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特許拒絶査定不服審判

2022-003714

電流-電圧補償を有するOLED電圧ドライバ

審判番号
2022-003714
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-511777外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月11日
審決日
2023年03月17日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G09G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-511777「電流-電圧補償を有するOLED電圧ドライバ」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月28日国際公開、WO2019/060213、令和 2年11月26日国内公表、特表2020-534561〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2018年(平成30年)9月14日を国際出願日とする外国語特許出願であって(パリ条約による優先権主張外国庁受理2017年9月21日、米国)、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。

令和2年 2月26日 :翻訳文、手続補正書の提出
令和3年 3月15日付け:拒絶理由通知書

同年 6月 9日 :意見書、手続補正書の提出

同年11月26日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)

(同年12月 1日 :原査定の謄本の送達)

令和4年 3月11日 :審判請求書、手続補正書の提出

同年 7月13日 :上申書の提出

同年11月 7日付け:拒絶理由通知書

令和5年 1月17日 :意見書、手続補正書の提出

なお、令和4年11月7日付けで当審において通知した拒絶理由を、以下「当審拒絶理由」といい、これに対して、令和5年1月17日に請求人から提出された意見書を、以下、単に「意見書」という。

第2 請求項1の記載及び本願発明の認定

1 請求項1の記載

令和5年1月17日にされた手続補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次に示すとおりのものとなっている。

「【請求項1】
電子デバイスであって、
ディスプレイパネルであって、
視界から隠れた第1の画素を含む基準アレイと、
続きを表示(全13行)
前記第1の画素に結合された第1の電源と、
第2の画素を含むアクティブアレイと、
前記第2の画素に結合された、前記第1の電源とは別個の第2の電源と、
制御回路であって、
前記第2の画素に関連付けられた電流-電圧曲線及び前記第1の画素に関連付けられた基準電流-電圧曲線に基づいて、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第1の電流値における第1の電圧差と、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第2の電流値における第2の電圧差とを含む、1組の電圧差を判断するステップと、
前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の1つ以上の補償値を視認性閾値未満に制限するステップであって、前記視認性閾値は、前記ディスプレイパネルの観察者が検出可能な、前記アクティブアレイの前記第2の画素に供給される電流の変化に対応し、前記1つ以上の補償値は、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との第1の差が、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との差である、前記視認性閾値に対応する第2の差よりも小さくなるように制限されるステップと、
前記1つ以上の制限された補償値に基づいて、前記第2の画素を駆動するステップと、を実行するように構成された、制御回路と
を含む、ディスプレイパネル
を備える、電子デバイス。」

2 請求項1における記載の解釈と本願発明の認定

(1) 請求項1における記載の解釈

ア 記載の不整合について

(ア) 前記請求項1には、次のa~cの三つの記載がある。

a 「前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の1つ以上の補償値を視認性閾値未満に制限する」

b 「前記視認性閾値は、前記ディスプレイパネルの観察者が検出可能な、前記アクティブアレイの前記第2の画素に供給される電流の変化に対応し」

c 「前記1つ以上の補償値は、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との第1の差が、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との差である、前記視認性閾値に対応する第2の差よりも小さくなるように制限される」

(イ)a 前記(ア)aにおいては、「1つ以上の電流値の1つ以上の補償値」が、「視認性閾値」未満に制限されると記載されており、前記(ア)cの記載によれば、「補償値」は補償後の電流値であると解されるから、視認性閾値未満に制限されるのは「補償値」すなわち補償後の電流値であることが特定されていると認められる。

b 一方、前記(ア)bにおいては、視認性閾値は「電流の変化に対応[する]」ことが特定されており、電流の変化とは、1つ以上の電流値と1つ以上の補償値(すなわち補償後の電流値)との差であるから、視認性閾値と対応づけられるのは電流値の「差」であると解される。また、前記(ア)cにおいては、「前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との第1の差」が、「前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との差である、前記視認性閾値に対応する第2の差」よりも小さくなるように制限されると記載されているから、「(第2の)差」が視認性閾値に対応することになる。そうすると前記(ア)b及びcの記載によれば、視認性閾値未満に制限されるのは、1つ以上の電流値と1つ以上の補償値(すなわち補償後の電流値)との差であることが特定されていると認められる。

c したがって、請求項1の記載においては、「視認性閾値」未満に制限される対象が、「1つ以上の補償値」であることを特定する記載と、「電流の変化」である「1つ以上の電流値と1つ以上の補償値との第1の差」であることを特定する記載があって、この二つの記載は整合しておらず、「1つ以上の補償値」と「視認性閾値」の関係について、本願明細書の記載を参酌して解釈する必要があるので、以下検討する。

イ 記載の解釈について

(ア) 請求項1の記載に対応する本願明細書の記載を参酌すると、本願明細書の【0250】には、次の事項が記載されている。なお、下線は、合議体が付したものである。

「【0250】
いくつかの実施形態では、アクティブアレイ制御回路85の電流ステップリミッタ回路72は、1組の電圧差に対応する電流補償値を制限し得る。具体的には、電流ステップリミッタ回路72を使用して、1組の電圧差に対応する電流補償値を視認性閾値未満に制限することができる。視認性閾値は、(電流補償値を適用する前に画素574を駆動することと比較して)画素574を駆動するために適用されたときにディスプレイ18の観察者が知覚しない可能性がある電流値変化に対応し得る。このようにして、観察者は、適用された補償に気付かず、ディスプレイ18の全体的な観察体験を改善することができる。」

(イ)a 前記(ア)に摘記して示したとおり、本願明細書の【0250】には、「視認性閾値は、(電流補償値を適用する前に画素574を駆動することと比較して)画素574を駆動するために適用されたときにディスプレイ18の観察者が知覚しない可能性がある電流値変化に対応し得る。」と記載されている。

b そして、観察者が知覚するかどうかは、補償後の電流値自体に依存するものではなく、補償前後の電流値の変化(差分)に依存するものと考えられるから、当該記載を参酌すると、視認性閾値は電流値の変化(差分)を制限するものであるべきところ、請求項1の前記ア(ア)aの「前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の1つ以上の補償値を視認性閾値未満に制限する」という記載は、視認性閾値が、補償の前後の電流の変化(差分)と比較されることを正しく特定しているとはいえないから、前記記載を文言どおりに解釈するのは適当ではなく、本願明細書の記載に即して解釈すべきであり、前記記載は、「前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の1つ以上の補償値を、前記補償値が適用される前の電流値と前記補償値との差が視認性閾値未満となるように制限する」を意味するものとして解釈するのが相当である。

c なお、請求項1の前記ア(ア)b及びcの記載は、本願明細書の【0250】の記載と整合するから、その文言どおりに解釈すれば足りる。

(2) 本願発明の認定

前記(1)において検討したことを踏まえると、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものであると認める。なお、下線は、前記(1)の解釈に対応した部分である。

「【請求項1】
電子デバイスであって、
ディスプレイパネルであって、
視界から隠れた第1の画素を含む基準アレイと、
続きを表示(全13行)
前記第1の画素に結合された第1の電源と、
第2の画素を含むアクティブアレイと、
前記第2の画素に結合された、前記第1の電源とは別個の第2の電源と、
制御回路であって、
前記第2の画素に関連付けられた電流-電圧曲線及び前記第1の画素に関連付けられた基準電流-電圧曲線に基づいて、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第1の電流値における第1の電圧差と、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第2の電流値における第2の電圧差とを含む、1組の電圧差を判断するステップと、
前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の1つ以上の補償値を、前記補償値が適用される前の電流値と前記補償値との差が視認性閾値未満となるように制限するステップであって、前記視認性閾値は、前記ディスプレイパネルの観察者が検出可能な、前記アクティブアレイの前記第2の画素に供給される電流の変化に対応し、前記1つ以上の補償値は、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との第1の差が、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との差である、前記視認性閾値に対応する第2の差よりも小さくなるように制限されるステップと、
前記1つ以上の制限された補償値に基づいて、前記第2の画素を駆動するステップと、を実行するように構成された、制御回路と
を含む、ディスプレイパネル
を備える、電子デバイス。」

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由のうち、本願の請求項1に係る発明に対する理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。

(進歩性の欠如)本願の請求項1に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明、下記引用文献5に記載された事項、及び、下記引用文献4に示された周知技術に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

記

引用文献1.特表2012-519881号公報

引用文献4.特開2011-39311号公報(周知技術を示す文献)

引用文献5.特開2006-235325号公報

第4 引用文献に記載された発明の認定等

1 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定

(1) 引用文献1に記載された事項

当審拒絶理由に引用された前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は合議体が付したもので、以下同様である。

ア 【0031】~【0037】、【図1】

「【0031】
本発明は、有機発光ダイオード(OLED)パネルのような、アクティブマトリックスELディスプレイパネル上の複数のサブピクセルの駆動トランジスタ及びエレクトロルミネッセント(EL)エミッター内のむら(初期不均一性)及び劣化を補償する。一実施形態において、本発明は、アクティブマトリックスOLEDパネル上の全てのサブピクセルのVthシフト、Voledシフト及びOLED効率損失を補償する。パネルは複数のピクセルを含み、各ピクセルは1つ又は複数のサブピクセルを含む。たとえば、各ピクセルは赤色、緑色及び青色サブピクセルを含むことができる。各サブピクセルは、光を放射するELエミッター、及び周辺電子回路を含む。サブピクセルは、パネルのアドレス指定可能な最も小さな構成要素である。
【0032】
以下で行なわれる検討では、最初にシステム全体について考える。その後、サブピクセルの電気的な詳細に進み、その後、1つのサブピクセルの測定するための電気的な詳細及び複数のサブピクセルを測定するためのタイミングに進む。次に、補償器が測定値を如何に使用するかを論じる。最後に、一実施形態、たとえば、コンシューマ製品において、工場から寿命まで、このシステムが如何に実施されるかを記述する。
続きを表示(全15行)
【0033】
概説
図1は本発明のディスプレイシステム10のブロック図を示す。明確にするために、1つのELサブピクセルだけが示されるが、本発明は、複数のサブピクセルを補償するのに有効である。非線形入力信号11は、ELサブピクセル内のELエミッターからの特定の光強度を指示し、そのELサブピクセルはELパネル上の多数のELサブピクセルのうちの1つとすることができる。この信号11は、ビデオ復号器、画像処理経路、又は別の信号源から到来することができ、デジタル又はアナログとすることができ、非線形又は線形に符号化することができる。たとえば、非線形入力信号は、sRGBコード値(IEC 61966-2-1:1999+A1)又はNTSC輝度(luma)電圧とすることができる。どのような信号源及び信号形式であっても、その信号は、領域変換ユニット12によって、デジタル形式に、かつ線形電圧のような線形領域に優先的に変換されることができ、それについては、「領域間処理及びビット深度」において下記でさらに検討される。変換の結果は線形コード値になり、そのコード値は指示される駆動電圧を表すことができる。
【0034】
補償器13は線形コード値を受信し、その線形コード値は、ELサブピクセルから指示される特定の光強度に対応することができる。むらによって引き起こされる駆動トランジスタ及びELエミッター内の変動、並びにELサブピクセル内の駆動トランジスタ及びELエミッターの或る期間にわたる動作によって引き起こされる駆動トランジスタ及びELエミッター内の変動の結果として、ELサブピクセルは一般的に、線形コード値に応じて、指示された光強度を生成しなくなる。補償器13は、ELサブピクセルが指示された輝度を生成することになる変更済み線形コード値を出力し、それにより、駆動トランジスタ及びELエミッターの或る期間にわたる動作によって引き起こされる駆動トランジスタ及びELエミッターの特性の変動、並びに駆動トランジスタ及びELエミッターの特性のサブピクセル間の変動を補償する。補償器の動作は、「実施態様」において下記でさらに検討される。
【0035】
補償器13からの変更済み線形コード値はソースドライバ14に渡され、ソースドライバはデジタル/アナログコンバータとすることができる。ソースドライバ14は、変更済み線形コード値に応答して、駆動トランジスタ制御信号を生成し、その信号は、アナログ電圧若しくはアナログ電流、又はパルス幅変調波形のようなデジタル信号とすることができる。好ましい実施形態では、ソースドライバ14は、線形入力-出力関係を有するソースドライバ、又はそのガンマ電圧が概ね線形な出力を生成するように設定される、従来のLCDソースドライバ若しくはOLEDソースドライバとすることができる。後者の場合、線形性から逸脱すると、結果の品質に影響が及ぼされることになる。また、ソースドライバ14は、たとえば、同じ譲受人に譲渡されるKawabeによる国際公開第2005/116971号において教示されるような、時分割(デジタル駆動)ソースドライバとすることもできる。デジタル駆動ソースドライバからのアナログ電圧は、補償器からの出力信号に応じた時間の長さだけ、光出力を指示する所定のレベルに設定される。対照的に、従来のソースドライバは、或る決まった長さの時間(一般的には、フレーム全体)だけ、補償器からの出力信号に依存するレベルのアナログ電圧を与える。ソースドドライバは、1つ又は複数の駆動トランジスタ制御信号を同時に出力することができる。パネルは、それぞれ一度に1つのサブピクセルのための駆動トランジスタ制御信号を出力する、複数のソースドライバを有することが好ましい。
【0036】
ソースドライバ14によって生成される駆動トランジスタ制御信号は、ELサブピクセル15に与えられる。この回路は、「ディスプレイ構成要素の説明」において下記で検討される。アナログ電圧がELサブピクセル15内の駆動トランジスタのゲート電極に与えられると、駆動トランジスタ及びELエミッターを通って電流が流れ、ELエミッターが光を放射する。一般的に、ELエミッターを通って流れる電流とエミッターの光出力の輝度との間には線形の関係があり、駆動トランジスタに印加される電圧とELエミッターを通って流れる電流との間には非線形の関係がある。それゆえ、1フレーム中にELエミッターによって放射される光の全量は、ソースドライバ14からの電圧の非線形関数とすることができる。
【0037】
ELサブピクセルを通って流れる電流は、「データ収集」において下記でさらに検討されるように、電流測定回路16によって特定の駆動条件下で測定される。ELサブピクセルのための測定された電流は、補償器に、指示された駆動信号を調整するために必要とする情報を提供する。これは、「アルゴリズム」において下記でさらに検討する。」
「【図1】
[図:0001401056000001.jpg]
」

イ 【0038】~【0039】、【図10】

「【0038】
ディスプレイ構成要素の説明
図10は、OLEDエミッターのようなELエミッターに電流を流すELサブピクセル15、及び関連回路部を示す。ELサブピクセル15は、駆動トランジスタ201と、ELエミッター202と、オプションでストレージキャパシタ1002及び選択トランジスタ36とを備える。第1の電圧供給源211(「PVDD」)は正とすることができ、第2の電圧供給源206(「Vcom」)は負とすることができる。ELエミッター202は、第1の電極207及び第2の電極208を有する。駆動トランジスタは、ゲート電極203と、駆動トランジスタのドレインすることができる第1の供給電極204と、駆動トランジスタのソースとすることができる第2の供給電極205とを有する。オプションでは選択トランジスタ36を通して、駆動トランジスタ制御信号をゲート電極203に与えることができる。駆動トランジスタ制御信号は、ストレージキャパシタ1002に格納することができる。第1の供給電極204は、第1の電圧供給源211に電気的に接続される。第2の供給電極205は、ELエミッターに電流を流すために、ELエミッター202の第1の電極207に電気的に接続される。ELエミッターの第2の電極208は、第2の電圧供給源206に電気的に接続される。電圧供給源は通常ELパネル外に配置される。電気的接続は、スイッチ、バス線、導通トランジスタ、又は電流のための経路を提供することができる他のデバイス若しくは構造を通して行なうことができる。
【0039】
第1の供給電極204は、PVDDバス線1011を通して第1の電圧供給源211に電気的に接続され、第2の電極208は、シートカソード1012を通して第2の電圧供給源206に電気的に接続され、選択トランジスタ36がゲート線34によってアクティブにされると、列線、たとえば、32aにわたって、ソースドライバ14によってゲート電極203に駆動トランジスタ制御信号が与えられる。」
「【図10】
[図:0001401056000002.jpg]
」

ウ 【0047】、【図3】

「【0047】
図3を参照すると、本発明において有用なELパネル30が、列線32a、32b、32cを駆動するソースドライバ14、行線34a、34b、34cを駆動するゲートドライバ33、及びサブピクセルマトリックス35を有する。サブピクセルマトリックス35は、行及び列のアレイ内に複数のELサブピクセル15を含む。用語「行」及び「列」は、ELパネルの任意のどの向きも意味しないことに留意されたい。図10に示すように、ELサブピクセル15は、ELエミッター202、駆動トランジスタ201及び選択トランジスタ36を有する。選択トランジスタ36のゲートは、それぞれの行線34a、32b又は34cに電気的に接続され、そのソース電極及びドレイン電極のうちの一方が、それぞれの列線32a、32b又は32cに電気的に接続され、もう一方が駆動トランジスタ201のゲート電極203に接続される。選択トランジスタ36のソース電極が列線(たとえば32a)に接続されるか、又は駆動トランジスタのゲート電極203に接続されるかは、選択トランジスタの動作に影響を与えない。本発明は電圧供給源をサブピクセルと接続するための種々の方式と共に利用することができるので、明確にするために、図10に示されるような電圧供給源211及び206が、図3において示されており、各サブピクセルに接続される。」
「【図3】
[図:0001401056000003.jpg]
」

エ 【0051】、【図2】、【図4A】

「【0051】
図2を再び参照し、合わせて図4も参照すると、相関ダブルサンプリングユニット220が、I/Vコンバータ216からの電圧信号に応答して、サブピクセル毎の測定データを与える。ハードウエアにおいて、電流ミラーユニット210からの対応する電圧信号を図2のサンプルアンドホールドユニット221及び222にラッチすることによって、電流が測定される。差動増幅器223は、連続したサブピクセルの測定値間の差を取る。サンプルアンドホールドユニット221の出力は、差動増幅器223の正端子に電気的に接続され、ユニット222の出力は、増幅器223の負端子に電気的に接続される。たとえば、電流41が測定されるとき、その測定値はサンプルアンドホールドユニット221にラッチされる。その後、電流42が測定される(ユニット221にラッチされる)前に、ユニット221の出力が第2のサンプルアンドホールドユニット222にラッチされる。その後、電流42が測定される。これは、電流41をユニット222内に、電流42をユニット221内に残す。それゆえ、差動増幅器の出力、すなわち、ユニット221内の値からユニット222内の値を引いたものが、電流42(を表す電圧信号)から電流41(を表す電圧信号)を引いたもの、すなわち、差43である。このようにして、行を下方に、かつ列を横断して進むことによって、各サブピクセルの測定を行なうことができる。種々の駆動レベル(ゲート電圧又はゲート電流密度)において連続的に測定を行ない、測定されたサブピクセル毎にI-V曲線を形成することができる。1つの列が測定された後に、たとえば、ブラックレベルに対応するデータを書き込むことによって、その列を非アクティブにすることができ、その後、次の列が測定される。」
「【図2】
[図:0001401056000004.jpg]
」
「【図4A】
[図:0001401056000005.jpg]
」

オ 【0070】~【0075】、【図5A】、【図5B】

「【0070】
アルゴリズム
図5Aを参照すると、I-V曲線501は、経時変化前のサブピクセルの測定された特性である。I-V曲線502は、経時変化後のサブピクセルの測定された特性である。曲線501、及び502は、異なる電流レベルにおける同一の電圧差503、504、505、及び506によって示されるように、主に水平方向のシフトによって分離される。すなわち、経時変化の主な作用は、ゲート電圧軸上で一定の量だけI-V曲線をシフトすることである。これは、MOSFET飽和領域の駆動トランジスタの式、Id=K(Vgs-Vth)2に従う(Lurch, N. Fundamentals of electronics, 2e. New York: John Wiley Sons, 1971, pg. 110):駆動トランジスタが動作すると、Vthは増加し、そして、Vthが増加すると、それに応じてVgsが増加して、Idを一定に保持する。それゆえ、Vgsを一定にする結果として、Vthが増加すると、Idsが小さくなる。
【0071】
続きを表示(全13行)
測定基準ゲート電圧510において、経時変化していないサブピクセルは、点511で表される電流を生成した。しかしながら、経時変化したサブピクセルは、そのゲート電圧において、点512aで表される、より低い電流量を生成した。点511及び521aは、異なる時間において取り込まれる同じサブピクセルの2つの測定値とすることができる。例えば、点511は、製造時の測定値とすることができ、点512aは、顧客がいくらか使用した後の測定値とすることができる。点512aにおいて表される電流は、電圧513(点512b)で駆動されるときに、経時変化していないサブピクセルであれば生成していたので、電圧シフトΔVth514は、電圧510と513との間の電圧差として計算される。したがって、電圧シフト514は、経時変化した曲線を経時変化していな曲線(当審注:「経時変化していない曲線」の誤記と認められる。)に戻すために必要とされるシフトである。この例では、ΔVth514は、2V弱である。その際、Vthシフトを補償し、経時変化したサブピクセルを経時変化していないサブピクセルが有したのと同じ電流に駆動するために、電圧シフト514が、指示された全ての駆動電圧(線形コード電圧)に加算される。さらに処理するために、電流512aを電流511で割った値として、パーセント電流が計算される。したがって、経時変化していないサブピクセルは、100%電流を有することになる。パーセント電流は、本発明によるいくつかのアルゴリズムにおいて用いられる。極端な環境雑音によって引き起こされる場合があるような、任意の負の電流読み値511は、0にクリップされるか、又は無視することができる。パーセント電流は常に測定基準ゲート電圧510において計算されることに留意されたい。
【0072】
一般的に、経時変化したサブピクセルの電流は、経時変化していないサブピクセルの電流よりも高いか、又は低い可能性がある。例えば、温度が高くなるほど、多くの電流が流れるので、高温環境におけるわずかに経時変化したサブピクセルは、低温環境における経時変化していないサブピクセルよりも多くの電流を引き込む可能性がある。本発明の補償アルゴリズムは、いずれの場合も取り扱うことができる:ΔVth514は、正である可能性も、負である可能性もある(又は、経時変化していないピクセルの場合は0)。同様に、パーセント電流は、100%より大きい可能性も、小さい可能性もある(又は、経時変化していないピクセルの場合に、厳密に100%)。
【0073】
Vthシフトに起因する電圧差は、全ての電流で同じであるので、I-V曲線上のいずれか1つの点を測定して、この差を求めることができる。一実施形態では、高いゲート電圧において測定が行われ、測定の信号対雑音比を高めることが有利であるが、曲線上の任意のゲート電圧を用いることができる。
【0074】
Voledシフトは、二次的な経時変化作用である。ELデバイスが動作するのに応じて、Voledがシフトし、それにより、経時変化したI-V曲線がもはや経時変化していない曲線の単なるシフトではなくなる。これは、Voledが電流と共に非線形に上昇するためであり、Voledシフトが及ぼす影響は、高電流では低電流とは異なるであろう。この作用によって、I-V曲線は水平方向に伸長し、かつシフトする。Voledシフトを補償するために、異なる駆動レベルにおいて2回の測定を行い、曲線がどのくらい伸長したかを求めることができるか、又は負荷をかけてOLEDの通常のVoledシフトを特徴付けて、開ループでVoledの寄与を推定できるようにする。いずれも、許容可能な結果を生成することができる。
【0075】
図5Bを参照すると、経時変化していないサブピクセルのI-V曲線501及び経時変化したサブピクセルのI-V曲線502が片対数目盛において示される。成分550は、Vthシフトに起因し、成分552は、Voledシフトに起因する。Voledシフトは、測定手段を備えたOLEDサブピクセルを、長時間にわたって通常の入力信号によって駆動し、Vth及びVoledを周期的に測定することによって特徴付けることができる。2つの測定は、測定手段を備えたサブピクセル上に、OLEDとトランジスタとの間にプローブ点を設けることによって、別々に行うことができる。この特徴付けを用いて、パーセント電流を、Vthシフトに対してだけではなく、適切なΔVth及びVoledに対してマッピングすることができる。」
「【図5A】
[図:0001401056000006.jpg]
」
「【図5B】
[図:0001401056000007.jpg]
」

カ 【0079】~【0081】

「【0079】
特別な測定感度のための要件は、電流を測定する間に、駆動トランジスタを線形の動作領域において動作させることによって緩和することができる。電子回路技術分野において既知であるように、薄膜トランジスタは、2つの異なる動作モード:線形(Vds<Vgs-Vth)及び飽和(Vds≧Vgs-Vth)において、感知できるほどの電流を流す(Lurch, op. cit., p. 111)。ELの応用例では、駆動トランジスタは通常飽和領域において動作し、Vds変動が電流に及ぼす影響を低減する。しかしながら、線形動作領域では、
Ids=K[2(Vgs-Vth)Vds-Vds2]
であり(Lurch, op. cit., pg. 112)、電流IdsはVdsに大きく依存する。図10に示されるように、
Vds=(PVDD-Vcom)-Voled
であるので、線形領域におけるIdsはVoledに大きく依存する。それゆえ、駆動トランジスタ201の線形動作領域において電流を測定することは、飽和領域において同じ測定を行なうのに比べて、新品のOLEDエミッター(511)と経時変化したOLEDエミッター(512a)との間の測定電流の変化の大きさを大きくするので好都合である。
【0080】
それゆえ、本発明の一実施形態では、シーケンスコントローラ37は、電圧コントローラを含むことができる。上記のように電流を測定する間に、電圧コントローラは、第1の電圧供給源211及び第2の電圧供給源206のための電圧を制御し、試験電圧源として動作するソースドライバ14からの駆動トランジスタ制御信号を制御して、駆動トランジスタ201を線形領域において動作させることができる。たとえば、PMOS非反転構成では、電圧コントローラは、PVDD電圧及び駆動トランジスタ制御信号を一定の値に保持し、Vcom電圧を上昇させて、Vgsを低減することなく、Vdsを低減することができる。VdsがVgs-Vth未満に降下するとき、駆動トランジスタは線形領域において動作していることになり、測定を行なうことができる。
【0081】
電圧コントローラ及びシーケンスコントローラが協調して測定中にトランジスタを線形領域において動作させる限り、2つのコントローラは別々に設けることもできる。シーケンスコントローラが異なる時点において異なるグループのELサブピクセルを選択する上記の実施形態では、電圧コントローラはPVDD供給源211及びVcom供給源206のための電圧を制御し、ソースドライバ14からのそれぞれの駆動トランジスタ制御信号を制御して、選択された各ELサブピクセル内の駆動トランジスタ201を線形領域において動作させることができる。パネルは複数のPVDD供給源及びVcom供給源を有することができ、その場合に、選択されたELサブピクセル内の駆動トランジスタ201を線形領域において動作させるために、どのELサブピクセルが選択されるかによって、各供給源を独立して制御することができる。」

(2) 引用発明の認定

ア 引用文献1の【0033】及び【図1】から、ディスプレイシステム10は、補償器13、ソースドライバ14、ELサブピクセル15及び電流測定回路16を備えていることが読み取れる。

イ 前記(1)の記載事項及び前記アの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

<引用発明>

「補償器13、ソースドライバ14、ELサブピクセル15及び電流測定回路16を備えるディスプレイシステム10であって(前記アの認定事項)、
ELパネル30が、ソースドライバ14、ゲートドライバ33、及びサブピクセルマトリックス35を有し、サブピクセルマトリックス35は、行及び列のアレイ内に複数のELサブピクセル15を含み(【0047】)、
補償器13は、指示される駆動電圧を表す線形コード値を受信し、その線形コード値は、ELサブピクセルから指示される特定の光強度に対応することができ、ELサブピクセルが指示された輝度を生成することになる変更済み線形コード値を出力し、それにより、駆動トランジスタ及びELエミッターの或る期間にわたる動作によって引き起こされる駆動トランジスタ及びELエミッターの特性の変動を補償し(【0033】、【0034】)、
補償器13は、アクティブマトリックスOLEDパネル上の全てのサブピクセルのVthシフト、Voledシフト及びOLED効率損失を補償し(【0031】、【0034】)、
続きを表示(全15行)
補償器13からの変更済み線形コード値はソースドライバ14に渡され、ソースドライバ14は、変更済み線形コード値に応答して、駆動トランジスタ制御信号を生成し(【0035】)、
ソースドライバ14によって生成される駆動トランジスタ制御信号は、ELサブピクセル15に与えられ、アナログ電圧がELサブピクセル15内の駆動トランジスタのゲート電極に与えられると、駆動トランジスタ及びELエミッターを通って電流が流れ、ELエミッターが光を放射し(【0036】)、
ELサブピクセルを通って流れる電流は、電流測定回路16によって特定の駆動条件下で測定され、ELサブピクセルのための測定された電流は、補償器に、指示された駆動信号を調整するために必要とする情報を提供し、種々の駆動レベル(ゲート電圧)において連続的に各サブピクセルの測定を行ない、測定されたサブピクセル毎にI-V曲線を形成することができ(【0037】、【0051】)、
経時変化前のサブピクセルの測定された特性であるI-V曲線501、及び、経時変化後のサブピクセルの測定された特性であるI-V曲線502は、主に水平方向のシフトによって分離され(【0070】)、
測定基準ゲート電圧510において、経時変化していないサブピクセルは、点511で表される電流を生成し、経時変化したサブピクセルは、そのゲート電圧において、点512aで表される、より低い電流量を生成し、点511は、製造時の測定値とすることができ、点512aは、顧客がいくらか使用した後の測定値とすることができ、点512aにおいて表される電流は、電圧513(点512b)で駆動されるときに、経時変化していないサブピクセルであれば生成していたので、電圧シフトΔVth514は、電圧510と513との間の電圧差として計算され、電圧シフト514は、経時変化した曲線を経時変化していない曲線に戻すために必要とされるシフトであり、Vthシフトを補償し、経時変化したサブピクセルを経時変化していないサブピクセルが有したのと同じ電流に駆動するために、電圧シフト514が、指示された全ての駆動電圧(線形コード電圧)に加算され(【0071】)、
Vthシフトに起因する電圧差は、全ての電流で同じであるので、I-V曲線上のいずれか1つの点を測定して、この差を求めることができ(【0073】)、
Voledシフトは、二次的な経時変化作用であり、これは、Voledが電流と共に非線形に上昇するためであり、Voledシフトが及ぼす影響は、高電流では低電流とは異なり、Voledシフトを補償するために、異なる駆動レベルにおいて2回の測定を行い、曲線がどのくらい伸長したかを求めることができ(【0074】)、
ELサブピクセル15は、駆動トランジスタ201と、ELエミッター202を備え、ELエミッター202は、第2の電極208を有し、ELエミッターの第2の電極208は、第2の電圧供給源206(「Vcom」)に電気的に接続され(【0038】)、
特別な測定感度のための要件は、電流を測定する間に、駆動トランジスタを線形の動作領域において動作させることによって緩和することができ(【0079】)、
パネルは複数のVcom供給源を有することができ、その場合に、選択されたELサブピクセル内の駆動トランジスタ201を線形領域において動作させるために、どのELサブピクセルが選択されるかによって、各供給源を独立して制御する(【0081】)、
ディスプレイシステム10。」

2 引用文献4に記載された事項及び周知技術の認定

(1) 引用文献4に記載された事項

当審拒絶理由に引用された前記引用文献4には、以下の事項が記載されている。

「【0039】
図3に示すように、表示パネル40上の画素アレイ部(有効表示領域)30の周辺部、例えば画素アレイ部30を挟んでその左右両側の空白領域(いわゆる、額縁領域)には、第1,第2の基準画素部51,52が対をなして複数組設けられている。すなわち、第1,第2の基準画素部51,52は1対1の対応関係をもって設けられている。また、対をなす第1,第2の基準画素部51,52は、例えば隣接して設けられている。
【0040】
図4に示すように、隣接して設けられる第1,第2の基準画素部51,52のうち、第1の基準画素部51は、有効画素20の輝度の劣化量を測定するためのダミー画素である。したがって、第1の基準画素部51は、あらかじめ定められた特定の色および輝度で有効画素回路と同等の駆動方式により常時発光駆動される。そして、第1の基準画素部51の輝度を検出することで、その検出結果から有効画素20の輝度の劣化量を予測することができる。以下、この第1の基準画素部51を劣化測定画素部51と記述する。複数組分の劣化測定画素部51は各々異なる輝度で発光駆動される。
【0041】
一方、第2の基準画素部52は、有効画素20の初期状態の輝度を測定するためのダミー画素である。したがって、第2の基準画素部52は、常時消灯状態にあり、有効画素20の輝度の劣化量を検出するときに発光駆動される。そして、後述するように、第2の基準画素部52の検出結果を基準とし、第1の基準画素部51の検出結果と第2の基準画素部52の検出結果とを比較することにより、有効画素20の初期状態からの輝度の劣化量を予測することができる。以下、この第2の基準画素部52を単に基準画素部52と記述する。」
「【0050】
形態例2)
10組の対の配置例において、一方の額縁側の5組の対の劣化測定画素部51および他方の額縁側の5組の対の劣化測定画素部51について全て異なる輝度で発光駆動するようにする。すなわち、画素アレイ部30の片側5組、計10組の対の劣化測定画素部51について全て異なる輝度、即ち計10段階の輝度で発光駆動するようにする。
【0051】
このように、画素アレイ部30の左右両側に例えば5組ずつ設けられた劣化測定画素部51について全て異なる輝度で発光駆動することにより、10段階の輝度の下で輝度の劣化量を検出できる。したがって、5段階の輝度の下で輝度の劣化量の検出を行う場合に比べて劣化量を検出する際の分解能を上げることができる。」
「【図3】
[図:0001401056000008.jpg]
」
「【図4】
[図:0001401056000009.jpg]
」

(2) 周知技術の認定

引用文献4の前記(1)の摘記箇所の記載に例示されるように、次の事項は周知技術であると認める(以下「周知技術」という。)。

<周知技術>

「表示パネルの画素アレイ部(有効表示領域)の周辺部(額縁領域)に、有効画素の初期状態の輝度を測定するためのダミー画素を設けること。」

3 引用文献5に記載された事項の認定

(1) 引用文献5に記載された事項

当審拒絶理由に引用された前記引用文献5には、以下の事項が記載されている。

「【0003】
ところで、有機EL素子その他の自発光素子は、その発光量や発光時間に応じて劣化する特性があることは一般的にも知られている。
一方で、ディスプレイに表示される画像の内容は一様ではない。このため、自発光素子の劣化が部分的に進行し易い。例えば時刻表示領域(固定表示領域)の自発光素子は、他の表示領域(動画表示領域)の自発光素子に比べて劣化の進行が速い。
劣化が進行した自発光素子の輝度は、他の表示領域の輝度に比して相対的に低下する。一般に、この現象は“焼き付き”と呼ばれる。以下、部分的な自発光素子の劣化を“焼き付き”と表記する。」
「【0006】
しかし、既存の補正方法は、焼き付き現象の補正を優先する方法であるため、画像を大きく変化させる可能性があった。すなわち、結果的に著しく画質を低下させる可能性があった。
もっとも、画質への影響を考慮して補正量を微小に留めると、劣化量差の補正に膨大な時間を要したり、補正が間に合わずに補正自体が不可能になる可能性がある。」
「【0015】
ここで、標準補正量の具体的な決定方法は任意である。発明に係る技術手法は、決定された補正量の修正に特徴があり、標準補正量の決定方法は影響しないためである。
ただし、この形態例では、生成される標準補正量の最大値に以下の制約条件を設けている。すなわち、全て同一の階調データ値で構成されるパターン画面において、ある領域についてだけ階調データ値を変化させた場合にその変化が簡易に視認されない程度に、標準補正量の絶対値の最大値を制限する。
これは、どのような画像に対して焼き付き補正が実行されても画質の低下が簡単には視認されない条件を意味する。」

(2) 引用文献5に記載された事項の認定

前記(1)の記載事項を総合すると、引用文献5には、次の事項が記載されているものと認められる(以下「引用文献5記載事項」という。)。

<引用文献5記載事項>

「発光量や発光時間に応じて劣化する有機EL素子の劣化を補正するために、階調データ値を変化させた場合に、どのような画像に対して補正が実行されても画質の低下が簡単には視認されないように、補正量の絶対値の最大値を制限すること。」

第5 対比

1 対比分析

本願発明と引用発明を対比する。

(1) 引用発明の「補償器13、ソースドライバ14、ELサブピクセル15及び電流測定回路16を備えるディスプレイシステム10」において、ELパネル30が、前記ソースドライバ14と、複数の前記ELサブピクセル15を行及び列のアレイ内に含むサブピクセルマトリックス35を有するものとされているところ、引用発明の「ELパネル30」、「ディスプレイシステム10」は、それぞれ本願発明の「ディスプレイパネル」、「電子デバイス」に相当する。

よって、本願発明と引用発明は、「ディスプレイパネルを備える、電子デバイス」の発明である点で一致する。

(2) 引用発明の「ELサブピクセル15」は、本願発明の「第2の画素」に相当するから、引用発明の「行及び列のアレイ内に複数のELサブピクセル15を含[む]」「サブピクセルマトリックス35」は、本願発明の「第2の画素を含むアクティブアレイ」に相当する。

(3) 引用発明の「第2の電圧供給源206(「Vcom」)」は、ELサブピクセル15が備えるELエミッター202の第2の電極208と電気的に接続されている。

よって、本願発明の「前記第2の画素に結合された、前記第1の電源とは別個の第2の電源」と、引用発明の「第2の電圧供給源206(「Vcom」)」は、「前記第2の画素に結合された、第2の電源」である点で共通する。

(4) 引用発明の「補償器13」は変更済み線形コード値をソースドライバ14に渡し、「ソースドライバ14」は変更済み線形コード値に応答して、駆動トランジスタ制御信号を生成し、ソースドライバ14によって生成される駆動トランジスタ制御信号は、ELサブピクセル15に与えられるから、引用発明の「補償器13」及び「ソースドライバ14」は、本願発明の「制御回路」に相当する。

(5)ア 前記(2)を踏まえると、引用発明の「経時変化した曲線」であり、「経時変化後のサブピクセルの測定された特性であるI-V曲線502」は、本願発明の「第2の画素に関連付けられた電流-電圧曲線」に相当する。

イ 引用発明においては、駆動トランジスタ及びELエミッターの特性の変動の補償を、経時変化した曲線を経時変化していない曲線に戻すために必要とされる電圧シフトが全ての駆動電圧(線形コード電圧)に加算されることにより行っているから、「経時変化していない曲線」である「I-V曲線501」は、補償の基準となる曲線であるといえる。

よって、引用発明の「I-V曲線501」と本願発明の「第1の画素に関連付けられた基準電流-電圧曲線」は、「基準電流-電圧曲線」という点で共通する。

ウ(ア) 引用発明においては、電圧シフトは、経時変化した曲線を経時変化していない曲線に戻すために必要とされるシフトであり、「指示された全ての」駆動電圧(線形コード電圧)に加算されるから、電圧シフトは、一つの駆動電圧における電圧シフトに限定されるのではなく、指示された全て、すなわち複数の駆動電圧(線形コード電圧)における電圧シフトを想定していることは明らかである。

(イ) また、電圧シフトは、経時変化したサブピクセルを経時変化していないサブピクセルが有したのと同じ電流に駆動するためのものであるから、全ての駆動電圧(線形コード電圧)に対応する電流値における電圧シフトを想定しているともいえる。

(ウ) よって、引用発明において、経時変化した曲線を経時変化していない曲線に戻すために必要とされ、経時変化したサブピクセルを経時変化していないサブピクセルが有したのと同じ電流に駆動するための電圧シフトが指示された全ての駆動電圧(線形コード電圧)に加算されることは、全ての駆動電圧(線形コード電圧)に対応する全ての電流値において電圧シフトが加算されることを意味し、全ての電流値において電圧シフトを加算するためには、全ての電流値における電圧シフトを算出、すなわち判断する必要があることは自明である。

(エ) したがって、前記ア及びイ並びに前記(ア)~(ウ)を踏まえると、引用発明において、「電圧シフト514は、経時変化した曲線を経時変化していない曲線に戻すために必要とされるシフトであり、」「経時変化したサブピクセルを経時変化していないサブピクセルが有したのと同じ電流に駆動するために、電圧シフト514が、指示された全ての駆動電圧(線形コード電圧)に加算され[る]」ことは、本願発明の「前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第1の電流値における第1の電圧差と、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第2の電流値における第2の電圧差とを含む、1組の電圧差を判断する」ことに相当する。

エ(ア) 引用発明においては、補償器13は、指示される駆動電圧を表す線形コード値を受信し、その線形コード値は、ELサブピクセルから指示される特定の光強度に対応することができ、ELサブピクセルが指示された輝度を生成することになる変更済み線形コード値を出力するものである。

(イ) そして、引用発明は、経時変化した曲線を経時変化していない曲線に戻すために必要とされるシフトである電圧シフト514が、指示された全ての駆動電圧(線形コード電圧)に加算されるところ、当該電圧シフト514は、経時変化していない曲線であるI-V曲線501、及び、経時変化した曲線であるI-V曲線502に基づいて、補償器13が算出、すなわち判断するものであるといえる。

オ よって、前記ア~エの検討を踏まえると、本願発明と引用発明は、「制御回路」が「前記第2の画素に関連付けられた電流-電圧曲線及び基準電流-電圧曲線に基づいて、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第1の電流値における第1の電圧差と、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第2の電流値における第2の電圧差とを含む、1組の電圧差を判断するステップ」を実行するように構成されている点で共通する。

(6) 引用発明においては、補償器13が、I-V曲線501及びI-V曲線502から得られる電圧シフトが、指示された全ての駆動電圧(線形コード電圧)に加算されて変更済み線形コード値を出力しているところ、この変更済み線形コード値に応答して生成される駆動トランジスタ制御信号によってELサブピクセル15の駆動トランジスタ及びELエミッターを通って流れる電流は、前記(5)の検討を踏まえると、本願発明の「前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の前記1つ以上の補償値」に相当する。

よって、本願発明と引用発明は、「制御回路」が「前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の1つ以上の補償値に基づいて、前記第2の画素を駆動するステップ」を実行するように構成されている点で共通する。

2 一致点及び相違点

前記1の対比分析の検討結果を総合すると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、それぞれ次に示すとおりである。

(1) 一致点

電子デバイスであって、

ディスプレイパネルであって、

第2の画素を含むアクティブアレイと、

前記第2の画素に結合された、第2の電源と、

制御回路であって、

前記第2の画素に関連付けられた電流-電圧曲線及び基準電流-電圧曲線に基づいて、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第1の電流値における第1の電圧差と、前記電流-電圧曲線及び前記基準電流-電圧曲線間の第2の電流値における第2の電圧差とを含む、1組の電圧差を判断するステップと、

前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の1つ以上の補償値に基づいて、前記第2の画素を駆動するステップと、を実行するように構成された、制御回路と

を含む、ディスプレイパネル

を備える、電子デバイス、である点。

(2) 相違点

ア 相違点1

本願発明においては、

「視界から隠れた第1の画素を含む基準アレイ」及び「前記第1の画素に結合された第1の電源」を備えており、

「前記第2の画素に結合された」「第2の電源」が、前記第1の電源とは別個の電源であり、

「基準電流-電圧曲線」が、前記第1の画素に関連付けられたものであるのに対して、

引用発明においては、

視界から隠れた画素を含む基準アレイ、及び、当該画素に結合された電源を有しておらず、

経時変化前のサブピクセルの測定された特性であるI-V曲線501が、製造時の測定値であり、前記第1の画素に関連付けられたものではない点。

イ 相違点2

本願発明においては、

「補償値」が、「制御回路」が実行する、「前記補償値が適用される前の電流値と前記補償値との差が視認性閾値未満となるように制限するステップであって、前記視認性閾値は、前記ディスプレイパネルの観察者が検出可能な、前記アクティブアレイの前記第2の画素に供給される電流の変化に対応し、前記1つ以上の補償値は、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との第1の差が、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との差である、前記視認性閾値に対応する第2の差よりも小さくなるように制限されるステップ」により制限されたものであるのに対して、

引用発明においては、

変更済み線形コード値に応答して生成される駆動トランジスタ制御信号によってELサブピクセル15の駆動トランジスタ及びELエミッターを通って流れる電流に対して制限をかけていない点。

第6 判断

1 相違点1について

前記相違点1について検討する。

(1) 前記第4の2(2)に示したとおり、表示パネルの画素アレイ部(有効表示領域)の周辺部(額縁領域)に、有効画素の初期状態の輝度を測定するためのダミー画素を設けることは、本願優先日前に周知である。

(2) ここで、前記周知技術の「表示パネルの画素アレイ部(有効表示領域)の周辺部(額縁領域)」に設けられた「ダミー画素」は、「視界から隠れた第1の画素」に相当する。

(3) 引用発明においては、製造時のサブピクセルを測定することにより、経時変化前のI-V曲線501を求めているところ、画素に流れる電流値と画素の輝度とが対応した特性であることは、本願優先日時点において文献を示すまでもない技術常識であることを勘案すれば、引用発明と前記周知技術は、初期状態(経時変化前)の画素の特性を取得する点において共通するものであるから、引用発明に前記周知技術を適用して、製造時のサブピクセルを測定することに代えて、表示パネルの額縁領域にダミー画素を設け、種々の駆動レベル(ゲート電圧)において連続的に前記ダミー画素の測定を行うことにより、経時変化前のI-V曲線501を求めるようにすること、すなわち、I-V曲線501を当該ダミー画素に関連付けられたものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

なお、基準アレイの第1の画素の数について、本願明細書の段落【0106】には、「基準アレイ64は、任意の好適な数の画素65の列(例えば、1~1000)を含んでもよい。」と記載されており、第1の画素の数が1つの場合を含んでいる。また、引用文献4の【0039】、【0050】-【0051】、【図3】に記載されているように、有効画素の初期状態の輝度を測定するためのダミー画素の数を複数として劣化量を検出する際の分解能を挙げることも周知技術である。

(4) そして、引用発明は、「複数のVcom供給源」を有しており、「選択されたELサブピクセル内の駆動トランジスタ201を線形領域において動作させるために、どのELサブピクセルが選択されるかによって、各供給源を独立して制御する」ものであるから、ダミー画素が設けられた際は、ダミー画素のVcom供給源と、有効表示領域の画素のVcom供給源を別個の電源として、各電源を独立して制御することになることは明らかである。

(5) したがって、引用発明において、前記相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

2 相違点2について

前記相違点2について検討する。

(1) 前記第4の3(2)に示したとおり、本願優先日前に発行された引用文献5には、発光量や発光時間に応じて劣化する有機EL素子の劣化を補正するために、階調データ値を変化させた場合に、どのような画像に対して補正が実行されても画質の低下が簡単には視認されないように、補正量の絶対値の最大値を制限することが記載されている。

(2) 引用発明においては、補償器13が、経時変化前のI-V曲線と経時変化後のI-V曲線に基づいて、受信した線形コード値を変更済み線形コード値に変更して、サブピクセルの経時変化による電圧シフトの補償を行っているところ、変更済み線形コード値に応答して生成される駆動トランジスタ制御信号によってELサブピクセル15に流れる電流は、電圧シフトを補償する前の電流から、補償した後の電流に変化することになるから、引用発明においても、線形コード値を変更済み線形コード値に変更する場合に、画質の低下が簡易に視認されないようにするという課題を内在していることは明らかである。

(3) よって、引用発明において、前記課題を解決するために、引用文献5記載事項に倣って、電圧シフトの補償前後の画質の低下が簡易に視認されないように、補償器13が電圧シフトの補償前後の線形コード値の差及び当該差に対応するサブピクセル15に流れる電流の差が、ある閾値未満になるように制限することは、当業者が容易に想到し得たことである。そして、サブピクセル15に流れる電流の差に対する「ある閾値」は、本願発明の「視認性閾値」に相当する。

(4) したがって、引用発明において、前記相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

3 総合検討

前記1及び2において検討したとおり、引用発明において前記相違点1及び相違点2に係る本願発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、前記相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献5記載事項及び周知技術から予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、引用発明、引用文献5記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 請求人の主張について

(1) 請求人の主張内容

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請求人は、意見書において、次の主張をしている。

引用文献1及び4は、「前記1組の電圧差に基づいて、画像データを表す間に前記第2の画素に供給される1つ以上の電流に対応する1つ以上の電流値の1つ以上の補償値を視認性閾値未満に制限するステップであって、前記視認性閾値は、前記ディスプレイパネルの観察者が検出可能な、前記アクティブアレイの前記第2の画素に供給される電流の変化に対応し、前記1つ以上の補償値は、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との第1の差が、前記1つ以上の電流値と前記1つ以上の補償値との差である、前記視認性閾値に対応する第2の差よりも小さくなるように制限されるステップ」を開示、示唆していない。

引用文献5には、前記のような方法で、電流の補償値を視認性閾値未満に制限することを開示していない。引用文献5が詳述するのは、全て同一の階調データ値で構成されるパターン画面において、階調データ値をある領域についてだけ変化するように制限して決定された補正量の修正である(段落0015)。すなわち、引用文献5は、画素が属するブロックエリアについての階調データの補正プロセスを実行する(段落0016)。実際、引用文献5は、動画表示領域とは異なり、固定表示領域で発生する「焼き付き」現象を補償することに着目している(段落0003)。このように、引用文献5は、視認性閾値未満になるように、画素に供給される電流の補償値を制限していない。その代わり、引用文献5は、せいぜい画素のブロックの補助補正量を決定する程度であり、画素に供給される電流の補償値を視認性閾値未満に制限していない。

引用文献5は、焼き付き現象の防止に着目しているので、そこに記載の解決策は、ディスプレイ上の固定画像により消耗する画素の領域または集合を補償するものである。一方、アクティブ領域の画素に供給される電流に適用される補償値は、画素を介して光の表示を調整し、その調整が調整視認性閾値を超えないようにするものである。

このように、引用文献1~5は、上記事項を開示、示唆していない。そのため、たとえ当業者が引用文献1~5を如何様に参照し、また如何様に組み合わせたとしても上記事項を容易に想到し得ない。

(2) 請求人の主張についての検討

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請求人の主張は要するに、引用文献5では画素に供給される電流の補償値を視認性閾値未満に制限していないというものであるが、引用文献5には、発光量や発光時間に応じて劣化する有機EL素子の劣化を補正するために、階調データ値を変化させた場合に、どのような画像に対して補正が実行されても画質の低下が簡単には視認されないように、補正量の絶対値の最大値を制限することが開示されていることは前記第4の3(2)に示したとおりであり、有機EL素子においては階調データ値が画素に供給される電流量に対応することは技術常識であり、どのような画像に対して補正が実行されても画質の低下が簡単には視認されないような補正量の絶対値の最大値は、ディスプレイパネルの観察者が検出可能な閾値、すなわち視認性閾値に他ならない。

したがって、引用文献5には画素に供給される電流の補償値を視認性閾値未満に制限することが開示されているから、請求人の主張は失当である。

また、請求人は引用文献5が固定表示領域で発生する「焼き付き」現象を補償することに着目している旨も主張しているが、固定表示領域で発生する「焼き付き」現象を補償することが、画素に供給される電流の補償値を視認性閾値未満に制限していないこととどのような関連があるのか不明であり、当該主張も採用できない。

したがって、請求人の主張は、前記3の結論を左右するものではない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献5記載事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-003714

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