特許拒絶査定不服審判
2018-011423
セラミック電子部品及びセラミック電子部品の製造方法
- 審判番号
- 2018-011423
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-230349
- 請求日
- 2018年08月23日
- 審決日
- 2019年10月21日
- 公報発行日
- 2020年01月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】太陽誘電株式会社
- 【請求人代理人】大森 純一
- 【請求人代理人】千葉 絢子
- 審判長/審判官
- 審判長 酒井 朋広
- 審判官 須原 宏光
- 審判官 山澤 宏
- 分類
- P18 .121-Z (H01G) / P18 .575-Z (H01G) / P18 .572-Z (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-230349「セラミック電子部品及びセラミック電子部品の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月 1日出願公開、特開2017- 98445〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年11月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 2月16日付け:拒絶理由通知
平成30年 3月15日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 6月12日付け:拒絶査定
平成30年 8月23日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 平成30年8月23日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年8月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正
本件補正は、特許請求の範囲について、本件補正前に、
「【請求項1】
セラミック材料で形成され第1の軸方向に積層された複数のセラミック層と、前記複数のセラミック層の周縁に引き出され前記周縁に沿った幅が100μm以下である引き出し部を含み前記複数のセラミック層の間に配置された内部電極層と、を有し、かつ、相互に前記第1の軸方向に対向する一対の主面と、前記2つの主面に連接し前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に相互に対向する一対の第1の側面と、を含む表面を備えたセラミック素体と、
前記セラミック材料を含み、前記セラミック素体の前記一対の第1の側面の一側面と他方の側面にそれぞれ3以上設けられ前記引き出し部に接続された外部電極と、
を具備するセラミック電子部品。」
とあったところを、
「【請求項1】
セラミック材料で形成され第1の軸方向に積層された複数のセラミック層と、前記複数のセラミック層の周縁に引き出され前記周縁に沿った幅が100μm以下である引き出し部を含み前記複数のセラミック層の間に配置された内部電極層と、を有し、かつ、相互に前記第1の軸方向に対向する一対の主面と、前記2つの主面に連接し前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に相互に対向する一対の第1の側面と、を含む表面を備えたセラミック素体と、
前記セラミック材料を含み、前記セラミック素体の前記一対の第1の側面の一側面と他方の側面にそれぞれ3以上設けられ前記引き出し部に接続された外部電極と、
を具備し、
前記内部電極層は、前記セラミック材料を含む
セラミック電子部品。」
とすることを含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
本件補正について検討する。
本件補正は、
本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「内部電極層」について、「前記内部電極層は、前記セラミック材料を含む」と限定するものである。
上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)について以下に検討する。
2 引用文献及びその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-348964号公報(平成12年12月15日公開、以下「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。以下同様)。
「【0016】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について具体的且つ詳細に説明する。積層セラミック電子部品の例として、積層セラミックコンデンサとその製造方法について説明する。」
「【0018】このような内部電極パターン2a、2bが印刷されたセラミックグリーンシート1a、1bを、図4に示すように交互に積み重ね、さらにその両側に内部電極パターン2a、2bが印刷されてないセラミックグリーンシート1、1、いわゆるダミーシートを積み重ね、これらを圧着し、積層体を得る。さらに、この積層体を縦横に裁断し、個々の未焼成のチップ状の積層体に分割する。この分割された積層体の対向する端面には、前記の内部電極パターン2a、2bが交互に導出されている。」
「【0021】次に、前記の内部電極パターン2a、2bが各々導出している未焼成の積層体の両端面と、この両端面に連なる積層体の側面の一部にわたって、前記の導電ペーストを塗布し、乾燥する。その後、これらの積層体を焼成することで、積層体が焼結すると共に、前記内部電極パターン2a、2bを形成している導電ペースト及び積層体の端部に塗布された導電ペーストが焼き付けられる。これにより、図3に示すような層構造を有し、端部に外部電極2、2を有する焼成済みの積層体3を得る。」
「【0022】図3に示すように、積層体3は内部電極5、6を有する誘電体からなるセラミック層7、7…が積層され、さらにその両側に内部電極5、6が形成されてないセラミック層7、7…が各々複数層積み重ねられたものである。このような積層体3は、セラミック層7を介して対向している各内部電極5、6が、積層体3の両端面に交互に導出されている。そして、図1に示すように、この内部電極5、6が、交互に導出された積層体3の両端面において、前記導電ペーストを焼き付けることにより形成された外部電極2、2が前記内部電極5、6と導通している。
【0023】前記のようにして、積層体3のセラミック層7を形成するセラミック材料と共通する共材料を含む導電ペーストを焼成すると、導電ペースト内の導体粉末がまず溶融した後、燒結をし始めて収縮する。」
図1より、積層体3は、上面及び下面と、外部電極2が形成された両端面と、両側面を有しいることが見て取れる。
したがって、上記記載より引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献1の記載箇所である。)。
「内部電極5、6を有する誘電体からなるセラミック層7が積層され、さらにその両側に内部電極5、6が形成されてないセラミック層7が各々複数層積み重ねられた積層体3を有し(【0016】、【0022】)、
積層体3は、上面及び下面と、外部電極2が形成された両端面と、両側面を有しており(図1)、
セラミック層7を介して対向している各内部電極5、6が、積層体3の両端面に交互に導出され、
内部電極5、6が、交互に導出された積層体3の両端面において、積層体3のセラミック層7を形成するセラミック材料と共通する共材料を含む導電ペーストを、焼き付けることにより形成された外部電極2、2が前記内部電極5、6と導通している(【0022】、【0023】)
積層セラミック電子部品(【0016】)。」
(2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2007-142107号公報(平成19年6月7日公開、以下「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0041】
続いて、絶縁体層61~619となる各グリーンシートを順次積層して圧着し、チップ単位に切断した後に所定温度(例えば、800~980度)にて焼成する。これにより、積層体2が形成されることとなる。積層体2は、例えば、完成後における長手方向の長さが1.6mm、幅が0.8mm、高さが0.6mmとなるようにする。引出部71~74、引出部81~84、導体部91~94,111~114,121~124、導体部141~144、引出部151~154、導体部161~164、引出部171~174の焼成後における厚さは、例えば10μm程度に設定され、コンデンサ電極21、引出部221,222、コンデンサ電極231~234、引出部241~244、コンデンサ電極251~254、引出部261~264の焼成後における厚さは、例えば3μm程度に設定される。引出部71~74、引出部81~84、導体部91~94,111~114,121~124、導体部141~144、引出部151~154、導体部161~164、引出部171~174、引出部221,222、引出部241~244、引出部261~264の焼成後における幅は、例えば60μm程度に設定される。
【0042】
続いて、この積層体2に端子電極31~34,41~44,51,52を形成する。これにより、積層型電子部品1が得られることとなる。端子電極31~34,41~44,51,52は、積層体2の外表面に銀、ニッケル若しくは銅を主成分とする電極ペーストを転写した後に所定温度(例えば、600~780℃程度)にて焼き付け、更に電気めっきを施すことにより、形成される。電気めっきには、Cu/Ni/Sn、Ni/Sn、Ni/Au、Ni/Pd/Au、Ni/Pd/Ag、又は、Ni/Ag等が用いられる。」
図1より、一つの側面に4個の端子電極31~34を設けた積層型電子部品が見て取れる。
(3)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2007-300148号公報(平成19年11月15日公開、以下「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0044】
各試料に係る積層コンデンサについて、コンデンサ本体の寸法は2.0mm×1.25mm×0.5mmとし、内部電極の総積層数を64とし、静電容量の設計値を0.68μFとし、図1等に示した実施形態の場合と同様、外部端子電極の数を14とし、第1のコンデンサ部における各1つの第1および第2の内部電極についての第1および第2の引出し部の各々の数を7とし、第2のコンデンサ部における各1つの第3および第4の内部電極についての第3および第4の引出し部の各々の数を2とした。また、内部電極の厚みを1μmとし、引出し部の厚みを1μmとし、引出し部の幅を100μmとした。」
図1より、一つの側面に5個の端子電極19、20を設けた積層コンデンサが見て取れる。
(4)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開昭57-30308号公報(昭和57年2月18日公開、以下「引用文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「本発明は、磁器コンデンサの内部電極材料として好適な電極ペーストに関する。」(第1頁右欄第2-3行)
「本発明は、上述する卑金属粒子の異状粒成長を抑制し、空孔の発生を防止すると共に、電極の縮率曲線と誘電体磁器の縮率曲線を合わせ、同時焼成を可能ならしめる、磁器コンデンサ用の電極ペーストを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る磁器コンデンサ用電極ペーストは、金属粒子と、共材となる誘電体磁器粒子とを含有することを特徴とする。
すなわち、本発明においては、主として、ニッケル、銅等の卑金属粉末を主成分とする電極ペーストを調製する場合に、卑金属粉末と共に、共材となる誘電体磁器粉を有機質ビヒクル中に共存させるものである。共材となる誘電体磁器粉は、磁器コンデンサとなる誘電体磁器と同一組成のものを用い、仮焼成した後、微粉砕し、粒径が1μm以下、理想的には0.5~0.8μm程度に分級することが望ましい。」(第2頁左下欄第4行-右下欄第1行)
(5)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-340450号公報(平成12年12月8日公開、以下「引用文献5」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0032】なお、導電性ペーストには、セラミックグリーンシートの表面に塗布し、同時焼成する場合において、共材としてセラミックグリーンシートと同じ材質等の原料粉末を所定量添加しても良く、これによりグリーンシートとの密着性を向上するとともにセラミックスと導体との焼成による収縮率および熱膨張係数を近似させることができる結果、内部電極層の界面や端部に発生するクラックやデラミネーションを防止することができる。」
3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「積層され」た「誘電体からなるセラミック層7」は、本願補正発明の「セラミック材料で形成され第1の軸方向に積層された複数のセラミック層」に相当する。
(2)引用発明は、「内部電極5、6が、積層体3の両端面に交互に導出され、」「外部電極2、2」「と導通している」ので、引用発明の「内部電極5、6」は、「セラミック層7」の周縁に引き出される引き出し部を有している。
また、引用発明は「内部電極5、6を有する誘電体からなるセラミック層7が積層され」るのであるから、引用発明の「内部電極5、6」は、複数の「セラミック層7」の間に配置されているといえる。
したがって、引用発明の「内部電極5、6」と、本願補正発明の「前記複数のセラミック層の周縁に引き出され前記周縁に沿った幅が100μm以下である引き出し部を含み前記複数のセラミック層の間に配置された内部電極層」とは、「前記複数のセラミック層の周縁に引き出された引き出し部を含み前記複数のセラミック層の間に配置された内部電極層」である点で共通する。
ただし、引き出し部の周縁に沿った幅が、本願補正発明は、「100μm以下」であるのに対して、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。
(3)引用発明の「積層体3」の「上面及び下面」は、本願補正発明の「相互に前記第1の軸方向に対向する一対の主面」に相当し、引用発明の「積層体3」の「両端面」は、本願補正発明の「セラミック素体」の「前記2つの主面に連接し前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に相互に対向する一対の第1の側面」に相当する。
そして、引用発明の「積層体3」は、「複数」の「セラミック層7」と、「内部電極5、6」とを有しているのであるから、上記(1)、(2)を踏まえると、引用発明の「積層体3」と、本願補正発明の「セラミック材料で形成され第1の軸方向に積層された複数のセラミック層と、前記複数のセラミック層の周縁に引き出され前記周縁に沿った幅が100μm以下である引き出し部を含み前記複数のセラミック層の間に配置された内部電極層と、を有し、かつ、相互に前記第1の軸方向に対向する一対の主面と、前記2つの主面に連接し前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に相互に対向する一対の第1の側面と、を含む表面を備えたセラミック素体」とは、「セラミック材料で形成され第1の軸方向に積層された複数のセラミック層と、前記複数のセラミック層の周縁に引き出された引き出し部を含み前記複数のセラミック層の間に配置された内部電極層と、を有し、かつ、相互に前記第1の軸方向に対向する一対の主面と、前記2つの主面に連接し前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に相互に対向する一対の第1の側面と、を含む表面を備えたセラミック素体」である点で共通する。
(4)引用発明の「前記内部電極5、6と導通している」「内部電極5、6が、交互に導出された積層体3の両端面において、積層体3のセラミック層7を形成するセラミック材料と共通する共材料を含む導電ペーストを、焼き付けることにより形成された外部電極2、2」と、本願補正発明の「前記セラミック材料を含み、前記セラミック素体の前記一対の第1の側面の一側面と他方の側面にそれぞれ3以上設けられ前記引き出し部に接続された外部電極」とは、「前記セラミック材料を含み、前記セラミック素体の前記一対の第1の側面の一側面と他方の側面にそれぞれ設けられ前記引き出し部に接続された外部電極」である点で共通する。
ただし、一対の第1の側面の一側面と他方の側面にそれぞれ設けられた外部電極が、本願補正発明は、「3以上」であるのに対して、引用発明は、そのような特定がない点で相違する。
すると本願補正発明と引用発明とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「セラミック材料で形成され第1の軸方向に積層された複数のセラミック層と、前記複数のセラミック層の周縁に引き出された引き出し部を含み前記複数のセラミック層の間に配置された内部電極層と、を有し、かつ、相互に前記第1の軸方向に対向する一対の主面と、前記2つの主面に連接し前記第1の軸方向と交差する第2の軸方向に相互に対向する一対の第1の側面と、を含む表面を備えたセラミック素体と、
前記セラミック材料を含み、前記セラミック素体の前記一対の第1の側面の一側面と他方の側面にそれぞれ設けられ前記引き出し部に接続された外部電極と、
を具備するセラミック電子部品。」
(相違点1)
引き出し部の周縁に沿った幅が、本願補正発明は「100μm以下」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がない。
(相違点2)
一対の第1の側面の一側面と他方の側面にそれぞれ設けられた外部電極が、本願補正発明は「3以上」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がない。
(相違点3)
本願補正発明は、「前記内部電極層は、前記セラミック材料を含む」のに対して、引用発明は、その旨の特定がない。
4 判断
上記相違点について検討する。
(1)相違点1、2について
引用文献2又は3に記載されているように、内部電極の引き出し部の幅が100μm以下である、側面に3以上の外部電極を設けた積層セラミック電子部品は周知である(上記「2 (2)」、「2 (3)」)。
そして、積層セラミック電子部品において、側面に設ける外部電極の数は、積層セラミック電子部品の用途に応じて適宜決めれば良いことであり、引用発明の「積層セラミック電子部品」においても、「両端面」の「外部電極」の数をそれぞれ3以上とすることは、適宜なし得る設計的事項ある。
また、電子部品の小型化は一般的な課題であるので、引用発明の「積層セラミック電子部品」においても、端面の外部電極の数を3以上設ける際に、内部電極の引き出し部の幅を狭くする要請があることは明らかであり、上記のように、内部電極の引き出し部の幅が100μm以下のものは周知であるから、引用発明の「積層セラミック電子部品」においても、「端面」の「外部電極」の数を3以上とし、かつ、「内部電極5、6」の「導出され」る部分の幅を100μm以下として、上記相違点1、2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(2)相違点3について
引用発明の「積層セラミック電子部品」は、引用文献1に、内部電極パターン2a、2bが印刷されたセラミックグリーンシート1a、1bを交互に積み重ね、未焼成のチップ状の積層体を得て、未焼成の積層体の両端面に導電ペーストを塗布し、焼成して製造することが記載されているように(【0018】、【0021】)、内部電極パターン2a、2bとセラミックグリーンシート1a、1bを同時焼成して作成したものである。
そして、引用文献4又は5に記載されているように、内部電極層とセラミックグリーンシートを同時焼成するために、内部電極層にセラミックグリーンシートと同じ材質等の原料粉末を所定量添加し、収縮率および熱膨張係数を近似させる技術は周知である(上記「2 (4)」、「2 (5)」)。
ここで、引用発明は、上記のように内部電極パターン2a、2bとセラミックグリーンシート1a、1bを同時焼成して作成しているので、内部電極層とセラミックグリーンシートの収縮率および熱膨張係数を近似させる課題が存在することは明らかである。
そうすると、引用発明に上記周知技術を適用し、上記相違点3に係る本願補正発明の構成は、当業者が容易になし得たことである。
そして、上記相違点(1)ないし(3)を総合的に判断しても、本願補正発明が奏する効果は引用発明及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
5 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年3月15日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定されるものであるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 [理由] 1 本件補正」の本件補正前の「請求項1」として記載したとおりのものである。
2 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記「第2 [理由] 2 引用文献及びその記載事項」に記載したとおりである。
3 対比、判断
本願発明は、本願補正発明から、上記「第2 [理由] 1 本件補正」で検討した本件補正に係る、「内部電極層」を「前記内部電極層は、前記セラミック材料を含む」とする限定を削除するものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、更に他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記「第2 [理由] 4 判断」に示したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2018-011423