2021-011717
ゴルフクラブセット
- 審判番号
- 2021-011717
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-080525外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年09月03日
- 審決日
- 2023年09月12日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】住友ゴム工業株式会社
- 【請求人代理人】住友 教郎
- 分類
- P18 .537-WZ (A63B) / P18 .121-WZ (A63B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 7項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年4月14日の出願であって、令和2年9月29日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月28日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年3月23日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月14日に意見書が提出され、同年6月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月3日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされ、令和4年9月28日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月30日に意見書及び手続補正書が提出され、令和5年3月29日付けで拒絶の理由が通知され(以下「当審拒絶理由通知」という。)、同年5月31日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和5年5月31日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】ゴルフクラブを3本以上備えたゴルフクラブセットであって、前記ゴルフクラブのそれぞれが、フェース面にスコアラインを有するヘッドとシャフトとグリップとを有しており、前記ヘッドのそれぞれが、前記スコアラインの位置に基づいて決定されるフェースセンターと、ヘッド重心に基づいて決定されるスイートスポットとを有しており、続きを表示(全14行)前記ヘッドの正面視において、前記フェースセンターを通りトウ-ヒール方向に平行な直線がX軸とされ、前記フェースセンターがこのX軸の原点とされ、前記スイートスポットのX座標がSS-Xとされ、前記X座標は前記フェースセンターのヒール側がプラス側とされ且つ前記フェースセンターのトウ側がマイナス側とされ、前記各ヘッドの前記SS-Xが、ロフト角の小さいヘッドから順にSS-X1、SS-X2、・・・、SS-Xn(nは3以上の整数)とされるとき、次の式1及び式2を満たしており、SS-X1≧SS-X2≧・・・≧SS-Xn ・・・(式1)SS-X1>SS-Xn ・・・(式2)前記ヘッドの正面視におけるシャフト軸線から前記ヘッド重心までの距離が重心距離Bとされ、前記ヘッドにおいて、前記重心距離Bが、ロフト角の小さいヘッドから順にB1、B2、・・・、Bn(nは3以上の整数)とされるとき、次の式4及び式5を満たしており、B1≧B2≧・・・≧Bn ・・・(式4)B1>Bn ・・・(式5)前記SS-Xが、0mm以上+1.3mm以下であるアイアン型ゴルフクラブセット。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
令和5年3月29日付けの当審拒絶理由通知の概要は以下のとおりである。
「1 請求項1-3について(以下「拒絶理由1」という。)(1)令和4年11月30日に提出された手続補正書の請求項1は、次の「ア」~「エ」の記載を含むものである。ア「前記ヘッドの正面視において、前記フェースセンターを通りトウ-ヒール方向に平行な直線がX軸とされ、前記フェースセンターがこのX軸の原点とされ、前記スイートスポットのX座標がSS-Xとされ、」イ「前記ヘッドの正面視におけるシャフト軸線から前記ヘッド重心までの距離が重心距離Bとされ、」続きを表示(全36行)ウ「B1≧B2≧・・・≧Bn ・・・(式4)」エ「前記SS-Xが、0mm以上+1.3mm以下である」(2)これに対して、「重心距離B」及び「SS-X」の値を示すものとして、発明の詳細な説明には次のとおり記載されている。「[図:0001403948000001.jpg]」(3)上記表1において、各番手のクラブ重心距離Bの値が、(1)の「ウ」における「式4」の関係を満たすものは実施例2のみであるところ、番手毎のSS-Xの値についてみると、「♯5」における1.3mmを最大値とし、「PW」における0.6mmを最小値とすることがみてとれる。(4)一方、請求項1に係る発明は、上記(1)の「ウ」及び「エ」のいずれの条件をも満たすべきものであるところ、「SS-X」の値が0mm以上0.6mm未満のものについては、表1には記載されていない。また、発明の詳細な説明及び図面の他の記載においても、重心距離Bが「式4」を充足する一方で、「SS-X」の値が0mm以上0.6mm未満となるものは記載も示唆もされていない。(5)したがって、請求項1及びこれを引用する請求項2-3に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。2 請求項4-5について(1)上記手続補正書の請求項4は、次の「オ」~「シ」の記載を含むものである。オ「ゴルフクラブを3本以上備えたゴルフクラブセットであって、ロフト角が15°以上26°以下であるゴルフクラブAと、ロフト角が26°より大きく36°以下であるゴルフクラブBと、ロフト角が36°より大きいゴルフクラブCとを含んでおり、」カ「前記ヘッドの正面視において、前記フェースセンターを通りトウ-ヒール方向に平行な直線がX軸とされ、前記フェースセンターがこのX軸の原点とされ、前記スイートスポットのX座標がSS-Xとされ、」キ「前記ヘッドの正面視におけるシャフト軸線から前記ヘッド重心までの距離が重心距離Bとされ、」ク「B1≧B2≧・・・≧Bn ・・・(式4)」ケ「B1>Bn ・・・(式5)」コ「前記SS-Xaが、+0.5mm以上+2.0mm以下であり、」サ「前記SS-Xbが、0mm以上+1.5mm以下であり、」シ「前記SS-Xcが、-0.5mm以上+1.0mm以下である」(2)これに対して、発明の詳細な説明には、上記「1(2)」に加え下記のとおりの記載がある。「【0076】打球結果及び打感の観点から、SS-Xaは、+0.5mm以上が好ましく、+2.0mm以下が好ましい。クラブAが複数である場合、全てのクラブAがこの数値範囲であるのが好ましい。打球結果及び打感の観点から、SS-Xbは、0mm以上が好ましく、+1.5mm以下が好ましい。クラブBが複数である場合、全てのクラブBがこの数値範囲であるのが好ましい。打球結果及び打感の観点から、SS-Xcは、-0.5mm以上が好ましく、+1.0mm以下が好ましい。クラブCが複数である場合、全てのクラブCがこの数値範囲であるのが好ましい。」(3)上記「1(2)」及び「(2)オ」の記載によれば、ゴルフクラブAには「♯5」、ゴルフクラブBには「♯6」、「♯7」及び「♯8」、ゴルフクラブCには「♯9」及び「PW」の各番手のゴルフクラブが対応する。一方、「1(3)」において示したとおり、「ク」の「式4」を充足するものは表1において実施例2のみであるところ、表1には、「SS-Xa」、「SS-Xb」及び「SS-Xc」のそれぞれについて、下記のものが記載されているといえる。SS-Xa 1.3mmSS-Xb 1.2mm、1.0mm、0.9mmSS-Xc 0.8mm、0.6mm以上からみて、発明の詳細な説明の【0086】の表1には、「SS-Xa」の値として+1.3mmをとること、「SS-Xb」の値の最小値が+0.9mmかつ最大値が+1.2mmであること、及び、「SS-Xc」の値の最小値が+0.6mmかつ最大値が+0.8mmであることが、記載されていると認められる。(4)そうすると、上記表1には、請求項4に係る発明に含まれる、「SS-Xa」の値が「+0.5mm以上+2.0mm以下」かつ「+1.3mm」以外の値のもの、「SS-Xb」の値が「0mm以上+0.9mm未満のもの」及び「+1.2mmより大きく+1.5mm以下」のもの、並びに、「SS-Xc」の値の最小値が「-0.5mm以上+0.6mm未満のもの」及び「+0.8mmより大きく+1.0mm以下」のものは記載されていないこととなる。(5)一方、上記(2)に示したとおり、「SS-Xa」、「SS-Xb」及び「SS-Xc」の値の範囲として、請求項4の「コ」~「シ」に係る構成に対応し「SS-Xa」、「SS-Xb」及び「SS-Xc」の数値として上記(4)の範囲を含むものが記載はされているものの、いずれも「重心距離B」との関係が規定されているものではないから、それぞれの値について上記(4)の範囲のものが記載されていること裏付けているとは認められない。また、発明の詳細な説明及び図面の他の箇所においても、上記(4)の範囲のものを示す記載も示唆もない。(6)したがって、請求項4及びこれを引用する請求項5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。」
第4 当審の判断
1 発明の詳細な説明の記載について
願書に添付した特許請求の範囲、明細書、又は図面(以下「明細書等」という。)の発明の詳細な説明には、以下のとおり記載されている。
「【技術分野】【0001】本発明は、ゴルフクラブセットに関する。【背景技術】続きを表示(全16行)【0002】特許4546681号は、ロフト角が大きくなるにつれて重心距離が小さくなるゴルフクラブセットを開示する。【先行技術文献】【特許文献】【0003】【特許文献1】特許第4546681号公報【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】本発明者が鋭意検討した結果、ゴルフクラブセットにおいて、重心距離に基づく重心設計には改良の余地があることが判明した。【0005】本発明の目的は、重心設計が改良されたゴルフクラブセットの提供にある。」
「【0066】ヘッド重心CG(スイートスポットSS)がフェースセンターFcに対しては高番手ほどトウ側の方向に移動すると同時に、ヘッド重心CGがシャフト軸線Zに対しては高番手ほどヒール側の方向に移動している、という構成が可能である。後述の実施例2が、この構成に該当する。」
「【実施例】【0079】以下、実施例によって本開示の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本開示が限定的に解釈されるべきではない。【0080】続きを表示(全27行)[実施例1]鋳造されたボディと鍛造されたフェース部材とを溶接で接合して、5番アイアンからピッチングウエッジまでの6種類のアイアン型ヘッドを得た。全番手とも、キャビティバックアイアンとされた。各ヘッドに、カーボンシャフト及びグリップを装着して、6本のクラブを備えたアイアンゴルフクラブセットを得た。この実施例1の仕様が、下記の表1に示される。【0081】[実施例2-4及び比較例1-3]SS-X及び重心距離Bが下記の表1に示される通りとされた他は実施例1と同じにして、ゴルフクラブセットを得た。なお、これらの重心設計は、実施例1のヘッドをベースとして、ヘッドの重量配分を変えることにより、達成された。各ヘッドには、ホーゼル孔の底面に、当該ホーゼル孔より内径の小さい小径孔を設けた。この小径孔の形成によって削減された重量を、ヘッドの各部に配分することで、重心位置が調整された。これらの実施例及び比較例の仕様が、下記の表1及び表2に示される。【0082】なお、シャフト、グリップ、クラブ長さ及びロフト角は、全ての実施例及び比較例において共通とされた。各番手のロフト角及びクラブ長さが、下記の表1に示される。【0083】評価方法は、以下の通りである。【0084】[ターゲットからのズレ距離]20名のテスターが、テストを行った。テスターのそれぞれが、自分が使用しているアイアンセットでの飛距離を基準として、ターゲットまでの距離を設定した。各テスターが5球ずつ打撃した。各打撃において、打球停止点(最終到達点)とターゲット地点との距離が計測された。この距離の平均値が、ターゲットからのズレ距離として、下記の表1及び表2に示される。【0085】[打感評価]20名のテスターが、テストを行った。各テスターが5球ずつ打撃し、スイートスポットで打撃した感覚の強さを1点から5点の5段階で評価した。点数が高いほど、スイートスポットで打撃した感覚が強く、高評価である。全テスターの平均点が、下記の表1及び表2に示される。【0086】【表1】[図:0001403948000002.jpg]【0087】【表2】[図:0001403948000003.jpg]【0088】表1及び表2に示されるように、実施例は、比較例に比べて評価が高い。この評価結果から、本開示の優位性は明らかである。」
2 拒絶理由1について
(1)上記第2のとおり、特許請求の範囲の【請求項1】には、「ゴルフクラブを3本以上備えたゴルフクラブセット」であって、「ヘッドの正面視において、フェースセンターを通りトウ-ヒール方向に平行な直線がX軸とされ、前記フェースセンターがこのX軸の原点とされ、前記スイートスポットのX座標がSS-Xとされ、前記X座標は前記フェースセンターのヒール側がプラス側とされ且つ前記フェースセンターのトウ側がマイナス側とされ、前記各ヘッドの前記SS-Xが、ロフト角の小さいヘッドから順にSS-X1、SS-X2、・・・、SS-Xn(nは3以上の整数)」としたとき、「SS-X1≧SS-X2≧・・・≧SS-Xn・・・(式1)」及び「SS-X1>SS-Xn・・・(式2)」を満たすと特定(以下(式1)及び(式2)を「スイートスポットのX座標の特定事項」という。)されている。
(2)また、上記第2のとおり、特許請求の範囲には、「ゴルフクラブを3本以上備えたゴルフクラブセット」であって、「ヘッドの正面視におけるシャフト軸線からヘッド重心までの距離を重心距離B」とし、「前記ヘッドにおいて、前記重心距離Bが、ロフト角の小さいヘッドから順にB1、B2、・・・、Bn(nは3以上の整数)」としたとき、「B1≧B2≧・・・≧Bn・・・(式4)」及び「B1>Bn・・・(式5)」を満たすと特定(以下(式4)及び(式5)を「重心距離Bの特定事項」という。)されている。
(3)ここで、上記重心距離Bの特定事項について、上記1で摘記した発明の詳細な説明の記載を見てみると、上記重心距離Bの特定事項を充足する実施例は、実施例2のみである。
(4)そこで、実施例2の上記スイートスポットのX座標の特定事項を見てみると、「♯5」の「1.3(mm)」が最大値で、「PW」の「0.6(mm」が最小値であって、スイートスポットのX座標(SS-X)について、特許請求の範囲で特定されている0mm以上+1.3mm以下のうち、0mm以上0.6mm未満の範囲の数値は記載されていない。
(5)念のために、【表1】に示された全データについてみると、「スイートスポットのX座標(SS-X)」が「0mm」であるのは、実施例4の「PW」で、「重心距離B」は「37.3mm」であるところ、「スイートスポットのX座標(SS-X)」が「1.3mm」であるのは、実施例2の「#5」で、「重心距離B」は「37.0mm」であり、実施例4の「#5」は、「重心距離B」が「36.1mm」であり、いずれも、上記「重心距離Bの特定事項」を充足しない。
(6)請求人は、令和5年5月31日に提出した意見書において、「重心距離Bについては、本願明細書の段落【0065】に、「後述の実施例で示されるように、SS-Xが式1及び式2を満たしていれば、重心距離Bが高番手ほど大きくなっても、逆に高番手ほど小さくなっても、良好な結果が得られることが分かった。」とあります通り、当該「ウ(当審注:(式4)」の規定は、打球結果の評価に影響しません。」と主張するが、特許請求の範囲の請求項1には、(式4)が特定されている以上、当該特定を無視することはできない。
(7)してみると、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではないから、上記拒絶理由1は依然として解消されていない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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