意匠拒絶査定不服審判
2021-013337
情報表示用画像
- 審判番号
- 2021-013337
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2020-006401外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1718876
- 請求日
- 2021年10月04日
- 審決日
- 2022年05月25日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .113-WY (N3-1)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第14条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2020- 6401「情報表示用画像」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、意匠法第14条第1項の規定により本願意匠を3年間秘密にすることを請求し、令和2年(2020年)4月1日に出願された、本意匠を意願2020-6400とする関連意匠の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年(2021年)2月15日付け 拒絶理由の通知
同年 4月 8日 意見書の提出
同年 6月25日付け 拒絶査定
同年10月 4日 拒絶査定不服審判の請求
第2 本願意匠
本願は、画像について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願意匠の意匠に係る画像の用途は、本願の願書に記載によれば「情報表示用画像」であり、本願意匠の態様は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は以下のとおりであり、引用意匠はDM/096293の2.1及び2.2である(別紙第2参照)。
「この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠に類似するものと認められますので、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当します。
(中略)
引用意匠:
DM/096293 2017年 8月25日
映像装置付き車両(登録番号DM/096293)に見られる、車両前方に現れる画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HH29511026号)」
第4 対比
1 意匠に係る画像の用途及び機能の対比
本願意匠の意匠に係る画像の用途は「情報表示用画像」であり、本願の願書の記載によれば、自動車が発進する旨の情報を周囲の人等に知らせる表示画像であって、路面等に投影表示されるものであり、「画像図」から「変化した状態を示す画像図」に変化するものである。また、引用意匠は車両前方の路上に現れる表示画像であって、自動車から発せられる表示画像であり、画像は変化しないものと推認される(別紙第2参照。別紙第2によれば引用意匠の製品の表示は「Graphic symbol for projection mapping(仮訳:投影写像された図形記号)」と記載されており、引用意匠は図形記号を投影写像した画像であると解される。)。
そうすると、どちらも路面等に投影表示される画像であるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る画像の用途及び機能は共通する。
2 態様の対比
下記相違点4を除き、「変化した状態を示す画像図」に表された本願意匠の態様と、引用意匠の態様を対比する。
(1)態様の共通点
(共通点1)投影表示された画像を平面視した全体は、左から右にいくにつれて縦幅がしだいに長くなる5ないし6個の傾斜した黒色の略縦長長方形状の図形群(以下「傾斜図形群」という。)が、放射状に伸びていくように間隔を開けて配置されている。なお、本願意匠においては、願書の「意匠に係る物品の説明」の記載及び「使用状態を示す参考図」により、自動車の前照灯の位置から画像が投影表示されていると認められる。
(共通点2)傾斜図形群は、各傾斜図形(略縦長長方形)の上側短辺をつないだ仮想の延長線と、下側短辺をつないだ仮想の延長線が交わる角度が10°ないし11°程度である(以下、それぞれの延長線を「上側延長線」「下側延長線」という。)。
(共通点3)傾斜図形群を構成する各傾斜図形(略縦長長方形)の短辺について、上側短辺の長さの方が、下側短辺の長さに比べて若干小さくなっている。
(2)態様の相違点
(相違点1)本願意匠では、下側延長線は、左から右にいくにつれて、水平方向から少し下側に傾き(水平線と成す角度は4°)、上側延長線は、左から右にいくにつれて、水平方向から上側に傾いている(同角度は6°)。これに対して、引用意匠では、下側延長線が左から右にいくにつれて水平方向からごく僅かに下側に傾き(同角度は1°)、上側延長線が左から右にいくにつれて水平方向から大きく上側に傾いている(同角度は10°)。
(相違点2)本願意匠の傾斜図形群は、各図形の太さがほぼ同じであり、また、各図形の間隔もほぼ同じである。これに対して、引用意匠の各図形の太さは、左から右にいくにつれてしだいに大きくなり、最も右の図形の太さは、最も左の図形の太さの約3倍である。そして、引用意匠の各図形の間隔も、左から右にいくにつれてしだいに広くなり、最も右の間隔は、最も左の間隔の約3倍である。
(相違点3)傾斜図形群を構成する各図形の左側端部及び右側端部は、本願意匠では右に湾曲しているが、引用意匠では、直線状に表されている。
(相違点4)
本願意匠は、最も左の傾斜図形が一つ表された「画像図」から、傾斜図形が5個表された「変化した状態を示す画像図」に変化するが、引用意匠は変化しない。
(相違点5)本願意匠の傾斜図形群は、上側延長線と下側延長線が交わる位置(仮想交点)に向かって、引用意匠の傾斜図形群に比べて近づいており、すなわち、10°ないし11°の鋭角を成すように交わる仮想交点に近づいているので、傾斜図形群を構成する各図形の縦幅が引用意匠に比べて少し小さくなっている。
第5 判断
1 意匠に係る画像の類否判断
両意匠の意匠に係る画像の用途及び機能が共通するから、意匠に係る画像は類似する。
2 態様の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る画像は、路面に投影表示される画像であって、自動車が発進する旨の情報を周囲の人等に知らせるものであるところ、そのような使用目的が意匠として的確に実現されるかについては自動車の使用者(運転者)や、自動車の取引者も注意を払うというべきであるから、両意匠の意匠に係る画像の需要者には周囲の人のみならず、自動車の使用者や取引者も含まれるといえる。したがって、両意匠の態様の類否判断を行うに当たっては、このような需要者を考慮しつつ、細部の態様について評価することとする。
(1)態様の共通点
投影表示された画像として、左から右にいくにつれて縦幅がしだいに長くなる複数の図形群が放射状に伸びていくように、間隔を開けて配置した画像は本願の出願前に公然知られているから(参考意匠:中国意匠特許CN304665395Sの使用状態参考図2。別紙第3参照。)、投影表示された画像について、左から右にいくにつれて縦幅がしだいに長くなる5ないし6個の図形群を放射状に伸びていくように間隔を開けて配置した態様に対しては、需要者は特に注目するとはいい難いから、両意匠に見られるその態様の共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい
一方、複数の図形を傾斜させた点、傾斜図形群の上側延長線と下側延長線の成す角度を10°ないし11°程度とした点は、他には見られない特徴であって、両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすといえるが、傾斜図形群を構成する各図形の上側端部の長さを下側端部の長さよりも小さくした点は、その差が若干であって目立つ差異ではないので、両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(2)態様の相違点
まず、下側延長線が左から右にいくにつれて下側に傾き(水平線と成す角度は4°)、上側延長線が上側に傾く(同角度は6°)本願意匠と、下側延長線が左から右にいくにつれてごく僅かに下側に傾き(同角度は1°)、上側延長線が大きく上側に傾く(同角度は10°)相違(相違点1)は、需要者が一見して気が付く相違であるのみならず、投影画像の使用状態から見た特徴としても異なっている。具体的には、この相違は、路上に立っている需要者が路上に投影された画像を右方向から見たときに、傾斜図形群の上側について引用意匠の方が本願意匠に比べてより上方に張り出し、また、傾斜図形群の下側がほぼ水平状になっているか(引用意匠)、下方に寄ってくるか(本願意匠)の相違として表れる。したがって、このような使用状態も考慮すると、取引者を含む需要者がこの相違点1に着目するといわざるを得ず、相違点1が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に、傾斜図形群の各図形の太さがほぼ同じであって各図形の間隔もほぼ同じである本願意匠と、各図形の太さが左から右にいくにつれてしだいに大きくなって各図形の間隔もしだいに広くなる引用意匠とを比較すると、引用意匠に見られるその拡大は約3倍であるから、この相違(相違点2)は路上に立っている需要者が路上に投影された画像を右方向から見たときに、各図形とその間隔が一定している本願意匠は規則的な視覚的印象を需要者に与えるのに対して、各図形がしだいに太くなってその間隔もしだいに広くなる引用意匠は需要者の視覚的印象に変化を与えているというべきであり、相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
また、傾斜図形群を構成する各図形の左側端部及び右側端部が右に湾曲しているか、直線状に表されているかの相違(相違点3)は、需要者が車内から路上に投影された画像を左方向から見たときに、本願意匠では柔らかい視覚的印象を需要者に与え、引用意匠では硬直した視覚的印象を需要者に与えることになり、需要者が抱く美感を異にするということができる。そうすると、相違点3が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
そして、変化の有無の相違点4について、最も左の傾斜図形が一つ表された「画像図」から、傾斜図形が5個表された「変化した状態を示す画像図」に変化する本願意匠は、変化しない引用意匠に比べると、変化自体に需要者は注目するといえるから、相違点4は両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼす。
加えて、本願意匠の傾斜図形群が10°ないし11°の鋭角を成す延長線の仮想交点に近づいて、各図形の縦幅が引用意匠に比べて少し小さくなっている相違(相違点5)も、需要者の視覚的印象を異にするというべきであるから、相違点5が両意匠の類否判断に及ぼす影響も一定程度認められる。
3 両意匠の類否判断
両意匠の態様における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、上述のとおり、相違点1、相違点2、相違点3及び相違点4が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく、相違点5が両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度にとどまるとしても、相違点は総じて両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである。そうすると、両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度認められる共通点を考慮したとしても、相違点は共通点を圧して、両意匠に異なる美感を起こさせるといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る画像は類似するが、その態様において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。
第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、原査定における拒絶の理由に引用した意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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