特許拒絶査定不服審判
2021-015217
未成熟終止コドンのリードスルーを促進することにより免疫反応を誘発するための方法
- 審判番号
- 2021-015217
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-553046外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年11月08日
- 審決日
- 2023年05月16日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ムーンショット ファーマ エルエルシー
- 【請求人代理人】矢口 太郎
- 分類
- P18 .121-WY (A61K) / P18 .56 -WY (A61K) / P18 .57 -WY (A61K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第5項2号特許法17条の2第6項特許法53条1項特許法126条7項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-553046「未成熟終止コドンのリードスルーを促進することにより免疫反応を誘発するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月29日国際公開、WO2017/112954、平成31年 2月28日国内公表、特表2019-505578、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
1.手続の経緯
本願は、2016年12月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2015年12月23日 米国(US))を国際出願日とする特許出願であって、令和元年12月20日に特許請求の範囲及び明細書について補正する手続補正書が提出され、令和2年12月3日付けで拒絶理由が通知され、令和3年5日17日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月2日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、同年11月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。
2.令和3年11月8日提出の手続補正書についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年11月8日提出の手続補正書による補正を却下する。
[理由]
上記補正は、上記補正前の特許請求の範囲に記載された請求項1~12のうちの請求項1における、
「それを必要とする個体における癌を治療するための方法において免疫チェックポイント分子の阻害剤と組み合わせて使用するための有効量のアタルレン(PTC124)を含む組成物であって、前記免疫チェックポイント分子は、CTLA4、PD-L1、PD-1、A2AR、B7-H3、B7-H4、CD272、LAG-3、ILT-3、ILT-4、及びTIM3からなる群から選択される、組成物。」
との記載を、
「それを必要とする個体における癌を治療するための方法において使用するための組成物であって、
前記組成物は、
ナンセンス変異を有するmRNAにおける未成熟終止コドンのリードスルーを促進する化合物の有効量と、
免疫チェックポイント分子の阻害剤と
を有し、
前記ナンセンス変異を有するmRNAにおける未成熟終止コドンのリードスルーを促進する化合物は、アタルレン(PTC124)であり、
前記ナンセンス変異は、未成熟終止コドンの発生をもたらすものであり、
前記未成熟終止コドンのリードスルーは、前記mRNAのタンパク質への翻訳をもたらすものであり、
前記ナンセンス変異を有するmRNAから翻訳された前記タンパク質は腫瘍抑制遺伝子ではなく、および、
前記免疫チェックポイント分子は、CTLA4、PD-L1、PD-1、A2AR、B7-H3、B7-H4、CD272、LAG-3、ILT-3、ILT-4、及びTIM3からなる群から選択される、
組成物。」
との記載に変更することを含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
そして、審判請求人は審判請求書において、請求項1についての上記補正は特許請求の範囲の限定的減縮を目的として行ったものであると主張する。
しかしながら、補正前の請求項1及び補正後の請求項1のいずれにおいても、それを必要とする個体における癌を治療するための方法において使用するための組成物が有効量のアタルレン(PTC124)を含むものであることが特定されているところ、補正後の請求項1における、
「前記ナンセンス変異は、未成熟終止コドンの発生をもたらすものであり、
前記未成熟終止コドンのリードスルーは、前記mRNAのタンパク質への翻訳をもたらすものであり、
前記ナンセンス変異を有するmRNAから翻訳された前記タンパク質は腫瘍抑制遺伝子ではなく、」
との記載は、その前に記載されている、
「前記ナンセンス変異を有するmRNAにおける未成熟終止コドンのリードスルーを促進する化合物は、アタルレン(PTC124)であり、」、及び、
「ナンセンス変異を有するmRNAにおける未成熟終止コドンのリードスルーを促進する化合物の有効量と、」
との記載もふまえれば、通常は、補正後の請求項1に記載の組成物の用途を特定するものではなく、補正後の請求項1に記載の組成物に含まれる、「ナンセンス変異を有するmRNAにおける未成熟終止コドンのリードスルーを促進する化合物」である「アタルレン(PTC124)」が、ナンセンス変異を有する腫瘍抑制遺伝子のmRNAにおける未成熟終止コドンのリードスルーを促進する機能は有していないことを記述しているにすぎないと解される。よって、上記の記載は、補正後の請求項1に記載の組成物の用途や、当該組成物に含まれる「アタルレン(PTC124)」なる化合物自体をさらに特定するようなものではないから、請求項1についての上記補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するとはいえない。また、請求項1についての上記補正は、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的とするものともいえない。
仮に、請求項1についての上記補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するものであるとしても、審判請求人は審判請求書において上記補正について、「すなわち、本願発明においては、PTC変異は腫瘍抑制遺伝子にはないものであり、本願発明に係る組成物は、PTC変異を有さない癌の治療において使用されるものであります。」と説明しているところ、「PTC変異は腫瘍抑制遺伝子にはない」ということをもって、癌(腫瘍)における他の腫瘍関連遺伝子上にPTC変異が存在することは特段排除されないのであるから、「癌(腫瘍)がPTC変異を有さない」ということにはならないため、審判請求人の上記説明からすると、請求項1についての上記補正が、補正後の請求項1に係る発明について何を特定しようとするものであるのか不明であり、補正後の請求項1に係る発明は明確でないというべきである。
以上のとおり、上記補正のうちの請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない補正事項を含むものであるから、同法同条同項の規定に違反するものである。
また、仮に、請求項1に係る上記補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであるとしても、請求項1に係る上記補正は、特許出願の際独立して特許を受けることができず、同法同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、その余の請求項に係る補正について検討するまでもなく、上記補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3.本願発明について
令和3年11月8日提出の手続補正書による補正は上記のとおり却下されたので、本願に係る発明は、同年5月17付け手続補正書により補正された請求の範囲の請求項1~12に記載されたとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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