特許拒絶査定不服審判
2021-013417
画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム
- 審判番号
- 2021-013417
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-001893
- 請求日
- 2021年10月05日
- 審決日
- 2022年07月15日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】キヤノン株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人ひのき国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 須田 勝巳
- 審判官 山崎 慎一
- 分類
- P18 .113-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F) / P18 .55 -WY (G06F) / P18 .561-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第4項、特許法第37条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021- 1893「画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月13日出願公開、特開2021- 73565、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成26年8月7日に出願した特願2014-161623号の一部を、平成30年11月8日に新たな特許出願とした特願2018-210341号の一部を、令和3年1月8日に新たな特許出願としたものであって、令和3年1月29日付けで上申書が提出されるとともに手続補正がされ、令和3年4月16日付けで拒絶理由が通知され、令和3年6月18日付けで手続補正がされ、令和3年7月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年10月5日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年7月2日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要は次のとおりである。
1.理由2(特許法第17条の2第3項)
令和3年6月18日付け手続補正書でした請求項4、5に係る補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
2.理由3(特許法第29条第1項第3号)
上記理由2のとおり、令和3年6月18日付け手続補正書でした請求項4、5に係る補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、本願は、出願日の遡及が認められず、令和3年1月8日に出願したものとみなされる。そうすると、本願請求項1-3、6-16に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
3.理由4(特許法第29条第2項)
本願請求項1-16に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、又は以下の引用文献2-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2016-38723号公報
2.特開2009-71819号公報
3.特開2004-114651号公報
第3 審判請求時の補正について
1.審判請求時の補正(本件補正)の概要
令和3年10月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、以下の補正事項からなるものである。
(1)補正事項1
請求項1において、補正前の「前記アクセスパスワードの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態」を、補正後の「前記アクセスパスワードの入力および第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態」とする補正。
(2)補正事項2
請求項1において、補正前の「ユーザID」を、補正後の「第2の種類のユーザID」とする補正。
(3)補正事項3
請求項4において、補正前の「前記第1の設定状態においてユーザIDとユーザパスワードを入力するための画面情報を前記外部装置に出力せず、前記第2の設定状態においてユーザIDとユーザパスワードを入力するための画面情報を出力する手段」を、補正後の「前記第1の設定状態において前記第2の種類のユーザIDとユーザパスワードを入力するための画面情報を前記外部装置に出力せずに前記第1の種類のユーザIDとユーザパスワードを入力するための画面情報を前記外部装置に出力し、前記第2の設定状態において前記第1の種類のユーザIDとユーザパスワードを入力するための画面情報を前記外部装置に出力せずに第2の種類のユーザIDとユーザパスワードを入力するための画面情報を出力する手段」とする補正。
(4)補正事項4
請求項5において、補正前の「前記第1の設定状態は前記アクセスパスワードを認証に用いて且つユーザIDとユーザパスワードを認証に用いない設定状態であること」を、補正後の「前記第1の設定状態は前記アクセスパスワードと前記第1の種類のユーザIDとユーザパスワードを認証に用いて且つ前記第2の種類のユーザIDとユーザパスワードを認証に用いない設定状態であること」とする補正。
(5)補正事項5
請求項6において、補正前の「前記第2の設定状態はユーザIDとユーザパスワードの組み合わせを認証に用い、前記アクセスパスワードを認証に用いない設定状態であること」を、補正後の「前記第2の設定状態は前記第2の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせを認証に用い、前記第1の種類のユーザIDとユーザパスワードを認証に用いず且つ前記アクセスパスワードを認証に用いない設定状態であること」とする補正。
(6)補正事項6
請求項7において、補正前の「前記ユーザIDは前記画像形成装置が備える機能の実行権限が紐付けられた情報であること」を、補正後の「前記第1の種類のユーザIDおよび前記第2の種類のユーザIDを含む複数種類のユーザIDは前記画像形成装置が備える機能の実行権限が紐付けられた情報であり、前記複数種類のIDは一般ユーザID、管理ユーザIDを含むこと」とする補正。
(7)補正事項7
請求項14において、補正前の「前記アクセスパスワードの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態」を、補正後の「前記アクセスパスワードの入力および第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態」とする補正。
(8)補正事項8
請求項14において、補正前の「ユーザID」を、補正後の「第2の種類のユーザID」とする補正。
(9)補正事項9
請求項15において、補正前の「前記アクセスパスワードの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態」を、補正後の「前記アクセスパスワードの入力および第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態」とする補正。
(10)補正事項10
請求項15において、補正前の「ユーザID」を、補正後の「第2の種類のユーザID」とする補正。
(11)補正事項11
明細書の段落0010の記載を、補正後の請求項1の記載に整合させる補正。
2.特許法第17条の2第3項(新規事項)について
上記補正事項1は、「外部装置からの所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態」においては、「アクセスパスワード」に加えて「第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力」が必要であることを特定しているものであるところ、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の特に段落0038~0046及び図5の記載を参照すると、S505でRUIアクセス暗証番号入力画面301を表示してRUIアクセス暗証番号による認証処理を行ったうえで、さらに、S507で通常認証画面202を表示して管理者ID及び管理者認証番号による認証処理を実行することが記載されており、上記記載における「RUIアクセス暗証番号」、「管理者ID」及び「管理者認証番号」は補正後の請求項1の「アクセスパスワード」、「第1の種類のユーザID」及び「ユーザパスワード」に対応しているから、上記補正事項1は、当初明細書等の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
また、上記補正事項2~11も、当初明細書等の記載の範囲内においてなされたものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)に規定する要件に適合する。
3.特許法第17条の2第4項(シフト補正)について
本件補正前の請求項1-16に係る発明と、本件補正後の請求項1-16に係る発明とは、特許法第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項(シフト補正)に規定する要件に適合する。
4.補正の目的について
(1)補正事項1について
上記補正事項1は、「コンテンツへのアクセスを許可する」ために必要な情報を「アクセスパスワードの入力」から、「アクセスパスワードの入力および第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)補正事項2について
上記補正事項2は、「ユーザIDとユーザパスワード」が第1の設定状態において入力される「第1の種類のユーザIDとユーザパスワード」とは異なる「第2の種類のユーザIDとユーザパスワード」であることに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(3)補正事項3について
上記補正事項3は、請求項1の補正に合わせて、請求項4の「画面情報」の記載を補正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(4)補正事項4について
上記補正事項4は、請求項1の補正に合わせて、請求項5の「第1の設定状態」の記載を補正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(5)補正事項5について
上記補正事項5は、請求項1の補正に合わせて、請求項6の「第2の設定状態」の記載を補正したものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(6)補正事項6について
上記補正事項6は、ユーザIDが、「第1の種類のユーザIDおよび前記第2の種類のユーザIDを含む複数種類のユーザID」であることに限定するとともに、「前記複数種類のIDは一般ユーザID、管理ユーザIDを含む」ことに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(7)補正事項7、8について
上記補正事項7、8は、上記補正事項1、2に対応するものであるから、上記補正事項1、2と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(8)補正事項9、10について
上記補正事項9、10は、上記補正事項1、2に対応するものであるから、上記補正事項1、2と同様に、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(9)補正事項11について
上記補正事項11は、明細書の段落0010の記載を、補正後の請求項1の記載に整合させる補正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
5.独立特許要件について
上記4.より、請求項1-16についての補正は、限定的減縮を目的としている。この場合、補正後の請求項1-16に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない(独立特許要件)。
そして、以下の「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-16に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
6.むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
第4 本願発明
本願請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明16」という。)は、令和3年10月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「WEBブラウザを用いて閲覧可能なコンテンツを外部装置に提供可能な画像形成装置であって、
所定のコンテンツにアクセスするためのアクセスパスワードを登録する手段と、
前記アクセスパスワードの入力および第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態と、第2の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記アクセスパスワードの入力なしに前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第2の設定状態と、を含む複数の設定状態のうちの1つの設定状態に設定する手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。」
なお、本願発明2-13、16は、本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明14、15はそれぞれ、本願発明1に対応する制御方法、プログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2016-38723号公報)は、本願の分割原出願(特願2014-161623号)の公開公報であり、当該引用文献1には、本願の明細書及び図面と同様の内容が記載されている。(記載の摘記は省略する。)
2.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2009-71819号公報)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加したものである。)
ア 「【0013】
(1)画像形成システムの構成
図1は、第1の実施形態に係る画像形成システム1の構成例を示す図である。画像形成システム1は、複数の画像形成装置(2、5)、1以上の情報処理装置(4、6)、及びUIサーバ3を備えており、これらがネットワーク7を介して互いに接続されている。
【0014】
(中略)
【0025】
また、後述するように、本実施形態では、ユーザ毎、或いは部門毎にカスタマイズしたユーザインタフェースを取り扱うことが可能な形態としている。この結果、より柔軟性の高いシステムを実現できる。
(中略)
【0027】
図4は、UIサーバ3が具備するUIデータの集合(UIデータベース30)の一例を示したものである。このうち、UIデータ300aは、ユーザ名や部門名が未定義の一般ユーザインタフェースのデータである。つまり、誰でも使用できるUIデータである。
【0028】
また、UIデータ300b、300c、300dは、ユーザ名と部門名の少なくとも一方が定義された特定ユーザインタフェースのデータである。例えば、UIデータ300bは、社員A専用のUIデータであり、UIデータ300cは社員B専用のUIデータである。また、UIデータ300dは、部門A専用のUIデータである。部門Aに所属するメンバは誰でもUIデータ300dを使用できるが、部門Aのメンバ以外のユーザは使用できない。
【0029】
特定ユーザインタフェースのデータはカスタマイズが可能であり、例えばUIデータ300bは、社員Aが自分の使い勝手が良いようにアイコンの形状や配置等を変更することができる。
【0030】
それぞれのUIデータは、表示画面の背景画像や複数のアイコン情報からなっている。アイコン情報は、例えば各アイコンのイメージファイル、表示座標、タッチ音の情報や、各アイコンに割り当てられている機能に関する情報を含むものである。
【0031】
(2)動作
上記のように構成された画像形成システム1の動作について以下に説明する。
【0032】
図5は、第1の実施形態(クライアントPC(情報処理装置4)からの遠隔操作モードで動作する形態)に係る画像形成システム1の動作のうち、画像形成装置2での処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
なお、情報処理装置4を用いて画像形成装置5を遠隔操作する処理や、情報処理装置6を用いて画像形成装置2や画像形成装置5を遠隔操作する動作も、基本的には情報処理装置4を用いて画像形成装置2を遠隔操作する処理と同じ処理となるため、以下の説明では情報処理装置4を用いて画像形成装置2を遠隔操作する例を主に説明する。
【0034】
まず、ステップST1及びステップST2にて、ユーザ管理機能又は部門管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定する。本実施形態では、特定のユーザや特定の部門が予め自分専用の特定ユーザインタフェースをカスタマイズし、UIサーバ3に登録できるようにしている。
【0035】
一方、ユーザや部門が未定義であり、誰でも使用できる一般ユーザインタフェースもUIサーバ3に登録されている。ユーザ管理機能や部門管理機能が画像形成装置2に設定されていない場合や、自分用の特定ユーザインタフェースを登録していないユーザや部門に対しては、この一般ユーザインタフェースを使用できるようにしている。
【0036】
そこで、ステップST1及びステップST2にて、ユーザ管理機能又は部門管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定し、いずれも設定されていない場合には、ステップST15へ進み、ユーザと部門が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得するようにしている。
【0037】
一般UIデータをUIサーバ3から取得すると、画像形成装置2のコントロールパネル20に「外部接続中」である旨を表示する(ステップST9)。画像形成装置2を直接ローカルモードで使用しようとするユーザに対して、外部の情報処理装置4からの遠隔操作中であることを通知するためである。
【0038】
取得した一般UIデータはクライアントPC(情報処理装置4)に送信され、情報処理装置4での操作に供される(ステップST10)。
【0039】
(中略)
【0046】
画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合には、ステップST3にて、クライアントPC(情報処理装置4)にユーザ認証のデータ入力を要求する(ステップST3)。ユーザ認証が成功すると、認証されたユーザ専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求する(ステップST5)。このとき、認証されたユーザ名を検索用のキーとしてUIサーバ3に渡す。
【0047】
同様に、画像形成装置2に部門管理機能が設定されている場合には、ステップST11にて、クライアントPC(情報処理装置4)に部門認証のデータ入力を要求する(ステップST12)。部門認証が成功すると、認証された部門専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求する(ステップST13)。この場合にも認証された部門名をキーとしてUIサーバ3に渡す。
【0048】
ステップST6及びステップST14は、UIサーバ3で行われる処理であるが、より詳細な内容を図8に示す。
【0049】
図8は、UIサーバ3で行われる処理例を示すフローチャートである。UIサーバ3では、画像形成装置2から渡されたキーがユーザ名であるのか部門名であるのかを判定する(ステップST31、ステップST33)。
【0050】
キーがユーザ名の場合にはユーザ名をキーとしてUIデータベース30を検索する(ステップST32)。また、キーが部門名の場合には部門名をキーとしてUIデータベース30を検索する(ステップST34)。
【0051】
キーに一致するユーザ名或いは部門名で定義されたUIデータがUIデータデータベース30に存在した場合には(ステップST35のYES)、「特定UIデータ有り」を画像形成装置2に対して送信する(ステップST36)。存在しない場合には、「特定UIデータ無し」を画像形成装置2に対して送信する(ステップST37)。
【0052】
画像形成装置2では、UIサーバ3に該当する特定UIデータがあった場合にはその特定UIデータをUIサーバ3から取得する(図5のステップST7(当審注:「ST7」は「ST8」の誤記と認められる。))。
【0053】
一方、該当する特定UIデータがなかった場合には、ユーザ名と部門名が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得する(ステップST15)。そして、画像形成装置2のコントロールパネル20に「外部接続中」と表示した後(ステップST9)、取得した特定UIデータ又は一般UIデータをクライアントPC(情報処理装置4)に送信する(ステップST10)。
【0054】
なお、ステップST4或いはステップST12にて認証が失敗した場合には、クライアントPC(情報処理装置4)に認証失敗の旨を送信し、処理を終了する。
【0055】
図9は、情報処理装置4を用いて画像形成装置2を遠隔操作する際に、特定ユーザインタフェースが情報処理装置4の上で実現されるまでの過程を、図6と同様に画像形成システム1の構成図上に模式的に示した図である。
【0056】
まず、情報処理装置4からユーザ管理機能が設定されている画像形成装置2に対して遠隔操作のアクセスを行う。画像形成装置2では、情報処理装置4に対して認証用データの入力要求を行う。この要求を受けて、情報処理装置4では、表示装置40の画面上に、ユーザ名とパスワードの入力画面を表示し、入力を促す。ユーザはこの入力画面に、ユーザ名(図9の例では「社員A」)とパスワードを入力し画像形成装置2に送信する(図9中の1)。
【0057】
画像形成装置2は、ユーザ名(社員A)とパスワードに基づいてユーザ認証を行う。認証が成功すると、社員A用の特定UIデータ300bの提供をUIサーバ3に対して要求する。このとき、ユーザ名(社員A)と共に要求する(図9中の2)。
【0058】
(中略)
【0063】
図11は、情報処理装置4が画像形成装置5を遠隔操作する際に、特定UIデータが情報処理装置4に提供されるまでの過程を、図10と同様に画像形成システム1の構成図上に模式的に示した図である。但し、図11では、画像形成装置5にユーザ管理機能ではなく、部門管理機能が設定されている。
【0064】
この場合、情報処理装置4では、部門名と部門認証用のパスワードを入力する(図11中の1)。」
イ 「図1
[図:0001387199000001.jpg]
」
ウ 「図4
[図:0001387199000002.jpg]
」
エ 「図5
[図:0001387199000003.jpg]
」
オ 「図8
[図:0001387199000004.jpg]
」
(2)引用発明
引用文献2の上記記載について検討する。
ア 上記(1)アの段落0013の「画像形成システム1は、複数の画像形成装置(2、5)、1以上の情報処理装置(4、6)、及びUIサーバ3を備えており、これらがネットワーク7を介して互いに接続されている。」との記載、及び上記(1)イで摘記した図1の記載から、引用文献2には、“複数の画像形成装置(2、5)、1以上の情報処理装置(4、6)、及びUIサーバ3を備え、これらがネットワーク7を介して互いに接続されている画像形成システム1における画像形成装置2”が記載されていると認められる。
イ 上記(1)アの段落0027の「図4は、UIサーバ3が具備するUIデータの集合(UIデータベース30)の一例を示したものである。このうち、UIデータ300aは、ユーザ名や部門名が未定義の一般ユーザインタフェースのデータである。」との記載、同じく段落0028の「また、UIデータ300b、300c、300dは、ユーザ名と部門名の少なくとも一方が定義された特定ユーザインタフェースのデータである。例えば、UIデータ300bは、社員A専用のUIデータであり、UIデータ300cは社員B専用のUIデータである。また、UIデータ300dは、部門A専用のUIデータである。部門Aに所属するメンバは誰でもUIデータ300dを使用できるが、部門Aのメンバ以外のユーザは使用できない。」との記載、及び上記(1)ウで摘記した図4の記載から、引用文献2には、“UIサーバ3が具備するUIデータの集合は、ユーザ名や部門名が未定義の一般ユーザインタフェースのデータであるUIデータ300aと、ユーザ名と部門名の少なくとも一方が定義された特定ユーザインタフェースのデータであるUIデータ300b、300c、300dであって、社員A専用のUIデータであるUIデータ300bと、社員B専用のUIデータであるUIデータ300cと、部門Aに所属するメンバは誰でも使用できるが、部門Aのメンバ以外のユーザは使用できない、部門A専用のUIデータであるUIデータ300dとを含”むことが記載されていると認められる。
ウ 上記(1)アの段落0029の「特定ユーザインタフェースのデータはカスタマイズが可能であり、例えばUIデータ300bは、社員Aが自分の使い勝手が良いようにアイコンの形状や配置等を変更することができる。」との記載から、引用文献2には、“特定ユーザインタフェースのデータはカスタマイズが可能であり、例えばUIデータ300bは、社員Aが自分の使い勝手が良いようにアイコンの形状や配置等を変更することができ”ることが記載されていると認められる。
エ 上記(1)アの段落0032の「図5は、第1の実施形態(クライアントPC(情報処理装置4)からの遠隔操作モードで動作する形態)に係る画像形成システム1の動作のうち、画像形成装置2での処理の一例を示すフローチャートである。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、“情報処理装置4からの遠隔操作モードで動作する画像形成装置2”による処理が記載されていると認められる。
オ 上記(1)エで摘記した図5の記載から、ST1の判定でYESであればST3の処理に移行し、このときは、ST2の判定処理は実行されないこと、すなわち、“ST1でNOと判定されたときのみ、ST2の判定が実行される”ことが読み取れる。(なお、図5のST2の「部品管理機能」は「部門管理機能」の誤記である。)
そうすると、上記(1)アの段落0034の「まず、ステップST1及びステップST2にて、ユーザ管理機能又は部門管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定する。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“まず、ステップST1にてユーザ管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定し、判定結果がNOであるときのみ、ステップST2にて部門管理機能が前記画像形成装置2に設定されているか否かを判定”することが記載されていると認められる。
カ 上記(1)アの段落0036の「そこで、ステップST1及びステップST2にて、ユーザ管理機能又は部門管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定し、いずれも設定されていない場合には、ステップST15へ進み、ユーザと部門が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得するようにしている。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“ステップST1及びステップST2にて、いずれも設定されていない場合には、ステップST15へ進み、ユーザと部門が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得”することが記載されていると認められる。
キ 上記(1)アの段落0038の「取得した一般UIデータはクライアントPC(情報処理装置4)に送信され、情報処理装置4での操作に供される(ステップST10)。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“取得した一般UIデータを情報処理装置4に送信(ステップST10)”することが記載されていると認められる。
ク 上記(1)エで摘記した図5の記載から、“ステップST4にて”ユーザ認証が成功すると、ST5の処理に移行することが読み取れる。
そうすると、上記(1)アの段落0046の「画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合には、ステップST3にて、クライアントPC(情報処理装置4)にユーザ認証のデータ入力を要求する(ステップST3)。ユーザ認証が成功すると、認証されたユーザ専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求する(ステップST5)。このとき、認証されたユーザ名を検索用のキーとしてUIサーバ3に渡す。」との記載、同じく段落0056の「画像形成装置2では、情報処理装置4に対して認証用データの入力要求を行う。この要求を受けて、情報処理装置4では、表示装置40の画面上に、ユーザ名とパスワードの入力画面を表示し、入力を促す。ユーザはこの入力画面に、ユーザ名(図9の例では「社員A」)とパスワードを入力し画像形成装置2に送信する(図9中の1)。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合には、情報処理装置4にユーザ認証のデータとしてユーザ名とパスワードの入力を要求し(ステップST3)、ステップST4にてユーザ認証が成功すると、認証されたユーザ専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求し(ステップST5)、このとき、認証されたユーザ名を検索用のキーとしてUIサーバ3に渡”すことが記載されていると認められる。
ケ 上記(1)アの段落0047の「同様に、画像形成装置2に部門管理機能が設定されている場合には、ステップST11にて、クライアントPC(情報処理装置4)に部門認証のデータ入力を要求する(ステップST12)。部門認証が成功すると、認証された部門専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求する(ステップST13)。この場合にも認証された部門名をキーとしてUIサーバ3に渡す。」との記載、同じく段落0063の「図11では、画像形成装置5にユーザ管理機能ではなく、部門管理機能が設定されている。」との記載、同じく段落0064の「この場合、情報処理装置4では、部門名と部門認証用のパスワードを入力する(図11中の1)。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“同様に、画像形成装置2に部門管理機能が設定されている場合には、ステップST11にて、情報処理装置4に部門認証のデータとして部門名と部門認証用のパスワードの入力を要求し(ステップST12)、部門認証が成功すると、認証された部門専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求し(ステップST13)、この場合にも認証された部門名をキーとしてUIサーバ3に渡”すことが記載されていると認められる。
コ 上記(1)アの段落0049の「UIサーバ3では、画像形成装置2から渡されたキーがユーザ名であるのか部門名であるのかを判定する(ステップST31、ステップST33)。」との記載、同じく段落0050の「キーがユーザ名の場合にはユーザ名をキーとしてUIデータベース30を検索する(ステップST32)。また、キーが部門名の場合には部門名をキーとしてUIデータベース30を検索する(ステップST34)。」との記載、同じく段落0051の「キーに一致するユーザ名或いは部門名で定義されたUIデータがUIデータデータベース30に存在した場合には(ステップST35のYES)、「特定UIデータ有り」を画像形成装置2に対して送信する(ステップST36)。存在しない場合には、「特定UIデータ無し」を画像形成装置2に対して送信する(ステップST37)。」との記載、上記(1)エで摘記した図5の記載、及び上記(1)オで摘記した図8の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“UIサーバ3が、画像形成装置2から渡されたキーがユーザ名であるのか部門名であるのかを判定し(ステップST31、ステップST33)、キーがユーザ名の場合にはユーザ名をキーとしてUIデータベース30を検索し(ステップST32)、キーが部門名の場合には部門名をキーとしてUIデータベース30を検索し(ステップST34)、キーに一致するユーザ名或いは部門名で定義されたUIデータがUIデータデータベース30に存在した場合(ステップST35のYES)に送信する(ステップST36)「特定UIデータ有り」、または、存在しない場合(ステップST35のNO)に送信する(ステップST37)「特定UIデータ無し」を受信”することが記載されていると認められる。
サ 上記(1)アの段落0052の「画像形成装置2では、UIサーバ3に該当する特定UIデータがあった場合にはその特定UIデータをUIサーバ3から取得する(図5のステップST8)。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“UIサーバ3に該当する特定UIデータがあった場合にはその特定UIデータをUIサーバ3から取得する(ステップST8)”ことが記載されていると認められる。
シ 上記(1)アの段落0053の「一方、該当する特定UIデータがなかった場合には、ユーザ名と部門名が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得する(ステップST15)。そして、画像形成装置2のコントロールパネル20に「外部接続中」と表示した後(ステップST9)、取得した特定UIデータ又は一般UIデータをクライアントPC(情報処理装置4)に送信する(ステップST10)。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“一方、該当する特定UIデータがなかった場合には、ユーザ名と部門名が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得し(ステップST15)、取得した特定UIデータ又は一般UIデータを情報処理装置4に送信(ステップST10)”することが記載されていると認められる。
ス 上記(1)アの段落0054の「ステップST4或いはステップST12にて認証が失敗した場合には、クライアントPC(情報処理装置4)に認証失敗の旨を送信し、処理を終了する。」との記載、及び上記(1)エで摘記した図5の記載から、引用文献2には、画像形成装置2は、“ステップST4或いはステップST12にて認証が失敗した場合には、情報処理装置4に認証失敗の旨を送信し、処理を終了する”ことが記載されていると認められる。
セ 上記ア~スの検討から、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
「複数の画像形成装置(2、5)、1以上の情報処理装置(4、6)、及びUIサーバ3を備え、これらがネットワーク7を介して互いに接続されている画像形成システム1における画像形成装置2であって、
UIサーバ3が具備するUIデータの集合は、ユーザ名や部門名が未定義の一般ユーザインタフェースのデータであるUIデータ300aと、ユーザ名と部門名の少なくとも一方が定義された特定ユーザインタフェースのデータであるUIデータ300b、300c、300dであって、社員A専用のUIデータであるUIデータ300bと、社員B専用のUIデータであるUIデータ300cと、部門Aに所属するメンバは誰でも使用できるが、部門Aのメンバ以外のユーザは使用できない、部門A専用のUIデータであるUIデータ300dとを含み、
特定ユーザインタフェースのデータはカスタマイズが可能であり、例えばUIデータ300bは、社員Aが自分の使い勝手が良いようにアイコンの形状や配置等を変更することができ、
情報処理装置4からの遠隔操作モードで動作する画像形成装置2は、
まず、ステップST1にてユーザ管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定し、判定結果がNOであるときのみ、ステップST2にて部門管理機能が前記画像形成装置2に設定されているか否かを判定し、
ステップST1及びステップST2にて、いずれも設定されていない場合には、ステップST15へ進み、ユーザと部門が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得し、
取得した一般UIデータを情報処理装置4に送信し(ステップST10)、
画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合には、情報処理装置4にユーザ認証のデータとしてユーザ名とパスワードの入力を要求し(ステップST3)、ステップST4にてユーザ認証が成功すると、認証されたユーザ専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求し(ステップST5)、このとき、認証されたユーザ名を検索用のキーとしてUIサーバ3に渡し、
同様に、画像形成装置2に部門管理機能が設定されている場合には、ステップST11にて、情報処理装置4に部門認証のデータとして部門名と部門認証用のパスワードの入力を要求し(ステップST12)、部門認証が成功すると、認証された部門専用の特定UIデータの提供をUIサーバ3に対して要求し(ステップST13)、この場合にも認証された部門名をキーとしてUIサーバ3に渡し、
UIサーバ3が、画像形成装置2から渡されたキーがユーザ名であるのか部門名であるのかを判定し(ステップST31、ステップST33)、キーがユーザ名の場合にはユーザ名をキーとしてUIデータベース30を検索し(ステップST32)、キーが部門名の場合には部門名をキーとしてUIデータベース30を検索し(ステップST34)、キーに一致するユーザ名或いは部門名で定義されたUIデータがUIデータデータベース30に存在した場合(ステップST35のYES)に送信する(ステップST36)「特定UIデータ有り」、または、存在しない場合(ステップST35のNO)に送信する(ステップST37)「特定UIデータ無し」を受信し、
UIサーバ3に該当する特定UIデータがあった場合にはその特定UIデータをUIサーバ3から取得する(ステップST8)一方、該当する特定UIデータがなかった場合には、ユーザ名と部門名が未定義の一般UIデータをUIサーバ3から取得し(ステップST15)、取得した特定UIデータ又は一般UIデータを情報処理装置4に送信し(ステップST10)、
ステップST4或いはステップST12にて認証が失敗した場合には、情報処理装置4に認証失敗の旨を送信し、処理を終了する、
画像形成装置2。」
3.引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2004-114651号公報)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加したものである。)
ア 「【0070】
S6の受信データ処理については、図4に一連のフローを示すように、ウェブ印刷モードが「ON」の場合(S11:YES)、CPU111がさらにパスワードの入力が有効に設定されているか否かを調べる(S12)。
【0071】
パスワードの入力が有効に設定されている場合(S12:YES)、CPU111は、ユーザによりパスワードが入力されるまで待ち(S13:NO)、パスワードが入力されると(S13:YES)、その入力されたパスワードとあらかじめ登録されたパスワードとを照合する(S14)。なお、パスワードの入力は、LAN端末13~17上で行っても良いし、印刷装置1上の操作キー270で直接行っても良い。また、ユーザは、あらかじめパスワードを決めてRAM115などに登録しておくことができる。
【0072】
入力パスワードと登録パスワードとが一致する場合(S14:YES)、CPU111は、記録部37に受信データ印刷処理を実行させる(S15)。この受信データ印刷処理によれば、印刷リクエストに応じてRAM115に取り込まれたウェブページがCPU111によって印刷データに変換され、この印刷データに基づいて記録部37が印刷処理を行う。
【0073】
受信データ印刷処理が終わると、CPU111は、リクエスト元のLAN端末に対して印刷完了を通知する(S16)。これにより、LAN端末の画面上には、目的のウェブページが正常に印刷された旨の情報が表示される。なお、CPU111は、ウェブページ形式の表示データにより印刷完了を通知しても良いし、コマンドにより印刷完了を通知しても良い。
【0074】
S14において、入力パスワードと登録パスワードとが一致しない場合(S14:NO)、CPU111は、リクエスト元のLAN端末に対してパスワードエラーを通知する(S17)。これにより、LAN端末の画面上には、パスワードエラーにより目的のデータを印刷できない旨の情報が表示される。なお、LAN端末の画面上には、パスワードの再入力を促す画面を表示させても良い。
【0075】
S12において、パスワードの入力が有効に設定されていない場合(S12:NO)、CPU111は、そのままS15に進む。
【0076】
S11において、ウェブ印刷モードが「OFF」の場合(S11:NO)、CPU111は、RAM115に取り込んだウェブページを表示データとしてリクエスト元のLAN端末に転送する(S18)。」
イ 「【0080】
また、印刷リクエストを経て得られたウェブページについては、LAN端末13~17に取り込まれることはないので、チケット印刷用のウェブページやデジタル著作物を含むウェブページのコピープロテクションを容易に実現することができる。これらは、パスワードによる印刷可否制御により認められた者だけが印刷できるよう仕組むことでより安全なシステムを構築できる。」
ウ 「図4
[図:0001387199000005.jpg]
」
エ 上記ア~ウの記載から、引用文献3には、以下の技術的事項が記載されていると認められる。
「ウェブ印刷モードが「ON」の場合、パスワードの入力が有効に設定されているか否かを調べ、
パスワードの入力が有効に設定されている場合、ユーザによりパスワードが入力されるまで待ち、
パスワードが入力されると、その入力されたパスワードとあらかじめ登録されたパスワードとを照合し、
入力パスワードと登録パスワードとが一致する場合、記録部37に受信データ印刷処理を実行させ、
受信データ印刷処理が終わると、リクエスト元のLAN端末に対して印刷完了を通知し、
入力パスワードと登録パスワードとが一致しない場合、リクエスト元のLAN端末に対してパスワードエラーを通知し、LAN端末の画面上には、パスワードエラーにより目的のデータを印刷できない旨の情報が表示され、
パスワードの入力が有効に設定されていない場合、記録部37に受信データ印刷処理を実行させ、
ウェブ印刷モードが「OFF」の場合、RAM115に取り込んだウェブページを表示データとしてリクエスト元のLAN端末に転送し、
パスワードによる印刷可否制御により認められた者だけが印刷できるよう仕組むことでより安全なシステムを構築する。」
第6 対比・判断
1.理由3(特許法第29条第1項第3号)について
本願の当初明細書等の記載と親出願の当初明細書等及び分割時の明細書等の記載とは実質的に同じであるから、第3の2.で判断した新規事項と同様の理由により、本件補正後の請求項1-16に係る発明は、親出願の当初明細書等及び分割時の明細書等に記載した事項の範囲内のものである。
したがって、本願は分割要件を満たしているから、出願日の遡及が認められる。
そうすると、引用文献1は、本願の出願前に公知の文献とはいえないから、本願発明1-16は、本願の出願前に日本国内において頒布された引用文献に記載された発明であるとはいえない。
2.理由4(特許法第29条第2項)について
(1)引用文献1に基づく進歩性について
上記1.のとおり、引用文献1は、本願の出願前に公知の文献とはいえないから、本願発明1-16は、本願の出願前に日本国内において頒布された引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
(2)引用文献2、3に基づく進歩性について
ア 本願発明1について
(ア)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
a(a)引用発明の「画像形成装置2」は、本願発明1の「画像形成装置」に相当する。
引用発明の「情報処理装置4」は、ネットワーク7を介して画像形成装置2に接続されるものであり、「画像形成装置2」の“外部”にある“装置”であるといえるから、本願発明1の「外部装置」に相当する。
(b)引用発明の「ユーザインタフェースのデータ」である「UIデータ」は、画像形成装置2から情報処理装置4に送信され、ユーザインタフェースとして使用される情報であるから、本願発明1の「コンテンツ」に相当するといえ、また、当該「UIデータ」は、情報処理装置4においてユーザに提示されるものであるから、“閲覧可能”なものといえる。
そうすると、引用発明の「ステップST10」において「情報処理装置4に送信」される「特定UIデータ」と本願発明1の「WEBブラウザを用いて閲覧可能なコンテンツ」とは、“外部装置において閲覧可能なコンテンツ”である点で共通する。
(c)引用発明の「画像形成装置2」は、情報処理装置4に対して「UIデータ」を送信するから、“UIデータを外部装置に提供可能”なものである。
(d)上記(a)~(c)の検討から、引用発明の「画像形成装置2」と本願発明1の「WEBブラウザを用いて閲覧可能なコンテンツを外部装置に提供可能な画像形成装置」とは、“外部装置において閲覧可能なコンテンツを外部装置に提供可能な画像形成装置”である点で共通する。
b 引用発明は、「部門認証用のパスワード」を用いて部門認証を行うものであるから、画像形成装置2が、「部門認証用のパスワード」(以下のc(a)において後述するように、本願発明1の「アクセスパスワード」に相当する。)を“登録する登録手段”を有していることは自明のことである。
ここで、情報処理装置4のユーザが、認証された「部門専用の特定UIデータ」を“受信する”ことは、言い換えると、情報処理装置4のユーザが、「部門専用の特定UIデータ」に“アクセスする”ことであるといえる。
また、上記a(b)の検討から、引用発明の「部門専用の特定UIデータ」と本願発明1の「所定のコンテンツ」とは、“所定のコンテンツ”である点で一致する。
そうすると、引用発明の「部門認証用のパスワード」と本願発明1の「所定のコンテンツにアクセスするためのアクセスパスワード」とは、“所定のコンテンツにアクセスするためのアクセスパスワード”である点で一致しているといえる。
したがって、引用発明の「画像形成装置2」と本願発明1の「画像形成装置」とは、“所定のコンテンツにアクセスするためのアクセスパスワードを登録する手段”を有する点で一致しているといえる。
c(a)引用発明は、「ステップST1にてユーザ管理機能が画像形成装置2に設定されているか否かを判定し、判定結果がNOであるときのみ、ステップST2にて部門管理機能が前記画像形成装置2に設定されているか否かを判定」するものであり、「画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合」には、「部門管理機能が前記画像形成装置2に設定されているか否かを判定」しないから、その場合には、部門認証処理は実行されない。
つまり、「画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合」には、ユーザ名とパスワードによるユーザ認証が成功すれば、情報処理装置4のユーザは、「部門認証用のパスワード」の“入力なしに”、ユーザ認証により認証された「ユーザ専用の特定UIデータ」を“受信する”ことができるものである。
ここで、情報処理装置4のユーザが、ユーザ認証により認証された「ユーザ専用の特定UIデータ」を“受信する”ことができるということは、言い換えると、画像形成装置2が、情報処理装置4から「ユーザ専用の特定UIデータ」への“アクセスを許可する”ことであるといえる。
また、上記a(b)の検討から、引用発明の「ユーザ専用の特定UIデータ」と本願発明1の「第2の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づ」いてアクセスが許可される「所定のコンテンツ」とは、“コンテンツ”である点で共通する。
そうすると、引用発明の「ユーザ名」、「パスワード」はそれぞれ、これによる認証が成功すれば、さらなる別のパスワードの“入力なしに”、“コンテンツへのアクセスが許可”される点で、本願発明1の「第2の種類のユーザID」、「ユーザパスワード」に相当し、また、これらの入力による認証を行う結果、さらなる入力が不要となる引用発明の「部門認証用のパスワード」は、本願発明1の「アクセスパスワード」に相当するといえる。
(b)上記(a)の検討から、引用発明の「画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合」と本願発明1の「第2の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記アクセスパスワードの入力なしに前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第2の設定状態」とは、“第2の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記アクセスパスワードの入力なしに前記外部装置からのコンテンツへのアクセスを許可する第2の設定状態”である点で共通している。
d 引用発明は、「画像形成装置2に部門管理機能が設定されている場合」には、「情報処理装置4に部門認証のデータとして部門名と部門認証用のパスワードの入力を要求し(ステップST12)、部門認証が成功すると、認証された」「部門専用の特定UIデータ」(上記bの検討から、“所定のコンテンツ”であるといえる。)を「UIサーバ3から取得」して「情報処理装置4に送信」するものであるから、上記c(a)の検討も踏まえると、引用発明の「画像形成装置2に部門管理機能が設定されている場合」と本願発明1の「前記アクセスパスワードの入力および第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態」とは、“前記アクセスパスワードの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態”である点で共通している。
e 引用発明には、「画像形成装置2にユーザ管理機能が設定されている場合」(本願発明1の「第2の設定状態」に相当する。)と、「画像形成装置2に部門管理機能が設定されている場合」(本願発明1の「第1の設定状態」に相当する。)が存在することから、引用発明の「画像形成装置2」が、これらの2つの「管理機能が設定されている場合」を“含む複数の設定状態のうちの1つの設定状態に設定する手段”を備えていることは自明のことである。
f 上記a~eの検討から、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
外部装置において閲覧可能なコンテンツを外部装置に提供可能な画像形成装置であって、
所定のコンテンツにアクセスするためのアクセスパスワードを登録する手段と、
前記アクセスパスワードの入力に基づき前記外部装置からの前記所定のコンテンツへのアクセスを許可する第1の設定状態と、第2の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力に基づき前記アクセスパスワードの入力なしに前記外部装置からのコンテンツへのアクセスを許可する第2の設定状態と、を含む複数の設定状態のうちの1つの設定状態に設定する手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
(相違点)
(相違点1)本願発明1は、コンテンツが「WEBブラウザを用いて閲覧可能なコンテンツ」であるのに対して、引用発明のUIデータは、そのようなものであることは特定されていない点。
(相違点2)本願発明1は、第1の設定状態において、「アクセスパスワードの入力および第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせの入力」に基づいて、所定のコンテンツへのアクセスを許可するのに対して、引用発明は、部門認証用のパスワードの他に、「第1の種類のユーザIDとユーザパスワードの組み合わせ」を入力することに基づいて、所定のコンテンツへのアクセスを許可するものではない点。
(相違点3)本願発明1においては、「第2の設定状態」においてアクセスが許可される「コンテンツ」が、第1の設定状態でアクセスが許可される「所定のコンテンツ」と同じ「前記所定のコンテンツ」であるのに対して、引用発明において、ユーザ管理機能が設定されている場合に情報処理装置4に送信されるUIデータは、「認証されたユーザ専用の特定UIデータ」であって、部門管理機能が設定されている場合に情報処理装置4に送信される「認証された部門専用の特定UIデータ」と同じコンテンツとはいえない点。
(イ)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点3について先に検討する。
引用発明は、ユーザ管理機能が設定されている場合に「認証されたユーザ専用の特定UIデータ」を送信し、一方、部門管理機能が設定されている場合に「認証された部門専用の特定UIデータ」を送信する構成を採用することによって、「ユーザ毎、或いは部門毎にカスタマイズしたユーザインタフェースを取り扱うことが可能な形態としている・・・結果、より柔軟性の高いシステムを実現できる。」(引用文献2の段落0025)という作用効果を奏するものと認められる。
そうすると、ユーザ認証時と部門認証時で異なる特定UIデータを提供することで、より柔軟性の高いシステムを実現している引用発明において、ユーザ認証時と部門認証時で同じ特定UIデータを提供することとすれば、上記柔軟性が損なわれることは明らかであって、引用発明において、そのように構成する動機付けがないことは明らかである。
また、ユーザ認証時と部門認証時で同一の特定UIデータを提供することは、引用文献3にも記載されておらず、また、そのように構成することが本願の出願前に当該技術分野における周知技術であったともいえない。
したがって、相違点1、2について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
イ 本願発明2-13、16について
本願発明2-13、16は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
ウ 本願発明14、15について
本願発明14、15はそれぞれ、本願発明1に対応する制御方法、プログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定について
1.理由2(特許法第17条の2第3項)について
上記第6の1.に記載したとおり、令和3年10月5日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
2.理由3(特許法第29条第1項第3号)について
上記1.のとおりであるから、本願の出願日の遡及は認められる。
そうすると、引用文献1は、本願の出願前に公知の文献とはいえない。
したがって、原査定の理由3を維持することはできない。
3.理由4(特許法第29条第2項)について
(1)引用文献1に基づく進歩性について
上記2.のとおり、引用文献1は、本願の出願前に公知の文献とはいえない。
したがって、原査定の理由4(引用文献1に基づく進歩性の拒絶理由)を維持することはできない。
(2)引用文献2、3に基づく進歩性について
本件補正により補正された請求項1-16は、上記「第6」で判断したとおり、上記引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定の理由4(引用文献2、3に基づく進歩性の拒絶理由)を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-013417