商標拒絶査定不服審判
2022-002154
アンガーマネジメントケンテー、アンガーマネジメント
- 審判番号
- 2022-002154
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2021-104694
- 請求日
- 2022年02月14日
- 審決日
- 2022年05月27日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】一般社団法人日本アンガーマネジメント協会
- 【請求人代理人】大槻 聡
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .13 -Z (W41) / T18 .272-Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項、商標法第4条第1項第16号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2021-104694拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「アンガーマネジメント検定」の文字を横書きで表してなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、令和3年8月24日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年10月19日付けで拒絶理由の通知がされ、同年11月11日に意見書が提出されたが、同4年1月17日付けで拒絶査定がされた。
これに対して令和4年2月14日に拒絶査定不服審判の請求がされたものであり、指定役務については、当審における同年4月21日付け手続補正書により、第41類「資格の認定及び資格の付与,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,インターネットを利用して行う音楽の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,写真の撮影,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「アンガーマネジメント検定」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中、「アンガーマネジメント」の文字は、「自分自身の怒りを制御する技術。怒りを抑圧したり、過度の発散をしたりすることなく、怒りの原因に向き合い対処するもの。」を意味することから、本願商標全体として、「怒りを制御する技術(アンガーマネジメント)に関する検定」ほどの意味合いが容易に認識される。また、怒りを制御する技術(アンガーマネジメント)に関する資格の認定、講座の開催等が行われている実情が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定役務中「資格の認定及び資格の付与,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,インターネットを利用して行う音楽の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、例えば、「アンガーマネジメントに関する資格の認定及び資格の付与」「アンガーマネジメントの検定に関するセミナーの企画・運営又は開催」等のように、「アンガーマネジメントの検定に関する役務」であること、すなわち、単に役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したものとして認識すると言うべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べに対する意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、要旨以下のように述べ、証拠方法として、資料5及び資料6を提出した。
(1)本願の指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を削除する補正を行ったため、証拠調べ通知における1.(3)ないし1.(7)の証拠は、本願商標の審理において勘案されるべきものではない。
(2)証拠調べ通知における1.(1)及び1.(2)の証拠は、請求人の業務に係るものであるから、本願商標の審理において勘案されるべきものではない。
(3)「アンガーマネジメント」の語が検定・資格の内容を直接的・具体的に表すものとは認識されないから、心理分野やメンタルヘルス分野において、検定試験が一般的に存在していたとしても、本願商標は請求人の造語であると認識される。
(4)証拠調べ通知における2.の証拠の中には、登録商標も含まれるから、「心理分野やメンタルヘルス分野において一般的に使用される語」と「検定」または「検定試験」の語が結合してなる商標は、自他役務識別機能を有すると判断されているのであって、本願商標も同様に登録が認められるべきである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「アンガーマネジメント検定」の文字を横書きで表してなるところ、その構成中の「アンガーマネジメント」の文字は、「自分自身の怒りを制御する技術」(デジタル大辞泉(小学館))の意味を有するものとして我が国において親しまれた語であり、「検定」の文字は、本願指定役務との関係においては、「検定試験の略」(広辞苑第七版)を認識させるものである。
よって、本願商標の全体の文字からは、「自分自身の怒りを制御する技術の検定試験」の意味を認識させるということができる。
また、当審における証拠調べ通知(別掲1)及び原審における拒絶理由通知(別掲2)並びに拒絶査定(別掲3)で示したように、「自分自身の怒りを制御する技術」に関する資格が存在し(別掲1の1.(1)、(2)、別掲2(1)、別掲3(3)、(4))、その資格を取得する目的のために講座が開設されていたり(別掲1の1.(1)、(2)、別掲2(2)、別掲3(1)、(2))、「自分自身の怒りを制御する技術」のための講座やセミナーが開設されていたりする実情が認められる(別掲1の1.(3)~(7))。
さらに、「アンガーマネジメント」に近しい、心理分野やメンタルヘルス分野において、各種の検定試験が存在しており、これらの検定試験用のテキストや問題集が提供されている実情も認められる(別掲1の2.)。
そして、本願の指定役務には、「資格の認定及び資格の付与」や「電子出版物の提供」の役務が含まれているところ、当該役務との関係においては、本願商標を構成する文字の語義及び上記の実情を勘案すれば、「自分自身の怒りを制御する技術に関する資格を認定及び付与する検定試験」や「自分自身の怒りを制御する技術の検定試験用の電子出版物の提供」であることを認識させるものというべきである。
してみれば、本願商標は、「自分自身の怒りを制御する技術の検定試験」の意味を表すものとして認識されるというのが相当であり、これを本願の指定役務のうち「資格の認定及び資格の付与,電子出版物の提供」に使用したときは、取引者、需要者は、「自分自身の怒りを制御する技術に関する資格を認定及び付与する検定試験」や「自分自身の怒りを制御する技術の検定試験用の電子出版物の提供」と認識するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本願商標は、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張
ア 請求人は、本願商標からは、漠然と、「アンガーマネジメントを実践するための手法の知識に関する検定」「アンガーマネジメントの仕組みに関する知識の検定」「受験者がアンガーマネジメントをどの程度実践出来ているかを測るための検定」「アンガーマネジメントの歴史の知識に関する検定」「他者がどの程度アンガーマネジメントを実践出来ているか評価するための知識・技能を測る検定」など、複数の内容・質を想起させるものであるから、本願商標の指定役務との関係において、役務の質・内容を直接的かつ具体的に表すものとして認識されるともいい難い旨主張する。
しかしながら、「アンガーマネジメント」は、「自分自身の怒りを制御する技術」を意味するものであり、その語の性質からすれば、検定試験との関係においては、どのように自分自身の怒りを制御するのか、その技術についての検定試験、すなわち「自分自身の怒りを制御する技術の検定試験」であると理解するのが最も自然であって、請求人が主張する複数の意味合いを想起することはやや困難と思われるところ、そのように想起され得るとの主張について何ら立証もされていない。よって、本願商標が「資格の認定及び資格の付与」や「電子出版物の提供」の役務との関係においては、「自分自身の怒りを制御する技術に関する資格を認定及び付与する検定試験」や「自分自身の怒りを制御する技術の検定試験用の電子出版物の提供」であることを認識させるものというべきであることは、前記(1)のとおりであって、役務の質・内容を直接的かつ具体的に表すものとして認識されるといえる。
イ 請求人は、「アンガーマネジメント」の語が検定試験に関連する語として使用されている例は一例のみと極めて少なく、その一例が請求人と関係あるものによって使用されていることから、「アンガーマネジメント」の語が検定試験に関連する語として一般的に使用されているものとはいえない旨主張する。
しかしながら、「アンガーマネジメント」の語が検定試験に関連する語として、資格関連情報やそのための講座名等に使用されている例は、前記(1)のとおり一例のみではない上、本願の指定役務のうち「資格の認定及び資格の付与」と類似する「知識の教授」などの分野における「アンガーマネジメント」の語の用いられ方、心理分野やメンタルヘルス分野における各種の検定試験の存在をも考慮すれば、本願商標から「自分自身の怒りを制御する技術の検定試験」の意味を認識すると判断するのが相当である。
ウ 請求人は、本願の指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を削除する補正を行ったため、証拠調べ通知における1.(3)ないし1.(7)の証拠は、本願商標の審理において勘案されるべきものではなく、証拠調べ通知における1.(1)及び1.(2)の証拠は、請求人の業務に係るものであるから、本願商標の審理において勘案されるべきものではない旨主張する。
しかしながら、証拠調べ通知における1.(3)ないし1.(7)の証拠は、アンガーマネジメントに関する企業研修(3)、クラス(4)、公開講座(5)、入門講座(6)、実践トレーニング(7)があることを示すものであるところ、これは「知識の教授」に相当する役務の分野における実情であって、本願指定役務のうち「資格の認定及び資格の付与」等と全く類似しない分野のものであるということはできず、これらの証拠にも基づいて、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標からどのような意味合いを認識するかを推し量ることは妥当であって、審理において勘案されて然るべきものである。また、証拠調べ通知における1.(1)及び1.(2)の証拠が、請求人の業務に係るものであるとしても、例えば、1.(1)の「アンガーマネジメントとは、怒りの感情をコントロールし、上手につき合っていくための心理トレーニングです。アンガーマネジメントを習得すれば、イライラやストレスが軽減され幸せな毎日を送ることが可能です。」のような記載で講座、資格を紹介している内容からすれば、本願商標に接する取引者、需要者が、本願商標を請求人の出所識別標識として理解するとは考え難い。
エ 請求人は、「アンガーマネジメント」の語が検定・資格の内容を直接的・具体的に表すものとは認識されないから、心理分野やメンタルヘルス分野において、検定試験が一般的に存在していたとしても、本願商標は請求人の造語であると認識される旨主張する。
しかしながら、心理分野やメンタルヘルス分野において、各種の検定試験が存在しており、これらの検定試験用のテキストや問題集が提供されている実情をも考慮した上で、本願商標が「資格の認定及び資格の付与」や「電子出版物の提供」の役務との関係においては、「自分自身の怒りを制御する技術に関する資格を認定及び付与する検定試験」や「自分自身の怒りを制御する技術の検定試験用の電子出版物の提供」であることを認識させるものというべきことは、前記(1)のとおりである。
オ 請求人は、証拠調べ通知における2.の証拠の中には、登録商標も含まれるから、「心理分野やメンタルヘルス分野において一般的に使用される語」と「検定」または「検定試験」の語が結合してなる商標は、自他役務識別機能を有すると判断されているのであって、本願商標も同様に登録が認められるべきである旨主張する。
しかしながら、証拠調べ通知における2.の証拠は、心理分野やメンタルヘルス分野において、検定試験が一般的に存在している事実を示すものであって、その検定試験の名称に識別力があるか否かを議論するものではないから、請求人の主張はその前提において誤りであるし、本願商標が、自他役務の識別標識としての機能を果たすものであるか否かは、商標の構成、指定商品又は指定役務、取引の実情等を踏まえて、商標ごとに個別に判断されるべきものであるから、請求人が主張する登録例があるとしても、本願商標の上記判断が左右されるものではない。
カ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-002154