特許異議申立
2021-700860
スタンドおよび自転車
- 審判番号
- 2021-700860
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2016-186397
- 登録番号
- 6839832
- 請求日
- 2021年09月06日
- 審決日
- 2021年11月30日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【異議申立人】末吉 直子
- 審判長/審判官
- 審判長 藤井 昇
- 審判官 畔津 圭介
- 審判官 八木 誠
- 分類
- P1652.113-Y (B62H) / P1652.121-Y (B62H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6839832号発明「スタンドおよび自転車」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6839832号の請求項4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6839832号の請求項1~5に係る特許についての出願(以下「本件特許出願」という。)は、平成28年9月26日にした出願であって、令和3年2月18日に特許権の設定登録がされ、同年3月10日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項4に係る特許に対し、同年9月6日に、特許異議申立人末吉 直子(以下「申立人」という。)より特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
特許第6839832号の請求項1~5に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項4に係る発明は、次のとおりのものである(以下「本件発明」という。)。
「【請求項4】
自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材に足掛け部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地し、
跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置することを特徴とするスタンド。」
第3 申立理由の概要
申立人は、以下の甲第1号証~甲第7号証(以下、それぞれ、「甲1」~「甲7」という。)を提出して、以下の申立理由により請求項4に係る特許を取り消すべきである旨主張する。
1 証拠方法
甲1 :登録実用新案第3087949号公報
甲2 :ヤマハ発動機株式会社,「YAMAHA 電動ハイブリッド自転
車 PAS 総合カタログ’99」,1999年4月,表紙,p
.7及び裏表紙
甲3 :中国実用新案第201427617号明細書
甲3の2:甲3の翻訳文
甲4 :特開平9-277971号公報
甲5 :ブリヂストンサイクル株式会社,「総合パンフレット 2005
P-S01 BICYCLES 2005」,2004年11月
1日,表紙,p.32及び裏表紙
甲6 :「世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料
収集保存事業」,[online],平成28年3月20日,[令和3
年8月5日検索],インターネット<URL:https://web.archive.
org/web/20160320022200/http://showaind.co.jp/seihin/ryouri
tsu/w15.html>
甲7 :「昭和インダストリーズ 409-02282[W-15-26
-ED-BK 26インチ対応 業務用両立スタンド]」,[on
line],平成28年2月20日頃,ヨドバシ・ドット・コム,[
令和3年8月5日検索],インターネット<URL: https://www.y
odobashi.com/product/100000001003034669/>
2 申立理由
(1)本件発明は、甲1に記載された発明、甲2に記載された発明又は甲5に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。したがって、本件発明に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきものである。
(2)本件発明は、甲2に記載された発明、甲3に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、甲4に記載された発明、甲2、5及び6に記載された周知技術及び甲4に記載された事項に基いて、甲5に記載された発明、甲3に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、甲6に記載された発明及び甲4に記載された事項に基いて、又は、甲7に記載された発明及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本件発明に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきものである。
第4 証拠の記載事項等
1 甲1について
(1)記載事項
甲1には図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。
「【請求項1】U字形の棒鋼の上端部から自転車用両立てスタンドの脚の長さに等しい箇所の下方をV形に上向きに折り曲げ、折り曲げ部からやや上部を後方に略直角に折り曲げてコ形支桿3を形成した支脚2の上端を取付板1に鋲着して成る自転車用両立てスタンド。
【請求項2】請求項1により形成したスタンドの支脚2のコ形支桿3の平行桿4の後部をV形に下方に折り曲げて足5を形成して成る自転転車用両立てスタンド。
【請求項3】請求項1または請求項2において形成したスタンドのコ形支桿3の左右の平行桿4及び連結桿6との間に扇状の鉄板7を溶着し、鉄板7の裏面に反射シート8を貼着または平行桿4と連結桿6とに反射器9をクリップ10とバンド11で装着して成る自転車用両立てスタンド。」
「【0004】
【問題を解決するための手段】
本案を図面により説明すれば
1)第1図に於いてU字形の棒鋼の上端部から自転車用両立てスタンド脚の長さに等しい箇所の下方をV形に上向きに折り曲げ、折り曲げ部からやや上部を後方に略直角に折り曲げてコ形支桿3を形成した支脚2の上端を取付板1に鋲着して自転車用スタンドを形成する。
2)第1図に於いて形成したスタンドの支脚2のコ形支桿3の平行桿4の後部をV形に下方に折り曲げて足5を第2図の如く形成する。
3)第1図または第2図の如く形成したスタンドのコ形支桿3の平行桿4及び連結桿6との間の左右三角面に第1図または第2図の如く扇状の鉄板7を溶着し、鉄板7の裏面に反射シート8を貼着する。または平行桿4と連結桿6との間反射器9をクリップ10バンド11とで装着する。
4)第4図は第3図の如く形成した両立てスタンドの後面図を示す。
【0005】
【考案の実施の形態】
本案は自転車用両立てスタンドにおいて支脚1にコ型支桿3を一体的に形成したもの、このコ型支桿3に足5を一体的に形成したもの、コ型支桿3の平行桿4と連結桿6とが成す三角面に反射シート8を貼着したもの並びに平行桿4と連結桿6との間に反射器を装着したものの4種類の形態を創造したもので、第1図、第2図、第3図及び第4図に示す。この何れの両立てスタンドも加工は容である。
【0006】
【考案の効果】
本案により製作した自転車用両立てスタンドを自転車に装着すれば次のような有用な効果を得ることができる。
1)コ型支桿3だけを形成したスタンドは停車して自転車を立てるときコ型支桿3の連結桿6を踏めば自然に体重が掛かり軽々と立てることができる。実験によればコ型支桿3なしの場合は荷台を引っ張る力は約8kg要するが本案の場合は体重を掛けるだけでよく引っ張る力は必要ないので、女子や老年者でもスタンド立てが非常に楽である。
2)コ型支桿3に足5を形成したスタンドは立てたとき地面に4点支持のため、ふらつきが無く後方よりまた横方より外力が掛かっても容易に転倒しないので駅前などに駐車するのに便利である。また自転車が安定するので荷物の積み降ろしが楽である。
3)夜間自転車で走行するときスタンドの支脚2が水平に保持され、反射シートまたは反射器が地面に直角に位置するので自動車のライトを反射し自転車の存在が視認され安全を確保される。」
【図1】
[図:0001384188000001.jpg]
【図2】
[図:0001384188000002.jpg]
(2)認定事項
ア 技術常識からみて、図2の自転車用スタンドが、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在であることは明らかである。
イ 段落【0004】の下線部の記載及び図2から、自転車用スタンドが、U字形の棒鋼の上端部から自転車用両立てスタンド脚の長さに等しい箇所の下方をV形に上向きに折り曲げ、折り曲げ部からやや上部を後方に略直角に折り曲げてコ形支桿3を形成し、コ形支桿3の平行桿4の後部をV形に下方に折り曲げて足5を形成していることが特定できる。
ウ 請求項3の下線部の記載及び図2から、コ形支桿3は、左右の平行桿4及び該左右の平行桿4の端部間に設けられた連結桿6からなり、コ形支桿3の左右の平行桿4及び連結桿6との間に扇状の鉄板7を溶着することが特定できる。
エ 段落【0006】の下線部の記載及び図2から、図2の自転車用スタンドは、立てたときに左右一対の折り曲げ部及び左右一対の足5により地面に4点支持されることが特定できる。
(3)甲1発明
上記(1)及び(2)から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「 起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である自転車用スタンドであって、
U字形の棒鋼の上端部から自転車用両立てスタンド脚の長さに等しい箇所の下方をV形に上向きに折り曲げ、折り曲げ部からやや上部を後方に略直角に折り曲げてコ形支桿3を形成し、
コ形支桿3は、左右の平行桿4及び該左右の平行桿4の端部間に設けられた連結桿6からなり、コ形支桿3の左右の平行桿4及び連結桿6との間に扇状の鉄板7を溶着し、
コ形支桿3の平行桿4の後部をV形に下方に折り曲げて足5を形成し、
立てたときに左右一対の折り曲げ部及び左右一対の足5により地面に4点支持される、
自転車用スタンド。」
2 甲2について
(1)記載事項
甲2の第7ページの図面は以下のとおりである。
[図:0001384188000003.jpg]
(以下「図1」という。)
[図:0001384188000004.jpg]
(以下「図2」という。部材名等は当審が付加した。)
(2)認定事項
ア 図1、2から、図示されたスタンドが、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である自転車用スタンドであることが特定できる。
イ 図2から、スタンドは、接地部材(楕円で囲まれた部位)を有することが特定できる。また、該接地部材のうち、両端部付近は接地片といえ、両接地片間の地面に対して浮いた部位は連結片といえる。
ウ 上記イも踏まえると、図2から、スタンドは、左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材にU字状部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地することが特定できる。
(3)甲2発明
上記(1)及び(2)から、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「 起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である自転車用スタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材にU字状部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地する、
自転車用スタンド。」
3 甲3について
(1)記載事項
甲3には図面とともに以下の事項が記載されている。なお、{ }内は当審が作成した翻訳文である。
ア (明細書第1ページ第2~4行)
「
[図:0001384188000005.jpg]
」
{ 技術分野
本実用新案は、電動車領域に属し、電動車スタンド、特に踏板を備える電動車スタンドに関する。}
イ (明細書第2ページ第10~15行)
「
[図:0001384188000006.jpg]
」
{実施例1:図1、図2に示されるように、本実施例は、積載鉄板スタンドに適している。
踏板を備える電動車スタンドは、支持ロッド2、ロックプレート1を備える。支持ロッドのうちロックプレート側のボトムサポート側辺の部分には踏板3が固定され、当該踏板は鉄筋によって半円又は円弧状に形成され、かつ溶接方式によって支持ロッドのボトムサポート側辺に水平固定され得る。踏板の強度を向上させ、人々による踏む感覚を向上させ、摩擦力を増加させるために、踏板内には横梁4が横方向に固定され、当該横梁の数量は需要に応じて設定され、本実施例では2つであり、当該横梁と踏板との固定にも、溶接方式が採用されている。}
【図1】
[図:0001384188000007.jpg]
【図2】
[図:0001384188000008.jpg]
4 甲4について
(1)記載事項
甲4には図面とともに以下の事項が記載されている。
「【請求項1】自転車の後輪軸部に装着される両脚スタンドにおいて、脚部の先端部位に当該脚部と略直角に脚部の外側に棒状体を張り出してステップ部を形成したことを特徴とする自転車用スタンド。」
「【0002】
【従来の技術】自転車における従来の両足スタンドは、1本の金属棒を曲げて作られている。図6はその一例を示す正面図であり、図7はその側面図である。図中、符号1はスタンドであり、脚部2と接地部3とが一本の金属棒を折り曲げて形成され、接地部3が幅方向に拡げられた形状をしている。一方、脚部2の両先端はプレス等によって平板状の取付部4とされ、これが取付主板5との間で回転可能に枢着されている。そしてこの脚部2の外側にはフック6が装着され、これにばね7の下端を懸架すると共に、その上端を取付主板5のフック部8に懸架されてスタンドが構成されている。
【0003】さて、図8はこのスタンド1を自転車の後輪軸に装着した際の上面図であるが、スタンド1の操作方法としては脚部2の幅方向に広げられた部位又はこれに極く近い個所に人の足をひっかけて下に降ろし、これを接地させてから車体を上に持ち上げ自転車が自立できるように操作していた。
・・・
【0012】さて、図3はかかる自転車用スタンドを自転車の後輪軸に装着された際の上面図であるが、このスタンド1の操作方法としてはステップ部13を踏んで下に降ろし、接地させてから車体を持ち上げてスタンドで自転車が自立できるように操作することになる。
【0013】従来のスタンドの操作時にあってはスタンドより足がはずれてしまうことがあったが、本発明のスタンドにあってはステップ部13を足で踏むことができるため確実に操作ができることとなる。更に、スタンドを操作する人の両足間隔は従来のスタンドの操作の場合と比べるとかなりせまくてよいこととなる。図3の場合と比べると距離L(L=L1-L2)だけ足の間隔はせまくてすむもので、このため操作する人はハンドルを充分おさえながらの操作が可能でありその安全性は極めて高い。」
【図1】
[図:0001384188000009.jpg]
【図6】
[図:0001384188000010.jpg]
【図3】
[図:0001384188000011.jpg]
【図8】
[図:0001384188000012.jpg]
(2)認定事項
ア 段落【0002】の「脚部2の両先端はプレス等によって平板状の取付部4とされ、これが取付主板5との間で回転可能に枢着されている。」との記載、図6、8から、スタンド1が、自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在であることが特定できる。
イ 図6から、接地部3が、両脚部2から延びる左右一対の接地部位と両接地部位の端部間に設けられた連結部位とを有することが特定できる。
(3)甲4発明
上記(1)、(2)から、甲4には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「 自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である両足スタンド1であって、
脚部2と接地部3とが一本の金属棒を折り曲げて形成され、接地部3が幅方向に拡げられた形状をし、
接地部3が、両脚部2から延びる左右一対の接地部位と両接地部位の端部間に設けられた連結部位とを有する、
両足スタンド1。」
5 甲5について
(1)記載事項
甲5の第32ページの図面は以下のとおりである。
[図:0001384188000013.jpg]
(以下「図1」という。)
[図:0001384188000014.jpg]
(以下「図2」という。部材名等は当審が付加した。)
(2)認定事項
ア 図1、2から、図示されたスタンドが、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である自転車用スタンドであることが特定できる。
イ 図2から、スタンドは、接地部材(楕円で囲まれた部位)を有することが特定できる。また、該接地部材のうち、両端部付近は接地片といえ、両接地片間の地面に対して浮いた部位は連結片といえる。
ウ 上記イも踏まえると、図2から、スタンドは、左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材にU字状部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地することが特定できる。
(3)甲5発明
上記(1)及び(2)から、甲5には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されていると認められる。
「 起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である自転車用スタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材にU字状部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地する、
自転車用スタンド。」
6 甲6について
(1)記載事項
甲6には図面とともに以下の事項が記載されている。
ア
「新聞やメール便、チラシなどの配達で自転車を使われる方に最適!
耐久性・安定性・操作性に優れた業務用両立スタンドです。」(図面上部)
イ
[図:0001384188000015.jpg]
(部材名等は当審が付加した。)
(2)認定事項
ア 上記「(1)ア」の下線部の記載、図面及び技術常識から、図示された業務用両立スタンドが、自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在な業務用両立スタンドであることが特定できる。
イ 上記「(1)イ」の図面から、左右一対の「接地片」及び「連結片」とで接地部材が構成されているといえる。
ウ 上記「(1)イ」の図面及び上記イから、業務用両立スタンドが、左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材にU字状部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地することが特定できる。
(3)甲6発明
上記(1)及び(2)から、甲6には、以下の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されていると認められる。
「 自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在な業務用両立スタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材にU字状部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地する、
業務用両立スタンド。」
7 甲7について
(1)記載事項
甲7には図面とともに以下の事項が記載されている。
ア
「409-02282[W-15-26-ED-BK 26インチ対応 業務用両立スタンド]」(図面右第2行)
「販売開始日:2016/02/20」(図面右第10行)
イ
[図:0001384188000016.jpg]
(部材名等は当審が付加した。)
(2)認定事項
ア 上記「(1)ア」の下線部の記載、図面及び技術常識から、図示された業務用両立スタンドが、自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在な業務用両立スタンドであることが特定できる。
イ 上記「(1)イ」の図面から、左右一対の「接地片」及び「連結片」とで接地部材が構成されているといえる。
ウ 上記「(1)イ」の図面及び上記イから、業務用両立スタンドが、左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材にU字状部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地することが特定できる。
(3)甲7発明
上記「(1)ア」の「販売開始日:2016/02/20」との記載から、甲7は、本件特許出願(出願日:平成28年9月26日)前に公開されていると推認される。
そして、上記(1)及び(2)から、甲7には、以下の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されていると認められる。
「 自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在な業務用両立スタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材にU字状部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地する、
業務用両立スタンド。」
第5 当審の判断
1 甲1発明を主引用発明とした場合
(1)対比
本件発明と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である自転車用スタンド」は、本件発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンド」に相当する。
イ 甲1発明の「自転車用スタンド」は「左右一対の折り曲げ部及び左右一対の足5により地面に4点支持される」から、「左右一対の折り曲げ部」及び「左右一対の足5」が接地することは明らかである。
ウ 甲1発明の「U字形の棒鋼の上端部から自転車用両立てスタンド脚の長さに等しい箇所の下方」までの部位は、本件発明の「左右一対の脚部材」に相当する。また、甲1発明の「折り曲げ部」及び「足5」を「形成し」た「コ形支桿3」とで構成されるものは、上記イも踏まえると本件発明1の「接地部材」に相当する。
エ 甲1発明の「自転車用スタンド」が「U字形の棒鋼の上端部から自転車用両立てスタンド脚の長さに等しい箇所の下方をV形に上向きに折り曲げ」、「折り曲げ部からやや上部を後方に略直角に折り曲げてコ形支桿3を形成し」ていることは、上記ア及びウも踏まえると本件発明の「スタンド」が「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し」ていることに相当する。
オ 甲1発明の「扇状の鉄板7」は、甲1の第2図も踏まえると、駐輪時に足を掛けることができるものと認められるから、本件発明の「足掛部材」に相当する。そして、甲1発明の「コ形支桿3の左右の平行桿4及び連結桿6との間に扇状の鉄板7を溶着し」ていることは、上記ウも踏まえると本件発明の「接地部材に足掛部材が設けられ」ることに相当する。
カ 甲1発明の「折り曲げ部」及び「足5を形成し」た「平行桿4」とで構成されるものは、上記イも踏まえると本件発明の「接地片」に相当する。また、甲1発明の「連結桿6」は、本件発明の「連結片」に相当する。
キ 甲1発明の「U字形の棒鋼の上端部から自転車用両立てスタンド脚の長さに等しい箇所の下方をV形に上向きに折り曲げ」、「折り曲げ部からやや上部を後方に略直角に折り曲げてコ形支桿3を形成し」、「コ形支桿3は、左右の平行桿4及び該左右の平行桿4の端部間に設けられた連結桿6からな」り「コ形支桿3の平行桿4の後部をV形に下方に折り曲げて足5を形成し」ていることは、上記ウ及びカも踏まえると本件発明の「接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有」することに相当する。
ク 甲1発明の「自転車用スタンド」が、「折り曲げ部」及び「足5」を「形成し」た「コ形支桿3」を有し、「立てたときに地面に4点支持される」ことは、上記ウも踏まえると本件発明の「起立位置において、接地部材が接地」することに相当する。
以上のことから、本件発明と甲1発明との一致点、相違点は次のとおりと認められる。
<一致点1>
「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材に足掛部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
起立位置において、接地部材が接地する、
スタンド。」
<相違点1>
上記「足掛部材」に関して、本件発明では「足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ」、「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」のに対して、甲1発明では、「コ形支桿3の左右の平行桿4及び連結桿6との間に扇状の鉄板7を溶着し」ている点。
(2)判断
甲1の図2も踏まえると、甲1発明の「扇状の鉄板7」は、その2つの半径部分が、それぞれ、平行桿4及び連結桿6に溶着している。当該2つの半径部分は、互いに連なっていることから、「扇状の鉄板7」の「一端」ないし「他端」とは言い難い。
また、「扇状の鉄板7」が、跳ね上げ位置において、「折り曲げ部」及び「足5」を「形成し」た「コ形支桿3」とで構成されるものよりも前方に位置することは甲1には記載されていないし、甲1の図2からも看取できない。
したがって、上記相違点1は、実質的な相違点であるので、本件発明は甲1発明であるということはできない。
2 甲2発明を主引用発明とした場合
(1)対比
本件発明と甲2発明とを対比する。
ア 甲2発明の「起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である自転車用スタンド」は、本件発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンド」に相当する。
イ 甲2発明の「U字状部材」は、甲2の図2も踏まえると、駐輪時に足を掛けることができるものと認められるから、本件発明の「足掛部材」に相当する。
ウ 甲2発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材にU字状部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地する」ことは、上記イも踏まえると本件発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材に足掛け部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地」することに相当する。
以上のことから、本件発明と甲2発明との一致点、相違点は次のとおりと認められる。
<一致点2>
「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材に足掛け部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地する、
スタンド。」
<相違点2>
本件発明は「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」のに対して、甲2発明はそのように特定されているか明らかでない点。
(2)判断
ア
甲2発明は、上記「第4 2 (3)」で認定したとおりであるが、上記相違点2に関連して、甲2に記載された事項についてさらに検討する。
甲2の図2からもわかるように、接地部材のうち連結片は地面に対して浮いていることから、跳ね上げ位置において、連結片は接地片より前方に位置することがわかる。すなわち、跳ね上げ位置において、接地部材のうち最も前方に位置する部位は連結片である。
そして、甲2の図1を見ると、「U字状部材」は、跳ね上げ位置において、接地片から延びる部位は、やや前方に傾斜して上向きに延びているものの、連結片から延びる部位は、鉛直方向上向きに延びており前方側に傾斜して延びているとは認められない。
このことから、甲2発明の「U字状部材」は、跳ね上げ位置において、接地部材のうち最も前方に位置する部位である連結片より前方に位置する、すなわち接地部材より前方に位置すると認めることはできない。
したがって、上記相違点2は、実質的な相違点であるので、本件発明は甲2発明であるということはできない。
イ
甲2には、跳ね上げ位置において、U字状部材を接地部材より前方に位置するようにする動機付けの根拠となる事項は記載も示唆もされていない。
また、甲3の記載は、上記「第4 3 甲3について」のとおりであり、上記相違点2に係る本件発明の構成を開示していない。
甲4には、段落【0013】の「スタンドを操作する人の両足間隔は従来のスタンドの操作の場合と比べるとかなりせまくてよいこととなる。図3の場合と比べると距離L(L=L1-L2)だけ足の間隔はせまくてすむもので、このため操作する人はハンドルを充分おさえながらの操作が可能でありその安全性は極めて高い。」との記載及び図3から、自転車のスタンドを操作するときに、操作する人の両足間隔がせまくてすむと安全性が高いことが記載されているといえる。
しかしながら、甲4において、自転車のスタンドを操作するときに、操作する人の両足間隔をせまくするための構成は、甲4の請求項1(上記「第4 4 (1)」参照)で特定されているように「脚部の先端部位に当該脚部と略直角に脚部の外側に棒状体を張り出してステップ部を形成」することであって、上記相違点2に係る本件発明の構成のように「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」ようにするものではない。
以上のことから、甲2発明に甲3及び甲4に記載された事項を適用しても、上記相違点2に係る本件発明の構成には至らない。
したがって、本件発明は、甲2発明、甲3に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 甲4発明を主引用発明とした場合
(1)本件発明との対比
本件発明と甲4発明とを対比する。
ア 甲4発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である両足スタンド1」は、本件発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンド」に相当する。
イ 甲4発明の「脚部2」及び「接地部3」は、それぞれ、本件発明の「脚部材」及び「接地部材」に相当する。
ウ 甲4発明の「両足スタンド1」の「脚部2と接地部3とが一本の金属棒を折り曲げて形成され、接地部3が幅方向に拡げられた形状をし」、「接地部3が、両脚部2から延びる左右一対の接地部位と両接地部位の端部間に設けられた連結部位とを有し」ていることは、上記イも踏まえると本件発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し」、「接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し」ていることに相当する。
エ 甲4発明の「起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である両足スタンド1」の「接地部3」が「起立位置」において接地することは明らかである。そうすると、甲4発明のかかる構成は、上記イも踏まえると本件発明の「起立位置において、接地部材が接地」することに相当する。
以上のことから、本件発明と甲4発明との一致点、相違点は次のとおりと認められる。
<一致点4>
「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
起立位置において、接地部材が接地する、
スタンド。」
<相違点4>
本件発明では、「接地部材に足掛け部材が設けられ」、「足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ」、「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」のに対して、甲4発明では、そのように特定されていない点。
(2)判断
上記相違点4について検討する。
ア
自転車の両立スタンドの技術分野において、接地部材から起立位置における自転車後方側に延び出すようにU字状部材を設けることは周知技術であるといえる(甲2の図2、甲5の図2、甲6の図面参照)。
しかしながら、上記周知技術のU字状部材が本件発明の「足掛け部材」に相当するとしても、跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置することまでが、周知技術であるということはできない。
イ 甲4の記載について、上記「2(2)イ」で述べたように、自転車のスタンドを操作するときに、操作する人の両足間隔をせまくするための構成は、甲4の請求項1(上記「第4 4 (1)」参照)で特定されているように「脚部の先端部位に当該脚部と略直角に脚部の外側に棒状体を張り出してステップ部を形成」することであって、上記相違点4に係る本件発明の構成のように「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」ようにするものではない。
ウ
以上のことから、甲4発明に上記周知技術(甲2、5、6)及び甲4に記載された事項を適用しても、上記相違点4に係る本件発明の構成のうち、少なくとも「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」との構成には至らない。
したがって、本件発明は、甲4発明、周知技術(甲2、5、6)及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 甲5発明を主引用発明とした場合
(1)対比
本件発明と甲5発明とを対比する。
ア 甲5発明の「起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在である自転車用スタンド」は、本件発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンド」に相当する。
イ 甲5発明の「U字状部材」は、甲5の図2も踏まえると、駐輪時に足を掛けることができるものと認められるから、本件発明の「足掛部材」に相当する。
ウ 甲5発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材にU字状部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地する」ことは、上記イも踏まえると本件発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材に足掛け部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地」することに相当する。
以上のことから、本件発明と甲5発明との一致点、相違点は次のとおりと認められる。
<一致点5>
「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材に足掛け部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地する、
スタンド。」
<相違点5>
本件発明は「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」のに対して、甲5発明はそのように特定されていない点。
(2)判断
ア
甲5発明は、上記「第4 5 (3)」で認定したとおりであるが、上記相違点5に関連して、甲5に記載された事項についてさらに検討する。
甲5の図2からもわかるように、接地部材のうち連結片は地面に対して浮いていることから、跳ね上げ位置において、連結片は接地片より前方に位置することがわかる。すなわち、跳ね上げ位置において、接地部材のうち最も前方に位置する部位は連結片である。
そして、甲5の図1を見ると、跳ね上げ位置において、「U字状部材」は、連結片から略鉛直方向上向きに延びており、当該図1においてスタンドは完全な側方視ではなく、やや前方から写されていることも踏まえると、前方側に傾斜して延びているとまでは認められない。
このことから、「U字状部材」は、跳ね上げ位置において、接地部材のうち最も前方に位置する部位である連結片より前方に位置する、すなわち接地部材より前方に位置すると認めることはできない。
したがって、上記相違点5は、実質的な相違点であるので、本件発明は甲5発明であるということはできない。
イ
甲5には、跳ね上げ位置において、U字状部材を接地部材より前方に位置するようにする動機付けの根拠となる事項は記載も示唆もされていない。
また、甲3の記載は、上記「第4 3 甲3について」のとおりであり、上記相違点5に係る本件発明の構成を開示していない。
そして、甲4の記載について、上記「2(2)イ」で述べたように、自転車のスタンドを操作するときに、操作する人の両足間隔をせまくするための構成は、甲4の請求項1(上記「第4 4 (1)」参照)で特定されているように「脚部の先端部位に当該脚部と略直角に脚部の外側に棒状体を張り出してステップ部を形成」することであって、上記相違点5に係る本件発明の構成のように「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」ようにするものではない。
以上のことから、甲5発明に甲3及び甲4に記載された事項を適用しても、上記相違点5に係る本件発明の構成には至らない。
したがって、本件発明は、甲5発明、甲3に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
5 甲6発明を主引用発明とした場合
(1)対比
本件発明と甲6発明とを対比する。
ア 甲6発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在な業務用両立スタンド」は、本件発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンド」に相当する。
イ 甲6発明の「U字状部材」は、甲6の図2も踏まえると、駐輪時に足を掛けることができるものと認められるから、本件発明の「足掛部材」に相当する。
ウ 甲6発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材にU字状部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地する」ことは、上記イも踏まえると本件発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材に足掛け部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地」することに相当する。
以上のことから、本件発明と甲6発明との一致点、相違点は次のとおりと認められる。
<一致点6>
「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材に足掛け部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地する、
スタンド。」
<相違点6>
本件発明は「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」のに対して、甲6発明はそのように特定されていない点。
(2)判断
上記相違点6について検討する。
甲4の記載について、上記「2(2)イ」で述べたように、自転車のスタンドを操作するときに、操作する人の両足間隔をせまくするための構成は、甲4の請求項1(上記「第4 4 (1)」参照)で特定されているように「脚部の先端部位に当該脚部と略直角に脚部の外側に棒状体を張り出してステップ部を形成」することであって、上記相違点6に係る本件発明の構成のように「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」ようにするものではない。
そうすると、甲6発明に甲4に記載された事項を適用しても、上記相違点6に係る本件発明の構成には至らない。
したがって、本件発明は、甲6発明及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 甲7発明を主引用発明とした場合
(1)対比
本件発明と甲7発明とを対比する。
ア 甲7発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在な業務用両立スタンド」は、本件発明の「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンド」に相当する。
イ 甲7発明の「U字状部材」は、甲7の図2も踏まえると、駐輪時に足を掛けることができるものと認められるから、本件発明の「足掛部材」に相当する。
ウ 甲7発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材にU字状部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、U字状部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地する」ことは、上記イも踏まえると本件発明の「左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、接地部材に足掛け部材が設けられ、接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、起立位置において、接地部材が接地」することに相当する。
以上のことから、本件発明と甲7発明との一致点、相違点は次のとおりと認められる。
<一致点7>
「自転車に取り付けられ、起立位置と、跳ね上げ位置とに回動自在なスタンドであって、
左右一対の脚部材と、両脚部材の先端部間に設けられた接地部材とを有し、
接地部材に足掛け部材が設けられ、
接地部材は、両脚部材から延びる左右一対の接地片と、両接地片の端部間に設けられた連結片とを有し、
足掛け部材は、一端が一方の接地片に取り付けられるとともに、他端が連結片に取り付けられ、
起立位置において、接地部材が接地する、
スタンド。」
<相違点7>
本件発明は「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」のに対して、甲7発明はそのように特定されていない点。
(2)判断
上記相違点7について検討する。
甲4の記載について、上記「2(2)イ」で述べたように、自転車のスタンドを操作するときに、操作する人の両足間隔をせまくするための構成は、甲4の請求項1(上記「第4 4 (1)」参照)で特定されているように「脚部の先端部位に当該脚部と略直角に脚部の外側に棒状体を張り出してステップ部を形成」することであって、上記相違点7に係る本件発明の構成のように「跳ね上げ位置において、足掛け部材が接地部材よりも前方に位置する」ようにするものではない。
そうすると、甲7発明に甲4に記載された事項を適用しても、上記相違点7に係る本件発明の構成には至らない。
したがって、本件発明は、甲7発明及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-700860