2020-015548
遊技機
- 審判番号
- 2020-015548
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-207925外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年11月10日
- 審決日
- 2022年01月25日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A63F) / P18 .575-WZ (A63F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成27年10月22日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 令和3年11月8日に提出された手続補正書による補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
令和3年11月8日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲についてする補正であって、令和3年8月25日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1ないし4のうちの請求項2に、
「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、小役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、規定投入数の遊技価値が投入状態に設定されている状態で遊技開始操作が行われた場合に、前記複数のリールを回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、続きを表示(全17行)前記小役が入賞した場合に、入賞した小役の配当に基づいて、払い出す遊技価値の数を決定し、決定した数の遊技価値を払い出す制御を行う払出制御手段と、前記小役の入賞に伴い遊技価値が払い出された場合に、遊技価値の払出数を払出表示装置に表示させる制御を行う表示制御手段とを備えた遊技機であって、前記小役として複数種類の特定小役が設定され、前記内部抽選手段が、前記複数種類の特定小役が互いに重複せずに前記特定小役よりも配当が低い他の小役と重複して当選する複数種類の特定当選態様が存在するように内部抽選を行い、前記複数種類の特定当選態様のそれぞれに対して前記特定当選態様の種類に応じた特定操作態様が予め設定されており、同一の前記特定操作態様に対して前記特定小役が異なる複数種類の前記特定当選態様が割り当てられており、前記リール制御手段が、内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定操作態様で停止操作が行われた場合には、前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記特定操作態様とは異なる操作態様で停止操作が行われた場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記特定小役の入賞を回避して前記他の小役が入賞する場合が存在するように回転中のリールを停止させ、前記表示制御手段が、特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定小役の入賞を補助する遊技情報を前記払出表示装置に表示させ、前記リール制御手段が、前記特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記払出表示装置に表示された前記遊技情報の示す内容に従って停止操作が行われると前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させることを特徴とする遊技機。」とあったものを、
「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、小役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、規定投入数の遊技価値が投入状態に設定されている状態で遊技開始操作が行われた場合に、前記複数のリールを回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、続きを表示(全17行)前記小役が入賞した場合に、入賞した小役の配当に基づいて、払い出す遊技価値の数を決定し、決定した数の遊技価値を払い出す制御を行う払出制御手段と、前記小役の入賞に伴い遊技価値が払い出された場合に、遊技価値の払出数を払出表示装置に表示させる制御を行う表示制御手段とを備えた遊技機であって、前記小役として配当が同一の複数種類の特定小役が設定され、前記内部抽選手段が、前記複数種類の特定小役が互いに重複せずに前記特定小役よりも配当が低い他の小役と重複して当選する複数種類の特定当選態様、および前記複数種類の特定小役が重複して当選する他の当選態様が存在し、前記他の当選態様が抽選される遊技状態であってボーナスの入賞によって移行するボーナス状態において内部抽選で前記他の当選態様となる確率が、前記複数種類の特定当選態様が抽選される遊技状態である通常状態において内部抽選で前記複数種類の特定当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、前記複数種類の特定当選態様のそれぞれに対して前記特定当選態様の種類に応じた特定操作態様が予め設定されており、同一の前記特定操作態様に対して前記特定小役が異なる複数種類の前記特定当選態様が割り当てられており、前記リール制御手段が、内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定操作態様で停止操作が行われた場合には、前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記特定操作態様とは異なる操作態様で停止操作が行われた場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記特定小役の入賞を回避して前記他の小役が入賞する場合が存在するように回転中のリールを停止させ、前記表示制御手段が、特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定小役の入賞を補助する遊技情報を前記払出表示装置に表示させ、前記リール制御手段が、前記特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記払出表示装置に表示された前記遊技情報の示す内容に従って停止操作が行われると前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(なお、下線は補正前後の箇所を明示するために合議体が付した。)。
2 補正の適否について
(1)補正の目的について
ア 本件補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「複数種類の特定小役」を「配当が同一の複数種類の特定小役」と限定するものである(なお、下線は合議体が付した。以下同様。)。
イ 本件補正は、本件補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「内部抽選手段」に関し、「前記複数種類の特定小役が互いに重複せずに前記特定小役よりも配当が低い他の小役と重複して当選する複数種類の特定当選態様が存在するように内部抽選を行い、」を「前記複数種類の特定小役が互いに重複せずに前記特定小役よりも配当が低い他の小役と重複して当選する複数種類の特定当選態様、および前記複数種類の特定小役が重複して当選する他の当選態様が存在し、前記他の当選態様が抽選される遊技状態であってボーナスの入賞によって移行するボーナス状態において内部抽選で前記他の当選態様となる確率が、前記複数種類の特定当選態様が抽選される遊技状態である通常状態において内部抽選で前記複数種類の特定当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、」と限定するものである。
ウ 上記ア及びイからみて、本件補正は、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項2に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項について
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0057】、【0107】、図14等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項2に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、以下、検討する。
(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである(なお、AないしHについては、分説するため合議体が付した。以下A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。
「A 外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、B 小役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、C 規定投入数の遊技価値が投入状態に設定されている状態で遊技開始操作が行われた場合に、前記複数のリールを回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、D 前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、続きを表示(全18行)E 前記小役が入賞した場合に、入賞した小役の配当に基づいて、払い出す遊技価値の数を決定し、決定した数の遊技価値を払い出す制御を行う払出制御手段と、F 前記小役の入賞に伴い遊技価値が払い出された場合に、遊技価値の払出数を払出表示装置に表示させる制御を行う表示制御手段とを備えた遊技機であって、G 前記小役として配当が同一の複数種類の特定小役が設定され、B1 前記内部抽選手段が、前記複数種類の特定小役が互いに重複せずに前記特定小役よりも配当が低い他の小役と重複して当選する複数種類の特定当選態様、および前記複数種類の特定小役が重複して当選する他の当選態様が存在し、前記他の当選態様が抽選される遊技状態であってボーナスの入賞によって移行するボーナス状態において内部抽選で前記他の当選態様となる確率が、前記複数種類の特定当選態様が抽選される遊技状態である通常状態において内部抽選で前記複数種類の特定当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、B2 前記複数種類の特定当選態様のそれぞれに対して前記特定当選態様の種類に応じた特定操作態様が予め設定されており、B3 同一の前記特定操作態様に対して前記特定小役が異なる複数種類の前記特定当選態様が割り当てられており、C1 前記リール制御手段が、内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定操作態様で停止操作が行われた場合には、前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記特定操作態様とは異なる操作態様で停止操作が行われた場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記特定小役の入賞を回避して前記他の小役が入賞する場合が存在するように回転中のリールを停止させ、F1 前記表示制御手段が、特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定小役の入賞を補助する遊技情報を前記払出表示装置に表示させ、C2 前記リール制御手段が、前記特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記払出表示装置に表示された前記遊技情報の示す内容に従って停止操作が行われると前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させるH ことを特徴とする遊技機。」
(2)引用例の記載、引用発明
ア 引用例1
当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2015-119952号公報(平成27年7月2日公開、以下「引用例1」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(ア)「【技術分野】【0001】本発明は、遊技機に関する。・・・略・・・【発明が解決しようとする課題】【0008】しかしながら従来のアシストタイム遊技を行うことができる遊技機では、内部抽選で所定の抽選結果が得られた場合に、特定の態様で停止操作が行われたことによって特定の図柄組合せが表示されたことを条件にリプレイの当選確率が高い遊技状態へ移行させるようになっている。このため、アシストタイム遊技を行うことが確定しても、リプレイの当選確率が高い遊技状態に移行するためには、特定の図柄組合せを表示可能とする抽選結果を得る必要がある。すなわち従来の手法では、リプレイの当選確率が高い遊技状態への移行については、内部抽選への依存性が高く、運の悪い遊技者はリプレイの当選確率が高い遊技状態に移行するまでの遊技(いわゆる+準備状態や待機状態)が長期化することによって相当量の遊技媒体を消費していることもあり、結果として遊技者がアシストタイム遊技を行っても十分に遊技媒体を獲得できないという事態を招いていた。【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アシストタイム遊技で遊技者に安定的に遊技媒体を獲得させることができる遊技機を提供することにある。」
(イ)「【0022】本実施形態の遊技機は、いわゆるスロットマシンあるいは回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。・・・略・・・【0024】図1に示す第1リールR1~第3リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で21の領域(各領域を「コマ」と称する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また第1リールR1~第3リールR3は、ステッピングモータ(リール駆動手段:図示省略)に軸支されており、それぞれステッピングモータの軸周りに回転駆動され、ステッピングモータの駆動パルスのパルス数やパルス幅などを制御することによって、コマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。すなわち本実施形態の遊技機では、ステッピングモータが制御基板から供給された駆動パルスに応じて第1リールR1~第3リールR3を回転駆動し、制御基板から駆動パルスの供給が断たれると、ステッピングモータの回転が停止することに伴って第1リールR1~第3リールR3が停止する。・・・略・・・【0028】また前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計等の各種遊技情報が表示される。」
(ウ)「【0039】投入受付手段105は、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数(3枚)に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートレバーSL(遊技開始操作手段)に対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。なお本実施形態の遊技機では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技開始操作として受け付けられ、第1リールR1~第3リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。・・・略・・・【0042】内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対する遊技開始操作(有効化されたスタートレバーSLへの最初の押下操作)により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。【0043】抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段191に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。本実施形態の遊技機では、内部抽選テーブル記憶手段191に、図3に示すような3種類の抽選テーブルA~抽選テーブルCが記憶されている。そして各抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役、およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。」
(エ)「【図3】[図:0001382775000001.jpg]」
(オ)「【0044】なお本実施形態の遊技機では、小役として、ベルA、ベルB(特定小役)、ベルC(特定小役)、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4、特殊小役B、弱チェリー、強チェリー、スイカが用意されており、複数種類の小役が重複して当選する小役の当選態様として、打順ベル(打順ベル1~打順ベル8:第1当選態様)と、JAC1(第2当選態様)およびJAC2とが設定されている。【0045】打順ベルについて図4を参照しながら具体的に説明すると、打順ベル1~打順ベル4は、図4(A)に示すように、ベルAと、ベルBと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選することを示している。このように本実施形態の遊技機では、打順ベル1~打順ベル4において、ベルAと、ベルBと、2種類の特殊小役とが重複して当選し、ベルAおよびベルBと重複して当選する2種類の特殊小役の組合せが異なっている。また打順ベル5~打順ベル8は、図4(A)に示すように、ベルAと、ベルCと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選することを示している。このように本実施形態の遊技機では、打順ベル5~打順ベル8において、ベルAと、ベルCと、2種類の特殊小役とが重複して当選し、ベルAおよびベルCと重複して当選する2種類の特殊小役の組合せが異なっている。【0046】またJACについて図4を参照しながら具体的に説明すると、JAC1は、図4(B)に示すように、ベルAと、ベルBと、ベルCと、特殊小役Bと、スイカと、弱チェリーと、強チェリーとが重複して当選することを示しており、JAC2は、図4(B)に示すように、特殊小役A1~特殊小役A4と、特殊小役Bと、ベルAとが重複して当選することを示している。【0047】また本実施形態の遊技機では、内部抽選テーブルAと内部抽選テーブルBとにおいて小役の当選確率が同一であって、内部抽選テーブルBにおいて内部抽選テーブルAよりも高確率でリプレイが当選し、内部抽選テーブルCでは、内部抽選テーブルAおよび内部抽選テーブルBとは異なる態様で小役が当選するようになっている。そして内部抽選テーブルAおよび内部抽選テーブルBでは、打順ベル1~打順ベル8によってベルBとベルCが互いに重複せずに当選するようになっており、JAC1によってベルBとベルCが重複して当選するようになっている。」
(カ)「【図4】[図:0001382775000002.jpg]」
(キ)「【0053】リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへの遊技開始操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、ステッピングモータにより第1リールR1~第3リールR3の回転駆動を開始し、第1リールR1~第3リールR3が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)で定常回転しているリールに対応するストップボタンB1~B3(停止操作手段)を押下することによる停止操作を有効化する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御を行う。【0054】そしてリール制御手段130は、ストップボタンB1~B3に対する停止操作が有効化された状態において、遊技者がストップボタンB1~B3を押下することによりストップスイッチ240が作動すると、ストップスイッチ240からのリール停止信号に基づいて、リールユニット310のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リールR1~第3リールR3の各リールを停止させる制御を行う。」
(ク)「【0062】そして本実施形態では、打順ベルが当選した場合に、ストップボタンB1~B3の押下順序に応じたロジック演算が行われる。具体的には、打順ベル1~打順ベル8のそれぞれに対して正解打順と特定打順とが設定されており、正解打順および特定打順のいずれとも異なる順序が不正解打順として扱われる。特に本実施の形態では、正解打順と特定打順とでは最初に停止させるべきリールが同一であり、2番目に停止させるリールにおいて正解打順であると判断される場合と特定打順であると判断される場合に分岐するようになっている。そして、いずれかの打順ベルが当選した場合に、最初に押下されたストップボタンの種類が正解打順および特定打順に対応している場合には、最初に停止するリールについてはメダルの払出数が最も多く、かつ有効ライン上に表示可能となる図柄組合せの数が最も多くなる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められ、2番目以降に停止するリールについては、有効ライン上に表示可能となる図柄組合せの数が最も多くなる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められる。なお本実施形態では、ベルAとベルBとが第2リールR2に関して共通の図柄(ベル図柄A「BLA」およびベル図柄B「BLB」)が割り当てられており、打順ベル1~打順ベル4の当選時に第2リールR2を最初に停止させる際にはメダルの払出数が最も多くなる停止位置の候補が最も多くの入賞形態を示す図柄組合せを有効ライン上に表示させることができる停止位置の候補となっている。また本実施形態では、ベルAとベルCとが第3リールR3に関して共通の図柄(リプレイ図柄A「PRA」およびリプレイ図柄B「RPB」)が割り当てられており、打順ベル5~打順ベル8の当選時に第3リールR3を最初に停止させる際にはメダルの払出数が最も多くなる停止位置の候補が最も多くの入賞形態を示す図柄組合せを有効ライン上に表示させることができる停止位置の候補となっている。また、いずれかの打順ベルが当選した場合に、不正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、最も多くの入賞形態を構成する図柄組合せを表示させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められる。【0063】そして本実施形態では、いずれかの打順ベルが当選した場合に、特定打順でストップボタンB1~B3が押下されると、ベルAを入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われ、正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、ベルBやベルCを入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われ、不正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、特殊小役A1~特殊小役A4や特殊小役Bを入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われる。【0064】またロジック演算処理では、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールの停止位置の候補を求める処理として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるようにリールの停止位置の候補を求める処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役を入賞させることができないようにリールの停止位置の候補を求める処理である。このようにリール制御手段130は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないようにリールの停止位置の候補を求めるロジック演算処理を行っている。・・・略・・・【0069】入賞判定手段140は、第1リールR1~第3リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段194に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1~第3リールR3の全てが停止した時点で有効ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ライン上に表示された図柄組合せによって、図7~図11に示すように、ビッグボーナス(BB)、リプレイ、ベルA~ベルC、特殊小役A1~特殊小役A4、特殊小役B、スイカ、弱チェリー、強チェリーの入賞の有無が判定できるように入賞判定テーブルが用意されている。」
(ケ)「【図6】[図:0001382775000003.jpg]」
(コ)「【0077】払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニット320(払出装置)に払い出させる制御を行う。・・・略・・・【0082】続きを表示(全11行)通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態においてビッグボーナス(BB)が当選した場合にボーナス成立状態へ移行する。また通常状態では、図3に示す内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCのうち、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定され、かつビッグボーナス(BB)が抽選対象として設定されている内部抽選テーブルAを参照した内部抽選が行われる。【0083】ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナス(BB)に当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、図3に示す内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCのうち、リプレイの当選確率が約1/3.9に設定され、かつビッグボーナス(BB)が抽選対象から除外された内部抽選テーブルBを参照した内部抽選が行われる。【0084】またボーナス成立状態では、ビッグボーナス(BB)が入賞するまでビッグボーナス(BB)に対応する抽選フラグが当選状態に維持され、ビッグボーナス(BB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されると、遊技状態移行制御手段170は、遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。【0085】ボーナス状態は、ビッグボーナス(BB)の入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス状態では、図3に示す内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCのうち内部抽選テーブルCを参照した内部抽選が行われる。」
(サ)「【0098】そして演出制御手段180は、演出状態がAT状態である場合に、打順ベル1~打順ベル8のいずれかが当選すると、正解打順を報知してベルBやベルCの入賞を補助する正解打順報知演出を表示装置330や音響装置340に実行させる制御を行い、正解打順報知演出で報知された正解打順に沿ってストップボタンB1~B3が押下されると必ずベルBまたはベルCが入賞して7枚のメダルを獲得することができるようになっているため、遊技者が手持ちのメダルを増やすことができる。」
(シ)「【0122】これに対して本実施の形態では、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の各遊技状態における規定投入数を同一として、各遊技状態でのメダルの投入数を変えずに、通常状態やボーナス成立状態よりも小役の当選確率が高い内部抽選を行うボーナス状態(いわゆる第1種特別役物)を利用してメダルの獲得率の低い状況を発生させ、図13に示すように、通常状態やボーナス成立状態では個別に当選するベルBやベルCを重複して当選させる当選態様(JAC1)をボーナス状態において設けて、さらにボーナス状態でのベルBおよびベルCのそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される確率を通常状態やボーナス成立状態よりも高くなるように内部抽選を行っている。また本実施の形態では、図13(A)および図13(B)に示すように、ボーナス状態において、いずれかの小役の当選態様が得られる確率は、通常状態およびボーナス成立状態において、いずれかの小役の当選態様が得られる確率よりも高くなるように内部抽選を行っている。すなわち本実施の形態のボーナス状態では、図13(A)および図13(B)に示すように、規定投入数より配当の高いベルBおよびベルCのそれぞれの当選確率は通常状態やボーナス成立状態よりも上昇し、かつ小役全体の当選確率も通常状態やボーナス成立状態よりも上昇しているが、規定投入数より配当の高いベルBやベルCを含む当選態様(JAC1)が得られる確率が通常状態やボーナス成立状態においてベルBやベルCを含む当選態様が得られる確率(打順ベル1~打順ベル8)よりも低くなっているため、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を100%未満とすることができるようになっている。特に本実施の形態では正解打順時に入賞し得る特定小役を2種類(ベルB,ベルC)としてこれらをボーナス状態で重複当選させることにより、図13(B)に示す例では、ボーナス状態におけるメダルの獲得率の期待値を約98%とすることができる。そして通常状態やボーナス成立状態において、アシストタイム遊技でなければ遊技者は内部抽選の結果を知ることはできないため、アシストタイム遊技ではない状況において遊技者が最も効率よくメダルを獲得できる遊技方法は、ストップボタンB2あるいはストップボタンB3を最初に押下して、停止操作の順序を打順3(B2→B1→B3)、打順4(B2→B3→B1)、打順5(B3→B1→B2)、または打順6(B3→B2→B1)のいずれかに固定して遊技を行う方法であるが、この場合には、打順ベルの当選時に1/4の確率でベルBまたはベルCが入賞して7枚のメダルが払い出され、残りの3/4の確率で特殊小役Bが入賞して1枚のメダルが払い出されることになる。このような打順3~打順6で固定して遊技を行う方法において、通常状態におけるメダルの獲得率の期待値は約76%となり、ボーナス成立状態におけるメダルの獲得率の期待値は約88%となる。また通常状態やボーナス成立状態において、停止操作の順序を全ての順序から均等かつランダムに選択して遊技を行う方法である場合には、打順ベルの当選時に1/3の確率でストップボタンB1を最初に押下する打順1(B1→B2→B3)または打順2(B1→B3→B2)のいずれかが選択され、打順1および打順2では、約1/4の確率で特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、または特殊小役A4のいずれかが入賞し、残りの2/3の確率で打順3~打順6のいずれかが選択される。このような打順1~打順6から均等かつランダムに停止操作の順序を選択して遊技を行う方法において、通常状態におけるメダルの獲得率の期待値は約57%となり、ボーナス成立状態におけるメダルの獲得率の期待値は約69%となる。そしてボーナス状態では、いずれの遊技方法で遊技を行ってもJAC1の当選時には停止操作の態様に関わらずにベルBあるいはベルCを入賞させることができ、JAC2の当選時にはベルAを入賞させることができるため、上述した通りにボーナス状態におけるメダルの獲得率の期待値は約98%となり、アシストタイム遊技ではない場合には、いずれの遊技方法においてもボーナス状態の方が通常状態やボーナス成立状態よりもメダルの獲得率の期待値が高くなる。一方、図13(A)に示す例では、ボーナス成立状態において約2倍の確率でベルBやベルCを入賞させることができるようになり、ボーナス成立状態におけるメダルの獲得率の期待値は約197%となる。すなわち本実施の形態において、AT状態では、正解打順を報知することによって、遊技者が報知された順序に従って停止操作を行っていれば、ほぼ期待値通りの獲得率でメダルを獲得できるようになり、本実施の形態の構成では、ボーナス成立状態において1回の遊技当たり約2.92枚のメダルの増加が見込めるアシストタイム遊技を行うことができるようになる。」
(ス)「【図9】[図:0001382775000004.jpg]」
(セ)【0043】の「図3に示すような3種類の抽選テーブルA~抽選テーブルCが記憶されている。そして各抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0~65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役、およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。」との記載、【0082】の「通常状態では、・・・内部抽選テーブルAを参照した内部抽選が行われる。」との記載、【0085】の「ボーナス状態では、・・・内部抽選テーブルCを参照した内部抽選が行われる。」との記載を踏まえて、内部抽選テーブルを説明した図3(上記(エ))の記載を参照すると、図3の記載より、ボーナス状態で用いられる内部抽選テーブルCにおけるJAC1の占める領域は、通常状態で用いられる内部抽選テーブルAにおける打順ベル1~打順ベル8で占める領域よりも小さいことが認められるから、JAC1はボーナス状態で内部抽選され、該ボーナス状態においてJAC1が当選する確率が、通常状態において打順ベル1~打順ベル8のいずれかが当選する確率の合計確率より低くなっていると認められる。
(ソ)【0122】の「・・・特殊小役Bが入賞して1枚のメダルが払い出されることになる。」との記載及び図9の記載より、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4及び特殊小役Bが入賞すると1枚のメダルが払い出されると認められる。
(タ)上記(ア)ないし(ソ)からみて、引用例1には、次の発明が記載されている。なお、aないしhについては本願補正発明の特定事項AないしHに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 外周面が一定の間隔で21のコマに区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている、第1リールR1~第3リールR3(【0024】)と、b 役の当否を決定する内部抽選を行う手段である内部抽選手段120(【0042】)と、c 規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLへの遊技者の遊技開始操作により作動するスタートスイッチ230からのスタート信号に基づいて、ステッピングモータにより第1リールR1~第3リールR3の回転駆動を開始し、遊技者がストップボタンB1~B3を押下することによりストップスイッチ240が作動すると、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御を行う、リール制御手段130(【0039】、【0053】、【0054】)と、d 第1リールR1~第3リールR3の停止態様に基づいて、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段194に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リールR1~第3リールR3の全てが停止した時点で有効ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する、入賞判定手段140(【0069】)と、続きを表示(全14行)e 小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニット320(払出装置)に払い出させる制御を行う、払出制御手段150(【0077】)と、f LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計等の各種遊技情報が表示される遊技情報表示部DS(【0028】)と、を備えたスロットマシン(【0022】)であって、g 小役として、ベルA、ベルB(特定小役)、ベルC(特定小役)、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4、特殊小役B、弱チェリー、強チェリー、スイカが用意されており(【0044】)、ベルBまたはベルCが入賞すると7枚のメダルが払い出され、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4及び特殊小役Bが入賞すると1枚のメダルが払い出され(【0122】、上記(ソ))、b1 打順ベル1~打順ベル4は、ベルAと、ベルBと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選し、打順ベル5~打順ベル8は、ベルAと、ベルCと、特殊小役A1~特殊小役A4のうちいずれか1種類と、特殊小役Bとが重複して当選し(【0045】)、JAC1は、ベルBとベルCが重複して当選するものであり(【0047】)、JAC1はボーナス状態で内部抽選され、該ボーナス状態においてJAC1が当選する確率が、通常状態において打順ベル1~打順ベル8のいずれかが当選する確率の合計確率より低く(上記(セ))、b2、b3、c1 打順ベル1~打順ベル8のそれぞれに対して正解打順と特定打順とが設定されており、正解打順および特定打順のいずれとも異なる順序が不正解打順として扱われ、正解打順と特定打順とでは最初に停止させるべきリールが同一であり、2番目に停止させるリールにおいて正解打順であると判断される場合と特定打順であると判断される場合に分岐するようになっており(【0062】)、いずれかの打順ベルが当選した場合に、正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、ベルBやベルCを入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われ(【0063】)、また、いずれかの打順ベルが当選した場合に、不正解打順でストップボタンB1~B3が押下されると、最も多くの入賞形態を構成する図柄組合せを表示させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められ(【0062】)、特殊小役A1~特殊小役A4や特殊小役Bを入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われ(【0063】)、f1 演出状態がAT状態である場合に、打順ベル1~打順ベル8のいずれかが当選すると、正解打順を報知してベルBやベルCの入賞を補助する正解打順報知演出を表示装置330や音響装置340に実行させる制御を行い(【0098】)、c2 演出状態がAT状態である場合に、打順ベル1~打順ベル8のいずれかが当選し、正解打順報知演出で報知された正解打順に沿ってストップボタンB1~B3が押下されると必ずベルBまたはベルCが入賞する(【0098】)、h スロットマシン(【0022】)。」(以下「引用発明」という。)
イ 引用例2
当審拒絶理由で引用例2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特許第5770922公報(平成27年8月26日発行、以下「引用例2」という。)には、遊技機に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【0011】本実施形態のスロットマシンは、所定数の遊技媒体が投入され、かつ、複数種類の図柄がそれぞれ施された複数のリールが所定の回転開始指示操作を受け付けたことで回転を開始するとともに、その回転開始指示操作を受け付けたことに基づいて複数種類の役の内部当選の当否を抽選により判定し、その複数のリールそれぞれが、所定の回転停止指示操作を受け付けることで回転を個別に停止し、その抽選の結果に基づく役およびその複数のリールが停止したときの図柄組み合わせによって決まる条件が所定の払出し条件に、合致していれば遊技媒体を払い出して終了となり、合致していなければ遊技媒体を払い出さずに終了となる一連の遊技を進行する遊技台である。」
(イ)「【0143】ここで、7セグデータd-1、d-2及びd-3の払出枚数表示器127における表示態様は、図13に示す通りである。7セグデータd-1は、払出枚数表示器127の右側のセグメントを点灯するデータであり、7セグデータd-2は、払出枚数表示器127の中央のセグメントを点灯するデータであり、7セグデータd-3は、払出枚数表示器127の左側のセグメントを点灯するデータである。この結果、遊技者は払出枚数表示器127の点灯態様から正解の第1停止操作を把握することができる。」
(ウ)上記(ア)及び(イ)からみて、引用例2には、次の事項が記載されている。
「払出枚数表示器127の所定のセグメントを点灯することにより、遊技者が払出枚数表示器127の点灯態様から正解の第1停止操作を把握することができるようにしたスロットマシン。」(以下「引用例2記載の技術事項」という。)
(3)周知例の記載、周知技術
ア 周知例1
当審拒絶理由で引用例3として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-183816号公報(平成25年9月19日公開、以下「周知例1」という。)には、スロットマシン(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(ア)「【0016】以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態のスロットマシン10は、メダルを遊技媒体としているが、メダルに限らず、遊技球等であってもよいのはもちろんである。図1は、本実施形態におけるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。スロットマシン10は、メイン制御手段50とサブ制御手段80とを備える。」
(イ)「【0113】非内部中遊技で第1~第56ベルに当選したときは、図9~図12の「役の種類」の欄に示すベルの重複当選となり、これらの当選フラグ63aがオンになる。また、第1~第56ベルテーブルは、非内部中遊技で第1~第56ベルに当選したときに用いられる。【0114】続きを表示(全13行)第1ベルテーブルは、非内部中遊技で第1ベル(ベル01+03~29)に当選し、ベル01、及び03~29の当選フラグ63aがオンになったときに用いられるものであり、以下に示すようにリール31の停止位置を定めている。まず、第1停止が左のときは、リール31の停止制御の範囲内で、ベル01に対応する図柄の組合せを有効ラインLに停止させる。また、第1停止が中又は右のときは、リール31の停止制御の範囲内で、ベル03~29のいずれかに対応する図柄の組合せを有効ラインLに停止させる。【0115】ここで、ベル01は、「PB=1」に設定されている。このため、ベル01に対応する図柄の組合せは、常に、有効ラインLに停止させることができる。さらに、ベル01は、入賞時のメダルの払出しが9枚に設定されている。一方、ベル03~29は、いずれも「PB≠1」に設定されている。このため、これらを取りこぼすことがある。さらに、ベル03~29は、いずれも入賞時のメダルの払出しが1枚に設定されている。このように、第1ベルテーブルが用いられる遊技では、ストップスイッチ42の押し順によって、有効ラインLに引き込むベルの種類、引込み率、及び入賞時のメダルの払出し枚数が異なる。・・・略・・・【0127】第38ベルテーブルは、非内部中遊技で第38ベル(ベル02~29)に当選し、ベル02~29の当選フラグ63aがオンになったときに用いられる。この第38ベルテーブルは、第1停止が左のときは、「PB=1」のベル02(3枚払出し)を入賞させ、第1停止が中又は右のときは、「PB≠1」のベル03~29のいずれかを入賞可能にするように、リール31の停止位置を定めている。」
(ウ)「【図9】[図:0001382775000005.jpg]・・・略・・・【図11】[図:0001382775000006.jpg]」
(オ)【0114】及び【0127】の記載、図9及び図11の記載等により、例えば、左第1停止に対して、入賞役としてベル01を含む当選役としての第1ベルと、入賞役としてベル02を含む当選役としての第38ベルとが割り当てられているといえるから、ストップボタンの同一の操作態様に対して、ベル役の種類が異なる複数種類の当選役が割り当てられていることが見て取れる。
イ 周知例2、3
当審拒絶理由でそれぞれ引用例4、5として引用され本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2014-240008号公報(平成26年12月25日公開、以下「周知例2」という。)の特に【0108】、【0109】、【0121】、図9及び図11、特開2015-77482号公報(平成27年4月23日公開、以下「周知例3」という。)の特に【0109】、【0110】、【0121】、図9及び図11に、上記周知例1と同様な記載がある。
エ 上記アないしウからみて、以下の事項が本願の出願前に周知であると認められる。
「ストップボタンの同一の操作態様に対して、ベル役の種類が異なる複数種類の当選役が割り当てられているスロットマシン。」(以下「周知技術」という。)
(4)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。
ア 特定事項Aについて
引用発明の「a 外周面が一定の間隔で21のコマに区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている、第1リールR1~第3リールR3」は、本願補正発明の「A 外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリール」に相当する。
イ 特定事項Bについて
引用発明の「b 役の当否を決定する内部抽選を行う手段である内部抽選手段120」は、引用発明のgのように「役」として「小役」を含むことが明らかであるから、本願補正発明の「B 小役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段」に相当する。
ウ 特定事項Cについて
引用発明の「リール制御手段130」は、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLへの遊技者の遊技開始操作により、第1リールR1~第3リールR3(複数のリール)の回転駆動を開始し、遊技者がストップボタンB1~B3を押下(停止操作)することにより、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じた態様で停止させる制御を行うものである。
そうすると、引用発明のcの「リール制御手段130」は、本願補正発明の「C 規定投入数の遊技価値が投入状態に設定されている状態で遊技開始操作が行われた場合に、前記複数のリールを回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段」に相当する。
エ 特定事項Dについて
引用発明の「入賞判定手段140」は、第1リールR1~第3リールR3の全てが停止した時点で有効ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定するものである。
そうすると、引用発明のdの「入賞判定手段140」は、本願補正発明の「D 前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段」に相当する。
オ 特定事項Eについて
引用発明の「遊技におけるメダルの払出数」は、本願補正発明の「払い出す遊技価値の数」に相当する。
そして、引用発明の「払出制御手段150」は、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数(払い出す遊技価値の数)を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニット320(払出装置)に払い出させる制御を行うものである。
そうすると、引用発明のeの「払出制御手段150」は、本願補正発明の「E 前記小役が入賞した場合に、入賞した小役の配当に基づいて、払い出す遊技価値の数を決定し、決定した数の遊技価値を払い出す制御を行う払出制御手段」に相当する。
カ 特定事項F、Hについて
引用発明の「スロットマシン」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
また、引用発明の「遊技情報表示部DS」は、1回の遊技におけるメダルの払出数(遊技価値の払出数)、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計(遊技価値の払出数)等の各種遊技情報を表示するものであるから、本願補正発明の特定事項Fの「払出表示装置」に相当する。
また、引用発明のfにおいて、小役の入賞に伴う場合においても遊技情報表示部DSにメダルの払出数を表示させること、及び、該表示させるための手段を備えていることが自明であるから、引用発明のfは、本願補正発明の特定事項Fのうち「前記小役の入賞に伴い遊技価値が払い出された場合に、遊技価値の払出数を払出表示装置に表示させる制御を行う表示制御手段」を備えるといえる。
以上のとおり、引用発明のf、hは、それぞれ本願補正発明の特定事項F、Hに相当する。
キ 特定事項Gについて
引用発明の「ベルB」及び「ベルC」は、入賞すると7枚のメダルが払い出されるから、本願補正発明の「配当が同一の複数種類の特定小役」に相当する。
そうすると、引用発明のgにおいて、小役として、ベルB(特定小役)、ベルC(特定小役)が用意されており、すなわち設定されているのであるから、引用発明のgは、本願補正発明の「G 前記小役として配当が同一の複数種類の特定小役が設定され、」に相当する。
ク 特定事項B1について
引用発明の「『ベルB』、『ベルC』」、「『特殊小役A1~特殊小役A4』、『特殊小役B』」及び「打順ベル1~打順ベル8」は、それぞれ本願補正発明の「複数種類の特定小役」、「前記特定小役よりも配当が低い他の小役」及び「複数種類の特定当選態様」に相当する。
また、引用発明の「JAC1」は、ベルB(特定小役)とベルC(特定小役)が重複して当選するものであるから、本願補正発明の「前記複数種類の特定小役が重複して当選する他の当選態様」に相当する。
また、引用発明のb1は、打順ベル1~打順ベル4(複数種類の特定当選態様)が、ベルAと、ベルB(特定小役)と、特殊小役A1~特殊小役A4(他の小役)のうちいずれか1種類と、特殊小役B(他の小役)とが重複して当選し、打順ベル5~打順ベル8(複数種類の特定当選態様)は、ベルAと、ベルC(特定小役)と、特殊小役A1~特殊小役A4(他の小役)のうちいずれか1種類と、特殊小役B(他の小役)とが重複して当選するものであり、ベルBまたはベルC(特定小役)が入賞すると7枚のメダルが払い出され、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4及び特殊小役B(他の小役)が入賞すると1枚のメダルが払い出されるものである。
そうすると、引用発明のb1は、本願補正発明の特定事項B1のうち、「前記複数種類の特定小役が互いに重複せずに前記特定小役よりも配当が低い他の小役と重複して当選する複数種類の特定当選態様、および前記複数種類の特定小役が重複して当選する他の当選態様が存在し、」との特定事項を備える。
さらに、引用発明のb1において、JAC1(他の当選態様)がボーナス状態で内部抽選され、該ボーナス状態においてJAC1(他の当選態様)が当選する確率は、通常状態において打順ベル1~打順ベル8(複数種類の特定当選態様)のいずれかが当選する確率の合計確率より低くなっている。
そうすると、引用発明のb1は、本願補正発明の特定事項B1のうち、「前記内部抽選手段が、」「前記他の当選態様が抽選される遊技状態であってボーナスの入賞によって移行するボーナス状態において内部抽選で前記他の当選態様となる確率が、前記複数種類の特定当選態様が抽選される遊技状態である通常状態において内部抽選で前記複数種類の特定当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、」との特定事項を備える。
以上のとおりであるから、引用発明のb1は、本願補正発明の「B1 前記内部抽選手段が、前記複数種類の特定小役が互いに重複せずに前記特定小役よりも配当が低い他の小役と重複して当選する複数種類の特定当選態様、および前記複数種類の特定小役が重複して当選する他の当選態様が存在し、前記他の当選態様が抽選される遊技状態であってボーナスの入賞によって移行するボーナス状態において内部抽選で前記他の当選態様となる確率が、前記複数種類の特定当選態様が抽選される遊技状態である通常状態において内部抽選で前記複数種類の特定当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、」に相当する。
ケ 特定事項C1について
引用発明の「正解打順」及び「不正解打順」は、それぞれ本願補正発明の「特定操作態様」及び「前記特定操作態様とは異なる操作態様」に相当する。
そして、引用発明のb2、b3、c1は、打順ベル1~打順ベル8(複数種類の特定当選態様)のそれぞれに対して正解打順(特定操作態様)が設定されており、正解打順(特定操作態様)と異なる順序が不正解打順(前記特定操作態様とは異なる操作態様)として扱われ、いずれかの打順ベル(複数種類の特定当選態様)が当選した場合に、正解打順(特定操作態様)でストップボタンB1~B3が押下されると、ベルBやベルC(特定小役)を入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われ、不正解打順(前記特定操作態様とは異なる操作態様)でストップボタンB1~B3が押下されると、最も多くの入賞形態を構成する図柄組合せを表示させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるように優先度が求められ、特殊小役A1~特殊小役A4や特殊小役B(他の小役)を入賞させることができる停止位置の候補の優先度が最も高くなるようにロジック演算が行われるものである。
そうすると、引用発明のb2、b3、c1において、いずれかの打順ベル(複数種類の特定当選態様)が当選した場合に、正解打順(特定操作態様)でストップボタンB1~B3が押下されると、ベルBやベルC(特定小役)が入賞するように回転中のリールを停止させ、不正解打順(前記特定操作態様とは異なる操作態様)でストップボタンB1~B3が押下されると、結果として、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって、特殊小役A1~特殊小役A4や特殊小役B(他の小役)を入賞させる場合が存在するように回転中のリールを停止させることは、技術常識からみて自明である。
してみると、引用発明のb2、b3、c1は、本願補正発明の「C1 前記リール制御手段が、内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定操作態様で停止操作が行われた場合には、前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記特定操作態様とは異なる操作態様で停止操作が行われた場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記特定小役の入賞を回避して前記他の小役が入賞する場合が存在するように回転中のリールを停止させ、」との特定事項を備える。
コ 特定事項F1について
引用発明のf1は、AT状態(特定条件下)である場合に、打順ベル1~打順ベル8(特定当選態様)のいずれかが当選すると、正解打順を報知してベルBやベルCの入賞を補助する正解打順報知演出を表示装置330に実行させる、すなわち、表示装置330に正解打順を表示するものである。
そうすると、引用発明のf1と、本願補正発明の特定事項F1とは、「前記表示制御手段が、特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定小役の入賞を補助する遊技情報を」「表示させ」る点で共通する。
サ 特定事項B2について
引用発明のb2、b3、c1は、打順ベル1~打順ベル8(特定当選態様)のそれぞれに対して正解打順(特定操作態様)が設定されているから、本願補正発明の「B2 前記複数種類の特定当選態様のそれぞれに対して前記特定当選態様の種類に応じた特定操作態様が予め設定されており、」との特定事項を備える。
シ 特定事項C2について
引用発明のc2は、AT状態(特定条件下)である場合に、打順ベル1~打順ベル8(特定当選態様)のいずれかが当選し、表示装置330で実行される正解打順報知演出で報知された正解打順に沿ってストップボタンB1~B3が押下されると必ずベルBまたはベルC(特定小役)が入賞する。
そうすると、引用発明のc2と、本願補正発明の特定事項C2とは、「前記リール制御手段が、前記特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、」「表示された前記遊技情報の示す内容に従って停止操作が行われると前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させる」点で共通する。
ス 上記アないしシからみて、本願補正発明と引用発明とは、
「A 外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、B 小役を含む複数種類の役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、C 規定投入数の遊技価値が投入状態に設定されている状態で遊技開始操作が行われた場合に、前記複数のリールを回転させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、D 前記複数のリールが停止した状態で、役毎に予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて役が入賞したと判定する入賞判定手段と、続きを表示(全17行)E 前記小役が入賞した場合に、入賞した小役の配当に基づいて、払い出す遊技価値の数を決定し、決定した数の遊技価値を払い出す制御を行う払出制御手段と、F 前記小役の入賞に伴い遊技価値が払い出された場合に、遊技価値の払出数を払出表示装置に表示させる制御を行う表示制御手段とを備えた遊技機であって、G 前記小役として配当が同一の複数種類の特定小役が設定され、B1 前記内部抽選手段が、前記複数種類の特定小役が互いに重複せずに前記特定小役よりも配当が低い他の小役と重複して当選する複数種類の特定当選態様、および前記複数種類の特定小役が重複して当選する他の当選態様が存在し、前記他の当選態様が抽選される遊技状態であってボーナスの入賞によって移行するボーナス状態において内部抽選で前記他の当選態様となる確率が、前記複数種類の特定当選態様が抽選される遊技状態である通常状態において内部抽選で前記複数種類の特定当選態様のいずれかとなる確率よりも低くなるように内部抽選を行い、B2 前記複数種類の特定当選態様のそれぞれに対して前記特定当選態様の種類に応じた特定操作態様が予め設定されており、C1 前記リール制御手段が、内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定操作態様で停止操作が行われた場合には、前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記特定操作態様とは異なる操作態様で停止操作が行われた場合には、有効ライン上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せの数が最も多くなるように停止位置を決定することによって前記特定小役の入賞を回避して前記他の小役が入賞する場合が存在するように回転中のリールを停止させ、F1’前記表示制御手段が、特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、前記特定小役の入賞を補助する遊技情報を表示させ、C2’前記リール制御手段が、前記特定条件下において内部抽選で前記特定当選態様が得られた場合に、表示された前記遊技情報の示す内容に従って停止操作が行われると前記特定小役が入賞するように回転中のリールを停止させるH 遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。
・相違点1(特定事項F1、C2)
「前記特定操作態様」を示す「遊技情報」に関し、
本願補正発明では、「前記特定小役の入賞を補助する遊技情報を前記払出表示装置に表示させ」るのに対し、
引用発明では、正解打順報知演出(遊技情報)を表示装置330で表示するものの、遊技情報表示部DS(払出表示装置)に表示させるものではない点。
・相違点2(特定事項B3)
「特定操作態様」に関し、
本願補正発明では、「同一の前記特定操作態様に対して前記特定小役が異なる複数種類の前記特定当選態様が割り当てられて」いるのに対し、
引用発明では、打順ベル1~打順ベル8のそれぞれに対して正解打順(特定操作態様)が設定されており、同一の正解打順(特定操作態様)に対して異なる打順ベルが割り当てられているものではない点。
(5)判断
ア 上記相違点1について検討する。
上記(2)イ(ウ)で示したとおり、引用例2記載の技術事項は、「払出枚数表示器127の所定のセグメントを点灯することにより、遊技者が払出枚数表示器127の点灯態様から正解の第1停止操作を把握することができるようにしたスロットマシン。」である。
引用例2記載の技術事項の「払出枚数表示器127」及び「スロットマシン」は、それぞれ本願補正発明の「払出表示装置」及び「遊技機」に相当する。
また、引用例2記載の技術事項において、払出枚数表示器127(払出表示装置)の所定のセグメントを点灯することにより、遊技者が払出枚数表示器127(払出表示装置)の点灯態様から正解の第1停止操作を把握することができるようにしたのであるから、引用例2記載の技術事項は、本願補正発明の「前記特定小役の入賞を補助する遊技情報を前記払出表示装置に表示させ、」(特定事項F1、C2)との特定事項に相当する。
そして、引用発明と引用例2記載の技術事項とは、払出表示装置を備えるスロットマシンにおいて、AT状態で正解操作順序を報知することで共通し、AT状態での正解操作順序の報知に関する遊技興趣の向上という課題でも共通することは明らかであるから、引用例2記載の技術事項を引用発明に適用し、正解打順報知演出(特定小役の入賞を補助する遊技情報)を遊技情報表示部DS(払出表示装置)にも表示させるようになすことは当業者が容易になし得たことである。
したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の特定事項となすことは当業者が引用例2記載の技術事項に基づいて容易になし得たことである。
イ 上記相違点2について検討する。
上記(3)エで示したとおり、周知技術は、ストップボタンの同一の操作態様に対して、ベル役の種類が異なる複数種類の当選役が割り当てられているスロットマシンである。
周知技術の「ストップボタンの同一の操作態様」、「ベル役」、「ベル役の種類が異なる複数種類の当選役」及び「スロットマシン」は、それぞれ本願補正発明の「特定操作態様」、「特定小役」、「特定当選態様」及び「遊技機」に相当する。
また、周知技術において、ストップボタンの同一の操作態様(特定操作態様)に対して、ベル役(特定小役)の種類が異なる複数種類の当選役(特定当選態様)が割り当てられているから、周知技術は、本願補正発明の「同一の前記特定操作態様に対して」「特定小役が異なる複数種類の前記特定当選態様が割り当てられており、」(特定事項B3)との特定事項を備える。
そして、引用発明と周知技術とは、AT状態において正解操作順序を報知するスロットマシンで共通し、AT状態での正解操作順序の報知に関する遊技興趣の向上という課題でも共通することが明らかであるから、引用発明及び周知技術に接した当業者であれば、周知技術を引用発明に適用し、同一の正解打順(特定操作態様)に対して、同じ7枚のメダルを払い出す(配当が同一の)ベルB及びベルC(特定小役が異なる複数の特定当選態様)を割り当てるようになすことは適宜なし得たことである。
したがって、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の特定事項となすことは当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。
(6)本願補正発明の奏する効果は、引用発明、引用例2記載の技術事項及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。
(7)請求人の主張について
ア 請求人は、意見書の「(3)拒絶理由に対する意見」において、概ね以下のとおり主張する。
「本出願の請求項2、4に係る発明(以下、本願発明)では、下記の構成1を採用しています。構成1:同一の特定操作態様に対して特定小役が異なる複数種類の特定当選態様が割り当てられている構成・・・略・・・また引用文献1では、ボーナス状態において規定投入数より配当の高いベルBやベルCを含む当選態様(JAC1)が得られる確率が通常状態やボーナス成立状態においてベルBやベルCを含む当選態様が得られる確率(打順ベル1~打順ベル8)よりも低くなるようにすることによってボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を100%未満とすることができるようにしており、このような遊技仕様では、複数種類の特定小役(ベルB、ベルC)の配当を異ならせると、複数種類の特定小役の配当を同一とした場合よりもボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を低下させことができなくなるため、複数種類の特定小役(ベル01、ベル02)の配当(払出枚数)が異なる引用文献3~5の周知技術を複数種類の特定小役(ベルB、ベルC)の配当が同一である引用文献1に記載された発明に適用することはできません。また引用文献2にも上記本願発明に特有の構成1について記載も示唆もなされていません。このように引用文献1~5には上記本願発明に特有の構成1について記載も示唆もされておらず、引用文献1に記載された発明に引用文献3~5に記載された事項を適用することはできないため、上記本願発明に特有の構成1を導き出すことはできません。よって本願発明を引用文献1~5に基づいて容易に想到することができたと論理づけることはできないものと思料いたします。」
イ 上記アのとおり、請求人は、引用例1(引用文献1)では、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を100%未満とすることができるようにしており、このような遊技仕様では、複数種類の特定小役(ベルB、ベルC)の配当を異ならせると、複数種類の特定小役の配当を同一とした場合よりもボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を低下させることができなくなるため、複数種類の特定小役(ベル01、ベル02)の配当(払出枚数)が異なる周知例1ないし3(引用文献3~5)の周知技術を複数種類の特定小役(ベルB、ベルC)の配当が同一である引用発明(引用文献1に記載された発明)に適用することができないこと等について縷々主張する。
ウ しかしながら、上記(5)イのとおり、周知技術を引用発明に適用することにより、引用発明のベルB及びベルC(複数種類の特定小役)の配当を異ならせるとしているわけではなく、引用発明において、ベルB及びベルC(複数種類の特定小役)の配当を同じ7枚としたままで、同一の正解打順(特定操作態様)に対して、ベルB及びベルC(特定小役が異なる複数の特定当選態様)を割り当てることが当業者にとって容易である。
また、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を100%未満とすることができるという遊技仕様は、複数種類の特定小役(ベルB、ベルC)の配当が同一であるか否かだけでなく、ボーナス状態において規定投入数より配当の高いベルBやベルCを含む当選態様(JAC1)が得られる確率がどの程度低いか等の要因も考えられる。
そうすると、前記遊技仕様が引用例1の記載から読み取れる事項ともいえないから、引用発明に周知技術を適用することができないという請求人の主張を採用することができない。
してみると、請求人の上記主張は採用できない。
(8)むすび
以上のとおり、本願補正発明は、当業者が、引用発明及び周知技術に基いいて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 小括
本願補正発明は、上記3のとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明は、令和3年8月25日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4のうち請求項2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1に本件補正前の請求項2として記載したとおりのものである。
2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、次の理由を含むものである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記(引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項2
・引用文献等 引用例1ないし5
<引用文献等一覧>
引用例1.特開2015-119952号公報
引用例2.特許第5770922号公報
引用例3.特開2013-183816号公報
引用例4.特開2014-240008号公報
引用例5.特開2015-77482号公報
3 引用例
引用例1は、上記第2[理由]3(2)アに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明(上記第2[理由]1)は、本願補正発明(上記第2[理由]3(1))から、本件補正により限定された事項を削除したものである。
そして、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明と引用発明とは、上記相違点1及び2と同様な点で相違し、その余の点で一致するから、上記第2[理由]3(5)で示した理由と同様な理由により、本願発明は、当業者が、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願発明は、特許法第29条第2号の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-015548