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特許無効審判

2021-800027

LED照明装置

審判番号
2021-800027
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2015-243902
登録番号
6114810
請求日
2021年03月31日
審決日
2023年01月10日
公報発行日
2023年05月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】パナソニック 株式会社
  • 【請求人代理人】新居 広守
  • 【請求人代理人】道坂 伸一
  • 【請求人代理人】小松 陽一郎
  • 【請求人代理人】原 悠介
  • 【請求人代理人】千葉 あすか
  • 【請求人代理人】大山 丈二
  • 【被請求人】アイリスオーヤマ 株式会社
  • 【被請求人代理人】山田 威一郎
  • 【被請求人代理人】松本 響子
  • 【被請求人代理人】臼井 尚
  • 【被請求人代理人】吉田 稔
  • 【被請求人代理人】田中 達也
  • 【被請求人代理人】鈴木 泰光
  • 【被請求人代理人】鈴木 伸太郎
  • 【被請求人代理人】小淵 景太
  • 【被請求人代理人】齊藤 智和
審判長/審判官
  • 審判長 筑波 茂樹
  • 審判官 八木 誠
  • 審判官 出口 昌哉
分類
P1113.113-YAA(F21S) / P1113.121-YAA(F21S) / P1113.03 -YAA(F21S)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第134条の2第6項、特許法第126条第7項、特許法第29条第1項、特許法第123条第1項第2号、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6114810号発明「LED照明装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第6114810号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件特許第6114810号(以下、「本件特許」という。)に係る特許出願は、平成23年5月17日(優先権主張平成22年6月17日、同年6月29日、同年9月14日)に出願した特願2011-110601号(以下、「原出願」という。)の一部を、平成27年12月15日に新たな特許出願としたものであって、平成29年3月24日にその特許権が設定登録された。 そして、本件無効審判請求に係る手続の経緯は、以下のとおりである。 令和3年 3月31日 審判請求書 同年 9月 6日 被請求人より審判事件答弁書・訂正請求書 同年12月22日付け 審理事項通知書 令和4年 1月21日 被請求人より口頭審理陳述要領書 同年 1月25日 請求人より口頭審理陳述要領書 同年 2月 1日付け 審理事項通知書 同年 2月 8日 被請求人より口頭審理陳述要領書(2) 同年 2月15日 口頭審理 同年 2月22日 請求人より上申書 同年 3月30日付け 審決の予告 同年 5月13日 被請求人より訂正請求書・上申書 同年 7月20日 請求人より審判事件弁駁書 第2 本件訂正 1 訂正の内容 令和4年5月13日の訂正請求書によって、被請求人が求める訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、令和4年5月13日の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~7について訂正することを求めるものであり、その訂正事項は以下の(1)、(2)のとおりである(なお、下線部は訂正箇所である。)。そして、本件訂正の請求がされたので、令和3年9月6日の訂正請求書による訂正の請求は、特許法第134条の2第6項の規定により、取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1における 「前記基板の前記第2の面と傾斜角をなす第3の面を備えるとともに前記長手方向と垂直である短手方向に離間し且つ前記長手方向に延びる二辺に沿って各々が延びる一対の側部を備え、前記側部により前記電力変換部の少なくとも一部を覆って形成されたウイング部と」 との記載を 「前記基板の前記第2の面と傾斜角をなす第3の面を備えるとともに前記長手方向と垂直である短手方向に離間し且つ前記長手方向に延びる二辺に沿って各々が延びる一対の側部を備え、前記側部により前記電力変換部の一部を覆って形成されたウイング部と」 に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2乃至7も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1における 「前記拡散カバーと接続されて前記長手方向と直交する短手方向に伸長し且つ前記拡散カバーの前記長手方向両端において前記拡散カバーと共に前記LED発光部を覆う前記LED発光部から発せられた光を透過させるエンドキャップと」と記載されているのを 「前記拡散カバーと接続されて前記長手方向と直交する短手方向に伸長し且つ前記拡散カバーの前記長手方向両端において前記拡散カバーと共に前記LED発光部を覆う前記LED発光部から発せられた光を透過させつつ拡散させるエンドキャップと」と訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2乃至7も同様に訂正する)。 (3)一群の請求項 本件訂正は、一群の請求項〔1~7〕に対して請求されたものである。 2 本件訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1(上記1(1)参照。)による訂正は、訂正前の請求項1の「前記側部により前記電力変換部の少なくとも一部を覆って形成されたウイング部」との事項から、「少なくとも」という語句を削除して、「前記側部により前記電力変換部の一部を覆って形成されたウイング部」との事項に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。 イ 本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内でした訂正であること 訂正事項1による「前記側部により前記電力変換部の一部を覆って形成されたウイング部」との事項は、本件明細書等の請求項1の「前記側部により前記電力変換部の少なくとも一部を覆って形成されたウイング部」との事項から、「少なくとも」という語句を削除したものであるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであると認められ、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである 。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1の「前記側部により前記電力変換部の少なくとも一部を覆って形成されたウイング部」との事項を、「前記側部により前記電力変換部の一部を覆って形成されたウイング部」との事項に限定するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2(上記1(2)を参照。)による訂正は、訂正前の請求項1の「光を透過させるエンドキャップ」との事項を「光を透過させつつ拡散させるエンドキャップ」との事項に限定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。 イ 本件明細書等に記載した事項の範囲内でした訂正であること 訂正事項2による「光を透過させつつ拡散させるエンドキャップ」との事項は、本件明細書等の「上記各エンドキャップが、上記複数のLEDモジュールからの光を透過させつつ拡散させるように形成されており」(【0008】)及び「このようなエンドキャップ3は、LEDモジュール2からの光を拡散しつつ透過する。エンドキャップ3における拡散材の比率は、拡散カバー12における拡散材の比率と同程度である。」(【0060】)の記載に基づくものであるから、上記訂正事項による訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内でしたものであり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである 。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2による訂正は、訂正前の請求項1の「光を透過させるエンドキャップ」との事項を「光を透過させつつ拡散させるエンドキャップ」との事項に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項2による訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (3)独立特許要件 本件においては、訂正前の全ての請求項1~7について無効審判の請求がされているので、訂正前の請求項1~7に係る訂正事項1~訂正事項2に関して、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 (4)請求人の主張について 請求人は、平成21年(行ケ)第10065号の判決と平成14年(行ケ)第188号の判決を提示した上で、本件訂正は分割要件違反を回避するためのものであるところ、そのような訂正は認められないから、本件訂正は不適法である旨主張する(口頭審理陳述要領書第9ページ6行~13ページ16行及び令和4年2月22日の上申書4ページ1行~5ページ18行、令和4年7月20日の審判事件弁駁書5ページ22行~13ページ8行参照。)。 確かに、いったん特許となった発明については、その対象を確定して権利の安定を保証する趣旨から、訂正は、むやみに許容すべきではない。他方、明細書等に瑕疵が存在する場合、その瑕疵を是正して無効理由や取消理由を除去することができるようにしなければ、特許権者に酷であり発明を適切に保護することができない。上記の相反する要請の調和の観点から、特許法においては、第三者への影響を極力少なくする等のために、複数の訂正の要件が設定され、全ての要件を満たす限りにおいて、その訂正が認められることが規定されているところ、特許法では、訂正について、分割出願についての特段の規定はなく、分割要件違反を含んだ、設定登録された特許について、一切の訂正を認めないとする合理的な理由があるとも認められないから、分割要件違反を含んだ、設定登録された特許について、全ての訂正の要件を満たす限りにおいて、その訂正は認められると解するのが相当である。 そして、上記(1)、(2)で説示したとおり、本件訂正の訂正事項1、2についての訂正要件は満たすと認められるところ、請求人の上記主張は、訂正要件に基づくものではないから、当を得たものとはいえず、採用することはできない。 (5)小括 以上によれば、訂正事項1、2による訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定することを目的とするものであり、同法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、本件訂正は適法であるから、これを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正は認められるから、本件訂正後の本件特許の請求項1~7に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明7」といい、「本件発明1~7」を総称して「本件発明」ともいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。 「【請求項1】 第1の面と第2の面とを備えた矩形の基板と、 前記基板の前記第1の面上に長手方向に沿って配列された複数のLED発光部と、 前記基板の前記第2の面側に前記複数のLED発光部に電気的に接続されて配置された電力変換部と、 前記長手方向に伸長し且つ前記基板の前記第1の面と対向して配置されて前記複数のLED発光部を覆う拡散カバーと、 前記拡散カバーと接続されて前記長手方向と直交する短手方向に伸長し且つ前記拡散カバーの前記長手方向両端において前記拡散カバーと共に前記LED発光部を覆う前記LED発光部から発せられた光を透過させつつ拡散させるエンドキャップと、 前記基板の前記第2の面と傾斜角をなす第3の面を備えるとともに前記長手方向と垂直である短手方向に離間し且つ前記長手方向に延びる二辺に沿って各々が延びる一対の側部を備え、前記側部により前記電力変換部の一部を覆って形成されたウイング部と、 を有することを特徴とする、LED照明装置。 【請求項2】 前記ウイング部の前記一対の側部は、前記基板の前記第1の面と垂直である方向視において前記基板を挟んでいる、請求項1に記載のLED照明装置。 【請求項3】 前記複数のLED発光部は、光が出射される表面と、前記表面の外縁に接続されて前記表面と垂直方向に伸びる側面とを備え、 前記複数のLED発光部の前記側面の少なくとも一部は、前記複数のLED発光部の前記表面と平行な方向視において前記ウイング部の前記一対の側部に覆われている、請求項1または2に記載のLED照明装置。 【請求項4】 前記拡散カバーの少なくとも一部は、前記基板の前記第1の面と垂直な方向において前記側部よりも前記LED発光部から発射される光の出射方向側に突出している、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のLED照明装置。 【請求項5】 前記ウイング部の前記一対の側部の互いの距離は、前記第2の面と垂直である方向において前記LED発光部から前記電力変換部が形成された側に向かうにつれて長くなる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のLED照明装置。 【請求項6】 前電力変換部に電気的に接続された電源配線と、前記電源配線に接続されたコネクタと、を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のLED照明装置。 【請求項7】 前記拡散カバーの少なくとも一部は、前記基板の前記第1の面に対し湾曲している、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のLED照明装置。」 第4 請求人の主張の概要及び証拠方法 1 主張の概要 請求人は、「特許第6114810号の特許請求の範囲の請求項1ないし7に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求める。 (1)無効理由について 請求人は、審判請求書に添付して甲第1~4号証を提出し、以下の無効理由(令和4年2月15日の第1回口頭審理調書を参照。)を主張する。 [無効理由] 本件特許に係る出願(特願2015-243902号、以下、「本件特許出願」という。)は、分割要件違反を有する不適法な分割出願であり、本件特許出願において、出願日は、遡及を認めることはできず、現実の出願日である平成27年12月15日であるために、本件特許の請求項1~7に係る発明は、本件特許出願の原出願(特願2011-110601号)の公開公報である甲第1号証に記載された発明である、又は、少なくとも、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項又は第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきである。 (2)分割要件違反について 請求人が主張する分割要件違反の概要は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~7に係る発明(特に、請求項1に係る発明)について、下記ア、イのとおりである(口頭審理陳述要領書4ページ23行~5ページ5行参照。)。 ア 「光を通過させるエンドキャップ」について 原出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「原出願の当初明細書等」という。)から、「光を透過させる」ことだけでなく、「光を拡散させる」ことも「エンドキャップ」に必須・不可欠な事項であり、「エンドキャップ」において、「光を拡散させる」という事項がないことは、新たな技術的事項(以下、「新規事項」という。)を導入する(以下、「追加する」という。)ものであり、分割要件違反である。 イ 「ウイング部」について ウイング部が「側部」を有することや、「側部」が「電力変換部の少なくとも一部を覆う」ことは、新規事項を追加するものであり、分割要件違反である。 2 請求人が提出した証拠 審判請求書に添付して提出された各甲号証(以下「甲○」と略記する。)は次のものである。 甲1:特開2012-84504号公報 甲2:明細書(特願2011-110601号) 甲3:「LEDベース照明/直付型シームレスタイプ」のパンフレット、ローム株式会社、2009年(平成21年)2月24日 甲4:「LEDベース照明」のパンフレット、ローム株式会社、2009年(平成21年)7月10日 第5 被請求人の主張の概要及び証拠方法 1 主張の概要 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求める。 (1)無効理由について 本件特許出願には分割要件違反はなく、適法な分割出願であるから、分割要件違反を前提とした請求人の主張する無効理由には理由がない。 (2)分割要件違反について 請求人が主張する分割要件違反に対する被請求人の主張は、下記ア、イのとおりである(審判事件答弁書6ページ17行~最終行及び10ページ11行~20ページ12行、並びに、令和4年5月13日の上申書3ページ17~23行参照。)。 ア 「光を通過させるエンドキャップ」について 「エンドキャップ」について、本件訂正により、「光を透過させつつ拡散させるエンドキャップ」と訂正したので、請求人の主張する分割要件違反は解消した。 イ 「ウイング部」について 請求項1の「前記側部により前記電力変換部の少なくとも一部を覆って形成されたウイング部と、を有することを特徴とする」との構成は、そのうちの「前記側部により前記電力変換部の」「一部を覆って形成されたウイング部と、を有することを特徴とする」は、原出願の当初明細書等の【0114】~【0116】、【0118】、【0119】、【0124】及び図31に開示された構成であり、「少なくとも」は本件訂正により削除されたから、新規事項を追加するものではなく、分割要件違反ではない。 2 被請求人が提出した証拠 審判事件答弁書に添付された各乙号証は次のものである(以下「乙○」と略記する。)。 乙1:広辞苑第7版、新村出編集、岩波書店株式会社、373ページ、「おおう」という用語、2018年(平成30年)1月12日発行 乙2:特願2015-243902号の平成28年9月27日付けの拒絶理由通知書 乙3:特願2015-243902号の平成29年1月30日の応対記録 第6 当審の判断 無効理由について、以下検討する。 1 分割要件違反について (1)「光を通過させるエンドキャップ」について 上記「第2 2(2)」で説示したとおり、本件訂正は適法であり、本件発明1は、「エンドキャップ」について、「光を通過させつつ拡散させるエンドキャップ」との構成を有するものであるところ、原出願の当初明細書等(甲1参照。)の請求項1には「上記各エンドキャップが、上記複数のLEDモジュールからの光を透過させつつ拡散させるように形成されており」と記載されている等、「光を通過させつつ拡散させるエンドキャップ」との構成は、原出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、分割要件違反がないことは明らかである。 (2)「ウイング部」について ア 原出願の当初明細書等の記載事項 原出願の当初明細書等(甲1参照。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。 「【0110】 図29に示すように、複数の発光部202は、基板201の一面に実装されており、その長手方向に沿って2つの列202A,202Bをなすように配置されている。基板201の一面を厚み方向(図29の紙面を貫く方向)に見た状態において、発光部202は、長矩形状の光出射面220を有する。全ての発光部202は、光出射面220の長辺220aが基板201の長手方向に沿うように配置されている。各列202A,202Bの発光部202どうしは、基板201の長手方向に間隔85をあけて等間隔に並んでいる。この間隔85は、光出射面220の長辺220aと同程度の寸法である。列202A,202Bどうしは、基板201の長手方向に半ピッチずれている。これにより、複数の発光部202は、千鳥配列になっている。なお、本実施形態では、間隔85が光出射面220の長辺220aと同程度であるが、この間隔85が長辺220aより長くてももちろんよい。」 「【0114】 図31に示すように、マウント203は、本体230および複数のホルダ231を備えている。本体230は、同図の紙面を貫く方向に延びる細長状であり、たとえばアルミ製である。本体230には、凹部230aが設けられている。凹部230aは、LEDモジュール511を収容するためのものである。本体230は、凹部230aを挟んで連続するような曲率とされた曲面を有している。 【0115】 本体230は、ベースプレート310およびウイング320によって構成されている。ベースプレート310は、図31の紙面を貫く方向を長手方向とし、y方向を幅方向とする細長の板状に形成されており、複数の膨出部311を備えている。ベースプレート310のy方向における両端縁は、剛性を確保するために、z方向下方に向けて折り曲げられている。複数の膨出部311は、z方向下方に突出するように形成された部分であり、図31の紙面を貫く方向に沿って互いに離間するように配列されている。各膨出部311は、ウイング部320に当接している。 【0116】 ウイング部320は、図31の紙面を貫く方向に見て全体的に傘状に形成されており、内側に底板部321、2つの壁部322、および規制部323を有している。底板部321は、ベースプレート310に対して平行である。2つの壁部322は、底板部321のy方向両端からz方向に起立している。底板部321および2つの壁部322は、LEDユニット2を収容するための凹部230aを構成している。一方側の壁部322には、弾性部材であるホルダ231が配置されており、他方側の壁部322には、規制部材323が形成されている。規制部材323は、壁部322からy方向に突出する板状であり、壁部322に対して直角である。この規制部材323は、たとえば図31の紙面を貫く方向におけるウイング部320の略全長に渡って設置される。」 「【0118】 図31に示すように、支持部材204は、複数のLEDモジュール511を支持しつつ、これに電力を供給するためのものである。複数のLEDモジュール511は、その長手方向(同図の紙面を貫く方向)に沿って並んだ状態で支持部材204に支持されている。 【0119】 支持部材204は、ベース部241および一対のアウター部242からなる。ベース部241およびアウター部242は、たとえばアルミ製である。ベース部241は、断面コの字状であり、その底面の外側にLEDモジュール511の基板201が取り付けるための凹部410が形成されている。凹部410は、z方向上方に凹んでおり、基板201が嵌め込まれる。アウター部242は、ベース部241の略片側部分と、基板201のy方向端縁とを覆う形状とされている。」 「【0124】 電力変換部206は、たとえば商用AC100V電力をDC36Vに変換する機能を果たすものであり、支持部材204に収容されている。電力変換部206は、ケース261、電源基板262および複数の電子部品263からなる。ケース261は、断面コの字状であり、たとえば金属製である。ケース261は、電力変換部206をベース部241に固定するために用いられる。電源基板262は、ケース261に固定されており、複数の電子部品263が実装されている。複数の電子部品263は、たとえばトランスや整流器、さらには定電流制御のためのトランジスタなどである。電力変換部206からは、図示しないコネクタが延びている。このコネクタは、マウント203に取り付けられたコネクタ(図示略)と接続される。」 図29 [図:0001396761000001.jpg] 図31 [図:0001396761000002.jpg] イ 「ウイング部」の「側部」について 原出願の当初明細書等の【0116】及び図31の記載によれば、ウイング部は、図31において、符号320が付された部材であり、図31の紙面を貫く方向に見て全体的に傘状に形成されており、内側に底板部321、2つの壁部322、および規制部323を有する部材であると認められる。 一方、ウイング部の「側部」については、本件発明1において、「前記基板の前記第2の面と傾斜角をなす第3の面を備えるとともに前記長手方向と垂直である短手方向に離間し且つ前記長手方向に延びる二辺に沿って各々が延びる一対の側部」と特定され、前記第2の面については、「前記基板の前記第2の面側に前記複数のLED発光部に電気的に接続されて配置された電力変換部」と特定され、図31における基板201が、前記基板の具体例であり、図31における基板201の上側の面が、前記第2の面の具体例であると認められる。 そうすると、図31における「符号320が直接付されている部分」は、基板201の上側の面と傾斜角をなす面を備えており、短手方向に離間して一対であること等を勘案すると、図31における、少なくとも「符号320が直接付されている部分」を含むものが、本件発明1の「ウイング部」の「側部」の具体例であると解するのが自然である。 ウ 「前記側部により前記電力変換部の少なくとも一部を覆って形成されたウイング部」について 上記イで説示したとおり、図31における、少なくとも「符号320が直接付されている部分」を含むものは、本件発明1の「ウイング部」の「側部」の具体例であり、図31をみる限り、電力変換部206の側面の一部を覆っているといえるから、図31におけるウイング部320は、本件発明1の「前記側部により前記電力変換部の一部を覆って形成されたウイング部」の具体例であると認められる。 そうすると、本件発明1の「前記側部により前記電力変換部の一部を覆って形成されたウイング部」なる構成は、原出願の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものであるから、上記構成について分割要件違反はないと認められる。 (3)分割要件違反についてのまとめ したがって、上記(2)で説示したとおり、本件特許出願は、分割要件違反を有さず、適法な分割出願であると認められる。 2 無効理由について 上記1で説示したとおり、本件特許出願は、分割要件違反は有せず、適法な分割出願であるから、その出願日は、原出願の出願日に遡及すると認められ、原出願の公開公報である甲1の公開日は、本件特許出願の出願日より後であるから、本件特許の請求項1~7に係る発明は、本件特許の原出願の出願日前に頒布された甲1に記載された発明である、又は、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 そうすると、本件特許は無効にすべきであるとの無効理由は、甲1の公開日が本件特許出願の出願日より前であることが前提であるところ、上記のとおり、該前提は成り立たないから、この無効理由に理由がないことは明らかである。 なお、請求人は、令和4年7月20日の審判事件弁駁書において、「甲第1号証以外にも、公知文献である甲第3号証、甲第4号証(ローム発明)を提出している。仮に、本件訂正請求が認められ、本件特許の出願日が原出願日に遡及したとしても、その場合には、甲第1号証の主引用例としての適格性が否定されることとなるものの、上記のローム発明は原出願日よりも前の公知文献であり、これら他の引用例や設計変更論により、進歩性が否定されることとなる。」(14ページ16~21行)と主張する。 しかしながら、甲3、甲4は、審判請求書において、本件特許の請求項1に係る発明と甲1に記載された発明との間に相違点が存在した場合に、当該相違点について、当業者が容易に想到し得たものであることを示すために提示されたもの(27ページ5行~30ページ9行)であるから、請求人の上記主張は、審判請求書の記載と整合せず、当を得たものではない。 第7 むすび 以上によれば、請求人が主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件発明1~7についての特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-800027

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