審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2021-013834

電子部品及び電子部品装置

審判番号
2021-013834
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-209405
請求日
2021年10月12日
審決日
2022年08月09日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】TDK株式会社
  • 【請求人代理人】長谷川 芳樹
  • 【請求人代理人】黒木 義樹
  • 【請求人代理人】三上 敬史
審判長/審判官
  • 審判長 酒井 朋広
  • 審判官 須原 宏光
  • 審判官 山本 章裕
分類
P18 .121-Z (H01G) / P18 .572-Z (H01G) / P18 .575-Z (H01G) / P18 .56 -Z (H01G)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-209405「電子部品及び電子部品装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月30日出願公開、特開2019- 83254〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年10月30日の出願であって、その手続の概略は以下のとおりである。 令和3年 4月 6日付け:拒絶理由通知 令和3年 6月 1日 :意見書、手続補正書の提出 令和3年 8月 3日付け:拒絶査定 令和3年10月12日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和3年10月12日にされた手続補正について補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年10月12日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正による特許請求の範囲の記載 本件補正による特許請求の範囲の請求項1(以下「本件補正発明」という。)の記載は、次のとおりである(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 直方体形状を呈しており、実装面とされる第一主面と、第一方向で前記第一主面と対向している第二主面と、第二方向で互いに対向している一対の側面と、第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有している素体と、 前記第一方向及び前記第二方向のうち予め定められた方向に並ぶように前記素体内に配置されている複数の内部導体と、 前記第三方向での前記素体の両端部にそれぞれ配置されている外部電極と、を備え、 前記素体の前記第一方向での第一長さと前記素体の前記第二方向での第二長さとは、異なっており、 前記外部電極は、前記第一主面の一部領域と前記端面の一部領域と前記一対の側面の各一部領域とを連続して覆うように形成されている導電性樹脂層を有し、 前記導電性樹脂層は、前記第一主面の前記一部領域の一部と前記一対の側面の前記各一部領域の一部とを直接覆うように形成されている、電子部品。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和3年6月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1、13の記載は次のとおである。 「【請求項1】 直方体形状を呈しており、実装面とされる第一主面と、第一方向で前記第一主面と対向している第二主面と、第二方向で互いに対向している一対の側面と、第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有している素体と、 前記第一方向及び前記第二方向のうち予め定められた方向に並ぶように前記素体内に配置されている複数の内部導体と、 前記第三方向での前記素体の両端部にそれぞれ配置されている外部電極と、を備え、 前記素体の前記第一方向での第一長さと前記素体の前記第二方向での第二長さとは、異なっており、 前記外部電極は、前記第一主面の一部領域と前記端面の一部領域と前記一対の側面の各一部領域とを連続して覆うように形成されている導電性樹脂層を有している、電子部品。」 「【請求項13】 前記導電性樹脂層は、前記第一主面の前記一部領域の一部と前記一対の側面の前記各一部領域の一部とを直接覆うように形成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の電子部品。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項13が請求項1ないし12のいずれか一項の記載を引用するものであったものを、請求項2ないし12の引用を削除し、請求項1を引用するものについて独立形式とするものである。 そうすると、本件補正は、本件補正前の請求項13の引用請求項を減少させたものであるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献1及びその記載事項 ア 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2014/038066号(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様)。 「[0015] 実施の形態1. 図1は本発明の実施の形態1によるパワー半導体装置の内部の概観模式図であり、図2は本発明の実施の形態1による応力緩和構造部を示す図である。本実施の形態1のパワー半導体装置50は、配線パターン状に成型された複数のリードフレーム1と、スイッチング可能なパワー半導体素子2と、パワー半導体素子2のスイッチングによる電圧変動を緩和させるセラミックコンデンサ(適宜、コンデンサとも称する)100と、チップ抵抗器(適宜、抵抗器とも称する)20などのチップ部品と、端子が形成される複数のリードフレーム1の間や、リードフレーム1とパワー半導体素子2との間を接続する配線部材3と、リードフレーム1、パワー半導体素子2、チップ部品等の実装部品、及び配線部材3を封止するモールド樹脂5とを備える。図1では、3つのパワー半導体素子2a、2b、2cが実装され、5つのパワー端子11a、11b、11c、11d、11eと3つの信号端子12a、12b、12cを備えるパワー半導体装置50の例を示した。なお、パワー半導体素子の符号は、総括的に2を用い、区別して説明する場合に2a、2b、2cを用いる。パワー端子の符号は、総括的に11を用い、区別して説明する場合に11a、11b、11c、11d、11eを用いる。信号端子の符号は、総括的に12を用い、区別して説明する場合に12a、12b、12cを用いる。」 「[0018] リードフレーム1とセラミックコンデンサ100やチップ抵抗器20などの実装部品は、はんだ4等の接合部剤で接合される。セラミックコンデンサ100は、誘電体部と電極部を積層した積層セラミックコンデンサであり、外部電極層からなる外部電極101を備える。セラミックコンデンサ100が実装されるのは、2つのリードフレーム1の間であり、この2つのリードフレーム1の間は電位が異なる。また、複数のリードフレーム1は、プレス加工やエッチング加工で形成され、それぞれのリードフレーム1の間には、数μmから数十μm程度の段差がある。」 「[0022] コンデンサ100の外部電極101とリードフレーム1のコンデンサ実装部13とは、はんだ4で接合されている。本発明によるパワー半導体装置50は、コンデンサ実装部13の導電性接合剤であるはんだ4と外部電極101との間に、導電性接合剤よりも剛性が低い応力緩和構造部39を備え、モールド樹脂5により周りが包まれる構造をとる。例えば応力緩和構造部39としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの低弾性率の樹脂に導電性フィラーを配合した応力緩和層である導電性応力緩和部30を用いるとよい。この場合、導電性応力緩和部30の弾性率をモールド樹脂5よりも低い弾性率とすることで、必要な応力緩和作用を発揮できる。導電性フィラーは、金属微粒子が適切である。これにより、パワー半導体装置50に温度変化が生じ、パワー半導体装置50を構成する構成部材の線膨張係数差によるひずみが生じたときに、応力緩和構造部39が変形することでコンデンサ100に生じる熱応力を緩和し、コンデンサ100とリードフレーム1との接合部が破断することや、コンデンサ100が故障するのを防止する。 [0023] この応力緩和構造部39は、導電性フィラーを含んだ導電性部材で構成されている。図2では、応力緩和構造部39を導電性接合剤(はんだ4)の付近のみに配置した例を示したが、外部電極101を覆うように配置してもよい。例示した2つの場合、コンデンサ100の外部電極101に応力緩和構造部39を付加する前処理を行うことで、生産プロセスの効率が向上する。」 「[0026] 図3は、本発明の実施の形態1による応力緩和構造部を示す図である。前述したように、応力緩和構造部39は、導電性フィラーと樹脂剤の混合物から構成されている。応力緩和構造部39の剛性は、コンデンサ100をリードフレーム1に接合する導電性接合剤(はんだ4)の剛性よりも大幅に低くなる。これにより、パワー半導体装置50の動作時における温度サイクルや、モールド成型時における2つのリードフレーム1間の段差を小さくするような変形や、搬送時のストレスなどによって、コンデンサ100とリードフレーム1との接合部に応力が生じた場合に、応力緩和構造部39が積極的に変形し、コンデンサ100の故障を防止する。」 図1 [図:0001389061000001.jpg] 図2 [図:0001389061000002.jpg] 図3 [図:0001389061000003.jpg] イ 上記記載より、引用文献1にはセラミックコンデンサに関して次の事項が記載されている。 (ア)[0018]によれば、セラミックコンデンサ100は、誘電体部と電極部を積層した積層セラミックコンデンサであり、外部電極層からなる外部電極101を備えたものである。 (イ)図2において、上下方向を第一方向、紙面に垂直な方向を第二方向、左右方向を第三方向として、セラミックコンデンサの下面を第一主面、上面を第二主面とすると、図1及び図2から、セラミックコンデンサ100について、次の事項が見て取れる。 セラミックコンデンサ100は、直方体形状を呈しており、実装面とされる第一主面と、第一方向で前記第一主面と対向している第二主面と、第二方向で互いに対向している一対の側面と、第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有している。 (ウ)図1及び図2より、外部電極101は、第三方向でのセラミックコンデンサ100の両端部にそれぞれ配置されていることが見て取れる。 (エ)[0022]によれば、セラミックコンデンサ100の外部電極101とリードフレーム1のコンデンサ実装部13とは、はんだ4で接合されている。 (オ)[0022]及び[0023]によれば、はんだ4と外部電極101との間には、外部電極101を覆うように配置した応力緩和構造部39が備えられていることが読み取れる。 (カ)[0022]によれば、応力緩和構造部39は、樹脂に導電性フィラーを配合した応力緩和層である。 (キ)図2及び図3から、応力緩和構造部39について、次の事項が見て取れる。 応力緩和構造部39は、外部電極101の第一主面の一部領域と端面の一部領域を連続して覆うように形成され、さらに、前記応力緩和構造部39は、セラミックコンデンサ100の前記第一主面の前記一部領域の一部を前記外部電極101を介さずに直接覆うように形成されている。 ウ 以上によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「誘電体部と電極部を積層した積層セラミックコンデンサであり、外部電極層からなる外部電極101を備えるセラミックコンデンサ100であって、 前記セラミックコンデンサ100は、直方体形状を呈しており、実装面とされる第一主面と、第一方向で前記第一主面と対向している第二主面と、第二方向で互いに対向している一対の側面と、第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有し、 前記外部電極101は、前記第三方向での前記セラミックコンデンサ100の両端部にそれぞれ配置されており、 前記セラミックコンデンサ100の前記外部電極101とリードフレーム1のコンデンサ実装部13とは、はんだ4で接合されており、 前記はんだ4と前記外部電極101との間には、前記外部電極101を覆うように配置した応力緩和構造部39が備えられており、 前記応力緩和構造部39は、樹脂に導電性フィラーを配合した応力緩和層であり、 前記応力緩和構造部39は、前記外部電極101の前記第一主面の一部領域と前記端面の一部領域を連続して覆うように形成され、 さらに、前記応力緩和構造部39は、前記セラミックコンデンサ100の前記第一主面の前記一部領域の一部を前記外部電極101を介さずに直接覆うように形成されている、 セラミックコンデンサ100。」 (3)引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア セラミックコンデンサは、通常、誘電体部と電極部を積層した素体と外部電極で構成されているので、引用発明の「セラミックコンデンサ100」における「誘電体部と電極部を積層した」部分が、本件補正発明の「素体」に相当する。また、引用発明の「外部電極101」が、本件補正発明の「外部電極」に相当する。 イ セラミックコンデンサの外部電極はその厚さが素体の長さに比べると薄いので、外部電極を除いた「誘電体部と電極部を積層した」部分も、「直方体形状」を呈しているといえる。 そして、上記アに拠ると、引用発明の「誘電体部と電極部を積層した」部分が本件補正発明の「素体」に相当するのであるから、引用発明の「セラミックコンデンサ100」が「直方体形状を呈しており、実装面とされる第一主面と、第一方向で前記第一主面と対向している第二主面と、第二方向で互いに対向している一対の側面と、第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有し」ていることは、本願補正発明の「素体」が「直方体形状を呈しており、実装面とされる第一主面と、第一方向で前記第一主面と対向している第二主面と、第二方向で互いに対向している一対の側面と、第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有している」ことに相当する。 ウ 引用発明は「誘電体部と電極部を積層した積層セラミックコンデンサであり、」「前記外部電極101は、前記第三方向での前記セラミックコンデンサ100の両端部にそれぞれ配置されて」いるので、「電極部」は、第三方向であるセラミックコンデンサ100の両端部で外部電極101と接続している。そうすると、「誘電体部と電極部を積層した積層セラミックコンデンサ」において、「電極部」は、第一方向及び第二方向のうち予め定められた方向に並ぶように配置されている。 そして、上記アに拠ると、引用発明の「誘電体部と電極部を積層した」部分が本件補正発明の「素体」に相当するのであるから、引用発明の「誘電体部と電極部を積層した積層セラミックコンデンサ」における「電極部」は、本件補正発明の「前記第一方向及び前記第二方向のうち予め定められた方向に並ぶように前記素体内に配置されている複数の内部導体」に相当する。 エ 引用発明の「前記第三方向での前記セラミックコンデンサ100の両端部にそれぞれ配置され」た「外部電極101」は、本件補正発明の「前記第三方向での前記素体の両端部にそれぞれ配置されている外部電極」に相当する。 オ 本件補正発明は「前記素体の前記第一方向での第一長さと前記素体の前記第二方向での第二長さとは、異なって」いるのに対して、引用発明はそのような特定がない点で相違する。 カ 引用文献1の段落[0022]によれば、パワー半導体装置に温度変化が生じ線膨張係数差によるひずみが生じたときに、応力緩和構造部が変形することでコンデンサに生じる熱応力を緩和し、コンデンサが故障するのを防止するのであるから、引用発明の「樹脂に導電性フィラーを配合した」「応力緩和構造部39」は、本件補正発明の「導電性樹脂層」に相当する。 そして、引用発明の「応力緩和構造部39」は「前記はんだ4と前記外部電極101との間に」「前記外部電極101を覆うように配置」されているので、電極部としてはんだと接合している。そうすると、「外部電極101」は、「応力緩和構造部39」を有しているといえる。 したがって、引用発明の「前記応力緩和構造部39は、前記外部電極101の前記第一主面の一部領域と前記端面の一部領域を連続して覆うように形成され」ていることは、本件補正発明の「前記外部電極は、前記第一主面の一部領域と前記端面の一部領域とを連続して覆うように形成されている導電性樹脂層を有し」ていることに相当する。 但し、本件補正発明は、「導電性樹脂層」が「前記一対の側面の各一部領域」も「覆う」のに対して、引用発明はそのような特定がない点で相違する。 キ 引用発明の「前記応力緩和構造部39」は、「前記セラミックコンデンサ100の前記第一主面の前記一部領域の一部を前記外部電極101を介さずに直接覆うように形成されている」ので、誘電体部と電極部を積層した部分、即ち素体の第一主面の一部領域の一部を直接覆っている。 したがって、引用発明の「前記応力緩和構造部39は、前記セラミックコンデンサ100の前記第一主面の前記一部領域の一部を前記外部電極101を介さずに直接覆うように形成されている」ことと本件補正発明とは、「前記導電性樹脂層は、前記第一主面の前記一部領域の一部を直接覆うように形成されている」点で共通する。 但し、本件補正発明は、「導電性樹脂層」が「前記一対の側面の前記各一部領域の一部」も「直接覆う」のに対して、引用発明はそのような特定がない点で相違する。 ク 引用発明の「セラミックコンデンサ100」は、素体、内部導体、外部電極、導電性樹脂に相当する機能を備えるから、本件補正発明の「電子部品」に相当する。 上記アないしクによれば、本件補正発明と引用発明との間には、次の一致点及び相違点があるといえる。 (一致点) 「直方体形状を呈しており、実装面とされる第一主面と、第一方向で前記第一主面と対向している第二主面と、第二方向で互いに対向している一対の側面と、第三方向で互いに対向している一対の端面と、を有している素体と、 前記第一方向及び前記第二方向のうち予め定められた方向に並ぶように前記素体内に配置されている複数の内部導体と、 前記第三方向での前記素体の両端部にそれぞれ配置されている外部電極と、を備え、 前記外部電極は、前記第一主面の一部領域と前記端面の一部領域とを連続して覆うように形成されている導電性樹脂層を有し、 前記導電性樹脂層は、前記第一主面の前記一部領域の一部を直接覆うように形成されている、電子部品。」 (相違点1) 本件補正発明は「前記素体の前記第一方向での第一長さと前記素体の前記第二方向での第二長さとは、異なって」いるのに対して、引用発明はそのような特定がない点。 (相違点2) 本件補正発明は、「導電性樹脂層」が「前記一対の側面の各一部領域」も「覆う」のに対して、引用発明はそのような特定がない点。 (相違点3) 本件補正発明は、「導電性樹脂層」が「前記一対の側面の前記各一部領域の一部」も「直接覆う」のに対して、引用発明はそのような特定がない点。 (4)相違点についての判断 ア 上記相違点1について 直方体形状であるセラミックコンデンサの端面は、正方形や長方形であることが一般的である。 そうすると、引用発明の「セラミックコンデンサ100」においても、「第三方向で互いに対向している一対の端面」の形状を長方形にして、上記相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、引用発明に基づいて上記相違点1に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 上記相違点2について 外部電極の側面は、第1主面及び端面と隣接しかつ連続した面であることに鑑みると、導電性樹脂を外部電極の第1主面及び端面に形成する際に側面にも同様に形成することは、通常行われることである。 そうすると、引用発明において、応力緩和構造部となる樹脂を外部電極の第1主面及び端面に形成する際に、上記の通常行われる技術を適用して、樹脂を側面にも形成して上記相違点2に係る構成を得ることは、当業者が容易に想到し得ることである。 したがって、引用発明に基づいて上記相違点2に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 ウ 上記相違点3について 上記相違点2で検討したように、引用発明において、「応力緩和構造部39」を「外部電極101」の一対の側面の各一部領域を覆うように形成することは、当業者が容易になし得たことである。 また、引用発明は「応力緩和構造部39」が、セラミックコンデンサの第一主面の一部領域の一部を外部電極を介さずに直接覆うように形成されている。 そうすると、「応力緩和構造部39」を「外部電極101」の側面を覆うように形成する際に、第一主面と同様に、セラミックコンデンサの側面の一部領域の一部を、応力緩和構造部で直接覆うように形成することは、適宜なし得ることである。(なお、セラミックコンデンサの側面の一部を、応力緩和構造部で直接覆うことについては、特開2015-53495号公報(【0056】、図6)、特開2013-161872号公報(【0022】、図2)、特開2017-120819号公報(【0006】、図3)等にもあるように、普通に行われている構成である。) したがって、引用発明に基づいて上記相違点3に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得たことである。 この点について、請求人は「引用文献1に記載された発明において、応力緩和構造部が側面を直接覆うように形成されていると解さざるを得ない合理的理由は、引用文献1にも、当業者の技術常識にも、存在していません。」(審判請求書、第13頁第2ないし4行)と主張している。 上記主張について検討する。 上記相違点3で検討したように、引用発明において、セラミックコンデンサの一対の側面の各一部領域の一部を、応力緩和構造部で直接覆うように形成することは、当業者が容易になし得たことである。また、引用文献1には、側面の一部を応力緩和構造部で直接覆うことを妨げることの記載もない。 したがって、上記主張を採用することができない。 エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (5)本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年6月1日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由] 1(2)」に記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由、概略は次のとおりである。 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ・請求項 1 ・引用文献等 1 ●理由2(進歩性)について ・請求項 2、3、5、6 ・引用文献等 1 ・請求項 4、7-16 ・引用文献等 1、2 <引用文献等一覧> 1.国際公開第2014/038066号 2.特開2016-219691号公報(周知技術を示す文献) 3 対比・判断 本願発明は、前記「第2の[理由]2」で検討した本件補正発明から、「前記導電性樹脂層は、前記第一主面の前記一部領域の一部と前記一対の側面の前記各一部領域の一部とを直接覆うように形成されている」に係る限定事項(上記相違点3に係る事項)が削除されたものである。 そうすると、上記「第2[理由]2(3)、(4)」に記載したとおり、本件補正発明が、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、相違点3に係る構成が削除された本願発明も、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-013834

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決161件(TDK株式会社)
  • 2025-006426拒絶査定不服審判 / 2026-08-26 / 原査定取消(特許/登録すべき)電子部品
    同じ当事者: TDK株式会社
  • 2025-017220拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)コイル部品
    同じ当事者: TDK株式会社
  • 2025-013925拒絶査定不服審判 / 2026-07-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)金属端子付き電子部品
    同じ当事者: TDK株式会社
  • 2025-007103拒絶査定不服審判 / 2026-04-07 / 原査定取消(特許/登録すべき)音響デバイス
    同じ当事者: TDK株式会社
  • 2024-018240拒絶査定不服審判 / 2026-04-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)磁気センサ及びその製造方法
    同じ当事者: TDK株式会社
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)467件(121・H01G、56・H01G、572・H01G ほか)
  • 2021-014054拒絶査定不服審判 / 2022-07-29 / 請求不成立ハイブリッドコンデンサ及びコンデンサの製造方法
    共通の審決分類: 121・H01G、56・H01G、572・H01G、575・H01G
  • 2023-021761拒絶査定不服審判 / 2024-12-04 / 請求不成立固体電解キャパシタアセンブリ
    共通の審決分類: 121・H01G、572・H01G、575・H01G
  • 2023-022033拒絶査定不服審判 / 2024-10-21 / 請求不成立積層セラミックコンデンサ
    共通の審決分類: 121・H01G、572・H01G、575・H01G
  • 2022-017541拒絶査定不服審判 / 2024-01-29 / 請求不成立電解コンデンサ
    共通の審決分類: 121・H01G、56・H01G、572・H01G
  • 2018-011423拒絶査定不服審判 / 2019-10-21 / 請求不成立セラミック電子部品及びセラミック電子部品の製造方法
    共通の審決分類: 121・H01G、572・H01G、575・H01G

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存