特許拒絶査定不服審判
2022-008803
フットカバー
- 審判番号
- 2022-008803
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-158962
- 請求日
- 2022年06月08日
- 審決日
- 2023年08月15日
- 公報発行日
- 2023年09月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】グンゼ株式会社
- 【請求人代理人】安田岡本弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 山崎 勝司
- 審判官 ▲高▼橋 杏子
- 審判官 西本 浩司
- 分類
- P18 .113-WYF(A41B) / P18 .121-WYF(A41B) / P18 .561-WYF(A41B) / P18 .575-WYF(A41B) / P18 .537-WYF(A41B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項特許法17条の2第6項特許法53条1項特許法126条7項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-158962「フットカバー」拒絶査定不服審判事件〔令和2年3月5日出願公開、特開2020-33658、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年8月28日の出願であって、令和4年2月16日付けの拒絶理由の通知に対し、令和4年3月9日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、令和4年5月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和4年6月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年6月8日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の令和4年3月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「 【請求項1】
爪先と踵を含む足底とを被覆するとともに足甲および足首を露出するフットカバーであって、足底部、側辺部、踵部および爪先を覆う爪先部で形成され、
前記足底部に対して上下反対側に足を出し入れするための開口部を設け、
前記踵部の肌当接側に、繰り返し形状のシリコーン樹脂を含むシリコーン滑り止め部を備え、
前記繰り返し形状は、閉じた図形を構成する曲線状または直線状のシリコーン樹脂により形成されるとともに、前記閉じた図形の内側にシリコーン樹脂を備えず、
前記シリコーン滑り止め部は、複数の前記閉じた図形により形成され、
前記図形は、繰り返し方向が略左右方向に設けられた第1の図形と、前記第1の図形とは離隔して繰り返し方向が略上下方向になるように設けられた第2の図形とを含むことを特徴とするフットカバー。
【請求項2】
前記第1の図形は、踵の上方から踵の下方へ従って繰り返し長さが短くなるように設けられ、
前記第2の図形は、踵の側方に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のフットカバー。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「 【請求項1】
爪先と踵を含む足底とを被覆するとともに足甲および足首を露出するフットカバーであって、足底部、側辺部、踵部および爪先を覆う爪先部で形成され、
前記足底部に対して上下反対側に足を出し入れするための開口部を設け、
前記踵部の肌当接側に、円形以外の閉じた同じ図形を連結させた繰り返し形状のシリコーン樹脂を含むシリコーン滑り止め部を備え、
前記繰り返し形状は、閉じた図形を構成する曲線状または直線状のシリコーン樹脂により形成されるとともに、前記閉じた同じ図形を連結させた繰り返し形状の内側にシリコーン樹脂を備えず、
前記シリコーン滑り止め部は、複数の前記繰り返し形状が互いに離隔して配置されて形成され、
前記図形は、繰り返し方向が略左右方向に設けられた第1の図形と、前記第1の図形とは繰り返し方向が異なる略上下方向になるように設けられた第2の図形とを含むことを特徴とするフットカバー。
【請求項2】
前記第1の図形は、踵の上方から踵の下方へ従って繰り返し長さが短くなるように設けられ、
前記第2の図形は、踵の側方に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のフットカバー。」
2 本件補正の適否
(1)新規事項
<特許法第17条の2第3項について>
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に追加された事項のうち、「円形以外の閉じた同じ図形を連結させた繰り返し形状のシリコーン樹脂を含むシリコーン滑り止め部を備え」るものにおいて、「前記図形は、繰り返し方向が略左右方向に設けられた第1の図形と、前記第1の図形とは繰り返し方向が異なる略上下方向になるように設けられた第2の図形とを含む」という事項(以下、「補正事項」という。)は、「円形以外の閉じた同じ図形」である「前記図形」が「繰り返し方向が略左右方向に設けられた第1の図形と、前記第1の図形とは繰り返し方向が異なる略上下方向になるように設けられた第2の図形とを含む」ことを特定するものである。
しかしながら、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「円形以外の閉じた同じ図形」が「繰り返し方向が略左右方向に設けられた第1の図形と、前記第1の図形とは繰り返し方向が異なる略上下方向になるように設けられた第2の図形とを含む」ことについての記載ないし示唆はないことから、本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関連において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。
(2)独立特許要件
<特許法第36条第6項第2号について>
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「シリコーン滑り止め部」について、上記1(2)のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
本件補正後の請求項1に記載されている「閉じた同じ図形」における「図形」は、「閉じた同じ図形を連結させ」るものであるので、連結させて繰り返し形状とする前の図形(楕円形状等)を意味しているものと認められる。
一方、本件補正後の請求項1に記載されている「前記図形」は、「繰り返し方向が略左右方向に設けられた第1の図形と、前記第1の図形とは繰り返し方向が異なる略上下方向になるように設けられた第2の図形とを含む」とされ、繰り返し形状を意味するものである。そうすると、「閉じた同じ図形」における「図形」が、どのようなものを特定しようとしているのかが不明確である。
したがって、本件補正後の請求項1の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(3)むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定及び特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~2に係る発明は、令和4年3月9日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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