商標取消審判
2021-300805
リューセン、タツイズミ
- 審判番号
- 2021-300805
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 取消審判(商標取消の審決)
- 出願番号
- 商願2017-019273
- 登録番号
- 6065543
- 請求日
- 2021年10月15日
- 審決日
- 2023年05月11日
- 公報発行日
- 2023年08月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】株式会社 龍泉酒造
- 【請求人代理人】大久保 秀人
- 【被請求人】羽地酒造 合同会社
- 【被請求人代理人】西平 守秀
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 豊瀬 京太郎
- 審判官 小俣 克巳
- 分類
- T132 .1 -Z (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法50条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第50条第2項、商標法第50条第1項、商標法第2条第3項第1号、商標法第2条第3項、商標法第50条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の登録第6065543号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
登録第6065543号商標の指定商品中、第33類「リキュール,薬味酒」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 本件商標
本件登録第6065543号商標(以下「本件商標」という。)は、「龍泉」の文字を標準文字で表してなり、平成29年2月6日に登録出願、第33類「リキュール,泡盛,薬味酒,焼酎,清酒」を指定商品として、同30年7月27日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
その後、商標権一部取消し審判により、指定商品中、第33類「泡盛,焼酎,清酒」については、令和5年1月27日にその登録を取り消すべき旨の確定審決の登録がされ、当該審判の請求の登録日である同3年11月2日に消滅したものとみなされた。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年11月2日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成30年11月2日から令和3年11月1日までを、以下「要証期間」という場合がある。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和4年1月24日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年2月24日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の要旨
本件商標は、その指定商品中、第33類「リキュール,薬味酒」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 弁駁書による主張の要旨
(1)被請求人は、週刊紙の写し(乙6)を提出し、同週刊紙に、本件商標の文字を図案化した類似商標が表されたラベルが貼り付けられた商品が掲載され、本件商標が使用されている旨を述べているが、同週刊紙に掲載された商品は「リキュール」であって、「薬味酒」ではない。
(2)被請求人は、週刊紙の写し(乙6)のほかに、ラベルデザイン(乙3)、印刷会社発行の納品書(乙4)、財務大臣宛の表示方法届出書(乙5)を提出しているが、これらは、いずれも本件商標を使用した事実を明らかにするものではない。
(3)上記以外に提出された証拠は、いずれも、商標権者(被請求人)が本件審判請求に係る指定商品に対して本件商標を使用した事実を示すものではない。
(4)商標権者(被請求人)は、泡盛を製造することができる「単式蒸留焼酎」の製造免許を受けていないし、商標権者の工場内で泡盛を製造できる「単式蒸留焼酎」の製造免許を受けている者は誰もいない。そのため、商標権者の工場内で泡盛を製造する行為が、酒税法に違反する行為であることは明白であり、このような違法行為によって製造された泡盛を主原料として製造された商品(リキュール)の登録商標の使用行為に対して、登録商標を使用していると認めるべきではない。
したがって、このような違法行為によって製造及び販売された商品(リキュール)の登録商標の使用行為に対して、登録商標を使用していると認めるべきではない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 商標権者(被請求人)の事業内容について
乙第1号証のとおり、商標権者は酒類の製造及び販売を主事業とする会社である。乙第2号証のとおり、酒類について国税庁から「リキュール」の製造免許を許可されており、現在のところ、その免許のもと、酒税法でいう「リキュール」の製造及び販売を行っている。
2 本件商標の使用状況などについて
(1)商標権者は、上記のとおり酒類の製造販売を行っている。その1つとして、商標権者は、自社の工場内で製造した泡盛を主成分としてジンジャー及び廿味を添加混合した上で、その商品を酒税法でいう「リキュール」として販売している。当該リキュールは、泡盛を主原料とし実質的には泡盛のテイストを強くていしている。
(2)上記リキュールを瓶にボトリングして、その瓶の表面に乙第3号証に示すラベルシールを貼り付けして販売している。乙第4号証のとおり、当該ラベルシールについては沖縄県内の印刷業者にその制作を依頼し、2021年2月5日に納品させた。また、当該ラベルシールの表示方法については、乙第5号証のとおり、酒税法に従って財務大臣に届出し受理された。
(3)本件商標が付された商品は、少なくとも有限会社喜屋武商店(以下「喜屋武商店」という。)にて取り扱われており、乙第6号証のとおり、2021年3月18日に地元新聞誌の副読紙(「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」。)に広告が掲載された。また、当該広告には「泡盛ルネッサンス新テイストリキュール「龍泉」新発売」として、そのテイストについて「羽地酒造から琉球泡盛にジンジャーエキスモルトをブレンドした新テイストリキュール「龍泉」が新発売!!」の旨アピールされている。なお、喜屋武商店は、泡盛専門店である。
(4)つまり、本件商標が付された、かかる商品は、泡盛をフレーバー化したものであり、酒税法上「リキュール」には区分けされるものの、需要者の視点に立てば、泡盛及びリキュールにまたがり、泡盛ともリキュールとも解釈可能なお酒であると思料する。また、商品名「薬味酒」は英訳では“flavored liquors”とされており、かかる商品は「薬味酒」とも捉えることが可能である。
(5)なお、ラベルシールの左上隅部の配置にはアルファベットの横文字「RYUSEN」、平仮名の横文字「りゅうせん」の表示が配置されている。いずれも本件商標と同一の称呼であり、本件商標と社会通念上同一の商標である。さらに、そのラベルの中央大部分において、漢字「龍泉」を縦文字として図案化したものが配置されているものの、その称呼及び観念を同一とし、取引者及び需要者において同一の出所を表すものとして自然に認識されるものであり、同様に本件商標と社会通念上同一の商標である。
3 まとめ
以上のとおり、商標権者は、要証期間に本件商標を、少なくとも酒税法でいうリキュールについて使用していたことは明らかである。また、需要者の視点からみて、かかる商品は泡盛にジンジャーエキスモルトをブレンドしたものであり、そのため「薬味酒」とも捉えられる可能性は十分にあるものと思料する。
したがって、請求人の主張には理由はなく、本件商標の登録は取り消しされるものではない。
第4 当審における審尋及び被請求人の回答
1 当審における審尋(令和4年8月29日付)について
審判長は、令和4年8月29日付けで、被請求人に対し、(1)乙第6号証に示された広告における広告主が喜屋武商店又は羽地酒造(商標権者)のどちらであるのか不明であること、(2)喜屋武商店が、商標権者の専用使用権者又は通常使用権者等であるのか、商標権者との関係性が不明であることから、被請求人が提出した証拠によっては、商標権者が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答及び請求人提出の弁駁書に対する回答を求めた。
2 上記1の審尋に対する被請求人の回答の要旨
被請求人は、上記1の審尋に対し、令和4年9月13日付け回答書を提出し、要旨次のように述べた。
(1)乙第6号証に示された広告における広告主が喜屋武商店又は羽地酒造(商標権者)のどちらであるのか不明であることについて
乙第6号証の広告主は喜屋武商店であり、同号証に示された広告は同商店の判断により掲載された。
(2)喜屋武商店が、商標権者の専用使用権者又は通常使用権者等であるのか、被請求人との関係性が不明であることについて
喜屋武商店は商標権者の取引先であり、商標権者の商品「リキュール」を同商店に引き渡した。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標が付された商品「リキュール」の取引がされ、市場に流通したこと(商標法第2条第3項第1号)を示す間接証拠として、乙第6号証を提出したものである。
3 当審における審尋(令和4年11月24日付)について
審判長は、令和4年11月24日付けで、被請求人に対し、(1)商品「リキュール」を喜屋武商店に引き渡した(譲渡した)際の受発注書類等の取引書類が確認できないこと、(2) 乙第3号証に示すラベルシールを、いつ、誰が、どのように商品「リキュール」の包装に付したものであるのか不明であることから、被請求人が提出した証拠によっては、商標権者が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。
4 被請求人の回答
被請求人からは、上記3の審尋に対し何らの応答もなかった。
第5 当審の判断
1 商標の使用について
被請求人は、商標権者が要証期間に、本件商標(社会通念上同一のものを含む)を包装に付したリキュール(以下「使用商品」という。)を喜屋武商店に引き渡し、使用商品が喜屋武商店において取り扱われている旨を主張する。
しかしながら、上記第4の3の審尋において、審判長は、商品「リキュール」を喜屋武商店に引き渡した(譲渡した)際の受発注書類等の取引書類が確認できないから、取引書類の提出を求めたところ、被請求人からは何らの応答なく、商標権者が商品「リキュール」を喜屋武商店に引き渡した(譲渡した)ことを証する証拠の提出はない。
また、被請求人は、喜屋武商店が使用商品の広告を行った旨も主張するが、喜屋武商店は、商標権者の取引先であって、本件商標の専用使用権者又は通常使用権者ではないから、当該広告が商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって行われたものとは認められない。
その他、被請求人が提出した全証拠をみても、要証期間に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって、本件商標(社会通念上同一のものを含む)についての商標法第2条第3項各号の使用行為が行われた事実を認めることはできない。
2 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していた事実を証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「リキュール,薬味酒」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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