特許拒絶査定不服審判
2022-000563
閂型錠ネジ付きロックピンシステム
- 審判番号
- 2022-000563
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-009846外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年01月13日
- 審決日
- 2023年04月24日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社光岡組
- 分類
- P18 .113-WZ (F16B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 9846「閂型錠ネジ付きロックピンシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 8月 4日出願公開、特開2022-113536〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2021年(令和3年)1月25日の出願であって、その手続の主な経緯は次のとおりである。
令和 3年 6月23日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 8月26日 :意見書・手続補正書
令和 3年 8月27日 :意見書
令和 3年11月 4日付け:拒絶査定
令和 4年 1月13日 :審判請求書・手続補正書
令和 4年10月19日付け:拒絶理由通知書
令和 5年 1月13日 :意見書・手続補正書(以下、この手続補正書によりされた補正を「本件補正」という。
第2 本願発明
本願の請求項1~3に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「閂形錠の開閉を目的としたロックピンであって、ストッパーとネジ部と心棒部とから構成され、前記ストッパーと前記ネジ部と前記心棒部が順に繋がれてなすことを特徴とするネジ付きロックピン。」
第3 拒絶の理由
令和4年10月19日付けで当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は、本件出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものを含むものである。
引用文献1:実願平5-63435号(実開平7-29257号)のCD-ROM
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。)。
「【0007】
【実施例】
本考案の一実施例を図1~図5に示す。図に示すヒンジ(16)はドア枠(4) に取付けられる固定片(17)と、ドア(5) に取付けられる可動片(18)とからなり、該固定片(17)と該可動片(18)との接合縁部には夫々軸孔(19A,20A) を有する軸管(19,20) が一体的に設けられている。
該固定片(17)の軸管(19)の軸孔(19A) には螺孔部(19B) が設けられており、該軸孔(19A) には支軸ピン(21)が嵌着されるが、該支軸ピン(21)には螺溝部(21A)が設けられ、該螺溝部(21A) が該軸孔(19A) の螺孔部(19B) に螺着される。
【0008】
更に該固定片(17)の軸管(19) の下縁部には螺孔(19)C が設けられ、該軸管(19)に嵌着された支軸ピン(21)を該螺孔(19)C を介してねじ(22)によって締付けることによって該支軸ピン(21)がゆるまないように固定する。
このようにして該固定片(17)の軸管(19)が軸孔(19A) に嵌着固定した支軸ピン(21)を該可動片(18)の軸管(20)の軸孔(20A) に嵌着してヒンジ(16)が構成される。
【0009】
上記構成のヒンジ(16)を使用してドア(5) をドア枠(4) に取付けるには、図4に示すようにヒンジ(16)の固定片(17)と可動片(18)のねじ孔(17A,18A) を介してねじ(23,24) によって固定片(17)をドア枠(4) 側に、可動片(18)をドア(5) 側に取付ける。
このようにしてヒンジ(16)によってドア枠(4) に取付けられたドア(5) を取はずすには、ヒンジ(16)の固定片(17)の軸管(19)の螺孔(19)C からねじ(22)をはずし、更に図4に示すように支軸ピン(21)の頭部(21B) のドライバー溝(21C) に図示しないドライバーを嵌合し、該ドライバーを介して該支軸ピン(21)を該ヒンジ(16)の固定片(17)の軸管(19)の軸孔(19A) から抜取る。
【0010】
該支軸ピン(21)をこのようにして該ヒンジ(16)の固定片(17)の軸管(19)の軸孔(19A) から抜取れば、図5に示すようにドア(5) を該ヒンジ(16)の可動片(18)と共にドア枠(4) から取はずすことが出来る。この場合はドア(5) を取はずす際、ドア(5) の上端部が建物駆体(2) やドア枠(4) のケーシング等に干渉することはない。」
(2)上記摘記事項(1)及び図1~3の記載から、固定片17、可動片18及び支持ピン21から構成されるヒンジ16は、固定片17の軸孔19Aの螺孔部19Bに支持ピン21の螺溝部21Aが螺着することによって、可動片18を固定片17から支持ピン21の軸方向以外の方向に取りはずすことができず、支持ピン21を固定片17の軸孔19Aから抜き取ることによって、可動片17を固定片18から取り外すことができるものと認められる。また、図2から、支持ピン21は、頭部21B、螺溝部21Aにつづく棒状部とからなることが看取できる。
2 引用文献1に記載された発明
上記1の摘記事項(1)及び認定事項(2)並びに図1~3の記載から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
固定片17及び可動片18と共にヒンジを構成することを目的とし、可動片18を固定片17から支持ピン21の軸方向以外の方向に取りはずすことができないようにする支持ピン21であって、頭部21Bと螺溝部21Aと棒状部が順に繋がれてなる螺溝部21A付き支持ピン21。
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 「閂」は「門戸をさしかためるための横木。門扉の左右にある金具に差し通して用いる。」(広辞苑)を意味し、「錠」は「扉などに取り付けてしまりとする金具。」(広辞苑)を意味するところ、引用発明の「支持ピン21」は、「固定片17及び可動片18を接続しヒンジを構成する」もの、すなわち、2つの部材に刺し通して用いるものであり、「可動片18を固定片17から支持ピン21の軸方向以外の方向に取りはずすことができないようにする」ものであるから、引用発明の「固定片17及び可動片18と共にヒンジを構成することを目的とし、可動片18を固定片17から支持ピン21の軸方向以外の方向に取りはずすことができないようにする支持ピン21」は、本願発明の「閂形錠の開閉を目的としたロックピン」に相当する。
イ 引用発明の「頭部21B」は本願発明の「ストッパー」に相当し、以下同様に、「螺溝部21A」は「ネジ部」に、「棒状部」は「心棒部」に、それぞれ相当する。
そうすると、本願発明と引用発明とは、
「閂形錠の開閉を目的としたロックピンであって、ストッパーとネジ部と心棒部とから構成され、前記ストッパーと前記ネジ部と前記心棒部が順に繋がれてなる、ネジ付きロックピン。」の点で一致し、両者に差異はない。
したがって、本願発明は引用文献1に記載された発明である。
2 請求人の主張について
請求人は、「引用文献1に関しては、支軸ピン21(支持ピン)は前記21に付する雄ネジ部21Aを固定庁23に付する雌ネジ部19Cに挿入し締め付、21を常時固定し蝶番の支持ピンにして使用する構成であり、ドア取り外し等による支持ピンの脱着は稀にしか起こらない。本願発明【請求項】1は閂型錠をネジ付ロックピンにて常時開閉を目的としており、引用文献1とは機能など使用目的の違いは明白である。」と主張する。その趣旨は、引用文献1に記載された螺溝部21A付き支持ピン21は、螺溝部21Aを螺孔部19Bに螺着することによって、固定片17に常時固定してヒンジの支持ピンとして用いることを目的とするものであるのに対し、本願発明のネジ付きロックピンは、ネジ付きロックピンを閂として差し通す対象どうしの常時開閉を目的とするものである点で、両者の使用目的は異なるというものである。
しかし、本願発明と引用発明とは、共に、差し通す対象に対してネジによって脱着可能なものであることから、本願発明が請求項1の「閂形錠の開閉を目的とした」という用途限定が、引用発明と比べて特に適した構造等を意味するとはいえないから、請求人の主張は採用することはできない。
第6 むすび
第5のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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