特許無効審判
2021-800028
LED照明装置
- 審判番号
- 2021-800028
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2017-042900
- 登録番号
- 6145236
- 請求日
- 2021年03月31日
- 審決日
- 2022年03月15日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニック 株式会社
- 【請求人代理人】新居 広守
- 【請求人代理人】道坂 伸一
- 【請求人代理人】小松 陽一郎
- 【請求人代理人】原 悠介
- 【請求人代理人】千葉 あすか
- 【請求人代理人】大山 丈二
- 【被請求人】アイリスオーヤマ 株式会社
- 【被請求人代理人】臼井 尚
- 【被請求人代理人】吉田 稔
- 【被請求人代理人】田中 達也
- 【被請求人代理人】鈴木 泰光
- 【被請求人代理人】鈴木 伸太郎
- 【被請求人代理人】小淵 景太
- 【被請求人代理人】齊藤 智和
- 【被請求人代理人】山田 威一郎
- 【被請求人代理人】松本 響子
- 審判長/審判官
- 審判長 一ノ瀬 覚
- 審判官 畔津 圭介
- 審判官 藤井 昇
- 分類
- P1113.113-Y (F21S) / P1113.121-Y (F21S)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第123条第1項第2号、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第29条第1項第3号、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6145236号発明「LED照明装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6145236号の請求項1~3に係る特許(以下「本件特許」という)についての出願(以下「本件特許出願」という。)は、平成22年3月8日(優先権主張 平成21年7月13日、平成21年7月13日 平成21年7月30日、平成21年7月30日、平成21年7月30日、平成21年7月30日、平成21年7月30日、平成21年7月30日、平成21年7月30日、平成21年9月17日、平成21年9月29日、平成21年12月4日、平成21年12月10日)を出願日とする特願2010-51082号(以下「親出願」という。)の一部を、平成26年4月10日に新たな特許出願とした特願2014-81073号(以下「子出願」という。)の一部を、平成27年9月14日に新たな特許出願とした特願2015-180567号(以下「孫出願」という。)の一部を平成29年3月7日に新たな特許出願としたものであって、同年5月19日にその特許権の設定登録がなされたものである。
そして、本件審判請求に係る手続の経緯は以下のとおりである。
令和 3年 3月31日付け 審判請求書、証拠説明書
同年 7月 8日付け 審判事件答弁書、証拠説明書
同年 8月17日付け 審理事項通知
同年 9月17日付け 口頭審理陳述要領書(請求人)
同年 9月17日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人)、証拠説 明書
同年 9月28日付け 審理事項通知
同年10月 4日付け 口頭審理陳述要領書(2)(請求人)
同年10月 4日付け 口頭審理陳述要領書(2)(被請求人)
同年10月12日 口頭審理、第1回口頭審理調書
同年10月25日付け 上申書(請求人)
同年10月26日付け 上申書(被請求人)
同年11月30日付け 審尋(被請求人へ)
同年12月17日付け 回答書(被請求人)
同年12月23日付け 審尋(請求人へ)
令和 4年 1月19日付け 回答書(請求人)
第2 本件発明
本件特許の請求項1~3に係る発明(以下「本件発明1~3」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
LEDユニットとマウント部とからなるLED照明装置であって、
前記LEDユニットは、
複数のLED発光部と、
前記複数のLED発光部が長手方向に沿って配列された長尺状の基板と、
断面コの字状であり、前記コの字状の底面部の外側に前記基板が設けられたベース部と、
前記基板および前記ベース部の前記底面部を覆う長尺状の透光カバーと、
を備えており、
前記マウント部は、長尺状の底板部、および前記底板部の短手方向両端から起立する2つの壁部からなる凹部を備え、
前記LEDユニットは、前記マウント部の前記凹部に着脱可能に取付けられる、LED照明装置。
【請求項2】
前記LEDユニットを前記マウント部に着脱可能に保持する弾性部材を備える、請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記マウント部は、金属板からなる、請求項1または2に記載のLED照明装置。」
第3 請求人の主張
請求人は、「特許第6145236号の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めており、審判請求書、令和3年9月17日付け口頭審理陳述要領書、同年10月4日付け口頭審理陳述要領書(2)、同年10月25日付け上申書及び令和4年1月19日付け回答書において主張する、本件特許出願の出願日の認定及び無効理由1、2は、次のとおりである。
1 本件特許出願の出願日
本件特許出願は、特願2010-51082号の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項を上位概念化等し、新たな技術的事項を導入するものであって、分割要件における実体的要件を充足しないから、不適法な分割出願である。
したがって、本件特許に係る出願について出願日の遡及は認めることができず、その出願日は、現実の出願日である平成29年3月7日である。
2 無効理由1
本件請求項1~3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3項に該当し、特許を受けることができない。
よって、本件請求項1~3に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。
3 無効理由2
本件請求項1~3に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、あるいは、甲第1号証に記載された発明及び甲第11号証ないし甲第12号証に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、本件請求項1~3に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。
そして、請求人は証拠方法として、審判請求書に添付して甲第1~12号証を提出した。
<証拠方法>
甲第1号証 :特開2011-142063号公報
甲第2号証 :特開2016-12570号公報
甲第3号証 :広辞苑(第四版),「ちゃく-だつ」,1657ページ, 奥付, 株式会社岩波書店,平成7年11月10日(第五 刷発行日)
甲第4号証 :特願2010-51082号(親出願)の願書に最初に添 付された明細書
甲第5号証 :特願2015-180567号(孫出願)の願書に最初 に添付された明細書
甲第6号証 :特願2015-243902号の願書に最初に添付された 特許請求の範囲
甲第7号証の1:特願2011-110601号の願書に最初に添付された 特許請求の範囲
甲第7号証の2:特願2011-110601号の願書に最初に添付された 明細書
甲第8号証 :特願2015-243902号の審査過程における平成2 8年9月27日付け拒絶理由通知書
甲第9号証の1:特願2015-243902号の審査過程における平成2 9年2月3日付け意見書
甲第9号証の2:特願2015-243902号の審査過程における平成2 9年2月3日付け手続補正書
甲第10号証 :広辞苑(第六版),「おび-じょう」,418ページ,奥 付,株式会社岩波書店,平成20年1月11日(第一刷発 行日)
甲第11号証 :“LEDベース照明/直付型シームレスタイプ”,ローム 株式会社,平成21年2月24日
甲第12号証 :“LEDベース照明[R-CK001]”,ローム株式会 社,平成21年7月10日
第4 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、」との審決を求めており、審判事件答弁書、令和3年9月17日付け口頭審理陳述要領書、同年10月4日付け口頭審理陳述要領書(2)、同年10月26日付け上申書及び同年12月17日付け回答書において、請求人の主張には何れも理由がない旨の主張をしている。
そして、被請求人は証拠方法として、審判事件答弁書に添付して乙第1号証を提出し、令和3年9月17日付け口頭審理陳述要領書に添付して乙第2~8号証を提出した。
<証拠方法>
乙第1号証:本件特許出願の審査過程における平成29年3月9日付け上申 書
乙第2号証:特開2001-351402号公報
乙第3号証:特開2007-12322号公報
乙第4号証:登録実用新案第3142652号公報
乙第5号証:特開2008-311188号公報
乙第6号証:特開2009-152170号公報
乙第7号証:特開2009-135026号公報
乙第8号証:特開2008-159453号公報
なお、以下において、甲第1号証を「甲1」と略記する。甲第2~12号証、乙第1~8号証も同様とする。
第5 甲各号証、乙各号証の記載
1 甲1
甲1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。
(1)特許請求の範囲
「【請求項1】
被取付け面に取り付けるLED照明装置であって、
複数のLEDチップが搭載されており、第1の方向に沿って延びる細長状のLEDユニットと、
少なくとも一部が上記被取付け面に設けられた開口よりも上記被取付け面奥方に位置し、かつ上記LEDユニットの少なくとも一部を収容する箱部を有する支持体と、
を備えることを特徴とする、LED照明装置。
【請求項2】
上記支持体は、上記箱部の外周につながっており、かつ上記被取付け面に係合する額縁部をさらに備える、請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
上記LEDユニットは、上記複数のLEDチップからの光を拡散させつつ透過させるカバーをさらに備えており、
上記カバーの少なくとも一部が、上記支持体から突出している、請求項1または2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
上記LEDユニットは、上記第1の方向と直交する方向に突出する凸部を有しており、
上記支持体は、上記凸部に係合することにより上記LEDユニットを保持するためのホルダを備えている、請求項2に記載のLED照明装置。
【請求項5】
上記ホルダは、金属板を折り曲げ加工することにより形成されており、かつ上記LEDモジュール側に突出するように折り曲げられた部分からなる係止部を有する、請求項4に記載のLED照明装置。
【請求項6】
上記ホルダは、上記支持体に対して回動可能に支持されており、かつ上記LEDユニットを固定する閉状態と上記LEDユニットが上記支持体から離脱することを許容する開状態とをとりうるワイヤホルダとして構成されている、請求項4に記載のLED照明装置。」
(2)発明の詳細な説明
「【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDユニットは、上記複数のLEDチップからの光を拡散させつつ透過させるカバーをさらに備えており、上記カバーの少なくとも一部が、上記支持体から突出している。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1および図2は、本発明の第1実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A1は、マウント1およびLEDユニット2によって構成されており、たとえば屋内の天井面に取り付けられた状態で、床面を照らす用途に用いられものであり、長さが1227mm程度、幅が120mm程度、高さが38mm程度とされている。
【0025】
マウント1は、本体10および複数のホルダ11を備えている。本体10は、x方向に延びる細長状であり、たとえばアルミ製である。本体10には、凹部10aが設けられている。凹部10aは、LEDユニット2を収容するためのものである。本体10は、凹部10aを挟んで連続するような曲率とされた曲面を有している。
【0026】
ホルダ11は、たとえば金属製のプレートに対して折り曲げ加工を施すことによって形成されており、1対の係止片11aおよび1対の可撓部11bを有している。図9に示すように、可撓部11bは、係止片11aを支える格好となっている。1対の可撓部11bは外力が与えられると、1対の係止片11aを互いに接近離間させる方向に弾性変形可能とされている。1対の係止片11aは、LEDユニット2に係合する部分であり、図9(a)において図中上方に向かうほど互いに距離が小となるように傾いている。本実施形態においては、複数のホルダ11が凹部10a内に設けられている。
・・・
【0030】
基板31は、x方向を長手方向、y方向を幅方向とする帯状であり、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる。本実施形態においては、基板31には、288個のLEDモジュール20が搭載されている。
・・・
【0034】
カバー4は、図3に示すようにx方向に延びる断面円弧状の帯状であり、LEDモジュール20からの光を拡散しつつ透過するたとえば乳白色の樹脂からなる。図4に示すように、カバー4の両端縁には、係止片41,42が形成されている。
・・・
【0044】
図10は、LED照明装置A1を組み立てる際に、LEDユニット2をマウント1に取り付ける様子を示している。本図によく表れているように、まず、たとえば天井に固定されたマウント1に対してLEDユニット2を下方から接近させる。そして、ホルダ11の1対の係止片11aの間にLEDユニット2を押し込む。すると、可撓部11bが若干撓むことにより、1対の係止片11aが互いにいったん離間する。しかる後に、図2に示すように、係止片11aが支持部材3の係止溝323と係合する。このように、LEDユニット2を容易に取り付けることができる。
【0045】
LEDユニット2を押し込むときには、カバー4が強い力で押されやすい。このときには、図8に示すように、係止片42が係止溝325のz方向奥方へと移動する。すると、傾斜面42bと凸片325bとが当接することとなる。これにより、係止片42には、y方向内方へと向かわせられる力が付与される。これにより、カバー4が強く押されても、カバー4が支持部材3から不当に外れてしまうことを防止することができる。
【0046】
図11は、LEDユニット2をマウント1から取りはずす様子を示している。本図によく表れているように、まず、断面コの字状の取り外し冶具Dを用意する。そして、取り外し冶具Dの両側縁をホルダ11の係止片11aに押し付ける。すると、可撓部11bが弾性変形し、1対の係止片11aどうしが離間する。この結果、係止片11aと係止溝323との係合状態が解除される。このように、LED照明装置A1は、マウント1からLEDユニット2を容易に取り外すことができる。
・・・
【0055】
図18および図19は、本発明の第3実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A3は、主にマウント1の構成が上述したLED照明装置A1と異なっているが、それ以外の構成はLED照明装置A1と同様であり、適宜説明を省略する。
【0056】
本実施形態においては、マウント1の本体10が、ベースプレート110およびウイング部120によって構成されている。ベースプレート110は、x方向を長手方向とし、y方向を幅方向とする細長の板状に形成されており、取り付け面110a、複数の膨出部111を備えている。ベースプレート110のy方向における両端縁は、剛性を確保するために、z方向下方に向けて折り曲げられている。取り付け面110aは、z方向に垂直な平坦な面であり、z方向上側に設けられている。複数の膨出部111は、z方向下方に突出するように形成された部分であり、x方向に沿って互いに離間するように配列されている。各膨出部111は、ウイング部120に当接している。
【0057】
ウイング部120は、底板部121、2つの壁部122、および2つの弓状部123を有しており、不透明なたとえば樹脂あるいはアルミからなる。底板部121は、ベースプレート110に対して平行である。2つの壁部122は、底板部121のy方向両端からz方向に起立している。底板部121および2つの壁部122は、LEDユニット2を収容するための凹部10aを構成している。2つの弓状部123は、2つの壁部122のz方向下端から延びており、凹部10aを挟んで配置されている。2の弓状部123は、その包絡線が弓状をなす形状とされている。ベースプレート110とウイング部120とは、たとえば図示しないネジによって互いに結合されている。
・・・
【0148】
図54には、LED照明装置A9のカバー4の拡大断面図を示している。本図に示すカバー4は、中央部43がその周囲よりも厚くなるように形成されているが、その他の構成はLED照明装置A1~A8におけるカバー4と同様となっている。LED照明装置A1におけるカバー4の説明にあるように、カバー4は、LEDモジュール20からの光を拡散しつつ透過するたとえば乳白色の樹脂からなる拡散カバーである。中央部43は、LEDチップ22のz方向真下を中心とし、y方向に一定幅を有する領域である。中央部43のy方向における幅は、LEDモジュール20のy方向における幅よりも長くなるように形成されている。中央部43は、本発明で言う強拡散部の一例に相当する。
・・・
【0177】
このように、LEDユニット2の交換が必要な程度にLEDチップ22の特性が変化すると、報知用LEDチップ20bが点灯する。これにより、使用者はLEDユニット2の交換が必要になったことを容易に知ることができる。したがって、LED照明装置A11では、適切な時期にLEDユニット2を交換可能となっており、常時見栄えのよい照明を提供することができる。
・・・
【0245】
図103~図106は、本発明の第21実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A21は、被取付け面である天井などの壁面Wに設けられた開口Wよりも奥方にその大部分が埋め込まれる構成である点が、上述した実施形態と異なっている。LED照明装置A21は、マウント1およびLEDユニット2を備えている。
【0246】
LEDユニット2は、図3および図4に示すLEDユニット2とほぼ同一の構成とされており、全体として細長状とされている。
【0247】
マウント1は、箱部15aおよび額縁部15bからなり、たとえば厚さ0.8mm程度の鋼板を折り曲げ加工することによって形成されている。箱部15aは、細長直方形状とされており、たとえば幅が50mm程度、深さが29mm程度、長さが1230mm程度とされており、長さ1227mm程度のLEDユニット2のほとんどを収容している。より具体的には、図105および図106に示すように、本実施形態においては、LEDユニット2の高さが32mm程度であるため、LEDユニット2のカバー4が高さ方向で3mm程度箱部15a(マウント1)から突出している。箱部15aの幅および長さは、壁面Wの開口Waに嵌まり込む大きさとされている。
【0248】
額縁部15bは、箱部15aの周縁につながっており、全体として細長長方形の枠状である。図105および図106に示すように、額縁部15bは、箱部15aの端部に対して直角に、すなわち壁面Wに平行な、幅8mm強程度の部分と、この部分から壁面Wに向かって7mm程度延びる部分とによって構成されている。これにより、額縁部15bは、壁面Wの開口Waよりも若干大きいサイズとされており、壁面Wに係合している。
【0249】
LEDユニット2のマウント1への固定は、ホルダ11によってなされている。ホルダ11は、図38~図41に示した構成と類似の構成とされている。本実施形態においては、ホルダ11は、金属プレートを折り曲げ加工することによって形成されており、係止部11dおよび可撓部11bを有する。係止部11dは、金属板がLEDユニット2側に突出するように折り曲げられた部分であり、LEDユニット2のブラケット32のアウター部322の凸部326に係合する。可撓部11bは、係止部11dよりも根元側に位置しており、弾性変形することにより、係止部11dがアウター部322に係合する状態と離間する状態とをとることを許容する。なお、図107に示すように、ホルダ11としては、図38~41に示した構成と同一のものを採用してもよい。
【0250】
また、本実施形態においては、LEDユニット2を固定するために、ワイヤホルダ161が設けられている。ワイヤホルダ161は、ワイヤを折り曲げ加工することによって形成されており、マウント1に形成された2つの係合部15cにおいて、マウント1に対して回動可能に支持されている。図106に示すように、ワイヤホルダ161は、LEDユニット4のカバー4に沿って湾曲する部分、LEDユニット2のブラケット32のアウター部322に係合する屈曲部分を有している。
【0251】
図103および図104に示すように、LEDユニット2をマウント1に固定する場合、ワイヤホルダ161を閉状態とする。一方LEDユニット2をマウント1に対して脱着する場合、ワイヤホルダ161を回動させることにより開状態とする。図104に示すように、ワイヤホルダ161は、開状態であっても依然としてLEDユニット2の下方に位置している。
【0252】
次に、LED照明装置A21の作用について説明する。
【0253】
LED照明装置A21は、そのほとんどが壁面Wの奥方に位置している。このため、壁面Wから飛び出している部分をより小さくすることが可能である。これにより、壁面W全体をフラットな面に近い状態とすることが可能であり、室内がスマートであるという印象を与えることができる。
【0254】
箱部15aにLEDユニット2を収容することにより、LEDユニット2を壁面Wの奥方に配置するとともに、LEDユニット2を所望の位置に固定することができる。ホルダ11は、LEDユニット2をマウント1に対して簡単な作業で取り付けることを可能としている。また、ホルダワイヤ161は、LEDユニット2の脱着を容易に行うのに都合がよい。一方、ホルダワイヤ161は、ワイヤからなる細い部材であるため、LEDユニット2からの光を不当に遮り過ぎるおそれが少ない。
【0255】
マウント1よりもLEDユニット2の一部であるカバー4が突出していることにより、カバー4を透過した光がマウント1によって遮られてしまうことを抑制できる。これは、LED照明装置A21によって、より広い範囲を照らすのに好適である。
・・・
【符号の説明】
【0268】
・・・
4 カバー
・・・」
(3)図面
【図2】
[図:0001394727000001.jpg]
【図10】
[図:0001394727000002.jpg]
【図11】
[図:0001394727000003.jpg]
【図18】
[図:0001394727000004.jpg]
【図19】
[図:0001394727000005.jpg]
【図105】
[図:0001394727000006.jpg]
【図106】
[図:0001394727000007.jpg]
2 甲3
甲3には、以下の事項が記載されている。
「【着脱】身に着けたり脱いだりすること。その部分に着けたり、はずしたりすること。」
3 甲4
甲4には、以下の事項が記載されている。
「【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDユニットは、上記複数のLEDチップからの光を拡散させつつ透過させるカバーをさらに備えており、上記カバーの少なくとも一部が、上記支持体から突出している。
・・・
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1および図2は、本発明の第1実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A1は、マウント1およびLEDユニット2によって構成されており、たとえば屋内の天井面に取り付けられた状態で、床面を照らす用途に用いられものであり、長さが1227mm程度、幅が120mm程度、高さが38mm程度とされている。
【0025】
マウント1は、本体10および複数のホルダ11を備えている。本体10は、x方向に延びる細長状であり、たとえばアルミ製である。本体10には、凹部10aが設けられている。凹部10aは、LEDユニット2を収容するためのものである。本体10は、凹部10aを挟んで連続するような曲率とされた曲面を有している。
【0026】
ホルダ11は、たとえば金属製のプレートに対して折り曲げ加工を施すことによって形成されており、1対の係止片11aおよび1対の可撓部11bを有している。図9に示すように、可撓部11bは、係止片11aを支える格好となっている。1対の可撓部11bは外力が与えられると、1対の係止片11aを互いに接近離間させる方向に弾性変形可能とされている。1対の係止片11aは、LEDユニット2に係合する部分であり、図9(a)において図中上方に向かうほど互いに距離が小となるように傾いている。本実施形態においては、複数のホルダ11が凹部10a内に設けられている。
・・・
【0030】
基板31は、x方向を長手方向、y方向を幅方向とする帯状であり、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる。本実施形態においては、基板31には、288個のLEDモジュール20が搭載されている。
・・・
【0034】
カバー4は、図3に示すようにx方向に延びる断面円弧状の帯状であり、LEDモジュール20からの光を拡散しつつ透過するたとえば乳白色の樹脂からなる。図4に示すように、カバー4の両端縁には、係止片41,42が形成されている。
・・・
【0044】
図10は、LED照明装置A1を組み立てる際に、LEDユニット2をマウント1に取り付ける様子を示している。本図によく表れているように、まず、たとえば天井に固定されたマウント1に対してLEDユニット2を下方から接近させる。そして、ホルダ11の1対の係止片11aの間にLEDユニット2を押し込む。すると、可撓部11bが若干撓むことにより、1対の係止片11aが互いにいったん離間する。しかる後に、図2に示すように、係止片11aが支持部材3の係止溝323と係合する。このように、LEDユニット2を容易に取り付けることができる。
【0045】
LEDユニット2を押し込むときには、カバー4が強い力で押されやすい。このときには、図8に示すように、係止片42が係止溝325のz方向奥方へと移動する。すると、傾斜面42bと凸片325bとが当接することとなる。これにより、係止片42には、y方向内方へと向かわせられる力が付与される。これにより、カバー4が強く押されても、カバー4が支持部材3から不当に外れてしまうことを防止することができる。
【0046】
図11は、LEDユニット2をマウント1から取りはずす様子を示している。本図によく表れているように、まず、断面コの字状の取り外し冶具Dを用意する。そして、取り外し冶具Dの両側縁をホルダ11の係止片11aに押し付ける。すると、可撓部11bが弾性変形し、1対の係止片11aどうしが離間する。この結果、係止片11aと係止溝323との係合状態が解除される。このように、LED照明装置A1は、マウント1からLEDユニット2を容易に取り外すことができる。
・・・
【0055】
図18および図19は、本発明の第3実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A3は、主にマウント1の構成が上述したLED照明装置A1と異なっているが、それ以外の構成はLED照明装置A1と同様であり、適宜説明を省略する。
【0056】
本実施形態においては、マウント1の本体10が、ベースプレート110およびウイング部120によって構成されている。ベースプレート110は、x方向を長手方向とし、y方向を幅方向とする細長の板状に形成されており、取り付け面110a、複数の膨出部111を備えている。ベースプレート110のy方向における両端縁は、剛性を確保するために、z方向下方に向けて折り曲げられている。取り付け面110aは、z方向に垂直な平坦な面であり、z方向上側に設けられている。複数の膨出部111は、z方向下方に突出するように形成された部分であり、x方向に沿って互いに離間するように配列されている。各膨出部111は、ウイング部120に当接している。
【0057】
ウイング部120は、底板部121、2つの壁部122、および2つの弓状部123を有しており、不透明なたとえば樹脂あるいはアルミからなる。底板部121は、ベースプレート110に対して平行である。2つの壁部122は、底板部121のy方向両端からz方向に起立している。底板部121および2つの壁部122は、LEDユニット2を収容するための凹部10aを構成している。2つの弓状部123は、2つの壁部122のz方向下端から延びており、凹部10aを挟んで配置されている。2の弓状部123は、その包絡線が弓状をなす形状とされている。ベースプレート110とウイング部120とは、たとえば図示しないネジによって互いに結合されている。
・・・
【0148】
図54には、LED照明装置A9のカバー4の拡大断面図を示している。本図に示すカバー4は、中央部43がその周囲よりも厚くなるように形成されているが、その他の構成はLED照明装置A1~A8におけるカバー4と同様となっている。LED照明装置A1におけるカバー4の説明にあるように、カバー4は、LEDモジュール20からの光を拡散しつつ透過するたとえば乳白色の樹脂からなる拡散カバーである。中央部43は、LEDチップ22のz方向真下を中心とし、y方向に一定幅を有する領域である。中央部43のy方向における幅は、LEDモジュール20のy方向における幅よりも長くなるように形成されている。中央部43は、本発明で言う強拡散部の一例に相当する。
・・・
【0177】
このように、LEDユニット2の交換が必要な程度にLEDチップ22の特性が変化すると、報知用LEDチップ20bが点灯する。これにより、使用者はLEDユニット2の交換が必要になったことを容易に知ることができる。したがって、LED照明装置A11では、適切な時期にLEDユニット2を交換可能となっており、常時見栄えのよい照明を提供することができる。
・・・
【0245】
図103~図106は、本発明の第21実施形態に基づくLED照明装置を示している。本実施形態のLED照明装置A21は、被取付け面である天井などの壁面Wに設けられた開口Wよりも奥方にその大部分が埋め込まれる構成である点が、上述した実施形態と異なっている。LED照明装置A21は、マウント1およびLEDユニット2を備えている。
【0246】
LEDユニット2は、図3および図4に示すLEDユニット2とほぼ同一の構成とされており、全体として細長状とされている。
【0247】
マウント1は、箱部15aおよび額縁部15bからなり、たとえば厚さ0.8mm程度の鋼板を折り曲げ加工することによって形成されている。箱部15aは、細長直方形状とされており、たとえば幅が50mm程度、深さが29mm程度、長さが1230mm程度とされており、長さ1227mm程度のLEDユニット2のほとんどを収容している。より具体的には、図105および図106に示すように、本実施形態においては、LEDユニット2の高さが32mm程度であるため、LEDユニット2のカバー4が高さ方向で3mm程度箱部15a(マウント1)から突出している。箱部15aの幅および長さは、壁面Wの開口Waに嵌まり込む大きさとされている。
【0248】
額縁部15bは、箱部15aの周縁につながっており、全体として細長長方形の枠状である。図105および図106に示すように、額縁部15bは、箱部15aの端部に対して直角に、すなわち壁面Wに平行な、幅8mm強程度の部分と、この部分から壁面Wに向かって7mm程度延びる部分とによって構成されている。これにより、額縁部15bは、壁面Wの開口Waよりも若干大きいサイズとされており、壁面Wに係合している。
【0249】
LEDユニット2のマウント1への固定は、ホルダ11によってなされている。ホルダ11は、図38~図41に示した構成と類似の構成とされている。本実施形態においては、ホルダ11は、金属プレートを折り曲げ加工することによって形成されており、係止部11dおよび可撓部11bを有する。係止部11dは、金属板がLEDユニット2側に突出するように折り曲げられた部分であり、LEDユニット2のブラケット32のアウター部322の凸部326に係合する。可撓部11bは、係止部11dよりも根元側に位置しており、弾性変形することにより、係止部11dがアウター部322に係合する状態と離間する状態とをとることを許容する。なお、図107に示すように、ホルダ11としては、図38~41に示した構成と同一のものを採用してもよい。
【0250】
また、本実施形態においては、LEDユニット2を固定するために、ワイヤホルダ161が設けられている。ワイヤホルダ161は、ワイヤを折り曲げ加工することによって形成されており、マウント1に形成された2つの係合部15cにおいて、マウント1に対して回動可能に支持されている。図106に示すように、ワイヤホルダ161は、LEDユニット4のカバー4に沿って湾曲する部分、LEDユニット2のブラケット32のアウター部322に係合する屈曲部分を有している。
【0251】
図103および図104に示すように、LEDユニット2をマウント1に固定する場合、ワイヤホルダ161を閉状態とする。一方LEDユニット2をマウント1に対して脱着する場合、ワイヤホルダ161を回動させることにより開状態とする。図104に示すように、ワイヤホルダ161は、開状態であっても依然としてLEDユニット2の下方に位置している。
【0252】
次に、LED照明装置A21の作用について説明する。
【0253】
LED照明装置A21は、そのほとんどが壁面Wの奥方に位置している。このため、壁面Wから飛び出している部分をより小さくすることが可能である。これにより、壁面W全体をフラットな面に近い状態とすることが可能であり、室内がスマートであるという印象を与えることができる。
【0254】
箱部15aにLEDユニット2を収容することにより、LEDユニット2を壁面Wの奥方に配置するとともに、LEDユニット2を所望の位置に固定することができる。ホルダ11は、LEDユニット2をマウント1に対して簡単な作業で取り付けることを可能としている。また、ホルダワイヤ161は、LEDユニット2の脱着を容易に行うのに都合がよい。一方、ホルダワイヤ161は、ワイヤからなる細い部材であるため、LEDユニット2からの光を不当に遮り過ぎるおそれが少ない。
【0255】
マウント1よりもLEDユニット2の一部であるカバー4が突出していることにより、カバー4を透過した光がマウント1によって遮られてしまうことを抑制できる。これは、LED照明装置A21によって、より広い範囲を照らすのに好適である。
・・・
【符号の説明】
【0268】
・・・
4 カバー
・・・」
4 甲6
甲6には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】
第1の面と第2の面とを備えた矩形の基板と、
前記基板の前記第1の面上に長手方向に沿って配列された複数のLED発光部と、
前記基板の前記第2の面側に前記複数のLED発光部に電気的に接続されて配置された制御回路部と、
前記長手方向に伸長し且つ前記基板の前記第1の面と対向して配置されて前記複数のLED発光部を覆う第1カバー部と、前記第1カバー部と接続されて前記長手方向と直交する短手方向に伸長し且つ前記第1カバー部の前記長手方向両端において前記第1カバー部と共に前記LED発光部を覆う第2カバー部と、を備えて前記LED発光部から発せられる光を透過させる透光カバーと、
前記基板の前記第2の面と傾斜角をなす第3の面を備えるとともに前記長手方向と垂直である短手方向に離間し且つ前記長手方向に延びる二辺に沿って各々が延びる一対の側部を備え、前記側部により前記制御回路部の少なくとも一部を覆って形成された支持体と、
を有し、
前記支持体は前記LED発光部から発射される光が透過されない材料にて形成されていることを特徴とする、LED照明装置。」(第1ページ第2~17行)
5 甲9の1
甲9の1には、以下の事項が記載されている。
「(i)新請求項1:旧請求項1において『制御回路部』、『第1カバー部』、『第2カバー部』、『支持体』とあった語句を、それぞれ『電力変換部』、『拡散カバー』、『エンドキャップ』、『ウイング部』との語句に改めました。また、『透光カバー』、『前記支持体は前記LED発光部から発射される光が透過されない材料にて形成されている』との記載は削除いたしました。」(第2ページ第27~31行)
6 甲9の2
甲9の2には、以下の事項が記載されている。
「 【請求項1】
第1の面と第2の面とを備えた矩形の基板と、
前記基板の前記第1の面上に長手方向に沿って配列された複数のLED発光部と、
前記基板の前記第2の面側に前記複数のLED発光部に電気的に接続されて配置された電力変換部と、
前記長手方向に伸長し且つ前記基板の前記第1の面と対向して配置されて前記複数のLED発光部を覆う拡散カバーと、
前記拡散カバーと接続されて前記長手方向と直交する短手方向に伸長し且つ前記拡散カバーの前記長手方向両端において前記拡散カバーと共に前記LED発光部を覆う前記LED発光部から発せられた光を透過させるエンドキャップと、
前記基板の前記第2の面と傾斜角をなす第3の面を備えるとともに前記長手方向と垂直である短手方向に離間し且つ前記長手方向に延びる二辺に沿って各々が延びる一対の側部を備え、前記側部により前記電力変換部の少なくとも一部を覆って形成されたウイング部と、
を有することを特徴とする、LED照明装置。」(第1ページ第20~34行)
7 甲10
甲10には、以下の事項が記載されている。
「【帯状】帯を広げたような形状であるさま。ある幅をもって長くのびているさま。」
8 乙2
乙2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の一形態を図1ないし図6を参照して詳細に説明する。図において1は蛍光灯型LED照明装置を示すもので、2は透明なプラスチックで形成された円筒パイプで、この円筒パイプ2の内側に支持板3が水平に取付けられている。この支持板3の両端にはそれぞれ2本の端子4、4が接続され、この端子4、4の先端は、前記円筒パイプ2の端部を塞ぐベースキャップ5から外側に突設している。この全体の長さは、蛍光管のワット数に応じた規定の長さに設定されている。
・・・
【0025】なお上記説明では支持板3を収納する透明なパイプとしてプラスチック製の円筒パイプを用いた場合について示したが、図11に示すように角パイプ22を用いても良い。またパイプは透明に限らずで半透明でも良く、またプラスチックパイプに限らずガラスパイプを用いても良い。」
【図3】
[図:0001394727000008.jpg]
9 乙3
乙3には、以下の事項が記載されている。
「【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はLED式照明装置1の正面図、図2はその側面図を示し、図3はその底面図を示している。このLED式照明装置1は、基本的には、既存の蛍光灯器具30のソケット部31,32に装着して使用可能に構成され、透明円筒パイプ2内に、多数のLED(白色発光ダイオード)10を装着した長尺のLED基板11を、長手方向にそって取り付け、透明円筒パイプ2の両端に、端部パイプ3,4を介して端子部7,8を取り付けて構成される。
【0015】
透明円筒パイプ2は、透明或は半透明若しくは透光性を有したポリカーボネート樹脂などにより円筒パイプ状に形成され、両端には端部パイプ3,4が回転可能に嵌め込まれている。パイプを相互に回転可能とするために、図4~図6に示すように、透明円筒パイプ2の両端部には、先端に金属ボールを設けたプランジャ9が、ラジアル方向に穿設した孔に、その先端の金属ボールを内側に突き出すように嵌め込まれている。プランジャ9は、先端を絞った形状の円筒ケース内に金属ボールをコイルばねにより付勢して挿入し、ケース先端から露出した金属ボールを回転可能に保持する構造である。」
10 乙4
乙4には、以下の事項が記載されている。
「【0018】
エンドキャップ10の右側には、LED54が複数列設された基板55、及び図示はしていないが背面側のヒートシンク等が組み合わされ、基板55の前面には横断面略半円形状の透明又は半透明のカバー56が合体されてLED蛍光灯が完成する。
本考案においては、このLED蛍光灯の両端部の端子構造が特徴部分であり、その端部のピン端子12、12を通常の蛍光灯と比較すると略2倍程度の長さに形成し、図1及び図2に図示した形態においては、略19mm程度としている。」
11 乙5
乙5には、以下の事項が記載されている。
「【0023】
図1及び図2において、図示のLEDランプ2は、中空円筒状の細長いランプ本体4を備え、このランプ本体4内に複数のLED6(発光ダイオード)がその長手方向(図1において左右方向、図2において紙面に垂直な方向)に間隔をおいて配設されている。ランプ本体4は透明乃至半透明の材料、例えば透明の合成樹脂、ガラスなどから形成される。このランプ本体4の両端部には端子部8が装着され、これら端子部8は蛍光灯ソケット(図示せず)に着脱自在に取り付けられ、このLEDランプ2は従来の蛍光灯器具における直管タイプの蛍光灯ランプに代えて用いられる。」
12 乙6
乙6には、以下の事項が記載されている。
「【0025】
請求項5の発明で、カバーは、透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明合成樹脂、又は透明なガラス等の透光性を有する材料で形成できるが、乳白色等の拡散透光性材料で構成してもよい。更に、カバーは、発光素子から発した光の配光を制御するための機能がなくても良いとともに、この配光制御機能を発揮する構成を少なくとも一部に有して形成されたものであってもよい。
・・・
【0039】
符号10は第1実施形態の照明装置である防犯灯を示している。この防犯灯10は、複数の発光素子11及び反射部材例えば反射体14を備えた複数の光源モジュール例えば光源体12、発光素子11からの光が透過する透光性のカバー例えば制光体13、各光源体12を支持する取付け板17、制光体13及び取付け板17を支持する器具本体15、器具本体15を支持する支持部材16を具備している。
・・・
【0049】
制光体13の内面には、プリズム13bを一体に形成する。プリズム13bは、光源体12の各LED11の配列方向に略直交する方向、換言すれば、光源体12の中心線xxに略直交する方向に稜線が連続するように形成する(図3(a))。この稜線は、カバー部材である制光体13を器具本体15に被せ、器具本体15を支柱P等に設置した場合、水平方向に略沿った方向に位置する。
・・・
【0069】
以上、本実施形態において、制光体13のプリズム13bの頂角を約90°に形成したが、光源体12との位置関係によって、その頂角の角度等を適宜選択し、より目的に近い広範囲の配光を得るように構成してもよい。また、プリズム13bは、制光体13の長手方向に沿う全面に形成したが、図7(a)に示すように、光源体12に対応する部分にのみ形成するようにしてもよい。この場合プリズムを形成しない部分は透明または光拡散処理を施した半透明の状態になるように構成する。」
13 乙7
乙7には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0021】
図1は本発明の実施の形態に係るLED照明器具の正面図である。口金11に絶縁部12を介して放熱部13を形成し、放熱部13に光源部10を形成するLEDモジュール14を配置する。そして、放熱部13または口金11の空洞内に図示省略の点灯回路を装着し、点灯回路をLEDモジュール14と口金11とに電気的に接続する。このように形成されたLED照明器具本体のLEDモジュール14を包み込んで絶縁性の透明部材15でモールドされる。
・・・
【0036】
図8は本発明の実施の形態に係るLED照明器具の透明部材のさらに別の他の一例を示す平面図である。この一例は、図4に示した一例に対し、透明部材15の表面部位に凹凸18を施したものである。これにより、LEDからの光が拡散され、フロスト処理を施すことなく、LEDの光の問題点の一つであるグレアを簡便に低減できる。また、透明部材15の表面部位に凹凸18を施すことで、完成したLED照明器具のグローブに相当する透明部材15の表面に凹凸の模様が刻まれることとなり、優れたデザイン性を発揮できる。」
【図1】
[図:0001394727000009.jpg]
14 乙8
乙8には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0039】
光源カバー21は例えば全体が透明ガラス等の透光性材料により略半球状に形成されている。光源カバー21は、その開口縁部21aをカバー取付け溝2aに嵌めた状態を接着剤22により保持して外郭部材2に装着されている。光源カバー21は光源装置11を覆っており、この光源カバー21の高さ方向の中間位置に対応して導光体17の出射面19が位置されている。なお、図1中に描いた二点鎖線を基準に図1中上側の閉じられたカバー部位のみを透明とし、同下側の開口されたカバー部位は、フロスティング加工を施してすりガラス状とすることも、或いは内面に反射膜を設けてリフレクタとして機能するようにしてもよい。」
【図1】
[図:0001394727000010.jpg]
第6 当審の判断
1 本件特許出願の出願日について
(1)本件特許出願の分割要件違反に係る事項
請求人が主張する本件特許出願の分割要件違反に係る事項は、第1回審理事項通知で整理した以下のとおりのものであり、請求人に異論はない(令和3年9月17日付け口頭審理陳述要領書(請求人)第7ページ))。
・本件特許請求項1に記載の「着脱可能に」との事項
・本件特許請求項1に記載の「透光カバー」との事項
・本件特許請求項2に記載の「弾性部材」との事項
・本件特許請求項1に記載の「長尺状基板」、「長尺状の透光カバー」及び「長尺状の底板部」における「長尺状」との事項
(2)親出願の当初明細書等の記載
親出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「親出願の当初明細書等」といい、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を単に「当初明細書等」という。)には、上記「第5」の「1」及び「3」に記載した事項が記載されている。なお、「第5 3」の記載は「第5 1(2)発明の詳細な説明」の記載と同じである。
ここで、親出願、子出願、孫出願の当初の明細書及び図面の記載(以下「親出願等の当初の記載」という。)、子出願及び孫出願の分割時の明細書及び図面の記載(以下「子出願等の分割時の記載」という。)、及び、本件特許出願の明細書及び図面の記載に関し、本件特許出願の明細書及び図面の記載は親出願等の当初の記載及び子出願等の分割時の記載に対して新たな技術的事項を追加したものではないということについて、請求人及び被請求人の当事者間に争いはない。
そこで、本件特許出願の請求項1及び2に記載された上記(1)の各事項が、親出願の当初明細書等に対して新たな技術的事項を追加するものとなるか否かについて、以下検討する。
(3)親出願の当初明細書等に記載された課題について
ア 親出願の当初明細書等の段落【0044】には「・・・LEDユニット2を容易に取り付けることができる。」、段落【0046】には「・・・LEDユニット2を容易に取り外すことができる」と記載され、また、段落【0177】には「LEDユニット2の交換が必要な程度にLEDチップ22の特性が変化すると、報知用LEDチップ20bが点灯する。これにより、使用者はLEDユニット2の交換が必要になったことを容易に知ることができる。したがって、LED照明装置A11では、適切な時期にLEDユニット2を交換可能となっており、常時見栄えのよい照明を提供することができる。」と記載されている。これらの記載から、親出願の当初明細書等には、LEDチップ22の特性が変化したときなどにLEDユニット2を交換可能とすべきことが課題(以下「親出願の当初明細書等に記載された課題」という。)として記載されているといえる。
イ この点に関して、請求人は、「被請求人は、被請求人の主張する『課題2』(長時間にわたる使用により部品が劣化したりした際に容易に対応できること)について、親出願の当初明細書の段落【0173】、【0176】、【0177】を引用している。しかしながら、親出願の【発明が解決しようとする課題】の欄の段落【0010】には『課題2』が記載されておらず、【発明の効果】の記載もなく、また、合議体が引用する第21実施形態や第23実施形態との関連性もない。」(令和4年1月19日付け回答書第3ページ下から第6行~最終行)と主張している。
しかしながら、通常、発明の課題の認定に当たっては、明細書の【発明が解決しようとする課題】欄、【発明の効果】欄の記載のみにとらわれることなく、明細書及び図面の全ての記載事項に加え、出願時の技術常識を考慮して課題を把握すべきである。そして、親出願の明細書の全ての記載事項を考慮すると、アで述べたとおりの親出願の当初明細書等に記載された課題が記載されているといえるから、請求人の上記主張は採用できない。
(4)本件特許請求項1に記載の「着脱可能に」との事項について
ア 判断
(ア)まず、本件特許請求項1に記載の「着脱」の意義について検討する。
本件特許の請求項1には「前記LEDユニットは、前記マウント部の前記凹部に着脱可能に取付けられる」と記載されているところ、「LEDユニット」を「凹部」に取付けるための具体的構成は特定されていない。そうすると、請求項1に記載の「着脱」は、その用語の通常の意味、すなわち、その部分に着けたり、はずしたりすること(上記「第5 2」)を意味するものと理解できる。
(イ)次に親出願の当初明細書等の記載について検討する。
親出願の当初明細書等において第1実施形態として記載された、段落【0025】の「マウント1は、本体10および複数のホルダ11を備えている。・・・本体10には、凹部10aが設けられている。凹部10aは、LEDユニット2を収容するためのものである。」、段落【0026】の「ホルダ11は、・・・1対の係止片11aおよび1対の可撓部11bを有している。・・・1対の可撓部11bは外力が与えられると、1対の係止片11aを互いに接近離間させる方向に弾性変形可能とされている。」、段落【0044】の「可撓部11bが若干撓むことにより、1対の係止片11aが互いにいったん離間する。しかる後に、図2に示すように、係止片11aが支持部材3の係止溝323と係合する。このように、LEDユニット2を容易に取り付けることができる。」、段落【0046】の「可撓部11bが弾性変形し、1対の係止片11aどうしが離間する。この結果、係止片11aと係止溝323との係合状態が解除される。このように、LED照明装置A1は、マウント1からLEDユニット2を容易に取り外すことができる。」との記載及び図2、10、11から、LEDユニット2をマウント1の凹部10aに、ホルダ11の可撓部11bの弾性変形を用いて取り付け、また、取り外す構成が記載されているといえ、また、この構成により、上記親出願の当初明細書等に記載された課題(上記「(3)」)が解決されていると認められる。
(ウ)親出願の当初明細書等の段落【0245】~【0255】には第21実施形態が記載され、その段落【0249】には「LEDユニット2のマウント1への固定は、ホルダ11によってなされている。・・・本実施形態においては、ホルダ11は、金属プレートを折り曲げ加工することによって形成されており、係止部11dおよび可撓部11bを有する。係止部11dは、金属板がLEDユニット2側に突出するように折り曲げられた部分であり、LEDユニット2のブラケット32のアウター部322の凸部326に係合する。可撓部11bは、係止部11dよりも根元側に位置しており、弾性変形することにより、係止部11dがアウター部322に係合する状態と離間する状態とをとることを許容する。」と記載されており、また、図105及び106においてマウント1の凹部が看取される。これらの記載から、第21実施形態において、第1実施形態と同様にLEDユニット2をマウント1の凹部に、ホルダ11の可撓部11bの弾性変形を用いて取り付け、また、取り外す構成により、上記親出願の当初明細書等に記載された課題(上記(3))が解決されていると認められる。そして、当該ホルダ11に係る構成は、図105、106も踏まえると、特許請求の範囲の請求項5の「上記ホルダは、金属板を折り曲げ加工することにより形成されており、かつ上記LEDモジュール側に突出するように折り曲げられた部分からなる係止部を有する」との構成に対応するものと認められる。
(エ)また、上記第21実施形態に関して、さらに段落【0250】には「LEDユニット2を固定するために、ワイヤホルダ161が設けられている。ワイヤホルダ161は、ワイヤを折り曲げ加工することによって形成されており、マウント1に形成された2つの係合部15cにおいて、マウント1に対して回動可能に支持されている。図106に示すように、ワイヤホルダ161は、LEDユニット4のカバー4に沿って湾曲する部分、LEDユニット2のブラケット32のアウター部322に係合する屈曲部分を有している。」と記載され、【0251】には「・・・LEDユニット2をマウント1に固定する場合、ワイヤホルダ161を閉状態とする。一方LEDユニット2をマウント1に対して脱着する場合、ワイヤホルダ161を回動させることにより開状態とする。」と記載されており、これらの記載から、LEDユニット2をマウント1の凹部に、ワイヤホルダ161を介して取り付け、また、取り外す構成が記載されているといえる。そして、当該ワイヤホルダ161に係る構成は、特許請求の範囲の請求項6の「上記ホルダは、上記支持体に対して回動可能に支持されており、かつ上記LEDユニットを固定する閉状態と上記LEDユニットが上記支持体から離脱することを許容する開状態とをとりうるワイヤホルダとして構成されている」との構成に対応するものと認められる。
(オ)次に、上述したLEDユニット2をマウント1の凹部に、ホルダ11の可撓部11bの弾性変形を用いて取り付け、また、取り外す構成(「ウ」)、及び、LEDユニット2をマウント1の凹部に、ワイヤホルダ161を介して取り付け、また、取り外す構成(上記「エ」)との関係について検討する。
親出願の当初明細書等の特許請求の範囲において、請求項4には「上記LEDユニットは、上記第1の方向と直交する方向に突出する凸部を有しており、上記支持体は、上記凸部に係合することにより上記LEDユニットを保持するためのホルダを備えている」と記載され、「ホルダ」により「LEDユニットを保持する」ことが特定され、当該請求項4を引用する請求項5及び6において、当該「ホルダ」についての具体的な構成が特定されている。ここで、請求項5及び請求項6はともに請求項4のみを引用しており、請求項4に対して請求項5及び請求項6は並列の従属項として特定されている。そうすると、請求項6に対応する実施態様であるLEDユニット2をマウント1の凹部に、ワイヤホルダ161を介して取り付け、また、取り外す構成は、請求項5に対応する実施態様であるLEDユニット2をマウント1の凹部に、ホルダ11の可撓部11bの弾性変形を用いて取り付け、また、取り外す構成に対する付加的な構成ではなく、各構成は、「ホルダ」により「LEDユニットを保持する」ための、それぞれ独立した態様として理解することができる。
(カ)そうすると、親出願の当初明細書等には、親出願の当初明細書等に記載された課題を解決するために、ホルダ11の可撓部11bの弾性変形を用いて取り付け、また、取り外すとの上述した構成と、LEDユニット2をマウント1の凹部10aにワイヤホルダ161を介して取り付け、また、取り外す構成の複数の態様が記載されていると理解できる。
(キ)以上のとおり、親出願の当初明細書等には、LEDチップ22の特性が変化したときなどにLEDユニット2を交換可能とすべきという課題が記載され(上記「(3)」)、当該課題を解決するために、ホルダ11の可撓部11bの弾性変形を用いて取り付け、また、取り外すとの上述した構成と、LEDユニット2をマウント1の凹部10aにワイヤホルダ161を介して取り付け、また、取り外す構成の複数の態様が記載されている(上記「(カ)」)。
さらに、LEDユニット2を交換可能とすべきという上記親出願の当初明細書等に記載された課題(上記「(3)」)は、LEDユニット2の取り付け及び取り外しの具体的構成を特定の構成に限定しなければ達成できないというものではなく、LEDユニット2を凹部に着けたり、はずしたりすることができれば、すなわち着脱可能(上記「(ア)」)に取り付けられていれば足りることは当業者にとって明らかであるといえ、このことも併せ考慮すると、本件特許請求項1において、上記複数の態様を上位概念化して、LEDユニット2の取り付け及び取り外しについて可撓部11bの弾性変形やワイヤホルダ161を利用しないその他の構成を含む「着脱可能に」との記載により発明を特定したからといって、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術上の意義が追加されているとはいえない。
したがって、本件特許請求項1に記載の「前記LEDユニットは、前記マウント部の前記凹部に着脱可能に取付けられる」との構成は、親出願の当初明細書等に記載されているといえ、「着脱可能に」との事項が、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものとは認められない。
イ 請求人の主張について
(ア)請求人は以下のとおり主張している。
a 「イ このように、親出願に係る当初明細書では、LEDユニット2のマウント1への取付け及び取外しに関しては、『ホルダ11』に設けられた『可撓部11b』の弾性変形を用いた構成しか開示されていない。
また、親出願に係る当初明細書では、可撓部11bの構成を上位概念化し、弾性変形を利用しないタイプの着脱であっても許容される旨の記載も存在しない。」(審判請求書第14ページ図面下第1行~第15ページ第1行)
b 「以上のとおり、本件特許発明1における『着脱可能に』の構成は、ホルダに設けられた可撓部の弾性変形を利用した着脱だけでなく、ネジによる取付け/取外しなど、可撓部の弾性変形を利用しないその他の方法を含むものである。
他方、親出願の当初明細書では、ホルダ11(可撓部11b)の弾性変形を利用した取付け/取外しの構成のみが開示されているにすぎない。
そうすると、本件特許発明1における『着脱可能に』との文言の追加は、親出願の当初明細書における可撓部11の構成を上位概念化等するものであって、『新たな技術的事項を導入するものである場合』に該当し、審査基準における上記『要件2』を充足しない。」(審判請求書第15ページ第3~14行)
c 「被請求人は、答弁書9頁以下において、『着脱可能に』に関し種々主張している。もっとも、『着脱可能』について、請求人が、『着脱可能に取付けられる』とは、ネジによる取付け/取り外しや、磁石を利用した方法等、取付け及び取り外しの方法を限定するものではなく、およそ取付け及び取り外しが可能な任意の構成を意味するにすぎないものであるとの主張をしているところ、請求人の指摘するこの用語の意義について、被請求人は異論はないとしている(答弁書9頁(3)5行目)。したがって、『着脱可能』という用語を本件特許発明1において使用すること自体、親出願に具体的な構成を離れてその用語を使用していない限り『自明な事項』といえないことは明白である。
・・・
また、親出願では、LEDユニットが、マウントの凹部にホルダと可撓部によって取り付けられ取り外すことができる、との実施例のみが開示されているところ、LED照明器具の構成には種々のものが考えられるため、例えばネジ止めであったり磁石止めであったり、他の部材を付加したりなどした構成の場合も『着脱可能』概念に含まれることとなるので、上記実施例の構成を上位概念化していることは明々白々であり、審査基準からしても、到底『自明な事項』とは言えず、分割が肯定されるようなパターンでないことは付言を要しない。
これはいわゆる『広すぎる補正クレーム』の類いである。」(令和3年9月17日付け口頭審理陳述要領書第15ページ第31行~第16ページ第19行)
d 「第21実施形態においては、LEDユニット2をマウント1の凹部10aに取り付けているのは、あくまでもホルダ11であって、ワイヤホルダ161ではない。ワイヤホルダ161は、付加的な構成に過ぎない。」(令和4年1月19日付け回答書第5ページ第7~10行)
(イ)上記主張について検討する。
請求人の主張の要旨は、親出願の当初明細書等の第21実施形態において、ワイヤホルダ161は付加的な構成であって、親出願の当初明細書等には、ホルダ11に設けられた可撓部11bの弾性変形を用いた構成しか開示されておらず、「着脱可能」という用語を本件特許発明1において使用すること自体、「自明な事項」ではなく、「着脱可能に」との文言を追加することは、親出願の当初明細書における可撓部11の構成を上位概念化するものであり、可撓部の弾性変形を利用しないその他の方法を含むこととなるから、「新たな技術的事項を導入するものである場合」に該当するというものである。
しかしながら、単に新たな用語を使用したり、用語を上位概念化したりすることのみをもって、直ちに新たな技術的事項が導入されているとはいえない。そして、ホルダ11に対して、ワイヤホルダ161が付加的な構成ではないことは上記「ア(オ)」で述べたとおりであり、「着脱可能に」との事項が、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものでないことは、上記「ア」で述べたとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(5)本件特許請求項1に記載の「透光カバー」との事項について
ア 判断
(ア)本件特許請求項1に記載の「透光カバー」に対応する、親出願の当初明細書等に記載された部材は、「カバー4」であると認められる。そして、親出願の当初明細書等には、LEDチップ22の特性が変化したときなどにLEDユニット2を交換可能とすべきことが課題(親出願の当初明細書等に記載された課題)として記載されている(上記(3))ところ、「カバー4」が光拡散性を有することが、前記課題を解決するために必要不可欠な構成でないことは明らかである。
(イ)また、上記「カバー4」について、親出願の当初明細書等において、上記段落【0034】、【0045】、【0148】等の記載からもわかるように、一貫して「カバー4」と記載されており、【符号の説明】においても「4 カバー」と記載され、部材の名称に「拡散」との語は用いられていない。さらに、段落【0013】には「複数のLEDチップからの光を拡散させつつ透過させるカバー」と記載され、段落【0034】には「カバー4は、・・・LEDモジュール20からの光を拡散しつつ透過するたとえば乳白色の樹脂からなる。」と記載され、段落【0148】には「カバー4は、LEDモジュール20からの光を拡散しつつ透過するたとえば乳白色の樹脂からなる拡散カバーである。」と記載されているが、この記載は、【発明を実施するための形態】における「カバー4」の一態様を説明しているに過ぎず、親出願の当初明細書等における「カバー4」の定義として記載されているとまではいえない。
(ウ)また、親出願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)より前において、照明装置において光拡散性のない透明なカバーを用いることが慣用技術(乙2~8)であることも踏まえると、親出願の当初明細書等において、LED照明装置が照明装置としての機能を果たすためには、「カバー4」が光拡散性を有することが必要不可欠ではなく、「カバー4」が光を透過する透光カバーであれば足りることは当業者にとって明らかである。
(エ)以上のことから、本件特許請求項1に記載の「透光カバー」との事項に関して、光拡散性について特定されていないことで親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術上の意義が追加されているとはいえない。
したがって、本件特許請求項1に記載の「透光カバー」は、親出願の当初明細書等に記載されているといえ、「透光カバー」との事項が、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものとは認められない。
イ 請求人の主張について
(ア)
a 請求人は以下のとおり主張している。
(a)「イ このように、親出願に係る当初明細書には、そもそも本件特許発明1の『透光カバー』との記載が存在していない。また、カバー部材の構成についても、あくまで光拡散性を有するもののみが開示されている。」(審判請求書第19ページ第11~14行)
(b)「以上のとおり、親出願に係る当初明細書におけるカバー部材は、あくまで拡散性を有するものだけが開示されているが、他方、本件特許発明1のカバー部材は、『透光カバー』とされ、拡散性の有無を問うことなくおよそ光が透過すれば足りるものとされている。
したがって、本件特許発明1の『透光カバー』との発明特定事項は、審査基準における親出願に係る当初明細書の記載の上位概念化等に当たるものである。」(審判請求書第19ページ第16~22行)
(c)「ところで、親出願では請求項3で下位クレームとしてカバーを特定しているが、そこでは『光を拡散させつつ透過されるカバー』と定義付けており、当初明細書でも、【0013】【0034】【0148】等で、カバーについては、常に上記定義で統一している。そして、作用効果もこの構成であるが故に、光のムラを抑えることが可能としている(【0151】から【0155】)。
そうすると、親出願の当初明細書では『光を拡散させつつ透過されるカバー』すなわち、『光を拡散させ』且つ『光を透過させる』カバーとしての『拡散カバー』が発明特定事項及び当初明細書の定義とされていたところ、『光を拡散させ』を除外し『光を透過させる』カバーと発明特定事項を修正することは、典型的な上位概念化であり、上記の審査基準からしても、許容される例外にも当たらない。」(令和3年9月17日付け口頭審理陳述要領書第16ページ第24行~33行)
(d)「なお、答弁書14頁4行目以下では、光拡散性のない透明カバーも『慣用技術』であると主張しているが、上記審査基準からしても、『補正された事項に係る技術自体が周知技術又は慣用技術であるということだけでは、「当初明細書等の記載から自明な事項」とはいえない』のであるから、被請求人の主張はそれ自体でも失当ということになる。」(令和3年9月17日付け口頭審理陳述要領書第16ページ第34行~38行)
(e)「甲第1号証の当初明細書の『光を拡散させつつ透過させるカバー』としての『拡散カバー』を『透光カバー』に変更することについては、単純化して言えば、A(光を拡散させ)&(つつ)B(透過させる)というA&Bカバーを、B(透過させる)のみのカバーとするものであり、また、『透光カバー』には、光拡散性を有しない透光カバーである『透明カバー』も含まれるのであるから、そのような変更が上位概念化であるということは明らかである。」(令和3年10月4日付け口頭審理陳述要領書(2)第4ページ第18~23行)
(f)「この場合、補正された事項が当初明細書等の記載から自明な事項であれば、当初明細書等に明示的な記載がなくても、その補正は、新たな技術的事項を導入するものではないから許されるが(つまり、新規事項の追加ではない)、単に周知技術又は慣用技術であるというだけでは、当初明細書等の記載から自明な事項とはいえないとされている(特許・実用新案審査基準の第IV部第2章新規事項を追加する補正の3.2)。つまり、単に周知技術又は慣用技術であるというだけでは、新たな技術的事項を導入するものではない、とは言えず、引いては分割出願の実体的要件を満たしているとは言えない。
したがって、本件特許について、被請求人が、いかに光拡散性のない透明なカバーが慣用技術であることを主張したところで、そのことが直ちに新たな技術的事項を導入するものではない、ということにならないのは明らかである。原出願の明細書等に明示的に記載されていないのであれば、特許出願の分割の実体的要件を満たすには、あくまでも原出願の明細書等の記載から自明な事項でなければならない。この点、本件特許発明1における『透光カバー』は、原出願の明細書等の記載にもその用語はなく自明な事項ともいえないので、本件特許出願は、分割出願の実体的要件を満たしていない。」(令和3年10月4日付け口頭審理陳述要領書(2)第5ページ第1~16行)
(g)「なお、乙第2号証~乙第8号証の明細書には、カバーに関して『透明』というような文言が記載されているが、甲第1号証の明細書等には、カバーについて『透明』という文言は一切存在しない。つまり、甲第1号証の当初明細書等には、『透明カバー』の記載もなければ、『透明カバー』を用いるとの示唆もない。むしろ、甲第2号証及び本件特許の明細書の【発明が解決しようとする課題】の欄の『輝度むらを抑制する』との記載、さらに、【課題を解決するための手段】の欄における『上記強拡散部の上記複数のLEDチップからの光を拡散する度合いが上記拡散カバー全体の平均よりも強い』(甲第2号証及び本件特許の【0013】)等の拡散カバーが特徴であるかのような記載からすると、甲第1号証を出発点とする全ての一連の分割出願においては、「透光カバー」の根拠となる『カバー4』からは『透明カバー』を除外しているとも考えられる。
以上より、『透明』、『透光』、『拡散』等の光に関する用語を使い分けて技術説明をするであろう当技術分野の当業者であればこそ、光拡散性を有しない『透明カバー』を含む『透光カバー』が甲第1号証の当初明細書等の記載から自明な事項であるとは到底いえない。」(令和3年10月4日付け口頭審理陳述要領書(2)第5ページ第17~31行)
b 上記主張について検討する。
請求人の主張の要旨は、親出願の当初明細書等において、「カバー」が「光を拡散させつつ透過されるカバー」と定義付けられており、本件特許発明1の「透光カバー」との事項は、親出願の当初明細書等の記載の上位概念化にあたり、「透光カバー」は親出願の当初明細書等にもその用語はないから自明な事項ではなく、光拡散性のない透明なカバーが慣用技術であるとういだけでは自明な事項ということもできないというものである。
しかしながら、単に新たな用語を用いたり、用語を上位概念化したりすることのみをもって、直ちに新たな技術的事項が導入されているとはいえず、「透光カバー」との事項が、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものでないことは、上記「ア」で述べたとおりである。
また、親出願の当初明細書等に記載の「カバー4」が、「光を拡散させつつ透過されるカバー」と定義付けられているわけではないことも上記「ア(イ)」で述べたとおりである。
さらに、上記「ア」における判断は、「光拡散性のない透明なカバー」が慣用技術であるということだけで、「透光カバー」との事項が親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものではないとするものでもない。
以上のとおりであるから、請求人の上記主張は採用できない。
(イ)
a 請求人は、さらに、特願2015-243902号(以下「別件特許出願」という。)を引用し、以下のとおり主張している。
(a)「ア この点に関連し、被請求人は、別件特許出願において、分割要件違反を回避するため、『透光カバー』の文言を『拡散カバー』に補正している事実が存在する。
イ すなわち、ローム株式会社は、平成27年12月15日、発明の名称を『LED照明装置』とする発明について出願しており(特願2015-243902。甲第6号証。以下「別件特許出願」といい、その発明を『別件特許発明』という。)、平成28年11月18日、被請求人は同特許出願について出願人名義変更を行っている。別件特許出願は、平成23年5月17日になされた発明の名称を『LEDランプ、ランプケース、LEDモジュール、およびLED照明装置』とする特許出願(特願2011-110601、以下『別件親出願』という。甲第7号証の1及び同2)に係る分割出願であった。
ウ 別件親出願の特許請求の範囲において、カバーは『拡散カバー』(甲第7号証の1【請求項4】)とされ、また、発明の詳細な説明においても、『上記のLEDモジュールからの光を透過させつつ拡散させる拡散カバーとを具備しており…』(甲第7号証の2【0009】)等と記載されるなど、本件特許出願に係る親特許と同様、拡散性を有するもののみが開示されていた。
エ これを前提に、ローム株式会社は、別件特許出願において、特許請求の範囲を『LED発光部から発せられる光を透過させる透光カバー』とした(甲第6号証【請求項1】)。
これに対し、御庁は、平成28年9月27(起案日)付けの拒絶理由通知において、『透光カバー』が別件親出願に記載が無く、また、自明な事項ではないとして、別件特許出願は分割要件を満たさないとした(甲第8号証)。
オ これらの経緯を経て、名義変更を受けた被請求人は、補正手続において、別件特許発明の『透光カバー』を『拡散カバー』に補正することで、分割要件違反を回避したのである(甲第9号証の1及び同2)。
別件親出願と別件特許出願における『拡散カバー』と『透光カバー』の関係は、本件親出願及び本件特許出願においてもそのまま当てはまるものであって、別件特許出願手続の経緯からしても、本件特許出願における分割要件違反の事実が裏付けられる。」(審判請求書第19ページ最終行~第21ページ第4行)
(b)「また、答弁書14頁では、請求人は甲8(拒絶理由通知書)の趣旨を曲解しているというが、なにも曲解はしていない。むしろ、被請求人は、甲9(意見書)で明確に、透光カバーという用語を拡散カバーに補正したことを繰り返し強調している。」(令和3年9月17日付け口頭審理陳述要領書第16ページ最終行~第17ページ第3行)
(c)「甲第8号証(特願2015-243902の拒絶理由通知)と甲第9号証の1(同拒絶理由通知に対する意見書)の全体を見れば、分割要件違反の拒絶理由に対して、少なくとも外形的には、審査官の指摘を受けて、分割出願時に用いていた『透光カバー』の用語を『拡散カバー』に補正していることは、疑う余地もない事実であり、明々白々である。」(令和3年10月4日付け口頭審理陳述要領書(2)第5ページ第33~37行)
b 上記主張について検討する。
別件特許出願の審査経緯における被請求人の補正内容が、本件特許出願の分割の適否の判断に直ちに関係するものではないが、その点を差し置くとしても以下のとおりである。
別件特許出願の平成29年2月3日付け手続補正書(甲9の2)による補正は、補正前の請求項1の「前記長手方向に伸長し且つ前記基板の前記第1の面と対向して配置されて前記複数のLED発光部を覆う第1カバー部と、前記第1カバー部と接続されて前記長手方向と直交する短手方向に伸長し且つ前記第1カバー部の前記長手方向両端において前記第1カバー部と共に前記LED発光部を覆う第2カバー部と、を備えて前記LED発光部から発せられる光を透過させる透光カバー」(甲6)を「前記長手方向に伸長し且つ前記基板の前記第1の面と対向して配置されて前記複数のLED発光部を覆う拡散カバーと、前記拡散カバーと接続されて前記長手方向と直交する短手方向に伸長し且つ前記拡散カバーの前記長手方向両端において前記拡散カバーと共に前記LED発光部を覆う前記LED発光部から発せられた光を透過させるエンドキャップ」とするものである。
この補正は、同日付け意見書(甲9の1)の「新請求項1:旧請求項1において『制御回路部』、『第1カバー部』、『第2カバー部』、『支持体』とあった語句を、それぞれ『電力変換部』、『拡散カバー』、『エンドキャップ』、『ウイング部』との語句に改めました。また、『透光カバー』、『前記支持体は前記LED発光部から発射される光が透過されない材料にて形成されている』との記載は削除いたしました。」との記載(上記「第5 4」の摘記参照)からもわかるように、補正前の「第1カバー部」を「拡散カバー」とし、補正前の「透光カバー」を削除する補正であり、「透光カバー」を「拡散カバー」に補正したものではないから、請求人の主張は前提において誤りがあり、採用することはできない。
(6)本件特許請求項2に記載の「弾性部材」との事項について
ア 判断
(ア)上記「(4)ア」の「(イ)」及び「(ウ)」に記載したとおり、親出願の当初明細書等には、LEDユニット2をマウント1の凹部10aに、ホルダ11の可撓部11bの弾性変形を用いて取り付け、また、取り外すことが記載されており、本件特許請求項1に記載の「前記LEDユニットを前記マウント部に着脱可能に保持する弾性部材を備える」との構成における「弾性部材」に対応する親出願の当初明細書等に記載された部材は「可撓部11b」と認められる。以下、親出願の当初明細書等に記載の当該「可撓部11b」を、本件特許請求項2において「弾性部材」として特定することで新たな技術的事項を追加するものとなるか否かについて検討する。
(イ)上記ホルダ11の「可撓部11b」の技術的意味を検討すると、段落【0026】の「1対の可撓部11bは外力が与えられると、1対の係止片11aを互いに接近離間させる方向に弾性変形可能とされている。」との記載、段落【0044】の「本図によく表れているように、まず、たとえば天井に固定されたマウント1に対してLEDユニット2を下方から接近させる。そして、ホルダ11の1対の係止片11aの間にLEDユニット2を押し込む。すると、可撓部11bが若干撓むことにより、1対の係止片11aが互いにいったん離間する。しかる後に、図2に示すように、係止片11aが支持部材3の係止溝323と係合する。このように、LEDユニット2を容易に取り付けることができる。」との記載、段落【0046】の「図11は、LEDユニット2をマウント1から取りはずす様子を示している。本図によく表れているように、まず、断面コの字状の取り外し冶具Dを用意する。そして、取り外し冶具Dの両側縁をホルダ11の係止片11aに押し付ける。すると、可撓部11bが弾性変形し、1対の係止片11aどうしが離間する。この結果、係止片11aと係止溝323との係合状態が解除される。このように、LED照明装置A1は、マウント1からLEDユニット2を容易に取り外すことができる。」との記載、及び図10、11も踏まえると、外力に応じて1対の係止片11aを互いに接近離間させるように弾性変形するためのものであると理解できる。
このことから、ホルダ11の「可撓部11b」は、弾性変形する部材すなわち弾性部材として機能していることは明らかであるし、外力に応じて1対の係止片11aを互いに接近離間させるためには、弾性部材であれば足りることは当業者にとって明らかである。
(ウ)以上のことから、親出願の当初明細書等に記載された「可撓部11b」を「弾性部材」と上位概念化したことで、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術上の意義が追加されているとはいえない。
したがって、本件特許請求項1に記載の「前記LEDユニットを前記マウント部に着脱可能に保持する弾性部材を備える」との構成は、親出願の当初明細書等に記載されており、「弾性部材」との事項が、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものとは認められない。
イ 請求人の主張について
(ア)請求人は以下のとおり主張している。
「以上のとおり、親出願に係る当初明細書では、マウント部にLEDユニットを保持する構成として可撓部及び係止片からなるホルダ11のみが開示されている。これに対し、本件特許発明2は、『弾性部材』としてスプリングや板バネ、弾性ゴム等、およそ弾性を利用した構成であれば足りるものである。
したがって、本件特許発明2の『弾性部材』は、親出願に係る当初明細書のホルダ13を含み、これを上位概念化するものである。
・・・
そうすると、本件特許発明2における『弾性部材』との文言の追加は、親出願に対し新たな技術的事項を導入するものであって、本件特許出願は、分割要件の実体的要件(上記『要件2』)を充足しない不適法な分割出願である。」(審判請求書第23ページ第9~20行)
(イ)上記主張について検討する。
単に新たな用語を用いたり、用語を上位概念化したりすることのみをもって、直ちに新たな技術的事項が導入されているとはいえず、「弾性部材」との事項が、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものでないことは、上記「ア」で述べたとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(7)本件特許請求項1に記載の「長尺状基板」、「長尺状の透光カバー」及び「長尺状の底板部」における「長尺状」との事項について
ア 判断
(ア)「長尺状基板」及び「長尺状の透光カバー」における「長尺状」について
親出願の当初明細書等の段落【0030】、【0034】の記載から、基板31が帯状であること、カバー4(透光カバー)が帯状であることがわかる。「帯状」とは、「ある幅をもって長くのびているさま」を意味する(甲10)から、「長尺状」であるといえる。
そうすると、親出願の当初明細書等には、「長尺状の基板」及び「長尺状の透光カバー」が記載されているといえる。
(イ)「長尺状の底板部」について
親出願の当初明細書等において第3実施形態として記載された段落【0056】の「マウント1の本体10が、ベースプレート110およびウイング部120によって構成されている。ベースプレート110は、x方向を長手方向とし、y方向を幅方向とする細長の板状に形成されており、取り付け面110a、複数の膨出部111を備えている。」との記載、段落【0057】の「底板部121は、ベースプレート110に対して平行である。・・・底板部121および2つの壁部122は、LEDユニット2を収容するための凹部10aを構成している。」との記載、及び図18、19から、マウント1の凹部10aを構成する「底板部121」は、細長の板状に形成されていると認められる。
また、第3実施形態の「マウント1」と第1実施形態及び第21実施形態の「マウント1」は参照数字が同一であることから、当該第1実施形態及び第21実施形態におけるマウント1の凹部の底面部も細長の板状に形成されていると認められる。
ここで、「細長の板状」は「長尺状」であるといえるから、親出願の当初明細書等には、「長尺状の底板部」が記載されているといえる。
(ウ)小括
上記(ア)、(イ)のとおり、本件特許請求項1に記載の「長尺状基板」、「長尺状の透光カバー」及び「長尺状の底板部」との事項により親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術上の意義が追加されているとはいえない。
したがって、本件特許請求項1に記載の「長尺状基板」、「長尺状の透光カバー」及び「長尺状の底板部」は親出願の当初明細書等に記載されたものといえ、当該「長尺状基板」、「長尺状の透光カバー」及び「長尺状の底板部」における「長尺状」との事項が、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものとは認められない。
イ 請求人の主張について
(ア)請求人は以下のとおり主張している。
a 「本件特許発明1における基板、透光カバー及び底板部は、それぞれ、『長尺状』であると特定されている(発明特定事項C、E及びF)。
この点、『長尺状』とは、普通よりも長いこと、すなわち、矩形に限定されない細長い形状を意味するものである。」(審判請求書第26ページ第8~12行)
b 「上記のとおり、親出願における当初明細書では、基板31及びカバー4が『帯状』の形状であるとの記載は存在するものの、本件特許発明1における基板、透光カバー及び底板部が『長尺状』であるとの記載は存在しない。
そして、親出願における『帯状』とは、『帯を広げたような形状であるさま。ある幅をもって長くのびているさま。』(甲第10号証)を意味するものであり、幅を有すること、すなわち矩形であることを指すものである。
そうすると、本件特許発明1における『長尺状』は、矩形に限定されない細長い形状を意味する点で、親出願における当初明細書の『帯状』を上位概念化等するものである。」(審判請求書第27ページ第15~25行)
(イ)上記主張について検討する。
請求人は、「長尺状」は、矩形に限定されない細長い形状を意味する一方、「帯状」は、幅を有すること、すなわち矩形であることを指すと主張している。しかしながら、「幅を有すること」は、「帯状」の具体的形状を特定するものではなく、矩形であることを特定するものとはいえない。そして、「帯状」は「ある幅をもって長くのびているさま」を意味し、「長尺状」は、矩形に限定されない細長い形状を意味するから、両者の意味には、実質的な差異はない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
(8)まとめ
上記(3)~(7)のとおり、本件特許請求項1に記載の「着脱可能に」との事項、本件特許請求項1に記載の「透光カバー」との事項、本件特許請求項2に記載の「弾性部材」との事項、本件特許請求項1に記載の「長尺状基板」、「長尺状の透光カバー」及び「長尺状の底板部」における「長尺状」との事項は、親出願の当初明細書等の記載に対して新たな技術的事項を導入するものとは認められない。
したがって、本件特許出願は、適法な分割出願であり、その出願日は、平成22年3月8日である。
2 無効理由1及び2について
甲1は、平成23年7月21に公開されたものであり、本件特許出願の優先日より後に公開された刊行物である。
したがって、本件特許発明1~3は、甲1に記載された発明として特許法第29条第1項第3号に該当するものではない。
また、本件特許発明1~3は、甲1に記載された発明に基いて、あるいは、甲1に記載された発明及び甲11ないし甲12に記載された技術事項に基いて、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないとはいえない。
よって、本件請求項1~3に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当しないから、無効とすることはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由1、2及び提出した証拠方法によっては、請求項1~3に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-800028