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特許拒絶査定不服審判

2022-001328

受精卵の画像表示装置、プログラム及び制御方法

審判番号
2022-001328
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-139953外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年01月28日
審決日
2023年07月04日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (C12M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-139953「受精卵の画像表示装置、プログラム及び制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成31年2月7日出願公開、特開2019-17319〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 19項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、平成29年7月19日を出願日とする出願であって、令和3年10月29日付けで拒絶査定がなされ、令和4年1月28日に拒絶査定不服審判が請求され、令和5年3月7日付けで当審より拒絶理由が通知され、同年5月12日付けで意見書および手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1~11に係る発明は、令和5年5月12日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
1又は複数の受精卵を撮影した複数の撮影画像を取得する取得部と、
前記複数の撮影画像のうち、同一の受精卵についての前記撮影画像の撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像を同時に表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記少なくとも2枚の撮影画像は、メイン画像と、メイン画像よりもサイズが小さいサブ画像とを含み、
前記メイン画像は、ユーザが撮影位置及び撮影時刻を指定することにより選択した画像であり、
前記サブ画像は、前記メイン画像と、前記撮影位置及び前記撮影時刻の一方が同一であり、他方が異なる撮影画像であることを特徴とする受精卵の画像表示装置。」

第3 当審で通知した拒絶の理由

令和5年3月7日付けで当審が通知した拒絶理由2の概要は、この出願の請求項1~11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものを含むものである。

引用文献等一覧

1.特開2013-165391号公報

2.特開2015-53040号公報

3.特開2006-55522号公報

4.特開2012-189790号公報

5.特開2008-275762号公報

第4 引例の記載事項及び引用発明の認定

折りたたみ中(クリックで表示)

当審の拒絶理由で引用した文献には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

1.引用文献1(特開2013-165391号公報)

(1)引用文献1の記載事項

引1a

「【請求項1】
連写により撮影された複数の静止画を表示するための複数の表示領域を表示画面上に配置する設定手順と、
前記複数の静止画を、それぞれの撮影日時に基づく表示順序で前記複数の表示領域のそれぞれに表示する画像表示手順と、
前記画像表示手順で表示した前記複数の静止画を、所定の経過時間ごとに隣の表示領域へ移動させて表示する画像再生手順とをコンピュータに実行させるための表示制御プログラム。
続きを表示(全13行)
・・・
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の表示制御プログラムにおいて、
前記画像表示手順は、前記複数の表示領域のうち、注目する画像を表示するための注目表示領域の大きさを他の表示領域よりも大きくし、前記注目表示領域からの前記表示画面上における距離が遠くなるほど、前記他の表示領域の大きさを小さくすることを特徴とする表示制御プログラム。
・・・
【請求項11】
連写により撮影された複数の静止画を表示するための複数の表示領域を表示画面上に配置する設定手段と、
前記複数の静止画を、それぞれの撮影日時に基づく表示順序で前記複数の表示領域のそれぞれに表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段によって表示された前記複数の静止画を、所定の経過時間ごとに隣の表示領域へ移動させて表示する画像再生手段とを備えることを特徴とする表示制御装置。」

引1b

「
[図:0001401013000001.jpg]
」(図7)

(2)引用文献1に記載された発明(引例1発明)の認定

引用文献1の図7(引1b)には、請求項11に記載された表示制御装置を具体化した装置が記載されているので、これらの記載によると、引用文献1には、以下の発明(引例1発明)が記載されていると認められる。

「連写により撮影された複数の静止画を表示するための複数の表示領域を表示画面上に配置する設定手段と、
前記複数の静止画を、それぞれの撮影日時に基づく表示順序で前記複数の表示領域のそれぞれに表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段によって表示された前記複数の静止画を、所定の経過時間ごとに隣の表示領域へ移動させて表示する画像再生手段とを備え、
前記複数の表示領域のうち、注目する画像を表示するための注目表示領域の大きさを他の表示領域よりも大きくし、前記注目表示領域からの前記表示画面上における距離が遠くなるほど、前記他の表示領域を小さく表示した、表示制御装置」

2.引用文献2(特開2015-53040号公報)

(1)引用文献2の記載事項

引2a

「【請求項1】
2以上の画像を記憶する記憶部と、
表示パネルと、
前記記憶部に記憶されている前記2以上の画像を前記表示パネルに表示させる際に、前記2以上の画像を、上下に重ねた互いに異なる表示レイヤにそれぞれ表示させ、上の前記表示レイヤの画像の透過率を100%未満の予め定めた正の値にして表示させる表示制御部と、
続きを表示(全18行)
前記表示パネルと重ねて設置され、ユーザのタッチを検出し、検出点の位置を出力するタッチパネルと、
前記表示パネルにおいて、前記タッチパネルがユーザのタッチを検出した位置に表示された画像のうち最も上の前記表示レイヤの画像を特定し、特定した画像がその上に他の画像が表示されていない状態で表示された領域において行ったタッチ操作に基づいて、前記特定した画像に対して、前記表示レイヤの上下関係を変えずに画像処理を行う画像処理部と、を備える、
ことを特徴とする画像表示装置。
・・・
【請求項3】
前記タッチパネルでのタッチ操作が、長押し又は連続タップであった場合に、
前記画像処理部は、前記タッチの連続時間又はタップ回数に応じて、前記特定した画像を左右反転又は固定サイズへの変更の画像処理を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。
・・・
【請求項5】
前記記憶部に記憶した画像の少なくとも一部は、連続する動作を撮影した動画からキャプチャーした複数の静止画像から選択された静止画像であって、
前記画像処理部は、すべての選択された前記静止画像に対して、前記タッチ操作に基づく前記画像処理を行い、
前記表示制御部は、前記画像処理を行った前記静止画像をコマ送り再生を含む再生を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示装置。」

引2b

「
[図:0001401013000002.jpg]
」(図11)

(2)引用文献2に記載された発明(引例2発明)の認定

引用文献2の図11(引2b)には、連続する動作を撮影した動画からキャプチャーした2つの静止画像について、静止画像Aよりも静止画像Bを小さくして表示することが記載されており、当該記載と請求項1、3、5の記載によると、引用文献2には、以下の発明(引例2発明)が記載されていると認められる。

「連続する動作を撮影した動画からキャプチャーした2以上の画像を記憶する記憶部と、
表示パネルと、
前記記憶部に記憶されている前記2以上の画像を前記表示パネルに表示させる際に、前記2以上の画像を、上下に重ねた互いに異なる表示レイヤにそれぞれ表示させ、上の前記表示レイヤの画像の透過率を100%未満の予め定めた正の値にして表示させる表示制御部と、
前記表示パネルと重ねて設置され、ユーザのタッチを検出し、検出点の位置を出力するタッチパネルと、
前記表示パネルにおいて、前記タッチパネルがユーザのタッチを検出した位置に表示された画像のうち最も上の前記表示レイヤの画像を特定し、特定した画像がその上に他の画像が表示されていない状態で表示された領域において行ったタッチ操作に基づいて、前記特定した画像に対して、前記表示レイヤの上下関係を変えずに画像処理を行う画像処理部と、を備え、
静止画像Bが静止画像Aより小さく表示した、画像表示装置。」

3.引用文献3(特開2006-55522号公報)

(1)引用文献3の記載事項

引3a

「【請求項1】
格納された複数の画像を撮像順にしたがって所定の表示領域に順次表示する表示手段を備えた画像表示装置において、
順次表示された前記画像の中から所望の画像を選択する選択情報を入力する入力手段と、
前記複数の画像の中から前記選択情報に対応する画像を抽出する選択画像抽出手段と、
前記表示手段に対して、前記選択画像抽出手段が抽出した画像を所定の選択画像表示領域に表示させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示手段に対して、前記選択画像抽出手段によって抽出された画像を前記所定の表示領域に表示された画像よりも小さい画像で前記所定の選択画像表示領域に表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。」

引3b

「
[図:0001401013000003.jpg]
」(図12)

4.引用文献4(特開2012-189790号公報)

(1)引用文献4の記載事項

引4a

「【0017】
・・・図3は、医用画像を表示する画面の一例を示す。図3の60は、医用画像を撮影された被検体の一覧を示す。図3の61は、画面領域60において選択された被検体について撮影された医用画像各々を示す画面領域を示す。図3の62は、画面領域61に表示される医用画像のうち選択された医用画像を示す。」

引4b

「
[図:0001401013000004.jpg]
」(図3)

5.引用文献5(特開2008-275762号公報)

(1)引用文献5の記載事項

引5a

「【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
該レーザ光源から出射されたレーザ光を試料上の複数の画像取得位置に照射する照明光学系と、
該照明光学系により試料に照射するレーザ光の集光深さ、照射時刻、または、レーザ光を照射した結果得られる検出光の波長の少なくとも1つのパラメータを変化させるパラメータ変更手段と、
該パラメータ変更手段によりパラメータを変化させつつ前記試料の複数の画像取得位置から戻る検出光を検出してそれぞれ画像情報を取得する画像取得光学系と、
該画像取得光学系により取得された画像情報を表示する表示手段と、
これらを制御する制御手段とを備え、
該制御手段が、前記試料の複数の画像取得位置におけるパラメータを変化させた画像情報を複数同時に前記表示手段に表示させるレーザ顕微鏡。」

引5b

「【0023】
・・・タイムラプス観察(画像取得時刻(レーザ光照射(走査)時刻T)を所定時間間隔で繰り返す観察)を行う場合のパラメータである時間情報としては、全観察時間における観察の繰り返し回数およびインターバルが挙げられる。
・・・
【0028】
例えば、図2に示されるように、ディッシュ17に貼り付けられたショウジョウバエの複数の卵からなる試料Aの蛍光観察を行う場合を例に挙げて、本実施形態に係るレーザ顕微鏡1の画像表示方法について説明する。・・・
【0029】
図4は、複数の観察位置に対するタイムラプス観察を行うために、パラメータとして時間情報が設定された場合の表示例である。
すなわち、モニタ11の画面上において、縦軸(Position)方向に、試料A上の異なる観察位置P1~P6(図4中においては、観察位置P1~P4のみが表示されている。)における試料Aの1視野の2次元的な蛍光画像が配列され、横軸(Repeat)方向には画面の右側に向かって所定のインターバルをあけて取得された取得時刻(以下、リピート番号という。)の異なる2次元的な蛍光画像が配列されるようになっている。
【0030】
・・・なお、この場合、横軸が時間軸であるため、新たな蛍光画像が取得される毎に配列の最も右側の位置に最新の蛍光画像が追加されていくようになっている。・・・」

引5c

「
[図:0001401013000005.jpg]
」(図4)

(2)引用文献5に記載された発明(引例5発明)の認定

引用文献5の【0023】、【0028】~【0030】(引5b)、図4(引5c)には、ショウジョウバエの複数の卵からなる試料Aについて、複数の観察位置に対するタイムラプス観察を行った場合の表示例が記載されているので、引用文献5には、以下の発明(引例5発明)が記載されていると認められる。

「ショウジョウバエの複数の卵からなる試料Aに照射するレーザ光の集光深さ、照射時刻、または、レーザ光を照射した結果得られる検出光の波長の少なくとも1つのパラメータを変化させるパラメータ変更手段と、
該パラメータ変更手段によりパラメータを変化させつつ前記試料の複数の画像取得位置から戻る検出光を検出してそれぞれ画像情報を取得する画像取得光学系と、
該画像取得光学系により取得された画像情報を表示する表示手段と、
これらを制御する制御手段とを備え、
該制御手段が、前記試料の複数の画像取得位置における画像取得時刻を変化させた画像情報を複数同時に前記表示手段に表示させるレーザ顕微鏡。」

第5 当審の判断

1.引用文献1を主引用例とした場合の進歩性の判断

(1)本願発明と引例1発明の対比

引例1発明(第4の1(2))の「連写により撮影された複数の静止画」は、撮影時刻の異なる少なくとも2枚の撮影画像であるから、本願発明の「1又は複数の」「撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像」に相当し、引例1発明では、上記の複数の静止画を表示制御装置に取り込む必要があるので、引例1発明は、本願発明の「1又は複数の」「撮影した複数の撮影画像を取得する取得部」を実質的に備えているものと認められる。

引例1発明の「複数の静止画を、それぞれの撮影日時に基づく表示順序で前記複数の表示領域のそれぞれに表示する画像表示手段」は、本願発明の「撮影画像の撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像を同時に表示部に表示させる表示制御部」に相当する。

引例1発明の「注目表示領域」は、ユーザが注目(選択)した特定の撮影位置及び撮影時刻の対象物の静止画であり、「他の表示領域」とは撮影時刻においてのみ異なるから、引例1発明の「複数の表示領域のうち、注目する画像を表示するための注目表示領域の大きさを他の表示領域よりも大きくし、前記注目表示領域からの前記表示画面上における距離が遠くなるほど、前記他の表示領域を小さく表示した」は、本願発明の「少なくとも2枚の撮影画像は、メイン画像と、メイン画像よりもサイズが小さいサブ画像とを含み、前記メイン画像は、ユーザが撮影位置及び撮影時刻を指定することにより選択した画像であり、前記サブ画像は、前記メイン画像と、前記撮影位置及び前記撮影時刻の一方が同一であり、他方が異なる撮影画像である」に相当する。

そうすると、本願発明と引例1発明は、

「1又は複数の対象物を撮影した複数の撮影画像を取得する取得部と、
前記複数の撮影画像のうち、同一の対象物についての前記撮影画像の撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像を同時に表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記少なくとも2枚の撮影画像は、メイン画像と、メイン画像よりもサイズが小さいサブ画像とを含み、
前記メイン画像は、ユーザが撮影位置及び撮影時刻を指定することにより選択した画像であり、
前記サブ画像は、前記メイン画像と、前記撮影位置及び前記撮影時刻の一方が同一であり、他方が異なる撮影画像であることを特徴とする対象物の画像表示装置。」で一致し、以下の点で相違している。

<相違点1>

本願発明では、

対象物として「受精卵」を採用しているのに対して、

引例1発明では、

対象物が特定されていない点

(2)相違点1の検討

受精卵の経時的な形態変化を複数の撮影画像を用いて観察することは、例えば、引用文献5の【0023】及び【0028】(引5b)に、ショウジョウバエの複数の卵からなる試料Aについて、タイムラプス観察(画像取得時刻を所定時間間隔で繰り返す観察)を行うことが記載されていることからみて(なお、タイムラプス観察の対象となる卵が、通常受精卵であることは当業者に自明の事項である。)、本願の出願日における周知事項であると認められる。

一方、引用文献1には、引例1発明の撮影の対象物を特に限定する旨の記載はない。

そうすると、引例1発明の「表示制御装置」の「撮影」の「対象物」を、経時的な形態変化の観察(撮影)が求められる「受精卵」に特定することは当業者が容易に想到し得ることである。

また、引例1発明の「表示制御装置」の「撮影」の「対象物」を「受精卵」に特定することにより格別顕著な効果を奏したとは認められない。

(3)小括

本願発明は、引例1発明、すなわち、引用文献1に記載された発明と引用文献5に記載された周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

2.引用文献2を主引用例とした場合の進歩性の判断

(1)本願発明と引例2発明の対比

引例2発明(第4の2(2))の「連続する動作を撮影した動画からキャプチャーした2以上の画像」は、撮影時刻の異なる少なくとも2枚の撮影画像であるから、本願発明の「1又は複数の」「撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像」に相当し、引例2発明では、撮影した画像を動画で取り込み、2以上の静止画像をキャプチャーする必要があるので、引例2発明は、本願発明の「1又は複数の」「撮影した複数の撮影画像を取得する取得部」を実質的に備えているものと認められる。

引例2発明の「前記記憶部に記憶されている前記2以上の画像を前記表示パネルに表示させる」「表示制御部」は、本願発明の「撮影画像の撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像を同時に表示部に表示させる表示制御部」に相当する。

引例2発明では、ユーザのタッチ操作により、撮影時刻の異なる静止画像Bが静止画像Aより小さく表示され、撮影時刻の異なる静止画像B(サブ画像)のサイズが、静止画像A(メイン画像)のサイズより小さくなっているので、引例2発明の「静止画像Bが静止画像Aより小さく表示した」は、本願発明の「少なくとも2枚の撮影画像は、メイン画像と、メイン画像よりもサイズが小さいサブ画像とを含み、前記メイン画像は、ユーザが撮影位置及び撮影時刻を指定することにより選択した画像であり、前記サブ画像は、前記メイン画像と、前記撮影位置及び前記撮影時刻の一方が同一であり、他方が異なる撮影画像である」に相当する。

そうすると、本願発明と引例2発明は、

「1又は複数の対象物を撮影した複数の撮影画像を取得する取得部と、
前記複数の撮影画像のうち、同一の対象物についての前記撮影画像の撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像を同時に表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記少なくとも2枚の撮影画像は、メイン画像と、メイン画像よりもサイズが小さいサブ画像とを含み、
前記メイン画像は、ユーザが撮影位置及び撮影時刻を指定することにより選択した画像であり、
前記サブ画像は、前記メイン画像と、前記撮影位置及び前記撮影時刻の一方が同一であり、他方が異なる撮影画像であることを特徴とする対象物の画像表示装置。」で一致し、以下の点で相違している。

<相違点2>

本願発明では、

対象物として「受精卵」を採用しているのに対して、

引例2発明では、

対象物が特定されていない点

(2)相違点2の検討

相違点2は、上記の第5の1(2)で容易想到性を検討した相違点1と同じである。

一方、引用文献2には、引例2発明の撮影の対象物を特に限定する旨の記載はない。

そうすると、相違点1と同様の理由により、引例2発明の「画像表示装置」の「撮影」の「対象物」を「受精卵」に特定することは当業者が容易に想到し得ることである。

また、引例2発明の「画像表示装置」の「撮影」の「対象物」を「受精卵」に特定することにより格別顕著な効果を奏したとは認められない。

(3)小括

本願発明は、引例2発明、すなわち、引用文献2に記載された発明と引用文献5に記載された周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.引用文献5を主引用例とした場合の進歩性の判断

(1)本願発明と引例5発明の対比

引例5発明(第4の5(2))の「ショウジョウバエの複数の卵」は、引用文献5の【0023】、【0029】の記載によると(引5b)、タイムラプス観察(画像取得時刻(レーザ光照射(走査)時刻T)を所定時間間隔で繰り返す観察)の対象となる卵であるから、本願の出願時の技術常識に照らすと、経時的な形態変化の観察が必要な「受精卵」と解するのが自然である。

なお、審判請求人は、令和5年5月12日付け意見書で、「引用文献1~5においては各種の対象物の画像を表示する装置が記載されていますが、いずれも表示対象物が受精卵であることを記載、示唆するものではありません。」と主張するが、引用文献5には、上記のとおりの記載があるので、上記主張は当を得ないものである。

よって、引例5発明の「ショウジョウバエの複数の卵からなる試料A」の「複数の画像取得位置から戻る検出光を検出してそれぞれ画像情報を取得する画像取得光学系」は、本願発明の「1又は複数の受精卵を撮影した複数の撮影画像を取得する取得部」に相当する。

引例5発明の「画像取得位置」、「画像取得時刻」は、それぞれ、本願発明の「撮影位置」、「撮影時刻」に相当するので、引例5発明の「前記試料の複数の画像取得位置における画像取得時刻を変化させた画像情報を複数同時に前記表示手段に表示させる」「制御手段」は、本願発明の「前記複数の撮影画像のうち、同一の受精卵についての前記撮影画像の撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像を同時に表示部に表示させる表示制御部」に相当する。

そうすると、本願発明と引例5発明は、

「1又は複数の受精卵を撮影した複数の撮影画像を取得する取得部と、
前記複数の撮影画像のうち、同一の受精卵についての前記撮影画像の撮影位置及び撮影時刻の少なくとも一方が異なる少なくとも2枚の撮影画像を同時に表示部に表示させる表示制御部と、
を備える、受精卵の画像表示装置。」で一致し、以下の点で相違している。

<相違点3>

本願発明では、

少なくとも2枚の撮影画像は、メイン画像と、メイン画像よりもサイズが小さいサブ画像とを含み、

前記メイン画像は、ユーザが撮影位置及び撮影時刻を指定することにより選択した画像であり、

前記サブ画像は、前記メイン画像と、前記撮影位置及び前記撮影時刻の一方が同一であり、他方が異なる撮影画像であることが特定されているのに対して、

引例5発明では、

複数の画像取得位置における画像取得時刻を変化させた画像情報を複数同時に表示させているものの、メイン画像とサブ画像を区別し、サブ画像をメイン画像よりサイズが小さいものとして表示していない点。

(2)相違点3の検討

引用文献5の図4に記載されている、「画像取得時刻」や「画像取得位置」が異なる、複数の画像が表示される表示画面において、ユーザが注目した1つの画像を、他の画像よりも大きく表示させたり、小さく表示させたりすることは、例えば、引用文献1の請求項8(引1a)及び図7(引1b)、引用文献2の請求項3(引2a)及び図11(引2b)、引用文献3の請求項2(引3a)及び図12、並びに引用文献4の図3(引4b)に示されるように、本願の出願日における周知技術であると認められる。

そうすると、引例5発明において、ユーザが注目(選定)した、特定の「画像取得時刻」や「画像取得位置」の画像情報を、他の画像情報よりも大きく表示し、他の画像情報を小さく表示することは、当業者が容易に想到し得ることであるし、そのように表示した画像情報は、本願発明にいう、「メイン画像と、メイン画像よりもサイズが小さいサブ画像とを含み、前記メイン画像は、ユーザが撮影位置及び撮影時刻を指定することにより選択した画像であり、前記サブ画像は、前記メイン画像と、前記撮影位置及び前記撮影時刻の一方が同一であり、他方が異なる撮影画像である」ものである。

したがって、相違点3として挙げた本願発明の発明特定事項は、当業者が容易に想到し得るものである。

また、引例5発明の「画像情報」に、上記の周知技術を適用したことにより、当業者の期待、予測を超える効果を奏するとは認められない。

(3)小括

本願発明は、引例5発明、すなわち、引用文献5に記載された発明と引用文献1~4に記載された周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明と引用文献5に記載された周知技術、引用文献2に記載された発明と引用文献5に記載された周知技術、引用文献5に記載された発明と引用文献1~4に記載された周知技術のいずれに基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-001328

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