特許異議申立
2021-700957
薬剤包装装置
- 審判番号
- 2021-700957
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-073980
- 登録番号
- 6855058
- 請求日
- 2021年10月06日
- 審決日
- 2021年12月24日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社タカゾノ
- 【権利者代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 【異議申立人】阪口 千恵子
- 審判長/審判官
- 審判長 久保 克彦
- 審判官 柳本 幸雄
- 審判官 西村 泰英
- 分類
- P1652.113-Y (B65B) / P1652.121-Y (B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6855058号発明「薬剤包装装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6855058号の請求項1、4、5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6855058号の請求項1-5に係る特許についての出願は、平成29年4月3日に出願され、令和3年3月19日にその特許権の設定登録がされ、令和3年4月7日に特許掲載公報が発行された。その後令和3年10月6日に特許異議申立人阪口千恵子(以下「申立人」という。)は、請求項1,4、5に係る特許に対する本件特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第6855058号の請求項1,4、5の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1,4、5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下「本件発明1」等といい、まとめて「本件発明」ともいう。)
「【請求項1】
長手形状で、第1の側に向かって長手方向に沿って供給され、前記第1の側に向かって見たときに上下方向にそれぞれ延在する左側部および右側部を有し、底部が閉じている包装シートを支持するシート保持機構と、
出口を有し、上方から落下する薬剤を受け入れて前記包装シートの前記左側部と前記右側部との間に導き、前記薬剤を前記出口から放出するホッパ部材とを備え、
前記ホッパ部材は、前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されている、薬剤包装装置。
【請求項2】
前記壁部の内側を向く面は、前記ホッパ部材の他の部分に比べて表面粗さが大きくなっている第1領域を有する、請求項1に記載の薬剤包装装置。
【請求項3】
前記第1領域は、等ピッチで凹凸を設けられた領域である、請求項2に記載の薬剤包装装置。
【請求項4】
前記シート保持機構は、前記包装シートを、前記第1の側に向かうにつれて下方に向かうような姿勢で支持する、請求項1から3のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項5】
前記ホッパ部材は、前記包装シートの2つ折りの間の谷状部分に向かって前記壁部よりも深く挿入される突起を、前記出口の前記第1の側とは反対側に備え、前記突起は、前記薬剤が前記第1の側とは反対側に進行することを防ぐ壁を有する、請求項1から4のいずれかに記載の薬剤包装装置。」
第3 申立理由の概要
(1)申立人は、以下の引用文献を提出し、そのうち韓国公開特許第10-2016-0083481号公報(申立人が「甲1号証の1」としたものである。以下、「引用文献1」という。)を主たる証拠とし、請求項1に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、請求項1に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
(2)また、申立人は、主たる証拠として引用文献1及び従たる証拠として特開2003-237708号公報(申立人が「甲2号証の1」としたものである。以下、「引用文献2」という。)並びに特開2000-318703号公報(申立人が「甲3号証」としたものである。以下、「引用文献3」という。)を提出し、請求項1,4、5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1,4、5に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
(3)また、申立人は、主たる証拠として引用文献2を提出し、請求項1,4、5に係る特許は特許法第29条第1項第3号及び特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1,4、5に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
<引用文献等一覧>
1.韓国公開特許第10-2016-0083481公報(申立人が提出した甲第1号証の1)
2.特開2003-237708号公報(申立人が提出した甲第2号証の1)
3.特開2000-318703号公報(申立人が提出した甲第3号証)
第4 文献の記載
(1)引用文献1には、以下の記載がある。(以下、訳文を示す。)
「[0034]
図1および図2を参照すると、本発明の一実施例による医薬品移動装置(10)は、医薬品払出要請(例.患者の処方せんなど)により、収容された医薬品を払い出して包装紙で包装することができる装置であり、複数の種類の医薬品を同時にまたはそれぞれ個別に包装紙で包装することができる。」
「[0041]
前記医薬品保管空間(100)の第1保管セル(C2)に投入された医薬品(M1)は、医薬品払出要請による位置移動を通じて医薬品収集部(300,図3参照)に収集されてもよく、以降は、医薬品収集空間である包装紙移送部(400)により移送された包装紙の空間に排出されてシーリング部(500)によりシーリングされるようになる。」
「[0044]
一方、本発明の一実施例による医薬品移動装置(10)は、前記医薬品保管空間(100)から排出された前記医薬品(M1)および前記追加医薬品保管空間(200)から排出された前記追加医薬品(M2)の移動経路上に配置され、前記医薬品(M1)および前記追加医薬品(M2)を収集して医薬品収集空間に伝達する医薬品収集部(300)を含んでもよい。
[0045]
前記医薬品収集部(300)は、前記包装紙の空間である医薬品収集空間に医薬品(M1)および追加医薬品(M2)が投入される過程において前記医薬品(M1)および前記追加医薬品(M2)が通過する一種のホッパであってもよい。」
「[0068]
図12ないし図15を参照すると、本発明の一実施例による医薬品移動装置(10)は、医薬品保管空間(100)から排出された医薬品(M1)および追懐薬品保管空間(200)から排出された追加医薬品(M2)の移動経路上に配置され、前記医薬品(M1)および前記追加医薬品(M2)を収集した後、包装紙の空間である医薬品収集空間に伝達する医薬品収集部(300)を含んでもよい。」
「[0070]
前記医薬品収集部(300)は、一種のホッパであり、医薬品(M1)および追加医薬品(M2)が包装紙の空間である医薬品収集空間に投入されるにあたって最後の移動経路を提供する構成要素であってもよい。
[0071]具体的には、前記医薬品収集部(300)は、医薬品(M1)および追加医薬品(M2)が通過されるように、所定の内部空間(S)を備える基本医薬品収集部(310)および前記内部空間(S)に挿入される追加医薬品収集部(320)を含んでもよい。」
上記段落[0041]には上方にある医薬品保管空間(100)に投入された医薬品(M1)は下方にある医薬品収集部(300)へと移動して収集されていることと、以降包装紙の空間に排出されることが記載されており、そして図14にはホッパである医薬品収集部(300)の形態がホッパであることの図示がなされている。これらを考慮すれば、当該ホッパである医薬品収集部(300)は、上方から落下する医薬品を受け入れて出口から放出しているものと認められる。
したがって、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「包装紙を移送する包装紙移送部と、
出口を有し、上方から落下する医薬品を受け入れて、前記薬剤を前記出口から包装紙の空間に排出するホッパとを備える、医薬品移動装置。」
(2)引用文献2には、以下の記載がある。
「【0042】次に、図28を用いて前記包装機13の構成について説明する。71は熱溶着可能な包装紙72(容器を構成する)を巻回したロールであり、73はプリンタ、74はホッパー54の下端開口54Aに取り付けられたノズル、76はシリコンゴムから成る熱シールヘッド、77はロール71から引き出された包装紙72を搬送するローラ、79は包装紙72を切断するカッター、81は分包化されて切断された包装紙72を下パネル4に設けられた取出口82まで搬送するコンベアであり、包装紙72の搬送経路に沿って順次設けられている。尚、83は熱シールヘッド74を動作させるためのモータであり、78はローラ77を駆動するモータ、84はコンベア81のモータである。
【0043】ロール71に巻回された包装紙72は上面が開き、下端で二つ折りにされた断面略V字状を呈しており、ローラ77等によってロール71から斜め向かって右斜め下方に引き出された後、プリンタ73により後述する如くその表面に印字が成される。次に、ノズル74から排出される薬剤が包装紙72内に投入され、熱シールヘッド76による熱溶着で、包装紙72は一包毎に区画される。区画されて分包化された包装紙72は次にカッター79で切断され、コンベア81で向かって左上方の取出口82に搬送されるものである。
【0044】ここで、前記ノズル74は図29に示す如く上下が開口した矩形筒状を呈しており、その下端出口のプリンタ73側には包装紙72の上面開口から当該包装紙72内に挿入される挿入案内辺86が突出形成され、それと対向する側には包装紙72の上面開口を閉じる作用を紙案内辺87が形成されている。また、ノズル74の上端開口は前記ホッパー54の下端開口54Aに対向している。これにより、ホッパー54にて受け止められた薬剤はノズル74に入り、挿入案内辺86に案内された包装紙72内に投入されることになる。」
引用文献2には、包装紙が、ロールから引き出されて搬送されているものが記載されているから、引用文献2には、長手形状であり、長手方向に沿って供給されている包装紙が記載されている。
引用文献2の段落【0043】に記載されている包装紙の断面V字形状は、包装紙が供給される方向で見たときの形状であると認められる。
引用文献2の段落【0044】に、ノズル74の上端開口は前記ホッパー54の下端開口54Aに対向しており、ホッパー54にて受け止められた薬剤はノズル74に入ることが記載されているから、ノズル74は、上方にあるホッパー54から落下する薬剤を受け入れるものであると認められる。
したがって、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「長手形状で、長手方向に沿って供給され、包装紙が供給される方向で見て上面が開き、下端で二つ折りにされた断面V字形状を呈している包装紙を搬送するローラと、
出口を有し、上方から落下する薬剤を受け入れて前記薬剤を前記出口から放出し、包装紙の上面開口から包装紙内に挿入されるノズルとを備える、包装機。」
第5 当審の判断
(1)本件発明1について
(ア)まず、引用発明1を主引例とした場合の特許法第29条第1項第3号、及び、同条第2項について
a. 対比
本件発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「包装紙」は、本件発明1の「包装シート」に相当する。
引用発明1の「包装紙移送部」は、包装紙を移送するものであるから包装紙を支持しているといえ、また、包装紙が供給されるものであるといえるから、本件発明1の「シート保持機構」に相当する。
引用発明1の「医薬品」は、本件発明1の「薬剤」に相当する。
したがって、両者は、一致点1で一致しかつ相違点1で相違する。
<一致点1>
供給される包装シートを支持するシート保持機構と、
出口を有し、上方から落下する薬剤を受け入れて前記薬剤を前記出口から放出するホッパ部材とを備える、薬剤包装装置。
<相違点1>
本件発明1の包装シートは、長手形状で、第1の側に向かって長手方向に沿って供給され、前記第1の側に向かって見たときに上下方向にそれぞれ延在する左側部および右側部を有し、底部が閉じており、
また、ホッパ部材は受け入れた薬剤を包装シートの左側部と右側部との間に導き薬剤を出口から放出し、
さらに、ホッパ部材は、前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されているのに対し、
引用発明1の包装紙は、長手形状で、第1の側に向かって長手方向に沿って供給され、前記第1の側に向かって見たときに上下方向にそれぞれ延在する左側部および右側部を有し、底部が閉じているか不明であり、
また、ホッパは薬剤の受け入れと放出の間に薬剤を包装シートの左側部と右側部との間に導いているか不明であり、
さらに、ホッパは、前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されているか不明である点。
そうすると、本件発明1と引用発明1とは、包装シートの形状、ホッパ部材から放出された薬剤とシートとの位置関係、ホッパ部材の出口部の形状について相違していることが明らかであり、当該相違は形式的な相違ではなく、実質的な相違点である。
したがって、本件発明1は、引用発明1ではない。
b. 相違点1についての検討
相違点1に係る構成を開示する文献は見当たらない。
本件発明1は、当該相違点1に関する構成を有することにより、薬剤がブリッジ状態となったとしても、静止するホッパ部材の壁部と進行する包装シートの右側部または左側部とにより薬剤に回転する向きの力を加えて薬剤を回動させ、ブリッジ状態を解消する(本件特許の発明の詳細な説明の特に段落【0028】を参照されたい。)とされる当業者がいずれの引用文献からも容易に予測することができない格別な作用効果を奏する。
したがって、本件発明1が容易に想到できたとはいえない。
申立人は、上記相違点1に係る構成は引用文献1に記載されている旨、甲1の2号証~甲1の12号証を示しつつ主張している。
しかし、当該相違点に係る構成は引用文献1の図に示されておらず、また、発明の詳細な説明を見ても当該事項を直接的または間接的に示す記載は開示されていない。甲1号証の2―甲1号証の12に示される包装紙の形状、ホッパから放出された薬剤と包装紙との位置関係、ホッパの出口部の形状等これらの書証に朱筆されている事項はいずれも申立人の主張に基づく範疇であり、引用文献1に記載されているに等しい事項とまではいえないし、そうであることの証拠もない。
申立人はまた、次のように主張している。
『上記した様に、本願の請求項1に記載の発明は、実質的に甲第1号証の1に記載の発明と同一であり、本件特許発明1は、新規性を有しない。
また両者の間に相違点があったとしてもそれは甲第2号証の1や甲第3号証に開示されている様に周知の構造に過ぎず、当業者が容易に想定できる範囲のものに過ぎない。例えば、「包装シートを支持するシート保持機構」は、甲第2号証の1や甲第3号証にも開示されている。従って本件特許発明1は、進歩性を有しない。』
しかし、相違点に関する構成、特にホッパ部材は、前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されているという構成、は引用文献2(甲第2号証の1)や引用文献3(甲第3号証)にも開示されていない。(なお、申立人は当該構成が引用文献2に記載されている旨も主張しているが、当該構成は引用文献2に記載されているとは認められない。この点については、引用発明2を主引例とした場合の判断において後述する。)
(イ)引用発明2を主引例とした場合の特許法第29条第1項第3号、及び、同条第2項について
a. 対比
本件発明1と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「包装機」は薬剤を包装するから、本件発明1の「薬剤包装装置」に相当する。
引用発明2の「上面が開き、下端で二つ折りにされた断面V字形状を呈している包装紙」は、本件発明1の「上下方向にそれぞれ延在する左側部および右側部を有し、底部が閉じている包装シート」に相当する。
引用発明2の「ローラ」は、包装紙を搬送する際に包装紙を支持するものであるから、本件発明1の「シート保持機構」に相当する。
引用発明2の「出口を有し、上方から落下する薬剤を受け入れて前記薬剤を前記出口から放出し、包装紙の上面開口から包装紙内に挿入されるノズル」は、包装紙内に挿入されていることで薬剤を包装紙内に導いているから、本件発明1の「出口を有し、上方から落下する薬剤を受け入れて前記包装シートの前記左側部と前記右側部との間に導き、前記薬剤を前記出口から放出するホッパ部材」に相当する。
したがって、両者は、一致点2で一致し、かつ、次の相違点2で相違する。
<一致点2>
長手形状で、第1の側に向かって長手方向に沿って供給され、前記第1の側に向かって見たときに上下方向にそれぞれ延在する左側部および右側部を有し、底部が閉じている包装シートを支持するシート保持機構と、
出口を有し、上方から落下する薬剤を受け入れて前記包装シートの前記左側部と前記右側部との間に導き、前記薬剤を前記出口から放出するホッパ部材とを備える、薬剤包装装置。
<相違点2>
本件発明1のホッパ部材は、前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されているのに対し、引用発明2のノズルは、出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されているか不明である点。
そうすると相違点2は、ホッパ部材の壁部の形状について明らかに相違しているから、形式的な相違点ではなく、実質的な相違点である。したがって、本件発明1と引用発明2ではない。
b. 相違点2についての検討
(a) 相違点2について
相違点2に関するホッパ部材が、前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されているという構成を開示する文献等は他にない。
そして、本件発明1は、相違点2に関する構成を有することにより、薬剤がブリッジ状態となったとしても、静止するホッパ部材の壁部と進行する包装シートの右側部または左側部とにより薬剤に回転する向きの力を加えて薬剤を回動させ、ブリッジ状態を解消するものである。(本件特許の発明の詳細な説明の特に段落【0028】を参照されたい。)したがって当該構成は設計的事項といえるものでもなく、当業者が容易に予測することができない格別な作用効果を奏する。
当該効果を当業者が予測できたと解すべき事情も見当たらない。
申立人は、相違点2に関する構成について、次のように主張している。
『構成要件Cは、「前記ホッパ部材は、前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されている、」である。
甲第2号証の1の図28に図示されたホッパ(ノズル74)は、先端部分が包装紙の中に挿入されている。甲第2号証の1に開示されたホッパの挿入部分は、図29の様に、略三角形の正面壁と、略三角形の右側面壁を有している。他の2面は存在しない。即ち右側面壁に対向する壁は無い。
従って、甲第2号証の2のA-A断面は、甲第2号証の3の様な構成になるはずである。また甲第2号証の1の図28に開示された(ノズル74)に、包装シートを書き加えると、甲第2号証の4の様な構成になる。
これらの図から、甲第2号証の1の薬剤包装装置は、構成要件Cたる「前記ホッパ部材は、前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されている、」構成を備えている。
なお、異議申立人の主張に対して、特許権者は、「右側面壁に対向する左側面壁は、実際にあるのだけれども、ノズル74の四角柱部分の下辺と重なって図示できなかったに過ぎない。」と反論するかもしれない。
しかしながら、この反論は、当を得ない。
甲第2号証の1の各図は、正確なアイソメトリック法に則って描かれたものであり、XY軸は正確に120度、Z軸は垂直に描かれている。
仮に、甲第2号証の1のホッパ(ノズル74)の下端に、左側面壁あるならば、甲第2号証の5の様に、左側面壁が図示されるはずである。
即ち、左側面壁の線は、ノズル74の四角柱部分の下辺とは重ならず、実線で描かれるはずである。従って、甲第2号証の1のホッパ(ノズル74)は、「前記出口の、前記第1の側に向かって左および右のうちの一方においては下方に向かって延在する壁部を備え、他方においては前記壁部に対向する部分がないように開放されている、」と考えるのが自然である。
従って、甲第2号証の1の薬剤包装装置は、本願の構成要件Cを備えている。』
そこで検討する。甲第2号証の1は特許公開公報であって、図28は、特許出願に際しその出願人が作成して添付した図面である。そして、係る添付された図面は、設計図のように寸法や位置関係を正確に描写することを要するものではなく、その特許出願に係る技術的思想をわかりやすく記載しようとしたものであるから、必ずしも申立人が主張する正確さを伴うものではない。加えて、引用文献2(甲第2号証の1)には、ホッパの挿入部分の面壁について記載はなく、図28において(申立人が甲第2号証の5に示す)線分がないからといって、直接関係ない線分の記載を省略した可能性もあるから、ただちに右側面壁に対向する壁が無いとまではいえない。
また、引用文献2は「ノズルを、包装紙の移送方向に対して直交する向きに揺動自在としたので、ホッパー及びノズルの位置と、包装紙の位置とが厳密に一致していなくとも、ノズルがその誤差分揺動して、ノズルの出口と包装紙の位置とを合致させるようになる」(【0006】)ことを目的とするものであり、ノズルの先端の面壁の形状に注目したものではない。よって、申立人の主張は採用できない。
引用文献2の内容を考慮しても、右側面壁に対向する壁はないということが記載されているに等しい事項として把握できるともいえない。
(2)本件発明4-5について
本件発明4-5は、本件発明1に対し発明特定事項の細部をさらに限定したものであるから、本件発明4-5も、引用発明1または引用発明2ではなく、かつ、引用発明1または引用発明2に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。したがって、引用発明1または引用発明2に基づいて当業者が容易に発明することができるものであるとはいえない
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1,4-5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1,4-5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2021-700957