メモリに記憶されているソフトウェアプログラム命令とを使用して、ワイヤレス・アクセスポイントに関するロケーション情報を抽出し強化するため(例えば、ワイヤレス・アクセスポイントのタイプに応じて)ワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示(例えば、MACアドレス)を記憶し(【0035】)、続きを表示(全12行)移動局111は、基地局タイミング測定値(例えば、信号の到達時間)を作成し、これらの基地局タイミング測定値は、第1、第2のワイヤレスネットワーク121、122からのワイヤレス信号に基づいており(【0036】)、タイミング測定値は、移動局111の位置を決定するために使用され、個々のワイヤレスネットワーク121、122は、ある一定数のセルラ基地局101を含み、第1のワイヤレスネットワーク121、及び第2のワイヤレスネットワーク122は、異なる周波数で動作し(【0037】)、移動局111は、基地局101から抽出された情報を、第1のネットワーク121、又は第2のネットワーク122などのワイヤレスネットワークのうちの1つを介して、ロケーション・サーバ115へ通信し、基地局101からの情報は、少なくとも1台の基地局101に対する識別表示、受信信号強度、一方向時間測定値を含み(【0038】)、ロケーション・サーバ115は、移動局111の位置を決定するために、移動局111から通信された情報と、一方又は両方のネットワークからのアルマナック内のデータとを使用し、ロケーション・サーバ115は、第1のワイヤレスネットワーク121のための第1の基地局アルマナック・サーバ413、及び、第2のワイヤレスネットワーク122のための第2の基地局アルマナック・サーバ413から基地局101のロケーションを取り出し、移動局111の位置を算出するために、取り出されたロケーションと、距離測定値(移動局111と基地局101との間の距離を指示する)と、GPS擬似距離測定値と、GPS暦情報とを使用し、代替的に、ロケーション・サーバ115は、多数(例えば、4つ以上)の距離測定値を作成できる場合、推定位置を算出するために、複数のワイヤレスネットワークの複数のワイヤレス・アクセスポイントへの地上距離測定値(又は、信号強度測定値などの他のタイプの測定値)だけを使用し、この場合、GPS擬似距離又はGPS暦情報を取得する必要がなく(【0040】)、移動局111は、加入していないワイヤレスネットワークから信号を受信することが可能であるので、加入していないワイヤレスネットワーク内のワイヤレス・アクセスポイントに関連して距離測定又は信号強度測定を行うことが可能であり(【0041】)、移動局111は、2つのサービスプロバイダからPCS周波数帯域信号を受信することができるトライモードCDMAセルラ電話機であり(【0042】)、移動局111は、第1のサービスプロバイダによって運用されている第1のワイヤレスネットワーク121からの信号と、第2のサービスプロバイダによって運用されている第2のワイヤレスネットワーク122からの信号とを受信し処理する能力を有しており、ユーザが第1のサービスプロバイダだけに加入し、第2のサービスプロバイダに加入していない場合、このユーザのための移動局111は、第1のワイヤレスネットワーク121で動作する権限が与えられているが、第2のワイヤレスネットワークで動作する権限が与えられておらず、移動局111が、第1のワイヤレスネットワーク121からの唯一の基地局101が利用可能であり、移動局111と無線通信する能力があるが、第2のワイヤレスネットワーク122からの多数の基地局101が移動局111の無線通信範囲内にあるという環境内にある場合、第2のワイヤレスネットワーク122から1台又は複数の基地局101への距離測定値が取得されない限り、別の基地局101までの2つ以上の距離測定値を取得する可能性がないことになり、したがって、移動局111は、第2のワイヤレスネットワーク122から利用可能な基地局101への距離測定値を取得することになり、それによって、複数の距離測定値(例えば、移動局111と第2のワイヤレスネットワーク122からの2台の基地局101との間の距離)を提供し、これらの複数の距離測定値は、推定位置算出に使用することができる(【0042】)、ハイブリッド測位システム。」
(3) 技術常識の認定
引用文献4の前記(1)アの摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は技術常識であると認める。
<技術常識>
「基地局のロケーション及び一方向遅延の情報から移動局の位置測位を実行するためには、3個の測定値が必要であること。」
2 引用文献5及び6に記載された事項、周知技術の認定
(1) 引用文献5に記載された事項
本審決において新たに引用され、本願優先日前に発行された特開平11-32111号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0007】このように、国や地域さらには通信事業者によって、異なる周波数が割り当てられていることや、通信プロトコルの相違、また地域によって使用する言語が違うことから、各国間で汎用的に使用できる携帯電話装置を製造することは難しく、また携帯電話装置を有効に使用することができないという問題があった。【0008】【課題を解決するための手段】本発明はこのような問題点に鑑みて、各種地域で汎用的に使用できる電話装置を提供することを目的とする。このために電話装置において、送受信処理に用いる各種周波数信号を発振出力させるとともに、発振出力周波数が可変とされた発振手段と、地域もしくは通信事業者の識別情報に対応して送受信処理に用いる周波数情報を記憶する記憶手段と、使用地域もしくは通信事業者の識別情報に応じて、記憶手段の周波数情報に基づいて必要な周波数信号が出力されるように発振手段を制御するとともに、使用地域もしくは通信事業者の識別情報に応じて、送受信処理のために必要となる処理の設定変更を行うことのできる制御手段とを備えるようにする。即ち使用する地域や通信事業者毎に異なる周波数設定となっている場合でも、それを切り換えることで各地域で使用できるようにし、また必要であれば通信プロトコル等の変更もできるようにする。【0009】また使用する地域や通信事業者の識別情報は、入力手段によりユーザーが入力できるようにする。これによってユーザーは使用する地域に応じて入力を行うことで、その電話装置はその地域等に応じた設定状態となり、使用可能となる。さらに、受信情報から当該電話装置が使用されている地域もしくは通信事業者の識別情報を判別する判別手段を備えることで、ユーザーが地域等を入力しなくても、自動的に各地域に対応できる電話装置を提供できる。」
「【0026】ところで、送信/受信周波数を選択する方法としては、例えば個人が他の国や地域に持ち込んで使用する場合は、操作部12に設けられているジョグダイヤルや各種操作キーなどを操作することによって設定することができるようにすれば良い。例えば周波数変更のための操作モード状態とされたら、ジョグダイヤルの操作に応じて表示部14に選択されている国や地域名(例えば『ニホン』、『アメリカ』、『ホンコン』など)を表示し、ユーザーの選択決定操作により、そのとき選択状態となっている地域が指定されたとして周波数fL1、fL3の設定を変更する。【0027】このためには、ROM15には送受信周波数の情報及び各送信/受信周波数が割り当てられている国(地域)名情報を、例えばテーブルデータとして記憶しておけばよく、制御部11は選択された地域名に応じて送信/受信周波数を判別し、それに応じた周波数fL1、fL3が得られるように制御を行う。もちろん必要であれば通信プロトコルの変更や表示言語の切換も行う。当然ながらユーザはその地域での周波数を意識せずに、使用する地域を選択設定するのみでよく、ユーザの操作が煩雑になることはない。」
(2) 引用文献6に記載された事項
本審決において新たに引用され、本願優先日前に発行された特開2003-234669号公報(以下「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。
「【0006】本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、周波数の異なる国や地域であっても利用することが可能な無線通信装置を提供することにある。【0007】【課題を解決するための手段】本発明は、移動体通信システムの無線ネットワークを介して無線による移動通信が可能な無線通信装置に関するものであり、本発明の上記目的は、指令された国の当該通信方式で使用する周波数となるように前記移動通信の周波数を切替える周波数切替手段を備え、移動先の当該国の周波数に切替えて前記移動通信を行うことによって達成される。【0008】さらに、前記周波数の切替えは、シンセサイザを有する回路の電圧制御により行うこと;前記周波数の切替えは、当該周波数に対応した回路及びアンテナを切替えることで行うこと;前記国の指令は前記無線通信装置の操作部の操作情報に基づいて指令するようになっていること;当該無線通信装置が現在位置している国を自動的に認識する国認識手段を備え、前記国の指令は前記国認識手段の認識情報に基づいて指令するようになっていること;無線通信装置が携帯電話機であること;日付,時刻を当該国の日付,時刻に自動的に補正する時刻補正手段を更に備えること;前記通信方式は、前記指令された国で利用可能な通信方式に変更可能となっていること;によって、それぞれ一層効果的に達成される。」
「【0012】第1の実施の形態では、周波数の切替えは手動であり、利用者は操作部の操作で国を指定する。ここで、周波数切替手段22の構成について説明する。その国で使用可能な電波の受信周波数は、当該無線通信装置で対象とする周波数帯域の全域をスキャニングすることで検出可能であるが、国によっては、使用可能な送信周波数帯や受信周波数帯が他の国と一部重複し、検出した受信周波数を基に当該国の送信周波数を特定できるとは限らない。そのため、本発明の第1の実施の形態では、操作部からの国の指定によって当該国の周波数帯に切替えるようにしている。この指定はダイヤル式の操作手段による操作、或いは表示メニューの選択操作により行われる。」
「【0016】携帯電話機の利用者は、周波数の異なる国に移動した場合、操作部を操作して国を指定する(ステップS1)。携帯電話機の制御部では、時刻補正指令を時刻補正手段23に送出すると共に周波数切替指令を周波数切替手段22に送出し、時刻の補正処理及び周波数の切替処理を指令する。時刻補正手段23では、指令された国に標準周波数報時局があるか否かを予め設定された制御情報に基づいて判定し、標準周波数報時局が当該国に有るのであれば、標準周波数報時局からの当該周波数の受信信号に基づいて時刻を補正し、標準周波数報時局が無いのであれば、現在の国(若しくは基準国)と指定された国との時差の情報に基づいて時刻を補正する(ステップS2)。一方、周波数切替手段22では、指令された国に対応して設定されている当該通信方式の周波数の制御情報(本例では電圧制御情報)を記憶部16から読込み(ステップS3)、フィルタ及び周波数変換用のシンセサイザに印可する電圧値を変更して送受信の周波数を切替えることで、当該国の周波数で通信が行われるように制御する(ステップS4)。【0017】次に、本発明に係る携帯電話機の第2の実施形態について図1のブロック図を参照して説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態と比較して、携帯電話機が現在位置している“国”(若しくは地域)を自動的に認識する国認識手段を更に備え、当該国の周波数に自動的に切替えるように構成されている。図1中に示される国認識手段25では、例えば、GPS衛星より位置情報を受信する位置情報受信手段を備え、位置情報と地図情報とから現在位置している国を自動的に認識する。或いは、国認識手段25では、前述の標準周波数報時局の時報情報を利用するようにしても良い。すなわち、標準周波数報時局がある国では、当該報時局から送信されるITU-R(International Telecommunication Union-Radio communication Sector)信号等に含まれる送信国の識別信号により国を認識することができる。このように、第2の実施形態では、携帯電話機が現在位置している国を自動的に認識し、当該国の周波数に自動的に合わせて通信を行うと共に、日付,時刻を補正する。」
(3) 周知技術の認定
引用文献5の前記(1)の摘記箇所の記載、及び、引用文献6の前記(2)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める。
<周知技術>
「周波数の異なる国や地域であっても無線通信装置を利用するために、複数の国や地域に応じた受信周波数情報を記憶しておき、ユーザーが入力する識別情報、GPS衛星より受信する位置情報又は標準周波数報時局の時報情報に基づいて、国や地域を識別して、当該識別された国や地域の受信周波数情報を選択し、当該識別された国や地域の受信周波数に切替えて移動通信を行うこと。」
第5 対比
1 対比分析
本願発明と引用発明を対比する。
(1)ア 引用発明の「ハイブリッド測位システム」は、本願発明の「測位システム」に相当する。
イ また、引用発明の「ハイブリッド測位システム」が備える「移動局111」は、ユーザが第1のサービスプロバイダに加入し、第1のワイヤレスネットワーク121で動作する権限が与えられているトライモードCDMAセルラ電話機であり、ワイヤレスネットワーク121は、ある一定数のセルラ基地局101を含むものであるところ、セルラ電話機は所定の周波数帯電波により通信を行うことは技術常識であるから、この「トライモードCDMAセルラ電話機」及び「ワイヤレスネットワーク121」の「セルラ基地局101」は、それぞれ本願発明の「第一周波数帯電波により」「セルラー通信を行う通信端末」及び「セルラー通信用の第一周波数帯基地局」に相当する。
ウ また、引用発明の「移動局111」の「通信送受信機305」は、(例えば、セルラ基地局通信リンク350を経由する)通信のためのある一定数の異なるエアー・インターフェース(例えば、GSM、CDMA、LTE又は他の類似するネットワーク)とともに使用される能力をもつものであるから、引用発明の「移動局111」である「トライモードCDMAセルラ電話機」は、前記イも踏まえると、本願発明の「セルラー通信用の第一周波数帯基地局を介してセルラー通信を行う通信端末」に相当する。
エ よって、本願発明と引用発明は、「第一周波数帯電波により、セルラー通信用の第一周波数帯基地局を介してセルラー通信を行う通信端末を備える測位システム」である点で一致する。
(2)ア 引用発明の「ハイブリッド測位システム」が備える「移動局111」は、第2のサービスプロバイダによって運用されている第2のワイヤレスネットワーク122からの信号を受信し処理する能力を有しているが、ユーザが第2のサービスプロバイダに加入しておらず、第2のワイヤレスネットワークで動作する権限が与えられていないものである。
イ また、引用発明においては、ワイヤレスネットワーク121、122は、ある一定数のセルラ基地局101を含み、異なる周波数で動作するものであるところ、このワイヤレスネットワーク121の周波数とは異なる、ワイヤレスネットワーク122の周波数の信号は、移動局111とセルラ基地局101との通信が電波により行われることは技術常識であることと、前記アの点を考慮すれば、本願発明の「前記通信端末のセルラー通信に割り当てられていない第二周波数帯電波」に相当する。そして、引用発明の「ワイヤレスネットワーク122」の「セルラ基地局101」は、本願発明の「セルラー通信用の第二周波数帯基地局」に相当する。
ウ そして、前記ア、イ及び前記(1)ウを踏まえると、引用発明の「移動局111」の「通信送受信機305」は、本願発明の「セルラー通信用の第二周波数帯基地局から、前記通信端末のセルラー通信に割り当てられていない第二周波数帯電波を受信する受信部」に相当する。
エ よって、本願発明と引用発明は、「測位システム」が、「セルラー通信用の第二周波数帯基地局から、前記通信端末のセルラー通信に割り当てられていない第二周波数帯電波を受信する受信部」を備える点で一致する。
(3)ア 引用発明においては、移動局111は、加入していないワイヤレスネットワークから信号を受信することが可能であるので、加入していないワイヤレスネットワーク内のワイヤレス・アクセスポイントに関連して距離測定又は信号強度測定を行うことが可能であり、移動局111が、第1のワイヤレスネットワーク121からの唯一の基地局101が利用可能であり、第2のワイヤレスネットワーク122からの多数の基地局101が移動局111の無線通信範囲内にあるという環境内にある場合、第2のワイヤレスネットワーク122から1台又は複数の基地局101への距離測定値が取得されない限り、別の基地局101までの2つ以上の距離測定値を取得する可能性がないことになり、したがって、移動局111は、第2のワイヤレスネットワーク122から利用可能な基地局101への距離測定値を取得することになり、それによって、複数の距離測定値(例えば、移動局111と第2のワイヤレスネットワーク122からの2台の基地局101との間の距離)を提供し、これらの複数の距離測定値は、推定位置算出に使用することができるとされている。
イ ここで、基地局のロケーション及び一方向遅延の情報から移動局の位置測位を実行するためには、3個の測定値が必要であることは技術常識であるところ(前記第4の1(3)で認定した技術常識を参照)、引用発明においては、ロケーション・サーバ115は、移動局111の位置を算出するために、基地局101のロケーションと、距離測定値(移動局111と基地局101との間の距離を指示する)を使用しているから、引用発明においては、第1のワイヤレスネットワーク121の基地局は一台のみが利用可能であるため、第2のワイヤレスネットワーク122の基地局を、残り二台以上の基地局として利用していることが理解される。
ウ また、引用発明においては、移動局111は、基地局101から抽出された情報(識別表示、受信信号強度、一方向時間測定値)を、ロケーション・サーバ115へ通信しており、ロケーション・サーバ115は、移動局111の位置を決定するために、移動局111から通信された情報と、一方又は両方のネットワークからのアルマナック内のデータとを使用するから、移動局111からロケーション・サーバ115へ通信される情報である、受信信号強度又は一方向時間測定値は、本願発明の「周波数帯電波の品質を表す」「周波数帯質情報」に相当する。
そして、引用発明の「ハイブリッド測位システム」が備える「ロケーション・サーバ115」は、本願発明の「処理部」に相当する。
エ よって、前記ア~ウを総合すると、本願発明と引用発明は、「測位システム」が、「前記第二周波数帯基地局の各々に係る前記第二周波数帯電波の品質を表す第二周波数帯質情報に基づいて、前記通信端末の位置を表す位置情報を取得する処理部」を備える点で共通する。
(4)ア 引用発明の「移動局111」は、トライモードCDMAセルラ電話機であるところ、前記(1)イのとおり、トライモードCDMAセルラ電話機は、本願発明の「通信端末」に相当する。
イ また、前記(2)ウのとおり、引用発明の「移動局111」の「通信送受信機305」は、本願発明の「受信部」に相当する。
ウ よって、本願発明と引用発明は、「前記受信部及び前記処理部のうちの少なくとも前記受信部の位置は前記通信端末の内であ[る]」点で一致する。
(5)ア 引用発明においては、移動局111の通信送受信機305は、セルラ基地局通信リンク350を経由する通信のためのエアー・インターフェースとともに使用される能力をもち、移動局111は、メモリに、ワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示(例えば、MACアドレス)を記憶するとあるから、ワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示(例えば、MACアドレス)に基づいて、第2のワイヤレスネットワーク122の基地局101と通信、すなわち送受信を行っているといえる。
したがって、引用発明の「ワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示(例えば、MACアドレス)」は、本願発明の「設定情報」に相当する。
イ よって、前記ア及び前記(2)ウを踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記受信部は、設定情報に基づいて前記第二周波数帯電波を受信し[ている]」点で一致する。
2 一致点及び相違点
前記1の対比分析の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。
(1) 一致点
第一周波数帯電波により、セルラー通信用の第一周波数帯基地局を介してセルラー通信を行う通信端末を備える測位システムであって、
前記測位システムは、
セルラー通信用の第二周波数帯基地局から、前記通信端末のセルラー通信に割り当てられていない第二周波数帯電波を受信する受信部と、
前記第二周波数帯基地局の各々に係る前記第二周波数帯電波の品質を表す第二周波数帯質情報に基づいて、前記通信端末の位置を表す位置情報を取得する処理部と、
を備え、
前記受信部及び前記処理部のうちの少なくとも前記受信部の位置は前記通信端末の内であり、
前記受信部は、設定情報に基づいて前記第二周波数帯電波を受信する、
測位システム、である点。
(2) 相違点
ア 相違点1
測位システムが備える処理部について、
本願発明においては、
「三台以上の前記第二周波数帯基地局の各々に係る前記第二周波数帯電波の品質を表す第二周波数帯質情報に基づいて、前記通信端末の位置を表す第二周波数帯位置情報を取得する」のに対して、
引用発明においては、
第2のワイヤレスネットワーク122から利用可能な基地局101への複数の距離測定値(例えば、移動局111と第2のワイヤレスネットワーク122からの2台の基地局101との間の距離)を取得し、これらの複数の距離測定値を、移動局111の推定位置算出に使用するものではあるが、移動局111と第1のワイヤレスネットワーク121のセルラ基地局101との距離測定値も使用している点。
イ 相違点2
本願発明においては、
「前記設定情報は、複数の設定情報の中から、外部から受信した入力情報に基づき選択される」のに対して、
引用発明においては、
移動局111の通信送受信機305は、ワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示(例えば、MACアドレス)に基づいて、第2のワイヤレスネットワーク122の基地局101と通信を行っているが、当該ワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示が、複数のワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示の中から、外部から受信した入力情報に基づき選択されるものであるか不明な点。
第6 判断
1 相違点1について
前記相違点1について検討する。
(1) 前記第4の1(3)で示したとおり、基地局のロケーション及び一方向遅延の情報から移動局の位置測位を実行するためには、3個の測定値が必要であることは技術常識であるところ、引用発明において、第2のワイヤレスネットワーク122のセルラ基地局101が三台以上使用可能である場合には、移動局111と第1のワイヤレスネットワーク121との距離測定値を用いることなく、移動局111と第2のワイヤレスネットワーク122から三台の基地局101との距離を移動局111の推定位置算出に用いることは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。
(2) したがって、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
2 相違点2について
前記相違点2について検討する。
(1) 前記第4の2(3)に示したとおり、周波数の異なる国や地域であっても無線通信装置を利用するために、複数の国や地域に応じた受信周波数情報を記憶しておき、ユーザーが入力する識別情報、GPS衛星より受信する位置情報又は標準周波数報時局の時報情報に基づいて、国や地域を識別して、当該識別された国や地域の受信周波数情報を選択し、当該識別された国や地域の受信周波数に切り替えて移動通信を行うことは、本願優先日前の周知技術である。
ここで、前記ユーザーが入力する識別情報、GPS衛星より受信する位置情報又は標準周波数報時局の時報情報は、本願発明の「外部から受信した入力情報」に相当する。
(2) そして、引用発明においても、周波数の異なる国や地域であっても利用可能であることが好ましいことは明らかであるから、引用発明に前記周知技術を適用して、複数の国や地域に応じた受信周波数情報の中から、外部から受信した入力情報に基づいて識別された国や地域の受信周波数情報を選択し、当該識別された国や地域の受信周波数に切り替えて移動通信を行うことに、格別の困難性は認められない。このとき、複数の国や地域に応じた受信周波数情報が、本願発明の「複数の設定情報」に相当することとなる。
また、引用発明に前記周知技術を適用した際には、引用発明の「移動局111」において記憶されているワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示についても、複数の中から、現在位置している国や地域に対応したものが選択されるようになることは明らかであり、このとき、複数のワイヤレス・アクセスポイントのロケーション及び識別表示もまた、本願発明の「複数の設定情報」に相当する。
(3) したがって、引用発明において、前記相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
3 総合検討
前記1及び2において検討したとおり、引用発明において前記相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、周知技術及び技術常識から予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明は、引用発明、周知技術及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 請求人の主張について
(1) 請求人の主張内容
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請求人は、意見書において、下記ア~ウの主張をしている。
ア 引用文献4では、「加入していないワイヤレスネットワークから信号を受信することが可能であるので、加入していないワイヤレスネットワーク内のワイヤレス・アクセスポイントに関連して距離測定又は信号強度測定を行うことが可能である。」ことが記載されている(引用文献4の明細書の段落[0041]参照)に過ぎず、「設定情報は、複数の設定情報の中から、外部から受信した入力情報に基づき選択される」ことについて何ら開示されていない。
イ 引用文献3においては、「位置検出部24は、GPSの代わりに、無線LANのアクセスポイントから発信されるビーコン信号の電波強度に基づいて、携帯端末2の現在位置を検出してもよい」、「位置検出部24は、携帯電話の基地局から受信したセルID(Identifier)を利用して、携帯端末2の現在位置を検出してもよい。」ということ(引用文献3の明細書の段落[0036]参照)が記載されているに過ぎず、「設定情報は、複数の設定情報の中から、外部から受信した入力情報に基づき選択される」ことについて開示はおろか、何らの示唆もない。
さらに、引用文献3には、「各周波数帯域の報知情報を受信し、受信した各報知情報の電波品質又は電界強度を測定する。携帯端末2は、測定した電波品質又は電界強度が一定の基準を満たす場合、その周波数帯域の報知情報を送信する基地局が周辺に存在する可能性が高いと判定し、その周波数帯域のサーチ順序をより優先させるように、以降の周波数サーチにおけるサーチ順序を変更する。」こと(引用文献3の明細書の段落[0023]および図面の[図1]参照)が記載されている。しかし、引用文献3に記載の方法では、サーチ順序変更前に各周波数帯域の電波を受信しているのに対し、本願の請求項1に係る発明では、「複数の設定情報の中から、」「設定情報」が「外部から受信した入力情報に基づき選択される」ことによって「第二周波数帯電波を受信」している。
よって、引用文献3には、本願の補正後の請求項1に係る発明の「設定情報は、複数の設定情報の中から、外部から受信した入力情報に基づき選択される」という構成について、開示はおろか、何らの示唆もない。
ウ 従って、引用文献3及び引用文献4をいかように組み合わせても、本願の補正後の請求項1に係る発明の「第二周波数帯電波を設定情報に基づいて受信し、設定情報は、複数の設定情報の中から、外部から受信した入力情報に基づき選択される」という構成を想到することは容易ではない。
(2) 請求人の主張についての検討
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請求人の主張は、要するに、引用文献3及び引用文献4には、「設定情報は、複数の設定情報の中から、外部から受信した入力情報に基づき選択される」という構成について、開示も示唆もされていないから、引用文献3及び引用文献4をいかように組み合わせても、前記構成を容易に想到し得ないというものである。
しかしながら、前記2において示したとおり、引用発明に周知技術を適用して、引用発明において前記構成を備えるようにすることに、格別の困難性があるものとは認められない。
したがって、請求人の主張は、前記3の結論を左右するものではない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-005157