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特許拒絶査定不服審判

2021-016676

組成物、硬化性組成物、及び、硬化物

審判番号
2021-016676
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-195138外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月03日
審決日
2023年08月17日
公報発行日
2023年11月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (C08L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-195138「組成物、硬化性組成物、及び、硬化物」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月24日出願公開、特開2021- 95563〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年11月25日(優先権主張 令和1年12月12日)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 1月27日付け:拒絶理由通知書 同年 4月 2日 :意見書、手続補正書の提出 同年 4月 5日 :手続補足書の提出 同年 9月16日付け:拒絶査定 同年12月 3日 :審判請求書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~11に係る発明は、令和3年4月2日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載されたとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 下記式(D): 【化1】 [図:0001403084000001.jpg] (式中、m=0~6の整数、pは0又は1、qは0~6の整数である。Rfは、酸素を含んでもよい炭素数1~8のパーフルオロアルキル基であり、フッ素原子の1個が水素原子に置換されていてもよい。)で示される化合物(D)と、 下記式(E): 【化2】 [図:0001403084000002.jpg] (式中、nは0以上の整数である。Mは、下記式(E1): 【化3】 [図:0001403084000003.jpg] で示される基、下記式(E2): 【化4】 [図:0001403084000004.jpg] で示される基、若しくは、下記式(E3): 【化5】 [図:0001403084000005.jpg] (式中、Zは水素または炭素数1~10のフルオロアルキル基である。)で示される基である。)で示される化合物(E)を含む ことを特徴とする組成物。」 第3 原査定の拒絶理由 原査定の拒絶の理由のうち、新規性に係る理由の概略は以下のとおりである。 この出願の請求項1~11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、下記の引用文献1~5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 引用文献1 特開平2-688号公報 引用文献2 特開平3-123715号公報 引用文献3 特開平4-28772号公報 引用文献4 特開平6-174956号公報 引用文献5 特開平10-53639号公報 第4 当審の判断 1 引用文献1を主引例とする新規性について (1)引用文献1の記載及びこれに記載された発明 ア 引用文献1には、以下の記載がある。 (ア)「 [図:0001403084000006.jpg] 」(特許請求の範囲) (イ)「実施例1 下記式 [図:0001403084000007.jpg] で示されるエポキシ樹脂(CHEPと略す)及び下記式 [図:0001403084000008.jpg] で示されるエポキシ樹脂(DPEPと略す)に硬化剤としてポリアミン系の硬化剤であるポリエーテルポリアミン(PEPA)、熱硬化触媒である三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体(BMA)、光硬化触媒であるトリフェニルスルホニウムのPF6-塩(TPS)を添加した場合の硬化物の屈折率、接着強度、ガラス転移温度(Tg)、耐熱水性について検討した結果を表1に示す。 ・・・ 希釈剤として使用した化合物の略称と構造を以下に示す: [図:0001403084000009.jpg] ・・・ 比較例として使用した化合物の略称と構造を以下に示す: [図:0001403084000010.jpg] ・・・ [図:0001403084000011.jpg] 」(8頁左下欄10行~10頁上段) (ウ)「実施例4 下記式 [図:0001403084000012.jpg] で示されるエポキシ樹脂(化合物Aと略す)に硬化剤としてポリアミン系の硬化剤であるポリエーテルポリアミン(PEPA)、熱硬化触媒である三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体(BMA)を添加した場合の硬化物の屈折率、接着強度、ガラス転移温度(Tg)、耐熱水性について検討した結果を表4に示す。 ・・・ [図:0001403084000013.jpg] 」(12頁左上欄19行~左下欄) イ 引用文献1に記載された発明 (ア)上記ア(イ)で摘記した表1において、エポキシ樹脂としてCHEP一種を用いた例は、摘記(ア)の「接着性組成物」の具体例であると解されるところ、これらの例に着目すると、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「式 [図:0001403084000014.jpg] で示されるエポキシ樹脂(CHEP)と、 式 [図:0001403084000015.jpg] で示される希釈剤(PRGE)と、硬化剤を含む接着性組成物。」(以下、「引用発明1」という。) (イ)上記ア(イ)で摘記した表1において、エポキシ樹脂としてDPEP一種を用いた例は、摘記(ア)の「接着性組成物」の具体例であると解されるところ、これらの例に着目すると、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「式 [図:0001403084000016.jpg] で示されるエポキシ樹脂(DPEP)と、希釈剤(PRGE)と、硬化剤を含む接着性組成物。」(以下、「引用発明2」という。なお、希釈剤(PRGE)の構造式は引用発明1と同じ。) (ウ)上記ア(イ)で摘記した表1において、エポキシ樹脂としてCHEPとAFEPを用いた例は、摘記(ア)の「接着性組成物」の具体例であると解されるところ、これらの例に着目すると、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「エポキシ樹脂(CHEP)と、 式 [図:0001403084000017.jpg] で示されるエポキシ樹脂(AFEP)と、希釈剤(PRGE)と、硬化剤を含む接着性組成物。」(以下、「引用発明3」という。なお、エポキシ樹脂(CHEP)及び希釈剤(PRGE)の構造式は引用発明1と同じ。) (エ)上記ア(ウ)で摘記した表4に記載された例は、摘記(ア)の「接着性組成物」の具体例であると解されるところ、これらの例に着目すると、引用文献1には、以下の発明が記載されていると認められる。 「式 [図:0001403084000018.jpg] で示される化合物Aと、希釈剤(PRGE)と、硬化剤を含む接着性組成物。」(以下、「引用発明4」という。なお、希釈剤(PRGE)の構造式は引用発明1と同じ。) (2)対比 ア 本願発明と引用発明1とを対比する。 (ア)引用発明1の「エポキシ樹脂(CHEP)」において、括弧にくくられた繰り返し部分の繰り返し数は0.1であるところ、当該数値は平均値であり、実際の繰り返し数が整数であることは明らかである。 そうすると、当該「エポキシ樹脂(CHEP)」は、本願発明の式(E)においてMが式(E2)である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明1の「希釈剤(PRGE)」は、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明1の「接着性組成物」は、「組成物」である。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明1とは、 「下記式(D): [図:0001403084000019.jpg] (式中、m=0~6の整数、pは0又は1、qは0~6の整数である。Rfは、酸素を含んでもよい炭素数1~8のパーフルオロアルキル基であり、フッ素原子の1個が水素原子に置換されていてもよい。)で示される化合物(D)と、 下記式(E): [図:0001403084000020.jpg] (式中、nは0以上の整数である。Mは、下記式(E1): [図:0001403084000021.jpg] で示される基、下記式(E2): [図:0001403084000022.jpg] で示される基、若しくは、下記式(E3): [図:0001403084000023.jpg] (式中、Zは水素または炭素数1~10のフルオロアルキル基である。)で示される基である。)で示される化合物(E)を含む 組成物。」 である点で一致し、両者の間に相違点はない。 イ 本願発明と引用発明2とを対比する。 (ア)引用発明2の「エポキシ樹脂(DPEP)」において、括弧にくくられた繰り返し部分の繰り返し数は0.2であるところ、当該数値は平均値であり、実際の繰り返し数が整数であることは明らかである。 そうすると、当該「エポキシ樹脂(DPEP)」は、本願発明の式(E)においてMが式(E1)である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明2の「希釈剤(PRGE)」は、上記ア(イ)で検討したとおり、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明2の「接着性組成物」は、「組成物」である。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明2とは、上記ア(エ)と同じ点で一致し、両者の間に相違点はない。 ウ 本願発明と引用発明3とを対比する。 (ア)引用発明3の「エポキシ樹脂(CHEP)」は、上記ア(ア)で検討したとおり、本願発明の式(E)においてMが式(E2)である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明3の「希釈剤(PRGE)」は、上記ア(イ)で検討したとおり、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明3の「接着性組成物」は、「組成物」である。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明3とは、上記ア(エ)と同じ点で一致し、両者の間に相違点はない。 エ 本願発明と引用発明4とを対比する。 (ア)引用発明4の「化合物A」において、括弧にくくられた繰り返し部分の繰り返し数は0.1であるところ、当該数値は平均値であり、実際の繰り返し数が整数であることは明らかである。 そうすると、当該「化合物A」は、本願発明の式(E)においてMが式(E3)であり、Zが炭素数8のフルオロアルキル基である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明4の「希釈剤(PRGE)」は、上記ア(イ)で検討したとおり、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明4の「接着性組成物」は、「組成物」である。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明4とは、上記ア(エ)と同じ点で一致し、両者の間に相違点はない。 (3)判断 上記(2)によれば、本願発明と引用発明1~4の間に相違点はなく、本願発明は、引用発明1~4、すなわち、引用文献1に記載された発明である。 2 引用文献2を主引例とする新規性について (1)引用文献2の記載及びこれに記載された発明 ア 引用文献2には、以下の記載がある。 (ア)「(実施例) 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、単に部とあるのは重量部を示す。 実施例1~2及び比較例1 第1表に記載のエポキシ樹脂、希釈剤、光重合開始剤及び添加剤を配合してコーティング組成物を得た。 [図:0001403084000024.jpg] 尚、表において CHEP: [図:0001403084000025.jpg] で示されるエポキシ樹脂 DPEP: [図:0001403084000026.jpg] ・・・ PRGE: [図:0001403084000027.jpg] HDEP: [図:0001403084000028.jpg] 」(6頁右下欄14~7頁右上欄最終行) イ 引用文献2に記載された発明 (ア)上記ア(ア)の実施例1に着目すると、引用文献2には以下の発明が記載されていると認められる。 「式 [図:0001403084000029.jpg] で示されるエポキシ樹脂(CHEP)を100重量部と、 式 [図:0001403084000030.jpg] で示される希釈剤PRGEを30重量部と、光重合開始剤を3重量部と、ペリレンを0.1重量部含むコーティング組成物。」(以下、「引用発明5」という。) (イ)上記ア(ア)の実施例2に着目すると、引用文献2には以下の発明が記載されていると認められる。 「式 [図:0001403084000031.jpg] で示されるエポキシ樹脂(DPEP)を70部と、希釈剤PRGEを20部と、 式 [図:0001403084000032.jpg] で示される希釈剤HDEPを10部と、光重合開始剤3部含むコーティング組成物。」(以下、「引用発明6」という。なお、希釈剤(PRGE)の構造式は引用発明5と同じ。) (2)対比 ア 本願発明と引用発明5とを対比する。 (ア)引用発明5の「エポキシ樹脂(CHEP)」において、括弧にくくられた繰り返し部分の繰り返し数は0.1であるところ、当該数値は平均値であり、実際の繰り返し数が整数であることは明らかである。 そうすると、当該「エポキシ樹脂(CHEP)」は、本願発明の式(E)においてMが式(E2)で示される基である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明5の「希釈剤(PRGE)」は、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明5の「コーティング組成物」は、「組成物」である。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明5とは、 「下記式(D): [図:0001403084000033.jpg] (式中、m=0~6の整数、pは0又は1、qは0~6の整数である。Rfは、酸素を含んでもよい炭素数1~8のパーフルオロアルキル基であり、フッ素原子の1個が水素原子に置換されていてもよい。)で示される化合物(D)と、 下記式(E): [図:0001403084000034.jpg] (式中、nは0以上の整数である。Mは、下記式(E1): [図:0001403084000035.jpg] で示される基、下記式(E2): [図:0001403084000036.jpg] で示される基、若しくは、下記式(E3): [図:0001403084000037.jpg] (式中、Zは水素または炭素数1~10のフルオロアルキル基である。)で示される基である。)で示される化合物(E)を含む 組成物。」 である点で一致し、両者の間に相違点はない。 イ 本願発明と引用発明6とを対比する。 (ア)引用発明6の「エポキシ樹脂(DPEP)」において、括弧にくくられた繰り返し部分の繰り返し数は0.2であるところ、当該数値は平均値であり、実際の繰り返し数が整数であることは明らかである。 そうすると、当該「エポキシ樹脂(DPEP)」は、本願発明の式(E)においてMが式(E1)である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明6の「希釈剤(PRGE)」は、上記ア(イ)のとおり、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明6の「コーティング組成物」は、「組成物」である。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明6とは、上記ア(エ)と同じ点で一致し、両者の間に相違点はない。 (3)判断 上記(2)によれば、本願発明と引用発明5、6の間に相違点はなく、本願発明は、引用発明5、6、すなわち、引用文献2に記載された発明である。 3 引用文献4を主引例とする新規性について (1)引用文献4の記載及びこれに記載された発明 ア 引用文献4には、以下の記載がある。 (ア)「【0062】 【実施例3】下記式 【0063】 【化11】 [図:0001403084000038.jpg] 【0064】(エポキシ当量290、屈折率1.405) 【0065】で示されるエポキシ樹脂80重量部に下記式 【0066】 【化12】 [図:0001403084000039.jpg] 【0067】で示されるエポキシ樹脂20重量部とポリアミン系の硬化剤であるポリエーテルポリアミン40部加え屈折率1.444の熱硬化樹脂を調製した。」 (イ)「【0080】 【実施例7】下記式 【0081】 【化15】 [図:0001403084000040.jpg] 【0082】(エポキシ当量290、屈折率1.405) 【0083】で示されるエポキシ樹脂70重量部に下記式 【0084】 【化16】 [図:0001403084000041.jpg] 【0085】で示されるエポキシ樹脂30重量部と光硬化触媒であるトリフェニルスルホニウムのPF6塩を3部加え屈折率1.431の紫外線硬化樹脂を調製した。」 (ウ)「【0089】 【実施例9】下記式 【0090】 【化17】 [図:0001403084000042.jpg] 【0091】(エポキシ当量290、屈折率1.405) 【0092】で示されるエポキシ樹脂53重量部に下記式 【0093】 【化18】 [図:0001403084000043.jpg] 【0094】で示されるエポキシ樹脂27重量部に下記式 【0095】 【化19】 [図:0001403084000044.jpg] 【0096】で示されるモノエポキシ樹脂15重量部と光硬化触媒であるトリフェニルスルホニウムのPF6塩を5部加え屈折率1.449の紫外線硬化樹脂を調製した。」 (エ)「【0100】 【実施例11】下記式 【0101】 【化20】 [図:0001403084000045.jpg] 【0102】(エポキシ当量514、屈折率1.391) 【0103】で示されるエポキシ樹脂100重量部に下記式 【0104】 【化21】 [図:0001403084000046.jpg] 【0105】で示されるモノエポキシ樹脂20重量部とポリアミン系の硬化剤であるポリエーテルポリアミン30部加え屈折率1.421の熱硬化樹脂を調製した。」 イ 引用文献4に記載された発明 (ア)上記ア(ア)の実施例3に着目すると、引用文献4には以下の発明が記載されている。 「式11 [図:0001403084000047.jpg] で示されるエポキシ樹脂80重量部と、 式12 [図:0001403084000048.jpg] で示されるエポキシ樹脂20重量部と、ポリアミン系の硬化剤を40部含む、熱硬化樹脂。」(以下、「引用発明7」という。) (イ)上記ア(イ)の実施例7に着目すると、引用文献4には以下の発明が記載されていると認められる。 「式15 [図:0001403084000049.jpg] で示されるエポキシ樹脂70重量部と、 式16 [図:0001403084000050.jpg] で示されるエポキシ樹脂30重量部と、光硬化触媒3部を含む、紫外線硬化樹脂。」(以下、「引用発明8」という。) (ウ)上記ア(ウ)の実施例9に着目すると、引用文献4には以下の発明が記載されていると認められる。 「式17 [図:0001403084000051.jpg] で示されるエポキシ樹脂53重量部と 式18 [図:0001403084000052.jpg] で示されるエポキシ樹脂27重量部と、 式19 [図:0001403084000053.jpg] で示されるモノエポキシ樹脂15重量部と、光硬化触媒5部を含む、紫外線硬化樹脂。」(以下、「引用発明9」という。) (エ)上記ア(エ)の実施例11に着目すると、引用文献4には以下の発明が記載されていると認められる 「式20 [図:0001403084000054.jpg] で示されるエポキシ樹脂100重量部と、 式21 [図:0001403084000055.jpg] で示されるモノエポキシ樹脂20重量部とポリアミン系の硬化剤30部を含む、熱硬化樹脂」(以下、「引用発明10」という。) (2)対比 ア 本願発明と引用発明7とを対比する。 (ア)引用発明7の「式11」「で示されるエポキシ樹脂」において、括弧にくくられた繰り返し部分の繰り返し数は0.1であるところ、当該数値は平均値であり、実際の繰り返し数が整数であることは明らかである。 そうすると、当該「式11」「で示されるエポキシ樹脂」は、本願発明の式(E)においてMが式(E2)で示される基である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明7の「式12」「で示されるエポキシ樹脂」は、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明7の「熱硬化樹脂」は、「式11」「で示されるエポキシ樹脂」や「式12」「で示されるエポキシ樹脂」を含むから、「組成物」であるといえる。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明7とは、 「下記式(D): [図:0001403084000056.jpg] (式中、m=0~6の整数、pは0又は1、qは0~6の整数である。Rfは、酸素を含んでもよい炭素数1~8のパーフルオロアルキル基であり、フッ素原子の1個が水素原子に置換されていてもよい。)で示される化合物(D)と、 下記式(E): [図:0001403084000057.jpg] (式中、nは0以上の整数である。Mは、下記式(E1): [図:0001403084000058.jpg] で示される基、下記式(E2): [図:0001403084000059.jpg] で示される基、若しくは、下記式(E3): [図:0001403084000060.jpg] (式中、Zは水素または炭素数1~10のフルオロアルキル基である。)で示される基である。)で示される化合物(E)を含む 組成物。」 である点で一致し、両者の間に相違点はない。 イ 本願発明と引用発明8とを対比する。 (ア)引用発明8の「式15」「で示されるエポキシ樹脂」は、引用発明7の「式11」で示されるエポキシ樹脂と同じ構造を有するから、上記ア(ア)と同様に、本願発明の式(E)においてMが式(E2)で示される基である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明8の「式16」「で示されるエポキシ樹脂」は、引用発明7の「式12」で示されるエポキシ樹脂と同じ構造を有するから、上記ア(イ)のとおり、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明8の「紫外線硬化樹脂」は、「式15」「で示されるエポキシ樹脂」や「式16」「で示されるエポキシ樹脂」を含むから、「組成物」であるといえる。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明8とは、上記ア(エ)と同じ点で一致し、両者の間に相違点はない。 ウ 本願発明と引用発明9とを対比する。 (ア)引用発明9の「式17」「で示されるエポキシ樹脂」は、引用発明7の「式11」で示されるエポキシ樹脂と同じ構造を有するから、上記ア(ア)と同様に、本願発明の式(E)においてMが式(E2)で示される基である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明9の「式19」「で示されるモノエポキシ樹脂」は、引用発明7の「式12」で示されるエポキシ樹脂と同じ構造を有するから、上記ア(イ)のとおり、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明9の「紫外線硬化樹脂」は、「式17」「で示されるエポキシ樹脂」、「式18」「で示されるエポキシ樹脂」、「式19」「で示されるモノエポキシ樹脂」を含むから、「組成物」であるといえる。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明9とは、上記ア(エ)と同じ点で一致し、両者の間に相違点はない。 エ 本願発明と引用発明10とを対比する。 (ア)引用発明10の「式20」「で示されるエポキシ樹脂」において、括弧にくくられた繰り返し部分の繰り返し数は0.1であるところ、当該数値は平均値であり、実際の繰り返し数が整数であることは明らかである。 そうすると、当該「式20」で示される化合物は、本願発明の式(E)においてMが式(E3)でありZが炭素数8のフルオロアルキル基である「化合物(E)」に相当する。 (イ)引用発明10の「式21」「で示されるモノエポキシ樹脂」は、引用発明7の「式12」で示されるエポキシ樹脂と同じ構造を有するから、上記ア(イ)のとおり、本願発明の式(D)において、m=p=q=1であり、Rfがフッ素原子の1個が水素原子に置換された炭素数2のパーフルオロアルキル基である「化合物(D)」に相当する。 (ウ)引用発明10の「熱硬化樹脂」は、「式20」「で示されるエポキシ樹脂」や「式21」「で示されるモノエポキシ樹脂」を含むから、「組成物」であるといえる。 (エ)上記(ア)~(ウ)に照らせば、本願発明と引用発明10とは、上記ア(エ)と同じ点で一致し、両者の間に相違点はない。 (3)判断 上記(2)によれば、本願発明と引用発明7~10の間に相違点はなく、本願発明は、引用発明7~10、すなわち、引用文献4に記載された発明である。 4 請求人の主張について 請求人は、引用文献1~5において、化合物(D)、化合物(E)は、多数挙げられた例示の一部に過ぎず、これらの併用が好ましい等の記載はないし、また、本願発明は低誘電率及び低誘電正接が得られるという引用文献1~5に記載されていない異質な効果を奏するから、本願発明は選択発明として成立すべきものである旨を主張する(意見書2頁下から10行~3頁10行、審判請求書5頁4~12行)。 しかしながら、上記1~3に説示したように、引用文献1、2、4の実施例において、本願発明の化合物(D)及び化合物(E)に相当する成分を併用した組成物が具体的に記載されているから、本願発明が選択発明として成立する余地はない。 なお、請求人は、意見書の「5.第二の本願発明(請求項11)の新規性、進歩性」の項において、引用文献1~5の実施例はいずれも、フッ素含有率が45質量%未満であるか又は透過率70%未満であるという点で、第二の本願発明(請求項11)と相違する旨を主張するために、引用文献1~5の実施例のうち、化合物(D)と特定の相溶化剤とを併用したものを抜粋し、フッ素含有率(質量%)を計算した結果を表1~5として示している(意見書3~8頁)。 上記表1~5のうち表1、2、4において相溶化剤として記載された、引用文献1、2、4の「CHEP」、「DPEP」、「化合物A」及び「C8PHEP」(引用文献4の、式20で示されるエポキシ樹脂を意味するものと認められる)は、上記1~3に説示したように、いずれも本願発明の化合物(E)に相当するものであることは明らかであり、化合物(D)と化合物(E)とを併用した実施例が引用文献1、2、4に記載されていることは、請求人が作成した表1、2、4にも示されている。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 第5 むすび 以上によれば、本願発明は、引用文献1、2又は4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-016676

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