商標拒絶査定不服審判
2025-016897
スミノチカラ、ノチカラ、チカラ
- 審判番号
- 2025-016897
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2024-108160
- 請求日
- 2025年10月23日
- 審決日
- 2026年05月11日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】小林製薬株式会社
- 【請求人代理人】山田 威一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 真鍋 伸行
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 田中 瑠美
- 分類
- T18 .13 -Z (W03)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2024-108160拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和6年10月8日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和7年4月14日付け:拒絶理由通知書
令和7年5月26日 :意見書、手続補正書の提出
令和7年7月24日付け:拒絶査定
令和7年10月23日 :審判請求書の提出
2 本願商標
本願商標は、「炭のチカラ」の文字を標準文字で表してなり、第3類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品は、原審における上記1の手続補正書により、第3類「炭を含むせっけん類,炭を含む入れ歯洗浄剤,炭を含む歯磨き,炭を含む化粧品」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「炭のチカラ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「炭」の文字は、「木材を蒸し焼きにして作った黒色の燃料。」等の意味を有する語であり、「の」の文字は、「連体修飾格として諸種の関係を表す。」等の意味を有する格助詞であり、「チカラ」の文字は、「ききめ。効果。効力。」等の意味を有する「力」の語の片仮名表記と認められるから、その構成全体から、「炭のききめ・効果・効力」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、補正後の本願の指定商品(以下「本願指定商品」という。)に係る分野において、炭は汚れや臭いを吸着する効力・効果等があることが知られており、そのような炭の効力・効果を利用した商品が取り扱われている実情が認められ、さらに、当該商品について、「炭のチカラ」やこれに通じる「炭の力」、「炭のちから」の文字が使用されている実情が認められる。
そうすると、本願商標を本願指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が、「炭の効力・効果を利用した商品」であること、すなわち、単に商品の品質等(原材料・効能)を理解、認識するにすぎないというべきであるから、本願商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「炭のチカラ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「炭」の文字は、「木の焼けて黒くなったもの。」等の意味を表し、「の」の文字は、「連体格を示す。前の語句の内容を後の体言に付け加え、その体言の内容を限定する。」等の意味を有する格助詞であり、「チカラ」の文字は、「ききめ。効能。」等の意味を有する「力」の語の片仮名表記と認められるから(以上、出典は、株式会社岩波書店「広辞苑 第七版」)、その構成全体から、「炭のききめ、効能」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
そして、原審で示した別掲(1)ないし(7)によれば、本願指定商品を取り扱う分野において、炭は汚れや臭いを吸着する効力・効果等があることが知られており、そのような炭の効力・効果を利用した商品が取り扱われている実情が認められ、さらに、当該商品について、「炭のチカラ」やこれに通じる「炭の力」、「炭のちから」の文字が使用されている実情が認められる。
そうすると、本願商標を本願指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が、「炭の効力・効果を利用した商品」であること、すなわち、単に商品の品質等(原材料・効能)を理解、認識するにすぎないというべきであるから、本願商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、「炭のチカラ」の文字からなり、末尾の文字が漢字や平仮名ではなく、片仮名で「チカラ」と表記されているが、このような特殊な表記方法をあえて採用したのは、「チカラ」との語を強調して示すためであり、そのため、かかる表示態様の点から見ても、本願商標からは「炭の能力」「炭の実力」との意味合いが自然に想起されるといえ、本願商標から生じる意味合いが「炭のききめ・効果・効力」のみであることを前提とした原査定の認定が妥当でないことは明らかである旨主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、「チカラ」の文字は、漢字の「力」を片仮名で表記したものと無理なく認識させるものである上、本願指定商品を取り扱う分野において、炭の効力・効果を利用した商品について、「炭の力」の文字のみならず、末尾の文字の「力」の漢字部分を平仮名や片仮名で表した「炭のちから」、「炭のチカラ」などの表記も使用されている実情が認められることよりすれば、片仮名で「チカラ」と表記することが特殊な表記方法であると認識されるものであるとはいえず、本願商標を本願指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が、「炭の効力・効果を利用した商品」であることを理解、認識するにすぎないものといわざるを得ない。
イ 請求人は、「炭のチカラ」からは「炭の能力」「炭の実力」のような比喩的なニュアンスを含む意味合いも自然に想起されるものであり、本願指定商品の具体的な品質等を直接的に表すものではない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品の識別力を欠くものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・同53年(行ツ)第129号参照)。そうすると、出願に係る商標が、その指定商品について商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件審決の時点において、当該商標が当該商品との関係で商品の品質等を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、当該商標の取引者、需要者によって当該商品に使用された場合に、将来を含め、商品の品質等を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。そして、当該商標の取引者、需要者によって当該商品に使用された場合に商品の品質等を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定商品に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(知財高裁令和4年1月25日第3部判決・同3年(行ケ)第10113号参照)。
商標法第3条第1項第3号の趣旨は上記のとおりに解されるべきものであるところ、本願指定商品の分野において、炭の効力・効果を利用した商品について、「炭の力」、「炭のちから」、「炭のチカラ」などの表記が使用されている実情が認められることよりすれば、本願商標である「炭のチカラ」の文字は、その構成や指定商品に関する取引の実情を考慮して、本願指定商品に使用された場合に、その取引者、需要者が本願指定商品の品質等(原材料・効能)を表示したものと一般に認識するものであることは上記(1)のとおりである。
ウ したがって、請求人の上記ア及びイの主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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