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特許拒絶査定不服審判

2022-003429

がんを処置するための方法

審判番号
2022-003429
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-538604外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年03月07日
審決日
2023年07月06日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .575-Z (A61K) / P18 .121-Z (A61K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-538604「がんを処置するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月27日国際公開、WO2017/127811、平成31年 1月31日国内公表、特表2019-502741〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続きの経緯

本願は、2017年(平成29年)1月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年1月22日、米国)を国際出願日とする出願であって、その主な手続きの経緯は、次のとおりである。

令和2年11月13日 手続補正書の提出

令和3年 2月25日付け 拒絶理由通知書

同年 9月 1日 意見書、手続補正書及び手続補足書の提出

同年11月 4日付け 拒絶査定

令和4年 3月 7日 手続補正書及び審判請求書の提出

第2 令和4年3月7日提出の手続補正書による手続補正についての補正却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年3月7日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の記載は、補正前(令和3年9月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲)の

「【請求項1】
転移性黒色腫および転移性非小細胞肺がんから選択されるがんの処置を必要とする患者における前記がんの処置において、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与するための医薬組成物であって、X4P-001またはその薬学的に許容される塩を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
がんが、転移性黒色腫である、請求項1に記載の医薬組成物。
続きを表示(全60行)
【請求項3】
患者が、免疫チェックポイント阻害剤で以前に処置されたことがある、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
患者が、ペンブロリズマブで以前に処置されたことがある、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
患者が、CD8+T細胞密度の増加に有効な量のX4P-001またはその薬学的に許容される塩で処置され、次いで、免疫チェックポイント阻害剤による追加的な処置を受ける、請求項1から3までのいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
転移性黒色腫または転移性非小細胞肺がんの処置が、患者から生体試料を得て、疾患関連のバイオマーカーの量を測定するステップを含む、請求項1から3までのいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
生体試料が、血液試料である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
疾患関連のバイオマーカーが、循環CD8+T細胞である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
1日に2回、経口投与される、請求項1から7までのいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
免疫チェックポイント阻害剤による転移性黒色腫または転移性非小細胞肺がんの処置に対する応答性を、前記処置を受ける患者において増加させるための医薬組成物であって、X4P-001またはその薬学的に許容される塩を含む、前記医薬組成物。
【請求項12】
転移性黒色腫の処置を必要とする患者における転移性黒色腫の処置において、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与するための単位剤形であって、
(a)X4P-001またはその薬学的に許容される塩 - 組成物の約30~40質 量%;
(b)微結晶性セルロース - 組成物の約20~25質量%;
(c)リン酸水素カルシウム二水和物 - 組成物の約30~35質量%;
(d)クロスカルメロースナトリウム - 組成物の約5~10質量%;
(e)ステアリルフマル酸ナトリウム - 組成物の約0.5~2質量%;
(f)コロイド状二酸化ケイ素 - 組成物の約0.1~1.0質量%;および
(g)ラウリル硫酸ナトリウム - 組成物の約0.1~1.0質量%
を含む組成物を含む、前記単位剤形。
【請求項13】
カプセル剤の形態の、請求項12に記載の単位剤形。
【請求項14】
カプセル剤が、約100mgのX4P-001またはその薬学的に許容される塩を含む 、請求項13に記載の単位剤形。
【請求項15】
免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブである、請求項12に記載の単位剤形。
【請求項16】
転移性黒色腫が、切除可能である、請求項15に記載の単位剤形。
【請求項17】
患者が、転移性黒色腫の一部または全ての除去のための外科手術を受けたことがある、請求項16に記載の単位剤形。
【請求項18】
転移性黒色腫が、切除不能である、請求項15に記載の単位剤形。
【請求項19】
がんが、切除可能な転移性黒色腫である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
患者が、転移性黒色腫の一部または全ての除去のための外科手術を受けたことがある、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
がんが、切除不能な転移性黒色腫である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
X4P-001またはその薬学的に許容される塩が、約200mg~約600mgの一日用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
X4P-001またはその薬学的に許容される塩が、約200mg~約600mgの一日用量で投与され、免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブであり、かつ、3週間毎の30分間にわたる静脈内注入としての2mg/kgの用量で、21日毎に10m g/kgの用量で、又は14日毎に10mg/kgの用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
X4P-001が、約400mgの一日用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
X4P-001またはその薬学的に許容される塩が、約200mg~約600mgの一日用量で投与される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項26】
X4P-001またはその薬学的に許容される塩が、約200mg~約600mgの一日用量で投与され、免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブであり、かつ、3週間毎の30分間にわたる静脈内注入としての2mg/kgの用量で、21日毎に10mg/kgの用量で、又は14日毎に10mg/kgの用量で投与される、請求項12に記載の単位剤形。」

から、補正後の

「【請求項1】
転移性黒色腫および転移性非小細胞肺がんから選択されるがんの処置を必要とする患者における前記がんの処置において、ペンブロリズマブと組み合わせて投与するための医薬組成物であって、X4P-001またはその薬学的に許容される塩を含む、前記医薬組成物。
【請求項2】
がんが、転移性黒色腫である、請求項1に記載の医薬組成物。
続きを表示(全56行)
【請求項3】
患者が、免疫チェックポイント阻害剤で以前に処置されたことがある、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
患者が、ペンブロリズマブで以前に処置されたことがある、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
患者が、CD8+T細胞密度の増加に有効な量のX4P-001またはその薬学的に許容される塩で処置され、次いで、ペンブロリズマブによる追加的な処置を受ける、請求項1から3までのいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
転移性黒色腫または転移性非小細胞肺がんの処置が、患者から生体試料を得て、疾患関連のバイオマーカーの量を測定するステップを含む、請求項1から3までのいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
生体試料が、血液試料である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
疾患関連のバイオマーカーが、循環CD8+T細胞である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1日に2回、経口投与される、請求項1から6までのいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項10】
ペンブロリズマブによる転移性黒色腫または転移性非小細胞肺がんの処置に対する応答性を、前記処置を受ける患者において増加させるための医薬組成物であって、X4P-001またはその薬学的に許容される塩を含む、前記医薬組成物。
【請求項11】
転移性黒色腫の処置を必要とする患者における転移性黒色腫の処置において、ペンブロリズマブと組み合わせて投与するための単位剤形であって、
(a)X4P-001またはその薬学的に許容される塩 - 組成物の約30~40質量%;
(b)微結晶性セルロース - 組成物の約20~25質量%;
(c)リン酸水素カルシウム二水和物 - 組成物の約30~35質量%;
(d)クロスカルメロースナトリウム - 組成物の約5~10質量%;
(e)ステアリルフマル酸ナトリウム - 組成物の約0.5~2質量%;
(f)コロイド状二酸化ケイ素 - 組成物の約0.1~1.0質量%;および
(g)ラウリル硫酸ナトリウム - 組成物の約0.1~1.0質量%
を含む組成物を含む、前記単位剤形。
【請求項12】
カプセル剤の形態の、請求項11に記載の単位剤形。
【請求項13】
カプセル剤が、約100mgのX4P-001またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項12に記載の単位剤形。
【請求項14】
転移性黒色腫が、切除可能である、請求項11に記載の単位剤形。
【請求項15】
患者が、転移性黒色腫の一部または全ての除去のための外科手術を受けたことがある、請求項14に記載の単位剤形。
【請求項16】
転移性黒色腫が、切除不能である、請求項11に記載の単位剤形。
【請求項17】
がんが、切除可能な転移性黒色腫である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項18】
患者が、転移性黒色腫の一部または全ての除去のための外科手術を受けたことがある、 請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
がんが、切除不能な転移性黒色腫である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
X4P-001またはその薬学的に許容される塩が、約200mg~約600mgの一日用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
X4P-001またはその薬学的に許容される塩が、約200mg~約600mgの一日用量で投与され、ペンブロリズマブが3週間毎の30分間にわたる静脈内注入としての2mg/kgの用量で、21日毎に10mg/kgの用量で、又は14日毎に10mg/kgの用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
X4P-001が、約400mgの一日用量で投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
X4P-001またはその薬学的に許容される塩が、約200mg~約600mgの一日用量で投与される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項24】
X4P-001またはその薬学的に許容される塩が、約200mg~約600mgの一日用量で投与され、ペンブロリズマブが3週間毎の30分間にわたる静脈内注入としての 2mg/kgの用量で、21日毎に10mg/kgの用量で、又は14日毎に10mg/kgの用量で投与される、請求項11に記載の単位剤形。」(下線部は補正箇所を示す。)

に補正された。

2 補正の目的について

本件補正は、

(1)本件補正前の請求項1、6、11及び12に記載された「免疫チェックポイント阻害剤」を、補正前の請求項5及び15等の記載に基づき「ペンブロリズマブ」に変更する補正、

(2)補正前の請求項5及び15の削除、

(3)前記請求項の削除に伴い、補正前の請求項8~10、13、14、16~18、20、25及び26における引用請求項の番号の補正、

(4)上記(1)の限定に伴い、補正前の請求項23及び26における「免疫チェックポイント阻害剤が、ペンブロリズマブであり」との記載を、補正後の請求項21及び24における「ペンブロリズマブが」に変更する補正

を含む。

そして、上記(1)及び(4)の補正は、「免疫チェックポイント阻害剤」を、下位概念である「ペンブロリズマブ」に限定する補正であって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の記載の限定的減縮を目的とし、上記(2)及び(3)の補正は、同条第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件について

そこで、本件補正後の、請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明

本件補正発明は、上記1(1)に記載した、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
転移性黒色腫および転移性非小細胞肺がんから選択されるがんの処置を必要とする患者における前記がんの処置において、ペンブロリズマブと組み合わせて投与するための医薬組成物であって、X4P-001またはその薬学的に許容される塩を含む、前記医薬組成物。」

(2)引用文献

ア 引用文献1について

原査定の拒絶理由で引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2015/0352208号明細書(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、引用文献1は外国語の文献であるため、当審合議体による翻訳文で示す。

(ア)「45 がんに罹患している患者を治療する方法であって、CXCR4アンタゴニスト及びチェックポイントアンタゴニストを投与することを含む、方法。」(請求項45)

(イ)「46 請求項45に記載の方法であって、CXCR4アンタゴニストが
a)抗CXCR4抗体;
b)BMS-936564/MDX-1338;
c)LY2510924;
d)1,1’-[1,4-フェニレンビス(メチレン)ビス[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン](AMD3100;プレリキサフォル);
e)N,N-ジプロピル-N-[4-({[(1H-イミダゾール-2-イル)メチル)ベンゾイル][(1-メチル-1H-イミダゾール-2イル)メチル]アミノ}メチル)ベンゾイル]-N-メチルブタン-1,4-ヂアミントリ(2R,3R)-タートレート(KRH-3955);
f)([5-(4-メチル-1-ピペラジニル)-2-({メチル[(8S)-5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル]アミノ}メチル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル]メタノール)(GSK812397);又は
g)N-(1H-ベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N’-(5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-8-イル)ブタン-1,4-ジアミン(AMD11070)から選択される方法。」(請求項46)

(ウ)「48 請求項45に記載の方法であって、チェックポイントアンタゴニストはPD-1アンタゴニスト又はPD-L1アンタゴニストである方法。」(請求項48)

(エ)「49 請求項48に記載の方法であって、PD-1アンタゴニスト又はPD-L1アンタゴニストが、a)抗PD-1抗体;又はb)抗PD-L1抗体から選択される方法。」(請求項49)

(オ)「本発明は、腫瘍の治療に関するものである。特に、本発明は、免疫抑制を低減又は阻止し、癌性腫瘍内微小環境におけるT細胞の動員及び蓄積を増大させることに関し、CD3+T細胞、及び好ましくはCD3+エフェクターT細胞の腫瘍からの排除及び細胞死、並びに抗腫瘍T細胞活性の抑制を克服することを目的とする。」([0001])

(カ)「CTLA-4及びPD-1/PD-L1受容体/リガンドの組み合わせに対して遮断するモノクローナル抗体を用い、T細胞が免疫チェックポイントを克服することに着目することによって、がん免疫療法は近年発展し、がん患者における顕著な成果に導いた(1-6)。しかしながら、多くの患者はこれらの免疫チェックポイントアンタゴニストに対して、理解されていない理由により、応答しなかった。」([0002])

(キ)「本発明は、腫瘍におけるT細胞の排除を阻害する方法に関し、薬学的に効果的な量のCXCR4シグナル伝達阻害剤を患者に投与することを含む方法であって、CXCR4シグナル伝達阻害剤は腫瘍に含まれるがん細胞中のT細胞の近接性又は頻度を増加させるものである。」([0009])

(ク)「好ましい実施形態において、腫瘍は、腺癌、肉腫、皮膚癌、黒色腫、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、肝臓癌、頭頸部癌、食道癌、膵臓癌、膵管腺癌(PDA)、腎癌、胃癌、多発性骨髄腫、又は脳の癌である。」([0014])

(ケ)「他の好ましい実施形態において、CXCR4シグナル伝達阻害剤は、CXCR4アンタゴニストである。さらに好ましい実施形態において、CXCR4アンタゴニストは抗CXCR4抗体である。」([0016])

(コ)「本発明の実施形態では、T細胞の蓄積の増加は、腫瘍の成長速度及び免疫回避を低減するのに有効である。本発明者らは、腫瘍のがん細胞を含む部位へのCD3+T細胞の動員は、腫瘍の免疫学的調節の結果として、腫瘍成長を阻害することを観察している。」([0030])

(サ)「本発明は、CXCR4シグナル伝達阻害剤及び抗がん化合物を単独で投与することは可能であるが、同じ又は別個の医薬組成物(例えば、製剤)中の化合物を提供することが好ましい。
医薬組成物は、CXCR4シグナル伝達阻害剤及び/又は抗がん化合物に加えて、当業者によく知られている1つ又はそれ以上の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤、滑沢剤、又は他の材料を含んでいてもよい。」([0121]-[0122])

(シ)「・・・マウスは12時間明/12時間暗サイクルで収容し、食餌と水を自由摂取させた。LSL-KrasG12D/+;LSL10Tp53R172H/+;Pdx-1-Cre(KPC)及びFAP-DTR BACトランスジェニックマウスの作出は以前に記述されている(8、10)。これらの系統を交配してKPCD(Kras;p53;Cre;DTR)マウスを作出した。KPC及びKPCDマウスは60日齢から腹部触診により腫瘍をスクリーニングした。腫瘍は高解像度超音波(Vevo 2100、VisualSonics)で確認した。・・・AMD3100(SigmaAldrich)は30mg/ml又は90mg/ml(高用量)で(0日に挿入された)浸透圧ポンプにより投与した。T細胞枯渇実験では、マウスはα-CD4(GK1.5、Biolegend)及びα-CD8α(53-6.7、Biolegend)、又はそれぞれのアイソタイプコントロール抗体のそれぞれ300mを、処置開始前3連続した24日間と、腹腔内注射による処置コース中の2日及び5日に受けた。」([0176])

(ス)「皮下LL2/OVA腫瘍モデル:C57BL/6はCharles River UKから購入し、Rag2-/-マウスはローカルで樹立して繁殖した。2×105LL2/OVA細胞を、1%熱失活マウス血清を含むRPMI中で皮下に注入した。腫瘍サイズはノギスを用いて長(L)及び短(S)寸法を計り、式:体積=(L×S2)/2を用いて腫瘍体積を計算した。AMD3100(30mg/ml)処置はALZET浸透圧ポンプ(1007D又は2022、Charls River)を皮下に挿入することによって、腫瘍が少なくとも62mm3に達した12日目に開始した。
細胞株
ニワトリ卵白アルブミンを発現するルイス肺癌細胞株LL2(LL2/OVA)の作製はKramanら2010に報告された。」([0177]-[0178])

(審決注:RAG2(recombination activating gene 2)を欠くRAG2ノックアウトマウスは、T細胞およびB細胞の受容体の再構成ができず、T細胞、B細胞、NKT(natural killer T)細胞を完全に欠く免疫不全マウスである。(Rag2ノックアウトマウス:バイオキーワード集:実験医学online、羊土社;https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/2733.html))

(セ)「PBS又はAMD3100を含む連続注入浸透圧ポンプを、確立された皮下LL2/OVA腫瘍を担持するC57BL/6マウス及びRag2-/-C57BL/6マウスに移植し、超音波で腫瘍体積を測定した(全ての群についてn=5)。AMD3100は皮下免疫原性LL2腫瘍のT細胞依存性制御を誘導することが観察された。」([0209])

(ソ)「腫瘍免疫抑制におけるCXCL12の役割を評価するために、AMD3100(・・・)、CXCR4特異的阻害剤(18)を、CD4+及びCD8+T細胞を枯渇させる抗体の存在下又は非存在下でPDA担癌マウスに投与した。T細胞依存的様式でAMD3100によって腫瘍増殖は遅延した(図8左)。」([0208])

(タ)「図8は、(左)PBS又はAMD3100(30mg/ml)を含む連続注入浸透圧ポンプの埋め込み後のPDA担癌マウスにおいて測定された腫瘍体積を示す。いくつかは、コントロールIgG又は、CD4及びCD8枯渇抗体で前処理された(PBS n=5、AMD3100+アイソタイプIgG n=6、AMD3100+抗CD4/8 n=4);及び(右)AMD3100(高用量)を含む連続注入浸透圧ポンプを埋め込んだPDA担癌マウスで、コントロールIgG、又は抗CTLA4又は抗PD-L1も投与されたもの(AMD3100高+アイソタイプIgG(n=6)、AMD3100高+抗CTLA-4(n=4)、AMD3100高+抗PD-L1(n=7))において測定された腫瘍体積を示す。」([0043])

(チ)

[図:0001404054000001.jpg]

(図8)

(ツ)「AMD3100ががん細胞の間のT細胞浸潤を増強するかどうかを決定するために、マウスを24時間、PBS、AMD3100、α-PD-L1、又はAMD3100及びαPD-L1で処理した。α-PD-L1単独は効果がなかったが、AMD3100はT細胞の蓄積を増加させ、α-PD-L1のAMD3100との組み合わせはこの効果を増強し、p53+LOH細胞の頻度を減少させた。
それぞれ、PBS、α-PD-L1、AMD3100高、AMD3100高+αPD-L1(各群 n=3)での処置開始の24時間後に、12のKPC腫瘍をマウスから採取し、共焦点顕微鏡でp53及びCD3を評価した。AMD3100及びαPD-L1はPDAのがん細胞を含む領域においてCD3+細胞の蓄積を誘導したことが観察された(図10を参照)。」([0213-0214])

(テ)「図10(A)抗PD-L1、(B)AMD3100又は(C)AMD3100及び抗PD-L1で24時間処置されたマウスからのマウス膵臓腫瘍切片の共焦点顕微鏡写真で、がん細胞を示すためにp53に対する抗体、T細胞を示すために抗CD3エプシロンに対する抗体で染色した。抗PD-L1での処置後でさえ、p53+がん細胞を含む腫瘍領域からT細胞が排除される。この排除はAMD3100によって克服され、抗PD-L1との組み合わせはがん細胞の消失を引き起こす。パネルDはそれぞれ、PBS、抗PD-L1、AMD3100、及びAMD3100+抗PD-L1で24時間処置したマウスから採取された腫瘍における各がん細胞から最も近いT細胞までの距離を示すヒストグラムである。」([0045])

(ト)

[図:0001404054000002.jpg]

(図10)

イ 引用文献2について

原査定の拒絶理由で引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である、The New England Journal of Medicine(2013)vol.369、134-144頁(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、引用文献2は外国語の文献であるため、当審合議体による翻訳文で示す。

(ア)「黒色腫におけるラムブロリズマブ(抗PD-1)の安全性及び腫瘍応答」(表題)

(イ)「抗PD-1抗体ニボルマブ(以前はBMS936558として知られた)と、抗PD-L1抗体BMS936559の安全性を評価する、2つの大規模な用量漸増第1相臨床研究は、進行性黒色腫、肺癌及び腎細胞癌、その他の癌の患者において、顕著な抗腫瘍活性を示し、このようにPD-1-PD-L1軸を治療標的として確認した7-9。多くの腫瘍応答は1年を超えて認容された8,9。毒性効果は一般に低グレードであった。」(135頁左欄2段落)

(ウ)「ラムブロリズマブ(以前はMK-3475(審決注:ペンブロリズマブに相当する。本願明細書【0014】を参照。)として知られた)は、PD-1に対し、高度に選択的な、ヒト化モノクローナルIgG4-κアイソタイプ抗体であり、T細胞によって発現されるPD-1受容体の負の免疫制御シグナル伝達を遮断するように設計されている。・・・固形腫瘍患者を対象とした最初の用量漸増第1相試験では、ラムブロリズマブは試験された用量レベル(kg体重当たり1mg、kg当たり3mg、及びkg当たり10mg、2週間毎の投与)で、最大耐容量に達することなく、安全であった。さらに、全ての用量レベルで臨床応答が観察された10。・・・」(135頁左欄3段落~右欄1段落)

ウ 引用文献6について

原査定の拒絶査定で引用された、本願優先日前に頒布された刊行物であるBritish Journal of Cancer(2013)vol.108、no.8、p.1634-1640(以下「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、引用文献6は外国語の文献であるため、当審合議体による翻訳文で示す。

(ア)「黒色腫におけるAMD11070によるCXCR4-CXCL12走化性の阻害」(表題)

(イ)「方法:AMD11070、新規な経口で生物学的に利用可能なCXCR4の阻害剤が、黒色腫細胞の転移を阻害する能力について試験され、一般的に報告されているアンタゴニストAMD3100と比較された。
結果:AMD11070は黒色腫細胞の遊走を抑制し、AMD3100より有意に効果的であった。臨床の場面において重要なことは、B-RAF-V600Eの発現がAMD11070の感受性に影響しないことであった。
結論:肝臓に存在する筋線維芽細胞はCXCL12を分泌し、CXCR4を発現する腫瘍細胞が血液から肝臓へ遊走するのを促進することができる。AMD11070によるこの軸の遮断は、このようなB-RAF野生型及び変異型の双方の黒色腫に対する新たな治療戦略となる。」(1634頁11~17行)

(ウ)「・・・がん細胞によるケモカイン受容体の発現はCXCL12を介したMAPKシグナル伝達を含むメカニズムによって遊走、増強された増殖及び細胞生存を引き起こすことは広く受け入れられている(・・・)。したがってCXCR4-CXL12軸は黒色腫の魅力的な治療標的となる(・・・)。しかし、一般的に報告されているアンタゴニストであるAMD3100の不十分な薬理学的プロファイルのために、臨床応用が困難であることが判明している。AMD11070は最近、より好ましい薬理学的プロファイルを有する、経口で生物学的に利用可能な新規CXCR4阻害剤として報告された(Mosiら、2012);・・・」(1635左欄28-38行)

エ 引用文献7について

原査定の拒絶査定において引用された、本願優先日前に頒布された刊行物であるClinical Cancer Research(2015)vol.21、no.13、p.2892-2897(以下「引用文献7」という。)には、以下の事項が記載されている。なお、引用文献7は外国語の文献であるため、当審合議体による翻訳文で示す。

(ア)「進行性又は切除不能な黒色腫患者の治療のためのペンブロリズマブ」(表題)

(イ)「コーリー毒素から免疫チェックポイント阻害の組み合わせに至るまで、免疫系を活性化し、抗がん免疫を生成する戦略は1世紀以上にわたってずっと継続している。過去10年にわたり、いわゆる免疫チェックポイント阻害剤、一般的には、T細胞活性化の鍵となる調節因子を標的とするモノクローナル抗体が、最も効果的な免疫標的剤として浮上した。ペンブロリズマブは転移性黒色腫の治療のためにFDAに承認された最初の抗プログラム死1(PD-1)抗体である。」(2892頁要約左欄1~9行)

オ 引用文献8について

当審において新たに引用する、本願優先日前に頒布された刊行物である、最新医学(2015)70巻、3号、104-110頁(以下「引用文献8」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア)「PD-1阻害薬の呼吸器疾患への応用」(表題)

(イ)「がん免疫療法は,外科的療法,放射線療法,化学療法に加わるがん治療の第4の柱となりつつある.抗PD-1/PD-L1抗体といったPD-1阻害薬は,持続的な臨床効果と安全性が報告され,がん免疫療法で最も開発が著しく,非小細胞肺がんにおいても数年以内に承認される見込みである.作用機序,効果判定法,バイオマーカーなどまだまだ検討課題も多いが,予後不良な患者の恩恵となるよう期待したい。」(104頁要約)

(ウ)

[図:0001404054000003.jpg]

(106頁 表2)

(3)引用発明

上記(2)アに摘記した引用文献1の記載事項(ア)~(ト)に基づけば、引用文献1には、CXCR4アンタゴニストであるAMD3100によるCXCR4シグナル伝達の阻害は、エフェクターCD+T細胞のがん細胞を含む領域への蓄積を増強するとともに、がん細胞へ近接させる活性を有し(上記(2)ア(オ)、(キ)、(ケ)、(コ)、(シ)~(ト))、CTLA-4及びPD-1/PD-L1受容体/リガンドの組み合わせを遮断する免疫チェックポイントアンタゴニストを含む、がん免疫療法による治療効果を増強すること(上記(2)ア(ソ)~(ト))が、膵臓がん及び肺がん移植モデルマウスを用いた実験的裏付けをもって記載されている。そして、CXCR4アンタゴニストといったCXCR4シグナル伝達阻害剤は、医薬組成物として投与されるものである(上記(2)ア(ケ)、(サ)、(シ)及び(ス))。

そうすると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「膵臓がん及び肺がんを含む、がんの処置を必要とする患者における前記がんの処置において、免疫チェックポイントアンタゴニストと組み合わせて投与するための医薬組成物であって、CXCR4アンタゴニストを含む、医薬組成物。」

(4)対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

本件補正発明における「転移性非小細胞肺がん」は「肺がん」の一種である。

また、本件補正発明における「ペンブロリズマブ」は、本願明細書【0014】及び【0016】に説明されるように、以前MK-3475として公知であったヒト化抗体であり、免疫チェックポイント阻害剤のうち、PD-1アンタゴニストに該当する。

さらに、本件補正発明における「X4P-001」は、本願明細書【0014】に説明されるように、以前AMD11070と命名されたCXCR4アンタゴニストである。

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、以下の点で相違する。

<一致点>

「がんの処置を必要とする患者における前記がんの処置において、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与するための医薬組成物であって、CXCR4アンタゴニストを含む、前記医薬組成物。」

<相違点1>

本件補正発明では、がんの種類が、「転移性黒色腫および転移性非小細胞肺がんから選択される」がんであるのに対し、引用発明では「膵臓がん及び肺がんを含むがん」であるものの、「転移性黒色腫および転移性非小細胞肺がんから選択されるがん」に特定されていない点。

<相違点2>

本件補正発明では、免疫チェックポイント阻害剤として、ペンブロリズマブを特定しているのに対し、引用発明では、「免疫チェックポイントアンタゴニスト」であるものの、ペンブロリズマブに特定されていない点。

<相違点3>

本件補正発明では、CXCR4アンタゴニストとして、X4P-001を特定しているのに対し、引用発明では、「CXCR4アンタゴニスト」であるものの、X4P-001(AMD11070)に特定されていない点。

(5)判断

上記相違点について検討する。

ア 相違点1について

引用発明は、免疫抑制を低減又は阻止してCD3+エフェクターT細胞の活性を高め、がん免疫療法への応答性を高めることを目的とした発明であり(上記(2)ア(オ)~(キ))、対象のがんとしては「黒色腫」や「肺がん」等、様々なものを含むが(上記(2)ア(ク))、その中でも膵管腺癌(PDA)及び肺がん(LL2)については実験によりCXCL4アンタゴニストによって免疫抑制を低減し、T細胞による抗腫瘍活性が高まることを確認している。

一方、引用文献8(上記(2)オ)に記載されるように、本願優先日前に、肺がんの中でも非小細胞肺がんは、がん免疫療法の適用対象であり、その全奏功率(ORR)も20%台に留まることは、周知の技術的事項であった。

そうすると、がん免疫療法の適用対象として周知の非小細胞肺がんにおいて、中でも悪性度の高い転移性非小細胞肺がんの患者において治療効果を高めることは、当該技術分野において当然認識されている技術課題であるから、がん免疫療法の治療効果を高めることを目的とし、様々ながんを対象とする引用発明において、その適用対象として、上記周知の転移性非小細胞肺がんを選択することは、当業者が容易に想到し得たものである。

イ 相違点2について

引用文献2、7及び8(上記(2)イ、エ及びオ)に記載されるように、以前はMK-3457とも呼ばれたペンブロリズマブは、本願優先日前に最初に米国で承認された周知の免疫チェックポイント阻害剤であり、臨床の現場での実績を有するものではあるが、上記(2)オに見られるように全奏功率は十分とはいえないものである。

そして、引用発明はがん免疫療法の応答性を高めることを目的とするものであるから、臨床現場での実績が多く、さらなる全奏功率の改善が望まれるペンブロリズマブを、引用発明におけるCXCR4アンタゴニストと組み合わせる免疫チェックポイント阻害剤として採用することは、当業者が極めて自然に想起し得たものといえる。

ウ 相違点3について

引用文献1では、CXCR4アンタゴニストとしてAMD11070は例示されるのみであり(上記(2)ア(イ))、実施例ではAMD3100が使用されている(上記(2)ア(シ)~(テ))。

しかしながら、引用文献6(上記(2)ウ)に記載されるように、AMD3100は不十分な薬理学的プロファイルのために臨床応用が困難であることが判明している一方で、AMD11070は、より好ましい薬理学的プロファイルを有し、効果もAMD3100より高いCXCR4アンタゴニストとして周知のものであった。

そうすると、引用発明の実用化を目指す当業者であれば、CXCR4アンタゴニストとして、引用文献1において引用発明の実施態様として記載されてはいるものの、臨床応用が困難なAMD3100ではなく、より好ましいとされる周知のAMD11070(X4P-001)を用いることが強く動機づけられたものといえる。

エ そうすると、引用発明における相違点1~3について、引用文献1及び上記周知の技術的事項に基づき、本件補正発明の構成を備えたものとすることは、当業者が容易に想到し得たものといえる。

オ 次に、本件補正発明の効果について検討する。

(ア)本願明細書の実施例1~3には、CD8+T細胞の測定方法、固形腫瘍を有する患者における応答を評価するための判断基準、ヒト黒色腫異種移植モデルについて一般的な説明がされるのみであり、実施例4には、転移性黒色腫における臨床処置レジメンについて説明がされるが、試験結果はなく、非小細胞肺がんに関しては具体的に何も説明されていない。

(イ)請求人の主張について

請求人は、審判請求書において、本願明細書に記載されている実施例4の臨床試験の結果として資料1を提出し、「X4P-001とペムブロリズマブの組み合わせは、TMEを変化させ、すべての患者がすでに少なくともステージIIIBに進んでおり、その大部分がステージIIICまたはステージIVM1Aである転移性黒色腫を患っていたにもかかわらず、これらの患者の免疫系を活性化しました。このように患者が進行した段階の転移性黒色腫を有している場合、当業者は一般に治療がより困難であることを予想するため、本願発明の治療効果が顕著であることを示しています。・・・すなわち、TMEにおけるCD8+T細胞密度の増加をもたらすことは、ヒトのデータを含まず、特定の癌に対する効果を確認していない引用文献1の記載からみて、格別顕著な効果であるといえます。」と主張している。

しかしながら、上記臨床試験の結果は転移性黒色腫のデータであり、非小細胞肺がんに関するデータはない。

そして、請求人も非小細胞肺がんに関する効果については、何も主張していない。

(ウ)そうすると、非小細胞肺がんを発明特定事項とする本件補正発明が、引用発明、引用文献1の記載事項並びに上記周知技術から予測し得ない効果を奏するものとは認められない。

カ 小括

以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献1に記載された事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 本件補正についてのむすび

以上のとおり、本件補正発明は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、令和3年9月1日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。

「【請求項1】
転移性黒色腫および転移性非小細胞肺がんから選択されるがんの処置を必要とする患者における前記がんの処置において、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与する ための医薬組成物であって、X4P-001またはその薬学的に許容される塩を含む、前記医薬組成物。」

2 原査定の理由

原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

3 引用文献の記載事項及び引用発明

引用文献1、2、6~8の記載事項は、上記第2の3(2)に記したとおりである。また、引用発明についても、上記第2の3(3)に記したとおりである。

4 本願発明1と引用発明との対比・判断

上記第2の2で検討したとおり、本件補正発明は、本願発明1の「免役チェックポイント阻害剤」を「ペンブロリズマブ」に限定したものであるから、本願発明1は本件補正発明を包含するものである。

したがって、本件補正発明を包含する本願発明1は、上記第2の3において本件補正発明について説示したのと同様の理由により、引用発明及び引用文献1の記載事項並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献1に記載された事項、並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-003429

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