商標拒絶査定不服審判
2021-015088
ハイドアイリッシュウイスキープレジデンツキャスク、ハイドアイリッシュウイスキー、ハイド、プレジデンツキャスク、プレジデンツ、キャスク、カスク
- 審判番号
- 2021-015088
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-154739
- 請求日
- 2021年11月05日
- 審決日
- 2022年03月15日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヒベルニア ディスティラーズ リミテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人きさ特許商標事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 馬場 秀敏
- 審判官 綾 郁奈子
- 分類
- T18 .261-Z (W33) / T18 .262-Z (W33) / T18 .263-Z (W33)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法4条1項11号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第4条第1項第11号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-154739拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、別掲1のとおり、「HyDE」、「IRISH WHISKEY」及び「Presidents Cask」の欧文字を三段に横書きで表してなり、第33類「アイリッシュウイスキー(アイルランド産のウイスキー)」を指定商品として、令和元年12月10日に登録出願されたものである。
本願は、令和2年12月18日付けで拒絶理由の通知がされ、同3年2月1日に意見書が提出されたが、同年8月5日付けで拒絶査定がされた。
これに対して令和3年11月5日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録番号1274894号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2015年(平成27年)9月10日に国際商標登録出願、第33類「Gin」を指定商品として、平成28年9月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり「HyDE」、「IRISH WHISKEY」及び「Presidents Cask」の欧文字を三段に横書きし、「HyDE」の文字を影付きの書体で表し、同様の書体で「IRISH WHISKEY」の文字を、筆記体で「Presidents Cask」の文字を、いずれも「HyDE」の文字の4分の1程度の縦幅、かつ、同じ横幅に収まる大きさで表した構成からなるものである。
そして、これら三段の文字部分は視覚上、明確に分離して看取されるものであり、それぞれ相互に観念上、密接な関連性があるとはいえず、構成部分を結合して意味を持たせるようなつながりもないことから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものとはいえない。
また、本願商標の構成文字のうち、「HyDE」の文字部分が顕著に明瞭に表されていることから、当該文字部分が、取引者、需要者に対し強く支配的な印象を与える要部であるといえ、自他商品の識別標識としての機能を発揮する部分であるとみるのが相当であって、本願商標は、その構成中「HyDE」の文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
そうすると、本願商標からは、要部である「HyDE」の文字部分から、「ハイド」の称呼を生じ、「Hyde」の文字は、「[人名]ハイド◆ファミリーネーム」(出典:英辞郎 on the WEB)として、我が国においても知られているものといえるから、「ハイド氏」の観念が生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2のとおり、三角フラスコのような形状の青色の容器に、シルクハットの人物の図(以下「人物の図」という。)を黒色で表し、容器中央に影付きの書体で「MR.」、「HYDE」を二段に青色で表し、その余の部分に、小さく「PREMIUM」、「MEDITERRANEAN」、「PURE SPIRIT」、「Pure Grain Spirit」、「DRY」、「GIN」、「Type」、「700ml」、「35%Vol」、「Dr.Jekyll & Mr.Hyde」及び「Original Concept」の文字を濃淡の青色で表してなる立体商標である。
そして、引用商標は、その中央の「MR.HYDE」の二段書き文字部分が、中央に、顕著に表されていることから、当該文字部分が、取引者、需要者に対し強く支配的な印象を与える要部であるといえ、自他商品の識別標識としての機能を発揮する部分であるとみるのが相当であって、引用商標は、その構成中「MR.HYDE」の二段書き文字部分を要部として抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
そうすると、引用商標の要部である「MR.HYDE」の文字部分から、「ミスターハイド」の称呼が生じるものと認められる。ところで、「MR.」の文字は、男の姓または姓名につける敬称を意味する語として一般に知られているものであるから、「MR.HYDE」の構成においては、姓である後半部の「HYDE」を敬称するために付加し、これに従属するにすぎないものと把握されるものであって、かつ、引用商標の構成にあっては、「HYDE」の文字より、やや小さく書されていることも相まって、格別、取引者、需要者の印象に残る部分とはいい得ないものであるから、「MR.HYDE」の文字部分から「HYDE」部分に着目し、単に「ハイド」の称呼をも生じうるといえる。
また、「MR.HYDE」の文字部分からは、その語義にしたがって、「ハイド氏」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標の要部と引用商標の要部とは、全体の外観において相違するものの、上記(1)及び(2)のとおり、それぞれの要部である「HyDE」の文字及び「MR.HYDE」の文字はいずれも影付きの類似の書体で明瞭に表されたものであり、「MR.」の文字が、格別、取引者、需要者の印象に残る部分とはいい得ないものであるから、「HyDE」及び「MR.HYDE」の文字部分の外観において、近似した印象を与えるものである。
また、本願商標の要部と引用商標の要部とは、「ハイド」の称呼、「ハイド氏」の観念を共通にするものである。
そうすると、本願商標の要部と引用商標の要部とは、外観において近似し、称呼及び観念を共通にするものであり、両者の外観、称呼、観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定商品「アイリッシュウイスキー(アイルランド産のウイスキー)」と引用商標の指定商品「Gin」は、いずれも洋酒であり、類似するものである。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の「HyDE」部分と引用商標の「HYDE」の文字部分の書体は「酷似」とまではいえず、このような欧文字を立体的に見せるデザインは、一般的に見受けられるもので、特段、特徴的な書体ではない旨、また、本願商標の「y」のみが小文字であることは、外観上一種独特な印象を与え、引用商標にあっては、たった4文字から構成される語に「MR.」の3文字が組み合わさることによる外観及び称呼の相違に与える影響は著しく大きいものである旨主張する。
しかしながら、本願商標の「HyDE」の文字部分と引用商標の「MR.HYDE」の文字部分は、いずれも影付きの類似の書体であり、特段、特徴的な書体ではないからこそ、区別し難いといえるのである。また、本願商標の「HyDE」の文字部分のうち、「y」の文字のみが形状としては小文字の「y」であるものの、大文字で表された「H」及び「DE」の文字に挟まれて、縦横の比率が同じであり、小さく表示されているわけでもなく、さらに、小文字で表した場合には、通常なら「y」の文字の右の斜線が「H」及び「DE」の文字より下に突き出るところ、同じ縦幅に収まっているのであるから、「y」の文字が小文字であることの印象は決して強いものとはいえない。そして、引用商標の「MR.HYDE」の文字のうち「MR.」の文字が、「MR.HYDE」の構成においては、姓である後半部の「HYDE」を敬称するために付加し、これに従属するにすぎないものと把握されるものであって、かつ、引用商標の構成にあっては、「HYDE」の文字より、やや小さく書されていることも相まって、格別、取引者、需要者の印象に残る部分とはいい得ないものであることは、前記(3)のとおりであって、引用商標の要部に「MR.」の3文字があることによって、本願商標の要部と引用商標の要部における、外観及び称呼の相違に与える影響が大きいとはいえない。
イ 請求人は、「HyDE」は、辞書に掲載されるほど重要かつ有名な、本ブランドの由来であるアイルランド初代大統領の姓であり、商品名の「IRISH WHISKEY」及び、その下の「Presidents Cask」から、アイルランドの大統領の意味合いが想起され、引用商標の「HYDE」は、辞書にあるとおり、「MR.」と結びつくことで、小説「ジキル博士とハイド氏」の「ハイド氏」という特定の意味を観念せしめるものであるので、観念においても非類似である旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中、「IRISH WHISKEY」及び「Presidents Cask」の文字をもってしても、「HyDE」の文字部分から、本願の指定商品の分野における我が国の一般的な取引者、需要者が、アイルランド初代大統領を想起するとは考え難く、請求人は、これについて特段の立証もしていない。また、「Hyde」の文字は、氏を表すものとして認識されるものであるから、同様の書体、大きさで「Dr.Jekyll」の文字と並べて表示されているのであればまだしも、本願商標を観察した場合に、人物の図や、単に「MR.」と結びつくことで、直ちに小説「ジキル博士とハイド氏」の「ハイド氏」との限定的な解釈にたどり着くともいい難く、本願商標の要部と引用商標の要部からは、いずれも「ハイド氏」の観念が生じるというべきである。
ウ 請求人は、「MR.○○」と「○○」が、「○○」が共通するとしても、商標全体として非類似であると判断された登録例を列挙し、本願商標と引用商標が非類似と判断されるのが相当である旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる登録例は、本願商標と引用商標とは異なり、一般的に氏と認識される文字に「MR.」の文字が付加されたものは一つもなく、この事実からも、本願商標と引用商標の類否判断に影響を与えるものではないことは明らかである。
エ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(6)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品は、引用商標の指定商品と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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