2022-003402
包装用袋
- 審判番号
- 2022-003402
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2020-005944外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1721718
- 請求日
- 2022年03月07日
- 審決日
- 2022年06月21日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ブラザー工業株式会社
- 【請求人代理人】日高 一樹
- 分類
- D18 .113-WY (F4-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第14条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の主な経緯
本願は、意匠法第14条第1項の規定により、1年間秘密にすることを請求する、令和2年(2020年)3月27日の意匠登録出願であって、同年8月21日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月12日に意見書が提出されたが、令和3年12月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和4年3月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「包装用袋」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様又は色彩の結合」を「形態」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。「膨らませた状態の斜視図」及び「展開図」を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。
引用意匠:
特許庁意匠課が2006年 2月24日に受け入れた
エコロジー商品カタログ
第19ページ所載
包装用袋の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC18004547号)
第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、包装用袋の形状、模様及び色彩の結合(形態)であって、その内容は以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用袋」である。
(2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、正面において、上下方向にて中央の約3分の1を占める縦長長方形の部分を除いた部分である。
本願部分は、包装用袋の、正面において、上下方向にて中央の約3分の1を占める部分を除いた部分の位置、大きさ及び範囲であって、当該位置、大きさ及び範囲(本願部分)における用途及び機能を有するものである。
(3)本願部分の形態
〔形態A1〕全体は、縦長のガゼットタイプの袋体であって、膨らませた状態では、上から順に、上シール部、上傾斜部(切妻屋根状に傾斜している部分。以下同じ。)、本体部、下傾斜部(上下逆さまにした切妻屋根状に傾斜している部分。以下同じ。)及び下シール部から成っている。
〔形態A2〕正面図において、縦長長方形であって、上方に吊穴を設けている。
〔形態A3〕展開図によると、正面の縦長さ:正面の横幅:マチの長さは、約10:4:2である。
〔形態A4〕吊穴は、飛行機穴であって、その横幅は正面の横幅の約2分の1である。
〔形態A5〕展開図によると、正面部分及び側面部分は、上から約1:2の割合で水平に塗り分け(ただし、後記の形態A7及び8の上下の端縁部を除く。)、かつ、背面部分は、上から1:5強の割合で水平に塗り分けている(ただし、後記の形態A7及び8の上下の端縁部を除く。)。
〔形態A6〕形態A5によって塗り分けられた塗り分けは、上側が濃紺色で、下側が黒色としている。
〔形態A7〕上端のごく細い縁部と、下端のごく細い縁部は、塗り分けている。
〔形態A8〕上端と下端の縁部は、明度の高い青色である。
2.引用意匠
引用意匠は、上記「第3」の、特許庁意匠課が受け入れた公知資料の内容によると、以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「包装用袋」である。
(2)引用部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
引用意匠中、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は、正面において、上下方向にて中央の約3分の1を占める縦長長方形の部分を除いた部分である。
引用部分は、包装用袋の、正面において、上下方向にて中央の約3分の1を占める部分を除いた部分の位置、大きさ及び範囲であって、当該位置、大きさ及び範囲(引用部分)における用途及び機能を有するものである。
(3)引用部分の形態
〔形態B1〕全体は、縦長のガゼットタイプの袋体であって、膨らませた状態では、上から順に、上シール部、上傾斜部、本体部、及び平坦な底部から成っている。
〔形態B2〕正面視にて、縦長長方形であって、上方に吊穴を設けている。
〔形態B3〕膨らませた状態で正面の縦長さ:正面の横幅:マチの長さは、約9:3:1である。
〔形態B4〕吊穴は、丸穴であって、その横幅は正面の横幅の約8分の1である。
〔形態B5〕展開した状態が不明であるが、マチの長さ(底部奥行き長さ)を考慮しても、正面部分は、上から1:2強の割合で水平に塗り分け、かつ、側面部分は、上から1:2強の割合で水平に塗り分けていると推認できる。背面部分及び底面部分は、不明である。
〔形態B6〕形態B5によって塗り分けられた塗り分けは、正面部分の上側が黄色で、下側が青色、側面部分の上側が黄色で、下側が灰色、それ以外の部分は、不明となっている。
3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠も引用意匠も、意匠に係る物品は、共に「包装用袋」である。
(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の対比
両部分共に、正面において、上下方向にて中央の約3分の1を占める縦長長方形の部分を除いた部分であり、包装用袋の、正面において、上下方向にて中央の約3分の1を占める部分を除いた部分の位置、大きさ及び範囲であって、当該位置、大きさ及び範囲(両部分)における用途及び機能を有するものである。
(3)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、以下に示す共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)全体は、縦長のガゼットタイプの袋体であって、膨らませた状態では、上から順に、上シール部、上傾斜部、本体部となっている。(形態A1とB1)
(イ)正面視にて、縦長長方形であって、上方に吊穴を設けている。(形態A2とB2)
(ウ)正面部分及び側面部分は、上から約1:2の割合で、水平に塗り分けている。(形態A5とB5)
(エ)共通点(ウ)によって、上シール部、正面側の上傾斜部、及び側面の上破風部(「破風部」とは、切妻破風の部分のこと。以下同じ。)を同色にしていることとなる。(形態A5とB5)
イ.相違点について
(ア)ガゼットタイプの袋体の下部の形状につき、本願部分は、下傾斜部及び下シール部から成っているのに対して、引用部分は、平坦な底部となっている点。(形態A1とB1)
(イ)正面の縦長さ:正面の横幅:マチの長さにつき、本願部分は、約10:4:2であるのに対して、引用部分は、約9:3:1である点。(形態A3とB3)
(ウ)吊穴の形状と大きさにつき、本願部分は、飛行機穴であって、その横幅は正面の横幅の約2分の1であるのに対して、引用部分は、丸穴であって、その横幅は正面の横幅の約8分の1である点。(形態A4とB4)
(エ)背面部分の塗り分けにつき、本願部分は、上から1:5強の割合で水平に塗り分けているのに対して、引用部分は不明である点。(形態A5とB5)
(オ)物品全体の配色(ただし、上下の端縁部を除く。)につき、本願部分は、上側が濃紺色で、下側が黒色となっているのに対して、引用部分は、正面部分の上側が黄色で、下側が青色、側面部分の上側が黄色で、下側が灰色、それ以外の部分は、不明となっている点。(形態A6とB6)
(カ)上端縁部及び下端縁部につき、本願部分は、ごく細い帯状で、明度の高い青色であるのに対して、引用部分は、そのような形態は見られない点。(形態A7、8)
4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の、意匠に係る物品は、いずれも「包装用袋」であるから、一致している。
(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の評価
両部分共に、正面において、上下方向にて中央の約3分の1を占める縦長長方形の部分を除いた部分であり、包装用袋の、正面において、上下方向にて中央の約3分の1を占める部分を除いた部分の位置、大きさ及び範囲であって、当該位置、大きさ及び範囲(両部分)の用途及び機能を有するものであるから、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能は一致している。
(3)両部分における形態の評価
ア.共通点について
共通点(ア)は、この物品分野においてありふれた形状であり、かつ、相違点(ア)の相違を内包するものであるから、この共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
共通点(イ)は、この物品分野においてありふれた形状であるから、この共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
共通点(ウ)及び(エ)は、上シール部、正面側の上傾斜部、及び側面の上破風部を同色にして、その他の部分(主に本体部)と色分けしているという形態である。
包装用袋の分野においては、袋の上部を色分けるという形態はありふれた形態であり、かつ、ガゼットタイプの袋体において、上シール部及び上傾斜部等を本体部と色分けするという形態についても、本願出願前から見受けられる形態であり、加えて、具体的には、相違点(エ)の色相の相違が存在する共通点といえるものであるから、両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
イ.相違点について
相違点(ア)は、本願部分のように下傾斜部及び下シール部となっているものも、引用部分のように平坦な底部となっているものも,この種物品分野においては以前から存在し、それぞれの特徴とは認められないが、この相違によって、引用部分は底部によって自立させることもできるものであるところ、本願部分は自立させることができないものである。このことは販売時において、本願部分は棚に並べて陳列できないのに対して、引用部分は棚に並べて陳列できるのであるから、両部分の類否判断に及ぼす影響は、一定程度認められる。
相違点(イ)は、この種物品分野においては、内容量に合わせて各種の寸法を定めることが通常であるところ、両部分においてそれほど大きな差がないため、両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
相違点(ウ)は、両部分共に、この物品分野においてありふれた形状であるから、両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
相違点(エ)は、本願部分において、正面及び側面の下側の塗り分けを、背面にて上にまで延ばした点が特徴的な形態であるから、この相違は、両部分の類否判断に及ぼす影響はとても大きい。
相違点(オ)は、本願部分は、全体的に暗調子で有るのに対して、引用部分は、上シール部、正面側の上傾斜部、及び側面の上破風部、並びに、本体側面部が明調子で、本体正面部はやや暗調子である、という相違であって、具体的な色の塗り分けパターンが異なり、なおかつ、色彩における明度差が大きく異なることから、両部分において別異の印象を生じさせているものといえ、両部分の類否判断に及ぼす影響はとても大きい。
相違点(カ)は、端縁部という局所における、ごく細い部分の相違であるから、両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(4)小括
そうすると、両部分の形態については、その共通点及び相違点の評価に基づくと、上記のとおり、共通点は、類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して、相違点(エ)及び(オ)によって類否判断に及ぼす影響は大きいものといえるものであり、両部分の形態は、類似するとは認められないものである。
(5)両意匠における類否判断
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能は一致している。
しかし、上記のとおり、両部分の形態は、類似するとは認められないものである。
よって、本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。
5.結び
以上のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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