商標取消審判
2021-300828
カケガワカンジュクコーボブタ、カケガワカンジュクコーボ、カケガワカンジュク、カンジュクコーボブタ、カンジュク、コーボブタ、カケガワブタ
- 審判番号
- 2021-300828
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2008-083449
- 登録番号
- 5314616
- 請求日
- 2021年10月22日
- 審決日
- 2024年12月25日
- 公報発行日
- 2025年04月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】イースト・K・ジャパン 株式会社
- 【被請求人】有限会社 神農素
- 審判長/審判官
- 審判長 高野 和行
- 審判官 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T131 .1 -Z (X1629)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第1項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第5314616号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第5314616号商標の商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第5314616号商標(以下「本件商標」という。)は、「掛川完熟酵母豚」の文字を横書きしてなり、平成20年9月30日に登録出願、第16類「食品用の包装紙,紙製の食品用包装袋,プラスチック製の食品用包装袋,紙製の食品用包装容器,食品用ラベル用紙,食品用シール」及び第29類「有機質廃棄物・有機多孔質材料を酵母発酵させた飼料により飼育された豚の肉,有機質廃棄物・有機多孔質材料を酵母発酵させた飼料により飼育された豚肉製品」を指定商品として、同22年4月9日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続するものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年11月10日であり、この登録前3年以内の期間である平成30年11月10日から令和3年11月9日までを、以下「要証期間」という。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和4年1月14日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年2月24日差出の審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁について
(1)商標権者(被請求人)が、要証期間に、自身が日本国内において、本件商標を使用していなかったことは、答弁書及び乙第1号証ないし乙第10号証の証拠資料から明らかである。
(2)被請求人は、かかる3年以内に、請求人が使用していたと主張している。
しかしながら、請求人は、以下の理由により、本件商標をその指定商品について使用していないことは明らかであるから、本件商標は、取り消されるべきである。
(3)被請求人は、請求人のホームページによって本件商標が掲載されて使用していると主張している。
乙第1号証の、第1のホームページにおいては、「掛川完熟酵母黒豚」と記載されており、本件商標とは相違している。このホームページには掲載日が記載されていないが、日付をあえて指摘するまでもない。
次に、第2のホームページにおいては、記事の一部に「掛川酵母」及び「掛川酵母豚」と記載されているが、商品名ではなく、又、本件商標とは相違している。このホームページにおいても掲載日が記載されていないが、あえて指摘するまでもない。
第3のホームページにおいては、「イワカムツカリ」のお勧め料理として、本件商標と同名の「掛川完熟酵母豚」が記載されているが、請求人が記載したものではない。
また、この商品名は、ホームページに記載されたもので、本件商標の区分及び指定商品に使用されたものではない。
なお、「イワカムツカリ」は、本件審判請求書(審決注:本件審判請求日の誤字と思われる。)から3年前に閉店されているとのことである。
また、この「イワカムツカリ」のホームページは、請求人によるホームページではないことは明らかであり、請求人が使用したことには当たらない。
第4のホームページにおいては、A氏のブログに「掛川完熟酵母黒豚」を紹介しているが、本件商標とは相違している。
また、「掛川完熟酵母黒豚」を食したとのA氏の紹介記事であり、請求人による広告ではない。
以上のとおり、乙第1号証は、いずれも消費者によるホームページであり、請求人のホームページではない。
したがって、本件商標の指定商品に本件商標を使用したことを証するものではない。このように、上記乙第1号証は、いずれも、請求人によるホームページではないことは明らかであり、請求人が使用したことにはあたらない。
(4)次に、請求人が、本件商標を使用しなくなった経緯と理由について、以下に説明する。
本件商標に係る商品は、株式会社オオビケン(以下「オオビケン社」という。)の創業者であるK氏が長年の研究により、有機醗酵飼料化用醗酵酵母として開発された新種のサッカロミセス・セレビシェ・掛川株(受託番号FERMP-18964)を使用した有機醗酵飼料を豚に与えて育成した豚肉であり、特許第3950767号を取得している。
本件商標の先の商標権者であるオオビケン社のオーナーであったK氏は、乙第6号証に記載のとおり、かかる掛川酵母菌の普及と肉製品の販売を目的として、平成20年5月27日に、請求人(イースト・K・ジャパン株式会社)をN氏と共同で設立し、K氏は共同代表取締役として就任していた。
そして、かかる豚肉を販売するにあたり商品名を「掛川完熟酵母豚」とし、本件商標を取得した。このとき、共同代表取締役であるK氏は、本件商標を無償で使用することを許可している。
請求人の設立後、平成21年頃、掛川酵母菌による有機醗酵飼料を与えた豚肉の生産を長野県内の養豚業者に委託し、その豚肉が百貨店から販売することになった。
しかし、その養豚業者による豚肉を百貨店に納入したところ、品質が悪く、結局は全てを廃棄することになり、さらに、取引が停止される処分を受けた。
そこで、新たな養豚業者を探したところ、静岡県に黒豚を生産する養豚業者を探し当て、黒豚に掛川酵母菌による有機醗酵飼料を与えて飼育してもらい、良質な豚肉を生産することができた。
この黒豚からなる豚肉は、百貨店の品質基準を満たし、販売するに至った。この豚肉は、種類が「黒豚」であることから、消費者に正しく伝えるため、商品名を「掛川完熟酵母黒豚」と改名した。この「掛川完熟酵母黒豚」は、商標登録第6181103号として、商標権を取得している。
以上のように、商品名を本件商標の「掛川完熟酵母豚」として販売を試みたものの、品質問題で信用を失ったことが、本件商標を使用しなかった理由である。
一方、黒豚に切り換えた「掛川完熟酵母黒豚」は、百貨店から高評価を得て、平成25年(2013年)には、百貨店(三越)において販売していただくとともに、甲第4号証に示すように、カタログに掲載していただき、その後、平成26年(2014年)、平成29年(2017年)には、他の百貨店と取り引きできるようになった。
また、請求人は、「掛川完熟酵母黒豚」の販売促進のために、甲第5号証に示す資料を作成し、広告宣伝を行っている。
なお、上記百貨店との取り引きを仲介されたバイヤーからは、近年になってから、黒豚の他、いわゆる白豚の販売を要請され、今後、販売に向けて検討する予定である。
(5)商標権者(被請求人)は、乙第4号証のとおり、先の商標権者であるオオビケン社から独占的実施権を得ているとしているが、この契約を締結したことは請求人に通知されることはなく、後日、本件商標を商標権者(被請求人)に移転登録したことを知ったところである。
また、被請求人は、乙第2号証に示す覚書により、請求人は通常実施権(審決注:「通常使用権」の誤記と認める。以下同じ。)を有しているとしているが、かかる覚書には、特許及び酵母菌の譲渡に伴う対価に関する取り決めであり、オオビケン社が請求人に通常実施権を許諾する旨については明記されていない。
被請求人は、請求人が通常実施権を得ているから、乙第7号号証に示す請求に対し、使用料を支払っているとしている。
しかしながら、この支払いは、乙第6号証に記載のとおり、請求人である請求人の共同代表取締役であった、オオビケン社のK氏が、無償で商標の使用を認めていただき、豚肉等の販売ができたことへの恩に報いるためであり、このため、契約に定めはないが、商標の使用料の名目で支払ったものである。
すなわち、乙第2号証に記載のような、掛川酵母醗酵飼料の売上げに対するロイヤリティーである。このため、本件商標を使用したとする商品の実施報告書及び商標権者(被請求人)からの請求書も存在しないことから、請求人が正当に本件商標の通常実施権を受けていないことは明らかであり、しかも、本件商標に関する通常実施権については、商標登録原簿に登録されていない。
(6)以上述べたように、本件商標「掛川完熟酵母豚」は、オオビケン社のK氏と共同で設立した、請求人が、当初販売を試みたが、長野県の養豚業者による品質問題により、間もなく販売を断念せざるを得なくなり、その後、静岡県の黒豚を扱う養豚業者に委託し、良質な豚肉を提供することが可能になったことから、「掛川完熟酵母黒豚」と改名しているものであり、要証期間に、本件商標を使用していないことは明らかである。
第3 被請求人の答弁及び審尋に対する回答
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び令和5年8月22日付け審尋に対する同年9月15日付け審尋回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 被請求人の答弁
本件商標の通常使用権者が、請求に係る指定商品について、要証期間に、日本国内において、本件商標の使用をしていることから、本件商標の登録を取り消されるべき理由はない。
(1)本件商標は、乙第1号証のとおり、本件商標の通常使用権者である請求人によってホームページに掲載されて使用されている。
(2)請求人は、乙第2号証のとおり、先の本件商標権者である「オオビケン社」と覚書を締結し、本件商標の通常使用権を得ている。
なお、乙第3号証は、乙第2号証の覚書の締結の経緯を示す為の「特許権譲渡書」、「酵母菌譲渡書」及び通常使用権者(請求人)と商標権者の「覚書」である。
(3)請求人は、商標権者との関係において、乙第4号証のとおり、「オオビケン社」が本件商標の再実施権を許諾できる独占的実施権を得ていることから、現在も本件商標の通常使用権を有している。
このように、乙第2号証の覚書が締結されたときから現在に至るまで、請求人が通常使用権を有していることは、乙第6号証で表明しているように、請求人自身が認めている。
なお、本件商標権の移転は、乙第5号証のとおり、令和元年8月2日になされている。
(4)請求人は、本件商標の通常使用権に基づいて本件商標を使用した代償として、乙第7号証に示す「オオビケン社」からの請求に対し乙第8号証に示すように使用料の支払いを行っている。
なお、乙第9号証及び第10号証に示すように、「オオビケン社」から商標権者への使用料の支払いがなされている。
(5)以上のように、通常使用権者は、本件審判の請求係る指定商品(本件商標の指定商品)について、要証期間に、日本国内において、本件商標の使用をしている。
2 回答書における主張
本件商標の通常使用権者である請求人が、要証期間に本件商標を使用していることを証明するために乙第11号証ないし乙第13号証を提出する。
この乙第11号証ないし乙第13号証によれば、請求人のホームページを令和3年6月19日、令和元年8月18日及び同年1月5日に更新掲載されていたことが示されており、請求人が要証期間内に本件商標を使用していたことは明らかである。
また、本件商標は請求人がホームページで使用している商標と、社会通念上同一であると思料する。
第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標を使用している証拠として提出した乙第11号証ないし乙第13号証は、被請求人が本件商標の通常使用権者であるイースト・K・ジャパン株式会社(請求人)のホームページの写しであると主張するものである。
ア 乙第11号証
(ア)「掛川完熟酵母豚」の見出しの下、「殺菌された酵母醗酵飼料のみで肥育する安全・安心・ヘルシーな掛川完熟酵母豚の紹介です」、「常設売り場/掛川完熟酵母豚・掛川酵母豚がいつでもお求めになれます。」(審決注:「/」(斜線)は改行を表す。以下同じ。)の文字及び「伊勢丹 新宿店」の記載がある(1/2ページ)。
また、「プロモーション販売案内」の見出しの下、「販売日は各店にお問い合わせ下さい。」の記載があり、「伊勢丹 浦和店」等販売店4店舗の記載がある(1/2ページ)。
(イ)「Copyright(C)YEAST‐K‐JAPAN Co.,Ltd.All Rights Reserved.」の記載がある(2/2ページ)。
(ウ)当該書証はホームページの写しと認められるものであって、そのURLは、「https://web.archive.org/web/20210619115831/http://yeast-k-jp.com」である。
(エ)上記(イ)の「YEAST‐K‐JAPAN Co.,Ltd.」の表記は請求人の名称の英語表記であり、また、上記(ウ)のURLに示された「20210619」の表記はホームページの更新日である「2021年(令和3年)6月19日」を示すものと推認できるものである。
イ 乙第12号証及び乙第13号証
乙第12号及び乙第13号証は、「掛川酵母豚」と称する豚の紹介を内容とするホームページの写しであり、更新日が異なるものの同じ内容のものである。
(ア)商品一覧に「掛川完熟酵母豚」(以下「使用商標」という。)(4/6ページ)の記載がある。
また、「スライスされた食肉」の写真(1ページ)、「飼料」及び「飼育している豚」の写真(2ページ)が掲載されている。
(イ)「Copyright(C)YEAST‐K‐JAPAN Co.,Ltd.All Rights Reserved.」の記載がある(5/6ページ)。
(ウ)これらのホームページのURLは、乙第12号証は、「https://web.archive.org/web/20190818065806/http://yeast-k-jp.com」であり、乙第13号証は「https://web.archive.org/web/20190105105417/http://yeast-k-jp.com」である。
(エ)上記(イ)の「YEAST‐K‐JAPAN Co.,Ltd.」の表記は請求人の名称の英語表記であり、また、上記(ウ)の「20190818」及び「20190105」の表記はホームページの更新日である「2019年(令和元年)8月18日」及び「同年1月5日」を示すものと推認できるものである。
(2)被請求人が、本件商標の使用者は通常使用権者の請求人であるとして提出した乙第2号証ないし乙第10号証は、以下のとおりである。
ア 乙第4号証、乙第5号証、乙第9号証及び乙第10号証
乙第4号証、乙第5号証、乙第9号証及び乙第10号証は、被請求人とオオビケン社との間で交わされた契約書等の書類である。
(ア)乙第4号証は、2019年(令和元年)8月2日付けの被請求人とオオビケン社との間で契約された本件商標含む3件の商標の実施権許諾に関する契約書の写しであり、第11条にその契約有効期間として2019年(令和元年)8月2日から15年間とする旨の記載がある。
(イ)乙第5号証は、令和元年8月2日付けの被請求人がオオビケン社から本件商標を含む3件の登録商標を譲り受けたことを示す譲渡書証の写しである。
(ウ)乙第9号証は、令和元年8月2日及び同2年4月30日付けの被請求人からオオビケン社へ宛てた、品名欄に「商標一式管理料」の記載がある請求書の写しである。
(エ)乙第10号証は、被請求人の普通預金通帳の写しであり、令和元年8月9日等にオオビケン社から被請求人に対して振込があった記載がある。
イ 乙第2号証、乙第3号証及び乙第6号証ないし乙第8号証
乙第2号証、乙第3号証及び乙第6号証ないし乙第8号証は、請求人とオオビケン社との間で交わされた契約等の書類である。
(ア)乙第2号証は、平成23年2月25日付けの請求人とオオビケン社との間で交わされた特許及び酵母菌の譲渡に伴い交わされた「覚書」と記載のある書証(以下「覚書」という。)であり、「1.特許・酵母菌の譲渡及び商標登録使用料に伴う対価」、「掛川酵母飼料の売り上げの0.5%をロイヤルティーとして支払う。」等の記載がある。
なお、覚書には、この覚書の有効日の記載はない。
(イ)乙第3号証の1葉目は、オオビケン社が請求人へ特許権を譲渡したことを内容とする特許権譲渡書の写しである。
(ウ)乙第6号証は、2019年(平成31年)3月22日付けの請求人の代理人弁護士からオオビケン社の代表取締役に宛てた表題を「ご連絡」とする書証であり、「「商標の使用料として・・・をお支払い致しく存じます。」の記載がある。
(エ)乙第7号証は、オオビケン社の代表取締役から請求人の代表取締役へ宛てた商標「掛川完熟豚」の使用料の請求書の写しである。
なお、登録商標の登録番号等、商標を特定する番号の記載はない。
また、請求書の写しの日付けについては、「平成31年」の年の記載はあるものの「月」と「日」は空欄である。
(オ)乙第8号証は、オオビケン社の普通預金通帳の写しであり、令和元年8月9日等に請求人からオオビケン社に対して振込があった記載がある。
(3)判断
上記(1)及び(2)からすると、以下のとおりである。
ア 通常使用権者について
被請求人は、請求人(イースト・K・ジャパン株式会社)は本件商標の通常使用権者であると主張しており、他方、請求人は、本件商標の使用者ではないと主張している。
被請求人が提出した通常使用権者との契約に関するものと主張する証拠(乙2~乙10)について、その内容は、特許権や酵母の使用に関するもの等、本件商標の通常使用権に関するもの以外のものも含まれるばかりでなく、契約の当事者が現在の商標権者(被請求人)と移転前の権利者(オオビケン社)に関するもの(乙4、乙5、乙9、乙10)、請求人と移転前の権利者(オオビケン社)に関するもの(乙2、乙3、乙6~乙8)であり、現在の商標権者(被請求人)と請求人のものは確認できない。
しかしながら、本件商標の商標権がオオビケン社から現在の商標権者(被請求人)へ移転されたのは、商標登録原簿によれば令和元年8月5日(受付日)であるから、請求人が、要証期間であり、かつ、当該令和元年8月5日以前において本件商標の通常使用権者であることを証明することができれば、要証期間内の平成30年11月10日ないし令和元年8月5日に、請求人が本件商標の通常使用権者であったとすることができるところ、オオビケン社と請求人は平成23年2月25日付けで「商標登録使用料に伴う対価を支払う」の記載のある覚書を交わしており(乙2)、当該覚書の有効日の記載はないこと、及び令和元年3月22日付けのオオビケン社宛ての請求人のご連絡とする書証(乙6)には「商標の使用料として・・・をお支払い致しく存じます。」の記載があることから、少なくとも上記移転前には請求人は本件商標の通常使用権者であったことが推認できるとしても、本件商標の商標権の移転後においても請求人が本件商標の通常使用権者であるとする証拠の提出はない。
また、本件商標の商標登録原簿には請求人が本件商標の通常使用権者である旨の登録はされていない(職権調査)。
したがって、請求人は、本件商標の商標権の移転前である令和元年8月5日までは本件商標の通常使用権者であると推認できるが、本件商標の商標権の移転後においてまでも本件商標の通常使用権者とは認められない。
イ 使用期間について
本件商標を使用している証拠として提出した乙第11号証ないし乙第13号証のホームページの更新日はそれぞれ、2021年(令和3年)6月19日(乙11)、2019年(令和元年)8月18日(乙12)及び同年(平成31年)1月5日(乙13)であると推認でき、いずれも請求人の作成に係る書証であると認められるところ、乙第13号証のみが本件商標の移転前に提供されたものと認められるから、該乙第13号証のみが本件商標の通常使用権者に係る書証であると認められる。
ウ 使用商標及び使用商品について
本件商標と使用商標は、ともに「掛川完熟酵母豚」の同一の構成文字からなることからすれば、社会通念上同一の商標と認められる。
しかしながら、上記イのとおり、要証期間に提供されていたと認められる、ホームページの写し(乙13)には、「豚の飼育方法」や「その肉質」等を紹介するホームページであることが推認できるが、使用商標の使用に係る具体的な商品は不明である。
したがって、提出された証拠より、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標であるとしても、使用商品は、その具体的な商品の内容が把握できないことからすれば、本件商標の指定商品であるとは認められない。
2 被請求人の主張
被請求人は、本件商標の通常使用権者である請求人(イースト・K・ジャパン株式会社)が、本件商標の使用料を本件商標の移転前の商標権者(オオビケン社)に支払っているから、要証期間に日本国内において本件商標を使用している旨主張し、乙第2号証ないし乙第10号証を提出している。
しかしながら、上記1(3)アのとおり、請求人は本件商標の移転後の通常使用権者とは認められないものであるばかりでなく、上記1(3)ウのとおり、本件商標の使用に係る商品は、本件商標の指定商品とは認められない。
したがって、被請求人の主張は認められない。
3 その他、被請求人が提出した全証拠及び同人の主張によっても、要証期間に本件商標をその指定商品に使用したものとは認められない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出した証拠及び同人の主張を総合的に判断すると、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標を表示したホームページ(乙13)が存在するとしても、その使用商品は不明である。
5 結び
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その指定商品について、本件商標を使用したことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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