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特許拒絶査定不服審判

2021-015915

遊技機

審判番号
2021-015915
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-150406外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年11月19日
審決日
2022年06月14日
公報発行日
2022年09月30日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-150406「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年12月17日出願公開、特開2020-199301〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 12項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、令和1年6月11日(以下「遡及日」という。)に出願した特願2019-109095号の一部を令和2年9月8日に新たな特許出願(特願2020-150406号)としたものであって、同年10月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月29日に意見書が提出され、同年12月8日付けで拒絶の理由が通知され、令和3年2月8日に意見書及び手続補正書が提出され、同年4月1日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年6月1日に意見書が提出されたところ、同年8月4日付け(謄本送達日:同年同月24日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年11月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和3年11月19日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕

令和3年11月19日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であって、令和3年2月8日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、

「基板と、
前記基板に配置された所定の調整スイッチと、
前記基板を覆う基板ケースと、を備えた遊技機であって、
前記調整スイッチは、ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持されたつまみと、を備え、
続きを表示(全13行)
前記基板ケースは、前記つまみを挿通させる開口を備え、
前記ハウジングは、前記つまみ側の面に環状に形成された所定の表示を備え、
前記つまみは、径方向外側に突出する円形状の鍔部を備え、
前記鍔部は、切り欠き部を備え、
前記所定の表示は、前記鍔部に覆われる位置に形成されており、
前記ハウジングにおける前記所定の表示が設けられている面と前記鍔部の底面との間には、1mm未満の所定の隙間が形成されており、
前記所定の隙間は、前記所定の表示と前記鍔部の底面とが接触しないようになっており、
前記切り欠き部を介して前記所定の表示を構成する1つの文字の全体が視認できる状態では、前記つまみの軸方向に沿う第1方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記第1方向に対して斜めとなる第2方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記切り欠き部を介して前記1つの文字の隣の文字が視認できないようになっている
ことを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「基板と、
前記基板に配置された所定の調整スイッチと、
前記基板を覆う基板ケースと、を備えた遊技機であって、
前記調整スイッチは、ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持されたつまみと、を備え、
続きを表示(全17行)
前記基板ケースは、前記つまみを挿通させる開口を備え、
前記ハウジングは、前記つまみ側の面に環状に形成された所定の表示を備え、
前記つまみは、径方向外側に突出する円形状の鍔部を備え、
前記鍔部は、切り欠き部を備え、
前記所定の表示は、前記鍔部に覆われる位置に形成されており、
前記ハウジングにおける前記所定の表示が設けられている面と前記鍔部の底面との間には、1mm未満の所定の隙間が形成されており、
前記所定の隙間は、前記所定の表示と前記鍔部の底面とが接触しないようになっており、
前記切り欠き部を介して前記所定の表示を構成する1つの文字の全体が視認できる状態では、前記つまみの軸方向に沿う第1方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記第1方向に対して斜めとなる第2方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記切り欠き部を介して前記1つの文字の隣の文字が視認できないようになっており、
前記所定の表示を構成する文字について、隣り合う文字における一方の文字の中心と他方の文字の中心との間の距離を第1距離とし、
前記鍔部の外周側における前記切り欠き部の幅を第2距離とすると、
前記第2距離は前記第1距離よりも小さくなっており、
前記径方向において、前記つまみの中心と前記第1距離の中心とを通過する直線上に前記第2距離の中心が位置している状態では、前記一方の文字の中心と前記他方の文字の中心とが、前記切り欠き部を介して視認できないようになっている
ことを特徴とする遊技機。」とする補正である(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。

2 補正の適否について

(1)補正の目的について

ア 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定の表示」に関し、「前記所定の表示を構成する文字について、隣り合う文字における一方の文字の中心と他方の文字の中心との間の距離を第1距離とし、前記鍔部の外周側における前記切り欠き部の幅を第2距離とすると、前記第2距離は前記第1距離よりも小さくなっており、前記径方向において、前記つまみの中心と前記第1距離の中心とを通過する直線上に前記第2距離の中心が位置している状態では、前記一方の文字の中心と前記他方の文字の中心とが、前記切り欠き部を介して視認できないようになっている」と限定するものである。

イ 上記アからみて、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項について

本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0090】、図15等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件について

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。

(1)本願補正発明

本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AからQについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。

「A 基板と、
B 前記基板に配置された所定の調整スイッチと、
C 前記基板を覆う基板ケースと、を備えた遊技機であって、
D 前記調整スイッチは、ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持されたつまみと、を備え、
続きを表示(全17行)
E 前記基板ケースは、前記つまみを挿通させる開口を備え、
F 前記ハウジングは、前記つまみ側の面に環状に形成された所定の表示を備え、
G 前記つまみは、径方向外側に突出する円形状の鍔部を備え、
H 前記鍔部は、切り欠き部を備え、
I 前記所定の表示は、前記鍔部に覆われる位置に形成されており、
J 前記ハウジングにおける前記所定の表示が設けられている面と前記鍔部の底面との間には、1mm未満の所定の隙間が形成されており、
K 前記所定の隙間は、前記所定の表示と前記鍔部の底面とが接触しないようになっており、
L 前記切り欠き部を介して前記所定の表示を構成する1つの文字の全体が視認できる状態では、前記つまみの軸方向に沿う第1方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記第1方向に対して斜めとなる第2方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記切り欠き部を介して前記1つの文字の隣の文字が視認できないようになっており、
M 前記所定の表示を構成する文字について、隣り合う文字における一方の文字の中心と他方の文字の中心との間の距離を第1距離とし、
N 前記鍔部の外周側における前記切り欠き部の幅を第2距離とすると、
O 前記第2距離は前記第1距離よりも小さくなっており、
P 前記径方向において、前記つまみの中心と前記第1距離の中心とを通過する直線上に前記第2距離の中心が位置している状態では、前記一方の文字の中心と前記他方の文字の中心とが、前記切り欠き部を介して視認できないようになっている
Q ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用例の記載事項、引用発明

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ア 引用例の記載事項

原査定で引用文献1として引用され、本願の遡及日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-254939号公報(平成23年12月22日公開、以下「引用例」という。)には、遊技台に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。

(ア)「【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施例1>
以下、図面を用いて、本発明の実施例に係る遊技台であるスロットマシンについて詳細に説明する。
【0010】
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。なお、同図はスロットマシン100の外観斜視図を示したものである。」
(イ)「【0023】
図2(a)は、前面扉102を開けた状態のスロットマシン100を示す正面図であり、図2(b)は、図2(a)において円Aで囲んだ音量調整部を拡大して示す図である。
【0024】
本体101は、上面板261、左側の側面板260、右側の側面板260、下面板264および背面板242で囲われ、前面に開口する箱体である。本体101の内部には、背面板242の上部に設けた通風口249と重ならない位置に、内部に主制御基板を収納した主制御基板収納ケース210が配置され、この主制御基板収納ケース210の下方に、3つのリール110乃至112が配置されている。主制御基板収納ケース210及びリール110乃至112の側方、即ち向って左側の側面板260には、内部に副制御基板を収納した副制御基板収納ケース220が配設してある。また、向かって右側の側面板260には、主制御基板に接続されて、スロットマシン100の情報を外部装置に出力する外部集中端子板248が取り付けられている。
続きを表示(全18行)
【0025】
そして、下面板264には、メダル払出装置180(バケットに溜まったメダルを払出す装置)が配設され、このメダル払出装置180の上方、即ちリール110乃至112の下方には、電源基板を有する電源装置252が配設され、電源装置252正面には電源スイッチ244を配設している。電源装置252は、スロットマシン100に外部から供給される交流電源を直流化し、所定の電圧に変換して後述する主制御部300、副制御部400、500等の各制御部、各装置に供給する。さらには、外部からの電源が断たれた後も所定の部品(例えば主制御部300のRAM308等)に所定の期間(例えば10日間)電源を供給するための蓄電回路(例えばコンデンサ)を備えている。
【0026】
メダル払出装置180の右側には、メダル補助収納庫240が配設してあり、この背後にはオーバーフロー端子が配設されている(図示省略)。電源装置252には、電源コード264を接続する電源コード接続部が設けられ、ここに接続された電源コード264が、本体101の背面板242に開設した電源コード用穴262を通して外部に延出している。
【0027】
前面扉102は、本体101の左側の側面板260にヒンジ装置276を介して蝶着され、図柄表示窓113の上部には、演出装置160、および、この演出装置160を制御する演出制御基板(図示省略)、音孔143に対応する位置には上部スピーカ272、を設けている。図中、演出装置160の左方の円Aで囲んだ箇所には、図2(b)に拡大して示す音量調整部600を設けている。図柄表示窓113の下部には、投入されたメダルを選別するためのメダルセレクタ170、このメダルセレクタ170が不正なメダル等をメダル受皿161に落下させる際にメダルが通過する通路266等を設けている。さらに、音孔180に対応する位置には低音スピーカ277を設けている。
【0028】
図3は、図2(b)に拡大して示す音量調整部600を示す斜視図であり、(a)は音量目盛りを0にした状態の音量調整部600を示す図であり、(b)は音量目盛りを3にした状態の音量調整部600を示す図であり、(c)は音量目盛りをFにした状態の音量調整部600を示す図である。
【0029】
本実施の形態の音量調整部600は、台座部603上につまみ部601を設けて構成される。つまみ部601は、図3(a)に示す矢印のように、台座部603上で回動可能にしてあり、操作者はつまみ部601を回動させ、スロットマシン100はつまみ部601の回動後の停止位置に応じて後述のように音量調整を行う。
【0030】
台座部603上であってつまみ部601の外周位置には目盛りが印字してあり、この印字された目盛りのうちの1つが、つまみ部601の回動と連動する鍔部602の切り欠いた窓部602aから視認可能にしてある。
【0031】
本実施の形態では、16段階に音量調整可能にしており、この16段階のそれぞれに対応した0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、0、A、B、C、D、EおよびFの16種類の目盛りを台座部603上に印字し、この16種類の印字のうち窓部602aから視認される目盛りに対応した音量に調整する。」
(ウ)「【図2】
[図:0001388204000001.jpg]
【図3】
[図:0001388204000002.jpg]
」

(エ)音量調整部600を示す斜視図である上記図3より、鍔部602は、径方向外側に突出する円形状であること、及び、つまみ部601の軸方向に対して斜めとなる方向から窓部602aを見た場合であっても、窓部602aを介して目盛りのうちの1つのみが視認可能であることが看取できる。

イ 引用発明

上記アからみて、引用例には、次の発明が記載されている。なお、aからqについては本願補正発明の特定事項AからQに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。

「a-c 演出装置160、および、この演出装置160を制御する演出制御基板を設け、演出装置160には、音量調整部600を設けている(【0027】)、スロットマシン100(【0010】)であって、
d 音量調整部600は、台座部603上で回動可能なつまみ部601を設けて構成され(【0029】)、
f 台座部603上であってつまみ部601の外周位置には目盛りが印字してあり(【0030】)、
g-l 印字された目盛りのうちの1つが、つまみ部601の回動と連動する、径方向外側に突出する円形状の鍔部602の切り欠いた窓部602aから視認可能にしてあり、つまみ部601の軸方向に対して斜めとなる方向から窓部602aを見た場合であっても、窓部602aを介して目盛りのうちの1つのみが視認可能である(【0030】、上記ア(エ))、
q スロットマシン100(【0010】)。」(以下「引用発明」という。)

(3)周知例等の記載、周知技術等

ア 周知例1

原査定で引用文献2として引用され、本願の遡及日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-38745号公報(平成29年2月23日公開、以下「周知例1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の電子基板を保護するための遊技機用基板ケースと、当該遊技機用基板ケースを用いた遊技機とに関する。
【背景技術】
【0002】
・・・略・・・
【0003】
一方で、基板ケースに格納される電子基板には、各種設定のためのロータリスイッチが設けられることがある。例えば、特許文献1には、遊技機の遊技仕様を変更するためのロータリスイッチが電源基板(電源部)に設けられた遊技機が記載されている。従来の遊技機においては、この種のロータリスイッチを基板ケースの外部からでも調節できるようにするため、基板ケースにおける当該ロータリスイッチに重なる位置に設けた開口部から当該ロータリスイッチのつまみ部分全体を露出させるという構造が採用されている。」
(イ)「【0021】
以下においては、便宜上、コネクタユニット34において中継基板を保護するために採用した場合を例に挙げて、本発明の遊技機用基板ケースを説明する。中継基板には、音量調節や節電モード切り替え等のためのロータリスイッチが設けられることがある。ただし、そこで述べた構成は、コネクタユニット34で採用した場合に限定されず、他のユニットでも採用することができる。
【0022】
2.遊技機用基板ケース
2.1 第一実施態様の遊技機用基板ケース
図3は、第一実施態様の遊技機用基板ケース100を示した斜視図である。図4は、第一実施態様の遊技機用基板ケース100を分解した状態を示した斜視図である。本実施態様の遊技機用基板ケース100は、図3及び図4に示すように、基板ケース本体部110と、基板ケース本体部110とは別体で形成された保護キャップ120とで構成されている。基板ケース本体部110は、保護対象部品(本実施態様の遊技機用基板ケース100では、図3及び図4における中継基板200)の上面(z軸方向正側)を覆って保護する上側ケース111と、下面を覆う下側ケース112とで構成される。第一実施態様の遊技機用基板ケース100において、保護キャップ120には、ロータリスイッチ保護部121が設けられている。保護キャップ120は、図4に示すように、基板ケース本体部110に備えられた保護部装着用開口部130に対して装着できるようになっている。
・・・略・・・
【0024】
2.1.1 基板ケース本体部
基板ケース本体部110を構成する上側ケース111及び下側ケース112は、図3及び図4に示すように、中継基板200を覆うための部材となっている。上側ケース111及び下側ケース112の形態は、中継基板200を不正アクセスから保護することができ、かつ後述の保護キャップ120を装着することが可能であれば、特に限定されるものではないが、第一実施態様の遊技機用基板ケース100においては、中継基板200を覆うことができる大きさの薄い矩形型で、中継基板200に取り付けられた部材と干渉しないように膨出部が設けられるとともに、中継基板200に各種ケーブルを接続するためのコネクタを露出させる開口部を備えたものとなっている。保護キャップ120を装着するための保護部装着用開口部130は、基板ケース本体部110において、中継基板200に取り付けられたロータリスイッチ210に重なる箇所であれば、上側ケース111又は下側ケース112のどちらに設けても良いが、本実施形態においては、上側ケース111に設けられている。保護部装着用開口部130は、基板ケース本体部110において、一箇所だけ設けても良いが、複数箇所設けることもできる。複数箇所設けた場合においては、少なくとも一箇所の保護部装着用開口部130に保護キャップ120を取り付ければ良い。」
(ウ)「【図3】
[図:0001388204000003.jpg]
【図4】
[図:0001388204000004.jpg]
」

イ 周知例2

原査定で引用文献3として引用され、本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-223198号公報(平成26年12月4日公開、以下「周知例2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が記載されている。

「【0425】
パチンコ遊技機1を電力消費量が異なる通常モードと省電力モードとに切り替え可能に構成してもよい。たとえば、電力消費量の設定を通常モードと省電力モードとに切り替えるためのモード設定スイッチをパチンコ遊技機1に設けることが考えられる。モード設定スイッチは、遊技者が操作できない個所、たとえば、演出制御基板12上に設けることが望ましい。演出制御基板12を基板ケースで覆う場合には、モード設定スイッチを操作するためのつまみ部分を基板ケースの外に露出させ、パチンコ遊技機1の背面を開くための鍵を持つ遊技店員が必要に応じて操作可能とする。」

ウ 周知技術1

上記ア及びイからみて、以下の事項が本願の遡及日前に周知であると認められる。

「遊技機において、基板ケースに格納される電子基板には、各種設定のためのロータリスイッチが設けられ、ロータリスイッチを基板ケースの外部からでも調節できるようにするため、基板ケースにおける当該ロータリスイッチに重なる位置に設けた開口部から当該ロータリスイッチのつまみ部分全体を露出させること。」(以下「周知技術1」という。)

エ 周知例3

原査定で引用文献4として引用され、本願の遡及日前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2001-57131号公報(平成13年2月27日公開、以下「周知例3」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などに搭載されるヒーターコントロールパネルに使用される、回転型電気部品であるロータリースイッチなどの操作軸に取り付ける操作ツマミの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車などのヒーターコントロールパネルには複数の操作ツマミが配設されている。この操作ツマミは、パネルに搭載された自動車の暖房やエアコン等の空調を行う、例えば回転型電気部品であるロータリースイッチなどの操作軸に嵌合され、パネルの表面に配設されるものとなっている。この場合、操作性を良くするために、通常は、操作ツマミの下面とパネル表面とは若干の隙間を設けて取り付けられるものとなっている。」
(イ)「【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のコントロールパネル用操作ツマミ取付構造の1実施例を図1乃至図6に示す。図1は回転型電気部品であるロータリースイッチの操作軸に操作ツマミを取り付けた状態を示す部分断面図、図2はロータリースイッチの正面図、図3は同じく底面図、図4はコントロールパネル装置全体の分解斜視図、図5及び図6はパネルの意匠図である。
・・・略・・・
【0023】次に、前記パネル13の前記挿通孔13aに、突出された状態で取り付けられている、前記ロータリースイッチ4の操作軸7の操作部7a先端に、前記操作ツマミ14の嵌合部14bを挿入する。この時、この嵌合部14bには、ばね性のある金属片からなる前記付勢部材15が挿入されており、この付勢部材15によって前記操作ツマミ14が前記操作軸7に嵌入される際、ある一定の付勢力(本発明では約3kg)が、挿入される前記操作軸7へ作用することとなる。また、前記操作軸7は軸方向に移動可能であり、前記操作軸7が軸方向へ移動した後の復帰を可能とするために、前記ケース5の下面には剛性のばね性を有するバネ部材10を設けており、前記バネ部材10の復帰力は一定の復帰力(本発明では約2kg)が付与されている。
【0024】したがって、前記操作ツマミ14が前記操作軸7に挿入された場合、前記操作ツマミ14の挿入力(約3kg)に対して、前記操作軸7の復帰力(約2kg)の方が軽い荷重で設定されていることから、前記操作軸7は軸方向(この場合はプッシュ方向)へ一定距離T(本発明では0.5mm)押し込まれることとなる。
【0025】この状態から、さらに続けて前記操作ツマミ14を押し込むと、今度は、前記操作軸7の移動が停止され(移動が0.5mmに達した時点で停止する)、前記操作ツマミ14は前記操作軸7の操作部7aに摺接しながら挿入される。そして、前記操作ツマミ14の下面が、前記パネル13の上面に当接した時に前記操作ツマミ14の挿入が終了する。この時、前記操作ツマミ14の嵌合部14bには、前記操作軸7の先端と前記操作ツマミ14の嵌合部14bの底面とは当接しないように、ある一定の空間部14cを設けてある。
【0026】この状態で、前記操作ツマミ14の押し込み力を解除してやると、前記操作軸7は自身のバネ部材10の復帰力により一定距離T(0.5mm)だけ復帰することとなり、その結果、前記操作ツマミ14の下面と前記パネル13の上面との間に常に一定の隙間寸法が得られるものとなる。
【0027】上記の実施例においては、前記操作軸7の先端と前記操作ツマミ14の嵌合部14bの底面とは当接しないように、ある一定の空間部14cを設けてあり、また、前記操作ツマミ14を前記操作軸7に挿入する時は、前記操作ツマミ14の下面と前記パネル13の上面とが当接した時、前記操作ツマミ14の前記操作軸7への挿入が終了となり、この状態から常に一定の隙間寸法だけ前記操作軸7が復帰する様に構成したことから、前記操作ツマミ14を取り付ける前記操作軸7の長さ寸法のバラツキなど、関係部品のバラツキの影響を受けず、前記操作ツマミ14の下面と前記パネル13表面との間には常に一定の隙間寸法を形成することが可能となるため、外観などの商品性を損なわずに、良好な操作性が得られるものとなる。」
(ウ)「【図1】
[図:0001388204000005.jpg]
」

オ 周知技術2

上記エからみて、以下の事項が本願の遡及日前に周知であると認められる。

「ロータリースイッチなどの操作軸に取り付ける操作ツマミの取付構造であって、
操作ツマミは、ロータリースイッチなどの操作軸に嵌合され、パネルの表面に配設され、操作性を良くするために、通常は、操作ツマミの下面とパネル表面とは若干の隙間、例えば0.5mmの隙間を設けて取り付けられる、操作ツマミの取付構造。」(以下「周知技術2」という。)

カ 技術常識を示す参考例

電子的技術情報(DIPロータリースイッチ 0~9,カタログ[online] ,2013年 2月16日発売,[2022年 5月17日検索],主に、DRS4010C、DRS4110C、DRR4010C、DRR4110Cを参照,URL,http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-06500/)には、次の事項が掲載されている。

「
[図:0001388204000006.jpg]
」

(4)対比

本願補正発明と引用発明を対比する。

ア 特定事項Aについて

引用発明のa-cの「演出制御基板を設け」ることは、本願補正発明の「基板」「を備えた」ことに相当するから、引用発明のa-cは、本願補正発明の特定事項Aを備える。

イ 特定事項Bについて

引用発明のa-cの「音声調整部600を設けている」ことと、本願補正発明の特定事項Bの「前記基板に配置された所定の調整スイッチ」「を備えた」こととは、「所定の調整スイッチ」「を備えた」点で一致する。

ウ 特定事項C、Qについて

引用発明のa-cの「スロットマシン100」と、本願補正発明の特定事項Cの「前記基板を覆う基板ケース」「を備えた遊技機」とは、「遊技機」である点で一致する。

また、同様に、引用発明の「q スロットマシン100」は、本願補正発明の特定事項Qの「遊技機」に相当する。

エ 特定事項Dについて

引用発明のdの「台座部603」及び「台座部603上で回動可能なつまみ部601」は、それぞれ本願補正発明の「ハウジング」及び「ハウジングに回転可能に支持されたつまみ」に相当する。

そうすると、引用発明のdは、音量調整部600(調整スイッチ)が、台座部603(ハウジング)上で回動可能なつまみ部601(つまみ)を設けて構成されているから、本願補正発明の特定事項Dを備える。

オ 特定事項Fについて

引用発明のfの「目盛り」は、本願補正発明の「所定の表示」に相当する。

引用発明のfにおいて、台座部603(ハウジング)上であってつまみ部601(つまみ)の外周位置には目盛り(所定の表示)が印字してあるから、目盛り(所定の表示)が環状に形成されていることは自明である。

そうすると、引用発明のfは、本願補正発明の特定事項Fに相当する。

カ 特定事項G、Hについて

引用発明の「つまみ部601の回動と連動する、径方向外側に突出する円形状の鍔部602」及び「鍔部602の切り欠いた窓部602a」は、それぞれ本願補正発明の「つまみ」に「備え」られた「径方向外側に突出する円形状の鍔部」及び「切り欠き部」に相当する。

そうすると、引用発明のg-lは、本願補正発明の特定事項G及びHを備える。

キ 特定事項Iについて

引用発明のg-lにおいて、印字された目盛り(所定の表示)のうちの1つが、つまみ部601(つまみ)の回動と連動する、径方向外側に突出する円形状の鍔部602(鍔部)の切り欠いた窓部602a(切り欠き部)から視認可能にしてあるから、目盛り(所定の表示)は、窓部602a(切り欠き部)以外の鍔部602(鍔部)により覆われる位置に形成されているといえる。

そうすると、引用発明のg-lは、本願補正発明の特定事項Iを備える。

ク 特定事項Lについて

引用発明のg-lにおいて、印字された目盛り(所定の表示)のうちの1つ(本願補正発明の「1つの文字」に相当)は、つまみ部601(つまみ)の鍔部602(鍔部)の切り欠いた窓部602a(切り欠き部)から視認可能にしてあり、この視認可能な状態は、つまみ部601(つまみ)の軸方向に沿う第1方向から窓部602a(切り欠き部)を見た場合であることが明らかであり、この軸方向から見た場合、窓部602a(切り欠き部)を介して目盛りのうちの1つ(1つの文字)の隣の目盛り(文字)が視認できないことは明らかである。

また、引用発明のg-lにおいて、つまみ部601(つまみ)の軸方向(第1方向)に対して斜めとなる方向(第2方向)から窓部602a(切り欠き部)を見た場合であっても、窓部602a(切り欠き部)を介して目盛りのうちの1つ(1つの文字)のみが視認可能であるから、該目盛りのうちの1つ(1つの文字)の隣の目盛り(隣の文字)も視認できないことは明らかである。

そうすると、引用発明のg-lは、本願補正発明の特定事項Lを備える。

ケ 上記ア-クからみて、本願補正発明と引用発明とは、

「A 基板と、
B’所定の調整スイッチと、
C’を備えた遊技機であって、
D 前記調整スイッチは、ハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持されたつまみと、を備え、
F 前記ハウジングは、前記つまみ側の面に環状に形成された所定の表示を備え、
G 前記つまみは、径方向外側に突出する円形状の鍔部を備え、
H 前記鍔部は、切り欠き部を備え、
I 前記所定の表示は、前記鍔部に覆われる位置に形成されており、
L 前記切り欠き部を介して前記所定の表示を構成する1つの文字の全体が視認できる状態では、前記つまみの軸方向に沿う第1方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記第1方向に対して斜めとなる第2方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記切り欠き部を介して前記1つの文字の隣の文字が視認できないようになっている、
Q 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1(特定事項B)

「所定の調整スイッチ」は、

本願補正発明では、「前記基板に配置され」ているのに対し、

引用発明では、基板に配置されているかどうか明らかでない点。

・相違点2(特定事項C、E)

本願補正発明では、「前記基板を覆う基板ケース」「を備え」、「前記基板ケースは、前記つまみを挿通させる開口を備え」ているのに対し、

引用発明では、基板ケースを備えているかどうか明らかでなく、該基板ケースがつまみ部601(つまみ)を挿通させる開口を備えているかどうかも明らかでない点、

・相違点3(特定事項J、K)

「ハウジング」と「鍔部」との関係に関して、

本願補正発明では、「前記ハウジングにおける前記所定の表示が設けられている面と前記鍔部の底面との間には、1mm未満の所定の隙間が形成されており、前記所定の隙間は、前記所定の表示と前記鍔部の底面とが接触しないようになって」いるのに対し、

引用発明では、台座部603(ハウジング)と鍔部602(鍔部)との間に所定の隙間が形成されているか特定されていない点。

・相違点4(特定事項M-P)

「所定の表示を構成する」「文字」に関し、

本願補正発明では、「前記所定の表示を構成する文字について、隣り合う文字における一方の文字の中心と他方の文字の中心との間の距離を第1距離とし、前記鍔部の外周側における前記切り欠き部の幅を第2距離とすると、前記第2距離は前記第1距離よりも小さくなっており、前記径方向において、前記つまみの中心と前記第1距離の中心とを通過する直線上に前記第2距離の中心が位置している状態では、前記一方の文字の中心と前記他方の文字の中心とが、前記切り欠き部を介して視認できないようになっている」のに対し、

引用発明では、そのような特定がない点。

(5)判断

ア 相違点1、2について

相違点1及び2は、「基板」及び「調整スイッチ」で関連するため、まとめて検討する。

周知技術1(上記(3)ウ)として示したように、遊技機において、基板ケースに格納される電子基板には、各種設定のためのロータリスイッチが設けられ、ロータリスイッチを基板ケースの外部からでも調節できるようにするため、基板ケースにおける当該ロータリスイッチに重なる位置に設けた開口部から当該ロータリスイッチのつまみ部分全体を露出させることは周知である。

そして、周知技術1の「遊技機」、「電子基板」、「ロータリスイッチ」、「基板ケース」及び「開口部」は、それぞれ本願補正発明の「遊技機」、「基板」、「所定の調整スイッチ」、「基板ケース」及び「開口」に相当するから、周知技術1は、本願補正発明の特定事項AからC及びEを備えるといえる。

引用発明と周知技術1とは、基板と、回転可能なつまみを有する調整スイッチを備える遊技機で技術分野が共通し、調整スイッチを外部からでも調節できるようにするという課題を内在する点でも共通するから、周知技術1を引用発明に適用して、音量調整部600(調整スイッチ)を基板に配置し、前記基板を覆う基板ケースを備えるようにし、前記基板ケースは、つまみ部601(つまみ)を挿通させる開口を備えるようにすることは当業者が適宜なし得たことである。

してみると、引用発明において、相違点1及び2に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得たことである。

イ 相違点3について

引用発明の音量調整部600(調整スイッチ)において、台座部603(ハウジング)上で回動可能なつまみ部601(つまみ)と、台座部603(ハウジング)との間に隙間が設けられているか否か不明であるものの、つまみ部601(つまみ)が回動可能な構成であることを踏まえれば、つまみ部601(つまみ)と台座部603(ハウジング)との間に摺動等に伴う摩擦の発生を防止すべく隙間を設けることは技術常識からみて自明である。

そして、引用発明において、つまみ部601(つまみ)と台座部603(ハウジング)との間の隙間をどのような寸法で設けるかは、操作性や外観等を考慮して当業者が適宜設計し得る程度の事項であり、かつまた、周知技術2(上記(3)オ)として示したように、ロータリースイッチなどの操作軸に取り付ける操作ツマミの取付構造において、操作ツマミは、ロータリースイッチなどの操作軸に嵌合され、パネルの表面に配設され、操作性を良くするために、通常は、操作ツマミの下面とパネル表面とは、1mm未満の若干の隙間を設けて取り付けられることは周知の設計態様である。

してみると、引用発明において、周知技術2を考慮すれば、相違点3に係る本願補正発明の特定事項となすことは、当業者が適宜なし得たことである。

ウ 相違点4について

引用発明において、切り欠いた窓部の幅をどのようにするかは、表示する目盛りの個数や大きさ、形状等を勘案して、当業者が適宜設計し得る事項にすぎず、切り欠いた窓部の幅を、台座部に印字された隣り合う目盛りの各中心間の距離よりも小さくすることも、切り欠いた窓部に複数の数字が表示されることによる誤認識等を防ぐべく、ごく普通に設計されるものである(例えば、電子的技術情報(DIPロータリースイッチ 0~9,カタログ[online] ,2013年 2月16日発売,[2022年 5月17日検索],主に、DRS4010C、DRS4110C、DRR4010C、DRR4110Cを参照,URL,http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-06500/)(上記(3)カ)を参照されたい。)。

また、そのように構成すれば、必然的に、切り欠いた窓部の幅の中心が、台座部に印字された隣り合う目盛りの各中心間の距離の中心に位置している状態では、隣り合う目盛りの一方の表示の中心と他方の表示の中心とが、切り欠いた窓部を介して露出していないことは自明である。

したがって、引用発明において、上記相違点4に係る本願補正発明の特定事項のようになすことは、当業者が適宜なし得た設計事項である。

(6)本願補正発明の奏する効果は、引用発明、周知技術1及び2の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

(7)請求人の主張について

ア 請求人は、審判請求書の「5.対比説明」において、概ね以下のとおり主張する。

「(1)本願請求項1に係る発明(本願発明)は、
「前記ハウジングにおける前記所定の表示が設けられている面と前記鍔部の底面との間には、1mm未満の所定の隙間が形成されており、前記所定の隙間は、前記所定の表示と前記鍔部の底面とが接触しないようになっており、」という構成(構成Xとする)と、
「前記切り欠き部を介して前記所定の表示を構成する1つの文字の全体が視認できる状態では、前記つまみの軸方向に沿う第1方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記第1方向に対して斜めとなる第2方向から前記切り欠き部を見た場合であっても、前記切り欠き部を介して前記1つの文字の隣の文字が視認できないようになっている」という構成(構成Yとする)と、
「前記所定の表示を構成する文字について、隣り合う文字における一方の文字の中心と他方の文字の中心との間の距離を第1距離とし、前記鍔部の外周側における前記切り欠き部の幅を第2距離とすると、前記第2距離は前記第1距離よりも小さくなっており、前記径方向において、前記つまみの中心と前記第1距離の中心とを通過する直線上に前記第2距離の中心が位置している状態では、前記一方の文字の中心と前記他方の文字の中心とが、前記切り欠き部を介して視認できないようになっている」という構成(構成Zとする)と、を備えるものです。
・・・略・・・
(5)まとめ
構成X、構成Yおよび構成Zを備える本願請求項1に係る発明は、引用文献1-4に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものではありません。本願発明は構成X、構成Yおよび構成Zを備えていることにより、当初明細書の段落[0089]に記載の「ハウジング310の上面310aに印刷されているレベル表示部312が削られ、レベル表示が不鮮明となってしまうことがない。すなわち、レベル表示の視認性悪化を防止できる。」という有利な効果と、当初明細書の段落[0089]に記載の「当該隙間は1.0mm未満の僅かなものであるため、つまみ330を適正位置に設定した場合(切り欠き部331aの略E真中にレベルが位置している場合)に、つまみ330の軸方向において正面から見た場合でも斜めから見た場合でも、切り欠き部331aの内側に位置するレベル(例えば数字)の隣のレベルが視認されることはない。すなわち、2つのレベルが一度に視認されることがなく、現在の設定値を正確に把握することができる。」という有利な効果と、当初明細書の段落[0090]に記載の「つまみ330の設定ミス、すなわち、つまみ330を適切な位置まで回転させていないこと(つまみ330のポジションが不適切であること)をより容易に把握することができる。」という有利な効果とを奏するものです。
したがって、構成X、構成Yおよび構成Zを備える本願請求項1に係る発明は、進歩性を有するものと確信いたします。」

イ 請求人の主張について検討する。

請求人は、本願補正発明が構成X、構成Yおよび構成Zを備えることで進歩性を有し、これらの構成X、構成Yおよび構成Zを備えることにより有利な効果を奏することを縷々主張するが、上記(4)で示したとおり、本願補正発明の構成Y(特定事項L)については引用例(引用発明)に記載されており、上記(5)で示したとおり、引用発明において、上記相違点3に係る本願補正発明の特定事項(構成X)及び上記相違点4に係る本願補正発明の特定事項(構成Z)のようにすることは当業者が適宜なし得たものであるから、引用発明が構成X、構成Y及び構成Zを全て備えるものとすることも当業者が容易になし得たものである。

そして、構成X、構成Y及び構成Zを全て備えることを前提とする、本願補正発明の奏する有利な効果についても、上記(6)で示したとおり、引用発明、周知技術1及び2の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

してみると、請求人の上記主張は採用できない。

(8)むすび

以上のとおり、本願補正発明は、当業者が、引用発明、周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 小括

本願補正発明は、上記3のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年2月8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要

原査定の拒絶の理由は、概ね、次のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記

・請求項 1

・下記引用文献等 1-4

<引用文献等一覧>

1.特開2011-254939号公報

2.特開2017-38745号公報(周知技術を示す文献)

3.特開2014-223198号公報(周知技術を示す文献)

4.特開2001-57131号公報(周知技術を示す文献)

3 引用例

引用文献1から引用文献4(引用例、周知例1から3)は、上記第2[理由]3(2)及び(3)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明(上記第2[理由]1)は、本願補正発明(上記第2[理由]3(1))から、本件補正により限定された事項、すなわち、上記相違点4に係る本願補正発明の特定事項を削除したものである。

そして、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明と引用発明とは、上記相違点1から3で相違し、その余の点で一致するから、上記第2[理由]3(5)ア及びイで示した理由と同様な理由により、本願発明は、当業者が、引用発明、周知技術1及び2に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2号の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-015915

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