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特許拒絶査定不服審判

2022-002529

料金計算処理方法と装置及び車両支払システム

審判番号
2022-002529
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-536520外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月21日
審決日
2023年08月15日
公報発行日
2024年01月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-536520「料金計算処理方法と装置及び車両支払システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月 4日国際公開、WO2019/128696、令和 3年 3月11日国内公表、特表2021-508887〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2018年(平成30年)12月11日(優先権主張 2017年(平成29年)12月29日、中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、令和3年6月24日付けの拒絶理由の通知に対し、同年9月28日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年10月14日付けで拒絶査定がされ、これに対して令和4年2月21日に審判請求がされると同時に手続補正がされた。その後、当審における同年8月25日付けの拒絶理由の通知に対し、同年11月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、さらに、令和5年3月2日付けの拒絶理由(最後)の通知に対し、同年6月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。 第2 令和5年6月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和5年6月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1についての補正を含むものであり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである(下線部は、本件補正により付加された箇所を示す。以下、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を「本件補正発明」という。)。 「 充電スタンドであって、 前記充電スタンドは、料金計算処理装置と、充電ガンを含み、 前記料金計算処理装置は、 前記充電ガン内の読取装置から自動車の一意の識別子を受信する第1受信ユニットと、 料金計算を完成した後、車両支払システムに前記自動車の一意の識別子を含む第1リクエストを送信するように構成された送信ユニットと、 前記車両支払システムから前記第1リクエストに対する応答を受信する第2受信ユニットと、を含み、 前記充電ガンは、自動車の充電口に差し込むか、または、充電口から抜き出すことができ、前記充電ガンの先端に読取装置が設置され、 前記読取装置は、前記充電ガンが自動車の充電口に差し込まれた後、前記自動車の充電口内又は周囲に設置されたタグによって前記自動車の一意の識別子を読取るように構成され、 前記車両支払システムは、前記自動車の認証を実行するために前記自動車のアカウントの事前開設を実行した自動車工場のバックグランドサーバに前記第1リクエストを転送し、前記自動車工場のバックグランドサーバから取引トークンを受信する、 ことを特徴とする充電スタンド。」 (2) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明 本件補正前の令和4年11月16日の手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「 充電スタンドであって、 前記充電スタンドは、料金計算処理装置と、充電ガンを含み、 前記料金計算処理装置は、 前記充電ガン内の読取装置から自動車の一意の識別子を受信する第1受信ユニットと、 料金計算を完成した後、車両支払システムに前記自動車の一意の識別子を含む第1リクエストを送信するように構成された送信ユニットと、 前記車両支払システムから前記第1リクエストに対する応答を受信する第2受信ユニットと、を含み、 前記充電ガンは、自動車の充電口に差し込むか、または、充電口から抜き出すことができ、前記充電ガンの先端に読取装置が設置され、 前記読取装置は、前記充電ガンが自動車の充電口に差し込まれた後、前記自動車の充電口内又は周囲に設置されたタグによって前記自動車の一意の識別子を読取るように構成される、 ことを特徴とする充電スタンド。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「車両支払システム」について、上記1のとおり、限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明(本件補正発明)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正発明が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2) 引用文献の記載、引用発明等 ア 引用文献1 (ア) 引用文献1の記載 当審において通知した拒絶理由(最後)で引用された文献であって、本願の優先日前に公開された特表2012-513739号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線加筆。以下同じ。)。 「【請求項17】 電動車両に電気エネルギーを送出するためのシステムで使用するためのエネルギー送出点であって、 前記電動車両から固有の識別子をコネクタを介して受け取り、 前記電動車両にエネルギーを前記コネクタを介して供給し、 前記電動車両に送出されたエネルギー量を計測する ように構成されたエネルギー送出点。」 「【0020】 図1は、電動車両110にエネルギーを供給するための例示的システム100の簡易ブロック図である。例示的実施形態において、システム100は、サーバシステム102と、サーバシステム102に結合されるエネルギー送出点104とを含む。図1に示されるように、サーバシステム102は複数の送出点104に結合することができる。一実施形態では、送出点104は、各送出点104がインターネットおよび/またはイントラネットなどのネットワーク上でサーバシステム102にアクセスできるようにするネットワークリンク(図1に図示せず)を含む。送出点104は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、ダイヤルイン接続、ケーブルモデム、無線モデム、および/または特別高速統合サービスデジタル網(ISDN)線などのネットワークを含む多くのインタフェースによりインターネットおよび/またはイントラネットに相互接続される。データベースサーバ106は、電動車両エネルギー分配に関係する口座情報などの様々な事柄の情報を含むデータベース108に接続される。一実施形態では、集中型データベース108はサーバシステム102に格納され、少なくとも1つの送出点104によって直接アクセスされる。代替の一実施形態では、データベース108はサーバシステム102から遠く離れて格納され、非集中型とすることができる。」 「【0026】 さらに、例示的実施形態では、エネルギー送出点104は、1つまたは複数の電動車両110に電気的におよび/または通信で結合される。各電動車両110は、電動車両110がエネルギー送出点104と通信できるようにする車両通信モジュール228を含む。より具体的には、車両通信モジュール228により、電動車両110は送出点通信モジュール226を介してエネルギー送出点104からエネルギーを得ることができるようになる。例示的実施形態において、エネルギー送出点104と電動車両110との間の接続は、電動車両110へのエネルギーの送出と、エネルギー送出点104と電動車両110との間のメッセージの伝達との両方を行うことができる単一のコネクタ236である。より具体的には、例示的実施形態では、車両通信モジュール228はBPLモデム238を含み、送出点通信モジュール226はBPLモデム240を含む。 【0027】 エネルギー送出点104を介する電動車両110とサーバシステム102との間の通信を容易にするために、電動車両110は、電動車両110内に埋め込まれた特有の車両識別子230を含む。例示的実施形態では、識別子230は、電動車両110からエネルギー送出点104におよび/またはエネルギー送出点から電動車両110に送られるあらゆる通信に埋め込まれているタグとして実施される。例えば、識別子230は、コネクタ236を使用して車両通信モジュール228と送出点通信モジュール226との間で伝達されるいかなる通信パケットにも含まれる。より具体的には、識別子230は、車両通信モジュール228内のBPLモデム238および/または送出点通信モジュール226内のBPLモデム240の間で伝達されるいかなる通信パケットにも含まれる。一実施形態では、コネクタ236は交流(AC)電力ケーブルである。代替の一実施形態では、コネクタ236は直流(DC)電力ケーブルである。 【0028】 例示的実施形態において、識別子230はデータベース108中で電動車両110に関連する口座に連結され、その口座では、口座所有者が口座に行う前払いを含めて預金残高が維持される。代替として、識別子230は、預金残高が1つまたは複数の電動車両110に割り当てられるように、個人に関連する口座に連結することができる。さらに、例示的実施形態では、各エネルギー送出点104は、電動車両110に送出されたエネルギー量を追跡する電力計232を含む。さらに、電動車両104は、電動車両110が受け取ったエネルギー量を追跡する電力計234を含む。 【0029】 使用時に、顧客がエネルギー送出点104を介して電動車両110を充電したいとき、電動車両110は識別子230によりエネルギー送出点104に認識される。より具体的には、一実施形態では、顧客は、電動車両110のコンセント(図示せず)にコネクタ236などの単一のコネクタを差し込む。エネルギー送出点104は電動車両110との通信により識別子230を決定し、エネルギー送出点104および電動車両110によって交換される各メッセージは識別子230をタグとして含む。次に、エネルギー送出点104は、識別子230に関連する口座を決定するためにサーバシステム102に識別子230を伝達する。 【0030】 サーバシステム102が識別子230に関連する口座を識別した後、サーバシステム102は預金残高を決定する。サーバシステム102は、預金残高が所定の閾値を満たしている場合、電動車両110へのサービスを許可するようにエネルギー送出点104に指示することができる。代替として、預金残高が所定の閾値を満たしていない場合、サーバシステム102は、電動車両110へのサービスを拒否し、顧客にメッセージを表示して拒否の理由を提示するようにエネルギー送出点104に指示することができる。そのような場合、サーバシステム102は預金残高に一時的な信用貸しを与えることができる。一実施形態では、一時的な信用貸しが与えられる場合、エネルギー送出点104は、より高い料金などの異なる料金を使用して電動車両へのエネルギー送出を計測する。代替の一実施形態では、サーバシステム102は、識別子230に関連する口座が保留状態にされているとき、電動車両110へのサービスを拒否するようにエネルギー送出点104に指示することができる。例えば、顧客による未済の支払いおよび/または電動車両110が盗まれたという報告に基づいて口座に保留状態が置かれることがある。例示的実施形態において、電動車両110へのサービスが可能である場合、エネルギー送出点104は単一のコネクタ236を介して電動車両110にある量のエネルギーを送出することになる。送出の間、エネルギー送出点104および電動車両110の両方は、送出されたエネルギー量および/または送出されたエネルギー量に関連する取引量をそれぞれ送出点計器232および車両計器234を介して計測する。最終取引量はエネルギー送出の終わりに決定され、最終取引量はサーバシステム102に伝達される。次に、サーバシステム102は預金残高から最終取引量を差し引く。最終取引量が預金残高よりも大きい場合、サーバシステム102は、上述のように、より高い料金などの異なる料金を使用して一時的な信用貸しを与えることができる。さらに、一実施形態では、エネルギー送出の終わりに際して、送出点計器232および車両計器234は送出されたエネルギー量および/または最終取引量を比較する。比較が一致することになった場合、車両計器234は領収書を生成する。一実施形態では、領収書は車両計器234に蓄積される。別の実施形態では、領収書は、サーバシステム102で記憶するためにエネルギー送出点104にも伝達される。」 「【0033】 ・・・代替として、顧客は、エネルギー送出点104で支払いに従うように促されることがある。例えば、顧客は、エネルギー送出点104内のカード読取り機にクレジットカードを挿入するように促されることがある。・・・ 【0034】 ・・・電動車両の自動識別が速いほど、所与の期間中に同じエネルギー送出点に、より多くの顧客がアクセスできるようになり、それによって、エネルギー分配公益事業に、より多くの収益がもたらされ易くなる。」 a 上記【請求項17】及び【0020】によれば、システム100は、サーバシステム102と「エネルギー送出点104」を含むものであって、電動車両110に電気エネルギーを送出するためのものである。 b 上記【0026】によれば、「エネルギー送出点104」は、電動車両110とコネクタ236で接続されており、電動車両110へのエネルギーの送出と、電動車両110との間のメッセージの伝達との両方を行うことができる。 c 上記【0027】及び【0029】によれば、「エネルギー送出点104」は、顧客が電動車両110を充電したいとき、電動車両110のコンセントにコネクタ236を差し込むことにより、電動車両110内に埋め込まれた車両識別子230を認識する。 また、【0029】によれば、「エネルギー送出点104」は、車両識別子230に関連する口座を決定するためにサーバシステム102に車両識別子230を伝達する。 d 上記【0030】によれば、「エネルギー送出点104」は、サーバシステム102において、車両識別子230に関連する口座を識別し、預金残高を決定した結果、預金残高が所定の閾値を満たしている場合、電動車両110へのサービスを許可するように指示され、また、預金残高が所定の閾値を満たしていない場合、電動車両110へのサービスを拒否し、顧客にメッセージを表示して拒否の理由を提示するように指示される。 e また、上記【0030】によれば、「エネルギー送出点104」は、電動車両110へのサービスが可能である場合、コネクタ236を介して電動車両110にある量のエネルギーを送出することになり、送出の間、送出されたエネルギー量に関連する取引量を計測し、最終取引量はエネルギー送出の終わりに決定されて、サーバシステム102に伝達される。 (イ) 引用発明 上記(ア)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 [引用発明] サーバシステム102とエネルギー送出点104を含むシステム100であって、電動車両110に電気エネルギーを送出するシステム100において、 エネルギー送出点104は、 電動車両110とコネクタ236で接続されており、電動車両110へのエネルギーの送出と、電動車両110との間のメッセージの伝達との両方を行うことができ、 顧客が電動車両110を充電したいとき、電動車両110のコンセントにコネクタ236を差し込むことにより、電動車両110内に埋め込まれた車両識別子230を認識し、 車両識別子230に関連する口座を決定するためにサーバシステム102に車両識別子230を伝達し、 サーバシステム102において、車両識別子230に関連する口座を識別し、預金残高を決定した結果、預金残高が所定の閾値を満たしている場合、電動車両110へのサービスを許可するように指示され、また、預金残高が所定の閾値を満たしていない場合、電動車両110へのサービスを拒否し、顧客にメッセージを表示して拒否の理由を提示するように指示され、 電動車両110へのサービスが可能である場合、コネクタ236を介して電動車両110にある量のエネルギーを送出することになり、送出の間、送出されたエネルギー量に関連する取引量を計測し、最終取引量はエネルギー送出の終わりに決定されて、サーバシステム102に伝達される、 エネルギー送出点104。 イ 引用文献2 (ア) 引用文献2の記載 当審において通知した拒絶理由(最後)で引用された文献であって、本願の優先日前に公開された特開2011-187044号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 「【0032】 給電システム100は、図1に示すように、電気自動車10を充電するための電源20と、電源20と電気自動車10とを電気的に接続するためのコード22と、商品販売機(商品の購入指定機)30とを含む。 ・・・ 【0034】 電源20は、たとえば商用電源を使うことができ、商品販売機30を動作させるための電源と兼用してもよいし、商品販売機30を動作させるための電源と分離させてもよい。電源20は、太陽光発電装置により実現してもよい。太陽光発電装置には、バッテリーを搭載しておくこともできる。商品販売機30は、電源20に対して有線又は無線で接続され、双方向に通信可能とすることができる。商品販売機30は電源20に対して電気自動車10への電気供給の信号を出すことで、電源20は電気自動車10へ電気を供給する。商品販売機30と電源20との間に中継機(リレー)を設けておいてもよい。電源20は、公知の電気自動車用の電源スタンドを採用してもよい。電源20を操作する操作盤(図示せず)を設けてもよい。操作盤は、商品販売機30に設けてもよいし、又は、商品販売機30本体に対して外付けしてもよい。」 「【0080】 さらに、電気自動車10に接続される電源20のプラグに電気自動車10の識別情報を読み取る装置が設けられていてもよい。具体的には、電気自動車10に識別情報を記憶したもの(バーコード、ICタグなど)が付されていた場合に、その識別情報を読み取る装置(バーコードリーダー、ICタグを読み取る装置)を設けることで、電気自動車10の識別情報(車種、ナンバーなど)を読み取ることができる。」 (イ) 引用文献2記載事項 上記(ア)によれば、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。 [引用文献2記載事項] 電気自動車10を充電するための電源スタンドである電源20と、電源20と電気自動車10とを電気的に接続するためのコード22と、商品販売機30とを含む給電システム100において、電源スタンドである電源20は、 プラグに電気自動車10の識別情報を読み取る装置が設けられており、電気自動車10に識別情報を記憶したもの(バーコード、ICタグなど)が付されていた場合に、その識別情報を読み取る装置(バーコードリーダー、ICタグを読み取る装置)を設けることで、電気自動車10の識別情報(車種、ナンバーなど)を読み取る、 電源スタンドである電源20。 (3) 対比 本件補正発明と、引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「エネルギー送出点104」について、引用文献1には「顧客は、エネルギー送出点104内のカード読取り機にクレジットカードを挿入するように促されることがある」及び「電動車両の自動識別が速いほど、所与の期間中に同じエネルギー送出点に、より多くの顧客がアクセスできるようになり」と記載されている(上記第2の2(2)ア(ア)の【0033】及び【0034】)。 そうすると、引用発明の「エネルギー送出点104」は、電動車両の顧客がクレジットカードを持って行ける場所であり、電動車両と顧客がアクセスできる場所であるから、いわゆる「スタンド」といえるところ、電動車両にエネルギーを供給する「スタンド」であるから、本件補正発明と同様の「充電スタンド」であるといえる。 イ 引用発明の「コネクタ236」は「電動車両110のコンセント」に差し込むことができるから、抜き出すこともできるのは明らかである。 また、「電動車両110のコンセント」は「充電口」といえる。 そうすると、引用発明の「電動車両110のコンセント」に差し込む「コネクタ236」と、本件補正発明の「自動車の充電口に差し込むか、または、充電口から抜き出すことができ」る「充電ガン」とは、「自動車の充電口に差し込むか、または、充電口から抜き出すことができる充電コネクタ」である点で共通する。 ウ 引用発明の「充電スタンド(エネルギー送出点104)」は、「電動車両110のコンセントにコネクタ236を差し込むことにより、電動車両110内に埋め込まれた車両識別子230を認識」しているところ、「電動車両110内に埋め込まれた車両識別子230」は、「電動車両(自動車)の一意の識別子」といえる。 そして、引用発明において「コネクタ236」を差し込むことにより「電動車両110内に埋め込まれた車両識別子230」を認識するためには、「自動車の一意の識別子(車両識別子230)」を受信する必要がある。 そうすると、引用発明の「コネクタ236」を差し込むことにより「電動車両110内に埋め込まれた車両識別子230」を認識する手段と、本件補正発明の「前記充電ガン内の読取装置から自動車の一意の識別子を受信する第1受信ユニット」とは、「前記充電コネクタから自動車の一意の識別子を受信する第1受信ユニット」である点で共通する。 エ 引用発明の「サーバシステム102」は、「車両識別子230に関連する口座を識別し、預金残高を決定した結果、預金残高が所定の閾値を満たしている場合、電動車両110へのサービスを許可するように指示」し、「預金残高が所定の閾値を満たしていない場合、電動車両110へのサービスを拒否し、顧客にメッセージを表示して拒否の理由を提示するように指示」するものであるから、本件補正発明と同様の「車両支払システム」であるといえる。 そして、引用発明の「充電スタンド(エネルギー送出点104)」は、「自動車の一意の識別子(車両識別子230)に関連する口座を決定するためにサーバシステム102に自動車の一意の識別子(車両識別子230)を伝達」しているから、「自動車の一意の識別子を含む第1リクエストを送信」しているといえる。 そうすると、引用発明の「サーバシステム102」に「自動車の一意の識別子(車両識別子230)を伝達」するように構成された手段は、「料金計算を完成した後」である点を除き、本件補正発明の「車両支払システムに前記自動車の一意の識別子を含む第1リクエストを送信するように構成された送信ユニット」に相当する。 オ 引用発明の「充電スタンド(エネルギー送出点104)」は、「車両支払システム(サーバシステム102)において、自動車の一意の識別子(車両識別子230)に関連する口座を識別し、預金残高を決定した結果、預金残高が所定の閾値を満たしている場合、自動車(電動車両110)へのサービスを許可するように指示され、また、預金残高が所定の閾値を満たしていない場合、自動車(電動車両110)へのサービスを拒否し、顧客にメッセージを表示して拒否の理由を提示するように指示され」るから、「充電スタンド(エネルギー送出点104)」は、「自動車の一意の識別子(車両識別子230)を含む第1リクエスト」に対する応答を受信しているといえる。 そうすると、引用発明の「車両支払システム(サーバシステム102)において、自動車の一意の識別子(車両識別子230)に関連する口座を識別し、預金残高を決定した結果、預金残高が所定の閾値を満たしている場合、自動車(電動車両110)へのサービスを許可するように指示され、また、預金残高が所定の閾値を満たしていない場合、自動車(電動車両110)へのサービスを拒否し、顧客にメッセージを表示して拒否の理由を提示するように指示され」る手段は、本件補正発明の「前記車両支払システムから前記第1リクエストに対する応答を受信する第2受信ユニット」に相当する。 カ 引用発明の「充電スタンド(エネルギー送出点104)」は「自動車(電動車両110)のコンセントに充電コネクタ(コネクタ236)を差し込むことにより、自動車(電動車両110)内に埋め込まれた自動車の一意の識別子(車両識別子230)を認識」しているから、「充電コネクタ(コネクタ236)」は「自動車(電動車両110)内に埋め込まれた自動車の一意の識別子(車両識別子230)」を読み取るように構成されているといえる。 そうすると、引用発明の「充電コネクタ(コネクタ236)」が「自動車(電動車両110)内に埋め込まれた自動車の一意の識別子(車両識別子230)」を読み取るように構成されている」ことと、本件補正発明の(充電ガンの先端に設置された)「前記読取装置」が「前記充電ガンが自動車の充電口に差し込まれた後、前記自動車の充電口内又は周囲に設置されたタグによって前記自動車の一意の識別子を読取るように構成される」こととは、「充電コネクタが自動車の充電口に差し込まれた後、前記自動車の一意の識別子を読取るように構成される」点で共通する。 以上によれば、本件補正発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。 [一致点] 充電スタンドであって、 前記充電スタンドは、充電コネクタを含み、 前記充電コネクタから自動車の一意の識別子を受信する第1受信ユニットと、 車両支払システムに前記自動車の一意の識別子を含む第1リクエストを送信するように構成された送信ユニットと、 前記車両支払システムから前記第1リクエストに対する応答を受信する第2受信ユニットと、を含み、 前記充電コネクタは、自動車の充電口に差し込むか、または、充電口から抜き出すことができ、 前記充電コネクタが自動車の充電口に差し込まれた後、前記自動車の一意の識別子を読取るように構成される、 充電スタンド。 [相違点] [相違点1] 本件補正発明の「充電スタンド」は「料金計算処理装置」を含み、「料金計算処理装置」が「第1受信ユニット」、「送信ユニット」及び「第2受信ユニット」を含んでいるのに対し、引用発明の「充電スタンド(エネルギー送出点104)」は「第1受信ユニット」、「送信ユニット」及び「第2受信ユニット」を含んでいるものの、「料金計算処理装置」を含んでいるものではない点。 [相違点2] 「充電コネクタ」について、本件補正発明は「充電ガン」であって、「先端に読取装置が設置され」ており、さらに「読取装置」が「自動車の充電口内又は周囲に設置されたタグによって」、「自動車の一意の識別子を読取るように構成される」のに対し、引用発明は「コネクタ236」であって、「先端に読取装置が設置され」ていないから、「読取装置」が「自動車の充電口内又は周囲に設置されたタグによって」、「自動車の一意の識別子を読取るように構成される」ものでもない点。 [相違点3] 「送信ユニット」について、本件補正発明は「料金計算を完成した後」、「第1リクエスト」を送信するように構成されているのに対し、引用発明は「第1リクエスト」を送信するものの、「最終取引量」を決定する前であって、「料金計算を完成した後」ではない点。 [相違点4] 「車両支払システム」について、本件補正発明は「前記自動車の認証を実行するために前記自動車のアカウントの事前開設を実行した自動車工場のバックグランドサーバに前記第1リクエストを転送し、前記自動車工場のバックグランドサーバから取引トークンを受信する」のに対し、引用発明は、そのような構成ではない点。 (4)判断 ア 相違点1について 本件補正発明の「料金計算処理装置」は「第1受信ユニット」、「送信ユニット」及び「第2受信ユニット」という複数のユニットを1つの装置に含めて「料金計算処理装置」としたものであると解されるから、当該相違点1は、表現上の差違にすぎず、また、表現上の差違でないとしても、引用発明の「第1受信ユニット」、「送信ユニット」及び「第2受信ユニット」についても同様に1つの装置に含めて「料金計算処理装置」とするように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 イ 相違点2について 引用文献2には、上記(2)イ(イ)のとおり、引用文献2記載事項が記載されているところ、「電源スタンドである電源20」は「プラグに電気自動車10の識別情報を読み取る装置が設けられており、電気自動車10に識別情報を記憶したもの(バーコード、ICタグなど)が付されていた場合に、その識別情報を読み取る装置(バーコードリーダー、ICタグを読み取る装置)を設けることで、電気自動車10の識別情報(車種、ナンバーなど)を読み取る」のであるから、「電気自動車10」に付されている「識別情報を記憶したもの(バーコード、ICタグなど)」は「電源スタンド」(充電スタンド)である「電源20」の「プラグ」(充電コネクタ)が「電気自動車10」の接続端子に接続されたときに読み取られるものである。 そうすると、引用文献2記載事項は、「プラグ」(充電コネクタ)の先端に「電気自動車10の識別情報を読み取る装置」(自動車の一意の識別子を読み取る読取装置)が設置され、「電気自動車10」の接続端子付近に設置された「識別情報を記憶したもの(バーコード、ICタグなど)」(自動車の充電口内又は周囲に設置されたタグ)を読み取るように構成されているということができる。 そして、引用発明と引用文献2記載事項は、ともに自動車に充電を行う「充電スタンド」(電源スタンド)に関し、自動車から一意の識別子を得るものである点で機能を共通にすることから、引用発明において、引用文献2記載事項の上記構成を採用することは普通に想起し得るものであって、引用発明の「コネクタ236」(充電コネクタ)を一般的な「ガン」形状とすることも格別困難なことではない。 したがって、引用発明において、相違点2に係る本件補正発明の構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 ウ 相違点3について 引用発明では「最終取引量」が決定する前、すなわち、「料金計算」が完成する前に「第1リクエスト」を送信するものであるが、「第1リクエスト」をどのタイミングで送信するかは必要に応じて適宜決定し得る設計的な事項であるから、「料金計算」が完成する前に代えて、あるいは、「料金計算」が完成する前に加えて「料金計算を完成した後」に送信するように構成することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 エ 相違点4について 本件補正発明は「充電スタンド」についての発明であるところ、「充電スタンド」は「料金計算処理装置」及び「充電ガン」を含むものの、「車両支払システム」を含むものではない。 そして、本件補正発明の「充電スタンド」と「車両支払システム」の関係についてみると、「充電スタンド(の料金計算処理装置)」は、「車両支払システムに前記自動車の一意の識別子を含む第1リクエストを送信」し「車両支払システムから前記第1リクエストに対する応答を受信する」ものであるから、「車両支払システム」は、本件補正発明の「充電スタンド」とは別の他のシステム(装置)である。 また、相違点4の「車両支払システム」に関する事項は「前記自動車の認証を実行するために前記自動車のアカウントの事前開設を実行した自動車工場のバックグランドサーバに前記第1リクエストを転送し、前記自動車工場のバックグランドサーバから取引トークンを受信する」という、「車両支払システム」が行う処理を特定したものであって、本件補正発明の「充電スタンド」が行う処理や構成を特定するものではない。すなわち、「充電スタンド」から受信した「第1リクエスト」に対して、どのような処理を行い、どのような情報を「第1リクエストに対する応答」として送信するかという処理は、「車両支払システム」が独自に行う処理であって、「充電スタンド」における処理や構成に影響を及ぼすものではない。 なお、念のため、発明の詳細な説明(特に【0041】~【0048】)の記載を参照しても、上述の処理と同様の処理が記載されているにすぎず、「車両支払システム」において、「充電スタンド」の処理に資する何らかの処理を行っているとはいえない。 そうすると、相違点4の「車両支払システム」に関する事項は、本件補正発明の「充電スタンド」を特定するための事項とは関係がなく、本件補正発明の「充電スタンド」に係る発明の構造や機能等を何ら特定するものではない。 したがって、相違点4は、本件補正発明と引用発明との実質的な相違点ではない。 以上によれば、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者であれば容易に発明をすることができたものである。 (5) 小括 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3 補正の却下の決定のむすび 以上によれば、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 令和5年6月5日にされた手続補正(本件補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1(2)に記載したとおりのものである。 2 当審における拒絶理由(最後)の概要 本願発明についての当審における進歩性に関する拒絶理由(最後)は、概略、本願の優先日前に日本国内において頒布された引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3 引用文献の記載、引用発明等 当審における拒絶理由(最後)で引用された引用文献1、2の記載、並びに、引用発明及び引用文献2記載事項は、上記第2の2(2)のとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、上記第2の1のとおり、本件補正発明から、「車両支払システム」について、「前記自動車の認証を実行するために前記自動車のアカウントの事前開設を実行した自動車工場のバックグランドサーバに前記第1リクエストを転送し、前記自動車工場のバックグランドサーバから取引トークンを受信する」との限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2の2のとおり、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-002529

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