2021-017625
インターネットシステム及びインターネットシステムが実行する方法
- 審判番号
- 2021-017625
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-237361外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年12月21日
- 審決日
- 2022年07月07日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社三菱UFJ銀行
- 【請求人代理人】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
- 分類
- P18 .575-WY (G06F) / P18 .55 -WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
本願は、平成25年11月7日に出願された特願2013-231083号の一部を令和元年12月26日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年9月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1及び2に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(引用文献等一覧)
1 特開2004-220260号公報
2 特開2004-021753号公報
第3 本件補正について
令和3年12月21日に提出された手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の請求項1及び2に記載されていた「該クライアント端末に予め定めたリンク先の情報を含まないHTMLファイルのウェブページを提供し、」を、「該クライアント端末からURLを受信することなく、該クライアント端末に予め定めたリンク先の情報を含まないHTMLファイルのウェブページを提供し、」(当審注:下線は当審が付与した。)に補正するものである。
そして、本件補正は、願書の最初に添付された特許請求の範囲、明細書(特に、【0040】)及び図面に記載した事項の範囲内のものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件に違反するものではない。
また、本件補正は、特許法第17条の2第4項ないし第6項までの要件に違反しているものともいえない。
また、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項1及び2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
そして、以下の「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、本件補正後の請求項1及び2に係る発明は、当業者が、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえず、また、その他の拒絶の理由も存在しないから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
第4 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。
(本件発明1)
「 クライアント端末と通信ネットワークで接続され、該クライアント端末からURLを受信することなく、該クライアント端末に予め定めたリンク先の情報を含まないHTMLファイルのウェブページを提供し、該クライアント端末から該HTMLファイルのウェブページにおける操作情報を受信するインターフェイス制御部を有するインターネットシステム。」
(本件発明2)
「 クライアント端末と通信ネットワークで接続されるインターフェイス制御部を有するインターネットシステムが実行する方法であって、該クライアント端末からURLを受信することなく、該クライアント端末に予め定めたリンク先の情報を含まないHTMLファイルのウェブページを提供し、該クライアント端末から該HTMLファイルのウェブページにおける操作情報を受信する方法。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は、強調のため当審が付与した。(これ以降の下線についても同様。)
a 「【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のシステムにおいては次の問題がある。【0009】マークアップ言語を処理し適切なレイアウトで画面表示するWebブラウザという高機能な閲覧ソフトウェアをクライアント端末に実装しておかないとクライアント端末ではWebページを閲覧することができない。【0010】また、文字がテキストデータで配布されるため、クライアント端末が閲覧するWebページに応じた適切なフォントデータ(文字画像データ)を持っていないと、正しい文字を表示できない場合がある。例えば海外のWebページにおいては、その国に特有な字体を用いている可能性があるため、その字体に対応するフォントデータをクライアント側が保持していないと正しい文字を表示することができない。一方、世界各国固有の字体のフォントデータをクライアント端末に登録すると大量の記憶領域が必要となるためクライアント側のシステム規模が大きくなり過ぎてしまう。【0011】さらに、HTML言語はレイアウトに関して厳密な定義をしていないため、クライアント端末のWebブラウザの種類により、表示されるWebページの外観に差異が生じる場合がある。つまり、Webページの作成者が意図するレイアウトでクライアント端末の画面に表示されない可能性がある。【0012】そこで、本発明は、Webブラウザを実装していないクライアント端末であってもWebページの閲覧ができるシステムを提供することを目的とする。」
b 「【0019】図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるWebページ閲覧システムの全体構成を示すブロック図である。本実施の形態のWebページ閲覧システムは、Webページを閲覧するためのクライアント端末10と、Webページを公開するWebサーバ12と、クライアント端末10とWebサーバ12との中継を行う画像配信サーバ11とから構成され、各装置は、HTTPの通信プロトコルを用いてデータ通信を行う。」
b-1 「【図1】
[図:0001387380000001.jpg]
」
c 「【0025】次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態で示した処理に更にWebページ画面上に示されているリンクをたどってWebページの閲覧を行う処理を追加したものである。Webページのようなハイパーテキストには、あるトピックに関する情報の固まりが多数あり、関連するトピックの間に関係づけが定義されている。閲覧する者は、この関係付けを自由にたどることによって、ハイパーテキストを読む。Webページのようなトピック単位の情報の固まりをノード、トピック間の関係付けをリンクと呼ぶ。ノードの中にある文字列がほかのトピックに深く関係する場合、この文字列からほかのノードに対してリンクを設定することができる。【0026】図5は、本発明の第2の実施の形態にかかるWebページ閲覧システムの処理の流れを示す図である。図1及び図5を参照すると、本処理の前半は、クライアント端末10が画像配信サーバ11に対して閲覧したいWebページのURLを送信するステップ(S1)と、画像配信サーバ11が、当該URLが指定するWebサーバにアクセスするステップ(S2)と、Webサーバ12が、Webページの構成要素となるHTML文書等を画像配信サーバ11に送信するステップ(S3)と、画像配信サーバ11が、Webブラウザを用いることによりHTML文書等からWebページを作成するステップ(S4)と、画像配信サーバ11が、作成したWebページをビットマップ等の画像データとしてクライアント端末10に送信するステップ(S5)と、クライアント端末10が、その画像データを表示部に表示するステップ(S6)とから構成される。ここまでの処理は、本発明の第1の実施の形態における処理(図2参照)と同じである。【0027】次にクライアント端末10の使用者が表示されたWebページのどの部分のリンクをたどるかを指定する。具体的には、使用者は、マウス等のポインティングデバイスを使って画面に表示された文字列、画像等を指し、そこをクリックすることにより指定する。【0028】そして、本処理の後半では、クライアント端末10が、指定された文字列、画像等の位置(画面上の位置)からクリック位置座標データを算出し、現在表示されているWebページのURLとともにその位置座標データを画像配信サーバ11に送信するステップ(S7)と、画像配信サーバ11が、送られてきたURLとクリック位置座標から、そのURLのWebページの構成データの中のそのクリック位置座標に対応した文字列等にリンクポインタが存在しているかどうかを検査するステップ(S8)と、リンクポインタが存在している場合には、そのリンクポインタが示すURLが指定するWebサーバにアクセスするステップ(S9)と、アクセスされたWebサーバが、Webページの構成要素となるHTML文書を画像配信サーバ11に送信するステップ(S10)と、画像配信サーバ11が、Webブラウザを用いることによりHTML文書等からWebページを作成するステップ(S11)と、画像配信サーバ11が、作成したWebページを画像データとしてクライアント端末10に送信するステップ(S12)と、クライアント端末10が、その画像データを表示部に表示するステップ(S13)とから構成される。なお、S7におけるクリック位置座標とは、画面上の平面位置を示すものであり、X-Y座標形式で表現されたもので構わない。また、S8においてリンクポインタが存在していない場合には、その旨をクライアント端末に返信する。さらに、別のリンクをたどる場合には、S7の直前に行われる指定から行う。」
c-1 「【図5】
[図:0001387380000002.jpg]
」
(2)引用発明
ア 上記(1)b-1より、引用文献1には、「クライアント端末10」と「Webサーバ12」の各々と「インターネット」を介して接続される「画像配信サーバ11」が見て取れる。
よって、上記(1)b及びb-1より、引用文献1には、“ Webページを閲覧するためのクライアント端末10と、Webページを公開するWebサーバ12と、クライアント端末10とWebサーバ12の各々とインターネットを介して接続され、クライアント端末10とWebサーバ12との中継を行う画像配信サーバ11とから構成されるWebページ閲覧システム”が記載されているといえる。
イ 上記(1)c及びc-1より、引用文献1には、前記「Webページ閲覧システム」において、「クライアント端末10が画像配信サーバ11に対して閲覧したいWebページのURLを送信するステップ(S1)と、画像配信サーバ11が、当該URLが指定するWebサーバにアクセスするステップ(S2)と、Webサーバ12が、Webページの構成要素となるHTML文書等を画像配信サーバ11に送信するステップ(S3)と、画像配信サーバ11が、Webブラウザを用いることによりHTML文書等からWebページを作成するステップ(S4)と、画像配信サーバ11が、作成したWebページをビットマップ等の画像データとしてクライアント端末10に送信するステップ(S5)と、クライアント端末10が、その画像データを表示部に表示するステップ(S6)と」、「クライアント端末10の」「使用者」が「マウス等のポインティングデバイスを使って画面に表示された文字列、画像等を指し、そこをクリックすることにより指定する」と、「クライアント端末10が、指定された文字列、画像等の位置(画面上の位置)からクリック位置座標データを算出し、現在表示されているWebページのURLとともにその位置座標データを画像配信サーバ11に送信するステップ(S7)と、画像配信サーバ11が、送られてきたURLとクリック位置座標から、そのURLのWebページの構成データの中のそのクリック位置座標に対応した文字列等にリンクポインタが存在しているかどうかを検査するステップ(S8)と、リンクポインタが存在している場合には、そのリンクポインタが示すURLが指定するWebサーバにアクセスするステップ(S9)と、アクセスされたWebサーバが、Webページの構成要素となるHTML文書を画像配信サーバ11に送信するステップ(S10)と、画像配信サーバ11が、Webブラウザを用いることによりHTML文書等からWebページを作成するステップ(S11)と、画像配信サーバ11が、作成したWebページを画像データとしてクライアント端末10に送信するステップ(S12)と、クライアント端末10が、その画像データを表示部に表示するステップ(S13)と」を行うことが記載されている。
ウ よって、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 Webページを閲覧するためのクライアント端末10と、Webページを公開するWebサーバ12と、クライアント端末10とWebサーバ12の各々とインターネットを介して接続され、クライアント端末10とWebサーバ12との中継を行う画像配信サーバ11とから構成されるWebページ閲覧システムであって、クライアント端末10が画像配信サーバ11に対して閲覧したいWebページのURLを送信するステップ(S1)と、画像配信サーバ11が、当該URLが指定するWebサーバにアクセスするステップ(S2)と、Webサーバ12が、Webページの構成要素となるHTML文書等を画像配信サーバ11に送信するステップ(S3)と、画像配信サーバ11が、Webブラウザを用いることによりHTML文書等からWebページを作成するステップ(S4)と、画像配信サーバ11が、作成したWebページをビットマップ等の画像データとしてクライアント端末10に送信するステップ(S5)と、クライアント端末10が、その画像データを表示部に表示するステップ(S6)と、クライアント端末10の使用者がマウス等のポインティングデバイスを使って画面に表示された文字列、画像等を指し、そこをクリックすることにより指定すると、クライアント端末10が、指定された文字列、画像等の位置(画面上の位置)からクリック位置座標データを算出し、現在表示されているWebページのURLとともにその位置座標データを画像配信サーバ11に送信するステップ(S7)と、画像配信サーバ11が、送られてきたURLとクリック位置座標から、そのURLのWebページの構成データの中のそのクリック位置座標に対応した文字列等にリンクポインタが存在しているかどうかを検査するステップ(S8)と、リンクポインタが存在している場合には、そのリンクポインタが示すURLが指定するWebサーバにアクセスするステップ(S9)と、アクセスされたWebサーバが、Webページの構成要素となるHTML文書を画像配信サーバ11に送信するステップ(S10)と、画像配信サーバ11が、Webブラウザを用いることによりHTML文書等からWebページを作成するステップ(S11)と、画像配信サーバ11が、作成したWebページを画像データとしてクライアント端末10に送信するステップ(S12)と、クライアント端末10が、その画像データを表示部に表示するステップ(S13)とを行う、Webページ閲覧システム。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0007】本発明は、前記従来のウェブアプリケーションを提供するシステムの問題点を解決して、ウェブアプリケーションを代理サーバにおいて実行させることによって、前記ウェブアプリケーションを端末機器にダウンロードして実行する必要がないウェブアプリケーション対応代理サーバ及びウェブアプリケーション対応代理サーバシステムを提供することを目的とする。」
「【0024】また、本実施の形態においては、ウェブクライアント14において、ウェブアプリケーションの動作がサポートされていないものとする。すなわち、前記ウェブクライアント14が、演算手段や記憶手段の性能が低い装置であり、ウェブアプリケーションに対応するブラウザプログラム等のプログラムをインストールすることができないものとする。または、前記ウェブクライアント14が実装している仮想マシンのバージョンが古く、ウェブアプリケーションを実行することができないものとする。もっとも、前記ウェブクライアント14は、HTMLファイルを処理することができる機能、例えば、HTMLファイルをCRT、液晶ディスプレイ等の表示手段に画面として表示させる機能、HTMLファイルに文字列等を記入したり、前記画面においてマウスのクリック等を行う機能等を備えるものとする。また、ウェブクライアント14は、後述される代理サーバ13にアクセスして実行要求を送信し、該代理サーバ13にウェブアプリケーションを起動させて処理を実行させることができる。【0025】そして、ウェブアプリケーション対応代理サーバとしての代理サーバ13は、前記ウェブサーバ11及びウェブクライアント14と通信する通信部、ダウンロードしたウェブアプリケーションを格納する記憶部、ウェブクライアント14からの実行要求に応じて、前記ウェブアプリケーションを実行し、処理結果を前記通信部からウェブクライアント14に送信させる処理部とを有する。具体的には、前記代理サーバ13は、前記ネットワーク15に接続された一種のコンピュータであり、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、キーボード、タッチパネル、マウスやタブレットのようなポインティングデバイス等の入力手段、CRT、液晶ディスプレイ等の表示手段、入出力インターフェイス、通信インターフェイス等のインターフェイス等を備える。なお、前記代理サーバ13は、実際には複数であってもよいが、本実施の形態においては、説明の都合上単数である。続きを表示(全22行)【0026】ここで、前記代理サーバ13には、ウェブアプリケーションを実行するための仮想マシン(Virtual Machine)13aが実装されている。該仮想マシン13aはコンピュータ上でソフトウェア的に仮想の処理系を実現するためのエミュレーションソフトウェアである。本実施の形態において、前記代理サーバ13は複数の仮想マシン13aを備え、該仮想マシン13aを動作させることによって、前記ウェブアプリケーションデータベース12に格納されているウェブアプリケーションをウェブサーバ11からダウンロードして実行するようになっている。また、前記代理サーバ13は、個人、企業、団体等いかなる者によって運営されていてもよい。この場合、前記代理サーバ13を運営する者は、ウェブサーバ11を運営する者及びウェブページ又はウェブサイトを運営する者と、同一であってもよいし、相違する者であってもよい。【0027】次に、前記構成の代理サーバの動作について説明する。【0028】図2は本発明の実施の形態におけるウェブアプリケーション対応代理サーバシステムの動作を示す図、図3は本発明の実施の形態におけるウェブアプリケーションの処理結果である画面を変換する動作を示す図である。【0029】まず、利用者は、ウェブクライアント14を操作して、ネットワーク15を介して、ウェブサーバ11にアクセスし、該ウェブサーバ11内に開設されたウェブページ又はウェブサイトを閲覧する。そして、所望のウェブアプリケーションを見つけ出すと、前記利用者はウェブクライアント14を操作して前記ウェブアプリケーションをダウンロードして実行させる。ここで、該ウェブアプリケーションをウェブクライアント14において実行させる場合には、図2において▲1▼で示されるように、ウェブアプリケーションをウェブクライアント14にダウンロードさせる。しかし、本実施の形態においては、ウェブアプリケーションを代理サーバ13において実行させる場合について説明する。【0030】この場合、ウェブクライアント14は、代理サーバ13にウェブアプリケーションの取得要求を送信する。これにより、ウェブクライアント14は、ウェブアプリケーションデータベース12にウェブアプリケーションとともに格納されている該ウェブアプリケーションを起動するための指示が記載されているHTMLファイルを取得する。この場合、該HTMLファイルは、代理サーバ13を経由して、取得される。すなわち、図2において▲1▼’で示されるように、前記ウェブアプリケーションデータベース12に格納されているHTMLファイルは、ウェブサーバ11を介して、まず、代理サーバ13にダウンロードされる。続いて、前記HTMLファイルは、図2において▲1▼”で示されるように、代理サーバ13からウェブクライアント14に送信される。【0031】ここで、前記HTMLファイルにウェブアプリケーションの起動を指示するための識別子としてのタグ(Tag)が含まれていた場合、利用者は、ウェブクライアント14を操作して、前記タグをクリックする等の操作を行う。これにより、ウェブアプリケーションの実行要求が代理サーバ13に送信され、続いて、ウェブアプリケーションデータベース12に格納されている、例えば、表計算プログラム、ワードプロセッシングプログラム、データベースプログラム、オフィススィートプログラム等のウェブアプリケーションが、ウェブサーバ11を介して、代理サーバ13にダウンロードされるようになっている。そして、図2において▲2▼で示されるように、該代理サーバ13における仮想マシン13aによって、前記ウェブアプリケーションのプログラム動作が開始される。これにより、前記ウェブアプリケーションは、代理サーバ13上でソフトウェア的に実現される仮想の処理系によって実行される。【0032】また、前記仮想マシン13aは、ウェブアプリケーションのプログラム動作が実際に実行させた時の画面のイメージを、記憶手段としてのメモリ上に展開する。さらに、前記画面のイメージをウェブクライアント14において参照することができる画像形式、すなわち、HTMLファイルとして参照することができる一連のファイルを作成する。【0033】ここで、前記ウェブアプリケーションが、該ウェブアプリケーションの利用者に対して、マウスのクリックやデータの入力を求めるものである場合、前記メモリ上に展開された図3(a)に示されるような画面のイメージは、前記仮想マシン13aによって図3(b)に示されるような画像ファイルとしてのHTMLファイルに変換される。この場合、変換されたHTMLファイルには、クリッカブルマップ(Clickable Map)、GIF(Graphics Interchange Format)タグ、フォーム(Form)タグ等が含まれる。【0034】例えば、図3(a)に示されるような画面において、背景の部分は、図3(b)に示されるように、クリッカブルマップに変換される。また、名前を入れる枠は、図3(b)に示されるように、フォームタグに変換されるなお、前記クリッカブルマップは、ウェブページ中の画像にリンクを持たせたものであり、前記画像中においてクリックした位置に応じてリンク先が変わるようになっている。また、前記フォームは、ウェブに接続されたサーバにおいて外部プログラムを利用するためのインターフェイスであるCGI(Common Gateway Interface)において、入力を受け付けるためのウェブページである。」
上記摘記した事項、特に下線部に着目すれば、引用文献2には、次の技術事項(以下、「引用文献2技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「 ウェブクライアント14は、HTMLファイルを処理することができる機能を備え、利用者は、ウェブクライアント14を操作して、ネットワーク15を介して、ウェブサーバ11にアクセスし、該ウェブサーバ11内に開設されたウェブページ又はウェブサイトを閲覧し、前記利用者はウェブクライアント14を操作して前記ウェブアプリケーションをダウンロードして実行させ、この場合、ウェブクライアント14は、代理サーバ13にウェブアプリケーションの取得要求を送信し、ウェブクライアント14は、該ウェブアプリケーションを起動するための指示が記載されているHTMLファイルを代理サーバ13を経由して、取得し、そして、該代理サーバ13における仮想マシン13aによって、前記ウェブアプリケーションのプログラム動作が開始され、前記仮想マシン13aは、ウェブアプリケーションのプログラム動作が実際に実行させた時の画面のイメージを、ウェブクライアント14において参照することができる画像形式、すなわち、HTMLファイルとして参照することができる一連のファイルを作成し、前記ウェブアプリケーションが、該ウェブアプリケーションの利用者に対して、マウスのクリックやデータの入力を求めるものである場合、画面のイメージは、前記仮想マシン13aによって画像ファイルとしてのHTMLファイルに変換され、変換されたHTMLファイルには、クリッカブルマップ等が含まれ、前記クリッカブルマップは、ウェブページ中の画像にリンクを持たせたものであり、前記画像中においてクリックした位置に応じてリンク先が変わるようになっていること。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 後述する相違点を除くと、引用発明において、「Webページ閲覧システム」を構成する「クライアント端末10」、「インターネット」、「画像配信サーバ11」はそれぞれ、本願発明1における「クライアント端末」、「通信ネットワーク」、「インターフェイス制御部」に相当する。
イ 上記アを参酌すると、引用発明において、「クライアント端末10とWebサーバ12の各々とインターネットを介して接続され、クライアント端末10とWebサーバ12との中継を行う画像配信サーバ11」は、本願発明1の「クライアント端末と通信ネットワークで接続され」る「インターフェイス制御部」に相当する。
ウ 引用発明において、「クライアント端末10が画像配信サーバ11に対して閲覧したいWebページのURLを送信するステップ(S1)」は、言い換えると、「画像配信サーバ11」が、「クライアント端末」から「URL」を“受信”する処理といえる。
そして、引用発明においては、前記「ステップ(S1)」に応答して「画像配信サーバ11」は、「作成したWebページをビットマップ等の画像データとしてクライアント端末10に送信するステップ(S5)」を行うものである。
ここで、引用発明の「Webページ」は、本願発明1の「ウェブページ」に相当する。
また、引用発明の「ビットマップ等の画像データ」は、「ビットマップ」等で構成されていることからすると、本願発明1の「リンク先の情報」に相当する情報を全く含まないことは明らかである。
一方、本願発明1の「予め定めたリンク先の情報」は、本願明細書の【0034】に記載の「ログイン画面35を構成するHTMLファイルには、次ページに移動するためのリンク先のURL等の特定情報は、記載されていない。ここで、特定情報とは、振込、振替、送金等の資金移動に関するリンク先のURL等の情報をいう。」及び、令和3年4月14日に請求人が提出した意見書の第2ページにおいて、
「本願発明1と引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明1」とします。)とを対比すると、両者は、少なくとも以下の点において相違します。(相違点1)本願発明1は、予め定めたリンク先の情報を含まないHTMLファイルのウェブページを提供するのに対し、引用発明1は、全てのリンク先の情報を含まない画像データを送信すること。」
との主張がなされていることを参酌すれば、「全てのリンク先の情報」は含まれないと理解することができる。
加えて、上記第5の1(1)aで摘記した引用文献1の【0011】には、「HTML言語」で「Webページ」を構成した場合の問題点が挙げられていることから、引用発明1の「Webページ」は、HTML言語で記述されたファイル、すなわち、HTMLファイルであるとはいえない。
よって、引用発明の「ステップ(S5)」において、「ビットマップ等の画像データ」として「クライアント端末」に「送信」(提供)される「Webページ」と、本願発明1の「予め定めたリンク先の情報を含まないHTMLファイルのウェブページ」とは、「リンク先の情報を含まないウェブページ」である点において共通する。
以上から、引用発明の「画像配信サーバ11」による前記「ステップ(S1)」と「ステップ(S5)」からなる一連の処理と、本願発明1の「該クライアント端末からURLを受信することなく、該クライアント端末に予め定めたリンク先の情報を含まないHTMLファイルのウェブページを提供」する処理とは、「該クライアント端末にリンク先の情報を含まないウェブページを提供」する処理である点において共通する。
エ 引用発明において、「クライアント端末10の使用者がマウス等のポインティングデバイスを使って画面に表示された文字列、画像等を指し、そこをクリックすることにより指定すると、クライアント端末10が、指定された文字列、画像等の位置(画面上の位置)からクリック位置座標データを算出し、現在表示されているWebページのURLとともにその位置座標データを画像配信サーバ11に送信するステップ(S7)」は、言い換えると、「画像配信サーバ11」が、「クリック」操作された「画面」上の位置である「位置座標データ」を“受信”する処理といえる。
そして、上記ウを参酌すれば、引用発明における「位置座標データ」と、本願発明1の「該HTMLファイルのウェブページにおける操作情報」とは、「ウェブページにおける操作情報」である点において共通する。
以上から、引用発明の「画像配信サーバ11」による前記「ステップ(S7)」の処理と、本願発明1の「該クライアント端末から該HTMLファイルのウェブページにおける操作情報を受信する」処理とは、「該クライアント端末から該ウェブページにおける操作情報を受信する」処理である点において共通する。
オ 上記アを参酌すれば、後述する相違点を除くと、引用発明の「Webページ閲覧システム」は、本願発明1の「インターフェイス制御部を有するインターネットシステム」に相当する。
(2)一致点、相違点
したがって、本願発明1と引用発明は、次の点において一致ないし相違する。
・一致点
「 クライアント端末と通信ネットワークで接続され、該クライアント端末にリンク先の情報を含まないウェブページを提供し、該クライアント端末から該ウェブページにおける操作情報を受信するインターフェイス制御部を有するインターネットシステム。」
・相違点
(相違点1)
本願発明1は、「該クライアント端末からURLを受信することなく、」「ウェブページを提供」するのに対し、引用発明において、「画像配信サーバ11」は、「クライアント端末」から「URL」を受信する(ステップ(S1))処理に応答して、「作成したWebページをビットマップ等の画像データとしてクライアント端末10に送信するステップ(S5)」処理を行う点。
(相違点2)
本願発明1において、「該クライアント端末」に提供される「ウェブページ」は、「予め定めたリンク先の情報を含まない」ものであるのに対し、引用発明において、「クライアント端末10」に送信される「Webページ」は、「ビットマップ等の画像データ」であることから全てのリンク先の情報を含まない点。
(相違点3)
本願発明1において、「該クライアント端末」に提供される「ウェブページ」は、「HTMLファイルのウェブページ」であるのに対し、引用発明において、「クライアント端末10」に送信される「Webページ」は、「HTMLファイル」ではない点。
(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点3について先に検討する。
上記第5の1(1)aの【0009】及び【0012】を参酌すれば、引用発明が解決しようとする課題は、「マークアップ言語を処理し適切なレイアウトで画面表示するWebブラウザという高機能な閲覧ソフトウェアをクライアント端末に実装しておかないとクライアント端末ではWebページを閲覧することができない。」という前提の下で、「Webブラウザを実装していないクライアント端末であってもWebページの閲覧ができるシステムを提供すること」と認められ、当該課題を解決するために、引用発明は、「クライアント端末10」に送信される「Webページ」を、「マークアップ言語」(HTML言語を含むことは技術常識である。)ではなく「ビットマップ等の画像データ」としていると認められる。
加えて、上記第5の1(1)bの【0011】には、HTML言語で記述したWebページを使用することの問題点も挙げられている。
そうすると、上記した引用発明が解決しようとする課題とその課題解決手段を参酌すれば、引用発明に、「HTMLファイルを処理することができる機能」を備えるウェブクライアントを前提とする引用文献2技術事項を適用し、引用発明の「Webページ」を、「HTMLファイルのウェブページ」とする動機付けはなく、むしろ技術的な阻害要因があるというべきである。
また、Webブラウザを実装しないクライアント端末に送信するWebページをHTMLファイルで構成することが本願出願時における技術常識であったとも認められない。
よって、相違点1及び2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者が、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1を方法の発明として特定したものであり、本願発明1に対応する構成を備えているから、本願発明1と同じ理由により、当業者が、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第7 原査定について
上記第5で述べたように、本願発明1及び2は、当業者が、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
したがって、原査定の拒絶の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-017625