商標拒絶査定不服審判
2023-003477
カスクエージドティー、カスクエージド、カスク、エージド
- 審判番号
- 2023-003477
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2022-078889
- 請求日
- 2023年03月01日
- 審決日
- 2024年07月09日
- 公報発行日
- 2024年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社佐藤園
- 【請求人代理人】入江 一郎
- 審判長/審判官
- 審判長 大森 友子
- 審判官 小俣 克巳
- 審判官 飯田 亜紀
- 分類
- T18 .13 -Z (W30)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2022-78889拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和4年7月7日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和4年10月 7日付け:拒絶理由通知書
令和4年11月 8日 :意見書の提出
令和4年11月30日付け:拒絶査定
令和5年 3月 1日 :審判請求書及び手続補正書の提出
令和5年 5月15日 :上申書の提出
令和5年 7月28日 :上申書の提出
令和6年 2月20日付け:審尋
令和6年 4月 8日 :回答書の提出
令和6年 4月 9日 :上申書の提出
2 本願商標
本願商標は、「CASK AGED TEA」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものであり、指定商品については、前記1の当審における手続補正書において、第30類「茶を加味したアイスクリーム用凝固剤,茶を加味したホイップクリーム用安定剤,茶を加味した食品香料(精油のものを除く。),バーボン樽で熟成した茶,シェリー樽で熟成した茶,ビール樽で熟成した茶,ワイン樽で熟成した茶,日本酒樽で熟成した茶,ウイスキー樽で熟成した茶,その他の茶,茶飲料,茶を加味した菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),茶を加味したパン,茶を加味したサンドイッチ,茶を加味した中華まんじゅう,茶を加味したアイスクリームのもと,茶を加味したシャーベットのもと,茶を加味した穀物の加工品,茶を加味した即席菓子のもと」と補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要点
原審において、「本願商標は、「CASK AGED TEA」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「CASK」の文字は、「(アルコール飲料を入れる)大樽」の意味を、「AGED」の文字は、「熟成した」の意味を有するところ、「CASK AGED」又はその片仮名表記である「カスクエイジド」の文字が、酒類を取り扱う業界では、ウイスキーやバーボン等の空き樽を使用し「樽で熟成した」商品に普通に使用されているほか、酒類に限らない業界でも使用されている例があり、また、茶を取り扱う業界においては、ウイスキー樽等で熟成した茶が取引されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が、樽で熟成した茶(を使用した商品)であること、すなわち、商品の品質を表示したものと認識するにとどまるものであって、自他商品の識別標識としては認識し得ないものというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、拒絶したものである。
4 当審における審尋
当審において、前記1の審尋により、別掲1及び別掲2に掲げる事実を記載した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの暫定的見解を示し、期間を指定した上で請求人に対し意見を求めた。
5 審尋に対する請求人の回答(要旨)
(1)「CASK」の単語が「ランダムハウス英和辞典第2版」に記載されているとしても、「英単語ターゲット1400 旺文社 英単語2300 Gakken究極の英単語日本人には、まずこの3000語が必要です。アルク Data Base 5500英単語・熟語 桐原書店」等には記載がないから、我が国において、当該「CASK」の文字が「たる,(特にアルコール飲料を入れる)大だる」の意を表す語として一般的に認識されているとは言えず、これより、「CASK AGED TEA」の文字が何を意味するのか把握するのは困難である。
(2)別掲1の用例は、ジン等のお酒を含む広範囲な飲料の分野において判断しているが、本願の指定商品である第30類「茶、茶飲料等」とジン等は、その商品の品質・用途及び取引者、需要者層を著しく異にするから、用例は、本願指定商品の分野に限るべきである。
(3)審尋では、「本願商標の指定商品に使用する場合、「樽で熟成させた茶若しくは紅茶」「樽で熟成させた茶葉を使用した茶若しくは紅茶」「樽で熟成させた茶若しくは紅茶を使用した商品」「樽で熟成させた茶葉を使用した茶若しくは紅茶を使用した商品」という商品の品質を表示したものと認識、理解させる。」と判断しているが、「茶若しくは紅茶」では商品が特定されていないから(緑茶なのか紅茶なのかウーロン茶なのか不明)、商品の品質等を具体的かつ直接的に表したものではないし、そもそも8つの意味合いを想起させるといっているものであり、商品の内容を特定できるものとはいえない。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が「その商品の産地、販売地、品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録を受けることができない旨規定する趣旨は、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによると解され(最高裁昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日第三小法廷判決)、本願商標が商標法3条1項3号に該当するというためには、本件審決日当時において、本願商標がその指定商品との関係で商品の内容(品質)を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標の取引者、需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に、将来を含め、商品の内容(品質)を表示したものと一般に認識されるものであれば足り、それが一般に用いられていた実情があったことまでを必要とするものではないというべきである(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号 同年9月28日判決言渡)。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は、前記2のとおり、「CASK AGED TEA」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成中、「CASK」の文字は「(特に、アルコール飲料を入れる)大樽」(「ランダムハウス英和辞典第2版」株式会社小学館)、「たる,(特にアルコール飲料を入れる)大だる」(「プログレッシブ英和中辞典 第5版」株式会社小学館)の意味を、「AGED」の文字は「(ワイン・チーズ・木材などが)熟成した、よくねかされた」(「ランダムハウス英和辞典第2版」株式会社小学館)、「(酒・チーズ・木材などが)熟成した,まろやかになった」(「プログレッシブ英和中辞典 第5版」株式会社小学館)等の意味を、「TEA」の文字は「(乾燥・加工した)茶の葉」(「ランダムハウス英和辞典第2版」株式会社小学館)、「紅茶。(一般に飲料用の)お茶。(紅)茶の葉。」(「プログレッシブ英和中辞典 第5版」株式会社小学館)の意味を有する語であるから、その構成全体からは「樽で熟成した紅茶、お茶、茶の葉」の意味合いを看取し得る。
イ そして、本願の指定商品を含む飲料を取り扱う分野では、「CASK AGED ○○」(○○は、飲料名。以下同じ。)、「CASK AGED」の文字及びこれらに通ずる「カスクエイジド○○」、「カスクエイジド」の文字が、当該文字の説明があるとしても「樽で熟成させた○○」「樽で熟成させた商品」の意味合いで使用されている事実が見受けられ(原審の拒絶理由通知書及び拒絶査定における用例並びに別掲1)、実際に樽で熟成させた紅茶が存在する、また、飲料にとどまらず、茶葉を樽で熟成させた茶や紅茶も存在している(原審の拒絶理由通知書における用例及び別掲2)。
ウ 上記の事実に照らすと、「CASK AGED TEA」の文字からなる本願商標は、その指定商品中「バーボン樽で熟成した茶,シェリー樽で熟成した茶,ビール樽で熟成した茶,ワイン樽で熟成した茶,日本酒樽で熟成した茶,ウイスキー樽で熟成した茶,その他の茶,茶飲料」に使用された場合、「樽で熟成させた茶若しくは紅茶」、「樽で熟成させた茶葉を使用した茶飲料若しくは紅茶飲料」を一般的に表示するものとして、需要者又は取引者に認識されるというものであり、熟成させる樽の使用状況や茶葉の具体的種類等を詳細に論じるまでもなく、本願商標は、商品の品質を表示するものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、茶を樽で熟成させる手法は一般的ではなく、また「CASK」の単語が「ランダムハウス英和辞典第2版」に記載されているとしても、「英単語ターゲット1400 旺文社 英単語2300 Gakken究極の英単語日本人には、まずこの3000語が必要です。アルク Data Base 5500英単語・熟語 桐原書店」等には記載がないから、我が国において、当該「CASK」の文字が「たる,(特にアルコール飲料を入れる)大だる」の意を表す語として一般的に認識されているとは言えず、これより、「CASK AGED TEA」の文字は、何を意味するのかを具体的に把握するのは困難である旨主張する。
しかしながら、請求人の主張する辞書類に「CASK」の単語が記載されていないとしても、複数の英和辞書にその意味合いが掲載されていることは上記(2)アのとおりであるし、本願の指定商品を含む飲料を取り扱う分野において、「CASK」の文字及び該文字の読みを表した「カスク」の文字が、英和辞書に記載されている意味合いで実際に使用されていることは別掲1のとおりである。また、茶葉や茶を樽で熟成させる手法は、多くはないものの、実際に樽で熟成させた茶葉や茶が存在しているのであるから、本願商標を構成する各文字の語義からも、本願の指定商品に接する需要者等が当該意味合いを認識することができないものとはいい難い。
イ 請求人は、別掲1の用例は、ジン等のお酒を含む広範囲な飲料の分野において判断しているが、本願の指定商品である第30類「茶、茶飲料等」とジン等は、その商品の品質・用途及び取引者、需要者層を著しく異にするから、用例は、本願指定商品の分野に限るべきである旨主張する。
しかしながら、別掲3のように、ジンをはじめとするアルコール飲料と茶飲料等の双方を製造、販売している者、ジンをはじめとするアルコール飲料と茶、紅茶等の双方を販売している者が少なくなく、その需要者も一般需要者で共通していることからすると、ジンをはじめとするアルコール飲料と茶、紅茶等の飲料は、商品の製造や販売、そして需要者を同じくする場合もあるといえるものであるから、上記(2)イを認定するにあたり、別掲1を援用することは不適切とはいえない。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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