商標取消審判
2021-300141
エコサイクル
- 審判番号
- 2021-300141
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2015-102886
- 登録番号
- 5833583
- 請求日
- 2021年02月26日
- 審決日
- 2022年03月02日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 技研製作所
- 【請求人代理人】鈴木 守
- 【請求人代理人】石本 貴幸
- 【被請求人】株式会社 スペース二十四
- 【被請求人代理人】田中 尚文
- 【被請求人代理人】渡部 彩
- 審判長/審判官
- 審判長 岩崎 安子
- 審判官 森山 啓
- 審判官 板谷 玲子
- 分類
- T132 .1 -Y (W39)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第2条第3項第8号、商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5833583号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5833583号商標(以下「本件商標」という。)は、「エコサイクル」の片仮名を標準文字で表してなり、平成27年10月26日に登録出願、第39類「駐車場又は駐輪場の提供,駐車場又は駐輪場の管理,機械式駐車装置又は機械式駐輪装置の貸与,自転車の貸与,駐車場又は駐輪場の管理に関する情報の提供,駐車場又は駐輪場の提供に関する情報の提供」を指定役務として、同28年2月19日に登録査定、同年3月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年3月15日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年3月15日から令和3年3月14日までを以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、登録第5833583号商標の指定役務中、第39類『駐車場又は駐輪場の提供,駐車場又は駐輪場の管理,機械式駐車装置又は機械式駐輪装置の貸与,駐車場又は駐輪場の管理に関する情報の提供,駐車場又は駐輪場の提供に関する情報の提供』(以下「請求に係る指定役務」という。)について登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第39類「駐車場又は駐輪場の提供,駐車場又は駐輪場の管理,機械式駐車装置又は機械式駐輪装置の貸与,駐車場又は駐輪場の管理に関する情報の提供,駐車場又は駐輪場の提供に関する情報の提供」について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)要証期間内における使用について
被請求人は、2019年7月と2020年6月から8月にかけて、本件商標「エコサイクル」を付した「駐輪場の提供」について宣伝広告活動を行ったと述べ、乙第1号証ないし乙第5号証を提出する。
しかし、チラシ(乙1)には、作成日等を示す日付が何ら存在しない。この点、ポスティング報告書(乙2)は、チラシ(乙1)の配布事実及び配布時期を示すために提出されたものと思われるが、ポスティング対象物について何ら特定されておらず、これがチラシ(乙1)に関する報告書であるのかは不明である。さらにいえば、ポスティング報告書(乙2)は、被請求人に宛てられた報告書なのかどうかも明らかではない。したがって、ポスティング報告書(乙2)からは、チラシ(乙1)が実際に2019年7月20日に配布されたか否かは不明である。
メールマガジン(乙3)には、被請求人が注記したと思われる「※8月28日配信分」の記載があるが、配信先・配信元・送信日時のタイムスタンプ等の記載もなく、単なるメールの原稿のようである。また、乙第4号証は、メールマガジンの配信実績に関する資料と思われるが、作成者も不明であり、配信されたメールマガジンの内容についても何ら特定されていないため、これらの証拠からはメールマガジン(乙3)が実際に8月28日に配信されたか否かは明らかではない。
写真(乙5)は、撮影日時の立証がなく、要証期間内に撮影されたものか不明である。
以上のように、被請求人は、要証期間内に登録商標を使用していたことを何ら立証していない。
(2)「駐輪場の提供」への本件商標の商標としての使用について
チラシ(乙1)には「地球にやさしい自転車」、「×」、「財布にやさしい駐輪場」、「▼」及び「エコサイクル」との記載があるが、「エコサイクル」の語が「駐輪場」との関係でどのような意味合いで用いられているのかは、前記数式のような表示からは到底理解できない。特に、チラシ下段には「前払式時間駐輪場 サイクルECO 二上駅前第1」との記載があるため、需要者等は「サイクルECO」が駐輪場の商標であると理解するのが自然であり、前記数式における「エコサイクル」の語を「駐輪場の提供」の役務に関する商標であると認識することは、むしろ困難であるといえる。なお、「サイクルECO」は、本件商標と同一ではないことを念のため付言する。
メールマガジン(乙3)には「◆-地球にやさしい“エコサイクル”- 自転車での移動は地球環境にもお財布にもやさしくおすすめです。駐輪場も運営中♪」との記載があるが、「駐輪場『も』運営中」というように、付随的な情報として駐輪場の提供を行っていることを述べているに過ぎないため、当該文章の文脈においては、需要者等は「エコサイクル」を「駐輪場の提供」と直接関係しない概念として捉えるのが自然であり、これを「駐輪場の提供」の役務の商標として認識することはないといえる。
なお、被請求人ホームページの導入事例集(甲1)の上から3つめの事例「サイクルECO(自転車駐輪場)」を見ると、「スペース24は環境とお財布にやさしい自転車での移動“エコサイクル”の普及・推進に取り組んでいます。」と記載されているように、被請求人は、環境とお財布にやさしい自転車での移動行為を呼ぶ言葉として「エコサイクル」を使用しているのであり、「駐輪場の提供」の役務の出所表示として「エコサイクル」を用いているわけではない。
以上のように、チラシ(乙1)及びメールマガジン(乙3)における「エコサイクル」の表示と「駐輪場の提供」の役務との関係性が不明確であることに加え、被請求人自身が「エコサイクル」を商標として使用していないことを踏まえれば、需要者等は乙第1号証及び乙第3号証における「エコサイクル」を「駐輪場の提供」の役務の出所識別標識である商標として認識することはないといえる。
なお、乙第2号証、乙第4号証及び乙第5号証には、「エコサイクル」の表示はない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
被請求人は、駐車場や駐輪場の運営管理を主たる事業とする法人であるが、乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人が、2019年(令和元年)7月20日に奈良県の二上駅前で「駐輪場の提供」をすべく、奈良県香芝市周辺で配布したチラシポスティングの写し及び同ポスティングの配布を請け負った事業者(ラクスル株式会社)の報告書である。
同書証から容易に理解できるように、「エコサイクル」は、駐輪場を提供するサービスであるが、被請求人にあっては、このような「エコサイクル」と称した「駐車場の提供」(審決注:「駐輪場の提供」の誤記と認められる。)につき、2020年(令和2年)6月から8月にかけて、延べ14559通ものメールマガジンの配信にて宣伝広告を行うと共に、実際に奈良県の二上駅前で駐輪場を提供している(乙3~乙5)。
乙第1号証ないし乙第5号証より、被請求人は、2019年(令和元年)7月と2020年(令和2年)6月から8月にかけて、本件商標「エコサイクル」を付した「駐車場の提供」(審決注:「駐輪場の提供」の誤記と認められる。)について宣伝広告活動を行っており、これらが商標法第2条第3項第8号等の「使用」に該当することは明白である。
第4 審尋
当審より被請求人に対し、令和3年8月26日付け審尋において、以下1及び2の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した令和3年7月9日付けの弁駁書に対する意見を求めた。
1 「チラシ」(乙1)からは、本件商標と社会通念上同一と認められる「エコサイクル」の表示、請求に係る指定役務中「駐車場又は駐輪場の提供」の範ちゅうに含まれる「駐輪場の提供」の役務と認められる「財布にやさしい駐輪場」、「チケット買って、停めるだけ」及び「24時間毎/50円」等の表示、商標権者と認められる「株式会社スペース24」の表示が確認できるが、ポスティング報告書(乙2)には、取引の当事者が商標権者であること及び取引の対象物(配布物)が当該チラシ(乙1)であることが分かる表示がないため、チラシ(乙1)が、要証期間内で頒布されたことが確認できない。
2 「メールマガジン」(乙3)の内容からは、本件商標と社会通念上同一と認められる「エコサイクル」の表示、請求に係る指定役務中「駐車場又は駐輪場の提供」の範ちゅうに含まれる「駐輪場の提供」の役務と認められる「駐輪場も運営中」の表示、商標権者と認められる「(株)スペース24」の表示が確認できるが、「『メルマガ配信 都道府県別人数』等の表」(乙4)は、単に都道府県別の会員数とメールマガジンの配信日を表形式で作成したにすぎないものであって、客観的な証拠とは認め難いため、当該メールマガジン(乙3)が、要証期間内に国内で頒布(配信)されたことが確認できない。
3 上記1又は2が確認できないため、被請求人は、要証期間に、商標権者が、本件審判の請求に係る指定役務について本件商標を使用したことを証明したものと認めることができない。
第5 審尋に対する回答
被請求人は、令和3年9月30日付けの回答書及び令和3年11月1日付け証拠説明書において、審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第6号証ないし乙第9号証を提出した。
被請求人は、本件商標を、請求に係る指定役務中「駐車場」」(審決注:「駐輪場の提供」の誤記と認められる。)について、要証期間内に使用しているところ、乙第1号証又は乙第3号証が要証期間内に国内で頒布されたことを立証すべく、乙第1号証の取引書類等を証拠として提出する。
1 「チラシ」(乙1)が要証期間内に頒布されたことを立証するため、被請求人とラクスル株式会社との取引書類として、チラシ(乙1)の注文詳細(乙6)及び納品書(乙7)を提出する。
2 メールマガジン(乙3)が要証期間内に頒布されたことを立証するため、メールマガジン(乙3)の配信履歴(乙8、乙9)を提出する。
第6 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)チラシ(乙1)は、その形状がA6(105×148mm)サイズの片面カラー印刷であり、その上段において、「エコサイクル」の文字が、やや太字のゴシック体の書体で赤色で大きく表示されている。また、下段において、オレンジ色の太枠による四角囲いの中の左側には、「前払式時間貸駐輪場」、「サイクルECO」及び「二上駅前第1」の文字が三段に表示され、その下に「24時間毎」、「50円」「住所:奈良県香芝市穴虫1047-2」及び「収容台数:22台」の文字がバランスよく表示されている。さらに、オレンジ色の太枠上(下部)に「運営:株式会社スペース24」の文字が問い合わせ先の電話番号とともに表示されている。
(2)ポスティング報告書(乙2)には、右上に「注文番号 1907114525-01」の表示があり、「この度は、ラクスルをご利用いただきまして誠にありがとうございました。ポスティング報告書になりますので、ご確認の程宜しくお願い申し上げます。」の文章の下に、「配布日」として「2019年07月20日」の表示、「配布地区」として「奈良県香芝市」内の表示、「配布部数」として「合計部数 1,000」の表示がされている。
(3)注文詳細(乙6)には、左上に「ラクスル」の文字、「注文詳細:1907114525」の表示、右側に「注文合計金額 14,220円」の表示、また、「注文日時」として「2019年7月11日」の表示、「仕様」として「ポスティング、チラシ・フライヤー/A6/片面カラー」の表示、「注文商品番号」として「1907114525-01」の表示、「部数」として「1,000部」の表示、「配布日」として「2019年7月18日配布完了希望」の表示、「入稿データ」として「ecocycle」の文字を含むPDFデータのファイル名の表示がされている。
(4)納品書(乙7)には、「株式会社スペース24御中」の文字と「ラクスル株式会社」の文字があり、右上に「日付」として「2019年7月21日」の表示と「納品書番号」として「I-1907114525」の表示、「ご注文書番号」として「1907114525-01」の表示、「商品名/商品仕様」として「チラシ・フライヤー,A6,片面カラー,・・・ポスティング(2019/07/18配布完了希望、配布方法:標準配布」の表示、「部数」として「1,000部」の表示「出荷日」として「2019年7月18日」の表示、「金額」として、「ご請求合計金額:¥14,220」の表示がされている。
(5)以上を勘案するに、商品(チラシ)等の仕様(ポスティング、チラシ・フライヤー,A6,片面カラー)、注文番号(1907114525)、部数(1,000部)が一致していること、注文日(2019年7月11日)、配布希望日(同月18日)、出荷日(同月18日)、配布日(同月20日)、納品書作成日(同月21日)の一連の取引の流れも自然であること、入稿データのファイル名が「ecocycle」の文字を含むことなどからすれば、被請求人は、ラクスル株式会社に、チラシ(乙1)1,000部の作成と配布を注文し(乙6、乙7)、ラクスル株式会社は、チラシ(乙1)1,000部を作成の上、2019年(令和元年)7月20日に奈良県香芝市内で配布したものと認められる(乙2)。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標
チラシ(乙1)に表示された「エコサイクル」の片仮名は、やや太字のゴシック体の書体で赤色で表してなる商標(以下「使用商標」という。)であるのに対し、本件商標は、「エコサイクル」の片仮名を標準文字で表してなる商標であるから、本件商標と使用商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用役務
チラシ(乙1)には、「前払式時間貸駐輪場」と表示されていることから、本件商標の使用に係る役務は、「駐輪場の提供」(以下「使用役務」という。)と認められるところ、当該役務は、請求に係る指定役務中、第39類「駐車場又は駐輪場の提供」に該当するものである。
(3)使用時期及び使用場所
チラシ(乙1)は、2019年(令和元年)7月11日の被請求人からの注文により、ラクスル株式会社を利用して、1,000部作成(乙6、乙7)され、同月20日に、奈良県香芝市内において、1,000部配布されたものと認められる(乙2)。
(4)使用者
チラシ(乙1)には、駐輪場の「運営」の主体として、被請求人の名称と認められる「株式会社スペース24」が表示されていることから、被請求人、すなわち商標権者が本件商標の使用者である。
(5)使用行為
チラシ(乙1)での使用商標の使用は、「使用役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)が行われたものと認められる。
(6)小括
上記(1)ないし(5)で判断したとおり、本件商標の商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務中、第39類「駐車場又は駐輪場の提供」に関する広告(チラシ)に本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)をしていたものと認められる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、チラシ(乙1)は、作成日等を示す日付が何ら存在しないこと、また、ポスティング報告書(乙2)は、ポスティングの対象物がチラシ(乙1)であるかや、被請求人に宛てられたものであるかが明らかではないことから、ポスティング報告書(乙2)からは、チラシ(乙1)が実際に2019年7月20日に配布されたか否かは不明である旨主張している。
しかしながら、上記2のとおり、チラシ(乙1)及びポスティング報告書(乙2)に加え、注文詳細(乙6)及び納品書(乙7)を総合して勘案すれば、チラシ(乙1)は、被請求人からの注文により、ラクスル株式会社を利用して、1,000部作成(乙6、乙7)され、2019年(令和元年)7月20日に、奈良県香芝市内において、1,000部配布されたものと認められる(乙2)。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(2)また、請求人は、チラシ(乙1)には、「前払式時間駐輪場 サイクルECO 二上駅前第1」との記載があるため、需要者等は「サイクルECO」が駐輪場の商標であると理解するのが自然であり、「エコサイクル」の語を「駐輪場の提供」の役務に関する商標であると認識することは困難であること、また、被請求人ホームページの導入事例集(甲1)の3つめの事例「サイクルECO(自転車駐輪場)」によれば、被請求人は、環境とお財布にやさしい自転車での移動行為を呼ぶ言葉として「エコサイクル」を使用しているのであり、「駐輪場の提供」の役務の出所表示として「エコサイクル」を用いているわけではないことから、需要者等は、チラシ(乙1)における「エコサイクル」を「駐輪場の提供」の役務の出所識別標識として認識することはない旨主張している。
しかしながら、役務の広告に複数の商標を付すことは一般的に行われており、自他役務の識別標識としての機能を有し、出所表示機能を果たす商標は、必ずしも一つであるとは限らないから、「サイクルECO」の文字部分のほか、赤色で顕著に表わされた「エコサイクル」の文字部分も、役務の出所表示機能を果たし得るものであって、本件商標の使用にあたることは、上記2のとおりである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標の商標権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務中、第39類「駐車場又は駐輪場の提供」について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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