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商標取消審判

2021-301010

ビスタラ

審判番号
2021-301010
法域
商標
審判種別
取消審判(商標取消の審決)
出願番号
商願2015-115565
登録番号
5844900
請求日
2021年12月17日
審決日
2024年07月04日
公報発行日
2024年12月27日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【請求人】タタ シア エアラインズ リミテッド
  • 【請求人代理人】蔵田 昌俊
  • 【請求人代理人】小出 俊實
  • 【請求人代理人】幡 茂良
  • 【請求人代理人】橋本 良樹
  • 【被請求人】オ、コン ウ
  • 【被請求人代理人】新保 斉
審判長/審判官
  • 審判長 高野 和行
  • 審判官 大森 友子
  • 審判官 板谷 玲子
分類
T132 .1 -Z (W39)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
商標法50条
条文(本文から自動抽出・参考)
商標法第3条第1項、商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第7号、商標法第50条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

上記当事者間の登録第5844900号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 登録第5844900号商標の指定役務中、第39類「旅行に関連する相談及び予約,旅行者のための座席の予約,個人及び団体のための旅行の手配,パッケージホリデイ用の観光旅行・巡航の企画及び実施,旅行者の輸送,輸送の予約,航空券の予約の取次ぎ,物品の配達」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。

理由

理 由 第1 本件商標 本件登録第5844900号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2015年(平成27年)9月22日に大韓民国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して平成27年11月25日に登録出願、第39類「旅行に関連する相談及び予約,旅行者のための座席の予約,オンラインによる旅行・ツアーに関する情報の提供,旅行に関する情報の提供,個人及び団体のための旅行の手配,パッケージホリデイ用の観光旅行・巡航の企画及び実施,旅行者の輸送,輸送の予約,航空券の予約の取次ぎ,物品の配達」を指定役務として、同28年4月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和4年1月7日である。 なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成31年(2019年)1月7日ないし令和4年(2022年)1月6日である(以下「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中、第39類「旅行に関連する相談及び予約,旅行者のための座席の予約,個人及び団体のための旅行の手配,パッケージホリデイ用の観光旅行・巡航の企画及び実施,旅行者の輸送,輸送の予約,航空券の予約の取次ぎ,物品の配達」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 商標権者(被請求人)、請求人及び商標VISTARAについて (1)商標権者(被請求人)について 商標権者は韓国在住の韓国人であり、日本においては本件商標の指定役務を提供する営業所、店舗等は有していない。 商標権者はネット上において「航空便検索エンジンの提供」のサービスを日本においても提供しているかのような体裁を取っているが、日本国内にてかかるサービスを提供しているといえるかどうかは極めて疑問であり、商標法上の商標の使用としての評価には値しない。 (2)請求人について 請求人は、シンガポール航空とTATA Sons Limitedとの合弁企業であり、2013年に設立されたものである(甲3)。請求人が航空関連サービスに使用する商標として、商標VISTARAを採用したのが2014年であり、それらの事業を開始したのは2015年で、その展開するビジネスは航空関係全般に及ぶものである(甲3)。 したがって、商標VISTARAについては、請求人が商標権者よりも先使用であったことは明らかである。 請求人は、商標VISTARAをインドのほか世界25カ国において、商標登録を得ている。さらに、請求人は、世界各国において国際的に商標VISTARAに関する宣伝広告を行っている。商標VISTARAに関する国際的な幅広い使用により、インドの裁判所は、商標VISTARAは周知商標であり、商標VISTARAを関連のない役務について使用した場合であっても、出所混同や誤認を生じると判決を下している。日本においては、2014年及び2016年に幅広い商品、役務を指定商品、指定役務として商標登録を得ている。また、第39類に関するサービスについても、日本への登録出願は間もなく行う意向でいたものである。 (3)商標VISTARAについて 商標権者は、請求人が第39類への登録出願の時期を検討している間に、これを奇貨として本件商標を第39類に登録出願したものと推定される。本件商標を構成するVISTARAは極めて特殊な用語であり、通常の英語辞書等にも出てこない用語である。この語の由来はサンスクリット語の「VISTAAR」にあり、「無限の広がり」のような意味合いを有する語(甲3)であるが、通常の日本人及び韓国人が一般に思いつくような用語ではない。 しかるに、請求人が、2015年7月に株式会社エア・システムと契約を締結し、日本地区総代理店とし(甲3)、商標VISTARAを使用して「航空券予約」等のサービスを開始したところ、商標権者は本件商標に基づき使用中止の警告書を送付(2021年8月25日)してきた(甲4)。 しかしながら、このような使用実態を備えない商標権によって、本来商標VISTARAについて正当に使用する権利を有する請求人がその使用を妨げられるべき理由は存在しない。 3 答弁に対する弁駁 (1)商標の使用の主体について 乙第1号証を見る限り、そのどこにも当該サービスの提供者として商標権者の表示はない。 したがって、乙第1号証からは、商標権者が本件商標を使用していることは、証明されていない。 また、その他に専用使用権者又は通常使用権者と認められる表示もないことから、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用していることも、証明されていない。 (2)第39類「航空券の予約の取次ぎ」についての使用(乙1)について ア 乙第1号証において、2葉目の希望の情報を入力する画面と思われる「TicketSearch」の画面と検索結果と思われる3葉目の画面では、目的地及び出発日の表示が一致していない。 つまり、これらの希望の情報を入力する画面とその検索結果と思われる画面は、互いに関係のない画面の寄せ集めであり、本当に、希望の情報を入力すると、その希望に応じた航空券の情報が検索できるように作動するものとはいえない。 また、検索結果と思われる乙第1号証の3葉目及び4葉目の画面から、航空チケットを購入できるサイトに遷移して、実際に航空券チケットを購入できるか否かについても不明である。 したがって、これらのことから、商標権者が、本件商標を第39類「航空券の予約の取次ぎ」について使用していることは証明されていない。 イ 本件商標は、ハングル文字を大きく、「VISTARA」の英文字をより小さく表示しているものであるのに対して、被請求人が、乙第1号証で、使用を主張している商標(別掲2、以下「使用商標」という。)は、ハングル文字を小さく、「VISTARA」の英文字をより大きく表示しているものであり、外観の印象が極めて異なる。 さらには、使用商標は、本件商標の構成に含まれていない「ビスタラJPN」の文字を含んでいる。 この「ビスタラJPN」の文字は、本件の指定役務との関係で識別力が弱いと認められるものでもなく、本件商標の識別力を有する一部を構成しているものと見るべきであるから、これを省略して観察してよいということにはならない。 したがって、使用商標は、常に、ハングル文字、「VISTARA」の英文字、「ビスタラJPN」の文字を三段書きにしたものと認識されるのに対して、本件商標は、ハングル文字と「VISTARA」の英文字のみを二段書きにしたものであるという差異も認められる。 以上のことから、使用商標は、本件商標とは異なるものであり、本件商標と社会通念上同一の商標の使用ともいえない。 ウ 乙第1号証の1葉目の中央部において、「いつでも無料」のタイトルが表示されており、下部の「負担のない予約」のタイトルの右側において、「検索や予約は常に無料です」と表示していることから、商標権者が実際に事業収入を得ているかも疑問である上に、かかる使用が商標権者としての責任を伴って市場で使用されているとは言い難く、本件商標の見せかけの使用ではないかとの非難も免れない。 エ 被請求人が使用を主張している役務は、本質的に「航空便検索エンジンの提供」といえる。 この「航空便検索エンジンの提供」は、特許情報プラットホーム(J-PlatPat)の商品・役務名検索のリストに掲載されている「検索エンジンの提供」や「インターネット用検索エンジンの提供」に属する役務であると理解できるところ、当該役務は、そもそも第42類に分類されているものであり、被請求人が主張している第39類「航空券の予約の取次ぎ」には該当しない(甲5)。 したがって、被請求人が使用を主張している役務は、そもそも被請求人が使用を証明すべき役務とは異なるものである。 (3)「要証期間内での使用」について ア 請求人は、被請求人が2021年8月25日付の警告書(甲4)において、日本にて航空券検索プラットフォームを運営していることを主張していたことに対して、その「vistara.jp」のホームページにアクセスを試みたものの、ブロックされ、当該ホームページにはアクセスできなかった。 言い換えれば、要証期間内にそのホームページが日本で存在し、かかるサービスが提供されていたことを認めているものではない。 このことからも、請求人は、被請求人の警告書における主張は、ネット上において「航空便検索エンジンの提供」のサービスを日本においても提供しているかのような体裁を取っているものであり、日本国内においてかかるサービスを提供していると言えるかどうかは極めて疑問であり、商標法上の商標の使用としての評価には値しないと判断した。 イ 乙第2号証に、何らかのホームページの構築をしていることが示されていたとしても、ホームページを「構築すること」と、実際にホームページをインターネット上で「公開すること」は別のことである。 また、乙第2号証が、本当に乙第1号証のホームページを構築しているかも明確ではない。 したがって、乙第2号証は、要証期間内に、実際に乙第1号証のホームページがインターネット上で存在していたことを証明するものではない。 ウ 乙第1号証に係るホームページの画面は、2022年4月1日時点で印刷されたことが理解できるところ、この日付は、本件の要証期間より後の日付である。 エ 以上述べてきたことから、被請求人が提出している乙第1号証及び乙第2号証によっては、「要証期間内での使用」は証明されていない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書、令和4年9月28日付け上申書、同5年12月15日付け審尋に対する同6年2月9日付け回答書並びに同年3月26日受付け及び同年4月25日受付け上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証を提出した。 1 本件商標の指定役務中、第39類「航空券の予約の取次ぎ」について、本件商標は、要証期間に商標権者によって使用されている。 2 商標権者の事業概要 商標権者は、2014年9月に韓国ソウル特別市で事業を実施しており、インターネット上で、大韓民国及び日本の潜在顧客を対象として、主に航空券の購入のための情報提供、航空券の予約の取次ぎや旅行相談などの提供(以下「本件サービス」という。)をしている。本件サービスのために、当該商標を使用している。 同事業では、大韓民国の潜在顧客向けのサービスを2014年9月に開始した。 次に、大韓民国の潜在顧客向けのサービスに加えて、日本の潜在顧客向けのサービスを2016年5月に開始している。日本の潜在顧客向けの本件サービスのホームページ(以下「本件HP」という。)では、日本語による案内をしている。本件HPのアドレスも、vistara.jpとしており、本件商標を構成する「VISTARA」の文字を含むものである。本件サービスの特徴の1つとして、日本人にはあまり知られていないであろう、大韓民国の地方都市と日本の主要都市の間の移動手段について、旅行・航空券情報を提示して、購入までを誘引できるものとしている。それらの都市に加えて、数多くの都市間の移動・旅行に関する情報の提供をしている。 3 商標法上の使用 今日の情報通信社会においてはリアルな店舗を構えることにはそれほど価値はなく、むしろ店舗維持経費を削減して利用者に安価なサービスを提供することや日本全国、24時間でのサービスを提供できる利点が大きい。また、昨今のコロナ禍においてはリアルな店舗等において対面での接客をするよりも、インターネット上で非対面での営業を推奨されている面もある。 したがって、それらのサービスを提供する営業所、店舗等を有していないことは何らの非難されるいわれはなく、商標法上の使用であるとの判断に何らの影響を及ぼすものではない。 ちなみに、商標権者は、本件HPによる航空券の予約の取次ぎによって、事業収入も得ており、「単なる体裁をとっているもの」ではない。 4 本件商標の使用について (1)使用商標の使用者について 本件HPのコンタクト先のページを見ると、連絡先として、電子メールアドレスとともに住所を記載しており(乙7)、この住所は、商標権者の住所と一致する(乙8)。このことから、本件HPは商標権者の提供によるものと裏付けされる。 また、合議体においても、本件HPのアドレスの存在は認められているところ、被請求人は、本件HPの構築のための様々な情報を入力等していたものを証拠として提出している。このような証拠は、実際に本件HPを構築している者のみがアクセスできるものである。このことからも、本件HPは商標権者の提供によるものと裏付けられる。 (2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について 本件HP(URL:vistara.jp)の各ページにおいて、使用商標が概ね左上に表示されている(乙1)ところ、本件商標と使用商標の社会通念上の同一性は疑義が生じるおそれは無い。 ハングル文字と欧文字は全く同一で、両社のサイズが若干異なるだけで、社会通念上同一ではないとすることは妥当ではない。 同様に、必ずしも一体不可分で評価されるべきではない「ビスタラJPN」の文字の存在をもって、社会通念上同一ではないと評価すべきではない。これは、ハングル文字と欧文字のサイズと比較して、相当に小さい文字であることから、一体的に認識すべきものではない。しかも、「ビスタラJPN」の文字は、ハングル文字と欧文字で表記される文字を日本語のサイトに合わせて、日本語の称呼を表示しただけのものであり、同様に「JPN」の文字も、日本語のサイトに合わせて「JPN」の文字を表記したものに過ぎない(平成10年審判第31302号)。 (3)使用商標の要証期間内の使用について ア 請求人は、審判請求書を作成するにあたって、本件HPを閲覧して、評価をしているので、「要証期間内での使用」自体については、争いはない。 イ 商標権者が本件HPを構築していることを示す画像の写し(乙2)では、本件HPの構成が示されており、使用商標に係る画像情報も上記ホームページにアップロードされている。左上には、「vistara.jp」とある。また、右中には、「vijpalogo.png」を2021年6月10日に挿入したことが示されている。 左側には、「vijpalogo.png」の内容が示されており、これを見ると、使用商標を確認することができる(乙2)。 ウ 検索エンジンであるグーグルで検索期間を指定する機能を用いて、検索した結果、検索画面において、要証期間内である日付の表示とともに、「2021/06/22 - Map Search 韓国と日本でサービスをします ビスタという韓国と日本のユーザーが利用できるようサービスしています。・・・」との表示があることが示された(乙9)。 また、本件HPが要証期間内において外部(日本人)からのアクセスがあったことが示されている(乙4の1)。仮に本件HPが公開されていないのであれば、外部からのアクセスは出来ない。 エ 検索エンジンのヤフージャパンとグーグルでキーワード検索をすれば本件サービスがヒットし本件サービスが利用中であることが確認できる。 2022年2月9日から同月21日までに収集した資料において、ビスタラVISTARA、VISTARAJAPANなどの検索キーワード関連内訳のファイル日付は2022年2月21日であることが示されている。 検索エンジンのヤフージャパンとグーグルは、ホームページを構築して一定期間存在することや、第三者からの検索数が一定以上ないと、検索しても表示されないことから、要証期間である2021年12月17日前3月間を含み現在に至るまで、同ブランドを使用したホームページがあったことが示される(乙4の2)。 このことは、本件HPのために、2019年1月1日からvistara.jpサーバーを借りていることからも裏付けられる(乙5)。 オ 乙第6号証は、2016年6月16日に、韓国で提供された広告記事ではあるが、この頃、日本人のためのサービスも提供していた(乙6、乙22)。 カ 商標権者は、本件HPによって、利用者から報酬を得ることはなく、航空券チケット販売報酬支払者(Travelpayouts)からいわゆる紹介料を得て事業活動を展開しており(乙10~乙12、令和6年4月25日受付け上申書に表示された画像)、当該、Travelpayoutsにおいても、本件HPに要証期間内のアクセスがあったことが示される(乙13)。 また、2020年10月4日に日本からのVISTARAJAPAN.comからのアクセス、東京・ソウルに関する航空券に関する検索や取引があり販売報酬支払者より手数料が支払われている(乙17~乙19)。 加えて、本件HPのなかにある「歴史」のページを見ると、本件HPの画面とともに、それを構築しているHTML情報が表示されており、その日付(uploads/2019/06)が表示されている(乙14)。この表示は、自動的に表示入力されるものである。 キ 以上より、使用商標は要証期間内の使用であることが裏付けられる。 (4)使用商標の使用に係る役務について ア 本件HPでは、各旅行に関する情報が表示される。具体的には、ホームページ利用者が希望する移動したい都市名称、希望日時を入力すると、この希望に応じた航空券購入できる情報(出発・到着に関する日時、航空会社、便名、移動する都市(空港)の名称)が表示される。 そして、この情報が表示されている表示部から、この航空チケットを購入できるサイトに遷移して、実際に航空チケットを購入することができる。 つまり、請求に係る指定役務中の「航空券の予約の取次ぎ」が実施されている。 これらの機能を単に「検索エンジンの提供」と評価することは妥当ではない。 イ ここでの「航空券の予約の取次ぎ」の解釈において、旅行業法などの規定に従って、この指定役務を解釈することを一定の指標とすることはあるがこれを絶対的な解釈とすべきではなく、実際の取引事情等を加味しながら解釈すべきと思料する。 「取次」は、「中間に立って、一方から他方へ物事を伝達する。一方から受けて他方に送る。」程度の意味合いで使われることが一般的である(乙15、乙16)。 本件HPの役務についても、ユーザー(旅行を希望している需要者)と希望した特定の航空機チケットの販売サイトに誘導して予約を確実ならしめるということは、まさに、「中間に立って、一方から他方へ物事を伝達する。一方から受けて他方に送る。」ということが実現されているものである。本件HPで実施される役務は、ユーザーが希望日・行先等を入力することで、複数の種類の航空機情報や費用等も比較できるように表示させるという付加価値を有するものである。 仮に、「航空券の予約の取次」を旅行業法に基づいて解釈した場合には、当該役務は旅行業の資格を有していないと使用することができないものとなり、商標法第3条第1項柱書違反として拒絶理由が通知されるはずである。 したがって、本件の指定役務においては、旅行業法の規定に厳格・厳密に縛られるものではなく、法目的にもある一般の「需要者」の感覚・目線も取り入れながら解釈すべきである。 ウ 本件HPでは、旅行情報を提供し、目的地に航空券の価格を比較して予約を代理または仲介している。多くの海外オンラインサービス業者が提供するサービスと変わらず、これらと同様に日本人のために日本語でサービスを提供している(乙3)ので、日本人でも容易に利用することができる。 エ 本件サービスは、韓国と日本のユーザーのために2019年1月1日、韓国と日本のサーバーを独立的に構成し、日本のユーザーのためのvistara.jp、Vistarajapan.comを各国の言語で提供している。そして、要証期間内にサーバー接続国記録を見ると、2021年12月1日、日本人ユーザー向けvistara.jpにアクセスした90.74%が日本人であることから日本人ユーザーにサービスを提供していることが分かる(乙4の1)。 (5)これらの使用態様は、商標法第2条第3項第7号または同項第8号の規定のいずれか又は両方に該当する。なお、本件HPの左上に使用商標を表示させていることは、通常の商標の使用態様といえる。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)本件HPの左下の欧文字の文字列が当該ページのURLと認められるところ、1葉目及び2葉目のURLは「vistara.jp/」の文字から始まっており、3葉目及び4葉目のURLには「vistara.jp/」の文字はないものの、4葉目の中程には「vistara(C)(「C」の丸囲み文字。以下同じ。)2014-2022」の文字が表示されていることから、本件HPのドメインは「vistara.jp」と認められる(乙1)。 (2)本件HPの写しの1葉目及び2葉目の左上には使用商標が表示されており、2葉目には「8 4月.金」及び3葉目には「20 4月水、 22 4月.金」の日付が表示されている。 また、当該写しは2022年4月1日に印刷された(乙1、被請求人主張)。 (3)2021年6月10日において使用商標に係る画像を含む何らかのウェブサイトが作成されたことがうかがえる(乙2)。 (4)2021年12月1日には、ドメインが「vistara.jp」であるサイトへ日本、シンガポール、韓国、米国からアクセスがあった(乙4の1)。 (5)URLを「vistara.jp/?page_id=13」とするウェブサイトのページには「Location」として商標権者の住所の欧文表記とほぼ同じ住所が表示されているが、当該ページには使用商標の表示はない(乙7、乙8)。 (6)URLを「vistara.jp/?page_id=16」とするウェブサイトのHTML情報と思しき画面内には「2019/06」の文字がある(乙14)。 (7)検索キーを「vistara.jp」とし、検索日時を2019年1月7日ないし2022年1月6日とする、Googleの検索結果には、ドメインを「vistara.jp」とするウェブサイトが表示された(乙9)。 また、2022年1月31日には、ドメインを「vistara.jp」とするウェブサイトが存在する(乙5)。 (8)被請求人が「travelpayouts」の商標権者の専用管理ページと称する書証では、2020年10月4日に何らかのウェブサイトへのアクセスがあったことはうかがえるものの表示されている文字等が鮮明ではなく、詳細は不明である(乙17~乙19)。 (9)「vistara.jp」及び「vistarajapan.com」のドメインに係るウェブサイトは「travelpayouts」のウェブサイトを通じて旅行会社が提供するプログラムに接続されていることがうかがえる(令和6年4月25日受付け上申書)。 (10)「とり‐つ・ぐ【取次】」の見出しの下、「中間に立って、一方から他方へ物事を伝達する。一方から受けて他方に送る。取り伝う。」の記載がある(乙15)。 (11)「取次ぎ」の見出しの下「取次ぎ(とりつぎ)とは、情報や物品を一方から他方へ伝達する役割を果たす行為である。取次ぎは、情報の伝達や物品の配送など、様々な場面で用いられる。」の記載がある(乙16) (12)被請求人は、本件HPについて「ホームページ利用者が希望する移動したい都市名称、希望日時を入力すると、この希望に応じた航空券購入できる情報(出発・到着に関する日時、航空会社、便名、移動する都市(空港)の名称)が表示される。そして、この情報が表示されている表示部から、この航空チケットを購入できるサイトに遷移して、実際に航空チケットを購入することができる。」旨主張している。 (13)被請求人が本件商標権者の事業活動であるオンライン旅行取引サービスの作動方式についての資料説明と主張する書証には「申込や支払いなどは、消費者と宿泊施設・交通機関、旅行業者等が直接行う。」の記載がある(乙20、乙21)。 2 判断 被請求人は、商標権者が、要証期間に日本において本件商標(社会通念上同一のものを含む、以下同じ。)を請求に係る指定役務中、第39類「航空券の予約の取次ぎ」に使用していると主張しているのでこれについて検討する。 (1)使用商標の使用者について 被請求人は、使用商標が表示されている本件HPは、商標権者による事業のためのホームページであり、本件HPには商標権者の住所が表示されている旨主張している。 しかしながら、本件HPには運営者等の記載はなく、本件HPが商標権者の提供によるものか不明である。 また(C)の記号が付されている「vistara」と商標権者の関連も不明である。 そして、本件HPと同じドメインからなる、URLを「vistara.jp/?page_id=13」とするウェブサイトのページには、商標権者の住所とほぼ同じ住所が表示されているものの、当該住所のみでは本件HPが商標権者の作成、提供に係るものとは認められない。 さらに、被請求人は、実際に本件HPを構築している者のみがその情報にアクセスできるものとして、ホームページの構築のための情報を入力等していたものを証拠として提出している旨主張している。しかしながら、当該証拠におけるホームページの構築者は不明である。 したがって、使用商標の使用者が商標権者とは認められない。 (2)使用商標の使用に係る役務について 「商品及び役務の区分解説[国際分類第12-2023版対応]」(https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/bunrui/document/kubun_kaisetsu_12-2023/kubun_kaisetsu_12-2023.pdf)には、第39類「旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ」の解説として、「このサービスは、旅行に伴う運送等のサービスの提供について、提供者又は旅行者を代理して契約を締結する等の行為を行うものが該当します。」とあり、「航空券の予約の取次ぎ」も同様に「提供者又は利用者を代理して航空券の予約を行う」役務であると解される。 しかしながら、上記1(8)の被請求人の主張によると、本件HPから遷移した航空券が販売されているサイトにおいて、航空券を予約するのは利用者(需要者)自身であるから、本件HP自体は、航空券が販売されているサイト等の情報を表示するのみで「航空券の予約の取次ぎ」そのものは行っていないと認められる。 また、被請求人が商標権者の事業活動であるオンライン旅行取引サービスの作動方式についての資料説明と主張する書証の記載を見ても、当該書証には、「申込や支払いなどは、消費者と・・・交通機関、・・・が直接行う。」とあり、消費者が申し込んだ内容を交通機関に取り次いでいるものとはいえないから、商標権者は「航空券の予約の取次ぎ」は行っていないものと認められる。 したがって、本件HPにより「航空券の予約の取次ぎ」が行われたものとすることはできない。 そして、被請求人の提出した乙各号証をみても、請求に係る指定役務中、第39類「航空券の予約の取次ぎ」以外の役務が行われているものとみることもできない。 これについて、被請求人は「取次」の文字の意味合いを述べた上で、本件HPで「航空券の予約の取次ぎ」を行っている旨主張するが、同人の主張及び提出に係る証拠からすれば、本件HPでは、航空チケットを購入できるサイトに遷移することができるに過ぎず、航空券を購入するための情報(需要者の氏名、出発地、到着地、日時等)の入力は、当該遷移した購入サイトにおいて需要者自らが行っているものとみるのが相当であり、本件HP(本件HPの運営者)が航空券を購入するための情報を航空チケットを購入できるサイトに伝達している(取り次いでいる)ものではないことから、「取次」の文字の意味合いをみても、本件HPが「航空券の予約の取次ぎ」を行っているとは認められない。 また、被請求人は、「航空券の予約の取次ぎ」は旅行業の資格を有していないと使用することができないものとなり、本件商標の審査時において、本件商標は、商標法第3条第1項柱書違反として拒絶理由が通知されるはずである旨主張しているが、商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」における「使用をする」とは、「現在使用をしているもの及び使用をする意思があり,かつ,近い将来において信用の蓄積があるであろうと推定されるものの両方を含む。」と解される(特許庁編 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕)から、本件商標の登録出願時において、商標権者が「航空券の予約の取次ぎ」を行っていないとしても、それのみで、同項柱書の要件を具備しないということにはならない。 したがって、被請求人の主張は採用できない。 (3)使用商標の要証期間内の使用について 被請求人は、本件HPが要証期間内に存在した旨主張している。 しかしながら、乙第1号証の印刷日は要証期間外であることから、本件HPに表示されている日付も要証期間外と推認される。 また、本件HPの構築日が要証期間内であるとしても、公開日が要証期間内であるかは不明である。 さらに、被請求人は、要証期間内に本件HPのためのサーバを借りていた、及び本件HPがあり、日本からもアクセスがあった旨主張しているところ、要証期間内に、本件HPのドメインである「vistara.jp」に係るウェブサイトが存在していたことは認められるとしても、当該要証期間内のウェブサイトの内容は不明である。 また、HTML情報に「2019/06」の表示のあるURLを「vistara.jp/?page_id=16」とするウェブサイトのページには、使用商標が表示されていない。 したがって、要証期間に本件HPに本件商標が表示されたと認めることはできない。 これについて、被請求人は、航空券チケット販売報酬支払者である「travelpayouts」のウェブサイトとドメインを「vistara.jp」及び「vistarajapan.com」とするウェブサイトとが接続されているとする書証を提出し、また、商標権者の専用管理ページと証する書証を示して、2020年10月4日に「travelpayouts」のウェブサイトに「vistarajapan.com」に係るウェブサイトからアクセスがあった旨主張しているところ、「vistara.jp」及び「vistarajapan.com」のドメインに係るウェブサイトが「travelpayouts」のウェブサイトを通じて旅行会社のプログラムに接続されていることはうかがえるが、商標権者の専用管理ページと証する書証は不鮮明であり、被請求人の主張する、当該専用管理ページへのアクセスがあったとする「vistarajapan.com」は本件HPに係るドメインと異なるものである。そして、要所期間内に「vistara.jp」のドメインに係るウェブサイトが存在していたとしても、そのウェブサイトの内容は不明であり、当該ウェブサイトに使用商標が表示されていると認めることはできない。 (4)小括 上記のとおり、被請求人は、商標権者が要証期間に本件商標を第39類「航空券の予約の取次ぎ」に使用したことを証明したものではない。 その他、被請求人の提出した全証拠を見ても、要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって本件商標が請求に係る指定役務に証されたものとは認めることはできない。 3 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したものということはできない。 また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標の登録は、結論掲記の役務について、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-301010

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