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特許拒絶査定不服審判

2022-000055

ストリートビューワーシステム

審判番号
2022-000055
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-115644外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年01月04日
審決日
2023年03月30日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06T)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-115644「ストリートビューワーシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月27日出願公開、特開2018-206396〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2017年(平成29年)6月2日を国際出願日とする特願2017-540305号の一部を平成30年6月18日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年 6月 4日付け:拒絶理由通知書

同年10月 1日 :意見書、手続補正書の提出

同年11月 2日付け:拒絶査定

令和4年 1月 4日 :審判請求書、手続補正書の提出

同年 9月22日付け:拒絶理由通知書(当審:最後)

同年11月21日 :意見書、手続補正書の提出

第2 令和4年11月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和4年11月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について

(1)本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正するものであり、本件補正後の請求項1の記載は次のとおりのものである。(下線部は、補正箇所である。)

なお、各構成の符号A~C5は、説明のために当審で付したものであり、以下「構成A」~「構成C5」という。

「【請求項1】
A 景観サーバ装置と、携帯端末装置と、からなるストリートビューワーシステムであって、
B 景観サーバ装置は、
B1’ 位置情報及びこれに関連付けられた後記視線情報とからなる視点情報に関連付けて三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像である現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報を視点情報ごとにあらかじめ保持する景観画像情報保持部と、
続きを表示(全15行)
B2 携帯端末装置から視点情報を取得する視点情報取得部と、
B3 取得した視点情報に関連付けられた景観画像情報を携帯端末装置に送信する景観画像情報出力部と、
を有し、
C 携帯端末装置は、
C1 携帯端末装置が現在存在している位置の情報である位置情報を取得する位置情報取得部と、
C2 取得した位置情報での視線方向又は/及び視点高情報を示す情報である視線情報を取得する視線情報取得部と、
C3 取得した位置情報と視線情報とを関連付けた視点情報を景観サーバ装置に出力する視点情報出力部と、
C4 出力した視点情報に応じて景観サーバ装置から景観画像情報を取得する景観画像情報取得部と、
C5 取得した景観画像情報を出力する景観画像情報出力部と、
を有する
A ストリートビューワーシステム。」

(2)本件補正前の、令和4年1月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

なお、各構成の符号A~C5は、説明のために当審で付したものであり、以下「構成A」~「構成C5」という。

「【請求項1】
A 景観サーバ装置と、携帯端末装置と、からなるストリートビューワーシステムであって、
B 景観サーバ装置は、
B1 位置情報及びこれに関連付けられた後記視線情報とからなる視点情報に関連付けて実写画像である現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報を保持する景観画像情報保持部と、
続きを表示(全15行)
B2 携帯端末装置から視点情報を取得する視点情報取得部と、
B3 取得した視点情報に関連付けられた景観画像情報を携帯端末装置に送信する景観画像情報出力部と、
を有し、
C 携帯端末装置は、
C1 携帯端末装置が現在存在している位置の情報である位置情報を取得する位置情報取得部と、
C2 取得した位置情報での視線方向又は/及び視点高情報を示す情報である視線情報を取得する視線情報取得部と、
C3 取得した位置情報と視線情報とを関連付けた視点情報を景観サーバ装置に出力する視点情報出力部と、
C4 出力した視点情報に応じて景観サーバ装置から景観画像情報を取得する景観画像情報取得部と、
C5 取得した景観画像情報を出力する景観画像情報出力部と、
を有する
A ストリートビューワーシステム。」

2 補正の適否

請求項1に係る本件補正は、以下の補正事項を含むものである。

(1)本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「実写画像」について、「三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である」との限定を付加する。

(2)本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「景観画像情報」を景観画像情報保持部に保持することについて、「視点情報ごとにあらかじめ」保持するとの限定を付加する。

上記補正事項(1)、(2)は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定する事項を限定するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

ア 本件補正発明

本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

なお、本願は、平成29年6月2日を国際出願日とする特願2017-540305号を原出願とするものであるが、令和3年6月4日付け拒絶理由通知書において「本願の請求項1には『現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報』との記載があるが、原出願の明細書等には記載されていない。」と指摘したとおり不適法な分割出願であるから、本願の出願日は、現実の出願日である平成30年6月18日となる。

イ 引用文献の記載事項、引用発明等

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(ア)引用文献1について

a 引用文献1の記載事項

当審の拒絶の理由で引用された特開2011-138258号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(以降の下線は、強調のために当審で付した。)

「【0001】
本発明は、利用者が携帯端末で指定した地点の過去又は将来の景観を再現するシステムに関する。」
「【0010】
本願発明に係る景観再現システムは、
互いにネットワークを介して接続する利用者携帯端末と景観再現サーバからなる景観再現システムであって、
利用者携帯端末は、
続きを表示(全24行)
(イ)利用者携帯端末の向きを方位として検出する方位取得部と、
(ロ)利用者携帯端末の位置を検出する位置取得部と、
(ハ)景観の再現の基準となる再現時点を受け付ける再現時点受付部と、
(ニ)検出した方位を視線方位とし、検出した位置を視点として、再現時点と、視点と、視線方位を含む再現画像要求を景観再現サーバに送信する再現画像要求送信部を有し、
景観再現サーバは、
(1)再現時点と、視点と、視線方位を含む再現画像要求を受信する再現画像要求受信部と、
(2)物体の3次元形状を示す物体3次元形状情報を、当該物体の有効期間と対応付けて記憶する物体3次元形状情報データベースと、
(3)再現画像要求の再現時点を含む有効期間と対応する物体3次元形状情報を抽出する再現物体抽出部と、
(4)抽出した物体3次元形状情報に基づいて、仮想の3次元空間に当該物体オブジェクトを配置した再現画像を生成する再現画像生成部と、
(5)生成した再現画像を利用者携帯端末に返信する再現画像送信部を有し、
利用者携帯端末は、更に
(ホ)再現画像を受信する再現画像受信部と、
(へ)受信した再現画像を表示する再現画像表示部を有することを特徴とする。
・・・
【0012】
また、
景観再現サーバは、更に、
地形の3次元形状を示す地形3次元形状情報を、当該地形の有効期間と対応付けて記憶する地形3次元形状情報データベースと、
再現画像要求の再現時点を含む有効期間と対応する地形3次元形状情報を抽出する再現地形抽出部を有し、
前記再現画像生成部は、抽出した地形3次元形状情報と前記抽出した物体3次元形状情報に基づいて、仮想の3次元空間に当該地形オブジェクト及び当該物体オブジェクトを配置した再現画像を生成することを特徴とする。」
「【0028】
メモリ201は、プログラムをロードする他、各パラメータ、画像データ、仮想3次元空間データ、及び再現画像等を記憶するために用いられる。演算装置202は、ロードされたプログラムを順次読み出し実行する。無線通信デバイス203は、携帯電話網に接続する際の無線通信に用いられる。カメラ204は、撮像に用いる。位置検出デバイス205は、GPS(全地球測位システム)あるいはPHSの位置特定システムなどにより、利用者携帯端末102の位置(緯度・経度)を特定する。方位検出デバイス206は、利用者携帯端末102の向きを方位として求めるために用いる。通常は、利用者携帯端末102の向きは、カメラ204の撮像方位と一致する。一致しない場合には、利用者携帯端末102の向きに対するカメラ204の撮像方位の角度差を加減算することにより、利用者携帯端末102の向きに基づいてカメラ204の撮像方位を算出することができる。表示装置207は、撮像画像、操作画面、又はブラウザ等を表示するために用いる。」
「【0034】
方位取得部405は、方位取得処理(S303)で、方位検出デバイス206を用いて利用者携帯端末102の向きを方位として検出する。通常は、利用者携帯端末102の向きは、カメラ204の撮像方位と一致するので、検出した方位を撮像方位とする。一致しない場合には、利用者携帯端末102の向きに対するカメラ204の設置方位の角度差により、利用者携帯端末102の向きを補正して撮像方位を算出する。
【0035】
位置取得部406は、位置取得処理(S304)で、位置検出デバイス205を用いて利用者携帯端末102の現在位置(緯度・経度)を取得する。」
「【0037】
再現時点受付部407は、再現時点受付処理(S306)で、再現時点受付画面を表示し、再現時点を受け付ける。図6は、再現時点受付画面の例を示す図である。例えば、テンキーより数字入力を受け付ける。スクロールやプルダウンにより年、月、日を選択するように構成することもできる。
【0038】
再現画像要求送信部408は、再現画像要求送信処理(S307)で、再現時点と視点と視線方位を含む再現画像要求を生成し、その再現画像要求を景観再現サーバ101へ送信する。その際、再現時点受付部407で受け付けた再現時間の他に、位置取得部406で取得した現在位置を視点位置(緯度・経度)として、方位取得部405で取得した撮像方位を視線方位として、再現画像要求に含める。」
「【0042】
地形3次元形状情報データベース803は、地形情報単位毎に有効期間と地形範囲に対応付けて、地形3次元形状情報を記憶している。地形情報単位は、国土全体の地形情報を分割して管理する単位である。例えば、所定サイズの地形地図に相当する単位である。有効期間は、その地形情報の有効な時期的な範囲である。この有効期間中は、その地形が維持されていたことを示している。地形範囲は、その地形情報単位で表される地理的な範囲である。例えば、矩形の緯度範囲と経度範囲で示される。地形3次元形状情報は、地形(つまり、地表面)を3次元空間に復元可能な情報である。例えば、地表面全体の多数の地点における緯度、経度、標高の3次元情報を有している。あるいは、メッシュ上に連続するベクトルにより地表面を表すベクトル情報群を有している。
【0043】
物体3次元形状情報データベース806は、物体毎に有効期間と所在地に対応付けて、物体3次元形状情報を記憶している。物体には、例えばビル、家屋、倉庫、橋梁やダムなどの建築物の他、恐竜や動物などの生物なども含まれる。有効期間は、その物体が有効な時期的な範囲である。この有効期間中は、その物体が存在していたことを示している。つまり、存在期間ということもできる。所在地は、物体が存在した位置(緯度・経度)である。物体3次元形状情報は、物体の形態(少なくとも外形)を3次元空間に復元可能な情報である。例えば、物体の設計図面情報や生体情報を有し、あるいは境界面を定義するベクトル情報を有している。また、物体3次元形状情報は、方位も定義されている。なお、前記物体が(所在地を一意に特定することが困難である)生物である場合に、当該所在地は当該生物の生息域内における任意の地点を予め設定するように構成されてもよい。
【0044】
再現画像要求受信部801は、再現画像要求受信処理(S701)で、再現時点と視点と視線方位を含む再現画像要求を受信し、受信した再現画像要求を再現画像要求記憶部802に記憶させる。」
「【0049】
再現物体抽出部807は、再現物体抽出処理(S703)で、物体3次元形状情報データベース806から再現に必要な物体の形状情報を抽出する。
【0050】
図11は、再現物体抽出処理フローを示す図である。再現物体領域を設定する(S1101)。再現物体領域は、仮想の3次元空間に物体を展開する地理範囲である。つまり、仮想の3次元空間に展開すべき再現対象の物体を所在地で特定する所在地の範囲条件である。
続きを表示(全22行)
【0051】
再現物体領域について図10を用いて説明する。1005は、再現物体領域の視点寄りの手前境界線でもある。この例では、視点1001から所定近距離の曲線である。1006は、再現物体領域の視点と反対側の遠方境界線である。この例では、視点1001から所定遠距離の曲線である。再現物体領域は、右方視界境界線1003と左方視界境界線1004と再現物体領域の手前境界線1005と再現物体領域の遠方境界線1006により囲まれた領域である。従って、1010と1011の物体は再現物体領域に含まれるが、他の物体は含まれない。この例では、再現地形領域の手前境界線と再現物体領域の手前境界線が一致するが、両手前境界線1005は、別であっても構わない。また、再現地形領域の遠方境界線1007と再現物体領域の遠方境界線1006が別であるが、両遠方境界線は、一致しても構わない。
【0052】
そして、物体毎に以下の処理を繰り返す(S1102)。物体3次元形状情報データベース806から、当該物体の有効期間と所在地を読み込み(S1103)、再現画像要求記憶部802から再現時点を読み取り、有効期間が時期として再現時点を含むかを判定する(S1104)。再現時点を含まない場合には、当該物体についての処理を終了し、S1107に移行する。再現時点を含む場合には、更に所在地が再現物体領域に含まれるかを判定する(S1105)。再現物体領域に含まれない場合は、当該物体についての処理を終了し、S1107に移行する。再現物体領域に含まれる場合には、当該物体の物体3次元形状情報を再現物体3次元形状情報として、所在地と対応付けて再現物体3次元形状情報記憶部808に記憶させる(S1106)。すべての物体について処理した時点で終了する(S1107)。なお、本実施例においては全ての物体を対象としているが、対象となる物体を利用者携帯端末の位置情報に基づいて予め限定するように構成してもよい。
【0053】
2次元投射画像生成部809は、2次元投射画像生成処理(S704)で、再現地形3次元形状情報記憶部805と再現物体3次元形状情報記憶部808の情報に基づいて、再現画像となる2次元投射画像を生成する。この処理は、3次元コンピュータグラフィックスの手法による行われる。つまり、仮想の3次元空間上の形状情報から、それらを平面上に投射した2次元画像を生成する。仮想の3次元空間は、2次元投射画像生成部809内の記憶領域を用いて論理的に構成される。
【0054】
図12は、2次元投射画像生成処理フローを示す図である。また、図13は、2次元投射画像生成部の構成を示す図である。地形モデリング部1301の地形モデリング処理(S1201)で、仮想の3次元空間に地表面の形状を生成する。再現地形3次元形状情に含まれる各地点の緯度・経度・標高から地上面をポリゴンの集合で定義する。ポリゴンは、三角形や四角形といった多角形であり、連続するポリゴンにより地表面を表現する。ポリゴンによらず、自由曲面によって面を定義することも有効である。形状を定義する他、材質、色、反射率など所定の設定値を設定する。このように、仮想の3次元空間に生成された地表面の形状を地形オブジェクト(地形モデル)という。地形オブジェクトは、地形オブジェクト記憶部1302に記憶される。
【0055】
次に、物体モデリング部1303の物体モデリング処理(S1202)で、仮想の3次元空間に物体の形状を生成する。再現物体3次元形状情に含まれる物体の設計図面情報、生体情報、や境界面を定義するベクトル情報などに基づいて、物体表面をポリゴンの集合で定義する。ポリゴンは、三角形や四角形といった多角形であり、連続するポリゴンにより物体表面を表現する。ポリゴンによらず、自由曲面によって面を定義することも有効である。形状の定義の他、材質、色、反射率など所定の設定値を設定する。このように、仮想の3次元空間に生成された物体表面の形状を物体オブジェクト(物体モデル)という。物体オブジェクトは、物体オブジェクト記憶部1304に記憶される。
【0056】
次に、シーンレイアウト設定部1305のシーンレイアウト設定処理(S1203)で、生成したオブジェクト群のレイアウト(配置)を行う。レイアウトは、緯度・経度・標高の絶対的位置と方位を基準とする。地形オブジェクト記憶部1302から地形オブジェクトを読み込み、物体オブジェクト記憶部1304から読み込んだ各物体オブジェクトの所在地に相当する地点の地形オブジェクトの地表面に、当該物体オブジェクトを、方位を合わせて配置することにより、地形オブジェクトと物体オブジェクトを合成する。更に、所定の位置に光源を設定し、視点の地表面から所定高さ分上の位置にカメラ(仮想カメラ)を設定する。例えば、視点(緯度・経度)の地表面(標高)から150cm程度(人の目の高さに相当)上方にカメラ位置を定める。また、視線方位の略水平方向にカメラの撮影方向を設定する。光源は、例えば太陽の位置に相当するように設定する。この手順により、仮想的な舞台となるシーン情報を得る。生成したシーンは、シーン記憶部1306に記憶される。
【0057】
レンダリング部1307のレンダリング処理(S1204)で、シーン記憶部1306からシーンを読み出して、仮想的なカメラに写されるはずの画像を生成する。つまり、オブジェクトの形状や位置、光の当り具合などについて周知手段により計算し、最終的な2次元への投射画像を生成する。2次元投射画像は、再現画像として再現画像記憶部810に記憶される。
【0058】
最後に再現画像送信部811は、再現画像送信処理(S705)で、生成した再現画像を再現画像記憶部810から読み出して、利用者携帯端末102に送信する。
【0059】
そして、利用者携帯端末102側では、図4の再現画像受信部409が、再現画像受信処理(S308)で、再現画像を受信し、再現画像表示部410が、再現画像表示処理(S309)で、受信した再現画像を表示装置207に表示させる。」
「【0073】
再現時点を年月日で特定したが、年月のみ、あるいは年だけでもよい。また年号や、時代名で特定することも有効である。」

b 引用文献1に記載された発明(引用発明)

(a)【0001】、【0010】の記載によれば、引用文献1には、互いにネットワークを介して接続する利用者携帯端末と景観再現サーバとからなり、利用者が携帯端末で指定した地点の過去又は将来の景観を再現する景観再現システムの発明が記載されている。

(b)【0010】、【0028】、【0034】、【0035】の記載によれば、引用文献1の利用者携帯端末は、利用者携帯端末の向きを方位として検出する方位取得部と、利用者携帯端末の現在位置(緯度・経度)を検出する位置取得部と、を有するものである。

(c)【0010】、【0037】の記載によれば、引用文献1の利用者携帯端末は、景観の再現の基準となる再現時点を受け付ける再現時点受付部を有しており、また【0073】の記載によれば、再現時点は、年月日、年月のみ、年だけ、年号、時代名で特定される。

(d)【0010】、【0038】の記載によれば、引用文献1の利用者携帯端末は、検出した方位を視線方位とし、検出した現在位置を視点として、再現時点と、視点と、視線方位を含む再現画像要求を景観再現サーバに送信する再現画像要求送信部を有している。

(e)【0010】、【0044】の記載によれば、引用文献1の景観再現サーバは、再現時点と、視点と、視線方位を含む再現画像要求を受信する再現画像要求受信部を有する。

(f)【0010】、【0043】の記載によれば、引用文献1の景観再現サーバは、ビル、家屋、倉庫、橋梁やダムなどの建築物などを含む物体の3次元形状を示す物体3次元形状情報を、当該物体の有効期間と所在地に対応付けて記憶する物体3次元形状情報データベースを有する。

また、【0012】、【0042】の記載によれば、引用文献1の景観再現サーバは、地形の3次元形状を示す地形3次元形状情報を、当該地形の有効期間と対応付けて記憶する地形3次元形状情報データベースを有する。

(g)【0010】、【0049】-【0052】の記載によれば、引用文献1の景観再現サーバは、再現画像要求の再現時点を含む有効期間と対応する物体3次元形状情報を物体3次元形状情報データベースから抽出する再現物体抽出部を有する。

また、【0012】、【0042】の記載によれば、引用文献1の景観再現サーバは、再現画像要求の再現時点を含む有効期間と対応する地形3次元形状情報を抽出する再現地形抽出部を有する。

(h)【0010】、【0012】、【0053】-【0057】の記載によれば、引用文献1の景観再現サーバは、抽出した地形3次元形状情報と抽出した物体3次元形状情報に基づいて、仮想の3次元空間に当該地形オブジェクト及び当該物体オブジェクトを配置して、視点(緯度・経度)の地表面(標高)から150cm程度(人の目の高さに相当)上方にカメラ位置を定めて再現画像を生成する再現画像生成部を有する。

(i)【0010】、【0058】の記載によれば、引用文献1の景観再現サーバは、生成した再現画像を利用者携帯端末に返信する再現画像送信部を有する。

(j)【0010】、【0059】の記載によれば、引用文献1の利用者携帯端末は、更に再現画像を受信する再現画像受信部と、受信した再現画像を表示装置に表示する再現画像表示部を有する。

したがって、上記摘記事項及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。なお、各構成の符号a~c5は、説明のために当審で付したものであり、以下「構成a」~「構成c5」という。

[引用発明]

a 互いにネットワークを介して接続する利用者携帯端末と景観再現サーバとからなり、利用者が携帯端末で指定した地点の過去又は将来の景観を再現する景観再現システムであって、

b 利用者携帯端末は、

b1 利用者携帯端末の向きを方位として検出する方位取得部と、

b2 利用者携帯端末の現在位置(緯度・経度)を検出する位置取得部と、

b3 景観の再現の基準となる再現時点(年月日、年月のみ、年だけ、年号、時代名で特定)を受け付ける再現時点受付部と、

b4 検出した方位を視線方位とし、検出した現在位置を視点として、再現時点と、視点と、視線方位を含む再現画像要求を景観再現サーバに送信する再現画像要求送信部を有し、

c 景観再現サーバは、

c1 再現時点と、視点と、視線方位を含む再現画像要求を受信する再現画像要求受信部と、

c2 ビル、家屋、倉庫、橋梁やダムなどの建築物などを含む物体の3次元形状を示す物体3次元形状情報を、当該物体の有効期間と所在地に対応付けて記憶する物体3次元形状情報データベースと、地形の3次元形状を示す地形3次元形状情報を、当該地形の有効期間と対応付けて記憶する地形3次元形状情報データベースと、

c3 再現画像要求の再現時点を含む有効期間と対応する物体3次元形状情報を物体3次元形状情報データベースから抽出する再現物体抽出部と、再現画像要求の再現時点を含む有効期間と対応する地形3次元形状情報を抽出する再現地形抽出部と、

c4 抽出した地形3次元形状情報と抽出した物体3次元形状情報に基づいて、仮想の3次元空間に地形オブジェクト及び物体オブジェクトを配置して、視点(緯度・経度)の地表面(標高)から150cm程度(人の目の高さに相当)上方にカメラ位置を定めて再現画像を生成する再現画像生成部と、

c5 生成した再現画像を利用者携帯端末に返信する再現画像送信部を有し、

b 利用者携帯端末は、更に

b5 再現画像を受信する再現画像受信部と、

b6 受信した再現画像を表示装置に表示する再現画像表示部を有する

a 景観再現システム。

(イ)引用文献2について

a 引用文献2の記載事項

同じく当審の拒絶の理由で引用された特開2017-37310号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
本発明は地域の歴史画像と現在画像の合成及び音声ガイドの表現方法に関する。」
「【0018】
本明細書では、歴史画像と現在地を結合して表示する技術及び音声サービスの前提として特許文献3(特開2012-154924号公報)を引用する。詳しい記載はここでは省略するが、必要に応じて同文献を参照されたい。以下では歴史画像と現在の実画像を組み合わせて表示する方法と装置を詳しく説明し、次に音声サービスとの関連をのべる。理解に必要な限度で引用文献3の記載及び図面を参照する。
まとめると本発明は次のとおりである。
1.まず宇宙衛星等から得た現在位置を利用して、カメラレンズ又はデータベースより得た現在の風景を示す画像データから特定領域をフィルタ回路により除去し、得られた画像をディスプレイ画面に表示し、これと並行して、歴史画像情報データベースより現在位置に対応する画像を取得し、その中から上記特定領域に相当する画像を別のフィルタ回路により取得し、この取得した画像を、前記特定領域に嵌め込むことにより、現在の画像に歴史画面を嵌め込んでなる画像を表示する、歴史及び現在画像を同時に表示する方法。
2.上記1において、前記ディスプレイに時代目盛を設けるとともに、データベースから前記歴史画面に対応する年代情報に基づいてポインタにより前記時代目盛を指し示すようにした方法。
3.上記1又は2において、前記特定領域は内部領域と外部領域を有し、前記歴史領域は前記外部領域に囲まれ且つ前記内部領域を取り囲んでいる方法。
4.宇宙衛星等から得た現在位置を利用して、2つの歴史画像情報データベースより現在位置に対応する2つの画像を取得し、その中の一方のデータベースから特定領域に相当する一方の歴史画像を一つのフィルタ回路により取得し、他方のデータベースから前記特定領域以外の他方の歴史画像を他のフィルタ回路によりこの取得し、これ等の画像を重層的にディスプレイ画面に表示することよりなる、2つの時代の歴史画像を重層的に同時に表示する方法。」
「【0020】
(実施例1)
図1はナビ本発明のナビ装置の表示画面の一例を説明する図であり、歩行ナビのディスプレイの画面構成の一例を示す。表示画面はナビ装置が宇宙衛星等から得た現在位置を利用してカメラレンズより得た現在の風景を示す実写画像又はデータベースから読みだした現代の実写画像を外側に表示する。この画像の構成方法としてはジャイロや宇宙衛星より現在地の座点を取得しナビ装置の移動速度を含めた余裕タイミングの計算結果により次々とタイムリーに地図画面上に影像表示情報を表示するか、又はカメラによる実写映像を取得し、その中から前記中央領域(又は任意領域)の部分をフィルタ回路により除去してディスプレイの画面に表示する。これと並行して、歴史画面を表示すべき歴史画像情報はデータベースより取得し、その中から上記中央部又は任意箇所以外の画像は他のフィルタ回路により除去し、実写映像が除去された前記中央領域に嵌め込むことにより、歴史画面を表示する。
【0021】
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図1の画面構成例では、表示された現在風景の中に、江戸時代の風景がはめ込まれた形で表示される。このように、現在の風景の一部が歴史画面により置換された状態となり、相互の位置関係が分かりやすい。
この現代画面及び歴史画面の表示方法の具体的一例としては、次が考えられる。
a. タブレットなどのナビ装置を持ち、特定の場所に来て、
b. ナビ装置を特定の方向にかざす。
c. 現代の風景を切り取るように歴史景観を画面にあらわす。
d. ボタン操作又はナビ装置を、画面を上にして水平にすることにより、この場所を示す地図が現れる。平面図又はバードビューで表示する。
e. 所望によりさらにナレーションにより解説を聞く。これは所望により対話に進むことができる。
f. 所望により.環境音(舟をこぐ水音など)も入れる。
g. 所望により歴史画面が存在した方角が分かるように方位目盛を表示することができる。」
「【0081】
<重ね合わせ画像から年表への画面移動>
一実施形態において、本発明は、移動ナビゲーション装置(例:歩行ナビ装置、カーナビ装置など)の画面において、合成画像を表示する際に、年代目盛を画面に表示することができる。図19は、図3に示したものと同様に、現代画像(光学系からの実像又はデータベースに記憶されていて座標指定により読みだされた実像)の中に上記と同様に歴史画像を挿入した画面構成を示す(逆に、歴史画像の中に現代画像が挿入されてもよい)。ただし、図3との違いとして、右下に、年代目盛(410)とインジケータ(420)が表示されている。
【0082】
続きを表示(全15行)
これら年代目盛(410)とインジケータ(420)の機能は、図13に示した年代目盛(210)とインジケータ(220)と同様である。より具体的には、年代目盛(410)とインジケータ(420)の組合せによって表現される年代は、図19の合成画像で用いられている歴史画像がいつの年代のものかを表すことができる。
【0083】
本発明の一実施形態に係る装置の構成を図20に示す。図20に示した装置の構成は、図14に示した装置の構成と同様となっている。ただし、図14に示した装置と比べて、更に撮像部(580)(例:カメラ)と方位センサ(590)を更に備えることができる。また、必要に応じて更にジャイロセンサ(600)を備えることができる。
【0084】
前記装置(500)中に示した各モジュールは、図14に示した装置(300)と同様の機能を有することができる。また、撮像部(580)は、図1、図3及び図19に表示される現代画像を取得するための機能を有する。撮像部の典型的な例として、スマートフォンやタブレット端末に搭載されているカメラが挙げられる。撮像部で取得された現代画像は、制御部に送られ、制御部において、編集することができる。例えば、現代画像の一部を消去して、上述した歴史画像と組み合わせた画像を合成することができる。例えば、図1、図3及び図19にあるように現在画像の一部を消去して、消去した箇所に、消去した部分に対応する歴史画像を挿入した画像を合成することができる(逆に、歴史画像の一部を消去して、消去した箇所に、消去した部分に対応する現代画像を挿入した画像を合成することができる)。
【0085】
記憶部(560)は、歴史画像データベース及び/又は現代画像データベースを備えることができる。また、歴史画像データベース及び/又は現代画像データベースは、外部サーバ(530)に記憶されてもよい。制御部(550)は、記憶部にアクセスする、及び/又は、外部サーバに問い合わせを行うことにより、歴史画像及び/又は現代画像を取得することができる。
【0086】
従って、制御部において、現代画像と歴史画像を用いて合成画像を生成する際には、上述した撮像部から取得された現代画像ではなく、記憶部や外部データベースから取得された現代画像を用いてもよい。
【0087】
方位センサは、前記装置がどの方角に向いているかを感知することができる。例えば、撮像部が備えるレンズがどの方向に向けられているかを感知することができる。こうした方向情報を、方位センサから制御部へ送信することができる。そして、GPSと通して取得した位置情報と組み合わせて、どの場所のどの方角の風景を取得するかを、制御部が決定することができる。その後、該決定に基づいて、記憶部及び/又は外部データベースから、前記決定に対応する場所及び方角の歴史画像を取得することができる。」

b 引用文献2に記載された技術(文献2技術)

(a)【0018】、【0021】の記載から、引用文献2には、利用者のタブレットなどのナビ装置において、現在位置を利用してデータベースから読み出した現在の風景を示す画像データと、歴史画像情報データベースより取得した現在位置に対応する画像とを嵌め込んでなる画像を表示する技術が記載されている。

(b)【0020】の記載から、引用文献2において、現在位置を利用してデータベースから読み出した現在の風景を示す画像データは、現代の実写画像である。

(c)【0081】-【0087】の記載から、引用文献2において、データベースから画像を取得する際には、GPSで取得した現在位置と、方位センサで感知した撮像部が向けられている方向とを組み合わせて、どの場所のどの方角の風景を取得するかを決定する。

上記(a)~(c)から、引用文献2には次の技術(以下「文献2技術」という。)が記載されているといえる。

[文献2技術]

利用者のタブレットなどのナビ装置において、GPSで取得した現在位置と、方位センサで感知した撮像部が向けられている方向とを組み合わせて、どの場所のどの方角の風景を取得するかを決定するとともに、現在位置を利用してデータベースから読み出した現代の実写画像と、歴史画像情報データベースより取得した現在位置に対応する画像とを嵌め込んでなる画像を表示する技術。

(ウ)周知技術について

本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2012-43391号公報(以下「周知文献1」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0009】
グーグルのサービスのひとつであるグーグル・アースは、グーグルの検索ページに付帯している地図情報のサービスである。地球の写真上の任意の点をクリックすることで、その地点の上空からの画像を拡大して見ることができる。画像のもととなっているのが、グーグルが集めた航空写真や衛星写真であり、地球上の陸地の多くの部分を網羅したといわれている。」

また、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2011-138495号公報(以下「周知文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

「【0024】
本実施形態では、画像データサーバ20のベースとして、地球の3D画像を提供する米国グーグル社のGoogle Earth(Googleは登録商標)用にグーグル社から提供されるGoogle Earth Server を用いている。このGoogle Earth Server は、地球の3D画像をディスプレイ41のウェブブラウザ上で表示させるためのデータを、要求に応じてクライアント端末40に供給するものである。Google Earth Server からクライアント端末40に供給されるデータによる地球の3D画像は、クライアント端末40のキーボード42やマウス43の操作により入力指定された視認方向から見た地球の画像となる。また、Google Earth Server からクライアント端末40に供給されるデータによる地球の3D画像は、キーボード42やマウス43の操作により入力指定された視点(図示せず)から地球までの距離に対応する倍率の地球の画像となる。したがって、ウェブブラウザ上で表示される地球の3D画像は、倍率や視認方向次第で地球全体となることもあれば、地球の一部となることもある。」

周知文献1、周知文献2の記載及び本願の出願日における技術常識を考慮すれば、次の事項は周知であるといえる。(以下「周知技術A」という。)

[周知技術A]

現代の実写画像を提供するデータベースとして、グーグル・アースのような三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像を提供するデータベースを用いること。

ウ 対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)構成A、B、Cについて

引用発明における「景観再現システム」は、後述するように利用者携帯端末が現在存在している位置での景観、すなわちストリートビューを再現した再現画像を、景観再現サーバから受信した利用者携帯端末において表示するシステムであることから、本件補正発明における「ストリートビューワーシステム」に相当する。

また、引用発明の景観再現システムの「利用者携帯端末」、「景観再現サーバ」は、それぞれ本件補正発明のストリートビューワーシステムの「携帯端末装置」、「景観サーバ装置」に相当する。

(イ)構成C1について

引用発明の構成b2の「利用者携帯端末の現在位置(緯度・経度)」、「位置取得部」は、それぞれ本件補正発明の「携帯端末装置が現在存在している位置の情報である位置情報」、「位置情報取得部」に相当する。

(ウ)構成C2について

構成b1、構成b2及び構成b4の記載から、引用発明における「視線方位」は、位置取得部が検出した「現在位置」を視点としたものであり、当該「視線方位」を「利用者携帯端末の向き」として検出する「方位取得部」は、本件補正発明の構成C2における「取得した位置情報での視線方向」「を示す情報である視線情報を取得する視線情報取得部」に相当する。

(エ)構成C3について

本件補正発明の構成C3において景観サーバ装置に出力される「取得した位置情報と視線情報とを関連付けた視点情報」は、構成C4に「出力した視点情報に応じて景観サーバ装置から景観画像情報を取得する」とあるように景観画像情報を取得するためのものである。

ここで、引用発明の構成b4では「検出した現在位置」を「視点」としていることから、当該「視点」と一緒に「再現画像要求」に含まれる「視線方位」は「検出した現在位置」に関連付けられるものといえる。

したがって、引用発明の構成b4において再現画像を要求するために景観再現サーバに送信する「再現時点と、視点と、視線方位を含む再現画像要求」は、本件補正発明の構成C3における「取得した位置情報と視線情報とを関連付けた視点情報」に相当する。

してみると、引用発明において「再現画像要求」を「景観再現サーバに送信する再現画像要求送信部」は、本件補正発明の「取得した位置情報と視線情報とを関連付けた視点情報を景観サーバ装置に出力する視点情報出力部」に相当する。

(オ)構成B1’について

上記(エ)で述べたとおり、引用発明の「再現画像要求」は、本件補正発明の「視点情報」に相当する。

ここで、構成c1~構成c5の記載から、引用発明の景観再現サーバが生成し、利用者携帯端末に送信する再現画像は、「再現画像要求の再現時点を含む有効期間」と対応する「物体3次元形状情報」、「地形3次元形状情報」をデータベースから抽出し、抽出した「地形3次元情報」と「物体3次元形状情報」に基づいて、仮想の3次元空間に「地形オブジェクト」及び「物体オブジェクト」を配置して生成した再現画像である。

そして、「再現画像要求」により、例えば現在を含む年号や、現在を含む時代名で「再現時点」が指定された場合には、現在の地形といえる「地形オブジェクト」、当該再現時点において存在し、なおかつ現存する「物体オブジェクト」(これらの「地形オブジェクト」や「物体オブジェクト」は本件補正発明における「現在の景観」に相当)、当該再現時点において存在したものの現存しない「物体オブジェクト」(本件補正発明における「過去の景観」に相当)の両者を含む画像を、各「地形3次元形状情報」及び「物体3次元形状情報」の有効期間に応じて生成することが可能であることから、本件補正発明と引用発明とは、「現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報」を生成して、送信するにあたり何らかの形で保持した上で、「景観サーバ装置」から「携帯端末装置」に送信する点で共通する。

しかしながら、本件補正発明では「現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報」に用いる現在の景観として「三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像」を用いるのに対して、引用発明では「三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像」を用いない点で相違する。

また、本件補正発明では景観画像情報を「視点情報ごとにあらかじめ」保持するのに対して、引用発明では景観画像情報を「視点情報ごとにあらかじめ」保持する構成を有しない点で相違する。

(カ)構成B2について

上記(エ)で述べたように、引用発明の「再現画像要求」は、本件補正発明の「視点情報」に相当することから、引用発明の構成c1における「再現画像要求を受信する再現画像要求受信部」は、本件補正発明の構成B2における「視点情報を取得する視点情報取得部」に相当する。

(キ)構成B3について

引用発明の構成c5における「生成した再現画像を利用者携帯端末に返信する再現画像送信部」は、本件補正発明の構成B3における「取得した視点情報に関連付けられた景観画像情報を携帯端末装置に送信する景観画像情報出力部」に相当する。

(ク)構成C4、構成C5について

引用発明の構成b5の「再現画像を受信する再現画像受信部」、構成b6の「受信した再現画像を表示装置に表示する再現画像表示部」は、本件補正発明の構成C4の「出力した視点情報に応じて景観サーバ装置から景観画像情報を取得する景観画像情報取得部」、構成C5の「取得した景観画像情報を出力する景観画像情報出力部」に相当する。

以上の対比から、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]

景観サーバ装置と、携帯端末装置と、からなるストリートビューワーシステムであって、

景観サーバ装置は、

位置情報及びこれに関連付けられた後記視線情報とからなる視点情報に関連付けて現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報を保持する景観画像情報保持部と、

携帯端末装置から視点情報を取得する視点情報取得部と、

取得した視点情報に関連付けられた景観画像情報を携帯端末装置に送信する景観画像情報出力部と、

を有し、

携帯端末装置は、

携帯端末装置が現在存在している位置の情報である位置情報を取得する位置情報取得部と、

取得した位置情報での視線方向又は視点高情報を示す情報である視線情報を取得する視線情報取得部と、

取得した位置情報と視線情報とを関連付けた視点情報を景観サーバ装置に出力する視点情報出力部と、

出力した視点情報に応じて景観サーバ装置から景観画像情報を取得する景観画像情報取得部と、

取得した景観画像情報を出力する景観画像情報出力部と、

を有する

ストリートビューワーシステム。

[相違点1]

本件補正発明では、「現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報」に用いる現在の景観として「三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像」を用いるのに対して、引用発明では、「三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像」を用いない点。

[相違点2]

本件補正発明では、景観画像情報を「視点情報ごとにあらかじめ」保持するのに対して、引用発明では、景観画像情報を「視点情報ごとにあらかじめ」保持する構成を有しない点。

エ 判断

各相違点について判断する。

(ア)相違点1について

引用文献2には、利用者のタブレットなどのナビ装置において、GPSで取得した現在位置と、方位センサで感知した撮像部が向けられている方向とを組み合わせて、どの場所のどの方角の風景を取得するかを決定するとともに、現在位置を利用してデータベースから読み出した現代の実写画像と、歴史画像情報データベースより取得した現在位置に対応する画像とを嵌め込んでなる画像を表示する技術が記載されている(上記イ(イ)bの文献2技術参照)。

引用発明と文献2技術は、いずれも利用者端末の現在位置における視点に対応した、過去の景観を含んだ景観を提供するものという共通の技術分野に属するものであり、引用発明に文献2技術を適用して、利用者携帯端末にて表示する再現画像における現在の景観として「実写画像」を用いて、実写画像である現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報を景観再現サーバにて生成する構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

また、上記イ(ウ)で周知技術Aについて述べたように、現代の実写画像を提供するデータベースとして、グーグル・アースのような三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像を提供するデータベースを用いることは周知技術であることから、実写画像として三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像を採用することは、当業者が適宜なし得ることである。

(イ)相違点2について

著名な観光地、景観スポットなどにおいては、撮影に頻繁に利用される地点及び撮影アングル(視点情報)が存在することは、文献を挙げるまでもなく周知の事項であることから、引用発明においても、特定の現在位置、視点、視線方位に対する再現画像要求が頻繁に景観再現サーバに送信されることが想定される。

ここで、クライアント端末から以前に要求があった際にサーバにおいて作成したものを保持しておいて、同内容の要求に対して素早く送信できるように構成することは常套手段であることから、引用発明においても、以前に生成した複数の再現画像を保持、すなわち視点情報ごとにあらかじめ保持しておいて、利用者携帯端末からの再現画像要求に対して素早く送信できるように構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。

したがって、本件補正発明は、引用発明1、文献2技術、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

オ 請求人の主張について

令和4年11月21日付けで提出された意見書において、請求人は、次の主張をしている。

(ア)主張1

「 引用文献1発明(再現画像要求を利用者携帯端末から受信してから、視線情報に応じて3次元空間に当該物体オブジェクトを配置した再現画像を生成する)とは本願発明は構成が異なります。
また引用文献2発明も、視線に応じた画像を保持するとは記載がありません。そのため本願のようにあらかじめ視点情報に応じて現在の実写画像と過去の画像を合成して保持しておく構成とは異なります
したがって両発明ともあらかじめ視点情報ごとに現在の実写画像と過去の画像を合成して保持しておく構成ではなく、この2つの発明から本願発明を当業者が相当することは容易ではないと考えます。」

(イ)主張2

「 さらに今次補正によって実写画像についても、「三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である」と限定することにより、両引用文献発明との差異を明確化できたと考えます。」

しかしながら、主張(ア)については、上記「エ(イ)」で述べたように、引用発明において、あらかじめ視点情報に応じて現在の実写画像と過去の画像を合成して保持しておく構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものであることから、当該主張1は採用することはできない。

また、主張(イ)については、上記「エ(ア)」で述べたように、実写画像として三次元位置情報と関連付けられた高精細衛星画像である実写画像を採用することは、当業者が適宜なし得ることであることから、当該主張2は採用することはできない。

なお、本件補正発明の構成C2は、「取得した位置情報での視線方向又は/及び視点高情報」と記載されているから、上記ウにおいては、構成C2として「視点高情報」を含まないものが、本件補正発明には含まれるとして引用発明との対比を行った。

仮に、当該記載が「取得した位置情報での視線方向及び視点高情報」であった場合について検討すると、引用発明では、構成c4において景観再現サーバが人の目の高さに相当する150cm程度上方を固定的に用いており、利用者携帯端末において視点高情報を取得する構成を有していない点で、本件補正発明と相違する。

他方、特開2016-122277号公報(【0059】、【0070】、【0087】)には、ユーザ端末の現在の位置情報と方向情報とを用いて過去の景観を含んだ景観を提供するシステムにおいて、視点のZ方向の位置を人間の目の高さに設定するのに代えて、ユーザ端末からコンテンツ提供サーバに送信される位置情報に、ユーザ端末の高さを示す情報である高さ情報が含まれ、この高さ情報に基づいて、仮想空間内における視点のZ方向の位置を設定する技術(以下「先行技術」という。)が記載されている。

引用発明と先行技術とは、いずれも利用者端末の現在位置における視点に対応した、過去の景観を含んだ景観を提供するものという共通の技術分野に属するものであり、引用発明に先行技術を適用して、方位取得部において視点高情報についても取得する構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものと判断される。

カ 補正の適否のまとめ

よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

したがって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和4年11月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和4年1月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2」の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 当審の拒絶の理由

本願発明についての当審の拒絶の理由は、次のとおりのものである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(1)請求項1について:引用文献1-2

<引用文献等一覧>

1.特開2011-138258号公報

2.特開2017-037310号公報

3 引用文献

上記拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は、上記「第2」の[理由]2イに記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、上記「第2」の[理由]2で検討した本件補正発明から、「景観画像情報保持部」における、「景観画像情報」の保持に係る限定事項及び「実写画像」に係る限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明と引用発明との相違点は、上記相違点1から「実写画像」に係る限定事項を削除した次のものとなる。

[相違点]

本願発明では、「現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報」に用いる「現在の景観」として「実写画像」を用いるのに対して、引用発明では、「実写画像」を用いない点。

上記相違点について検討すると、上記「第2」の[理由]2エ(ア)に記載したとおり、引用発明と文献2技術は、いずれも利用者端末の現在位置における視点に対応した、過去の景観を含んだ景観を提供するものという共通の技術分野に属するものであり、引用発明に文献2技術を適用して、利用者携帯端末にて表示する再現画像における現在の景観として「実写画像」を用いて、実写画像である現在の景観と、過去の景観とをコンピュータによって合成した過去の景観を示す画像である景観画像情報を景観再現サーバにて生成する構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

してみると、本願発明は、引用発明1及び文献2技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 本願発明についてのむすび

以上のことから、本願発明は、当審の拒絶の理由で通知したとおり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2022-000055

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