2021-016152
電力管理システム、燃料電池システム
- 審判番号
- 2021-016152
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-109144外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年11月25日
- 審決日
- 2022年08月24日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】宗田 悟志
- 分類
- P18 .121-Z (H02J) / P18 .113-Z (H02J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、平成29年6月1日の出願であって、令和3年1月14日付けの拒絶理由の通知に対し、同年3月22日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年8月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年11月25日に審判の請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1-10に係る発明は、令和3年3月22日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項2】燃料電池システムを含む需要家内の各種機器に接続される電力管理システムであって、前記燃料電池システムに関する情報を前記燃料電池システムから受信する受信部と、前記受信部において受信した情報をもとに処理を実行する処理部とを備え、前記燃料電池システムに関する情報は、前記燃料電池システムに供給される燃料の種類に関する情報を含むことを特徴とする電力管理システム。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-10
・引用文献等 1、2、a-c
<引用文献等一覧>
1.特開平10―116625号公報
2.特開2014-032941号公報
a.特開2017-011994号公報
b.特開2016-225309号公報
c.特開2002-324566号公報
第4 引用文献
1 引用文献と引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1(特開平10-116625号公報)(平成10年5月6日出願公開)には、次の事項が記載されている。
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は燃料供給系に設けられた燃料監視装置により複数の燃料の燃料種別、燃料供給圧力等を検出し、燃料監視装置からの燃料監視信号により発電装置に供給する燃料供給量を変化させるとともに電力供給系の電力変換装置の出力電力を調整して負荷に電力を供給する電力供給システムに関する。」
「【0003】すなわち、図6の電力供給システムでは、例えば都市ガス等の常用燃料Aを燃料に用いて燃料電池、ガスエンジン等の発電装置4により発電を行い、発電装置4より得られた発電電力を負荷6が必要とする電圧に変換する電力変換装置5を介して負荷6に供給する。・・・(省略)・・・【0004】また、燃料の種別によって発電装置4の容量が変化する場合、例えば発電装置4の出力容量が常用燃料Aとして都市ガスを燃料とする場合には定格出力をとることができるのに対して、予備燃料Bの場合には経時的に発電装置4の燃料電池の発電に必要な成分が低下する場合がある。この際、発電装置4の燃料電池は燃料の成分が一定とみなして燃料供給量の制御を行うが、発電に必要な成分が低下している場合には、発電装置4から負荷6へ安定に電力が供給できないという問題があった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、燃料供給量もしくは燃料供給圧力が低下して燃料切替を行う場合に、発電装置の出力低下により発電装置が停止するという問題点を解決できる電力供給システムを提供することにある。」
「【0007】【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を持つ。複数の燃料を供給する燃料供給系、発電装置、電力供給系で構成され、前記燃料供給系からの燃料により発電を行う前記発電装置の発電電力を前記電力供給系の電力変換装置を介して負荷に供給する電力供給システムにおいて、前記燃料供給系を複数の燃料の切替を行う燃料供給装置と、前記燃料供給装置から供給される燃料の種別もしくは燃料供給圧力を監視する燃料監視装置と、燃料の供給量を調整する燃料調整装置とで構成する。前記燃料供給系に設けられた燃料監視装置は燃料の種別もしくは燃料供給圧力に対応した燃料監視信号を制御装置に送出する手段を有する。制御装置は前記燃料監視信号に応じて前記燃料供給装置に燃料供給信号を送出する手段と、前記燃料監視信号に応じて燃料調整装置に燃料調整信号を送出する手段と、前記燃料監視信号に応じて前記電力変換装置に出力制御信号を送出する手段を有する。燃料供給装置は、制御装置からの燃料供給信号を受けて、燃料を切り替える。燃料調整装置は、制御装置からの燃料調整信号を受けて、前記発電装置に供給する燃料供給量を変化する。電力変換装置は、制御装置からの出力制御信号を受けて出力電力を変化する。本発明の第1の発明は、以上述べた特徴を持つ電力供給システムである。【0008】本発明の第2の発明は、前記第1の発明に加えて、燃料の種別もしくは燃料供給圧力に対応した燃料監視信号を送出する燃料監視装置に、前記燃料の成分を分析する手段を設け前記燃料監視信号が前記燃料の成分に応じた信号を含むことを特徴とする電力供給システムである。【0009】本発明の第3の発明は、前記第2の発明に加えて、前記燃料監視信号により制御装置は燃料の成分に応じて燃料の供給量を調整する燃料調整信号を燃料調整装置に送出する手段を設けたことを特徴とする電力供給システムである。【0010】本発明の第4の発明は、前記第1、第2または第3の発明に加えて、電力変換装置の出力と並列に他の電源装置から負荷へ電力を供給する手段を設けたことを特徴とする電力供給システムである。」
「【0013】【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態例を示す構成説明図である。図において、4は発電装置、6は負荷、7は電源装置、10は燃料供給装置、20は燃料監視装置、30は燃料調整装置、50は電力変換装置、80は制御装置、1000は燃料供給系、2000は電力供給系、S2は燃料監視信号、S3は燃料調整信号、S4は出力制御信号、S5は燃料供給信号である。【0014】すなわち、燃料供給系1000の燃料監視装置20から燃料別に燃料供給量もしくは燃料供給圧力に応じて燃料監視信号S2を制御装置80に送出し、制御装置80では燃料監視信号S2に応じて発電装置4に燃料を供給する燃料調整装置30へ燃料調整信号S3を送出する。燃料供給量もしくは燃料供給圧力が低下した場合には燃料監視装置20の燃料監視信号S2のレベルが低下するため制御装置80は燃料調整装置30への燃料調整信号S3のレベルを上昇させて燃料を多く供給するように調整する。燃料調整装置30が燃料供給量を増加すると、燃料監視信号S2のレベルが上昇して発電出力が増加するので発電装置4から安定した出力を得ることができる。過渡的に燃料供給量が不足した場合には制御装置80は燃料監視装置20の燃料監視信号S2により電力供給系2000の電力変換装置50の出力を減少させるように出力制御信号S4を出力する。出力制御信号S4により電力変換装置50の出力を減少させることにより発電装置4の出力を制限できるため発電装置4は停止することなく安定に運転できる。電力変換装置50の出力を制限した場合には負荷8への供給電力が不足するため電源装置7を接続することで負荷6への安定な電力供給を実現できる。【0015】また、発電装置4に供給される燃料の成分が変化した場合にも、燃料監視装置20で燃料の成分分析を行い、燃料監視装置20から燃料の成分に応じた信号を含む燃料監視信号S2を制御装置80に送出する。制御装置80は前記燃料監視信号S2により燃料の成分に応じて燃料の供給量を調整する燃料調整信号S3を燃料調整装置30に送出する。燃料調整装置30は前記燃料調整信号S3により燃料の成分に応じて燃料供給量を調整することにより発電装置4の出力を安定に保つようにできる。【0016】図2は図1の電力供給システムの動作の一例を説明するための特性図、図3は本発明に係る燃料切替時の電力変換装置出力及び発電電力の一例を説明するための特性図、図4は本発明に係る燃料分析装置を有する燃料監視装置の一例を示す構成説明図、図5は本発明に係る電源装置の供給電力の一例を説明するための特性図である。図において、70は燃料分析装置、aは常用燃料Aの燃料供給量または燃料供給圧力、bは予備燃料Bの燃料供給量または燃料供給圧力、eは電力変換装置50の出力電力、fは発電装置4の発電電力、gは負荷電力である。・・・(省略)・・・【0017】すなわち、時間t0で所定の燃料供給量または供給圧力P0から減少し始めた都市ガス等の常用燃料Aの供給量または供給圧力の変化を燃料監視装置20で検出して燃料監視装置20より燃料監視信号S2を制御装置80に送出する。燃料の供給量が時間t0から変化すると、燃料監視装置20は燃料供給量に比例した燃料監視信号S2を制御装置80に出力する。制御装置80は燃料監視信号S2のレベルが低下すると、燃料調整信号S3を燃料調整装置30に送出して燃料供給を増加するように制御するとともに、出力制御信号S4を電力変換装置50に送出して出力制限を行うことで発電装置4の停止を防止する。燃料調整信号S3のレベルが増加すると、燃料供給量が増加して発電装置4の発電可能電力は増加するため燃料監視信号S2,出力制御信号S4のレベルは増加する。一方、燃料調整信号S3のレベルが減少すると燃料供給量が減少して発電装置4の発電可能電力は減少するので燃料監視信号S2,出力制御信号S4のレベルは減少する。従って、燃料調整信号S3のレベルに比例した電力を発電装置4から安定に負荷6に供給できる。また、燃料調整装置30が燃料を増加しようとしても燃料の供給が間に合わない場合には制御装置80は燃料供給装置10に燃料供給信号S5を送出して常用燃料Aから予備燃料Bに燃料切替を行う。図3に示すように、常用燃料Aの供給量が予め設定された供給量P1まで減少すると、燃料供給信号S5を燃料供給装置10に送出して他の燃料に切り替える。燃料切替に際して燃料供給量や供給圧力に変動が現れた場合には、制御装置80は燃料監視装置20からの燃料監視信号S2により燃料調整装置30の燃料供給量を制御する燃料調整信号S3を送出して発電装置4の発電電力fを制御するとともに電力変換装置50に出力電力eを制限する出力制御信号S4を送出することで燃料切替時等の過渡時にも発電装置4を安定に運転できる。過渡変動時に不足する電力は電力変換装置50の出力と並列に接続されている電源装置7から負荷6に供給する。【0018】また、燃料供給装置10に常用燃料Aである都市ガスや予備燃料Bとしてプロパンガスの他にメタノール等の予備燃料Cを入力とした場合に、図4に示すように、燃料監視装置20に燃料分析を行う機能を持った燃料分析装置70を備えることにより、燃料供給装置10に供給される燃料種別や燃料の成分が変化した場合には燃料分析装置70は制御装置80に燃料監視信号S2を送出する。燃料分析装置70としては高速のガス分析装置等を用いれば良い。例えば、常用燃料Aである都市ガスのメタンの含有量が増加した場合には発電装置4への燃料供給量を少なくしても同じ発電電力が得られるので燃料分析装置70はメタンの含有量の増加量を検出して燃料監視信号S2のレベルを増加させる。燃料監視信号S2のレベルが増加すると制御装置80は燃料調整装置30に燃料を減少するように燃料調整信号S3を送出する。発電装置4は燃料供給量が減少してもメタンの量は変化しないので同一の発電電力が得られる。燃料が予備燃料Bであるプロパンに切り替えられた場合にもプロパンの含有成分量を燃料分析装置70が検出して同一の発電電力が得られるように燃料監視信号S2を制御装置80に送出することで発電装置4から安定な電力を得ることができる。燃料分析装置70にファジー論理回路やニューラルネットワーク回路を適用することで種々の燃料と発電装置出力を対応させた燃料監視信号S2を送出できる。【0019】つまり、燃料監視信号S2のレベルは燃料種別ごとの発電装置4の発電可能電力に比例する。従って、燃料監視信号S2のレベルに応じて電力変換装置50の出力電力を制御することにより、常に発電装置4から発電可能電力を取り出すことができることになる。負荷6は常に一定の電力を消費するので発電可能電力が減少して電力変換装置50の出力電力が減少する場合には、図5の斜線で表している負荷電力gと電力変換装置出力電力eの差である不足電力を電源装置7から供給することで、発電装置4を停止させることなく負荷6に安定な電力を供給できる。」
「【0020】本発明の実施形態例では発電装置4の不足電力を補うものとして電源装置7を用いる例について説明したが、負荷電力と電力変換装置50の出力電力の差の電力を供給できるエネルギー源であればよく、例えば、負荷6が直流電力を必要とする場合では電源装置7として蓄電池、電解コンデンサや直流電源等でよく、負荷6が交流電力を必要とする場合には電源装置7としてインバータのような交流電源、回転機やフライホイールを利用した電源装置を用いてもよいことは言うまでもない。また、発電装置4としては、燃料を入力として電気出力を得ることができるエンジン発電装置や燃料電池など種々の装置を用いても良いことは言うまでもない。さらに、燃料分析装置70として高速ガス分析装置の例について説明したが、他の分析装置を用いても良いことは言うまでもない。」
「【0021】【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、燃料供給量もしくは燃料供給圧力が所定の値まで低下した場合でも燃料電池等の発電装置を停止させることなく、負荷へ安定な電力を供給できる。また、燃料の成分が変化した場合や、燃料を切替えた場合にも発電装置から安定な出力を得ることができるとともに、発電装置として燃料電池を用いる場合には、燃料不足による劣化の促進を防止できる。」
「【図1】[図:0001390337000001.jpg]」
上記段落【0013】の記載を踏まえ、【図1】を参照すると、引用文献1に記載された「電力供給システム」は、「燃料供給装置10と燃料監視装置20と燃料調整装置30とを備えた燃料供給系1000と、負荷6と電源装置7と電力変換装置50とを備えた電力供給系2000と、発電装置4と、制御装置80」を備えることが見て取れる。
したがって、引用文献1には、段落【0007】~【0010】の記載を踏まえると、第1~第3の発明を加えた第4の発明として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
(引用発明)
「複数の燃料を供給する燃料供給系、発電装置、電力供給系で構成され、前記燃料供給系からの燃料により発電を行う前記発電装置の発電電力を前記電力供給系の電力変換装置を介して負荷に供給する電力供給システムにおいて、(【0007】)燃料供給装置10と燃料監視装置20と燃料調整装置30とを備えた燃料供給系1000と、負荷6と電源装置7と電力変換装置50とを備えた電力供給系2000と、発電装置4と、制御装置80とからなる電力供給システムにおける制御装置80であって、(【0013】、【図1】)燃料供給系1000の燃料監視装置20から燃料別に燃料供給量もしくは燃料供給圧力に応じて燃料監視信号S2を制御装置80に送出し、(【0014】)制御装置80では燃料監視信号S2に応じて発電装置4に燃料を供給する燃料調整装置30へ燃料調整信号S3を送出し、(【0014】)続きを表示(全12行)過渡的に燃料供給量が不足した場合には制御装置80は燃料監視装置20の燃料監視信号S2により電力供給系2000の電力変換装置50の出力を減少させるように出力制御信号S4を出力し、出力制御信号S4により電力変換装置50の出力を減少させることにより発電装置4の出力を制限できるため発電装置4は停止することなく安定に運転でき、電力変換装置50の出力を制限した場合には負荷8への供給電力が不足するため電源装置7を接続することで負荷6への安定な電力供給を実現でき、(【0014】)燃料の種別もしくは燃料供給圧力に対応した燃料監視信号S2を送出する燃料監視装置20に、前記燃料の成分を分析する手段を設け前記燃料監視信号が前記燃料の成分に応じた信号を含み、(【0008】)燃料供給装置10に常用燃料Aである都市ガスや予備燃料Bとしてプロパンガスの他にメタノール等の予備燃料Cを入力とした場合に、燃料監視装置20に燃料分析を行う機能を持った燃料分析装置70を備えることにより、燃料供給装置10に供給される燃料種別や燃料の成分が変化した場合には燃料分析装置70は制御装置80に燃料監視信号S2を送出し、(【0018】)種々の燃料と発電装置出力を対応させた燃料監視信号S2を送出でき、(【0018】)燃料監視信号S2のレベルは燃料種別ごとの発電装置4の発電可能電力に比例し、(【0019】)発電装置4としては、燃料電池を用いても良く、(【0020】)過渡変動時に不足する電力は電力変換装置50の出力と並列に接続されている電源装置7から負荷6に供給する(【0017】)電力供給システムにおける制御装置80。」
2 周知技術文献と周知技術
(1)周知技術文献1
当審で新たに引用する特開2003-134665号公報(平成15年5月9日出願公開)には、次の事項が記載されている。
・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、需要家の要求に応じて電力の供給を行なう技術に係わり、複数の需要家が電力系統からの買電、水素を燃料とする燃料電池発電、更に、発電した電力の需要家間での融通(託送)を含む需給状態の場合に、各需要家の需給状態を一括して制御する方式及びビジネスに関する。」
・「【0016】本発明の方法を実現する電力供給システムは、送配電系統に接続され、水素生成装置と水素貯蔵装置と水素を燃料とする燃料電池発電装置と複数の負荷をもつ複数の需要家と、これら需要家とネットワークで接
続され各需要家の電力供給状態を制御する集中監視制御センタを備え、前記監視制御センタが、各需要家の買電量、発電量及び託送量に基づく電力の需給状態及び前記水素貯蔵装置の水素貯蔵量を収集し、それぞれの需要家の電力需給状態を制御する情報を送信する通信手段と、各需要家の需要予測に応じて各需要家の買電量、発電量及び託送量を一括して決定する演算手段と、需要家毎の使用電力量に基づいて電力料金の課金処理を行う課金手段を設けることを特徴とする。」
(2)周知技術文献2
当審で新たに引用する特開2013-41723号公報(平成25年2月28日出願公開)には、次の事項が記載されている。
・「【背景技術】
【0002】
近年、電力の需要家(住宅など)において、電力系統(以下、「系統」)の補助電源としての燃料電池や太陽電池の普及が進んでいる。
【0003】
燃料電池は、天然ガスなどから取り出した水素と空気中の酸素との化学反応により発電する発電装置である。発電の際に発生する熱を熱交換でお湯にして貯湯槽に貯えておき、貯湯槽内の貯湯を給湯に供するコジェネレーションシステムも知られている。燃料電池は発電量を制御可能であることから、負荷の負荷電力量に追従するように燃料電池の発電量を制御する「負荷追従制御」が適用されることがある。」
・「【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る電力制御システムは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)ユニット100、太陽電池(PV)ユニット200、分電盤300、1又は複数の負荷400、及び住宅エネルギー管理システム(HEMS)500を有する。本実施形態に係る電力制御システムは、SOFCユニット100及びPVユニット200を併用して負荷400に電力を供給する。SOFCユニット100、PVユニット200、分電盤300、負荷400、及びHEMS500は、電力会社の系統10から交流(AC)電力の供給を受ける需要家に設けられる。」
(3)周知技術
上記(1)(2)の記載より、以下の技術事項は本願出願前に周知の技術といえる。
(周知技術)
「需要家内に燃料電池を含む各種機器を備える電力管理のシステム。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 「燃料電池システムを含む需要家内の各種機器に接続される電力管理システム」について
(1)引用発明の「燃料供給装置10と燃料監視装置20と燃料調整装置30とを備えた燃料供給系1000」は、燃料を供給するものであり、「発電装置4」は、「燃料供給系からの燃料により発電を行」い、「燃料電池を用いても良い」ものであることから、引用発明の「燃料供給装置10と燃料監視装置20と燃料調整装置30とを備えた燃料供給系1000」と「発電装置4」は、合わせて燃料電池のシステムといえる。
よって、引用発明の「燃料供給装置10と燃料監視装置20と燃料調整装置30とを備えた燃料供給系1000と、発電装置4」は、本願発明の「燃料電池システム」に相当する。
(2)「燃料供給装置10と燃料監視装置20と燃料調整装置30とを備えた燃料供給系1000と、発電装置4」は、機器といえ、引用発明の「電力変換装置50」も機器といえるから、上記(1)を踏まえれば、両者は、本願発明の「燃料電池システムを含む」「各種機器」に相当する。
(3)引用発明の「制御装置80」は、「過渡的に燃料供給量が不足した場合には」、「燃料監視装置20の燃料監視信号S2により電力供給系2000の電力変換装置50の出力を減少させるように出力制御信号S4を出力し、出力制御信号S4により電力変換装置50の出力を減少させることにより発電装置4の出力を制限できるため発電装置4は停止することなく安定に運転でき」る装置であるから、電力管理をするシステムといえる。
(4)引用発明では、「燃料供給系1000の燃料監視装置20から燃料別に燃料供給量もしくは燃料供給圧力に応じて燃料監視信号S2を制御装置80に送出し、制御装置80では燃料監視信号S2に応じて発電装置4に燃料を供給する燃料調整装置30へ燃料調整信号S3を送出」することから、「燃料監視信号S2」及び「燃料調整信号S3」が送出されるように、引用発明の「制御装置80」と「燃料供給系1000」は接続されているといえる。
また、引用発明では、「過渡的に燃料供給量が不足した場合には制御装置80は燃料監視装置20の燃料監視信号S2により電力供給系2000の電力変換装置50の出力を減少させるように出力制御信号S4を出力し、出力制御信号S4により電力変換装置50の出力を減少させる」ことから、「出力制御信号S4」が出力されるように、引用発明の「制御装置80」と「電力変換装置50」は接続されているといえる。
(5)以上(1)~(4)を踏まえると、引用発明の「制御装置80」と、本願発明の「燃料電池システムを含む需要家内の各種機器に接続される電力管理システム」は、「燃料電池システムを含む各種機器に接続される電力管理システム」という点で共通する。
2「前記燃料電池システムに関する情報を前記燃料電池システムから受信する受信部」について、
引用発明の「燃料監視信号S2」は、燃料供給系1000の燃料監視装置20から「燃料別に燃料供給量もしくは燃料供給圧力に応じて」送出される信号であるから、上記1(1)を踏まえれば、本願発明の「燃料電池システムに関する情報」に相当する。
また、引用発明の当該「燃料監視信号S2」は、「燃料供給系1000」の「燃料監視装置20」から「制御装置80」に送出されるものであるから、制御装置80が、「燃料供給系1000」から当該「燃料監視信号S2」を受信する受信手段を有していることは自明である。
したがって、引用発明の当該受信手段は、本願発明の「前記燃料電池システムに関する情報を前記燃料電池システムから受信する受信部」に相当する。
3「前記受信部において受信した情報をもとに処理を実行する処理部」について
引用発明の「制御装置80」は、受信した「燃料監視信号S2に応じて発電装置4に燃料を供給する燃料調整装置30へ燃料調整信号S3を送出」することから、「燃料監視信号S2」をもとに「燃料調整信号S3」を生成するための処理手段を有することは明らかであり、したがって、引用発明の該処理手段は、本願発明の「前記受信部において受信した情報をもとに処理を実行する処理部」に相当する。
4「前記燃料電池システムに関する情報は、前記燃料電池システムに供給される燃料の種類に関する情報を含む」について
引用発明の「燃料監視信号S2」は、2で示したように、本願発明の「燃料電池のシステムに関する情報」に相当する。また、引用発明の「燃料の種別」は、本願発明の「燃料の種類」に相当する。そして、引用発明は、「燃料の種別もしくは燃料供給圧力に対応した燃料監視信号S2を送出する燃料監視装置20に、前記燃料の成分を分析する手段を設け前記燃料監視信号が前記燃料の成分に応じた信号を含み、
燃料供給装置10に常用燃料Aである都市ガスや予備燃料Bとしてプロパンガスの他にメタノール等の予備燃料Cを入力とした場合に、燃料監視装置20に燃料分析を行う機能を持った燃料分析装置70を備えることにより、燃料供給装置10に供給される燃料種別や燃料の成分が変化した場合には燃料分析装置70は制御装置80に燃料監視信号S2を送出し、
種々の燃料と発電装置出力を対応させた燃料監視信号S2を送出でき、
燃料監視信号S2のレベルは燃料種別ごとの発電装置4の発電可能電力に比例」するものであることから、引用発明の「燃料監視信号S2」は、燃料の種別に関係のある情報を含むことは明らかである。
したがって、引用発明と本願発明は、「前記燃料電池システムに関する情報は、前記燃料電池システムに供給される燃料の種類に関する情報を含む」構成を備える点で一致する。
以上より、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する。
(一致点)
「燃料電池システムを含む各種機器に接続される電力管理システムであって、前記燃料電池システムに関する情報を前記燃料電池システムから受信する受信部と、前記受信部において受信した情報をもとに処理を実行する処理部とを備え、前記燃料電池システムに関する情報は、前記燃料電池システムに供給される燃料の種類に関する情報を含むことを特徴とする電力管理システム。」
(相違点)
「各種機器」について、本願発明では「需要家内の」各種機器であるのに対して、引用発明では、そのような特定はされていない点。
第6 判断
上記相違点について検討する。
上記「第4 引用文献 2 周知技術文献と周知技術 (3)」の項で示したとおり、「需要家内に燃料電池を含む各種機器を備える電力管理のシステム」は周知の技術であり、引用発明において、「各種機器」を需要家内に配置することを妨げる特段の事情も認められないから、「燃料電池を含む」「各種機器」を「需要家内に」設けることは、上記周知技術に基づいて、当業者が容易に行い得たことである。
よって、本願発明は、引用発明および周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。
第7 むすび
上記のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-016152