2021-013114
カード処理装置、料金収受機、カード処理装置評価方法及びプログラム
- 審判番号
- 2021-013114
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-064839外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年09月29日
- 審決日
- 2022年06月29日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G06K) / P18 .537-WY (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年3月29日の出願であって、令和2年12月1日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年4月6日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和3年6月22日付けで拒絶査定(原査定)がされた。これに対し、令和3年9月29日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに手続補正がされ、令和4年4月28日付けで当審より拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、令和4年5月27日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、令和4年5月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。
「【請求項1】搬送機構によって搬送されるカードの搬送速度を取得する搬送速度取得部と、複数の前記カードについての前記搬送速度を記録して当該搬送速度を含む搬送速度情報テーブルを生成する搬送速度情報記録処理部と、生成された前記搬送速度情報テーブルに含まれる複数の前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価する劣化評価部と、続きを表示(全37行)前記搬送機構によって搬送されたカードが、過去に搬送速度を記録したカードと同一か否かを判定する同一カード判定部と、を備え、前記劣化評価部は、前記同一カード判定部によって互いに同一ではないと判定された異なる複数のカードについての前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価し、前記同一カード判定部は、前記カードの磁気ストライプに記録された情報が一致するか否かによって前記判定を行い、前記カードの磁気ストライプから情報を読み取れなかった場合に、前記カードにおけるICチップの有無が一致するか否かによって前記判定を行う、カード処理装置。【請求項2】前記劣化評価部は、複数のカードについての前記搬送速度のうち、所定の範囲から外れた搬送速度を除外して前記搬送機構の劣化の度合いを評価する請求項1に記載のカード処理装置。【請求項3】前記搬送速度取得部は、前記カードが前記搬送機構の搬送経路のうちの特定領域を搬送されている間における搬送速度を取得し、前記特定領域は、利用者が挿入口から前記カードに触ることができない領域である請求項1または請求項2に記載のカード処理装置。【請求項4】請求項1から請求項3の何れか一項に記載のカード処理装置を備える料金収受機。【請求項5】搬送機構によって搬送されるカードの搬送速度を取得する搬送速度取得ステップと、複数の前記カードについての前記搬送速度を記録して当該搬送速度を含む搬送速度情報テーブルを生成する搬送速度情報記録処理ステップと、生成された前記搬送速度情報テーブルに含まれる複数の前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価する劣化評価ステップと、前記搬送機構によって搬送されたカードが、過去に搬送速度を記録したカードと同一か否かを判定する同一カード判定ステップと、を有し、前記劣化評価ステップは、前記同一カード判定ステップによって互いに同一ではないと判定された異なる複数のカードについての前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価し、前記同一カード判定ステップは、前記カードの磁気ストライプに記録された情報が一致するか否かによって前記判定を行い、前記カードの磁気ストライプから情報を読み取れなかった場合に、前記カードにおけるICチップの有無が一致するか否かによって前記判定を行う、カード処理装置評価方法。【請求項6】カード処理装置のコンピュータを、搬送機構によって搬送されるカードの搬送速度を取得する搬送速度取得部、複数の前記カードについての前記搬送速度を記録して当該搬送速度を含む搬送速度情報テーブルを生成する搬送速度情報記録処理部、生成された前記搬送速度情報テーブルに含まれる複数の前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価する劣化評価部、前記搬送機構によって搬送されたカードが、過去に搬送速度を記録したカードと同一か否かを判定する同一カード判定部、として機能させるプログラムであって、前記劣化評価部は、前記同一カード判定部によって互いに同一ではないと判定された異なる複数のカードについての前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価し、前記同一カード判定部は、前記カードの磁気ストライプに記録された情報が一致するか否かに3記判定を行い、前記カードの磁気ストライプから情報を読み取れなかった場合に、前記カードにおけるICチップの有無が一致するか否かによって前記判定を行う、プログラム。」
第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
ア 原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特開2007-72854号公報(以下、これを「引用文献1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
A 「【発明を実施するための最良の形態】【0018】(媒体搬送装置)はじめに、本発明が適用される自動改札機の媒体搬送装置の概略構成を説明する。自動改札機は、鉄道・航空・船舶等の各種交通機関における改札口や、テーマパーク・遊園地・動物園・美術館等の公共施設における入退場口などに多く設置され、利用者の通行を管理又は制限する機能を有している。すなわち、乗車券・搭乗券・入場券・定期券その他の媒体を、媒体搬送装置で投入部から取出部又は回収部まで搬送する間に、データの読取り・書き込み等の所要処理を行い、読み取ったデータに基づき投入者の通行の許可又は拒否を判断し、拒否と判断した場合には必要に応じ通路を閉止するように構成されている。続きを表示(全22行)【0019】図1に示すように、自動改札機に備えられる媒体搬送装置Xは、カードハンドラ又は単にハンドラとも呼ばれ、プーリーp,p間に架け渡した無端ベルトの一対b,bを対向配置することにより搬送路R1~R4が構成され、ベルトb,b間で乗車券等の切符、定期券その他の媒体(図示せず)の表裏面を挟持し、投入部1から取出部10(又は図示しない回収部)まで搬送するようになされている。投入部1に続く第1の搬送路R1には繰出部2が、第2の搬送路R2には整列部3が、第3の搬送路R3には第1読取部4,書き込み部5,第2読取部6,入鋏部7及び印字部8が、第4の搬送路R4には集札部9及び取出部10が設けられている。また第3の搬送路R3の途中、第1読取部4と書込部5との間には、反転部11及びプール部12が設けられる。【0020】繰出部2は、複数枚の媒体が重ね合わせて投入されたときに、一枚ずつに分離して送り出す機能を有している。整列部3は、媒体の姿勢を、後続の処理が適切になされるよう、所定の状態に整えるものである。第1読取部4は、媒体に書き込まれているデータを読み取る部位であって、搬送路R3を上下に挟むように配置した二つの読取用ヘッドH1,H2で構成されており、一方のヘッドH1が裏面を上側にして投入された媒体のデータを読み取るためのもの、もう一方のヘッドH2が表面を上側にして投入された媒体のデータを読み取るためのものである。書込部5は、媒体に所要データを記録又は書き換えるための書込用ヘッドH3から成り、第2読取部6は、媒体に書き込んだデータ内容を確認するための検証用ヘッドH4から成る。反転部11は、裏面を上側にして投入された媒体を、表面が上側となるよう反転させるための機構であり、これにより、反転部11より下流側のヘッドH3,H4は、搬送路R3の下方側だけに配置すればよくなる。プール部12は、複数枚の媒体が投入されたときに、繰出部2で分離した媒体の一つに所要の処理を施している間、残りの媒体を装置内に保留するための機構である。入鋏部7は必要に応じて媒体にパンチ孔を穿つための部位、印字部8は必要に応じて媒体に所定の文字・文章を印字するための部位である。集札部9は、投入された複数枚の媒体を逐次処理し終えたのち、それらを集約してまとめるための機構である。取出部10は、処理を終えた媒体を装置から排出して利用者へ返却するためのものである。なお図示は省略したが、第3の搬送路R3の終端部に続けて、別経路の搬送路が形成され、この搬送路の終端に、利用者への返却を要しない媒体を回収する回収部が設けられる。【0021】通常、媒体搬送装置Xには、搬送される媒体の通過位置を検知するための媒体検知手段が設けられる。図1には、媒体の投入部1、繰出部2の始端部、繰出部2と整列部3との中継部、及び、整列部3の終端部それぞれに、媒体検知手段S1~S4を配置した状態を例示してある。媒体検知手段には、高速で移動する媒体を非接触で精度良く検知できるセンサが望ましく、例えばフォトセンサ・光電スイッチ等の光学的センサが代表的である。媒体検知手段が投光器・受光器から成る透過型フォトセンサの場合、投光器が投射する検知光を媒体が遮断することによって、媒体の通過を検出する。また、投入部1の媒体検知手段S1は、複数のフォトセンサを配列して構成され、媒体投入時に遮断されるフォトセンサの範囲から媒体の寸法を判断できるように成されている。【0022】制御装置Cは、媒体検知手段S1~S4から出力される媒体検知信号に基づき、搬送路R1~R4を構成するベルトb及びプーリーpを駆動するモータ(図示せず)の動作、媒体に対しデータの読み書きを行うヘッドH1~H4の動作、入鋏部7及び印字部8の各動作を制御するものである。また当該制御装置Cは、第1読取部4で読み取ったデータに基づき、媒体投入者の通過の可否を判断し、不可と判断したときには自動改札機に備えられるドア等で通路を閉止する指令又は警報を動作させる指令を出力する機能も有している。・・・中略・・・【0025】(管理装置及び管理方法)ところで、自動改札機の媒体搬送装置Xにおいて、搬送路を構成するベルトb又はプーリーpの劣化、あるいはこれらの調整不良などにより、ベルトb,b間の接圧が適正でなくなるとジャムが発生し易くなる。そしてジャムの発生頻度が高いのは、繰出部2及び整列部3であることが知られている。そこで本実施形態では、自動改札機の適所に設けた管理装置Kで、繰出部2及び整列部3の媒体通過時間を測定し、得られた時間データに基づいて、媒体搬送装置Xの状態を監視することとした。【0026】上記管理装置Kは、図2(A)に示すような箱状ハウジング20の内部にメモリ等の記憶装置やCPU等の演算装置が内蔵され、外面部に、液晶ディスプレイ等から成る表示部21、操作部22、データの入出力部30,31等を設けたものである。図2(B)に示すように、操作部22には、表示部21に表示させる項目を選択するためのボタン23~28が設けられる。ボタン23は繰出部2のデータ表示に切り換えるためのもの、ボタン24は整列部3のデータ表示に切り換えるためのものである。ボタン25~28は、表示項目を選定するのに用いられる。データ入出力部30,31は、制御装置Cや外部の中央管理センター等と接続される。通常、媒体検知手段S2~S4から出力される媒体検知信号は、制御装置Cへ集約して入力されるよう設定されているので、制御装置Cに入力される信号線を分岐して管理装置Kに接続し、媒体検知信号が制御装置Cから管理装置Kへ転送されるように構成した。但し、状況に応じ、管理装置Kを、制御装置Cを仲介させることなく、直接、各媒体検知手段S2~S4に接続することも妨げない。【0027】前記の如く構成された管理装置Kは、媒体搬送時に各媒体検知手段S2~S4から出力される検知信号を記憶装置に逐次記憶する。そして図3に示す要領により、演算装置によって、繰出部2の両端に配置した媒体検知手段S2及びS3における媒体検知時間の差分から、搬送路R1を媒体が通過するのに要した時間(繰出時間T1)を算出する。他方、整列部3の両端に配置した媒体検知手段S3及びS4における媒体検知時間の差分から、搬送路R3を媒体が通過するのに要した時間(整列時間T2)を算出する。これら繰出時間T1及び整列時間T2は、媒体の所定搬送回数分(例えば2000件)、記憶装置に格納される。なお、寸法が異なる媒体(例えば定期券と普通乗車券など)は繰出部2及び整列部3の通過速度に差異が生じるので、特定寸法の媒体(例えば定期券)の繰出時間T1及び整列時間T2のみを選択して記憶するよう設定してもよい。あるいは、媒体の種類ごとに、繰出時間T1及び整列時間T2の平均値を表示できるよう設定することも考えられる。媒体種類の判別は、投入部1の媒体検知手段S1により可能である。もしくは、整列部3の通過後、第1読取部4で読み取ったデータを制御装置Cを通じて管理装置Kにフィードバックさせ、媒体種類の判別に利用することも考えられる。【0028】こうして管理装置Kに蓄積された繰出時間T1及び整列時間T2のデータに基づき、媒体搬送装置Xの状態診断及びメンテナンスの要否判定を行う。ある自動改札機の媒体搬送装置Xにおいて、媒体(例えば定期券等の大型サイズの乗車券)を投入した場合、繰出時間T1の正常な平均値が約180ms(ミリ秒)であり、整列時間T2の正常な平均値が約215ms(ミリ秒)であるとする。管理装置Kで算出した上記T1,T2の値が上記平均値よりも許容値(例えば5ms)以上大きくなったとき、つまりT1≧185ms,T2≧220msのときには、媒体搬送装置Xにジャムや媒体検出エラー等の障害発生頻度が高くなる。そこで定期点検時・応急修繕時などに、図4に示すような診断手順で媒体搬送装置Xの状態を確認することにより、メンテナンス作業の要否を判定する。すなわち管理装置Kの表示部21に、所定の媒体搬送回数(例えば100搬送)ごとの繰出時間T1及び整列時間T2の平均値を表示させ(繰出時間T1と整列時間T2との表示切換は操作部22のボタン23,24による)、これを作業者が確認する。繰出時間T1及び整列時間T2の平均値が、基準値(正常平均値+許容値)よりも小さい(T1<185ms,T2<220ms)ときには、メンテナンスの必要は無いと判断して、各部の点検を行った後、点検・修繕を終了する。繰出時間T1又は整列時間T2の平均値が上記基準値以上のときには、ベルト又はプーリー劣化等の異常が有ると判断して、ベルト又はプーリーの取替えや接触圧力調整等の所要のメンテナンス作業を行えばよい。」
B 「【0031】[その他の実施形態]前記管理装置Kは、繰出時間T1及び整列時間T2の平均値を表示するだけでなく、この平均値とあらかじめ設定した基準値とを比較し、平均値が基準値以上である不良状態になったときには、これを表示部21に表示すると共に、光学的手段(LEDやパイロットランプ等)又は音響的手段(ブザー・チャイム・音声等)で報知するよう構成することが考えられる。あるいは、外部に中央管理センター等を設け、適宜の通信手段により、上記不良状態を報知することも可能である。」
C 「【図1】[図:0001386068000001.jpg]」
D 「【図2】[図:0001386068000002.jpg]」
E 「【図3】[図:0001386068000003.jpg]」
F 「【図4】[図:0001386068000004.jpg]」
G 上記Aの段落【0018】には、“自動改札機の媒体搬送装置は、乗車券・搭乗券・入場券・定期券その他の媒体を、媒体搬送装置で投入部から取出部又は回収部まで搬送する間に、データの読取り・書き込み等の所要処理を行う”ことが記載され、さらに、段落【0019】には、“自動改札機に備えられる媒体搬送装置Xは、ベルトb、b間で乗車券等の切符、定期券その他の媒体の表裏面を挟持し、投入部1から取出部10まで搬送するようになされる”ことが記載されている。
してみると、引用文献1には、“ベルトb、b間で乗車券等の切符、定期券その他の媒体の表裏面を挟持し、投入部1から取出部10まで搬送するようになされ、搬送する間に、データの読取り・書き込み等の所要処理を行う自動改札機に備えられる媒体搬送装置X”が記載されているといえる。
H 上記Aの段落【0019】には、“媒体搬送装置Xには、繰出部2、整列部3、第1読取部4、書き込み部5、第2読取部6、入鋏部7、印字部8、集札部9、取出部10、反転部11、プール部12が設けられている”ことが記載され、さらに、図1(上記C)によれば、“媒体搬送装置Xには、制御装置C及び管理装置Kが設けられている”ことが看取できる。
してみると、引用文献1には、“媒体搬送装置Xには、繰出部2、整列部3、第1読取部4、書き込み部5、第2読取部6、入鋏部7、印字部8、集札部9、取出部10、反転部11、プール部12、制御装置C及び管理装置Kが設けられて”いることが記載されているといえる。
I 上記Aの段落【0021】には、“媒体の投入部1、繰出部2の始端部、繰出部2と整列部3との中継部、及び、整列部3の終端部それぞれに、搬送される媒体の通過位置を検知するための媒体検知手段S1~S4が配置されて”いることが記載されている。
J 上記Aの段落【0022】には、「制御装置Cは、媒体検知手段S1~S4から出力される媒体検知信号に基づき、搬送路R1~R4を構成するベルトb及びプーリーpを駆動するモータの動作、媒体に対しデータの読み書きを行うヘッドH1~H4の動作、入鋏部7及び印字部8の各動作を制御するものである」ことが記載されている。
K 上記Aの段落【0025】には、“管理装置Kは、繰出部2及び整列部3の媒体通過時間を測定し、得られた時間データに基づいて、媒体搬送装置Xの状態を監視するものであ”ることが記載されている。
L 上記Aの段落【0026】には、“管理装置Kは、箱状ハウジング20の内部にメモリ等の記憶装置やCPU等の演算装置が内蔵され、外面部に、液晶ディスプレイ等から成る表示部21、操作部22、データの入出力部30、31等が設けられたものであ”ることが記載されている。
M 上記Aの段落【0027】には、“管理装置Kは、媒体搬送時に各媒体検知手段S2~S4から出力される検知信号を記憶装置に逐次記憶し、演算装置によって、繰出部2の両端に配置した媒体検知手段S2及びS3における媒体検知時間の差分から、搬送路R1を媒体が通過するのに要した時間(繰出時間T1)を算出し、他方、整列部3の両端に配置した媒体検知手段S3及びS4における媒体検知時間の差分から、搬送路R3を媒体が通過するのに要した時間(整列時間T2)を算出し、これら繰出時間T1及び整列時間T2を、媒体の所定搬送回数分、記憶装置に格納し、さらに、寸法が異なる媒体は繰出部2及び整列部3の通過速度に差異が生じるので、媒体の種類ごとに、繰出時間T1及び整列時間T2の平均値を表示す”ることが記載され、さらに、上記Bの段落【0031】には、“この平均値とあらかじめ設定した基準値とを比較し、平均値が基準値以上である不良状態になったときには、これを表示部21に表示すると共に、光学的手段又は音響的手段で報知するものであ”ることが記載されている。
してみると、引用文献1には、“管理装置Kは、媒体搬送時に各媒体検知手段S2~S4から出力される検知信号を記憶装置に逐次記憶し、演算装置によって、繰出部2の両端に配置した媒体検知手段S2及びS3における媒体検知時間の差分から、搬送路R1を媒体が通過するのに要した時間(繰出時間T1)を算出し、他方、整列部3の両端に配置した媒体検知手段S3及びS4における媒体検知時間の差分から、搬送路R3を媒体が通過するのに要した時間(整列時間T2)を算出し、これら繰出時間T1及び整列時間T2を、媒体の所定搬送回数分、記憶装置に格納し、さらに、寸法が異なる媒体は繰出部2及び整列部3の通過速度に差異が生じるので、媒体の種類ごとに、繰出時間T1及び整列時間T2の平均値を表示し、この平均値とあらかじめ設定した基準値とを比較し、平均値が基準値以上である不良状態になったときには、これを表示部21に表示すると共に、光学的手段又は音響的手段で報知するものであ”ることが記載されている。
N 上記Aの段落【0027】には、“媒体種類の判別は、整列部3の通過後、第1読取部4で読み取ったデータを制御装置Cを通じて管理装置Kにフィードバックさせ、媒体種類の判別に利用するものであ”ることが記載されている。
イ 上記AないしNの記載内容(特に、下線部を参照)からすると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「ベルトb、b間で乗車券等の切符、定期券その他の媒体の表裏面を挟持し、投入部1から取出部10まで搬送するようになされ、搬送する間に、データの読取り・書き込み等の所要処理を行う自動改札機に備えられる媒体搬送装置Xにおいて、媒体搬送装置Xには、繰出部2、整列部3、第1読取部4、書き込み部5、第2読取部6、入鋏部7、印字部8、集札部9、取出部10、反転部11、プール部12、制御装置C及び管理装置Kが設けられており、媒体の投入部1、繰出部2の始端部、繰出部2と整列部3との中継部、及び、整列部3の終端部それぞれに、搬送される媒体の通過位置を検知するための媒体検知手段S1~S4が配置されており、制御装置Cは、媒体検知手段S1~S4から出力される媒体検知信号に基づき、搬送路R1~R4を構成するベルトb及びプーリーpを駆動するモータの動作、媒体に対しデータの読み書きを行うヘッドH1~H4の動作、入鋏部7及び印字部8の各動作を制御するものであり、管理装置Kは、繰出部2及び整列部3の媒体通過時間を測定し、得られた時間データに基づいて、媒体搬送装置Xの状態を監視するものであって、管理装置Kは、箱状ハウジング20の内部にメモリ等の記憶装置やCPU等の演算装置が内蔵され、外面部に、液晶ディスプレイ等から成る表示部21、操作部22、データの入出力部30、31等が設けられたものであって、管理装置Kは、媒体搬送時に各媒体検知手段S2~S4から出力される検知信号を記憶装置に逐次記憶し、演算装置によって、繰出部2の両端に配置した媒体検知手段S2及びS3における媒体検知時間の差分から、搬送路R1を媒体が通過するのに要した時間(繰出時間T1)を算出し、他方、整列部3の両端に配置した媒体検知手段S3及びS4における媒体検知時間の差分から、搬送路R3を媒体が通過するのに要した時間(整列時間T2)を算出し、これら繰出時間T1及び整列時間T2を、媒体の所定搬送回数分、記憶装置に格納し、さらに、寸法が異なる媒体は繰出部2及び整列部3の通過速度に差異が生じるので、媒体の種類ごとに、繰出時間T1及び整列時間T2の平均値を表示し、この平均値とあらかじめ設定した基準値とを比較し、平均値が基準値以上である不良状態になったときには、これを表示部21に表示すると共に、光学的手段又は音響的手段で報知するものであり、媒体種類の判別は、整列部3の通過後、第1読取部4で読み取ったデータを制御装置Cを通じて管理装置Kにフィードバックさせ、媒体種類の判別に利用するものである、媒体搬送装置X。」
2 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の出願前に既に公知である、特開2006-228050号公報(以下、これを「引用文献2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
A 「【0030】(1)ICカードが認識されなかった場合、ICカードをICカードリーダ2に挿入した人が、同じICカードをICカードリーダ2に何度か挿入してリトライすることが考えられる。この場合、履歴リスト50のICチップ検出情報52が「非検出」である欄に対応する磁気情報53には、同一の磁気情報53が記録される。ICカードに不具合があった場合、こうした履歴が残ることがある。少ない種類のカードに対してのみ、すなわち例えば磁気情報53が「aabb」であるカードと「abab」であるカードの2種類のカードに対してのみ、ICチップ検出情報52が「非検出」である場合、ICカードに不具合がある可能性が高いと判断できる。【0031】(2)ICチップ検出情報52が「非検出」である欄に対応する磁気情報53の種類が多い場合、何枚もの異なるICカードに対して、ICチップが認識されなかったことが示されている。この場合、ICカードリーダ2に不具合がある可能性が高いと判断できる。【0032】以上の原理に基づいて、ICカードリーダ2の不具合が例えば次のように判定される。過去の所定の期間内(当日の朝の業務開始時から現在まで、または過去1ヶ月以内など過去の所定の時間以内)における履歴リスト50が調査の対象とされる。予報部32は、その所定の期間内において、ICチップ検出情報52が「非検出」である欄に対応する磁気情報53が何種類あるかをカウントする(ステップS14‐1)。カウントされた種類が第1の予め設定された数よりも小さいと、予報部32はICカードに不具合があったと推定し、そのことを示す情報を表示装置34に表示する(ステップS14‐2)。カウントされた種類が第2の予め設定された数(第1の予め設定された数と同じかより大きい)よりも大きいと、予報部32は表示装置34にICカードリーダ2が不具合であることを示す情報、または検査を促す情報を表示する(ステップS14‐3)。【0033】または予報部32は、その所定の期間内におけるすべての磁気情報53が何種類あるかをカウントする(ステップS14‐4)。図2の例では「aaaa」「abab」「bbbb」「aabb」「bbaa」の5種類である。予報部32は更に、その所定の期間内においてICチップ検出情報52が「非検出」である欄に対応する磁気情報53の種類の数をカウントする。図2の例では「bbbb」「aabb」「abab」「bbaa」の4種類である。予報部32は、所定の期間内において使用されたすべてのICカードのうち何種類のICカードに対して非検出であったのかの割合を計算する(ステップS14‐5)。図2の例では5種類のうちの4種類に対してICチップが検出されなかったことがあり、したがって非検出の種類の割合は80パーセントである。この割合が予め設定された値以上であると、予報部32は表示装置34にICカードリーダ2が不具合であることを示す情報、または検査を促す情報を表示する(ステップS14‐6)。」
B 「【図2】[図:0001386068000005.jpg]」
C 「【図3】[図:0001386068000006.jpg]」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「切符、定期券その他の媒体」は、本願発明1の「カード」に相当する。
また、引用発明1は、「ベルトb、b間で乗車券等の切符、定期券その他の媒体の表裏面を挟持し、投入部1から取出部10まで搬送する」ものであって、また、「搬送路R1~R4を構成するベルトb及びプーリーpを駆動するモータ」を備えるものと認められる。
してみると、引用発明1の「ベルトb」、「プーリーp」及び「モータ」は、本願発明1の「搬送機構」に相当する。
そして、引用発明1の「管理装置K」の「演算装置」は、「繰出部2の両端に配置した媒体検知手段S2及びS3における媒体検知時間の差分から、搬送路R1を媒体が通過するのに要した時間(繰出時間T1)を算出し、他方、整列部3の両端に配置した媒体検知手段S3及びS4における媒体検知時間の差分から、搬送路R3を媒体が通過するのに要した時間(整列時間T2)を算出」するものであって、ここで、「媒体検知手段S2及びS3」間の距離、及び、「媒体検知手段S3及びS4」の距離は、予め決まった一定の値であることは明らかであるから、「繰出時間T1」及び「整列時間T2」は、各々、「搬送路R1を媒体が通過する」速度、及び「搬送路R3を媒体が通過する」速度に対応するものといえる。
してみると、引用発明1の「繰出時間T1及び整列時間T2」は、本願発明1の「搬送速度」に相当し、引用発明1の「管理装置K」の「演算装置」は、本願発明1の「搬送機構によって搬送されるカードの搬送速度を取得する搬送速度取得部」に相当する。
イ 引用発明1の「管理装置K」の「演算装置」は、「これら繰出時間T1及び整列時間T2を、媒体の所定搬送回数分、記憶装置に格納」するものであるから、引用発明1の「管理装置K」の「演算装置」と、本願発明1の「複数の前記カードについての前記搬送速度を記録して当該搬送速度を含む搬送速度情報テーブルを生成する搬送速度情報記録処理部」とは、後記の点で相違するものの、“複数の前記カードについての前記搬送速度を記録する搬送速度情報記録処理部”の点では共通する。
ウ 引用発明1の「管理装置K」は、「繰出部2及び整列部3の媒体通過時間を測定し、得られた時間データに基づいて、媒体搬送装置Xの状態を監視するものであ」る。
さらに、引用発明1の「管理装置K」の「演算装置」は、「これら繰出時間T1及び整列時間T2を、媒体の所定搬送回数分、記憶装置に格納し、さらに、寸法が異なる媒体は繰出部2及び整列部3の通過速度に差異が生じるので、媒体の種類ごとに、繰出時間T1及び整列時間T2の平均値を表示し、この平均値とあらかじめ設定した基準値とを比較し、平均値が基準値以上である不良状態になったときには、これを表示部21に表示すると共に、光学的手段又は音響的手段で報知するもの」であるから、繰出時間T1及び整列時間T2の平均値に基づいて搬送機構の劣化の度合いを評価しているといえる。
してみると、引用発明1の「平均値」は、本願発明1の「代表値」に相当し、引用発明1の「管理装置K」の「演算装置」と、本願発明1の「生成された前記搬送速度情報テーブルに含まれる複数の前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価する劣化評価部」とは、後記の点で相違するものの、“複数の前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価する劣化評価部”の点では共通する。
エ 引用発明1の「媒体搬送装置X」は、「切符、定期券その他の媒体」に「所要処理を行う」ものであるから、本願発明1の「カード処理装置」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、以下の一致点と相違点とがある。
〈一致点〉
「搬送機構によって搬送されるカードの搬送速度を取得する搬送速度取得部と、複数の前記カードについての前記搬送速度を記録する搬送速度情報記録処理部と、複数の前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価する劣化評価部と、を備える、カード処理装置。」
〈相違点1〉
「搬送速度情報記録処理部」が、本願発明1では、「当該搬送速度を含む搬送速度情報テーブルを生成する」ものであるのに対して、引用発明1では、そのようなテーブルを生成する旨の特定がされていない点。
〈相違点2〉
「劣化評価部」が、本願発明1では、「生成された前記搬送速度情報テーブルに含まれる複数の前記搬送速度」の代表値に基づくものであって、また、「前記劣化評価部は、前記同一カード判定部によって互いに同一ではないと判定された異なる複数のカードについての前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価」するものであるのに対して、引用発明1では、「管理装置K」の「演算装置」は、記憶装置に格納される「繰出時間T1及び整列時間T2」を用いており、「媒体の種類ごと」の「平均値」に基づいて劣化の度合いを評価している点。
〈相違点3〉
本願発明1では、「前記搬送機構によって搬送されたカードが、過去に搬送速度を記録したカードと同一か否かを判定する同一カード判定部」を備え、「前記同一カード判定部は、前記カードの磁気ストライプに記録された情報が一致するか否かによって前記判定を行い、前記カードの磁気ストライプから情報を読み取れなかった場合に、前記カードにおけるICチップの有無が一致するか否かによって前記判定を行う」ものであるのに対して、引用発明1では、その旨の特定がされていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、先に相違点3について判断する。
上記第3の2の引用文献2には、ICカードのICチップが認識されない際に、ICカード側の不具合か、ICカードリーダ2側のICチップの認識の不具合かを判別するために、所定期間内に検出できたICカードの磁気情報の数を用いて、数が多いときは異なる多くのICカードで認識ができなかったとしてICカードリーダ2側の不具合と判断し、数が少ないときは同じICカードが何度も認識されなかったとしてICカード側の不具合であると判断する技術が記載されている。
しかしながら、引用文献2に記載の技術は、ICカードのICチップが認識されない際、ICカードの磁気情報は必ず読み取れることを前提として、磁気情報が同じものを同一のICカードと判別するものであって、カードの磁気ストライプから情報を読み取れなかった場合に、カードにおけるICチップの有無が一致するか否かによってカードの同一を判定するものではない。
また、本願発明1の上記相違点3に係る構成が周知の技術であるとも認められない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1、引用文献2に記載された技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし4について
本願発明2ないし4は、本願発明1を更に限定したものであるので、同様に、当業者であっても引用発明1、引用文献2に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明5について
本願発明5は、本願発明1の「カード処理装置」を「方法」の観点から記載したものに過ぎず、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2に記載された技術に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本願発明6について
本願発明6は、本願発明1の「カード処理装置」を「プログラム」の観点から記載したものに過ぎず、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2に記載された技術に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1~8について、引用文献1及び2(上記第3の引用文献1及び2)に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものである。
<特許法29条2項について>
また、上記第4(1)に示した相違点3は、原査定の引用文献1及び2には記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1~5は、当業者であっても、原査定における引用文献1及び2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
1 特許法36条6項2号(明確性)について
当審では、「請求項1の記載に「前記劣化評価部は、異なる複数のカードについての前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価し」とあるが、「異なる複数のカード」をどのようにして識別するか技術的に理解できず、請求項1の記載は不明確である。」との拒絶の理由を通知しているが、令和4年5月27日付けの補正において、「前記劣化評価部は、前記同一カード判定部によって互いに同一ではないと判定された異なる複数のカードについての前記搬送速度の代表値に基づいて前記搬送機構の劣化の度合いを評価し」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-013114