特許無効審判
2021-800064
排ガス及びガス・スクラバ流体浄化装置及び方法
- 審判番号
- 2021-800064
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2012-554342
- 登録番号
- 5859463
- 請求日
- 2021年07月29日
- 審決日
- 2023年08月01日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三菱化工機 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
- 【請求人代理人】大谷 郁夫
- 【請求人代理人】池田 裕彦
- 【請求人代理人】重冨 貴光
- 【請求人代理人】岩崎 翔太
- 【請求人代理人】長谷部 陽平
- 【請求人代理人】鷲見 健人
- 【被請求人】アルファ・ラバル・コーポレイト・エービー
- 【被請求人代理人】松田 政行
- 【被請求人代理人】山崎 貴啓
- 【被請求人代理人】吉川 武志
- 審判長/審判官
- 審判長 日比野 隆治
- 審判官 宮澤 尚之
- 審判官 立木 林
- 分類
- P1123.121-YAA(B01D) / P1123.856-YAA(B01D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第134条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第135条、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第5859463号発明「排ガス及びガス・スクラバ流体浄化装置及び方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5859463号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8、10〕、〔11、12〕について訂正することを認める。
請求項1~4、6、7、11、12についての本件審判の請求は成り立たない。
請求項8についての本件審判の請求を却下する。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 請求の趣旨及び答弁の趣旨
1 請求の趣旨
特許第5859463号発明の特許請求の範囲の請求項1~4、6~8、11、12に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。
2 答弁の趣旨
本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。
第2 手続の経緯
1 本件特許の出願から設定登録に至るまでの経緯
本件特許無効審判事件に係る特許第5859463号(以下、「本件特許」という。)は、本件被請求人であるアルファ・ラバル・コーポレイト・エービーが保有するものであり、その請求項1~12に係る発明についての出願は、2011年(平成23年)2月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年2月25日 (EP)欧州特許庁 2010年7月2日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする特許出願であって、特願2012-554342号として審査され、平成27年12月25日に特許権の設定登録がされたものである。
2 別件異議事件における経緯
設定登録時の請求項1~12に係る特許に対して、平成28年8月9日に特許異議申立人村上友一により、同年8月10日に齋藤慎二により、それぞれ特許異議の申立てがされ、異議2016-700714号として審理され、平成29年1月30日にされた訂正の請求を踏まえて、同年3月24日付けで「特許第5859463号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、〔11-12〕について訂正することを認める。特許第5859463号の請求項1ないし8、10ないし12に係る特許を維持する。特許第5859463号の請求項9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。」との異議の決定がされ、この決定は、同年4月3日に確定した。
3 本件特許無効審判事件における経緯
本件は、前記異議の決定の確定後に、本件請求人である三菱化工機株式会社により、前記訂正後の請求項1~4、6~8、11、12に係る特許を対象として請求されたものである。
本件における手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和3年 7月29日 審判請求書の提出(請求人)
同年12月15日 審判事件答弁書の提出(被請求人)
令和4年 5月10日付け 審理事項通知
同年 5月17日 口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
同年 6月 1日 口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
同年 6月14日 第1回口頭審理
同年 7月 5日 上申書の提出(被請求人)
同年 7月26日 上申書の提出(請求人)
同年 9月13日付け 審決の予告
同年12月21日 訂正請求書及び上申書の提出(被請求人)
令和5年 1月23日 手続補正書(方式)の提出(被請求人)
同年 3月 6日 弁駁書の提出(請求人)
第3 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨
特許第5859463号の明細書、特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の明細書、訂正後の請求項1から8、10から12について訂正することを求める。
2 訂正の内容
令和5年1月23日提出の手続補正書(方式)により補正された、令和4年12月21日提出の訂正請求書をもってされた訂正の請求(以下、「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)は、特許法第134条の2第3項及び同条第9項で準用する同法第126条第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項〔1~8、10〕、〔11、12〕を訂正の単位として訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項)は、次のとおりである。なお、訂正箇所に下線を付した。
(1) 一群の請求項1~8、10に係る訂正
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「ディーゼル・エンジンのための排ガス浄化装置」と記載されているのを、「船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスを浄化するための閉じた排ガス浄化装置」に訂正する。請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~7、10についても同様に訂正をする。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「排ガスを浄化するためのガス・スクラバ(1)」と記載されているのを、「排ガス導管(2)内を流れる前記排ガスを浄化するためのガス・スクラバ(1)」に訂正する。請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~7、10についても同様に訂正をする。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1に「汚染物質粒子を有する汚染されたスクラバ流体」と記載されているのを、「汚染物質粒子を有する汚染された、水道水、淡水、または脱塩海水のスクラバ流体」に訂正する。請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~7、10についても同様に訂正をする。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1に「前記排ガス浄化装置は、バッファ・タンク(6)を更に有し」と記載されているのを、「前記排ガス浄化装置のスクラバ流体浄化装置は、前記排ガス導管から独立し、前記ガス・スクラバ(1)から前記汚染されたスクラバ流体が導かれるバッファ・タンク(6)を更に有し」に訂正する。請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~7、10についても同様に訂正をする。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(2) 一群の請求項11、12に係る訂正
ア 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項11に「ディーゼル・エンジンの排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体」と記載されているのを、「船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体」に訂正する。請求項11を引用する請求項12についても同様に訂正をする。
イ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11に「排ガス・スクラバ(1)からバッファ・タンク(6)へ」と記載されているのを、「排ガス・スクラバ(1)から、排ガス導管(2)から独立したバッファ・タンク(6)へ」に訂正する。請求項11を引用する請求項12についても同様に訂正をする。
ウ 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項11に「バッファ・タンク(6)へ、汚染されたスクラバ流体」と記載されているのを、「バッファ・タンク(6)へ、水道水、淡水、または脱塩海水の汚染されたスクラバ流体」に訂正する。請求項11を引用する請求項12についても同様に訂正をする。
(3) 明細書に係る訂正(前記(1)及び(2)に係る一群の請求項の全てが対象)
ア 訂正事項9
明細書の【0043】に「スクラバ出口4は、スクラバ流体のためのバッファ・タンク6の入口5に接続されている」と記載されているのを、「スクラバ出口4は、スクラバ流体のための、排気ガス導管2から独立したバッファ・タンク6の入口5に接続されている」に訂正する。
3 訂正の適否についての判断
(1) 一群の請求項1~8、10に係る訂正について
ア 訂正事項1について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項1は、請求項1に記載された「ディーゼル・エンジンのための排ガス浄化装置」について、排ガスの発生源を「船舶用ディーゼル・エンジン」に、浄化される排ガスを「EGRにおいて再循環される排ガス」に、排ガス浄化装置の形式を「閉じた排ガス浄化装置」にそれぞれ限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無について
a 訂正事項1における「船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスを浄化するため」との訂正事項に関して、本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件特許明細書」という。)には、「他の目的は、船舶用エンジンからの窒素酸化物(NOx)の放出を減少させることにある。これは、排ガス再循環(EGR)を実施することにより行われることが可能であり、ここで、排ガスの一部がエンジンの燃焼室に再循環される」こと(【0004】)が記載されている。
b(a) また、訂正事項1における「閉じた排ガス浄化装置」との訂正事項に関して、本件特許明細書及び図面には、次の記載を認めることができる。
・「ガス・スクラバ及びスクラバ流体浄化装置は、スクラバ流体ループを、即ち、システムの中のスクラバ及び他のコンポーネントの中を通るスクラバ流体の再循環をもたらす循環システムを、形成しても良い。」(【0011】)
・「ガス・スクラバから遠心分離機へ及び遠心分離機からガス・スクラバへスクラバ流体を導くための手段は、スクラバ流体を循環させるためのスクラバ流体ループを形成するように構成されている。汚染されたスクラバ流体及び浄化されたスクラバ流体を導くための手段は、導管、パイプ、チューブ、タンク、ポンプなどを有していても良い。」(【0013】)
・「図1に、ガス・スクラバ流体のための浄化装置を有する排ガス浄化装置が、示されている。排ガス・スクラバ1は、船舶の主機などのような大きいディーゼル・エンジンの排ガス導管2に作用する。スクラバには、スクラバ流体のためのスクラバ入口3及びスクラバ出口4が設けられている。スクラバ出口4は、スクラバ流体のためのバッファ・タンク6の入口5に接続されている。出口7から始まって、バッファ・タンク6には、セパレータ供給ポンプ10を介して遠心分離機9のセパレータ入口8に接続された、スクラバ流体のための浄化回路が設けられている。・・・遠心分離機9には、更に、浄化されたスクラバ流体のための第一のセパレータ出口14、及び第二の出口15が設けられ、第二の出口は、浄化されたスクラバ流体と比べて高い密度で分離された相を排出するために、排出ポートまたはノズルの形態で、分離スペースからロータの中を通って伸びている。第一のセパレータ出口14は、バッファ・タンク6上の入口16に接続されて、浄化回路を閉じる。バッファ・タンクには、スクラバ流体を排ガス・スクラバへ供給するための他の出口17が設けられ、ここで、出口17は、スクラバ供給ポンプ18を介してスクラバ1の入口3に接続されている。・・・運転の間、スクラバ流体は、スクラバ供給ポンプ18を介して、バッファ・タンク6からスクラバ入口3へ供給される。スクラバ流体は、スクラバの中でアトマイズされ、そして、排ガス導管2の中のまたはそれからの排ガスの流れに供給される。スクラバの中で、スクラバ流体は、有機物及び無機物の燃焼残渣の排ガスからの浄化の中で使用される。その結果生ずるスクラバ流体及び排ガスの燃焼残渣の混合物は、飛沫の形態でガスの流れから分離され、そして、スクラバ流体浄化装置のスクラバ流体のためのスクラバ出口4及び入口5から、バッファ・タンク6に戻される。・・・バッファ・タンク6の中のスクラバ流体は、連続的にまたは必要とされるときに、セパレータ供給ポンプ10により、浄化ループの中への出口を介して、遠心分離機9のセパレータ入口8へ送られる。・・・浄化されたスクラバ流体は、第一のセパレータ出口14から排出され、そして、バッファ・タンクに送り戻され、そこから、排ガス・スクラバへ移送される。」(【0043】~【0050】)
・「図5は、図1の中で先に説明されたものと同様な、本発明に基づくガス・スクラバ流体のための浄化装置を有する排ガス浄化装置の他の例を示している。スクラバ1、遠心分離機9、バッファ・タンク、及び更なる中間的なコンポーネントは、スクラバ流体の循環のためのスクラバ流体ループを形成している。ガス・スクラバ流体のための浄化装置は、スクラバ流体・ループからスクラバ流体の一部を抜き出すための手段を含んでいて、この手段は、ブリード・オフ・セパレータ供給ポンプ27を介して更なるブリード・オフ遠心分離機20に接続されている。・・・スクラバ流体ループには、更に、運転の間に、プロセスに、水道水、淡水または脱塩海水などのような、清浄なスクラバ流体を追加するための手段(図に示されていない)が設けられても良い。・・・遠心分離機20には、更に、浄化されたスクラバ流体のための第一のセパレータ出口25、及び、第二の出口26が設けられ、この第二の出口は、浄化されたスクラバ流体と比べて高い密度で分離された相を排出するために、分離スペースから伸びる排出ポートの形態である。浄化されたスクラバ流体のための第一のセパレータ出口25は、排出のために船舶の外側に、または一時的な貯蔵のためのタンクに、つながっていても良い。第二のセパレータ出口26は、汚染された相のための貯蔵タンクに接続されても良い。・・・運転の間、スクラバ流体ループの中でのスクラバ流体の浄化は、先の例との関係で説明されたように、実施される。スクラバ流体ループから、汚染されたスクラバ流体の一部が、スクラバ流体ループから抜き出され、ブリード・オフ・セパレータ20の入口24へ移送される。・・・浄化されたスクラバ流体は、第一のセパレータ出口25から、排出のために船舶の外側へ、または一時的な貯蔵のためにタンクへ導かれる。」(【0063】~【0067】)
・「図6において、浄化装置は、図5の中に記載されているように、スクラバ流体ループの中の遠心分離機9の第二のセパレータ出口15に接続された排出バッファ・タンク29を組み入れることにより、更に変形される。・・・バッファ・タンク6及び29からの汚染された流体の流れは、適切なやり方で流れを変えるまたはブレンドするために、個別にコントロールされても良い。特に、スクラバ流体ループからスクラバ流体を抜き出すことに対する必要性が低いときに、ブリード・オフ・セパレータ20’が、排出物バッファ・タンク29からの材料を更に濃縮するために使用されても良い。」(【0068】~【0072】)
・「
[図:0001417924000001.jpg]
」(【図1】)
・「
[図:0001417924000002.jpg]
」(【図5】)
(b) そして、前記認定の記載事項から、本件特許明細書及び図面には、次の事項の開示を認めることができる。
・請求項1に記載された「排ガス浄化装置」は、「スクラバ流体浄化装置」を有するところ、この「スクラバ流体浄化装置」は、スクラバ流体ループ、すなわち、システムの中のスクラバ及び他のコンポーネントの中を通るスクラバ流体の再循環をもたらす循環システムであって、(導管、パイプ、チューブ、タンク、ポンプなどの手段により)ガス・スクラバから遠心分離機へ、及び、遠心分離機からガス・スクラバへ、スクラバ流体を循環させるためのスクラバ流体ループを形成しても良いこと(【0011】、【0013】)。
・図1には、前記スクラバ流体ループの具体例として、スクラバ流体が、「バッファ・タンク6」を介して、「排ガス・スクラバ1」と「遠心分離機9」との間を循環する経路が示されていること。具体的には、スクラバ流体ループとして、(i)「バッファ・タンク6」(「出口17」)→「スクラバ供給ポンプ18」→(「スクラバ入口3」)「排ガス・スクラバ1」(「スクラバ出口4」)→(「入口5」)「バッファ・タンク6」の循環経路、(ii)「バッファ・タンク6」(「出口7」)→「セパレータ供給ポンプ10」→(「セパレータ入口8」)「遠心分離機9」(「第一のセパレータ出口14」)→(「入口16」)「バッファ・タンク6」の循環経路(浄化回路)及び(iii)これらの循環経路を組み合わせた複合循環経路があり、スクラバ流体は、この複合循環経路内で完結しており、当該経路に対する明示的なスクラバ流体の流出入経路は示されていないこと(【0043】~【0050】)。
・図5には、図1と同様、「スクラバ1」、「遠心分離機9」、「バッファ・タンク6」及び更なる中間的なコンポーネントによって、スクラバ流体の循環のためのスクラバ流体ループを形成したスクラバ流体浄化装置の例が示されていること。そして、このスクラバ流体浄化装置は、当該スクラバ流体ループからスクラバ流体の一部を抜き出すための手段を更に有しており、この手段は、「ブリード・オフ・セパレータ供給ポンプ27」を介して更なる「ブリード・オフ遠心分離機20」に接続されており、そこで浄化されたスクラバ流体は、「第一のセパレータ出口25」から、排出のために船舶の外側に、又は一時的な貯蔵のためにタンクに、それぞれ導かれるようになっていること。また、スクラバ流体ループには、更に、運転の間に、プロセスに、水道水、淡水又は脱塩海水などのような、清浄なスクラバ流体を追加するための手段が設けられても良いこと(【0063】~【0067】)。
・スクラバ流体ループからスクラバ流体の一部を抜き出すことは必要に応じて行われること(【0068】~【0072】)。
(c) そうすると、前記の開示事項からみて、本件特許明細書及び図面には、「排ガス浄化装置」における「スクラバ流体浄化装置」の「スクラバ流体ループ」として、(清浄なスクラ流体を追加するための経路や、ブリード・オフ・セパレータ供給ポンプを介してブリード・オフ遠心分離機に接続された、スクラバ流体の一部を抜き出すための経路といった臨時的な経路を許容するにせよ)常態的には、前記複合循環経路にてスクラバ流体の循環が完結し、系内外への流入出のない、確立されたスクラバ流体ループが記載されているということができる。
そして、前記「閉じた排ガス浄化装置」との訂正事項は、用語の使用に正確性を欠くところがあることは否めないものの、特に「閉じた」という用語の意味合いは、まさに、排ガス浄化装置中のスクラバ流体浄化装置における、前記のような確立されたスクラバ流体ループの存在を暗示したものと理解するのが相当である。
そうである以上、「閉じた排ガス浄化装置」との訂正事項は、本件特許明細書及び図面に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
c 以上のとおりであるから、訂正事項1は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項1は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項2について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項2は、請求項1に記載された「排ガスを浄化するためのガス・スクラバ(1)」について、ガス・スクラバ(1)により浄化される排ガスを、「排ガス導管(2)内を流れる前記排ガス」に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無について
本件特許明細書には、「排ガス・スクラバ1は、船舶の主機などのような大きいディーゼル・エンジンの排ガス導管2に作用する」こと(【0043】)が記載されているから、訂正事項2は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項2は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項3について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項3は、請求項1に記載された「スクラバ流体」について、流体の種類を「水道水、淡水、または脱塩海水」に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無について
本件特許明細書には、「排ガスを浄化するプロセスの中に最初から含まれるスクラバ流体、または、運転の間にプロセスに加えられるスクラバ流体は、好ましくは、水道水、淡水、または脱塩海水であって良い」こと(【0030】)が記載されているから、訂正事項3は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項3は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
エ 訂正事項4について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項4は、請求項1に記載された「前記排ガス浄化装置は、バッファ・タンク(6)を更に有」することについて、「バッファ・タンク(6)」は、排ガス浄化装置の中の「スクラバ流体浄化装置」に設けられたものであること、及び、この「バッファ・タンク(6)」は、「排ガス導管(2)から独立しており、ガス・スクラバ(1)から汚染されたスクラバ流体が導かれる」ものであることを限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無について
本件特許明細書及び図面には、前記ア(イ)bでの検討のとおり、排ガス浄化装置のスクラバ流体浄化装置に、スクラバ流体ループである複合循環経路(スクラバ流体が、「バッファ・タンク6」を介して、「排ガス・スクラバ1」と「遠心分離機9」との間を循環する経路)を形成することが記載されているのであるから、訂正事項4は、本件特許明細書及び図面に記載した事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項4は、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項4は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
オ 訂正事項5について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項5は、請求項8の記載を削除するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項5は、請求項8の記載を削除するものであるから、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないことは明らかであるため、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
カ 独立特許要件について
一群の請求項1~8、10に係る訂正(訂正事項1~5)は、いずれも「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるところ、訂正前の請求項1~4、6~8に係る特許に対しては、本件特許無効審判の請求がされているから、これらの請求項に係る訂正については、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件(いわゆる「独立特許要件」)は課されない。
他方、訂正前の請求項5、10に係る特許に対しては、本件特許無効審判の請求がされていないから、これらの請求項に係る訂正については、独立特許要件についてさらに検討する必要がある。
そこで検討するに、訂正前の請求項5、10に係る発明は、審査過程において拒絶の理由を発見しないとして特許を受けたものであり、請求人からも、当該発明に係る特許に対して、これを無効にする証拠は提示されていない。加えて、当該請求項についての訂正により、新たな記載不備なども認められないことから、訂正前の当該発明はもとより、これを限定した訂正後の発明も特許を受けることができるものである。さらにいうと、訂正後の請求項5、10は、訂正後の請求項1を引用するものであって、後記第7において検討する、訂正後の請求項1に係る発明と同様に、進歩性欠如に係る無効理由が存するものでもないから、結局、訂正後の請求項5、10に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
よって、訂正事項1~5のうち、請求項5、10に係る訂正は、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の規定に適合する。
(2) 一群の請求項11、12に係る訂正について
ア 訂正事項6について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項6は、請求項11に記載された「ディーゼル・エンジンの排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体」について、排ガスの発生源を「船舶用ディーゼル・エンジン」に、浄化される排ガスを「EGRにおいて再循環される排ガス」にそれぞれ限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無について
訂正事項6は、前記(1)ア(イ)a及びcで検討したのと同様に、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項6は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
イ 訂正事項7について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項7は、請求項11に記載された「バッファ・タンク(6)」について、「排ガス導管(2)から独立した」ものに限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無について
訂正事項7は、前記(1)エ(イ)で検討したのと同様に、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項7は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
ウ 訂正事項8について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項8は、請求項11に記載された「スクラバ流体」について、流体の種類を「水道水、淡水、または脱塩海水」に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無について
訂正事項8は、前記(1)ウ(イ)で検討したのと同様に、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項8は、前記(ア)のとおり、特許請求の範囲を減縮するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
エ 独立特許要件について
一群の請求項11、12に係る訂正(訂正事項6~8)は、いずれも「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正であるところ、訂正前の請求項11、12に係る特許については、本件特許無効審判の請求がされているから、請求項11、12に係る訂正(訂正事項6~8)は、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件(独立特許要件)は課されない。
(3) 明細書に係る訂正について
ア 訂正事項9について
(ア) 訂正の目的の適否について
訂正事項9は、前記訂正事項4及び7により特許請求の範囲の記載が訂正されることに伴い、願書に添付された明細書の【0043】における、図1の「ガス・スクラバ流体のための浄化装置を有する排ガス浄化装置」に関する記載を明確化するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
(イ) 新規事項の有無について
訂正事項9は、前記(1)エ(イ)で検討したのと同様に、願書に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。
(ウ) 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項9は、前記(ア)のとおり、前記訂正事項4及び7により特許請求の範囲の記載が訂正されることに伴い、願書に添付された明細書の【0043】の記載を明確化するものであり、実質上特許請求の範囲の記載を拡張し、又は変更するものに該当しないものであるから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。
イ 独立特許要件について
明細書に係る訂正(訂正事項9)は、「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるから、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される要件(独立特許要件)は課されない。
4 訂正請求についての結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において読み替えて準用する同法第126条第5項から第7項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~8、10〕、〔11、12〕について訂正することを認める。
第4 特許請求の範囲の記載(本件発明)
前記第3のとおり、本件訂正請求は適法にされたものであるから、本件特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。そして、各請求項に係る発明は、その記載事項により特定されるとおりのものである(以下、各請求項に係る発明を、項番号に合わせて「本件発明1」などといい、纏めて「本件発明」という。)。
「【請求項1】
船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスを浄化するための閉じた排ガス浄化装置であって、
排ガス導管(2)内を流れる前記排ガスを浄化するためのガス・スクラバ(1)を有し、このガス・スクラバは、汚染物質粒子を有する汚染された、水道水、淡水、または脱塩海水のスクラバ流体を作り出し、
このガス・スクラバに接続され、前記汚染されたスクラバ流体を浄化するためのスクラバ流体浄化装置を有し、
前記スクラバ流体浄化装置は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを分離するための遠心分離機(9)を有し、
この遠心分離機は、
分離ディスク(13)の積層体を備えた分離スペース(12)の周りを取り囲むロータ(11)と、
前記分離スペースの中に伸びる、汚染されたスクラバ流体のためのセパレータ入口(8)と、
前記分離スペースから伸びる、浄化されたスクラバ流体のための第一のセパレータ出口(14)と、
前記分離スペースから伸びる、汚染物質相のための第二のセパレータ出口(15)と、を有し、
このスクラバ流体浄化装置は、
汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバから前記セパレータ入口へ導くための手段と、
浄化されたスクラバ流体を第一のセパレータ出口から前記排ガス・スクラバへ導くための手段と、を更に有していること、
前記排ガス浄化装置のスクラバ流体浄化装置は、前記排ガス導管から独立し、前記ガス・スクラバ(1)から前記汚染されたスクラバ流体が導かれるバッファ・タンク(6)を更に有し、
前記浄化されたスクラバ流体を前記第一のセパレータ出口から前記排ガス・スクラバへ導くための手段は、このバッファ・タンクを介して、浄化されたスクラバ流体を前記第一のセパレータ出口(14)から前記排ガス・スクラバ(1)へ導くように構成されていること、
前記汚染されたスクラバ流体を排ガス・スクラバから前記セパレータ入口へ導くための手段は、前記バッファ・タンク(6)を介して、汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバ(1)から前記セパレータ入口(8)へ導くように構成されていること、
汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出すための手段を更に有していて、この手段は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離するように構成されていること、
を特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載の排ガス浄化装置、
前記第二のセパレータ出口(15)は、汚染物質相の間欠的な排出のための排出ポートを有している。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項2に記載の排ガス浄化装置、
前記スクラバ流体浄化装置は、
前記分離スペース(12)の径方向外側の部分の中の汚染物質相の量に関係する前記遠心分離機のプロセス・パラメータを決定するための手段と、
前記分離スペースの径方向外側の部分の中の汚染物質相の量が予め定められたレベルを超えたことを示す、前記プロセス・パラメータについての予め定められた条件で、前記第二のセパレータ出口(15)の前記排出ポートを開くように構成された手段と、を更に有している。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項3に記載の排ガス浄化装置、
前記運転パラメータは、前記第一のセパレータ出口(14)の中の浄化されたスクラバ流体の濁り度であり、
前記運転パラメータの予め定められた条件は、この濁り度が予め定められたレベルを超えたことである。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項3に記載の排ガス浄化装置、
前記遠心分離機は、第三のセパレータ出口を更に有していて、この第三のセパレータ出口は、前記分離スペース(12)の径方向外側の部分から伸び、
前記運転パラメータは、この第三のセパレータ出口での圧力であって、前記予め定められた条件は、この圧力が予め定められたレベルを下回ったことである。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項1から5の何れか1項に記載の排ガス浄化装置、
前記セパレータ入口(8)は、ハーメチック・タイプである。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項1から6の何れか1項に記載の排ガス浄化装置、
前記スクラバ流体浄化装置は、前記セパレータ入口(8)及び前記第一のセパレータ出口(14)と連絡するバイパス(19)を更に有している。
【請求項8】(削除)
【請求項10】
下記特徴を有する請求項1に記載の排ガス浄化装置、
前記ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)は、更に、前記第二のセパレータ出口(15)から汚染物質相を受け取るように構成されている。
【請求項11】
船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体を浄化するための方法であって、
- 排ガス・スクラバ(1)から、排ガス導管(2)から独立したバッファ・タンク(6)へ、水道水、淡水、または脱塩海水の汚染されたスクラバ流体を取り出し、ここで、この汚染されたスクラバ流体は、汚染物質粒子を有し、汚染されたスクラバ流体を前記バッファ・タンクから遠心分離機に供給し、
- ディスク積層体遠心分離機(9)の中で、前記汚染されたスクラバ流体から、汚染物質粒子を有する汚染物質相を分離し、それにより、浄化されたスクラバ流体を取り出し、
- 前記遠心分離機から前記バッファ・タンク(6)に、浄化されたスクラバ流体を供給すること、
- 前記バッファ・タンク(6)から前記排ガス・スクラバに、浄化されたスクラバ流体を供給すること、及び
汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)に抜き出し、抜き出された汚染されたスクラバ流体の一部から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離すること、
を特徴とする方法。
【請求項12】
下記工程を更に有する、請求項11に記載の方法、
- 前記遠心分離機(9)から、汚染物質粒子を有する前記分離された汚染物相を排出する。」
第5 請求人の主張及び証拠方法
1 請求人の主張の概要
請求人の主張する請求の理由(無効理由)は、審判請求書、令和4年5月17日提出の口頭審理陳述要領書、同年7月26日提出の上申書、及び、令和5年3月6日提出の弁駁書の記載からみて、概略、次のとおり整理することができる。なお、甲第1号証を「甲1」などと略して記載する。
・無効理由
本件特許の請求項1~4、6~8、11、12に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その特許は同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。
2 証拠方法
請求人が提出した証拠は、次のとおりである。
(1) 審判請求書に添付して提出された証拠
甲1 特開平8-299754号公報
甲2 特開2004-81933号公報
甲3 特開2003-284919号公報
甲4 特開2004-89770号公報
甲5 化学・化学関連工業用ディスク型遠心分離機、長瀬アルファ株式会
社(甲6からみて昭和63年1月8日以前に頒布)
甲6 長瀬アルファ株式会社閉鎖登記簿謄本
甲7 特開平1-242160号公報
甲8 特開2002-336734号公報
甲9 特開2004-154694号公報
甲10 特開2001-239184号公報
甲11 三菱遠心分離機セントリフューガルディスクセパレータ、三菱化
工機株式会社(裏表紙の記載からみて1982年11月に発行)
甲12 DISC SEPARATOR SJ・OP、三菱化工機株式会
社(裏表紙の記載や甲13からみて1999年9月に発行)
甲13 三菱化工機株式会社 会社沿革ウエブページ、[online],20
21年6月7日検索、インターネット<URL:http://www.kakoki
.co.jp/company/history.html>
甲14 ウエストファリアセパレーターデカンター、ファーイーストウエ
ストファリアセパレーター株式会社(甲15からみて平成6年8
月1日以前に頒布)
甲15 GEAウエストファリアセパレータージャパン株式会社閉鎖事項
全部証明書
甲16 SAITO SEPARATORS、斎藤遠心機工業株式会社(
甲16の第2頁の記載からみて1983年頃に頒布)
甲17 遠心分離機総合カタログ、石川島播磨重工業株式会社(裏表紙の
電話番号からみて1991年以前に頒布)
甲18 特開昭63-65936号公報
甲19 特開昭60-197224号公報
甲20 特開2001-259360号公報
甲21 特開平11-5014号公報
甲22 特表2001-518384号公報
甲23 特表2009-526629号公報
甲24 特表平10-504231号公報
甲25 特開平7-284693号公報
甲26 特開2005-254157号公報
甲27 特開2002-273151号公報
甲28 特開2000-176242号公報
(2) 令和4年5月17日提出の口頭審理陳述要領書に添付して提出された証拠
甲29 別件異議事件における平成28年10月28日付け取消理由通知
書
甲30 特開平9-38456号公報
甲31 特開平6-226041号公報
甲32 特開2003-135930号公報
甲33 特開2003-144849号公報
甲34 特開2008-80261号公報
(3) 令和5年3月6日提出の弁駁書に添付して提出された証拠
甲35 特開平4-300614号公報
甲36 特開平9-192440号公報
甲37 特開2002-332919号公報
甲38 特開平8-254160号公報
甲39 特開2009-138749号公報
甲40 特表平8-512376号公報
甲41 機械工学便覧 エンジニアリング編 C8編環境装置、社団法人
日本機械学会、1997年10月5日、第23~25頁
第6 被請求人の主張及び証拠方法
1 被請求人の主張の概要
被請求人の主張する答弁の理由(無効理由に対する反論)は、審判事件答弁書、令和4年6月1日提出の口頭審理陳述要領書、同年7月5日提出の上申書、及び、同年12月21日提出の上申書の記載からみて、概略、次のとおり整理することができる。
・無効理由に対する反論
請求人の主張する無効理由は誤りであり、本件特許の請求項1~4、6~8、11、12に係る発明は進歩性を有する。
2 証拠方法
被請求人が提出した証拠は、次のとおりである。なお、乙第1号証を「乙1」などと略して記載する。
・令和4年6月1日提出の口頭審理陳述要領書に添付して提出された証拠
乙1 Exhaust Gas Scrubber Washwater Effluent、United States Envir
onmental Protection Agency Office of Wastewater Management(
表紙の記載からみて2011年11月に発行)
第7 当審の判断
当審は、請求人が主張する前記無効理由には理由がない、と判断する。判断理由の詳細は、次のとおりである。
1 甲号証の記載事項
(1) 甲1の記載事項
甲1には、「湿式排煙脱硫方法及び装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様である。)。
ア 「【0002】
【従来の技術】排ガスから亜硫酸ガス等の硫黄酸化物を除去するために、湿式排煙脱硫法が多用されている。湿式排煙脱硫法とは、排ガスと吸収液とを気液接触させ、硫黄酸化物を除去する方法である。使用される吸収液は、硫黄酸化物を固定化する吸収剤を水に溶解及び/又は懸濁させた液で、一般にはカルシウム化合物系の吸収剤、例えば石灰石を水に溶解及び/又は懸濁させたスラリ状水溶液を使用する。その他に吸収剤としてMg(OH)2などのマグネシウム化合物系、NaOHなどのナトリウム化合物系を使用する湿式排煙脱硫法がある。本発明はこれらの湿式排煙脱硫法の共通の技術課題を解決する方法を提供する。」
イ 「【0004】従来のジェットバブリング反応槽の構成
図12を参照して、スート混合型排煙脱硫装置に使用されているジェットバブリング反応槽、即ち排ガスの冷却を主として行う第1次気液接触を入口ダクト及び排ガス入口室で実施する従来のジェットバブリング反応槽及び入口ダクトの構成を説明する。ジェットバブリング反応槽10(以下、反応槽10と言う)は、吸収剤として石灰石を使用して排ガス中の硫黄酸化物を除去する排煙脱硫装置の主要部である。反応槽10は、上から順に槽を横断するように設けられた、排ガス出口室12と、排ガス入口室14と、石灰石を含む吸収液を収容する下部空間とに区画されている。排ガス出口室12と排ガス入口室14とは、槽を横断して水平に伸びる第1隔板16によって仕切られ、排ガス入口室14と下部空間とは、第1隔板16と同様に槽を横断する方向に伸びる第2隔板18によって仕切られている。第2隔板18は、吸収液層20の液面より上方に位置し、その間に排ガス流出用の空間部22を形成している。
【0005】排ガス出口室12は出口ダクト24に接続し、その下の排ガス入口室14は入口ダクト26に接続している。また、吸収液と気液接触した処理排ガスを空間部22から排ガス出口室12に流出させるガスライザとして、複数本のパイプ状の連通管28(図12では、簡単に1本のみ図示)が排ガス入口室14を貫通して、空間部22と排ガス出口室12とを連通させている。
【0006】排ガス分散管30は、上端部で排ガス入口室14に連通し、下端部で吸収液20に浸漬するように排ガス入口室14の第2隔板18から下方に下降している。その下端部には開口部、例えば多数の小さな開口が設けてあり、排ガスはそれら開口から吸収液層20中に分散して、ジェットバブリング層(フロス層)Aを形成する。ジェットバブリング層Aは、排ガスの気泡と石灰石を含む吸収液とからなる液連続相の気液接触層である。反応槽10の下部は、吸収液層20を収容するようになっており、槽下部には吸収液を攪拌するための攪拌機32と、亜硫酸ガスの石膏固定化に必要な酸素を供給するための酸素含有ガス、例えば空気を噴出する空気ノズルを備えた空気供給管34とが設けられている。
【0007】主として排ガスの冷却を目的とする第1次気液接触を行うために、入口ダクト26と排ガス入口室14とにそれぞれ冷却液ノズル36、38が設けられていて、そこに、冷却液として吸収液が、吸収液ポンプ40により反応槽10の下部より送給されている。冷却液として吸収液の排ガス中への噴霧では、第1次気液接触において吸収液と排ガスとを気液接触させることにより、排ガスの冷却を行うと同時に除塵に加えて排ガス中の硫黄酸化物の一部の除去が起こる。更に、入口ダクト26には、排ガスを予備冷却するために工業用水を排ガス中に噴霧する工業用水ノズル42が、冷却液ノズル36の上流に設けてある。反応槽10に吸収剤を供給するために、石膏を含む吸収液を反応槽底部から抜き出すための排出管44、排出ポンプ46、吸収液から石膏を分離する固液分離装置48、石膏を分離した母液の一部に石灰石粉末を添加した後、吸収剤スラリとして反応槽10に供給する吸収剤供給管50と、さらに母液の一部を排水処理装置に送る排水管52とが設けてある。その他の母液は装置内の洗浄等に使用されている(図示せず)。
【0008】従来のジェットバブリング反応槽の運転
以下に、反応槽10の運転を説明する。図12において、反応槽10の下部には、亜硫酸ガスと反応して、石膏に固定化する石灰石粉末を水に溶解及び/又は懸濁させたスラリが石膏を含む吸収液として収容されている。排ガスは、入口ダクト26において工業用水ノズル42から噴霧された工業用水及び冷却液ノズル36から噴霧された吸収液と接触し、次いで排ガス入口室14に入り、そこで冷却液ノズル38から噴霧された吸収液と接触し、第1次気液接触を行う。冷却液ノズル38による吸収液の噴霧は、間欠的な噴霧でも良く、また排ガス流れの一部を対象に部分的に行うこともできる。第1次気液接触では、排ガスと吸収液とが気液接触することにより、主として排ガスの冷却が行われるのと同時に除塵と排ガスの硫黄酸化物の除去も行われる。第1次気液接触での排ガスの冷却及び加湿により、第2次気液接触で生じる乾燥現象が抑制されてスケーリングの発生が軽減され、また安価な装置材、たとえば塩化ビニルなどの樹脂を使用することができるようになる。排ガスは、排ガス入口室14を経由して排ガス分散管30の開口より吸収液の液面下に導入され、ジェット状に噴出して吸収液と気液接触しながらバブリングしながら上昇する。これにより、所謂ジェットバブリング層A(第2次気液接触)が吸収液の液面上に生成される。第1次気液接触後に吸収液と気液接触する第2次気液接触では、主として、酸素含有ガスによる同時酸化吸収による化学的及び/又は物理的吸収による排ガス中の硫黄酸化物の除去を目的としているが、合わせて排ガスの除塵も行う。亜硫酸ガスは、水、酸素、石灰石と反応して石膏となって除去され、生じた石膏は粒子となって吸収液中に浮遊する。
【0009】亜硫酸ガスを除去された排ガスは、連通管28及び排ガス出口室12を経て出口ダクト24により系外に排出される。一方、晶析した石膏を濃厚に含有する吸収液下層は、排出管44及び排出ポンプ46により反応槽10から排出され、固液分離装置48にて石膏が分離される。次いで、母液の一部は、排煙脱硫排水として排水管52により排水処理装置(図示せず)へ送られ、母液の残り一部は石灰石粉末が添加された後、吸収剤スラリとして吸収液供給管50から反応槽10に供給される。。尚、上述の反応槽10の運転において、反応槽10に収容されている吸収液層20の下層では、pHが3.5以上、通常4.5~5.5になっている。」
ウ 「【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近、湿式排煙脱硫装置から送液される排煙脱硫排水を処理する排水処理設備において、その性能の劣化、低下が予想以上に進行することが問題にされており、その原因が湿式排煙脱硫装置から送液される排煙脱硫排水の水質にあることが判った。その問題とは、例えば排煙脱硫排水の脱窒素工程で利用されている脱窒素菌の成長が阻害され、そのために排水処理装置から放流される処理水の窒素量が増大していることであり、また被処理排水中のCODを吸着させる吸着剤、更にはフッ素、ホウ素を除去する吸着剤、イオン交換剤として使用されている有機物吸着樹脂の劣化が予想外に速いことである。
【0011】従来のスプレー式吸収塔
上述の例では、ジェットバブリング反応槽を例にして従来の湿式排煙脱硫装置を説明したが、図13に示したようなスプレー式吸収塔101を備えた湿式排煙脱硫装置100についても、同様の問題があった。図13のスプレー式吸収塔101は、竪型の塔で形成され、塔の下部には石灰石を吸収剤とする吸収液を収容し、入口ダクト102に接続された塔上部には工業用水ノズル104と吸収液ノズル106とを備えて、排ガス中に工業用水及び吸収液を噴霧し、排ガスと第1次気液接触させ主として排ガスの冷却・除塵を行い、その後、脱硫を連続的に行う。また、吸収液と第1次気液接触との間には、吸収液ノズル108を備えて、排ガス中に吸収液を噴霧し、排ガスと第2次気液接触させて主として排ガス中の亜硫酸ガスを除去する。
【0012】吸収液ノズル106、108には吸収液が塔下部から吸収液ポンプ110によって供給される。吸収塔101の下部には、吸収剤が吸収剤供給管112により供給され、吸収液排出管114により排出される。排ガスは、入口ダクト102から吸収塔101上部に流入する。排ガスは、第1次気液接触にて工業用水ノズル104から噴霧された工業用水及び吸収液ノズル106から噴霧された吸収液によって冷却されつつ除塵その後脱硫がなされる。更に、第2次気液接触で吸収液ノズル108から噴霧される吸収液と気液接触して主として排ガス中の亜硫酸ガスが除去され、浄化された排ガスは、出口ダクト116から流出する。また、酸素含有ガスによる同時酸化吸収を行うために、吸収液内に空気等の酸素含有ガスが空気ノズル118を介して供給されている。
【0013】本発明の目的
以上の状況に照らして、本発明の目的は、第1には排水処理装置の性能を低下させないような水質の排煙脱硫排水を排出できる湿式排煙脱硫方法を提供することであり、第2にはその湿式排煙脱硫方法を実施する排煙脱硫装置を提供することである。」
エ 「【0017】第1発明方法では、第1次気液接触で排ガス中に噴霧される第1の吸収液は、排ガスと最初に接触するので、高濃度の亜硫酸ガスを含有する排ガスと接触でき、しかもその量がL/Gで0.1~3.0と比較的少量である。それにより、第1の吸収液は、亜硫酸ガスを高濃度で溶解し、しかも亜硫酸イオンを溶解した第1の吸収液は、排ガスとの接触時間が短く、排ガス中の残存酸素を除いて酸素に触れることなく自然に沈降分離に分離した後、抜き出されるので、亜硫酸イオンが高い濃度で存在する。また、排ガス中の煤塵も第1の吸収液に捕集され、しかもL/Gが小さくても、第1の吸収液はその高除塵能によって煤塵を高捕集率で捕集するので、第1の吸収液中の煤塵濃度は高くなる。フライアッシュなどの煤塵、亜硫酸イオンを高濃度で含有するスラリになった第1の吸収液(以下、簡単に亜硫酸含有スラリと言う)を抜き出し、固形物スラリ自体又は母液に注入する。これより、石炭系、石油系などの鉄分を含む燃焼煤塵を触媒として、溶解亜硫酸が石膏スラリ等の固形物スラリ中又は母液中の硫黄過酸化物と酸化還元反応して、硫黄過酸化物を主として排水処理装置に無害なSO42-に転化させることができる。さらに、硫黄過酸化物以外の酸化力を有するその他の物質も、煤塵を触媒として溶解亜硫酸との酸化還元反応による分解除去される。よって、排水処理装置に送液される排煙脱硫排水中の酸化性物質濃度が、大幅に低下する。尚、必要に応じ、排水処理装置の前に固液分離装置を設ける。また、固形物は、吸収剤として石灰石を使用した場合、石膏である。」
オ 「【0032】湿式排煙脱硫装置の二
また、本発明に係る別の湿式排煙脱硫装置は、第1発明方法を実施する装置であって、槽を横断する方向に延在する隔板によって槽内に区画され、かつ排ガスを導入する入口ダクトに連通する排ガス入口室と、上端が排ガス入口室に連通し、下端が槽下部に収容される吸収液に浸漬するように上下方向に延在する排ガス分散管とを有するジェットバブリング反応槽を備える湿式排煙脱硫装置において、入口ダクトと排ガス入口室の少なくとも一方に設けられた液ノズルと、液ノズルに吸収液を供給する液供給管とを備え、液ノズルにより排ガス中に吸収液を噴霧して排ガスと気液接触させる液噴霧手段と、液噴霧手段により噴霧された吸収液を主として入口ダクト内にて自然沈降分離により分離する分離手段と、上端で隔板とほぼ面一に連結して排ガス入口室に連通し、隔板から下降して排ガス分散管の下端より下方の吸収液層に達するように延びて、分離手段により分離された吸収液を隔板から流下させる液下降管と、液下降管内に滞留する吸収液を抜き出すポンプとを有する液抜き出し手段と、及びジェットバブリング反応槽から抜き出された固形物を含むスラリに前記抜き出した吸収液を混合する手段、又はスラリから固形物を分離した母液に前記抜き出した吸収液を混合する手段のいずれかの混合手段とを備えることを特徴としている。
【0033】また、液抜き出し手段により抜き出した吸収液を固液分離する固液分離手段を備え、ジェットバブリング反応槽から抜き出された固形物を含むスラリに前記固液分離して得た吸収液を前記混合手段によって混合するか、又はスラリから固形物を分離した母液に前記固液分離して得た吸収液を混合手段によって混合するようにしても良い。」
カ 「【0039】また、上述の湿式排煙脱硫装置の他の部品、部位は、従来の湿式排煙脱硫装置のものを使用でき、例えば固液分離装置として遠心分離器、デカンター、フィルター、シックナーを使用できる。また、排ガス入口室内で噴霧する吸収液には、固液分離装置を使用することなく、反応槽から排出した吸収液に直接吸収剤を添加しても良い。」
キ 「【0043】
【実施例】以下、添付図面を参照し、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
排水処理装置の実施例1
全体構成
図1は、本発明に係る湿式排煙脱硫方法を実施する湿式排煙脱硫装置の二の主要部の構成を示す模式図である。本実施例の湿式排煙脱硫装置は、本発明方法に係る湿式排煙脱硫方法を実施する装置であって、その主要部は図1に示すようなジェットバブリング反応槽及び入口ダクトで構成され、そこで第1次気液接触及び第2次気液接触がそれぞれ実施される。本実施例の湿式排煙脱硫装置60(以下、簡単に排煙脱硫装置60と略称する)は、図12に示すジェットバブリング反応槽10の構成に加えて、第1液下降管62と、第2液下降管64と、第1液下降管62の管内に滞留する、石膏を含むと共に亜硫酸ガスを高濃度に溶解したスラリ(以下、簡単に亜硫酸含有スラリと略称する)を抜き出すための抜き出しポンプ66と、抜き出しポンプ66の吸い込み側に接続された亜硫酸含有スラリの抜き出し管68と、抜き出しポンプ66の吐出側に接続された亜硫酸含有スラリの送出管70と及びその他の接続配管系とを備えている。
【0044】第1吸収液ノズル
本実施例では、第1次気液接触のための第1の吸収液(以下、簡単に吸収液と言う)を噴霧する吸収液ノズルとして、第1吸収液ノズル36が入口ダクト26内に配置されている。本実施例では、排ガスと吸収液との第1次気液接触及び吸収液の沈降分離を行う空間を分離手段として構成し、排ガス入口室14に入る前に排ガスから吸収液をできるだけ沈降分離させている。そのため、第1吸収液ノズル36は、排ガス入口室14の入口、即ち入口ダクト26と排ガス入口室14との接続口から上流に約5mの入口ダクト26内に設けられている。
【0045】第1液下降管
第1液下降管62は、入口ダクト26内で噴霧され、排ガスと第1次気液接触して亜硫酸ガスを高濃度で溶解した吸収液を出来るだけ酸化させることなく回収するために設けられている。そこで、複数本の第1液下降管62が、図2に示すように、排ガス入口室14の入口、即ち入口ダクト26と排ガス入口室14との接続口に近接した第2隔板18上の位置で、しかも第2隔板18の側縁に沿って少なくとも接続口の全長にわたりほぼ等間隔で配置されている。図2に示す第1液下降管62の配列は、例示のための一例であって、多数本の第1液下降管を複数列で配置しても良い。第1液下降管の断面形状は円形だけでなく、角形、楕円形などでもよく、液の下降がスムーズに行われる形状であればよい。
【0046】第1液下降管62は、排ガス分散管30に比べて比較的大径のパイプで形成され、上端で第2隔板18の上面と面一に連結され、そこから下降して反応槽60の下部、具体的には攪拌機32の羽根より1.0m上方の吸収液内に下端部が位置している。第1液下降管62の下端部は、相互に連通するように連通管(図示せず)で結ばれた連通部を形成し、そこに抜き出しポンプ66の抜き出し管68が挿入されている。
【0047】第1液下降管62の寸法、本数は、入口ダクト26内で噴霧する吸収液及び工業用水の液量に基づいて決まるものであるが、本実施例では、第2隔板18の径が約13mであり、工業用水及び吸収液の液量と排ガスのガス量との比率(L/G、L:リットル、G:Nm3)が排ガス入口室14の入口で0.5~2.0であるとして、入口ダクト26と排ガス入口室14との接続口の全長6mにわたり第2隔板18の側縁に沿って管径約0.6mのパイプが5本配置されている。一方、排ガス分散管30として、管径約100mmの多数本のパイプがほぼ均一な分布で第2隔板18上に配置されている。
【0048】第2吸収液ノズル
第2吸収液ノズル38は、吸収液を噴霧して排ガスと気液接触させるよりは、寧ろ本実施例では、入口ダクト26内で排ガス中に噴霧された吸収液を吸収液層20に洗い落とすために設けられている。即ち、入口ダクト26内で噴霧された吸収液が液滴となって排ガスに同伴されて排ガス入口室14に入りそこで分離し、第2隔板18上に滞留する。第2吸収液ノズル38は、吸収液を噴出して第2隔板18上の吸収液を洗い流して第2液下降管64を介して素早く吸収液層下部に流下させるために設けてある。よって、吸収液38から噴霧される吸収液量は、第1吸収液ノズル36から噴霧される吸収液量より通常少ない。
【0049】また、第2吸収液ノズル38の設置の高さは第2隔板18の上0.5m以上であればよい。0.5m以下では噴霧液の分散領域が小さく、数多くのノズルを必要とし、経済的でない。尚、第2吸収液ノズル38は排ガス入口室14の入口付近に設けられた第1液下降管62にて、液分離が充分達成できれば省略できる。また、図2では、排ガス分散管30の配置は省略されている。
【0050】第2液下降管
複数本の第2液下降管64が、図2に示すように、第2隔板18にほぼ均一な分布で配置され、上端で第2隔板18に面一で連結され、そこから下降して反応槽60の下部、具体的には攪拌機32の羽根の直ぐ上方近くまで延びている。第2液下降管64の寸法、本数は、排ガス入口室14内で噴霧する吸収液の液量、正確には入口ダクト26及び排ガス入口室14内で噴霧する吸収液及び工業用水の液量から第1液下降管62により流下させた液量を差し引いた液量に基づいて決まるものであるが、本実施例では、第2液下降管64として管径0.15mのパイプが30本配置されている。
【0051】第1次気液接触のための吸収液を噴霧する吸収液ノズルが、入口ダクト26でなくて排ガス入口室14に設けられている場合には、第1液下降管62を省略して、第2液下降管64から飛灰および亜硫酸含有スラリを抜き出す。その場合には、第2液下降管64の下端部は、相互に連通するように連通管(図示せず)で結ばれた連通部を形成し、そこに抜き出しポンプ66の抜き出し管68が挿入されている。
【0052】堰板
入口ダクト26内で排ガス中に噴霧された工業用水及び吸収液は、その一部が微細粒子となって排ガスに同伴されて排ガス入口室14に入るが、大部分は排ガス入口室14に入る前に分離して入口ダクト26の底板上に沈降し、排ガスに押し流されて排ガス入口室14に入るか、沈降しつつ排ガス流れの下層に同伴されて排ガス入口室14に入る。そこで、本実施例では、図3に示すように高さ約2.7mの入口ダクト26に対して、高さ1.0m(図3(c)ではHで表示)の堰板72が、排ガスに伴って排ガス入口室に流入する冷却液をせき止めるために設けてある。堰板72は、図3(c)に示すように、高さ0.7m(図3(c)ではH1で表示)の直立板部72aと、排ガスの進入方向とは逆向きに直立板部72aの上端から斜め45°上方に傾斜している高さ0.3m(図3(c)ではH2で表示)の傾斜板部72bとで形成されている。
【0053】堰板72はその有効長さL(図3(a)参照)が入口ダクト26の全幅Wより長く、かつ全ての第1液下降管62にわたってその背後に位置するように第1液下降管62と排ガス流れから見て最上流の排ガス分散管30との間に設けてある。図3(a)では、更に、堰板72が冷却液を捕捉し易いように、その両端に曲がり部72cが設けてある。これにより、入口ダクト26の底板上を流れる吸収液の流れ及び排ガス流れの下層に同伴された液滴は、この堰板72によって捕捉され、確実に第1液下降管62内に導入される。
【0054】抜き出しポンプ
抜き出しポンプ66は、亜硫酸含有スラリを第1液下降管62から抜き出し、固液分離装置48の上流の石膏スラリ管54又は排水管52のいずれかに、送出管70を介して抜き出した亜硫酸含有スラリを注入する。尚、亜硫酸含有スラリは石膏濃度が高いので、送出管70を石膏スラリ管54に接続し、固液分離装置48で固液分離した方が望ましい。また、図14に示すように、送出管70の途中に固液分離装置71を設け、亜硫酸含有スラリを固液分離して得た亜硫酸含有液を直接排水管52に注入しても良い。固液分離装置71には、遠心分離機、フィルタ、シックナ、サイクロン等を使用できるが、好ましくは、シックナ又はサイクロンを使用して、触媒機能を有するフライアッシュが亜硫酸含有液に含まれるようにするのが良い。」
ク 「【0058】実施例1では、吸収液ノズル36より噴霧された吸収液は、比較的高い亜硫酸ガス濃度を有する排ガスと気液接触して亜硫酸ガスを高濃度で吸収溶解し、亜硫酸含有スラリとなる。さらに飛灰(煤塵)も捕集される。亜硫酸含有スラリは主として入口ダクト空間26で気液分離され、排ガスとの接触を継続することなく第1液下降管62を流下する。次いで、抜き出しポンプ66により抜き出されて、排出ポンプ46で抜き出された石膏スラリ又は固液分離装置48から出る母液に注入される。よって、抜き出された吸収液、即ち亜硫酸含有スラリは、亜硫酸イオン濃度が高く、酸化性物質との酸化還元反応能が高いので、石膏スラリ又は母液中の硫黄過酸化物の濃度を低下させる。これにより、酸化性物質濃度の低い排煙脱硫排水が、排水処理装置に送液される。」
ケ 「【図14】
[図:0001417924000003.jpg]
」
(2) 甲2の記載事項
甲2には、「排水処理装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項2】
船舶用エンジンの排ガスのガス洗浄用スクラバーによる洗浄に使用した水を流す配管と、
前記配管に接続され、前記水に含まれるばいじんを前記水から分離するばいじん分離部と、
を具備する、
排水処理装置。」
イ 「【0002】
【従来の技術】
一般に、ディーゼルエンジンの排ガスには、NOx、SOx、CO2などの有害物質や環境に負荷を与える物質が含まれている。特に、低質な燃料が用いられる船舶用のディーゼルエンジンにあっては、有害物質の含有量も多い。その為、その排ガスは、そのまま排出されるのではなく、何らかの処理装置により有害物質の含有量を低減された後に排出されるのが一般的である。
【0003】
ガス洗浄用スクラバーは、排ガスを海水に通すことにより、排ガス中のばいじん及びSOx等を大幅に低減する排ガス処理装置である。船舶の場合には、多くの場合海水を使用するが、一部清水を使用する場合もある。そして、ガス洗浄用スクラバーは、排ガス処理の際、汲み上げられた海水等と排ガスとを接触混合する。それにより、排ガス中のばいじん及びSOx等は、海水等中に取りこまれるため、排ガス中の有害物質は大幅に低減される。
【0004】
しかし、処理終了後の海水等は、そのままの状態で直接海へ排水されるが、その排水中にはばいじん、硫酸、油分等が混入しているため、そのような汚染排水を直接海へ流すことがないように、排水中の有害物質の処理・低減する技術が求められている。その技術を応用したエンジンや船舶が求められている。今後、船舶の集中や海洋汚染物質の蓄積が起き易く、直接排水の影響が出易い湾内や内海航行時だけでなく、公海上においても厳しい環境規制が予想され、世界的にも上記排水処理技術が要望される。また、そのような技術は、定置方のエンジンやボイラの排ガス処理装置に対しても応用可能である。」
ウ 「【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明である排ガスを処理した後の排水の処理装置である排水処理装置の一実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。本実施例において、船舶のエンジンの排ガスを海水等により処理するガス洗浄用スクラバーに使用される排水処理装置を例に示して説明するが、定置型のエンジンやボイラからの排ガスを水(この場合は海水ではない)で処理するガス洗浄用スクラバーにおいても、適用可能である。
【0022】
では、本発明である排水処理装置の一実施の形態を、添付図面を用いて説明する。
図1は、本発明である排水処理装置の一実施の形態を示すブロック図である。図1は、排水処理装置を備えた、ガス洗浄用スクラバーを有する排ガス再循環エンジンを示している。
・・・
【0025】
エンジン1は、内燃機関のエンジンである。本実施例では、船舶におけるディーゼルエンジンである。排ガスの一部を、燃焼に用いる空気と混合することで空気中のO2濃度を下げ、NOxの生成を抑制する排ガス再循環方式(EGR)を採用している。
・・・
【0032】
ガス洗浄用スクラバー13は、配管C20-6の他端部と、配管C20-7の一端部と、配管B18-3の一端部と、配管B18-4の一端部が接続されている。ガス流量調節弁12からの排ガスを、海水を利用して洗浄し、主にばいじん及びSOxを除去する。そして、洗浄後の排ガスをブロア16へ送り込む。また、洗浄に用いる海水は、第1ポンプ17(配管B18-3経由)から導入され、洗浄後に処理部7(配管B18-4経由)へ入る。
・・・
【0039】
次に、図2を参照して、排水処理装置30について説明する。
・・・
【0041】
容積部6は、海水を一時的に溜めておくための貯蔵室である。また、メンテナンス時に一時的に海水をストップする場合などのバッファとしても機能する。ガス洗浄用スクラバー13において、排ガス洗浄に使用した海水を容積部6にて受け取り、溜めておくことが可能である。その海水の洗浄を行う場合には、第2ポンプ10を介して処理部7へ送られるのに対して、そのまま海中へ戻される場合には、排水締切弁8を開放して海中(外部)へ排水される。
配管B18-4は、ガス洗浄用スクラバー13と容積部6を接続する配管である。
・・・
【0046】
処理部7は、遠心分離部22、油除去部23、中和部24、クーラ25、配管A15-7~配管A15-14及び交換弁27-1~交換弁27-2を有する。第2ポンプ10から送られた海水から、主にばいじん除去や中和等SOxを取り除く処理を行う。
【0047】
遠心分離部22(又はばいじん分離部ともいう)は、第2ポンプ10から送られてきた排ガス処理を行った海水を、遠心力を利用して、各成分の比重の違いにより、各成分毎に分離する遠心分離装置である。
配管A15-3は、第2ポンプ10と遠心分離部22を接続している。
【0048】
遠心力Fは、F=mrω2(ただし、m:質量又は比重、r:半径、ω:角速度)で表される。すわなち、同じ半径r、角速度ωにおいて、比重の違いにより受ける遠心力の大きさが異なることから、比重の大きさの異なる物質同士を分離することが可能である。
本実施例の遠心分離部では、排ガス処理を行った海水中に含まれるばいじんと、その他の海水とを分離するために用いる。ばいじんの比重は、約2g/cm3、海水の比重は、約1.0g/cm3である。すなわち、比重が2倍近く異なるので、容易に分離することが可能である。除去されたばいじんは、遠心分離部22から、一定の量が溜まるごとに除去される。」
エ 「【0055】
中和部24は、油除去部23-1(又は23-2)からの油除去処理後の海水の中和を行う中和装置である。海水は、ガス洗浄用スクラバー13での排ガス処理により硫酸分を多量に含んだ状態である。
この時、中和装置において、上述の海水を苛性ソーダ(NaOH)溶液に通すことにより、海水を中和する。その時、NaOH溶液は、主に次のように反応し、無害のNa2SO4を生成する。
H2SO4+2NaOH→Na2SO4+2H2O
上記処理を行った海水は、クーラ25へ排出される。
・・・
【0057】
また、上記海水は、中和されており、かつばいじん及び油分をほとんど含まない為、海中に排水することが可能である。」
オ 「【0078】
上記海水は、ばいじん、油分及び硫酸等を除去されている為、他の装置を汚すことがなく、かつ、再びばいじん、油分及びSOx等を吸収できる。従って、リサイクル海水として、再びガス洗浄用スクラバーの洗浄液として使用することも可能である。その場合、リサイクル海水と新しい海水とを混合した排水をガス洗浄用スクラバーの洗浄液に使用することや、リサイクル海水のみを使用する閉じた系とすることが可能である。これにより、新しい海水の使用量が減り、排出する海水を減らす、又はゼロにすることが可能となる。さらに、全量をリサイクル海水で間に合わすとすれば、閉じた系となるので、ガス洗浄用スクラバーからの排水を環境中へ排出せず、環境に対する負荷の著しく小さいシステムといえる。」
カ 「【0086】
本発明は、船舶におけるエンジンについて説明しているが、定置型の施設(排ガスを発生する設備を有するエンジンやボイラなど)においても適用可能である。その場合には、海水の代わりとして工業用水を利用し、ガス洗浄用スクラバーに用いるようにする。また、そこで使用される工業用水は出来るだけリサイクルして使用するようにする。」
キ 「【図1】
[図:0001417924000004.jpg]
【図2】
[図:0001417924000005.jpg]
」
(3) 甲3の記載事項
甲3には、「排ガス浄化方法及びその装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は排ガス浄化方法及びその装置、特に、海水を利用して海岸近傍に配備された発電所のボイラーその他の燃焼機器や海洋を運行する船舶の内燃機関等の排ガスを浄化する排ガス浄化方法及びその装置に関するものである。」
イ 「【0002】
【従来の技術】一般に、内燃機関やバーナー等の燃焼機器には化石燃料が使用され、その燃焼によって放出される排ガスや排煙中に含まれるNOx、SOx、COx及び塵埃粒子等が環境汚染や地球温暖化の一因となっている。この問題を解決するため、燃料処理、燃焼改善及び触媒による排ガス処理など種々提案され、陸上走行車両等の排ガスについては、ある程度改善されている。」
ウ 「【0026】本発明に係る排ガス処理装置は、図1に示すように、被処理排ガスと処理液とを気液接触させる気液接触装置1と、電解装置16とで構成されている。前記気液接触装置1は、内部に上下二段の気液接触部3A,3Bを備えた円筒状塔本体2と、各段の気液接触部3A,3Bに酸性液又はアルカリ液を噴霧する噴霧ノズル4A,4Bとからなるスクラバで構成されている。前記塔本体2は、その下部に被処理排ガス導入口5を、上部に被処理排ガス排出口6をそれぞれ備えている。
【0027】前記塔本体2の被処理排ガス導入口5は、その下方に配設された廃液処理槽7の上部に連通し、当該廃液処理槽7は被処理排ガスライン8を介してディーゼルエンジンその他の排ガス発生源(図示せず)に接続されている。前記被処理排ガスライン8にはブロワ9が配設されている。また、前記廃液処理槽7内の廃液は、廃液無害化装置10を介して海洋に排出するようにしてある。」
エ 「【図1】
[図:0001417924000006.jpg]
」
(4) 甲4の記載事項
甲4には、「排ガス浄化方法及びその装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項23】
被処理排ガス供給口と浄化ガス排出口を有するスクラバ本体と、スクラバ本体に塩水を供給する塩水供給手段と、直流電圧印加手段と、前記スクラバ本体で生じる廃液を排出する廃液排出手段とからなり、前記スクラバ本体内に前記被処理排ガスと塩水とを気液接触させる気液接触処理部を設け、該気液接触処理部に、塩水の流動方向に関して上流側と下流側に少なくとも一対の電極を設け、該電極対に直流電圧を印加すると共に、前記塩水供給手段により少なくとも上流側電極の表面に塩水を散布又は噴霧するようにしてなることを特徴とする排ガス浄化装置。
・・・
【請求項43】
前記気液接触処理部が、最下流部気流を80℃以下に冷却する気流冷却手段を備えてなる請求項23~42のいずれか一に記載の装置。
【請求項44】
前記気流冷却手段による冷却により生成した淡水を回収する淡水回収槽を設けてなる、請求項43に記載の装置。」
イ 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は排ガス浄化方法及びその装置、特に、海水や人工塩水など塩化ナトリウムを含む塩水を用いて発電所のボイラー、或いは焼却炉、燃焼炉、燃料分解ガス化炉、溶鉱炉、焼結炉、焙焼炉、加熱炉、焼成炉、焼却炉その他の燃焼機器、並びに海洋を運行する船舶の内燃機関等の排ガスを浄化する排ガス浄化方法及びその装置に関するものである。」
ウ 「【0002】
【従来の技術】
一般に、内燃機関やバーナー等の燃焼機器には化石燃料や生物資源などの炭化水素化合物を含む燃料が使用され、その燃焼によって排出される排ガス、被処理排ガス中には、熱だけでなく硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、炭素酸化物(COx)、未燃焼炭化水素、塵埃粒子及び煤塵(PM)等が含まれるため、これらが大気汚染や水質汚染など環境汚染や地球温暖化の一因となっている。従って、生物の死滅を予防し人類が経済活動を持続可能にするためには、汚染物質発生源で可能な限り汚染物質の排出量を削減し、環境破壊を防止することが急務である。これを解決するため、燃料処理、燃焼改善及び触媒による排ガス処理など種々提案されている。」
エ 「【0021】
本発明方法の他の実施態様においては、被処理排ガスを浄化処理した廃液を、少なくとも電解酸化及び微細空気気泡による酸化処理、懸濁した固形物の除去による清澄化処理、及び電解還元による中和処理により無害化し、その清澄液を海洋に排水する、さらには、前記廃液を、酸化鉄(Fe2O3)粉、高炉滓、転炉滓、電気炉滓、ならびに鉄鋼設備からの集塵粉からなる群から選ばれた物質と廃液処理槽で反応させ、その反応生成物を固液分離した後、その清澄液をpH5~8に調整して海洋に排水することが行われる。これにより、中和成分と鉄分を海洋水に溶解させて、植物プランクトンの繁殖に供することができる。」
オ 「【0050】
他の実施態様においては、前記気液接触処理部に、最下流部気流を80℃以下に冷却する気流冷却手段が配設される。前記気流冷却手段による冷却により生成した淡水を回収する淡水回収槽及びFRP製ブロワによる排気手段を設けてもよい。」
カ 「【0069】
図1に示す本発明の一実施態様に係る排ガス浄化処理装置は、縦型スクラバ1からなり、該縦型スクラバ1は、円筒状スクラバ本体2と、その下部に配設された廃液貯留槽3とを含む。前記スクラバ本体2は、その側壁に被処理排ガス導入口4を、上部に排気口5をそれぞれ備え、前記被処理排ガス導入口4は、ブロワ6及び排ガス供給ライン7を介して排ガス発生源(図示せず)に接続されている。前記ブロアは、必ずしも必要ではないが、エンジンに直結した場合、その背圧を利用することができる。
・・・
【0073】
前記スクラバ本体2の下部に設けられた廃液貯留槽3は、廃液排出ライン20を介して廃液無害化処理装置21に接続され、そこで廃液は無害化処理して固液分離され、回収された含水固形物Sは底部から取り出され、無害化した廃液Lは排出ライン22を介して海洋M又は河川に排出される。」
キ 「【0113】
図7は淡水回収及び白煙防止手段を備えた排ガス浄化装置を示し、当該排ガス浄化装置は、図5の装置と同様の構成のスクラバ本体2に気液接触処理部8で浄化された浄化排ガスを冷却する気液接触冷却部69と、冷却された浄化排ガスを加熱する排気加熱部70とをスクラバ本体2の上部に設け、気液接触冷却部69からの冷却水を循環使用するため、スクラバ本体外に冷却塔71を設けたものである。前記気液接触冷却部69は、冷却水噴霧ノズル72と、気液接触を促進させる円錐状多孔板73と、冷却水回収槽74と、回収液貯留槽75とを含み、当該回収液貯留槽75の底部に気液接触式冷却筒76が同軸上に配設され、冷却水噴霧ノズル72から冷却水を円錐状多孔板73の表面に散布して浄化排ガスを80℃以下に冷却すると共に、当該浄化排ガスの含有水分を凝縮させ、その凝縮水を冷却水と共に冷却水回収槽74を介して回収液貯留槽75に回収した後、スクラバ本体外に設けた冷却塔71で冷却して、再使用するようにしてある。
【0114】
前記冷却塔71は、塔本体内に回収液を散布する回収液噴霧ノズル77を備え、塔側壁に設けた外気吸入口78から吸入される外気により空冷した後、冷却水貯水槽79に蓄え、これを冷却水供給ライン80を介して前記冷却水噴霧ノズル72に供給するようにする一方、余剰の冷却水を冷却水排出ライン81を介して排出する。なお、前記冷却水供給ライン80に熱交換器82Bを配設し、冷却水貯水槽79からの冷却水を原塩水と熱交換させて冷却して前記冷却水噴霧ノズル72に供給するようにすると、浄化排ガスの冷却効果を一段と高めることができる。」
ク 「【図1】
[図:0001417924000007.jpg]
」
ケ 「【図7】
[図:0001417924000008.jpg]
」
(5) 甲5の記載事項
甲5には、「化学・化学関連工業用ディスク型遠心分離機」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「遠心分離とは、重力による自然沈降を、時には重力の10,000倍を超える力に変換して、沈降を促進させる方法です。ディスク型遠心分離機ではこの高く変換された遠心力がディスクを重ねることによって100倍にも増加した沈降面と共同して機能します。これは独特な特徴でたいへんコンパクトな形態で、高い効率を持った機械の製作が可能になりました。50m3/hの通液容量を持つ中サイズのディスク型遠心分離機では2m2以下の据付面積があれば充分ですが、これは100,000m2以上の静的据付面積に相当します。
ディスク型遠心分離機は機械的分離のために非常に効率のよい機械です。この装置には数え切れない適用例があります。例えば、清澄や回収の必要な液、互いに分離したい2液、回収や脱水の必要な固形分、固体選別などです。これは生産工場、船舶、発電等の分野において色々な種類の原料の抽出と清浄から最終廃棄物処理のプロセスにまで使うことができます。
アルファ・ラバルは、遠心分離設備を必要とされる製造関係の方々に、幅広い選択を提供しています。この設備は、アルファ・ラバルの創設者であるグスタフ・デ・ラバル博士が、1878年に連続式遠心分離機を開発して以来ずっと当社の専門になっています。」(第1頁第1~13行)
イ 「どんな場合に遠心分離機を使うか。
分離設備は経済的理由、環境の要因、プロセス、プロセスに必要な条件などを考慮して選びます。そういうわけで、ある場合に最適な遠心分離機が選択できるように、すべての条件を書き出すことは、実際には不可能です。とは言っても、基本的な指針となるものはあり、それを4~5ページに掲載しました。更に、次に掲げた1つか、それ以上の必要条件が満たされなければならない時、ディスク型遠心分離機の多くの独特の利点が発揮されます。
1
高い分離効率が要求されている時
ディスク型遠心分離機はたいへん効果的です。高価なフィルター助剤や、連続供給と処理費用の必要な凝集剤なしに、これらの分離機は、約0.1ミクロンまでの粒子を分離できます。これは遠心力と沈降面積を莫大に増加させるディスクを装備している結果です。
・・・
3
連続プロセスが必要な時
遠心分離は、液の連続供給・排出や固形分の連続または、断続排出するなど、それ自体は連続プロセスです。そのプロセスは、洗浄の必要がなく、長時間の運転が可能です。
・・・
11
据付場所が高価、または制限がある時
ディスク型遠心分離機は入手可能な最もコンパクトな分離設備です。たとえば、通液容量200m3/hの機械では、床面積は4m2で済みます。そういうわけで、遠心分離は、床のスペースが高価であったり、プラントの排出物が現在の土地で、増加する可能性がある時に、たいへん適しています。
更に、遠心分離機は容易に輸送でき、可搬式ユニットの中で使うことができます。
12
簡単に据付をしたい時
コンパクトで簡素なことから、遠心分離機は据付するのが簡単で安価です。入口と出口に精巧な装備が必要ありませんし、高いポンプ圧が不要です。内蔵のペアリングディスクタイプのポンプが使われている時、外部にはポンプは不要です。
更に、振動の問題はなく、特別な耐振動のための基礎も必要ありません。」(第2頁第1行~右欄末行)
ウ 「処理液について
遠心分離には分離プロセスで出てくる様々な要求を満足させる融通性があります。化学及びその関連工業では、これらの要求はしばしば非常に多種多様なので既製の標準的な設備では満足できる結果は得られません。しかし、プロセスエンジニアが各々の場合に標準型遠心分離機を適応させたり又、適当な標準パーツを使うことによって改造を行ない運転を楽にします。
達成できる結果
ディスク型遠心分離機は基本的な分離工程の全範囲にわたって使用できます。実際にはまず次のようなものに適応し選択し、その過程を楽にします。
ディスク型遠心分離機に融通性があるので、これらの末端の間ののぞましい結果を出すことができます。もちろん機械は、きびしい要求に対処するように組み合わすことができます。
固液分離
・液相の最大清浄
・液相の最大回収
・固相の最大回収
・固相の最大乾燥
・固相の選別
・・・
固形分と液体の物理的性質
分離装置を選んだら、その装置が、異なった物理的性質を持つ固形分と液体をどのように扱うかを知ることも重要です。下の表はいくつかのパラメーターを示し、ディスク型遠心分離機はどのようにこれらのパラメーターを処理するかをまとめています。
粒 形 理想的な球状の形からくずれた粒子でも、比重差が
あれば、分離は比較的うまくいきます。
粒子サイズ分布 分離限界以上のすべての粒子は分布の広さに関係な
く分離できます。そして、これは、処理液、機械の
特徴、通液量によって決まる鋭い切断点から成って
います。いくつかのごく小さいサイズの粒子もまた
分離できます。
分離濃縮物の濃度 遠心分離機は粘着性、どろ状でふんわりした物質や
他の分離装置では扱うのが難しいフロックをも分離
します。
・・・
化学・化学関連工業に特有な必要条件
化学・化学関連工業で扱う物質はしばしば危険が伴います。すなわち、スパーク、爆発、毒ガスなどの危険があります。また、事実上、物質は腐食性、侵食性があるのが一般的です。下の表は、遠心分離機を使うに当たって、そのような特殊な取扱上の問題がいかに解決できるかを示しています。
・・・
酸化しやすい、或いは 標準密閉型が使えます。
あわになりやすい製品
毒性の危険 気密または密閉型をお勧めします。
・・・
腐食の危険 接液部は高品質ステンレス鋼が標準です。御要
望に応じて特殊材質が使えます。」(第4頁第1行~第5頁下から3行)
エ 「デザインと運転
ディスク型遠心分離機には3つの基本型があります。3つは、処理液中の固形分量によって能力が違い、それに応じて分離固形分が分離容器から排出される方法が異なっています。一般的な構造上の特徴では、3つとも同じです。
分離容器、いわゆるボウルは、毎分約4500から7000回転のスピードで回転しており、ベアリングによって上部、下部端で支えられている垂直スピンドルの先端に取り付けられています。スピンドルは、ウォームギアを介して、水平に据えられているモーターか又は、垂直に据えられているモーターからベルトによって駆動されます。
ベースはスピンドル、ボウル部、駆動部、スピンドルとボウルのケーシングを支えています。入、出口パイプはボウルの上部についており、排出装置はボウルのケーシングの下部にあります。
・・・
ボウル
[図:0001417924000009.jpg]
ボウルは下部ボディと上部フードがロックリングにより組み合わされてできています。ボウルには次の内部部品があります。
●ディストリビューター
ボウル内部の垂直軸に据えられています。ディスクスタックを支えているフレアになった下端を持つ軸状のリムチューブです。
●ディスクスタック
リブによって、約0.5~1mmの間隙を持った薄い円すい台状のコーンの組み合わせによりできています。スタックは、ボウル本体とフードの間で固定されています。中型の機械では、ディスクの数はおよそ100から150です。
[図:0001417924000010.jpg]
固液分離
[図:0001417924000011.jpg]
分離される液は、ボウルのケーシングの先端に付いている固定した入口パイプからディストリビューターの中へ供給されます。液はディストリビューターの底部を通り、ディスクスタックの中に入ります。分離はこのディスクの間で行われ、液中の構成物は、このディスク間のたいへん短い距離を互いに別れるように動きます。
[図:0001417924000012.jpg]
濃縮固形分はディスクの底面に向かって、遠心力によって、外側に放射状におしつけられます。すると、固形分はディスク表面を伝わり、ボウル壁の固形分のスペースに集められるように移動します。ここで、機械のタイプによって、その中にためられるものと排出されるものがあります。
軽液はディスク間を中心に向けて、内側を移動し、ボウルの首部分の出口から流出します。
・・・
液供給と排出
製品やプロセス上の必要によって決まる技術的要求を満たすために、供給液のボウル内への入り方や分離液のボウルからの排出方法によって特徴づけられる3つの異なったデザインのディスク型遠心分離機をアルファ・ラバルは提供することができます。
・・・
開放デザイン
処理液はディストリビューターの中に突き出ているパイプを通って入り、分離された液はボール(当審注:「ボウル」の誤記と解される。)の首部分で、大気圧下でオーバーフローします。それから、ボウルを囲んでいるカバーの中に振り出されます。
・・・
密閉デザイン
処理液は圧力をかけられて、中空のボウルスピンドルを通って底部から入ります。分離された液は、なお圧力をかけられて、密閉出口を通ってボウルの外に出されます。ボウルは運転中完全に液体で満たされており、入・出口のシールは、空気を内部に入れません。密閉デザインでは、供給と排出のために、遠心ポンプが、中空ボウルスピンドルとボウルの軸上に取り付けられています。」(第8頁第1行~第10頁左欄末行)
オ 「固形分排出型又はセルフクリーニング型遠心分離機
このタイプの遠心分離機は、通常の作業範囲において、処理液中の固形分含有量が、体積で約1%から、6~10%まで、のものに使用可能です。処理液中の固形分濃度が高い時には、ソリッドリティニング型では、からにするために始終止めていなければならず、不経済です。そういう場合にこのタイプが使われています。また、この固形分排出型は、固形分含有量はたいへん低いが、固形分の手で取扱ったり手動操作を避けたい場合にも使われています。
・・・
[図:0001417924000013.jpg]
基本型固形分排出ボウルデザイン
ボウルの最も広い部分に、環状の排出スリットがあります。運転中、この穴は、ボウルの下部の区面にある操作液(通常は水)の水圧によってスライディングボウルボトムが、ボウルフードに対して強くおしつけられ、閉じた状態になっています。
運転
分離された固形分はスライディングボウルボトムとボウルフードの接合部の固形分保持空間にたまります。適当な間隔で、水圧が、すばやくタイマーやセルフトリガーの感知装置の信号によって解除されると、スラィディングボウルボトムが下方へ押しやられ、ほとんど瞬時に再び上がります。この動作で環状の排出スリットが開閉し、固形分は遠心力によってボウルを囲んでいる収集カバーの中に排出されます。
スリットが開いたままになっている時間の長さによって全排出(ボウル内の全容量)か、部分排出(固形分のみ)に分かれます。前者では、処理液の供給を排出サイクル中、1時的に中断し、ボウルは洗剤で洗浄することもできます。後者では、分離は終始中断なしで続きます。」(第14頁第1行~第15頁左欄末行)
カ 「ノズル型遠心分離機
ノズル型遠心分離機の特徴は、運転中にノズルを通して分離された固形分を排出することです。この型は、供給固形分が体積で約6%から25-30%までの場合に適しており、従って、固形分排出型ではかなり頻繁に排出しなければならない時に使われます。高い通液量が必要な時や、固形の最終濃度が比較的低くてもよい場合または適当である場合に、高純度の液を大量に処理する時に使われることもあります。また、この機械は、連続運転できるので選別(クラシフィケーション)作業に最も適した遠心分離機です。
・・・
[図:0001417924000014.jpg]
基本的ノズル型のデザインと運転
基本的アルファラバルノズル型遠心分離機の特長はボウルの最も広い部分のまわりに一定の間隔をおいて、最多で18のノズルがあることです。固形分はボウルの最大径の部分に集まりそこから収集カバーの中に、ノズルを通して直接排出されます。動力を軽減するために、ノズルを接線方向に取りつけて、固形分が排出する時、固形分の反動エネルギーを利用できるようにしています。このノズルボウル型は、固相の特性に影響を受けません。」(第16頁第1行~第17頁左欄末行)
キ 「これまで、このカタログは、様々な状況の中で、分離設備に求められていることやディスウ(当審注:「ディスク」の誤記と解される。)型遠心分離機がこれらの要求を満たせる利点を持っているということを説明してきました。そういうわけでアルファ・ラバルのディスク型遠心分離機のデザインと運転に関する範囲での一般的原理を入口と出口の特性の方面から、記述してきました。
化学とその関連工業では製品やプロセスの量が多様なので、すべてのディスク型遠心分離機の応用について記載することはできません。しかし実際的な現実の生活環境について述べる事は有用だと思います。次に、遠心分離機が現在使われ又分離の目的のための標準的設備として考らえれている(当審注:「考えられている」の誤記と解される。)2、3の例をあげます。
食品プロセス工業、機械工場、船舶、発電所関係のアルファ・ラバルディスク型遠心分離機とその応用については列記してありませんがお問合せに応じて、お知らせします。
ゴム農園
天然ゴムラテックスの濃縮。
金属と鉱物の精練
溶剤抽出プラント中の試薬(例えば銅抽出中のLIX64N)の回収と清澄。ウラニウム抽出とモリブデン回収における濾液(当審注:原文は異体字表記)の洗浄。
0.6ミクロン以上のすべての粒子を除き選別も同時に行うカオリン粘土の脱水。
石油の採掘
水と砂から、タールサンドとケツ岩油の3相分離。
パルプと紙工業
水からテレピンの分離。亜硫酸及び硫酸カルシウムの細かい粒子を分離するリグノ-スルホン酸の清澄(それによって、製品の品質が向上)。廃酸水、リグニン、硫酸カルシウムを含んでいる固形分からのトール油の回収。
化学工業
無機・有機化学
この工業は極端に多様化していますので遠心分離機は、化学品、溶剤、触媒の回収、液の清澄、顔料の選別、2液の分離などの多数の操作のために使われています。
・・・
合成燃料
石炭液化においてプロセス中の再使用するための重油の清澄
プラスチック物質、合成、人工繊維
これらの工業の中でも、上に述べたのと同じ多くの操作で、遠心分離機が使われています。
・・・
製薬
この分野でも遠心分離機は広い範囲の分離に使われています。特に、発酵(当審注:原文は正字表記)製品、動物、野菜の抽出物の製造に多く使われています。これらの中には、抗生物質、酵素、バクテリア、血液の血漿プロテインの回収、抗生物質やアルカロイドの液抽出物や溶剤抽出の清澄などであります。
・・・
塗料、ニス、ラッカー
フエノール樹脂ラッカーやアルキドボートニスのような高粘性液の高能率清澄・・・製品の交換もす早く行えます。
農業化学
安定した能力で容易に製品の転換ができ製品に手を触れる事なくゴム状物質から殺虫剤溶液の清澄ができます。湿式法によるセッコウからリン酸の清澄など。安定した能力とプロセスの立上りが敏速なので浮遊鉄とアルミニウム塩(後沈)からシッピング酸の清澄。詰まりなしで砂と有機粘液からリン酸、硝酸混合物の清澄。
異種混合の化学製品
ニトログリセリンからの廃酸や洗水の分離。密閉状態でのプロセス残留物からあわ消火器液の清澄。
石油精製工業
詰まりなしでゴム状残渣から潤滑油添加剤の清澄。硫酸を使用するプロセス(敏速で制御しやすいため)石油の中の酸タールの分離でそれに続いて中和段階における廃カセイソーダから油の分離があります。その段階で遠心分離機は設置タンクに比べて大きな空間を節約できます。
金属精製工業
鉛の二次精製工程における重金属水酸化物フロックの回収、詰まりがなく、固形分のロスも減少でき、非常に澄んだ清澄液が得られます。アルミニウムからガリウム抽出における水銀化合物の除去。
電気工業
バッテリー化合物の脱水。
写真用品
フィルム製造工程においてゼラチンが存在する場合でも、詰まり或いはねばりつきなしに銀化合物の回収が行なえます。
原子力発電と研究
手作業なしに自動遠隔操作遠心分離機を使って放射性粒子から洗浄水の清澄。
廃水と下水プラント
より経済的な汚泥処理のために、地方自治体や工業用の廃水プラント中の活性汚泥の濃縮。」(第18頁左欄第1行~第19頁右欄末行)
ク 「ディスク型遠心分離機の据付
下図は、自動固形分排出遠心分離機を組込んだ分離プラントの典型的なレイアウトを示しています。
連続ノズルボウル機の据付には、当然、排出操作水システムや排出制御装置は必要ありませんが、自動洗浄ストレーナーを使うことは必須です。
ソリッドリティニング遠心分離機の据付には、自動洗浄ストレーナーの代わりに簡単なストレーナーでよく固形分収集用のタンクや排出制御装置は必要ありません。
機械の状態や分離特性を監視するために遠隔操作制御設備はすべてのタイプの機械に取り付けることができます。
[図:0001417924000015.jpg]
」(第20頁第1行~末行)
(6) 甲7の記載事項
甲7には、「遠心分離機の制御方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「産業上の利用分野)
本発明は遠心力で固形物含有液を液相と固形物相に比重差で分離する遠心分離機に係わるものであり、特に燃料油や潤滑油等から水分や固形物を分離して上記油を清浄化する遠心分離機において最適な制御方法に関するものである。」(第1頁右下欄第2~7行)
イ 「従来技術)
従来固形物や水分等が混在する燃料油や潤滑油等を清浄化する遠心分離機としては、分離性能が高く、且つ保守が容易で自動運転される分離板型遠心分離機が広く用いられている。上記分離板型遠心分離機は、高速回転される回転体内に截頭円錐形状の分離板を多数積層しており、当該分離板の分離効果と遠心力とにより液相と固形物相を効率よく相分離し、分離室内に蓄積した固形物は、回転体の周部に具備したスラッジ排出弁の開閉により間歇的に回転体外へ排出される。従来の上記スラッジ排出弁の開閉制御方法は、遠心分離する前に原液中の水分や固形物の含有量を分析し、当該分析値に基づいて開閉間隔時間を設定したり、あるいは従来の経験に基づいて上記時間を設定しタイマー制御により行なわれるか、又は分離された油分(軽液)中の水分(重液)を軽液流路に設けられた重液検知器により連続的に監視し、検知された重液含有量に基づいて接続された制御装置で開閉制御している。上記の他にフロートを用いて回転体内の固形物界面位置を検知したり、又重液流路の固形物による閉塞を検知すること等により回転体内の固形物蓄積量を検知し接続された制御装置で開閉制御する方法等も提案されている。」(第1頁右下欄第8行~第2頁左上欄第11行)
ウ 「発明が解決しようとする問題点)
上記タイマーや重液検知器を用いた蓄積固形物排出のためのスラッジ排出弁開閉制御方法においては、原液中の固形物含有量の変動に追随できず特に固形物量/重液量の比が高くなればなるほど適切な固形物排出が困難となる。フロートを用いて直接蓄積した固形物界面位置を検知する方法では、界面位置が必ずしも明確でない事やフロートの移動障害が起りやすい事、又重液流路の閉塞を検知する方法では、固形物が異常蓄積しても重液のショートパスが起きやすく必ずしも重液流路が閉塞されない等の不確定性のため上記2つの方法は実用的でない。スラッジが過剰蓄積した場合には、回転体のアンバランスによる回転不良や騒音の発生及び回転駆動系統の過負荷や固形物の圧密化による排出不良等の遠心分離機運転上の重大な障害を起す。従って通常は安全性の面から許容される処理容量よりも相当少ない処理量で運転するか、又は必要以上に縮かい周期でスラッジ排出弁の開閉を行なっているのが実情である。このためスラッジ排出弁の摩耗増加、処理量の減少、清浄油の損失及び動力費等の増加を招いている。」(第2頁左上欄第12行~第2頁右上欄第13行)
エ 「問題点を解決するための手段)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、固形物を含有した原液中の固形物含有量に正確に追随して、常に適正なスラッジ排出が行なわれるべく制御する方法を提供するものであり、その要旨とするところは、固形物を含有した原液を高速回転する回転体で遠心分離し、分離室内に蓄積した固形物を回転体に具備したスラッジ排出弁の開閉により排出する遠心分離機において、原液供給流路に設けた固形物濃度の検出装置からの出力信号により、原液供給量及び/又はスラッジ排出間隔時間を制御するか、又は原液供給流路及び分離液排出流路に設けた固形物濃度の検出装置からの出力信号により、原液供給量及び/又はスラッジ排出間隔時間を制御することを特徴とする遠心分離機の制御方法である。」(第2頁右上欄第14行~左下欄第9行)
オ 「作用)
固形物を含有する原液Aを高速回転する回転体9の軸心部に供給すると、遠心力と分離板10の分離効果により効率よく相分離される。分離された固形物Bは分離室13内の最外径部に徐々に蓄積してくる。固形物Bが安全且つ効率上から設定された内径位置まで蓄積すると、スラッジ排出弁12が一定時間開弁され固形物Bはスラッジ排出孔11から排出される。上記固形物の蓄積量は、原液供給流路7に設けた固形物濃度の検出装置2aにより原液A中の固形物濃度を測定し、信号を制御装置4に出力して、当該制御装置4で積算することにより成されるか、又は固形物濃度の検出装置2bを分離液排出流路8にも設け、原液A中の固形物濃度と分離液C中の固形物濃度の差を制御装置4で積算することにより求められる。回転体9内の固形物蓄積量を一定に制御するには、上記固形物Bの積算量又は固形物濃度に基づいて制御装置4により原液流量調整弁3の開度調節による原液供給量の増減か、又はスラッジ排出弁12の開閉間隔時間を制御することにより成される。」(第2頁左下欄第10行~右下欄第10行)
カ 「実施例)
本発明を一実施例を示した図面に基づいて詳述する。
第1図は系統図、第2図は回転体半部の部分縦断面図である。1は回転体9を有する縦型の遠心分離機である。回転体9は軸心部で回転すべく支持され内部に多数の截頭円錐形状の分離板10が一定の間隙をもって積層されている。回転体9の周部には周部内壁に添って水圧で上下に摺動するスラッジ排出弁12により開閉されるスラッジ排出孔11が具備されている。2a、2bは固形物濃度の検出装置で原液供給流路7及び/又は分離液排出流路8に設けられる。上記検出装置2a、2bは、光電式、色度式、吸光度式等の液中固形物濃度を検出できるものであればよい。原液供給流路7には上記検出装置2aの上流側に原液Aの供給量を調節する流量調整弁3、下流側に遠心分離機1からの背圧を制御する背圧弁6が設けられている。4は検出装置2a、2bからの出力信号に応動し、スラッジ排出弁12の開閉間隔時間及び/又は原液の流量調整弁3の開度を制御する制御装置である。5は上記制御装置4、タイマー及びその他遠心分離機の運転に必要な各種制御装置等が組み込まれた制御盤である。14はスラッジ排出弁12を水圧によって上下に摺動し開閉するために回転体9の下部に組み込まれた開閉装置への作動水供給を制御する作動水制御弁で、14aは開弁側、14bは閉弁側の制御弁である。」(第2頁右下欄第11行~第3頁左上欄第18行)
キ 「上記構成の装置を用いて、固形物を含有した原液Aを遠心分離し、分離室13内に蓄積した固形物Bを排出する制御方法について以下述べる。回転体9の分離室13外径部空隙に徐々に蓄積してきた固形物Bは、安全性や分離効率及び回転駆動部への負荷等から設定された許容位置まで蓄積されると、スラッジ排出弁12が開弁されスラッジ排出孔11から回転体9外へ排出される。」(第3頁左上欄第18行~右上欄第5行)
ク 「分離処理される原液は固形物を含有した鉱油以外にも汚泥、発酵液の菌体分離や飲料等であってもよい。」(第3頁左下欄第4~6行)
ケ 「
[図:0001417924000016.jpg]
[図:0001417924000017.jpg]
」
(7) 甲8の記載事項
甲8には、「分離板型遠心分離機およびこれに用いる分離板」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分離板型遠心分離機およびこれに用いる分離板に係り、特に、分離効率を高め、分離能力を理論計算上の能力に近づけることができる分離板型遠心分離機およびこれに用いる分離板に関する。」
イ 「【0002】
【従来の技術】分離板型遠心分離機は、遠心力および沈降面積が共に大きく、船舶用ディーゼルエンジンの燃料油、潤滑油の浄化をはじめ、多くの産業用分野で処理液中の不純物の除去、例えば固形微粒子を取り除く清浄機として採用されている。
【0003】図6は、このよう分離板型遠心分離機の代表機種である自己排出型(SJ型)の分離板型遠心分離機の回転体を示す断面図、図7は、図6の分離板を示す斜視図、図8は、図7の上方向からの視図である。図6において、この回転体20は、高速で回転する回転体本体21と、該回転体本体21の中央に配置され、下方に拡径部23を有する筒状の案内筒22と、該案内筒22の前記拡径部23の周方向に沿って等間隔に設けられた複数の通液孔25と、前記案内筒22の軸方向に沿って所定間隔で多数積層された分離板26とから主として構成されている。分離板26は、図7に示したように、案内筒22の拡径部23の周方向に沿って設けられた多数の通液孔25に対応する複数の通液孔27および該分離板流通孔27相互間に等間隔に設けられた間隙片28とを有している。
【0004】なお、図6中30は、原液入口管、31は、案内筒22に設けられたリブ、32は、回転軸、33は、回転体本体21を前記回転軸32に固定する袋ナット、34は、弁シリンダ、35は、軽液排出路である。
【0005】このような構成の、分離板型遠心分離機の回転体20は、例えば9000rpmで高速回転し、原液入口管30から導入された原液は、案内筒22の拡径部23の下面に沿って外周方向に流通し、リブ31の作用によって案内筒22と共に回転して遠心力が付与される。遠心力が付与され、案内筒22の外周近傍まで到達した原液は、前記案内筒22の通液孔25に流入し、該案内筒通液孔25に対応して形成された、分離板26の通液孔27が連通する流通路を上向流として流れる。このとき原液の一部は最も下の分離板とその上に位置する分離板との間の分離空隙に流入し、他の一部は下から2番目の分離板とその上に位置する分離板との間の分離空隙に流入し、以下順次分離板積層体の分離板相互間に形成される分離空隙に分配され、流入する。
【0006】分離板相互間の分離空隙に流入した原液は、分離板26の中心方向に向かって流れ、固形分は遠心沈降によって分離空隙を形成する上側分離板の下面に沈降し、該分離板の下面に沿って外周方向に移動し、他の固形分と集合、堆積して分離板の外周端を経て分離板積層体の周囲の空間部に到り、回転体内の最大径部に堆積する。堆積した固形分は、弁シリンダ34の開閉により定期的に排出される。他方、固形分が分離された処理液(以下、軽液ともいう)は、分離空隙の下側分離板26の上面に沿って内周方向に流動し、分離板26の内周と案内筒22との間の軽液排出路35を経て回転体20から流出し、固形分が分離除去された軽液として回収される。」
ウ 「【図6】
[図:0001417924000018.jpg]
」
(8) 甲9の記載事項
甲9には、「遠心分離機による固液分離方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0002】
【従来の技術】
従来、固形物や水分などを含有する潤滑油や燃料油などから、それらの固形物や水分などを分離除去して清浄油を回収したり、有用な固形物を含有する各種液体から固形物を分離して回収する固液分離などに、高速で回転する回転体の高い遠心力による比重差で固形物を分離する遠心分離機が使用されている。
【0003】
また、前記遠心分離機の中でも、回転体内に多数の分離板を積層した分離板群を装着し、分離板群の大きい沈降面積を利用して微粒子などを効率よく分離することができる分離板型遠心分離機が多くの産業分野で利用されており、特に船舶における潤滑油や燃料油の清浄化には一般的に多数使用されている。
【0004】
従来の遠心分離機について、分離板型遠心分離機を例として図2に基づいて説明すると、分離板型遠心分離機は、外周部にスラッジ排出孔13を有する回転胴11と回転胴11上部を覆蓋する回転体蓋部12から主になる回転体10を回転軸22に固定し、回転体10内に、截頭円錐形状の薄板からなる分離板14が回転体の軸方向に多数積層して形成された分離板群15およびスラッジ排出孔13を開閉する弁シリンダ16を装着している。
【0005】
前記遠心分離機による分離操作は、回転体10の軸心位置に挿入されて装着された原液供給管17の原液入口28から原液を供給し、供給された原液は、案内筒20を下降して回転体10の分離室内に導入され、回転軸22を介して回転される回転体10の高速回転による遠心力で、比重の軽い軽液と比重の重い重液や固形物を比重差で分離する。
【0006】
分離された重液や固形物は、回転体10内の最大径部に蓄積され、軽液は分離板群15の間隙を上向流通して軽液排出流路に具備された軽液排出インペラ18により汲み出されて、軽液出口26から回転体10外に排出される。また、前記の軽液の分離排出においては、軽液が分離板群15の間隙を上向流通する間に、残存する重液や固形物が更に沈降分離されるため、効率的に清澄化が促進されることになる。
【0007】
また、回転体10の最大径部に蓄積された重液および固形物の内の重液は、一定量蓄積すると重液案内板21と回転体蓋12内壁とで形成された重液流路を経て、重液インペラ19により汲み出されて、重液出口27から回転体10外に排出される。
・・・
【0009】
また、給水装置24から所定の時間間隔で水を供給することにより、パイロットバルブ23の作動及び停止を制御し、それにより、内設された弁シリンダ16を上下に摺動させ、最大径部に具備されたスラッジ排出孔13を開閉制御することにより、回転体10の最大径部に蓄積された固形物と一部の重液からなるスラッジの排出が制御される。(例えば、特許文献1参照。)。」
イ 「【0015】
【課題を解決するための手段】
・・・
【0019】
また、請求項3に記載の発明においては、請求項1又は請求項2に記載の遠心分離機による固液分離方法において、遠心分離機が、回転体内に截頭円錐形状の薄板からなる分離板が軸方向に多数積層して内設した分離板型遠心分離機である遠心分離機による固液分離方法である。
【0020】
前記の構成により、請求項1における前記効果の他に、軽液が分離板の間隙を上向流通する間に、残存する重液や固形物が更に沈降分離され、効率的に清澄化が促進されるため、軽液、重液および固形物の分離が効率的に行われ、清澄度の高い軽液を容易に得ることができる。」
ウ 「【0027】
図1において、符番1は、図示しないケーシング内に、外周部にスラッジ排出孔13を有する回転胴11と回転胴11上部を覆蓋する回転体蓋部12から主になる回転体10を回転軸22に固定し、回転体10内に、截頭円錐形状の薄板からなる分離板14が回転体の軸方向に多数積層して形成された分離板群15およびスラッジ排出孔13を開閉する弁シリンダ16を装着している分離板型遠心分離機である。」
エ 「【0034】
前記流動物の循環を継続しながら、原液槽2より原液を原液供給ポンプで原液供給経路aを経て回転体10の軸心位置に挿入されて装着された原液供給管17の原液入口28から供給し、供給された原液は、案内筒20を下降して回転体10の分離室内に導入され、回転軸を介して回転される回転体10の高速回転による遠心力で、比重の軽い油脂(以下軽液という)と比重の重い固形物および水と固形物の混合物(以下重液という)が比重差で分離される。」
オ 「【図1】
[図:0001417924000019.jpg]
【図2】
[図:0001417924000020.jpg]
」
(9) 甲10の記載事項
甲10には、「分離板型遠心分離機」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
「【0002】
【従来の技術】分離板型遠心分離機は、高速回転により大きい遠心力が得られ、しかも積層した分離板が大きい沈降面積を有しているため、処理液中の微粒固形分を高精度で分離するのに適し、多くの産業分野で利用されている。特に船舶用ディーゼルエンジン機関の燃料油および潤滑油の清浄化に多く用いられている。」
(10) 甲11の記載事項
甲11は、「三菱遠心分離機セントリフューガルディスクセパレータ」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「三菱遠心分離機
(セントリフューガル ディスク セパレータ)
三菱遠心分離機は強大な遠心力と分離板による大きな沈降面積によって、比重差の少ない液体と液体との混合液又は、液体中に混在する微少粒子を分離するもので、濾過・沈降その他の分離方法で処理が困難な場合に用いられ液体の精製・清浄及び分級等に広く使用されます。
■主なる用途
・・・
4.一般化学工業関係
触媒分離、各種溶液の清澄・濃縮
・・・
6.その他
諸工業における各種液の精製、分離、清浄、廃水・廃液処理」(第2頁上段)
イ 「■分離の目的による分類
●清浄(液・液・固分離:Purification)
・・・
[図:0001417924000021.jpg]
●清澄(液・固分離:Clarification)
液体中に混在している微小粒子を除去し液を清澄にします。一般にClarifier(クラリファイア)と称します。
■回転体の構造による分類
●SJ型(スラッジ自動排出型遠心分離機)
・・・
弊社独自の技術により開発されたスラッジ自動排出機構をもち、スラッジスペースに蓄積されたスラッジは回転体に附属する弁シリンダの上下作動により機械を停止することなく瞬時に機外へ排出されます。したがってスラッジ(固型分)の多い液を処理するのに適します。本機は操作盤、自動弁類を組込むことにより自動化(無人運転)が可能です。」(第2頁下段~第3頁上段)
ウ 「御要望に応じ特殊仕様(例:防爆構造、耐蝕性材料の使用)も御受けします。また、遠心分離機・油加熱器・操作盤等のパッケージ化したユニットも用意しておりますのでどのようなことでも御相談下さい。」(第3頁下から3行~末行)
(11) 甲12の記載事項
甲12には、「DISC SEPARATOR SJ・OP」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「三菱ディスクセパレータ
「分離・分級精度の向上」「混入物・副成物の除去」「清澄・再生」は工程の短縮と省力化を生み、経済性の利点を生み出します。
三菱化工機のディスクセパレータは誕生より50有余年。常に時代の要求にこたえ続けてきたトップブランドです。積み重ねてきた研究努力と技術は60,000台を越える実績が何よりも物語っております。
三菱ディスクセパレータは今日もあらゆる産業のさまざまな用途における液体と液体、液体と固体の分離に優れた能力を発揮しております。
[図:0001417924000022.jpg]
」
(第2頁)
イ 「用途
三菱ディスクセパレータは、次のような分野に使用されております。
・・・
環境保全関係
油性、水溶性クーラントの固油水分離
浮上スカムからの油水分離
電解加工溶液の清澄
諸工業における廃液、廃油の処理
・・・」(第3頁)
(12) 甲14の記載事項
甲14には、「ウエストファリアセパレーターデカンター」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「西独ウエストファリア・セパレーター社は大量・多目的処理用の遠心分離機の世界的トップメーカーです。1893年創業以来80年以上の製作経験と技術の研鑽のもとにその実績は食品、飲料業界はもとより化学、製薬、発酵用にも広く使われています。
・・・
70数種のモデルの他に、更に特別設計の機種も製作しています。例えば重力吐出、フォーム・フリー加圧吐出、ヘルメチック・デザイン、防爆デザイン、スチーム滅菌デザイン、不活性ガス注入、冷却装置付デザイン等その機種は豊富です。接液部は全てステンレス・スチール製又はそれ以上の特殊材料加工を行っています。ウエストファリア遠心分離機は引続き新分野に活用されています。」(第2頁第1行~末行)
イ 「セルフ クリーニング ボウル型遠心分離機
分離原理と構造
セルフ・クリーニング・ボウル型遠心分離機は分離された固形分を自動的に排出します。タイミング・ユニットのコントロールにより自動排出され、遠心分離機は長時間の連続運転が可能です。セルフ・クリーニング・ボウルは遠心水圧で上下動するスライディング・ピストンによりボウル排出口の開閉を行い、ボウル内に堆積した固形分を一瞬に確実に排出します。
特長
セルフ・クリーニング・ボウルは長時間の連続自動運転を可能にしました。ボウルの開閉はタイミング・コントロールの他に、ボウル内の固形分堆積状態を検知し自動排出する方法と、清澄液の濁度を光電管によって感知し自動排出する方法があります。
セルフ・クリーニング型の導入はランニング・コストを低減させるばかりでなく自動化、省力化、サニティションの向上により大きな合理化をもたらします。接液部は全てステンレス・スチール製であり、構造も薬液によるCIP洗浄に適しています。
用途
清澄(クラリフィケーション):牛乳、各種果汁、ワイン、麦汁、糖蜜等の清澄。プロティン回収、動植物油脂の精製、その他化学、製薬、食品工業のあらゆる液・固分離。
清浄(セパレーション):牛乳、動植物油、鉱物油、フィシュ・プレス・ウォータ等の分離精製。洗滌液の清澄及び脱油、圧延機潤滑油回収、各種廃液からの油分回収。その他化学、製薬工業、食品工業のあらゆる液・液・固分離。」(第3頁左欄第1行~末行)
ウ 「ノズル ボウル型遠心分離機
分離原理と構造
ノズル・ボウルは連続的に固形分を濃縮状態で排出でき、比較的固形分の多い液の大量処理に適しています。清登(当審注:「清澄」の誤記と解される。)及び清浄機があり、それぞれにコンセントレート・リサイクルが装備できます。ノズル口径より大きな粗粒固形分はロータリ・ストレーナによる除去が通常行なわれています。原液固形分濃度が低い場合、リサイクルの採用により高濃縮が得られます。
・・・
特長
完全連続運転による濃縮・水洗工程が最小スペースと労力で運転できるノズル・ボウル型遠心分離機で行なわれます。コンスタントな原液供給と固形分濃度を保つ為コントロール装置が必要です。
薬液によるCIP洗浄が可能です。
用途
パン及び飼料酵母の濃縮水洗。アルブミン濃縮。コーン、ポテト、サツマイモ、ライス、小麦でんぷんの濃縮水洗。ビタミン生産工程。化学、製薬工業における濃縮工程。カード濃縮。オリーブ、パーム、バター、魚、鯨油の清澄及び脱水。SCP濃縮水洗。廃液の清澄。」(第4頁左欄第1行~中欄末行)
(13) 甲16の記載事項
甲16には、「SAITO SEPARATORS」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。
「ADS-12000PS
セルフ・クリーニングセパレーター ADSシリーズ
スラジ自動排出機構を有する分離板型遠心分離機の代表機種として、広い用途を有します。
■主な用途
・・・
公 害:余剰活性汚泥の回収。各種排液から油分回収。SS分除去。
その他:化学工業および食品工業のあらゆる分離。」(第2頁下段)
(14) 甲17の記載事項
甲17には、「遠心分離機 総合カタログ」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「ユーザーが、それを使うことによって利益を得るそのような製品を提供することがわれわれの使命と考えています。
創造に賭ける意志のもと、陸に、海に、空に、IHIはその技術力を総結集、皆様に数々の製品をご利用願っております。
ここにまた、自信をもって公害防止、水処理機器として、遠心分離機を御紹介申し上げます。」(第2頁下段)
イ 「ディスク形遠心分離機
IHIディスク形遠心分離機は、重液、軽液および固体の分離・清澄を目的とした完全自動排出形分離機です。各種油脂・薬品・食品の分離・精製・産業廃水・生活廃水の処理など、さまざまな分野で優秀な性能を発揮しています。
・・・
●確実な作動
ボウルのバランスは、超高速回転時においても絶対安全です。また船舶の動揺に対しても、常に安全、確実に作動します。」(第16頁第1行~中欄第8行)
ウ 「ディスク形遠心分離機
[図:0001417924000023.jpg]
用途
廃水および廃油関係
工業廃水・都市下水・廃油・各種排水
・・・
船舶関係
燃料油・潤滑油の清浄・精製・再生、鯨油・魚油の精製
・・・
その他
染料工業・塗料工業・石鹸工業・石油工業などの製造工程ならびに廃液処理」(第17頁)
(15) 甲18の記載事項
甲18には、「湿式排煙脱硫方法及びその装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「〔産業上の利用分野〕
本発明は排ガス処理方法及びその装置に係り、特に排ガス中の硫黄酸化物除去性能をコントロールするに好適な湿式排煙脱硫方法に関するものである。」(第1頁右下欄第11~15行)
イ 「〔実施例〕
以下、本発明の方法及び装置について第1図を参照して、説明する。
第1図は、湿式排煙脱硫装置を示す概略説明図であり、ボイラ等の排ガス(1a)は脱硫塔(101)に導かれスプレされたカルシウム系吸収剤スラリと接触し除塵、冷却及び脱硫された後、デミスタ(106)により同伴ミストを除去され脱硫塔より排出される。一方、吸収剤である石灰石スラリ(1d)は除去するSO2量に見合って循環タンク(102)に供給され、排ガスと接触してpHの低下した吸収スラリ中の水素イオン(H@)を低減させる。循環タンク(102)には、空気分散用の攪拌機(105)が設置されており、SO2を吸収してSO2平衡分圧の高くなったスラリの亜硫酸イオン(SO32-)を酸化し変更分圧を低下させSO2吸収性能の回復を図る。こうして再生された吸収スラリは循環ポンプ(103)によりスプレ部へ供給され排ガスと向流接触しながら循環タンク(102)へ落下する。・・・
このようにして循環使用される吸収スラリの一部は、循環タンク102より抜出されシックナ(107)で濃縮され、最終的に遠心分離機(108)で脱水され付着水10%以下の石膏として回収される。」(第5頁左上欄第2行~右上欄第17行)
ウ 「
[図:0001417924000024.jpg]
」
(16) 甲19の記載事項
甲19には、「湿式排煙脱硫方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「(発明の利用分野)
本発明は湿式排煙脱硫方法に係り、特に一次的な脱硫生成物である亜硫酸塩の酸化を促進し、有用な硫酸塩を得るに好適な同方法に関するものである。」(第2頁左上欄第3~7行)
イ 「(発明の背景)
燃焼排ガス(以下、単に排ガスと称する)中の硫黄酸化物を除去する方法の1つとして湿式排煙脱硫方法が知られている。
・・・
従来のこの種の脱硫方法は一般に第1図に示す通りであり、ボイラ等の燃焼装置で発生する排ガス101はダクト1を経て先ず除塵塔2に導かれ、ここで循環下に散布される除塵スラリ27との接触に賦されて同伴ダストの除去と冷却が行われ、次いでミストエリミネータ3により飛散ミストが除去されたのち吸収塔4へ中段部から導入される。
上記のように導入された排ガスは吸収塔4内を上昇するが、その間に上方の散布部から散布される吸収液と接触して含有硫黄酸化物が吸収、除去される。硫黄酸化物が除去された排ガスは、次いでデミスタ5を通り、ここで飛散ミストの除去が行われたのち上部のダクト7を経て清浄ガス102として系外に排出される。
一方、硫黄酸化物を吸収した吸収液は硫酸塩の生成が少く、主に一次生成物である亜硫酸塩を含むスラリとなるが、このものはライン8を経て補給される新たな吸収液とともに吸収塔4の下部に設けられた吸収液循環タンク6に一旦溜められ(28参照)、次いで循環ポンプ9により抜き出され、その1部は吸収液循環ライン10を経て前記散布部へ送られ、残部はライン12を経て亜硫酸塩の酸化工程へ送られる。
・・・
該酸化処理により発生したガスはライン19を経て吸収塔4へ送られ、再度同様な脱硫処理に賦される。一方、主として固形の生成物である硫酸塩を含むスラリはライン20を経て固液分離器例のシックナ21へ送られ、母液22と固形の硫酸塩とに分離される。これらの内、硫酸塩は次いてライン23を経て遠心分離器24等の脱水機へ送られ、脱水処理されたのち副生硫酸塩25として回収される。
他方、母液は硫酸塩の脱水液とともにライン8を経て送られる吸収液の調整用に使用されることもあるが、一般にはそのまま系外へ排出されている。」(第2頁左上欄第8行~左下欄第19行)
ウ 「
[図:0001417924000025.jpg]
」
(17) 甲20の記載事項
甲20には、「排煙脱硫方法及び装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱硫性能が高く、かつ得られる石膏品質の向上及び装置のコンパクト化を図ることができる湿式排煙脱硫方法及び装置、詳しくは、吸収塔下部液溜槽を小さくしても石膏の品質に影響を与えない上に品質を向上させ、かつ脱硫性能も向上し、また近年問題になっている酸化性物質の生成を抑制することができる湿式排煙脱硫方法及び装置に関するものである。」
イ 「【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することができるものである。図1は本発明の実施の第1形態による排煙脱硫装置を示している。カルシウム系吸収剤スラリー、例えば炭酸カルシウムスラリー(吸収液スラリー)を吸収塔10aの底部の下部液溜槽12から吸収塔内の上部の気液接触部14に吸収液循環ライン16を介して循環させ、吸収塔内の上部から噴霧させて、噴霧した吸収液スラリーと排ガスとを気液接触部14で接触させる。22は排ガス入口、24は排ガス出口、26はミストエリミネータ、28は吸収塔循環ポンプである。
【0018】この操作により、排ガス中の二酸化硫黄などの硫黄酸化物は吸収剤スラリーに吸収されるとともに、吸収塔10a内の下部液溜槽12に吹き込まれる酸化用空気により亜硫酸カルシウムを含む亜硫酸塩の酸化が行われ、石膏(硫酸カルシウム)が生成するとともに炭酸カルシウムによる中和も行われる。
【0019】吸収塔内部の石膏含有スラリーを、下部液溜槽12に吹き込まれる酸化用空気から分離した部分、すなわち酸化用空気が混入しない部分から抜き出すことができるように、下部液溜槽12内に、上部から落下してくるスラリーの一部を集液できる隔離槽32が設けられる。そして、この隔離槽32にはスラリー抜出しポンプ34を備えたスラリー抜出しライン36が接続され、さらにこのスラリー抜出ライン36に分級器38が接続され、この分級器38の微細粒子スラリー出口40と吸収塔の下部液溜槽12とが微細粒子スラリー戻しライン42を介して接続され、分級器38の粗大粒子スラリー出口44と石膏分離機20とが粗大粒子スラリー抜出しライン46を介して接続されている。分級器38としては、液体サイクロン、ふるい式の粗粒子分級器、シックナーなどが用いられる。また、石膏分離機20としては、ベルトフィルタ、遠心分離機、デカンターなどが用いられる。
【0020】上記のように構成された装置において、吸収塔10a内の上部から落下してくる吸収剤スラリーの一部は、隔離槽32に酸化用空気が混入しない状態で集液され、隔離槽32内に集液された炭酸カルシウム(CaCO3)の粒度の小さいスラリー(既に中和反応に供したものであり、粒子径は細かい)(吸収剤スラリー)は、スラリー抜出しポンプ34により抜き出されて分級器38に導入される。分級器38で分級された微細粒子(CaSO4、CaCO3、CaSO3)を含むスラリーは微細粒子スラリー戻しライン42により吸収塔の下部液溜槽12に戻され、粗大粒子(主としてCaSO4)を含むスラリーは石膏分離機20に送られ、水分が分離されて石膏が回収される。」
ウ 「【図1】
[図:0001417924000026.jpg]
」
(18) 甲21の記載事項
甲21には、「湿式排ガス脱硫装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0003】図7は石灰石を吸収剤とし、副生品として石膏を回収する従来の排ガス脱硫装置を示したものである。排ガス101は吸収塔102に導かれ、スプレ部103で循環スラリと接触し、冷却、除じんおよび脱硫されたのち、デミスタ104でミストは除去され、吸収塔102から排出される。
【0004】一方、吸収剤スラリである石灰石スラリ117は石灰石スラリタンク111から石灰石スラリポンプ110により吸収塔循環タンク105に供給され、そのスラリ117は吸収塔循環ポンプ108により吸収塔102内に設置されたスプレノズルを多数設置したスプレ部103にて噴霧されて排ガス101と接触し、排ガス101中の硫黄酸化物を吸収除去して循環タンク105へ戻り、循環使用される。硫黄酸化物を吸収後のスラリは、吸収塔抜き出しポンプ109によりシックナ112へ導かれ、濃縮された後、石膏スラリタンク113に貯溜され、最終的に遠心分離機115で脱水され、粉体の石膏116が回収される。シックナ112および遠心分離機115で回収された上澄水118は系内の洗浄水、石灰石スラリの調整などに循環再利用される。」
イ 「【図7】
[図:0001417924000027.jpg]
」
(19) 甲22の記載事項
甲22には、「遠心分離器用制御装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【発明の詳細な説明】
本発明は、分離される物質の周辺出口を有する分離室を形成する回転可能な遠心ロータと、分離室で処理されるべき前記物質を含んだ混合液体を前記遠心ロータ内に導入する固定された入口装置と、遠心ロータと一緒に回転が可能であり、遠心ロータの回転中に、分離された前記物質を分離室から排出するために前記周辺排出口を間欠的に開閉するように構成されている出口装置と、遠心ロータの外側に配置され前記出口装置を作動させるように構成されている作動装置であって、それにより、周辺出口を或る大きさ、および/または或る時間、開いたままにして、前記分離された物質の所定量が遠心ロータから排出されるように構成されており、さらに、前記大きさと時間が可変である前記作動装置と、を有する遠心分離機に関する。特に、本発明は、分離室から排出される分離された物質の前記量を、前記周辺出口の各開閉時に一定に保つための制御装置に関する。
【0001】
上述の限定された種類の遠心分離機において、前記分離物質の或る量が遠心ロータの分離室に蓄積したときに検知手段によってそれを正確に測定することができ、そして、その時、前記周辺出口を自動的に開閉することは、長い間公知である。しかしながら、分離操作中にこれらの毎回の開閉時に周辺出口を通してこのような分離された物質を間違いなく等量ずつ排出することは困難であることが判っている。」
イ 「【0034】
図1および図2の遠心分離機は、次の方法で操作される。
【0035】
遠心ロータ1が中心軸2の周りを回転するように設定された後に、流量計46と入口パイプ13とを通して、その液体よりも非常に密度の高い小さい固体の形態で内部に分散した物質を含む液体が供給される。供給された混合液体は入口室12と羽根14間の流路とを通して分離室7内に導入される。この室が満たされて液体がロータからペアリングディスク15を通して排出され始めると、自由液面が、入口室12と分離室7と出口室15aとに、図1に小さい三角形を付した実線で示された半径方向位置に形成される。
【0036】
ロータの回転中に、液体中に分散している固体は分離室7内を半径方向外側に移動することにより分離される。それらは、分離室の半径方向の最も外側部分の層29、所謂スラッジ空間に集まる。粒子を除去された清浄な液体は仕切壁16により形成された溢れ出口を通り、ペアリングディスク15を通り徐々に排出される。或る分離時間後に、分離室7の中に蓄積された粒子の全体あるいは一部は取り除かれなければならない。この動作は、所定の分離期間の後に、または粒子の一定量が分離室に蓄積されたことが一つの方法あるいは別の方法で検知された時に行うことができる。図1は、この目的を持った検知装置47を模式的に示している。この検知装置は、ロータから排出する液体が濁り始めるとそれを検知するようになっている。このような濁りは、続けられている分離が最早充分な効果が無いことを示しており、そのことは、蓄積された粒子と清浄な液体との中間の層が分離室の或る半径方向の位置に達したことを示している。これについての信号は検知装置47から制御装置43へ送られ、制御装置43はその時所謂スラッジ排出操作を開始する。
【0037】
或る量の粒子が分離室に集まったことを検知するために使用される装置は、望ましい適当な種類のものであれば如何なるものでもよい。この種の多くの異なる装置が公知である。ここで引用する種類の検知装置だけを本発明で使用する必要は全くない。」
ウ 「【図1】
[図:0001417924000028.jpg]
」
(20) 甲23の記載事項
甲23には、「遠心分離機を管理する方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0002】
この種の遠心分離機の動作時には、入口チャンバを介して分離チャンバに供給された様々な密度の液体混合物中の成分が分離され、特に最も重い成分は分離チャンバの半径方向の最も外側の部分に蓄積する。最も重い成分の蓄積量は半径方向内側に向かって徐々に増加し、したがって、最終的には、最も重い成分の一部が、分離チャンバ内を半径方向内側に流れさらに半径方向内側出口を介して分離チャンバから出る特に軽量の成分の流れに巻き込まれる、半径方向位置(レベル)に到達し、それによって分離結果が悪くなる。分離結果が悪くなることなく遠心分離を継続できるようにするために、分離チャンバの所定量の内容物が、一定の時間間隔で、または分離結果が悪いことが検出されたときに、半径方向外側出口を介して分離チャンバから間欠的に排出される。」
イ 「【0014】
図1に示されているロータは、ロックリング3によって一緒に保持されている上部部材1と下部部材2とを有している。ロータは、下部部材2に連結された駆動軸4によって支持されている。
・・・
【0021】
第1の出口導管21は背圧弁28を備えている。図示されている例の第1の出口導管21は、その導管を通って流れる分離された成分の純度を検出するセンサ29も備えている。このセンサはたとえば、出口導管内の分離された成分の電気容量または伝導率を検出することができる。背圧弁28は、出口導管21内の、背圧弁28の下流側に配置された遮断弁(不図示)によって補助され得る。
【0022】
管理ユニット30が遠心分離機に連結されており、この管理ユニットは、
間欠的な排出の開始と、その排出の終了と、複数の成分からなる液体混合物の供給により分離チャンバ6を再充填することによって始まる分離チャンバ6内の通常の分離の再開とを行うようになっている装置31と、
間欠的な排出が開始された時間からの、またはその時間に関係付けられる選択された基準時間からの時間を測定し、かつその時間から続く調整可能な期間を記憶するようになっている時間測定手段32と、
供給導管14内に配置され、ロータの内側に形成された中央入口チャンバ15に圧力伝達可能に連結された圧力センサ34からの圧力信号を少なくともその期間中に記録し、かつ圧力センサ34からの圧力低下パルスを記録するようになっている圧力記録ユニット33と、
その期間中に圧力記録ユニット33が圧力センサ34からの圧力低下パルスを全く記録しなかった場合に警告信号を出すようになっている表示手段35と、を有している。
・・・
【0025】
分離された特に軽量の成分は、分離チャンバ6から溢れ出口19を介して第1の出口チャンバ18内へ流れる。この分離された成分は、この出口チャンバ18から第1の固定排出手段20を通り、第1の出口導管21を介してロータから、背圧弁28を通過する流れと一緒に排出される。分離チャンバ6の半径方向外側部分に蓄積する特に重い成分の量(体積)が徐々に増加し、最終的に、半径方向内側に、分離ディスク17の半径方向外側縁部の近傍の半径方向位置(レベル)まで延び、最も重い成分のいくつかまたは1つが、分離チャンバ6内の半径方向内側の特に軽量の成分の流れの中に運ばれ、そのため溢れ出口を介して分離チャンバ6から出て、分離結果を悪くする。一定の時間間隔で、または分離結果が悪いことがセンサ29によって検出されたときに、装置31は、出口穴7を介しての、分離チャンバ6内の成分の含有量のうちの所定量(所定体積)の間欠的な排出を開始する。
【0026】
図示されている例では排出が開始する前に、弁27が閉じ、遠心分離すべき液体混合物の供給が遮断されることが好ましい。その後、磁気弁12が短時間だけ閉じ、入口9を介してシールチャンバへのシール液体の供給がその時間だけ中断される。これによって、シールチャンバ8内のシール液体が出口10を介して出されて、弁スライド5が下向きに移動し、環状の隙間が開き、その隙間を介して所定量の成分が迅速に出口穴7の方へ流出する。
【0027】
これによって、ロータの内側の中央部に圧力低下が生じる。したがって、圧力は、この中央部においては、ロータの周囲の圧力、好ましくは大気圧より低くなることがある。この圧力低下はセンサ34によって検出され、センサ34は、すべてが良好であり、かつ間欠的な排出が行われたことを示す圧力低下パルスを圧力記録ユニット33に出す。その後、装置31は磁気弁12を再び開き、シールチャンバが充填され、環状の隙間が閉じられる。弁27が閉じられた場合、装置31が再び開き、分離チャンバ6が再充填され、分離チャンバ6内の通常の分離を再開することができる。
【0028】
圧力記録ユニット33が、時間測定手段32に設定された期間内にセンサ34からの圧力低下パルスを全く記録しなかった場合には、表示手段は、間欠的な排出が行われなかったことを示す警告信号を出す。
【0029】
センサ34からの圧力信号は、主として、所望の間欠的な排出が行われたかどうかを示すのに用いられるものであるが、正常な状態から逸脱した圧力信号を同時に用いて、他の不具合が発生していることを示すことも、本発明の範囲内で全く可能である。」
ウ 「【図1】
[図:0001417924000029.jpg]
」
(21) 甲24の記載事項
甲24には、「遠心分離機の監視方法および装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「第1図は本発明による監視装置を備えた遠心分離機の回転子の軸断面略図であり、第2図は本発明による方法のフロー図である。
・・・
図示する分離室6からのこの特別な出口は本発明には必要ではないが実施例は、分離室6へ供給される混合液に含まれる、3成分の遠心分離機にも本発明を適用できることを示しており、3成分を別々の出口から放出することができる。
入口管14にはマグネチックバルブ27が設けられ、それにより間歇放出を開始する前に被分離成分の混合液の供給を中断させ放出終了後に再開させることができる。
第1の出口管路21にはフローセンサ28が設けられている。フローセンサ28は出口管路21の流量絞りの圧力降下を示す圧力センサにより構成することができるが、例えば定圧弁により構成することもできる。その場合定圧弁は弁部の位置を示し、したがって弁の圧力降下を一定とした場合の出口管路21内の流量を間接的に示す位置センサを有している。実施例では第1の出口管路21には管路へ流入する分離された成分の純度を示すセンサ29も設けられている。このセンサは例えば出口管路内を流れる分離された成分のキャパシタンスや導電率を検出する。
フローセンサ28が圧力センサにより構成され分離された成分の流量が低い場合には、出口管路21に遮断弁を設けるのが適切であり、それはフローセンサ28の下流に配置され間歇放出中は閉じられフローセンサ28が出口管路21内の流れを再び示すとすぐに開かれる。」(第8頁第1行~第9頁第21行)
イ 「【図1】
[図:0001417924000030.jpg]
」
(22) 甲25の記載事項
甲25には、「分離板型遠心分離機」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0012】
【実施例】本発明の一実施例を図面について説明すると、図1はその全体縦断面図である。・・・
・・・
【0014】このような装置において、遠心分離機が定速回転に達したのち、原液供給管9より原液を案内筒6を経て供給すると、原液は分離板4上で遠心分離され、比重差によって外径側より内向き半径方向に固形分,重液,軽液の順に分離室16内に層成される。
【0015】重液は回転胴内の分離室16に徐々に溜まってゆき、その重・軽液界面径D2が仕切板17の径D1を越えて内向き半径方向に移動するに伴い、重液流路18中の軽液は重液チャンバー20に入り、上端が閉塞された重液インペラー19の上部圧が上昇する。
・・・
【0017】そこで、圧力検出器14はインペラー上部圧を検出し、これが設定値に達すると、その出力信号を制御器15に送り、制御器15は制御弁23を開き、開弁作動水を副弁7に導入する。これにより、副弁7は内向き半径方向に摺動し、主弁水室11の作動水は副弁7を経て排出され、主弁5は分離室16の内圧により開き、回転胴1内の固形物及び重液は排出孔10から外部に排出される。排出後タイマーの作用により、開弁作動水の供給は停止し、副弁7内の作動水はドレン孔25からすべて排出され、副弁7は遠心力により外向き半径方向に摺動して閉じるとともに、閉弁作動水が常に主弁水室11に供給されているので、主弁5はその水圧により押し上げられ回転体蓋2の下端に装着されたパッキンに当接し、排出孔10は閉じ、回転胴内の重液の排出は停止する。」
イ 「【図1】
[図:0001417924000031.jpg]
」
(23) 甲26の記載事項
甲26には、「脱塵装置、並びにそれを用いた脱硫装置及び排ガス処理システム」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0015】
===脱塵装置の構成図===
図1は本発明の一実施例として説明する脱塵装置110の構成図を示す。なお、本実施の形態においては、固液分離機(固液分離手段)が液体サイクロン113である場合について説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る脱塵装置110は、排ガスに含まれる固体成分を脱塵剤により回収する脱塵塔111、固体成分を含む脱塵剤(スラリー)を遠心力により固体成分と液体成分とに分離する液体サイクロン113などを備えている。脱塵塔111には、排ガスを供給するための配管1と、ダスト(アルミナ、シリカなど)、煤塵、硫黄化合物、窒素化合物、フッ素化合物などの固体成分(SS成分)を除去した排ガスを排出するための配管2と、SS成分を含む脱塵剤(スラリー)を排出するための配管3と、脱塵剤を塔内に導入するための配管8が接続されている。また、脱塵塔111と液体サイクロン113とは配管4によって接続されており、液体サイクロン113によって分離された液体成分(脱塵剤)を脱塵塔111に戻すことができるようになっている。
【0017】
配管3の下流にはポンプ112が接続されており、そのポンプ112にはスラリーを液体サイクロン113に供給するための配管6が接続されている。液体サイクロン113には、上記配管4と、分離されたSS成分を排出するための配管5が接続されている。
【0018】
次に、本実施の形態における脱塵装置の処理手順の一例について説明する。
石炭などの燃料を燃焼させた場合に発生する排ガスは、配管1を通って脱塵塔111に供給される。脱塵塔111では、配管8から補給される脱塵剤(例えば、水など)を散布して、排ガス中に含まれるダスト(アルミナ、シリカなど)、煤塵、硫黄化合物、窒素化合物、フッ素化合物などのSS成分を除去する。SS成分が除去された排ガスは、配管2から排出される。また、脱塵塔111内でSS成分を吸収した脱塵剤は、スラリーとなってポンプ112により配管3から排出され、配管6を通って液体サイクロン113に供給される。なお、配管7は、液体サイクロン113を修理する場合や取り替える場合に利用される。
【0019】
液体サイクロン113は、供給されたスラリーを遠心力により固体成分と液体成分とに分離する。液体サイクロン113によって分離された固体成分は配管5から排出され、排水処理される。一方、液体サイクロン113によって分離された液体成分(脱塵剤)は、配管4を通って脱塵塔111に戻される。このように、脱塵剤を再利用することによって脱塵剤の使用量を削減することができ、排水処理の負荷を軽減させることが可能となる。また、液体サイクロン113によってより細かい固体成分を除去することができるので、脱塵剤を再利用することにより生じるスプレーノズルや配管などの摩耗や損傷を防止することが可能となる。
・・・
【0021】
固液分離機としては、例えば、液体サイクロン(ハイドロサイクロンや高性能ハイドロサイクロンなどを含む)等の遠心分離機、遠心沈降分離機、遠心濾過分離機、遠心脱水機、濾過機、圧搾脱水分離機などを用いることができる。粒径3μm以上の固体成分を分離除去することができるものとしては、例えば、液体サイクロン(ハイドロサイクロン)等の遠心分離機、遠心沈降分離機などが挙げられる。」
イ 「【図1】
[図:0001417924000032.jpg]
」
(24) 甲27の記載事項
甲27には、「排ガス清浄化装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0007】本発明は、斯かる実情に鑑み、小型ボイラやディーゼルエンジン等から排出される排ガス中に含まれる煤や微量成分を除去することができ、排ガスの清浄化を図り得る排ガス清浄化装置を提供しようとするものである。」
イ 「【0020】図1~図5は本発明を実施する形態の一例であって、液溜部8に貯留された洗浄液を循環洗浄液ポンプ9の作動により循環させて上方のスプレーノズル10から噴霧し、排ガスと洗浄液とを気液接触させ排ガスを洗浄する洗浄塔11と、該洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液に含まれる排ガス除去成分を捕集するカートリッジ式のフィルタ12と、前記洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液を冷却する冷却器13と、前記洗浄塔11へ導入される排ガスと該洗浄塔11で洗浄された排ガスとを熱交換させる熱交換器14とを備えてなる排ガス清浄化装置15を構成したものである。
・・・
【0025】尚、図1中、22はフィルタ12の入側と出側に設けられ且つ該フィルタ12の交換時にのみ閉じられるフィルタ交換用バルブ、23は洗浄液の汚れ具合に応じて該洗浄液を回収する際にのみ開かれる洗浄液回収用バルブ、24は補給水を供給する際にのみ開かれる補給水供給用バルブである。
【0026】次に、上記図示例の作動を説明する。
【0027】小型ボイラやディーゼルエンジン等から排出される高温の排ガスは、熱交換器14を通過する際、後述する洗浄された排ガスと熱交換し、温度降下して洗浄塔へ導入される。
【0028】洗浄塔11においては、液溜部8に貯留された洗浄液が循環洗浄液ポンプ9の作動により循環して上方のスプレーノズル10から噴霧されており、洗浄塔11へ導入された排ガスと洗浄液とが気液接触し、排ガスの洗浄が行われ、洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液は、排ガス除去成分がフィルタ12で捕集されると共に、冷却器13で冷却され循環される。
・・・
【0035】尚、前記排ガス清浄化装置15をトラック等の自動車に搭載した場合、ガソリンスタンド等における給油時等に、洗浄液の汚れ具合により必要に応じて洗浄液回収用バルブ23を開け、洗浄液をドラム缶等に回収し、別に排水処理を行うと共に、補給水供給用バルブ24を開け、補給水を供給し、洗浄液を新しくすればよく、又、フィルタ12については、目詰りの度合いに応じて適宜、フィルタ12の入側と出側に設けられたフィルタ交換用バルブ22を閉じカートリッジを交換すればよい。」
ウ 「【図1】
[図:0001417924000033.jpg]
」
(25) 甲28の記載事項
甲28には、「湿式排煙脱硫方法と装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1に示す。排煙脱硫装置の系統の概要は図4に示すものと同一であり、硫黄酸化物を含む排ガス1、脱硫装置の吸収塔2、スプレヘッダ3、スプレノズル4、ミストエリミネータ5、浄化ガス6、吸収塔循環タンク7から構成され、空気8、石灰石9、石灰石供給設備10、石灰石スラリポンプ11、抜出しポンプ12、一次石膏脱水設備13a、二次石膏脱水設備13b、石膏14、排水15、脱水ろ液16及び循環ポンプ17が設けられている。
【0016】図1に示すフローは、図4に示すフローの構成の他に二次石膏脱水設備13bを迂回する一次脱水バイパスライン18を設けており、必要に応じて一部バイパス吸収液スラリ1と一次脱水装置13aの出口スラリとを二次脱水装置13bへ供給することができる。
【0017】一次脱水バイパスライン18を流れる吸収液スラリのバイパス量は二次脱水装置13bの入口濃度を50%とする場合には約12%の吸収液スラリをバイパスすることで達成される。」
イ 「【図1】
[図:0001417924000034.jpg]
」
(26) 甲30の記載事項
甲30には、「湿式排煙脱硫装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸収塔タンク内に生じた酸化性物質を還元し低減できる湿式排煙脱硫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、湿式排煙脱硫装置としては吸収塔のタンク内に空気を送込み、そこで亜硫酸ガスを吸収した吸収剤スラリ(カルシム含有スラリ、通常石灰石スラリ)と接触させて酸化を行うようにし、酸化塔を不要としたもの(いわゆるタンク酸化方式)が主流となっている。・・・」
イ 「【0021】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明の第一および第二の湿式排煙脱硫装置の一実施例を図1に基づいて説明する。なお、図3に示した従来の湿式排煙脱硫装置と同様の要素には同符号を付して、その説明を省略する。本実施例の湿式排煙脱硫装置は図1に示すように、吸収塔1の排煙導出側の側壁内面に設けた樋状のスラリ受け20と、このスラリ受け20と抜出しポンプ10のスラリ吸込側とを接続する流下スラリ導出配管21と、この流下スラリ導出配管21を通過するスラリ溶液の流量を調整する流量調整弁22と、この流量調整弁22の開度を後述する如く制御する流量コントローラ23とを備える。なお、この図1ではスラリ受け20を吸収塔1の排煙導出部1bの方向へ折曲る角部17の位置に設けたが、流下スラリをタンク2内の液面上で採取できる位置、すなわち流下スラリをタンク2内の液面に到達する前に採取できる位置であればどこに設けてもよい。また、スラリ受け20は必ずしも吸収塔1内の片側の側壁に設けられる必要はなく、例えば全周に渡って設けられていてもよい。またこの場合には、スラリ受け20と流下スラリ導出配管21とが本発明の流下スラリ抜出手段を構成し、抜出しポンプ10の吸込側配管と流下スラリ導出配管21の接合部(合流部)24が本発明の混合手段を構成している。」
ウ 「【図1】
[図:0001417924000035.jpg]
」
(27) 甲31の記載事項
甲31には、「高性能排煙脱硫方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は石炭焚きボイラ排ガスの如き硫黄酸化物を含む排ガスの脱硫方法に関するもので、特に処理排ガス中の硫黄酸化物濃度を従来技術で達成し得なかった低濃度レベルにまで、経済的に脱硫できる高性能排煙脱硫方法に関する。」
イ 「【0018】
【実施例】本発明方法の1実施態様を図1に基づいて説明する。図1において、石炭焚きボイラ排ガスの如き硫黄酸化物を含む排ガス1は既存の脱硫装置2に導かれる。脱硫装置2では経路3から送られるCaCO3と反応によって生成したCaSO4・2H2Oを含むスラリ状吸収液4がポンプ7により経路8を介して脱硫装置2内に噴出される。スラリ状吸収液はグリッドを充填した吸収部9で高濃度の硫黄酸化物を含む排ガスと気液接触し、CaSO4・2H2Oを生成し脱硫する。また硫黄酸化物を吸収した吸収液4は経路6から供給された空気がアーム回転式スパージャ5で微細な気泡として吹き込まれることにより、亜硫酸イオン(HSO3-)の酸化が促進され、SO2の吸収率の向上を計ると共にCaCO3による中和反応によりCaSO4・2H2Oが生成される。生成したCaSO4・2H2Oを含むスラリ状吸収液4の一部は経路10から抜き出され、遠心分離機11で固液分離され副生石膏12が回収される。固液分離後の液は経路13にて脱硫装置2内に戻される。」
ウ 「【図1】
[図:0001417924000036.jpg]
」
(28) 甲32の記載事項
甲32には、「排煙脱硫装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭や重油等の燃料を燃焼させるボイラ、ガスタービン、エンジンや焼却炉等から排出される排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を長期間に亙って高効率で除去するための排煙処理装置及び排煙脱硫装置の触媒再生処理方法に関する。」
イ 「【0015】第7の発明は、第5又は6の発明において、上記排ガスがボイラ、ガスタービン、エンジン及び各種焼却炉から排出されるガスであり、排ガス中の煤塵を除去する煤塵除去手段を備えてなることを特徴とする排煙脱硫システムにある。」
ウ 「【0028】ここで、上記排ガスは例えば都市ゴミ焼却炉,産業廃棄物焼却炉,汚泥焼却炉等の各種焼却炉、溶融炉、ボイラ、ガスタービン、エンジン等から排出されるものであるが、本発明では硫黄酸化物(SOx:SO、SO2、SO3、S2O3等)を浄化するものであるので、発生源は特に限定されるものではない。」
(29) 甲33の記載事項
甲33には、「排煙脱硫システム及び方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石炭や重油等の燃料を燃焼させるボイラ、ガスタービン、エンジンや焼却炉等から排出される排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を除去するための排煙脱硫システムに関する。」
イ 「【0017】第7の発明は、第1又は2の発明において、上記排ガスがボイラ、ガスタービン、エンジン及び各種焼却炉から排出されるガスであり、排ガス中の煤塵を除去する煤塵除去手段を備えてなることを特徴とする排煙脱硫システムにある。」
(30) 甲34の記載事項
甲34には、「排ガス処理方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0046】
また、本実施例では、ボイラ41からの排ガス11中の硫黄酸化物等を除去する排煙脱硫システムについて例示したが、本発明の浄化対象となる排ガスはこれに限定されるものではなく、例えばガスタービン、エンジン、ガス化炉及び各種焼却炉の何れかから排出される排ガスに用いてもよい。」
イ 「【0048】
本発明に係る排ガス処理方法を実施するガス浄化装置は、例えば石炭等の硫黄分を含む排ガスのみならず、その他の有害煤塵や有害ミストを含む排ガスを浄化することができる。」
(31) 甲35の記載事項
甲35には、「排ガスの冷却・浄化方法及び装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼル機関の排ガス再循環システムにおいて、ディーゼル機関から排出された排ガスを、海水噴霧により直接冷却すると同時に、排ガス中に含まれているばいじんを海水中に捕捉することにより、排ガスの冷却及び浄化を同時に、かつ、簡便に行なう方法に関するものである。」
イ 「【0002】
【従来の技術】ディーゼル機関のNOx低減技術の1つとして、排ガス再循環(以下、EGRと称す)を行なうことは、従来からよく知られている。また、実開平2-46057号公報、実開平2-43449号公報には、ディーゼル機関のEGRの排気還流通路中に、ばいじんを捕捉するためのトラップフィルタを設け、さらには、このフィルタの目詰まりを防止するようにしたEGR装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の公報に記載されたEGR装置は、つぎのような問題点を有している。
(1) 上記フィルタでは、ばいじんによる目詰まりが生じ、これを除去するために燃焼再生及びエアパージ等の手段を用いているが、フィルタの目詰まりから再生に至る間のフィルタによる圧力損失は大きく変動し、これがエンジン性能に悪影響を及ぼす。特に過給機付の場合には影響大である。
(2) フィルタを燃焼再生する場合には、フィルタ自体の温度が過度に上昇し、フィルタが破損したり、また、十分に焼却できない場合にはカーボンが焼結し、フィルタの目詰まりを生じる。
(3) フィルタの目詰まりを再生する技術が複雑であり、確実に再生可能な方法は現在のところ、まだ確立されていない。
一方、EGRを行なうと、排ガス中のばいじんが増加する。また、EGRを行なってシリンダ内へ還流される排ガスは、所定の温度まで冷却する必要がある。本発明は、上記の諸点に鑑みなされたもので、ディーゼル機関の排ガスを海水噴霧により直接冷却すると同時に、排ガス中に含まれているばいじんを海水中に捕捉することにより、上記EGRの問題点を一挙に解決することができる方法及び装置を提供することを目的とするものである。」
ウ 「【0007】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を詳細に説明する。・・・
実施例1
本発明の基本となる実施例であり、図1に示すように、ディーゼル機関10に付属する過給機12及び排ガスエコノマイザ14を出た排ガス全量を本発明の脱じん・冷却装置16で処理する方法である。なお、排ガスエコノマイザ14は設置されない場合もある。処理後の排ガスの一部は、海水ミストセパレータ18に導入され、海水ミストが除去された後、大気とともにディーゼル機関10に付属する過給機12へ還流され、排ガスの残部は排出される。13は主排ガス導管、15は還流排ガス導管である。
【0008】図2は、脱じん・冷却装置16及びその周りの一例を示している。装置本体20の内底部に海水面30が一定高さとなるように構成され、この海水面30の上側に、下向きに開口した排ガス導管22が接続され、この排ガス導管22の上側に海水噴霧管24が設けられる。26は排ガス出口、28は海水排出管である。
排ガスは、海水面30に対向して排出されることにより、排ガス中の大粒径のばいじんの一部が海水中に捕捉される。排ガスとともに上昇したばいじんは、噴霧海水により捕捉される。排ガスを洗浄した海水は、1次フィルタ32及び2次フィルタ34でばいじんが除去され、ついで、遠心分離機などの油水分離機36で油分が取り除かれた後、海へ戻される。38は海水フィルタ、40は海水ポンプである。なお、1次フィルタ32及び2次フィルタ34の2台を設ける代わりに、フィルタを1台にしたり、3台以上にしたりする場合もある。また、複数のフィルタを切換可能に並列に接続する場合もある。また、フィルタ又は油水分離機を設けたり、あるいはその両方を設けたりする場合もある。装置本体20下部の海水面30は、一定高さとなるように、排ガス流入孔42と海水面30の距離を計測し、例えば、海水排出ポンプ44のバイパス量をバイパスライン46により調整する。なお、バイパス量により調整する代わりに、液面制御手段(LC)等を設けることも可能である。上記のように、排ガスを海水面に対向して排出するのは、ディーゼル機関の排ガスの過給機出口圧力が低く、圧力損失をそれ程大きく取れないからである。なお、排ガスを海水面に対向して排出する代わりに、装置本体20の側面に、直管状の排ガス導管を接続し、排ガス流入孔が横方向を向くように構成してもよい。しかし、この場合は、ばいじん捕集効率が少し低くなる。また、ディーゼル機関の排ガスの圧力損失を大きく取れる場合は、海水面30の下側に排ガス導管を接続することも可能である。また、海水噴霧管24を設ける代わりに、棚段を設けたり、充填物を充填したりすることも可能である。」
エ 「【0015】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 排ガスを海水で洗浄することにより、排ガスに含有されているばいじんを海水中に容易に捕捉することができる。この結果、洗浄後の海水を処理するのに、複雑な装置を必要とせずに、通常使用されているフィルタや清浄材等により、ばいじんを除去できる。このため、特に船舶内のディーゼル機関の排ガス処理に用いるのに適している。・・・」
オ 「【図2】
[図:0001417924000037.jpg]
」
(32) 甲36の記載事項
甲36には、「排ガス処理装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関から排出される排ガスのばいじんを処理する排ガス処理装置に関する。」
イ 「【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような細かい粒子はフィルタやサイクロン式集塵機では充分に除去できない。フィルタの場合は目ずまりが生じ易く、これによる圧力損失の増加でエンジンの性能に悪影響を与える。また電気集塵機は大がかりな装置となるため、船舶などの輸送機器には適していない。また、このようにしてばいじんを除去した後、排ガスの一部を冷却し給気に加え給気の酸素濃度及び燃焼温度を低下させて窒素酸化物(NOx)の発生を押さえる排ガス再循環システム(EGR)に供給する場合、排ガス温度を低下させて供給する必要がある。このため排ガス冷却器が必要になる。しかし、排ガスをある温度以下に冷却すると硫酸が凝縮し接触する部材を腐食させる。
【0004】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、内燃機関より排出される排ガスのばいじんを除去することを目的とする。またばいじん中のSOx等を除去することを目的とする。また処理した吸収液を循環使用することを目的とする。」
ウ 「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態を示す。排ガス管1はディーゼル機関等の内燃機関からの排ガスを煙突等に導く。排ガス処理管2は排ガス管1の排ガスを分岐してばいじん処理を行う。ダンパー3は排ガス処理管2に流入する排ガスの流量を制御する。排ガス処理管2はU字形をしており、入口側垂直管2a内には吸収液を噴霧するスプレーノズル4が複数段設けられ各スプレーノズル4には止め弁5が設けられている。U字形の下部は循環タンク6に接続し、ばいじんを吸収した吸収液は回収され、排ガスと分離される。分離した排ガスは出口側垂直管2b内に設けられた液滴を分離するミストセパレータ7を通過しEGRに用いられる。
【0011】循環タンク6には循環ポンプ8が設けられ、回収した吸収液をスプレーノズル4に供給する。また循環タンク6内下部には空気吹き込み管9が設けられ、ブロワ10により空気を供給してスプレーされた吸収液に含まれる亜硫酸塩の酸化を促進する。循環ポンプ8の供給水の一部は脱水機11に送られ吸収液中の固形物を液体から分離し、固形物は回収固形物貯蔵タンク12に蓄積し、液体は循環タンク6に戻す。これにより吸収液はスプレーノズル4および脱水機11を循環する。
【0012】吸収液貯蔵タンク13には吸収液が貯蔵され、スプレーノズル4に供給される吸収液のpHをpHセンサ14で検出し、所定のpH値となるように吸収液調整弁15で吸収液を循環タンク6に供給する。吸収剤調合タンク16は吸収剤を貯蔵する吸収剤タンク17と脱水機11で分離した液体を調合して吸収液を生成し、吸収液貯蔵タンク13に供給する。また、脱水機11の分離した液体の一部を外部に排出する廃液ライン18が弁19を介して設けられている。
【0013】吸収剤としては、Na,Ca,Mg,NH3のいずれかを含む水酸化物又は炭酸塩が用いられる。これらは吸収剤調合タンク16で脱水機11の分離した液体と調合され、例えば10~20重量パーセント(W%)の濃度とする。CaCO3,Mg(OH)2,MgCO3の場合、一部固体となりスラリー状となっている。このような溶液を吸収液としスプレー4より噴霧しばいじんを吸収する。吸収液中のばいじんは脱水機11より分離され固形物として取り出される。
【0014】また、ばいじんに含まれる二硫化硫黄(SO2)は、例えばNaOHによりNa2SO3となり、ブロワ10による空気吹き込みで酸化されてNa2SO4となる。また、SO2ガスは、CaCO3によりCaSO3になり、Mg(OH)2またはMgCO3によりMgSO3になり、ブロワ10による空気吹き込みで酸化されてCaSO3はCaSO4に、MgSO3はMgSO4となる。CaSO4は固形となって脱水機11により除去される。
【0015】なお、SO2を含んだ吸収液のpH値は、吸収剤としてNaOHやMg(OH)2,MgCO3を用いる場合は6.5~7とし、CaCO3を用いる場合は5.5程度を目標とする。これより低下した場合、これよりペーハー値の高い吸収液貯蔵タンク13の吸収液が供給されて目標値を維持する。
【0016】以上のように本発明の装置は、内燃機関からの排ガスからばいじんを除去し、排ガスを冷却し、排ガス中に含まれるSOxを除去してこれによる腐食を防止するので、EGRの前処理装置として好適である。また装置として大きくないので船舶などのように取付けスペースが限られている場合に好適である。なお上述の説明ではダンパー3により排ガス管1の排ガスの一部を取り出すとしたが、全部の排ガスを排ガス処理管2に導入すれば、SOx吸収装置として有効な装置となる。」
エ 「【図1】
[図:0001417924000038.jpg]
」
(33) 甲37の記載事項
甲37には、「排ガス再循環システム」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排ガスの再循環システムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ディーゼルエンジンの排ガスには、NOx、SOx及びばいじん等の有害物質や環境に負荷を与える物質が含まれている。特に、低質な燃料が使用される船舶用のディーゼルエンジンにあっては、排出される有害物質の含有量も多い。そのため、このような有害物質を排出しない種々の方式が提案されている。
【0003】有害物質を低減させる代表的な方法としてNOxを低減できる排ガス再循環(EGR)方式がある。これは、燃焼により発生した排ガスの一部を燃焼用空気に混入して燃焼させ、燃焼温度の低下によりNOxの減少を図るものである。排ガスで薄められた空気は通常の空気に比べて酸素濃度が低い。従って、燃料と酸素との反応である燃焼の速度を遅らせることができる。それに伴い、火炎の最高温度が低下するので、NOx生成(Thermal NOx)を抑制することができる。」
イ 「【0027】一方、図2を参照して、排ガス循環システムに設置する第一番目のガス洗浄装置は、ガス洗浄部(31)に屈曲した複数の壁体(37)を一定間隔に配設したエレメント(36)を持つ。そして、エレメント(36)へ洗浄水を噴霧して、前記壁体(37)表面を濡らす洗浄水供給手段(38、39)とを有し、前記壁体(37)に排ガスを通過させることで含有するばいじんを衝突させ、更に、SOx等を洗浄水に吸収させて浄化する充填層スクラバー(21)であることを特徴としている。」
ウ 「【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明である排ガス再循環システムの実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。本実施例において、船舶のエンジンとしての排ガス再循環システムについて説明するが、他の用途でも本発明の排ガス再循環システムを適用することが可能である。」
エ 「【0032】(実施例1)本発明である排ガス再循環システムの第1の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。・・・
・・・
【0036】循環管路11-1には、ガス洗浄装置である充填層スクラバー21が設置されている。排ガスは、ここで洗浄され、ばいじんやSOx等が除去される。洗浄される排ガス量は制御ブロワ22の回転数の制御により、必要量が設定可能である。洗浄された排ガスは、制御ブロワ22により、循環管路11-2を介して吸い出され、循環管路11-3を介して過給機5(の一端部側:過給機コンプレッサ部)へ送り込まれる。そして、ここで外気と混合し、加圧される。排ガスを含む加圧空気は、循環管路11-4を介してエアクーラ4に達する。そして、ここで冷却され、循環管路11-5を介して掃気室2に供給される。
【0037】外気(新気)と排ガスとの混合は、上述のように過給機5(の一端部側:過給機コンプレッサ部)において行なっても良いし、循環管路11-3の途中に接続された吸気管路6へ新気を導入することにより行なうことも有る。
【0038】排ガスを洗浄する充填層スクラバー21には、洗浄水供給管路23が接続されている。この洗浄水供給管路23にはポンプ24が接続され、それにより、海水が洗浄水として充填層スクラバー21に供給される。そして、充填層スクラバー21の本体内に装着されている洗浄水ノズルより、屈曲した複数の壁体を一定間隔に配設したエレメントへ洗浄水を供給するよう構成されている。排ガス洗浄を終えた洗浄水は排水管25を介して海に排水される。」
オ 「【0098】本発明は、船舶におけるエンジンについて説明しているが、定置型の施設のような陸上においてエンジンを使用するシステムに幅広く採用できる。その場合には、海水の代りとして工業用水を利用すれば良い。」
カ 「【図1】
[図:0001417924000039.jpg]
」
(34) 甲38の記載事項
甲38には、「ディーゼル機関の排気ガス還流制御装置」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼル機関の排気ガスの一部を給気側に戻すようにしたディーゼル機関の排気ガス還流制御装置に関する。」
イ 「【0002】
【従来の技術】従来から、ディーゼル機関の排気ガスの一部を、給気通路に混入して、ディーゼル機関への給気ガス中のO2濃度の低減と燃焼温度の低減とによって、NOxを低減させることが行われている。」
ウ 「【0025】さらに本発明に従えば、排気ガス還流通路にスクラバを介在して排気ガスに水をシャワーなどによって直接に接触させ、除塵とともにSOx(たとえばSO2,SO3)、NOx(たとえばNO2,NO,NO3)などを除去し、こうして清浄化された排気ガスをミストキャッチャに導いて水滴を除去し、さらに除塵用フィルタで除塵を行った後、流量制御弁に導くようにし、こうしてスクラバによる排気ガスの冷却効果もまた達成することができる。このスクラバを用いることによって、それよりも上流側の除塵用フィルタおよびクーラなどを省略し、構成の簡略化を図ることができる。」
エ 「【0028】
【実施例】図1は、本発明の一実施例の全体の構成を示す系統図である。ディーゼル機関1の排気ガス通路2には過給機3のタービン4が設けられ、このタービン4によってブロア5が回転駆動される。ブロア5は、ディーゼル機関1の給気通路6に介在される。この給気通路6には、排気ガス循環通路7からの排気ガスと空気通路8からの燃焼用空気とが混合されたガスが流過する。」
オ 「【0053】図14は、本発明のさらに他の実施例の全体の構成を示す系統図である。この実施例は前述の実施例に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの実施例では、排気ガス還流通路7には、上流側から下流側にスクラバ40と、ミストキャッチャ12と除塵用フィルタ13とがこの順序で配置され、フィルタ13の下流側に流量制御弁14が配置される。
【0054】図15は、スクラバ40の具体的な構成を示す断面図である。ハウジング41の上部にはノズル42が設けられ、このノズル42には、管路43から冷却媒体である水、たとえば海水が供給され、ノズル42から水が霧状に噴射される。ハウジング41には、噴射された水が参照符44で示されるように貯留され、排出管路45から排水される。排気ガス還流通路7の前記接続個所9からの排気ガスは、水の貯留部44よりも上方の入口46からハウジング41内の空間に供給され、ノズル42よりも下方であって、かつ入口46よりも上方の出口47から排出されて後続のミストキャッチャ12に導かれる。
【0055】スクラバ40では、入口46からの高温度の排気ガスがノズル42からの水と直接に接触して除塵が行われるとともに、NOxおよびSOxが水に吸収され、さらに効率よく冷却される。スクラバ40の出口47から排出される排気ガスの温度は、たとえば50℃程度である。」
カ 「【図14】
[図:0001417924000040.jpg]
【図15】
[図:0001417924000041.jpg]
」
(35) 甲39の記載事項
甲39には、「排気ガス再循環システムを制御するための方法及びシステム」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス再循環システムに関し、より具体的には、排気ガス再循環システムを制御するための方法及びシステムに関する。」
イ 「【0004】
排気ガス再循環(EGR)は一般的に、放出排気の一部分をターボ機械の吸入部分を通して再循環させることを含む。排気は次に、燃焼に先立って流入空気流と混合される。・・・」
ウ 「【0051】
スクラバは、一般に、産業排気ストリームからパーティキュレート及び/又は他のエミッションを除去することができる空気汚染制御装置と見なされる。スクラバは、ガス流から望ましくない汚染物質を「洗浄する」ための液体を含む、「スクラビング(洗浄)プロセス」又は同様のものを用いることができる。スクラバは、スクラバ流体を受け入れ、後でこれを吐出することができ、上述のように、このスクラバ流体は、排気ストリーム170の温度を下げるために必要な熱伝達を可能にするタイプのものとすることができる。スクラバ流体は、一般に、排気ストリーム170内の有害成分の一部を吸収する。スクラバ流体は、淡水、海水、又はこれらの組合せであってよい。スクラビング効率を高めるために、スクラバ流体にアルカリ性試薬を添加することができる。」
エ 「【図1】
[図:0001417924000042.jpg]
」
(36) 甲40の記載事項
甲40には、「大型過給内燃機関及びその吸気を冷却する冷却器の運転方法」(発明の名称)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
1.給気及び掃気をエンジンシリンダに供給するコンプレッサ(9)と、該コンプレッサからの空気を冷却する冷却器(12)とを備える、船舶の主機のような大型の過給内燃機関(1)にして、前記冷却器(12)が、空気中に水を圧力噴霧することにより、掃気及び給気と冷却水とを直接接触させ得るように設計され、
前記冷却器(12)が、連続的な多数の噴霧領域を備え、
少なくとも二つの噴霧領域の間には、空気から水滴を分離する液滴捕集領域(33)が設けられることを特徴とする内燃機関。
・・・
4.請求の範囲第1項乃至第3項の何れかの項に記載の内燃機関にして、吐出ポンプ(49)が、前記冷却器内の噴霧領域に淡水を供給し、該冷却器の液滴捕集領域の少なくとも一つが貯蔵タンク(50)に淡水を供給し、該貯蔵タンクが冷却器内の圧力と略等しい圧力まで加圧されることを特徴とする内燃機関。
5.空気がコンプレッサ(9)から去った後で、空気がエンジンの燃焼室に供給される前に、過給内燃機関(1)の吸気を噴霧水で冷却すべく冷却器(12)を運転する方法にして、
水を圧力噴霧することにより、該空気が多数の段(13乃至16)内で冷却され、自由に利用可能な品質の水が冷却器の第一の段(13)内で空気中に噴霧され、その結果、液滴が空気から除去され、その後続の少なくとも一つの段(14乃至16)内で淡水が空気中に噴霧され、その結果、水滴が空気から除去されるようにしたことを特徴とする方法。
6.請求の範囲第5項に記載の方法にして、淡水が連続的な二つの段(14、15)内で空気中に噴霧され、淡水が噴霧される最後の段(15)内にて空気から除去された水が貯蔵タンクに供給されることを特徴とする方法。
・・・」
イ 「本発明は、給気及び掃気をエンジン・シリンダに供給するコンプレッサと、該コンプレッサからの空気を冷却する冷却器とを備える、船舶の主機のような大型の過給内燃機関に関する。」(第4頁第4~6行)
ウ 「本発明の目的は、冷却性能が大きく、効率良く機能し、また、作動上の信頼性が高く、しかも保守が僅かで済む、大型エンジンの吸気装置に対する冷却器を提供することである。」(第5頁第15~17行)
エ 「また、本発明は、空気がコンプレッサから出た後で、且つ空気がエンジンの燃焼室に供給される前において、噴霧水により、過給内燃機関の吸気を冷却し得るように、冷却器を運転する方法にも関する。この方法は、水を圧力噴霧することにより空気が多数の段にて冷却され、自由に利用可能な品質の水が冷却器の第一の段にて噴霧され、その結果、水滴が空気から除去され、また、その後続の段にて淡水が空気中に噴霧され、その結果、水滴は空気から除去されるようにしたことを特徴とする。
冷却水と空気とを直接、接触させる上述の利点に加えて、該方法は、また、必ずしも純粋でない淡水である水を利用して、第一の段にて空気の加湿及び冷却を行うことを可能にする。低品質の水、即ち、海水又は湖からの浄化前の表面水、又は工業用に使用されたその他の水のような非飲用水が適量、エンジンプラントの付近に存在するならば、冷却器内での蒸発及び凝縮過程の結果、この水は浄化され、またその後続の段にて噴霧された淡水は、空気中からあらゆる不純物を除去するから、第一の段においてこの水を使用することが可能となる。このようにして、空気の加湿に使用される量と同等の淡水の節約が可能となる。
淡水は、二つの連続する段にて空気中に適宜に噴霧することが出来、最後の淡水段にて空気から除去された水は、貯蔵タンクに供給出来る。上述のように、第一又は第二の淡水段にて冷却する結果、純粋の淡水が実際に製造され、この淡水は、貯蔵タンク内に集められる。この方法において、冷却器は淡水を自己充足するのみならず、余分に製造された量の水を貯蔵タンクから出して、その水をその他の目的に使用することが可能となる。」(第8頁第22行~第9頁第13行)
オ 「図1には、大型の内燃機関が全体として参照符号1で示されており、該内燃機関は、掃気及び給気室2及び排気室3とを有している。・・・
・・・
導管11内の吸気は、図示した実施例において、四つの噴霧段13乃至16を有する冷却器12を通って流れる。第一の段13において、海水のような一般に利用可能な品質の水は、気体を加湿、冷却及び浄化し得る量にてパイプ17を通って流れて噴霧ノズルに入る。塩分、又はその他の不純物のような粒子が水から気体中に析出されないように、適度に余剰な量の水が供給される。第一の段から排出されると、空気は露点付近の温度にまで略冷却される。第二の段14において、パイプ18を通じて供給される淡水は、気体中に噴霧され、これにより、更に冷却して、その結果、気体中のあらゆる粒子に水が凝縮する。第三の段15において、パイプ19を通じて供給された淡水は、空気中に噴霧され、この空気は、この場合、従来のパイプ・フィン冷却器からの空気の排出温度に等しい温度にまで冷却される。第四の段16において、パイプ20を通じて供給された水は、気体中に噴霧され、該気体は、冷却水の温度よりも数度高い温度まで冷却され、比較的少量の淡水の凝縮が続けられる。各段から、凝縮された余剰な水は、排液口又は排液パイプ21乃至24を通じて排出される。冷却器における段の数はより少なくてもよい。この段数は、特に、エンジン出力、及び淡水の必要な製造量に適合したものとする。吸気が不純物を含む場合、これらの不純物は、冷却器の第一の段にて洗浄され、更に、第二の段にて洗浄することも可能であり、このため、その汚染物質の種類に依存して、パイプ21、22を通じて排出された水を浄化することが必要となる。第一の段に供給された水が不純物を含むならば、パイプ22を通じて排出された水もまた、不純であると考えられる。」(第10頁第7行~第11頁第15行)
カ 「図5には、三段式冷却器への接続状態の線図が示してある。上述のように、図1の冷却器は、三つの段しか備えないようにすることが出来、簡略化のために、図5では、図1の第一の冷却器の三つの段を示す参照符号と同一の符号が使用されている。該冷却器は、舶用機関に使用され、また、第一の噴霧段への供給パイプ17には、海水弁48を通じて、吐出ポンプ47により海水が供給される。第一の液滴捕集領域からの余剰な水は、パイプ21を通じて上方に運ばれる。
吐出ポンプ49が貯蔵タンク50から淡水を吸引し、その水をプレート冷却器51を通じて送り、該冷却器において、淡水は、海水弁52を通じて吸引するポンプ53により冷却器を通じて流れる海水により冷却される。淡水は、排出パイプ54を通じて、第二の噴霧段の供給パイプ18及び第三の噴霧段の供給パイプ19に分配される。」(第13頁第19行~第14頁第1行)
キ 「【図1】
[図:0001417924000043.jpg]
」
ク 「【図5】
[図:0001417924000044.jpg]
」
(37) 甲41の記載事項
甲41には、「環境装置」(タイトル)に関して、次の事項が記載されている。
ア 「1・3・4 洗浄集じん装置(scrubbing dust collector)
a.捕集機構 洗浄集じん装置は,洗浄液を分散あるいは含じんガスを分散することによって,生成された水滴,水膜,気泡などで,含じんガス中の粒子を捕集する装置である.これには慣性力,拡散力,重力などの集じん作用力が利用されている.」(第23頁右欄第9~14行)
イ 「b.形式と特徴 洗浄集じん装置の洗浄液には,通常,水が使用され,水滴,水膜,気泡へのダスト付着やダスト粒子相互の凝集をはかるため,洗浄の方法にはいろいろな工夫がなされ,多種多様のものが市販されているが,性能の表示法を考慮して,洗浄集じん装置は,ため(溜)水式,加圧水式,充てん層式,回転式に大分類している.
・・・
ii.加圧水式(high pressure water type) 加圧水式では加圧水を供給して,含じんガスを洗浄するもので,これには図1・32に示すようなものが広く用いられている.
・・・
(2)ジェットスクラッバ(jet scrubber) 一種のガスブースタで,洗浄水はらせん翼をもった,噴霧ノズルから回転流で高速噴射され,周囲の含じんガスを吸引して,ガス中の粒子を水滴で分離する.・・・
(3)スプレー塔(spray tower) 空塔内に3~4段のスプレー段を設け,含じんガスと水滴との接触をよくしている.これは構造が簡単で保守が容易であり,また,充てん物を使用しないので,ダスト付着や圧損の急増などの問題を起こすことがない.・・・
(4)サイクロンスクラッバ(cyclone scrubber) 塔下部の中心に多数のスプレーノズルを設けた噴霧管を備え,含じんガスを接線流入させる.含じんガスは塔内を旋回しながら上昇し,スプレーノズルからの水滴によって洗浄され,水滴に付着されたダストは,遠心力によって塔壁に分離される.」(第25頁左欄第4行~右欄第22行)
ウ 「
[図:0001417924000045.jpg]
」(第24頁)
2 無効理由について
(1) 甲1に記載された発明(甲1発明1、甲1発明2)
甲1の記載(前記1(1)参照)を、図14に記載された「湿式排煙脱硫装置60」に着目し、同図に記載された具体的な構成(図14中の部材及び部材番号)を当てはめながら整理すると、甲1には、次の「湿式排煙脱硫装置」に係る発明(以下、「甲1発明1」という。)及び「湿式排煙脱硫方法」に係る発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。
・甲1発明1
「ジェットバブリング反応槽10、排ガス出口室12、排ガス入口室14、第1隔板16、第2隔板18、空間部22、出口ダクト24、入口ダクト26、連通管28、排ガス分散管30、攪拌機32、空気供給管34、第1吸収液ノズル(冷却液ノズル)36、第2吸収液ノズル(冷却液ノズル)38、吸収液ポンプ40、工業用水ノズル42、排出管44、排出ポンプ46、固液分離装置48、吸収剤供給管50、排水管52、石膏スラリ管54、第1液下降管62、第2液下降管64、抜き出しポンプ66、抜き出し管68、送出管70、及び、固液分離装置71を備えた、図14に記載された排煙脱硫装置60。」
・甲1発明2
「甲1発明1の排煙脱硫装置を用いた湿式排煙脱硫方法。」
(2) 本件発明1について
ア 本件発明1と甲1発明1の対比
(ア) 本件発明1と甲1発明1とを対比すると、両者の対応関係は、次のとおりに解することができる。
a 甲1発明1の「第1吸収液ノズル(冷却液ノズル)36」と「工業用水ノズル42」を備えた「入口ダクト26」及び「第2吸収液ノズル(冷却液ノズル)38」を備えた「排ガス入口室14」からなる部分は、前記1(1)イ【0007】、【0008】によれば、排ガスを工業用水及び吸収液と接触させ、排ガスの冷却を行うと同時に排ガス中の除塵及び硫黄酸化物を除去するための「第1次気液接触」を行う部分である。また、甲1発明1の「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間及び「排ガス分散管30」からなる部分は、前記1(1)イ【0006】、【0008】によれば、排ガスを「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間の吸収液層20に導入し、バブリングさせ、排ガス中の除塵及び硫黄酸化物を除去するための「第2次気液接触」を行う部分である。
よって、このような甲1発明1における「第1次気液接触」及び「第2次気液接触」を行う部分は、本件発明1の「排ガスを浄化するためのガス・スクラバ(1)」であって、「汚染物質粒子を有する汚染された」「スクラバ流体を作り出」す「ガス・スクラバ」に相当するものといえる。
b 甲1発明1の「入口ダクト26」、「排ガス入口室14」、「排ガス分散管30」、「連通管28」、「排ガス出口室12」、「出口ダクト24」は、前記1(1)イ【0008】、【0009】、オ【0032】によれば、排ガスを導入し、亜硫酸ガスを除去された排ガスを系外に排出する部分であるから、本件発明1の「排ガス導管(2)」に相当する。
c 甲1発明1の「排煙脱硫装置」は、前記aでの検討を踏まえると、排ガス中の除塵及び硫黄酸化物の除去するための「第1次気液接触」及び「第2次気液接触」を行う部分を備えているから、本件発明1の「排ガスを浄化するための」「排ガス浄化装置」に相当する。
d 甲1発明1の「固液分離装置48」は、前記1(1)カによれば、「遠心分離器、デカンター、フィルター、シックナーを使用できる」こと、また、前記1(1)イ【0008】、【0009】によれば、吸収液中の亜硫酸ガスが石灰石と反応して形成された石膏粒子を母液と分離するための装置であることから、本件発明1の「前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを分離するための遠心分離機」に相当する。
e 甲1発明1の「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間、「排出管44」、「排出ポンプ46」、「固液分離装置48」、「吸収剤供給管50」、「排水管52」及び「石膏スラリ管54」からなる部分は、前記1(1)イ【0009】の記載及び前記a、dでの検討を踏まえると、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間から排出された石膏を濃厚に含有する吸収液を「固液分離装置48」にて石膏粒子と母液とに分離し、母液の一部を排水処理装置に送り、母液の残りを「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間に戻すためのものであるから、本件発明1の「ガス・スクラバに接続され、汚染されたスクラバ流体を浄化するためのスクラバ流体浄化装置」に相当する。
f 甲1発明1の「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間は、前記1(1)イ【0006】によれば、吸収液層20を収容する部分であること、及び、前記eでの検討を踏まえると、本件発明1の「スクラバ流体浄化装置」の「バッファ・タンク」に相当する。
g 甲1発明1の「第1液下降管62」は、前記1(1)オ【0032】、キ【0045】によれば、「入口ダクト26」内の吸収液を「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間に収容された吸収液層20に流下させるものであること、また、甲1発明1の「排出管44」、「排出ポンプ46」及び「石膏スラリ管54」は、前記1(1)イ【0009】によれば、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間から吸収液を「固液分離装置48」に送るためのものであること、さらに、前記a、d及びfでの検討も踏まえると、甲1発明1の「第1液下降管62」、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間、「排出管44」、「排出ポンプ46」及び「石膏スラリ管54」からなる経路は、本件発明1の「汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバから」「遠心分離機」「へ導くための手段」であって、「バッファ・タンク」「を介して、汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバ(1)から」「遠心分離機」「へ導くように構成されていること」に相当するものと一応いうことができる。
h 甲1発明1の「第1吸収液ノズル(冷却液ノズル)36」、「第2吸収液ノズル(冷却液ノズル)38」及び「吸収液ポンプ40」は、前記1(1)イ【0007】によれば、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間より「入口ダクト26」に吸収液を送給するものであること、また、甲1発明1の「吸収剤供給管50」は、前記1(1)イ【0009】によれば、石膏を分離した母液の一部を「固液分離装置48」から「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間に供給するものであること、さらに、前記a、d及びfでの検討も踏まえると、甲1発明1の「吸収剤供給管50」、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間、「吸収液ポンプ40」、「第1吸収液ノズル(冷却液ノズル)36」及び「第2吸収液ノズル(冷却液ノズル)38」からなる経路は、本件発明1の「浄化されたスクラバ流体を」「遠心分離機」「から前記排ガス・スクラバへ導くための手段」であって、「バッファ・タンクを介して、浄化されたスクラバ流体を」「遠心分離機」「から前記排ガス・スクラバ(1)へ導くように構成されていること」に相当するものと一応いうことができる。
i 甲1発明1の「抜き出し管68」、「抜き出しポンプ66」及び「送出管70」からなる経路は、前記1(1)キ【0054】によれば、「第1液下降管62」の管内に滞留する、石膏を含むと共に亜硫酸ガスを高濃度に溶解したスラリ(亜硫酸含有スラリ)を抜き出し、「固液分離手段71」に送るものであるから、本件発明1の「汚染されたスクラバ流体の一部」を「抜き出すための手段」に相当する。
j 甲1発明1の「固液分離手段71」は、前記iでの検討を踏まえると、「第1液下降管62」の管内から抜き出した亜硫酸含有スラリを固液分離するためのものといえるし、また、前記1(1)キ【0054】によれば、「遠心分離器、デカンター、フィルター、シックナーを使用できる」ものであるから、本件発明1の「ブリード・オフ」「遠心分離機」に相当する。
(イ) 以上の点に照らすと、本件発明1と甲1発明1との一致点及び相違点は、それぞれ、次のように認定することができる。
a 一致点
「排ガスを浄化するための排ガス浄化装置であって、
排ガス導管(2)内を流れる前記排ガスを浄化するためのガス・スクラバ(1)を有し、このガス・スクラバは、汚染物質粒子を有する汚染されたスクラバ流体を作り出し、
このガス・スクラバに接続され、前記汚染されたスクラバ流体を浄化するためのスクラバ流体浄化装置を有し、
前記スクラバ流体浄化装置は、前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを分離するための遠心分離機を有し、
このスクラバ流体浄化装置は、
汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバから前記遠心分離機へ導くための手段と、
浄化されたスクラバ流体を遠心分離機から前記排ガス・スクラバへ導くための手段と、を更に有していること、
前記排ガス浄化装置のスクラバ流体浄化装置は、バッファ・タンクを更に有し、
前記浄化されたスクラバ流体を前記遠心分離機から前記排ガス・スクラバへ導くための手段は、このバッファ・タンクを介して、浄化されたスクラバ流体を前記遠心分離機から前記排ガス・スクラバ(1)へ導くように構成されていること、
前記汚染されたスクラバ流体を排ガス・スクラバから前記遠心分離機へ導くための手段は、前記バッファ・タンクを介して、汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバ(1)から前記遠心分離機へ導くように構成されていること、
汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ遠心分離機に抜き出すための手段を更に有していること、
を特徴とする排ガス浄化装置。」
b 相違点1
排ガス浄化装置で浄化される排ガスについて、本件発明1は、「船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガス」であるとさらに特定しているのに対して、これに対応する甲1発明1の排ガスは、用途が限定されていない点。
c 相違点2
排ガス浄化装置について、本件発明1は、「閉じた排ガス浄化装置」であるとさらに特定しているのに対して、これに対応する甲1発明1の「排煙脱硫装置」は、甲1の図14に示されたとおりのものである点。
d 相違点3
スクラバ流体について、本件発明1は、「水道水、淡水、または脱塩海水のスクラバ流体」であるとさらに特定しているのに対して、甲1発明1は、「第1次気液接触」及び「第2次気液接触」を行う部分において排ガス中の除塵及び硫黄酸化物の除去するために「工業用水」及び「吸収液」を使用している点。
e 相違点4
バッファ・タンクについて、本件発明1は、「前記排ガス導管から独立し、前記ガス・スクラバ(1)から前記汚染されたスクラバ流体が導かれるバッファ・タンク(6)」であるとさらに特定しているのに対して、これに対応する甲1発明1の「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間は、甲1の図14に示されたとおりのものである点。
f 相違点5
遠心分離機について、本件発明1は、「分離ディスク(13)の積層体を備えた分離スペース(12)の周りを取り囲むロータ(11)と、前記分離スペースの中に伸びる、汚染されたスクラバ流体のためのセパレータ入口(8)と、前記分離スペースから伸びる、浄化されたスクラバ流体のための第一のセパレータ出口(14)と、前記分離スペースから伸びる、汚染物質相のための第二のセパレータ出口(15)」とを有し、「汚染されたスクラバ流体を前記排ガス・スクラバから前記遠心分離機へ導くための手段」(以下、「汚染流体案内手段」という。)が、汚染されたスクラバ流体を「前記セパレータ入口」に導くための手段であり、「浄化されたスクラバ流体を遠心分離機から前記排ガス・スクラバへ導くための手段」(以下、「浄化流体案内手段」という。)が、浄化されたスクラバ流体を「第一のセパレータ出口」から前記排ガス・スクラバへ導くための手段であるとさらに特定しているのに対して、甲1発明1は、その具体的な構造が明らかでなく、「汚染流体案内手段」及び「浄化流体案内手段」との接続箇所も明らかでない点。
g 相違点6
ブリード・オフ遠心分離機について、本件発明1は、「ブリード・オフ・ディスク積層体遠心分離機(20,20’)」であるとさらに特定しているのに対して、甲1発明1は、その具体的な構造が明らかでない点。
h 相違点7
汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ・遠心分離機に抜き出すための手段について、本件発明1は、「前記汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離するように構成されている」としているのに対して、甲1発明1は、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを分離するように構成することについて明示していない点。
イ 相違点の検討
検討の末、当審は、相違点1~4に係る本件発明1の構成は個別にみても容易想到の事項とはいえない上、相違点5、6に係る同構成をさらに合わせた構成全体についても容易想到の事項とはいえないと判断する。
以下、相違点1から順に、その判断理由につき詳述する。
(ア) 相違点1について
a 甲2、甲35、甲36、甲37、甲38及び甲39の記載(前記1(2)ウ、キ、同(31)ア、イ、エ、同(32)ア~エ、同(33)ア、エ、カ、同(34)イ、オ、カ、同(35)ア~ウ参照)によれば、ディーゼル機関での排出ガス再循環(EGR)は、NOx低減技術の一つとして周知慣用の技術であり、また、このようなEGR技術を船舶用途のディーゼル・エンジンに適用されることや、EGRにおいて再循環される排出ガスをスクラバで浄化することも、本件特許に係る優先日前において既に当業者間にて周知のものであったといえる。
しかしながら、船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスの浄化に、ジェットバブリング反応槽を備えた排煙脱硫装置を使用することが、本件特許に係る優先日前において当業者にとって周知の事項であることを示す証拠はない。
加えて、甲1には、ジェットバブリング反応槽を備えた排煙脱硫装置で浄化する排ガスの発生源について明確な特定はなく、当該装置を船舶上に設置することをうかがわせる記載もない。
b これらの事項を併せ考えると、甲1発明1の「排煙脱硫装置60」を船舶上に設けて、船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスの浄化に使用すること(相違点1に係る本件発明1の構成を採用すること)は、当業者によって容易想到の事項といえない。
(イ) 相違点2について
a 前記相違点2に係る本件発明1における「閉じた排ガス浄化装置」は、前記第3の3(1)ア(イ)bで検討したとおり、排ガス浄化装置中のスクラバ流体浄化装置における、確立されたスクラバ流体ループを内含するものであって、このスクラバ流体ループは、複合循環経路(スクラバ流体が、「バッファ・タンク6」を介して、「排ガス・スクラバ1」と「遠心分離機9」との間を循環する経路)により構成され、常態的に、その系内にてスクラバ流体の循環が完結し、系内外への流入出のないものと解される。
b 前記aの点に照らして、甲1発明1における対応する部分について子細にみると、甲1発明1の「排煙脱硫装置60」は、確かに、前記1(1)イ、オのとおり、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間、「吸収液ポンプ40」、「第1吸収液ノズル(冷却液ノズル)36」、「第2吸収液ノズル(冷却液ノズル)38」、「第1液下降管62」、前記下部空間と循環する経路、及び、前記下部空間、「排出管44」、「排出ポンプ46」、「石膏スラリ管54」、「固液分離装置48」、「吸収剤供給管50」、前記下部空間と循環する経路を備えているから、スクラバ流体にあたる吸収液は、当該経路を循環しているということができる。しかしながら、当該経路にあっては、「工業用水ノズル42」からスクラバ流体にあたる工業用水が噴霧されているし、さらに、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間の吸収液は、「固液分離装置48」にて石膏が分離された後、その母液の一部が「排水管52」により排水処理装置に送られるように構成されていることから(【0006】~【0009】、【0032】)、常態的に系外からの流入経路と系外への流出経路が存するものであると理解するのが相当である。
そうすると、甲1発明1の「排煙脱硫装置60」は、前記aのように解される本件発明1の「閉じた排ガス浄化装置」には該当しないというほかないから、前記相違点2は実質的な相違点である。
c そこで、さらに前記相違点2に係る本件発明1の構成の容易想到性について検討を進めることとする。
甲1発明1は、前記bにおいて検討したとおり、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間の吸収液から石膏を分離した母液の一部を、常態的に系外の排水処理装置に送ることを前提とした技術であるといえる。
そして、甲1発明1は、前記1(1)ウによれば、従来の湿式排煙脱硫装置から送液される排煙脱硫排水を処理する排水処理設備において、その性能の劣化、低下が予想以上に進行することが問題になっているところ、当該排水処理装置の性能を低下させないような水質の排煙脱硫排水を排出できる排煙脱硫装置を提供することを課題としてなされたものであり、前記1(1)エ、キによれば、「第1液下降管62」から「抜き出しポンプ66」により、亜硫酸含有スラリ(亜硫酸イオンを高濃度で含有するスラリになった吸収液)を抜き出して、「固液分離装置71」で固液分離して亜硫酸含有液を得て、これを「排水管52」中の母液に注入して、母液中の硫黄過酸化物を無害なSO42-に転化することで上記課題を解決したものである。
これらの事項を併せ考慮すると、甲1発明1では、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間の吸収液(母液)を「排水管52」から排水処理装置に送らないことは想定されていないというべきであるから、甲1発明1において、常態的に系外への流出や系外からの流入が存在しない循環経路を構築することは、当業者といえども、容易に想到し得るものといえない。
d 以上のとおりであるから、前記相違点2は実質的な相違点である上、甲1発明1において、当該相違点2に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者にとって容易想到の事項ともいえない。
(ウ) 相違点3について
a 相違点の検討に先立って、あらかじめ本件発明1における「水道水、淡水、または脱塩海水のスクラバ流体」の意義について確認する。
本件特許明細書には、これに関連する事項として、次の記載を認めることができる。
・「このスクラバ流体は、水であっても良いが、他の適切な液体であることも可能である。水の一つの優位性は、硫黄酸化物を溶解するその能力である。排ガスを浄化するプロセスの中に最初から含まれるスクラバ流体、または、運転の間にプロセスに加えられるスクラバ流体は、好ましくは、水道水、淡水、または脱塩海水であって良い。スクラバ流体は、一つのアスペクトにおいて、海水と比べて低い、または、海水と比べて遥かに低い量の塩化物を有する水であることを意味している。水道水が、タンクから供給されることが可能であり、または、船上で海水の脱塩により作り出されることが可能である。しかしながら、スクラバ流体は、スクラバ・プロセスから含まれる塩分を含んでいても良い。」(【0030】)
・「また判明しているところによれば、ディスク積層体遠心分離機をスクラバ流体に適用することにより、汚染物質相の大部分が、濃縮された状態で、且つ化学薬品を添加することなく、取り除かれることが可能になる。それ故に、廃棄材料の体積が、低く維持されることも可能になる。」(【0015】)
そして、これらの記載によれば、本件発明1は、ディスク積層体遠心分離機をもってして、「スクラバ流体」に化学薬品を添加しないことを可能ならしめたものと考えるのが合理的であるから、本件発明1における「水道水、淡水、または脱塩海水のスクラバ流体」とは、化学薬品が添加されていない、水道水、淡水、又は脱塩海水からなるスクラバ流体と解するのが相当である。
b 前記aにおいて確認した「水道水、淡水、または脱塩海水のスクラバ流体」の意義を踏まえて、甲1発明1における対応する部分について子細にみてみる。
甲1発明1は、前記1(1)イ【0006】~【0008】によれば、「入口ダクト26」及び「排ガス入口室14」において、「工業用水ノズル42」から工業用水を、「第1吸収液ノズル(冷却液ノズル)36」及び「第2吸収液ノズル(冷却液ノズル)38」から吸収液をそれぞれ噴霧して、排ガス中の除塵及び硫黄酸化物の除去するための「第1次気液接触」を行い、その後、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間に収容された「吸収液層20」に対して、「排ガス分散管30」から排ガスを導入し、バブリングさせて、排ガス中の除塵及び硫黄酸化物の除去するための「第2次気液接触」を行うものであり、ここで使用される吸収液は、スクラバ流体として機能するものであるところ、この吸収液は、亜硫酸ガスと反応して石膏に固定化するための石灰石粉末が添加されたものである。
そうしてみると、甲1発明1において使用されるスクラバ流体としての吸収液は、化学薬品である石灰石粉末が添加されたものであるから、本件発明1の「水道水、淡水、または脱塩海水のスクラバ流体」には該当せず、前記相違点3は実質的な相違点である。
c そこで、さらに前記相違点3に係る本件発明1の構成の容易想到性について検討を進めることとする。
甲1発明1は、前記bのとおり、排ガス中の亜硫酸ガスを、吸収液中の石灰石粉末と反応させ石膏として固定化して除去するものであるから、このような石灰石粉末を含有する吸収液に代えて、工業用水のような石灰石粉末を含有しないものを使用することには、阻害要因があるといわざるをえない。
よって、甲1発明1において、スクラバ流体にあたる工業用水及び吸収液に代えて、「水道水、淡水、または脱塩海水のスクラバ流体」を使用することは、当業者が容易に想到し得るものではない。
d 以上のとおりであるから、前記相違点3は実質的な相違点である上、甲1発明1において、当該相違点3に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者にとって容易想到の事項ともいえない。
(エ) 相違点4について
a 本件発明1における「スクラバ流体浄化装置は、前記排ガス導管から独立し、前記ガス・スクラバ(1)から前記汚染されたスクラバ流体が導かれるバッファ・タンク(6)」は、前記第3の3(1)エ(イ)で検討したとおり、排ガス浄化装置におけるスクラバ流体浄化装置の前記複合循環経路において、スクラバ流体が排ガス・スクラバと遠心分離機との間を循環する際の中継点を構成するものであり、ガス・スクラバにおける排ガスの流れから独立して設けられたものである。そして、このバッファ・タンクは、当該排ガスの流れに作用して汚染されたスクラバ流体を、当該ガス・スクラバから導くものである。
これに対して、甲1発明1において、排ガスは、前記1(1)イ【0008】、【0009】、オ【0032】によれば、「入口ダクト26」から導入され、「排ガス入口室14」、「排ガス分散管30」、「連通管28」、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間の吸収液、「空間部22」、「排ガス出口室12」、「出口ダクト24」を通って系外に排出されている。ここで、「排ガス入口室14」、「排ガス分散管30」、「連通管28」、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間の吸収液、「空間部22」、「排ガス出口室12」は、「ジェットバブリング反応槽10」を構成する部分であるから、甲1発明1において、排ガスの流れは、「ジェットバブリング反応槽10」内にも存在していることが分かる。そうである以上、前記ア(ア)fにおいて、本件発明1の「バッファ・タンク」に相当するものと認定した、甲1発明1の「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間は、前記排ガスの流れとは独立したものであるということはできない。
したがって、前記相違点4は実質的な相違点である。
b そこで、さらに前記相違点4に係る本件発明1の構成の容易想到性について検討を進めることとする。
甲1発明1の「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間は、前記1(1)イ【0006】、【0008】によれば、亜硫酸ガスと反応して石膏に固定化する石灰石粉末のスラリを含む吸収液が収容されたものであり、さらに、この固定化に必要な酸素を供給するための酸素含有ガスを噴出する空気ノズルを備えた「空気供給管34」が設けられたものである。
同じく、甲1発明1の「排ガス分散管30」は、その下端部が前記吸収液に浸漬され、排ガスを吸収液の液面下に導入し、ジェット状に噴出させるためのものであり、これにより、排ガスと吸収液とを気液接触させて、前記酸素含有ガスによる同時酸化吸収による化学的及び/又は物理的吸収により、排ガス中の硫黄酸化物を除去している。
これらの事項を踏まえると、甲1発明1における「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間は、排ガスの流れと密接に作用して、排ガス中の硫黄酸化物の除去を行っているところ、この下部空間と排ガスの流れは、切り離して扱うことは妥当ではなく、これらは一体不可分の構成であると理解するのが相当である。
そうすると、甲1発明1において、甲1発明1の「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間を、排ガスの流れから独立させることは、当業者にとって容易想到の事項であるといえない。
d 以上のとおりであるから、前記相違点4は実質的な相違点である上、甲1発明において、当該相違点4に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者にとって容易想到の事項ともいえない。
(オ) 相違点5、6について
a ディスク積層体遠心分離機自体は、甲5、甲7~甲12、甲14、甲16、甲17、甲22~甲25の記載(前記1(5)~(14)、(19)~(22)参照)によれば、本件特許に係る優先日前において既に当業者間にて周知のものであるということができる。そして、その基本構成は、円すい台状の分離ディスクの積層体を備えた分離空間、分離空間を取り囲んでいるロータ、分離空間の中へ延びている被処理液入口、分離空間から延びている処理液出口、分離空間から延びているスラッジ排出口を備えるものであるから、上記周知のディスク積層体遠心分離機は、本件発明1において特定されているもの、すなわち、「分離ディスク(13)の積層体を備えた分離スペース(12)の周りを取り囲むロータ(11)と、前記分離スペースの中に伸びる」、「セパレータ入口(8)と、前記分離スペースから伸びる」、「第一のセパレータ出口(14)と、前記分離スペースから伸びる」、「第二のセパレータ出口(15)」とを有する「遠心分離機(6)」にほかならない。
b 加えて、このようなディスク積層体遠心分離機は、「非常に効率のよい機械」(前記1(5)ア)であって、「分離性能が高く、且つ保守が容易」(前記1(6)イ)であり、「高速回転により大きい遠心力が得られ、しかも積層した分離板が大きい沈降面積を有しているため、処理液中の微粒固形分を高精度で分離するのに適し」(前記1(9))ており、その用途も多岐にわたることが知られている。例えば、当該用途としては、船舶用ディーゼル・エンジンの燃料油及び潤滑油の清浄化(前記1(7)イ【0002】、同(8)ア【0003】、同(9))をはじめ、廃水・廃液処理(前記1(5)キ、同(10)ア「■主なる用途」項、同(11)イ、同(14)ウ)、洗滌液の清澄(前記1(12)イ「用途」項)、SS分除去(前記(13)「■主な用途」項)、船舶や発電等の分野において色々な種類の原料の抽出と清浄から最終廃棄物処理のプロセス(前記1(5)ア)などが挙げられる。
c しかしながら、前記ディスクスタック遠心分離機を、汚染されたスクラバ流体に適用した例は見当たらない。
そして、本件発明1においては、前記相違点2に係る「閉じた排ガス浄化装置」を基礎とすることにより、この循環系にて使用されるスクラバ流体の全体量を最小にするとともに、このように最小量であるがゆえ、船舶においても、水道水などの使用を可能にせしめた上で、前記相違点5、6に係るディスクスタック遠心分離機を用いることによって、従来の分離手段よりも点検修理の面や設置スペースの面において優れ、さらに、汚染されたスクラバ流体から濃縮された汚染物質相を分離し、廃棄材料の体積を低く維持できるという、本件特許明細書の【0010】、【0015】などに記載の有利な効果を発現するものであって、これらの構成を併せ持ってはじめて、船舶において、より一層、環境面に配慮した効率的なスクラビングを実現することができるものである。
そうである以上、前記相違点5、6に係るディスクスタック遠心分離機に係る本件発明1の構成は、これ単独でみるのではなく、前記相違点1~4に係る本件発明1の構成との組合せとして、その容易想到性を判断するのが相当であり、前記のような従来にはみられない有利な効果の存在からして、これらの構成は容易想到の事項とはいえないものと考えるのが妥当である。
ウ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張の概要
請求人は、上記相違点1、3、4に関して、概略、以下の点を主張している(弁駁書第1頁下から7行~第7頁第14行)。
a 相違点1に関して
船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスを浄化するための排ガス浄化装置は、本件特許に係る優先日前において周知慣用となっていた技術であるから、甲1発明1の「排煙脱硫装置」を船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガス処理に使用することは、当業者にとって容易想到の事項である。
b 相違点3に関して
甲2、甲4、甲36及び甲40の記載(前記1(2)ア、同(4)ア、オ、キ、ケ、同(32)ウ【0016】、同(36)エ、カ、ク参照)から、船舶用エンジンの排ガスの洗浄に使用するスクラバ流体は海水に限定されないこと、淡水域を航行する船舶であれば、河川水や湖水を取水できること、及び、エンジンへの吸気や排ガスの浄化あるいは冷却過程で淡水が生成され、生成された淡水を再循環できることから、甲1発明1のスクラバ流体として「淡水」を選択することは、単なる設計事項に過ぎない。
c 相違点4に関して
甲1発明1において、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間は、「入口ダクト26」及び「出口ダクト24」と別部材で構成されているから、相違点4は実質的なものでないし、仮に、相違点4が実質的なものであるとしても、甲1に記載された図10に記載された変形例を採用すれば、当該相違点は存在しない。
(イ) 請求人の主張についての検討
まず、前記(ア)aの主張について検討すると、前記イ(ア)で検討したとおり、ジェットバブリング反応槽を備えた排煙脱硫装置を船舶上に設置することを示唆する証拠もないし、当該装置を船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガスの浄化に使用することが周知技術であることを認めるに足りる証拠もないから、甲1発明1の「排煙脱硫装置」を、船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガス処理に使用することが容易想到の事項であるといえない。
次に、前記(ア)bの主張について検討すると、前記イ(ウ)で検討したとおり、甲1発明1では、排ガス中の亜硫酸ガスを吸収液の石灰石粉末と反応させて石膏固定化して除去するものであり、このような吸収液を使用しないことには阻害事由が存在するから、甲1発明1において、スクラバ流体として周知の「淡水」等を使用することを単なる設計的事項として扱うことはできない。
最後に、前記(ア)cの主張について検討すると、前記ア(ア)bで検討したとおり、甲1発明1の「入口ダクト26」及び「出口ダクト24」のみが、本件発明1の「排ガス導管」に相当するものでないし、また、前記イ(エ)で検討したとおり、甲1発明1における「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間は、ガスの流れと独立したものでないから、相違点4に係る本件発明1の構成を満たすものではない。加えて、甲1に記載された図10に記載された変形例についても、スプレー式吸収塔121の下端部は、排ガスの流れと独立したものでないから、相違点4に係る当該構成を満たすものではない。
したがって、請求人のこれらの主張はいずれも採用できない。
エ 小括
以上のとおりであるから、その余の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
(3) 本件発明2~4、6、7について
本件発明2~4、6、7は、本件発明1の全ての特定事項を含むものであるから、前記(2)で検討したのと同様の理由により、本件発明2~4、6、7は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
(4) 本件発明11について
ア 本件発明11と甲1発明2との対比
(ア) 本件発明11と甲1発明2とを対比すると、両者の相当関係は、前記(2)ア(ア)で検討したのと同様な関係に加えて、次のとおりに解することができる。
a 甲1発明2において、「第1液下降管62」では、前記1(1)オ【0032】、クによれば、「入口ダクト26」内の吸収液を吸収液層20(「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間)に流下させており、このことは、本件発明11の「排ガス・スクラバ(1)から」「バッファ・タンク」へ「汚染されたスクラバ流体を取り出」すことに相当する。
b 甲1発明2において、「排出管44」、「排出ポンプ46」及び「石膏スラリ管54」では、前記1(1)イ【0007】によれば、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間から吸収液を「固液分離装置48」に送っており、このことは、本件発明11の「汚染されたスクラバ流体を前記バッファ・タンクから遠心分離機に供給」することに相当する。
c 甲1発明2において、「固液分離装置48」では、前記1(1)イ【0008】、【0009】によれば、吸収液中の亜硫酸ガスが石灰石と反応して形成された石膏粒子を母液と分離しており、このことは、本件発明11の「前記汚染されたスクラバ流体から、汚染物質粒子を有する汚染物質相を分離し、それにより、浄化されたスクラバ流体を取り出」すことに相当する。
d 甲1発明2において、「吸収剤供給管50」では、前記1(1)イ【0007】によれば、石膏を分離した母液の一部を「固液分離装置48」から「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間に供給しており、このことは、本件発明11の「前記遠心分離機から前記バッファ・タンク」「に、浄化されたスクラバ流体を供給すること」に相当する。
e 甲1発明2において、「第1吸収液ノズル(冷却液ノズル)36」、「第2吸収液ノズル(冷却液ノズル)38」及び「吸収液ポンプ40」では、前記1(1)イ【0007】によれば、「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間より「入口ダクト26」に吸収液を送給しており、このことは、本件発明11の「前記バッファ・タンク」「から前記排ガス・スクラバに、浄化されたスクラバ流体を供給する」ことに相当する。
f 甲1発明2において、「抜き出し管68」、「抜き出しポンプ66」及び「送出管70」では、前記1(1)キ【0043】、【0054】によれば、「第1液下降管62」の管内に滞留する、石膏を含むと共に亜硫酸ガスを高濃度に溶解したスラリ(亜硫酸含有スラリ)を抜き出し、「固液分離手段71」に送っており、このことは、本件発明11の「汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ」「遠心分離機」「に抜き出」すことに相当する。
g 甲1発明2において、「固液分離手段71」では、前記1(1)キ【0043】、【0054】によれば、石膏を含むと共に亜硫酸ガスを高濃度に溶解したスラリ(亜硫酸含有スラリ)を固液分離しており、このことは、本件発明11の「汚染されたスクラバ流体から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離すること」に相当する。
h 甲1発明2において、「固液分離装置48」及び「固液分離手段71」を用いた固液分離処理することを含む「湿式排煙脱硫方法」は、前記a~gを踏まえると、本件発明11の「排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体を浄化するための方法」に相当する。
(イ) 以上の点に照らすと、本件発明11と甲1発明2との一致点及び相違点は、それぞれ、次のように認定することができる。
a 一致点
「排ガスに由来する汚染されたスクラバ流体を浄化するための方法であって、
- 排ガス・スクラバ(1)からバッファ・タンクへ、汚染されたスクラバ流体を取り出し、ここで、この汚染されたスクラバ流体は、汚染物質粒子を有し、汚染されたスクラバ流体を前記バッファ・タンクから遠心分離機に供給し、
- 遠心分離機の中で、前記汚染されたスクラバ流体から、汚染物質粒子を有する汚染物質相を分離し、それにより、浄化されたスクラバ流体を取り出し、
- 前記遠心分離機から前記バッファ・タンクに、浄化されたスクラバ流体を供給すること、
- 前記バッファ・タンクから前記排ガス・スクラバに、浄化されたスクラバ流体を供給すること、及び
汚染されたスクラバ流体の一部を、ブリード・オフ遠心分離機に抜き出し、抜き出された汚染されたスクラバ流体の一部から、少なくとも、汚染物質粒子を有する汚染物質相と浄化されたスクラバ流体とを、分離すること、
を特徴とする方法。」
b 相違点8
排ガスについて、本件発明11は、「船舶用ディーゼル・エンジンのEGRにおいて再循環される排ガス」であるとさらに特定しているのに対して、これに対応する甲1発明2の排ガスは、用途が限定されていない点。
c 相違点9
バッファ・タンクについて、本件発明11は、「排ガス導管(2)から独立したバッファ・タンク(6)」であるとさらに特定しているのに対して、これに対応する甲1発明2の「ジェットバブリング反応槽10」の下部空間は、甲1の図14に示されたとおりのものである点。
d 相違点10
汚染されたスクラバ流体について、本件発明11は、「水道水、淡水、または脱塩海水」であるとさらに特定しているのに対して、甲1発明2は、排ガス中の除塵及び硫黄酸化物の除去するために「工業用水」及び「吸収液」を使用している点。
e 相違点11
本件発明11では、「遠心分離機」及び「ブリード・オフ遠心分離機」として、「ディスク積層体遠心分離機」を使用しているのに対して、甲1発明2では、「固液分離装置48」及び「固液分離装置71」である「遠心分離機」の具体的な構造が明らかでない点。
イ 相違点の検討
相違点8~10については、前記(2)イ(ア)、(ウ),(エ)において既に検討した相違点1、3、4についてと状況は同じであるし、相違点11についても、前記(2)イ(オ)において既に検討した相違点5、6についてと事情に変わりはないから、いずれの相違点に係る本件発明11の構成についても、同様の理由により、当業者といえども、容易に想到し得るものといえない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件発明11は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
(5) 本件発明12について
本件発明12は、本件発明11の全ての特定事項を含むものであるから、前記(4)で検討したのと同様の理由により、本件発明12は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。
(6) 無効理由についての結論
以上のとおりであるから、本件発明1~4、6、7、11、12に係る特許に対する無効理由に理由はない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1~4、6、7、11、12に係る発明についての特許を無効とすることはできない。
また、本件特許の請求項8は、本件訂正により削除され存在しないから、その請求項についての審判の請求は、特許法第135条の規定により却下する。
そして、審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-800064