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商標拒絶査定不服審判

2022-004342

イセシマコスメ、イセシマ

審判番号
2022-004342
法域
商標
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
商願2020-146294外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月03日
審決日
2023年02月07日
公報発行日
2023年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
T18 .13 -Z (W03)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法3条1項3号
識別力・商標の種類(本文から自動判定・参考)
識別力なし標準文字
論点(本文から自動抽出・参考)
要部・分離観察取引の実情識別力品質表示商品の普通名称品質産地・販売地品質誤認指定商品・役務の補正濃い色は判断部分で検討された論点、薄い色は本文中で触れているもの
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第1項第6号、特許法第150条、商標法第3条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

商願2020-146294拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続の経緯 本願は、令和2年11月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 8月19日付け:拒絶理由通知 令和3年 9月 9日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年12月 7日付け:拒絶査定 令和4年 3月 3日 :審判請求書、手続補正書の提出 2 本願商標 本願商標は、「伊勢志摩コスメ」の文字を標準文字で表してなり、第3類及び第35類に属する別掲4のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願、その後、本願の指定商品及び指定役務については、当審における前記1の手続補正書により、最終的に、第3類「化粧品」と補正されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要点) 本願商標は、「伊勢志摩コスメ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「伊勢志摩」の文字は、三重県東部の地域を表す語であり、「コスメ」の文字は「コスメチックの略。化粧品全般を指す」語である。 さらに、伊勢志摩地域において、化粧品が生産・販売されている実情も見受けられる。 これらの事情を考慮すると、本願商標をその指定商品中「化粧品」に使用しても、需要者は、その商品が「伊勢志摩地域で生産・販売される化粧品」だと理解するにとどまり、本願商標を、商品の品質を普通に用いられる方法で表示した標章として認識するというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「伊勢志摩地域で生産・販売される化粧品」以外の「化粧品」に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 また、本願商標をその指定役務中「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用しても、需要者は、その役務の取扱商品が「伊勢志摩地域で生産・販売される化粧品」だと理解するにとどまり、何人かの業務に係る役務であることを認識することができないというのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、「伊勢志摩地域で生産・販売される化粧品」を取扱商品とする役務以外の「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。 4 当審においてした証拠調べ 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲2及び別掲3に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき、その結果を令和4年10月24日付け証拠調べ通知書によって請求人に通知し、意見を求めた。 5 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点 (1)「地域名+コスメ」の用例について、「北海道コスメ」に関し、それぞれの化粧品の原料の一部が北海道産の原料を用いているのであって、化粧品そのものの生産が北海道でされているかは問われていない。すなわち「北海道」の文字は化粧品の産地、消費地を直ちに想起させない。そして、消費地を限定するために「北海道」の文字を使用しているとは思えず、既に東京・有楽町で販売されていることが示されている。元々北海道に消費地を限定するために「北海道」という文字を使用しているわけではない。 (2)東北コスメ、京都コスメ、奈良コスメ、沖縄コスメのいずれをみても、全て(1)と同様に、化粧品の一部に当地の原料を使い、その地名が持つイメージを含めて漠然とした概念を付与した名称が付けられている。化粧品の産地や消費地のみを示しているものではない。 (3)伊勢志摩地域における化粧品について、化粧品の原料である真珠とあおさについて「伊勢志摩」産としているのであって、化粧品そのものについて産地や消費地が伊勢志摩と言っているわけではない。真珠は鳥羽や志摩が一大産地として知られているのは事実であり、真珠に係る言葉として「伊勢志摩」が用いられると産地等を想起する可能性はあるが、あくまで商品が真珠の場合である。なお、あおさについても、三重県で全国の7割を生産しているといわれ、中でも伊勢志摩で多く生産されていることは広く知られており、あおさに「伊勢志摩」が付けばあおさの産地を想起する可能性は高いと考えるが、いずれも原材料の真珠やあおさについて産地を説明するために「伊勢志摩」の文字が使用されているのであって「化粧品」に使用されている訳ではない。 (4)「Google」において、検索オプションを「語順も含め完全一致」にし「伊勢志摩コスメ」を検索すると、請求人に係るウェブサイトか、請求人の商品説明のために「伊勢志摩コスメ」を使用している例しか検出されない。このことから「伊勢志摩コスメ」は請求人のみが使用していることがわかる。 6 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号について 商標法第3条第1項第3号は、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期・・・を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は、商標登録を受けることができない旨規定している。その趣旨は、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることから、商標登録の要件を欠くとされているものである(最高裁昭和53年(行ツ)第129号同54年4月10日第三小法廷判決参照)。 そして、商標登録出願に係る商標が商標法3条1項3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(最高裁昭和60年(行ツ)第68号同61年1月23日第一小法廷判決・裁判集民事147号7頁参照)。 以下、上記判断手法に沿って、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について検討する。 (2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について ア 本願商標は、「伊勢志摩コスメ」の文字を標準文字で表してなり、その指定商品を「化粧品」とするものである。 イ そして、本願商標の構成中、「伊勢」の文字は「三重県東部の市。旧称、宇治山田市。伊勢神宮所在地として発達、神都と称する。伊勢志摩国立公園の入り口。」の意味を、「志摩」の文字は「三重県、志摩半島南東部の市。市全域が伊勢志摩国立公園に含まれる。漁業や真珠養殖が盛ん。」の意味を有する語(いずれも「広辞苑 第七版」(岩波書店)から引用。)として広く知られていること、三重県の特定の地域を表すために「伊勢」の文字と「志摩」の文字を組み合わせ、例えば、三重県東部に位置する「伊勢志摩国立公園」や、伊勢市と鳥羽市を結ぶ「伊勢志摩スカイライン」(いずれも「コンサイス日本地名事典<第5版>」(三省堂)から引用。)のように、「伊勢志摩」との表示も多く使用されていることからすれば、本願商標の構成中「伊勢志摩」の部分は、「三重県の東部地域」を表したものと理解される。 また、本願商標の構成中、「コスメ」の文字は「コスメチックの略。化粧品全般を指す。」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」(岩波書店)から引用。)として広く知られており、指定商品との関係では、商品の普通名称と理解される語である。 ウ 以上の事実に加えて、化粧品を取り扱う業界においては、遅くとも2004年頃から、全国各地において、当地の名産品や特産物を使用し、当地を中心に製造販売される化粧品が「ご当地コスメ(化粧品)」などとして人気を集めているところ、「北海道コスメ」、「東北コスメ」、「京都コスメ」、「奈良コスメ」、「金沢コスメ」、「鳥羽コスメ」、「九州コスメ」、「沖縄コスメ」のように、その商品ないし主原材料の生産又は販売がされる地域名と商品の普通名称である「コスメ」を組み合わせることにより、特定の地域に係る化粧品であることを表すことが少なからずあると認められ(別掲2参照)、また、伊勢志摩地域は、真珠やあおさ、サガラメ等が特産品として知られるところ、これらを原材料とした化粧品が製造販売されているという取引の実情が認められる(別掲1及び別掲3参照)。 エ 上記取引の実情に照らすと、「伊勢志摩コスメ」の文字からなる本願商標は、その指定商品である「化粧品」に使用された場合、その全体から、「伊勢志摩地域を産地又は販売地とする化粧品」を表示するものとして、需要者又は取引者に認識されるということができるから、全体として商品の「品質」を記述するものである。 そして、本願商標は「伊勢志摩コスメ」の文字を標準文字で表してなるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。 したがって、本願商標を、補正後の指定商品である「化粧品」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、一般的に、その「品質」を普通に用いられる方法の範囲で表示していると理解、認識するにとどまるものと解され、これが自他商品の識別標識としての機能を有している商標とは認識しないというべきであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (3)請求人の主張について ア 請求人は、証拠調べ通知において示した用例(別掲2)について、それぞれの化粧品の原料の一部が当地産の原料を用いているのであって、化粧品そのものの生産が当地でされているかは問われておらず、各地域名は化粧品の産地、消費地を直ちに想起させない旨、また、各地名が持つイメージを含めて漠然とした概念を付与した名称が付けられており、化粧品の産地や消費地のみを示しているものではない旨主張する。 しかしながら、上記(1)のとおり、商標法第3条第1項第3号で規定する商品の品質の表示に該当するというには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきであるところ、全国各地において、当地の名産品や特産物を使用し、当地を中心に製造販売される化粧品が、それぞれ「京都コスメ」、「金沢コスメ」、「沖縄コスメ」等と表示されている取引の実情に照らせば、各地域名を冠した「コスメ」の文字に接した取引者、需要者は、当該地域を中心として生産又は販売される化粧品を認識するものと解される。そして、伊勢志摩地域についても、当該地域の特産品(真珠等)を、原材料に使用した化粧品が実際に製造販売されているという取引の実情に照らせば、「伊勢志摩コスメ」の文字からなる本願商標がその指定商品である「化粧品」に使用された場合、これに接する取引者、需要者は、その全体から、「伊勢志摩地域を産地又は販売地とする化粧品」であることを表したにすぎないものと理解するのが自然である。 イ 請求人は、証拠調べ通知において示した用例(別掲3)について、化粧品の原料である真珠やあおさ等について「伊勢志摩」産としているのであって、化粧品そのものについて産地や消費地が伊勢志摩と言っているわけではない旨主張する。 しかしながら、請求人が言及する用例は、伊勢志摩地域の特産品(真珠等)を原材料とした化粧品が製造販売されているという取引の実情を示すものであるが、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性を判断するに当たり、伊勢志摩地域における特産品が、化粧品の原材料として使用されているか否かの実情は、化粧品を取り扱う業界における取引の実情の一要素として検討すべきであるため、用例として示したにすぎないものである。 ウ 請求人は、インターネットで検索すると、「伊勢志摩コスメ」の文字は、請求人に係るウェブサイトか、請求人の商品説明のために使用している例しか検出されないため、当該文字は請求人のみが使用している旨主張する。 しかしながら、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性を判断するに当たり、現実の使用の事実が、同号の適用の要件となるものではないから、請求人以外に「伊勢志摩コスメ」の使用例がないとしても、本件の判断が左右されるものではなく、また、上記(2)ウのとおりの取引の実情に照らせば、本願商標に接する取引者、需要者が「伊勢志摩地域を産地又は販売地とする化粧品」を表示するものとして認識するにとどまることを否定されるものではない。 エ 請求人は、地名と「コスメ」の文字が結合した商標の既登録例を挙げ、本願商標の識別力の判断にあたり、上記先例は十分尊重されて然るべき旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かについては、当該商標の構成態様と、指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に、査定時又は審決時において、判断するべきものであるところ、請求人が挙げる既登録例に関する各々の当時の取引の実情や登録に至る経緯は、本件とは事案を異にするものであるから、その既登録例があることにより、本願商標についてした上記認定、判断が左右されることはない。 オ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。 (4)本願商標の商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本願は、出願時の指定商品及び指定役務(別掲4)について、前記2のとおり補正された結果、第35類に属する役務が削除された。 その結果、本願の指定商品及び指定役務中、第35類「化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、解消した。 (5)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-004342

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