特許拒絶査定不服審判
2021-009998
ゴルフボール
- 審判番号
- 2021-009998
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-216769外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月27日
- 審決日
- 2023年09月13日
- 公報発行日
- 2023年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】住友ゴム工業株式会社
- 【請求人代理人】二口 治
- 分類
- P18 .121-WZ (A63B) / P18 .537-WZ (A63B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条6項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2016-216769「ゴルフボール」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月10日出願公開、特開2018- 68983〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成28年11月4日の出願であって、令和2年8月13日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月28日に面接(オンライン)を行い、同年12月16日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年4月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月27日付けで拒絶査定に対する不服審判請求がなされると同時に手続補正書が提出され、令和4年8月5日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月30日に面接(オンライン)を行い、同年10月7日に意見書及び手続補正書が提出され、令和5年1月31日付けで拒絶の理由が通知され(以下「当審拒絶理由通知」という。)、同年4月7日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和5年4月7日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、
前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3~8のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)不飽和脂肪酸および/またはその金属塩(炭素数が3~8のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩を除く)、(e1)飽和脂肪族カルボン酸および/またはその金属塩、および/または、(e2)芳香族カルボン酸および/またはその金属塩を含有するゴム組成物から形成されたものであり、
前記球状コアの直径は、38.8mm~40.8mmであり、
前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75と、中心硬度H0との硬度差D1(H75-H0)が、ショアC硬度で20.6以上、31.1以下であり、
球状コアの表面硬度(Hs)と前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75との硬度差D2(Hs-H75)が、ショアC硬度で-0.3以上、1.4以下であり、
(前記球状コアの中心硬度H0+球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75)/2と球状コアの中心から半径37.5%地点の硬度H37.5との硬度差D3((H0+H75)/2-H37.5)がショアC硬度で0.65以上、3.95以下であり、
前記球状コアの中心から半径50%地点の硬度H50と、中心硬度H0との硬度差D4(H50-H0)が、ショアC硬度で10.3以上、14.1以下であり、
前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75と、前記球状コアの中心から半径50%地点の硬度H50との硬度差D5(H75-H50)が、ショアC硬度で10.3以上、17.2以下であり、
前記硬度差の比(D2/D1)が、-0.01以上、0.05以下であることを特徴とするゴルフボール。」
第3 当審拒絶理由通知の概要
令和5年1月31日付けの当審拒絶理由通知の概要は以下のとおりである。
「1.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
記
・請求項1-19
・備考
1 請求項1及び請求項2における球状コアの直径について
請求項1及び請求項2には、球状コアの直径に関し、「球状コアの直径は、34.8mm~42.2mmであり」と記載されているが、【0115】に「前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、…42.2mm以下が好ましく」と記載されているものの、実施例には【0144】に「直径39.8mmの球状コアを得た」との記載があるのみで、上記請求項1及び請求項2におけるこれ以外の範囲の数値については、発明の詳細な説明に裏付けられているとはいえない。
なお、令和4年10月7日付け意見書において、「本願発明におけるコアの硬度分布に関する技術思想は、球状コアの半径の地点(半径%)で規定しているため、球状コアの直径によらずに、本願発明の効果を奏することができ」る旨主張する。
確かに本願発明におけるコアの硬度分布は、その半径における複数の地点の位置(半径%)と、当該地点間の硬度差及びその比という相対値によって定義されているものの、球状コアの直径が34.8mm~42.2mmの範囲で異なる値をとった場合に、上記複数の各地点の硬度が当該直径との相関を持ち硬度差やその比の値を維持するように変化することが明らかであるとはいえない。
してみると、上記「球状コアの半径の地点(半径%)で規定」することが、「球状コアの直径によらずに、本願発明の効果を奏することができ」ることを示すに足るものであるとはいえない。
したがって、請求項1及び請求項2とこれを引用する請求項3-19の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものではない。」
第4 当審の判断
1 本願発明の課題について
願書に添付した明細書等(以下「明細書等」という。)に、
「【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行性能に優れたゴルフボールに関するものであり、より詳細には、ゴルフボールのコアの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライバーショットのゴルフボールの飛距離を伸ばす方法として、例えば、反発性の高いコアを用いる方法と、コアの中心から表面に向かって、硬度が高くなる硬度分布を有するコアを用いる方法がある。前者は、ゴルフボールの初速を高める効果があり、後者は、打出角を高くして、低スピンにする効果がある。高打出角および低スピンのゴルフボールは、飛距離が大きくなる。
【0003】
ゴルフボールの飛距離を大きくするために、コアの硬度分布に着目した様々な開発が行われている。例えば、特許文献1には、コアの中心点からの距離が5mmである点のJIS-C硬度H(5.0)と、中心点におけるJIS-C硬度Hoとの差が、6.0以上であり、中心点からの距離が12.5mmである点のJIS-C硬度H(12.5)と硬度H(5.0)との差が、4.0以下であり、コアの表面のJIS-C硬度Hsと、硬度H(12.5)と差が、10.0以上であり、硬度Hsと硬度Hoとの差が、22.0以上であり、中心点から表面に向かって硬度が低下するゾーンが存在しないゴルフボールが開示されている。
【0004】
特許文献2には、コアと、少なくとも1層のカバーとを具備するゴルフボールであって、コアの断面硬度において、コアの表面から中心に向かって14mm内側の位置のJIS-C硬度を(H-14)、コアの表面から中心に向かって8mm内側の位置のJIS-C硬度を(H-8)、コアの表面から中心に向かって6mm内側の位置のJIS-C硬度を(H-6)、及びコアの表面から中心に向かって4mm内側の位置のJIS-C硬度を(H-4)とする場合、(1)H-14<70、(2)H-8<72、(3)H-6<75、及び、(4)H-4-H-8>8を満足するゴルフボールが記載されている。
【0005】
特許文献3には、コアと、少なくとも1層のカバーとを具備するゴルフボールであって、コアの断面硬度において、コアの半径をR(mm)、コア中心のJIS-C硬度をA、コア中心からR/3mm離れた位置のJIS-C硬度をB、コア中心からR/1.8mm離れた位置のJIS-C硬度をC、コア中心からR/1.3mm離れた位置のJIS-C硬度をDとすると共に、コア表面のJIS-C硬度をEとする場合、(1)D-C≧7、(2)C-B≦7、(3)(D-C)-(C-B)≧7、(4)E-A≧16を満足するゴルフボールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-217857号公報
【特許文献2】特開2013-230365号公報
【特許文献3】特開2015-77405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、飛行性能に優れたゴルフボールを提供することを課題とする。」
と記載されていることからすると、ゴルフボールのコアを改良することによって飛行性能に優れたゴルフボール、特に、飛距離が伸びるゴルフボールを実現することが、本願発明の課題と認める。
2 本願発明の課題を解決するための手段について
明細書等を見ると、上記課題に対して、明細書等には、
「【0144】
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表1~表7に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で150℃、20分間加熱プレスすることにより直径39.8mmの球状コアを得た。なお、なお、硫酸バリウムは、得られるゴルフボールの質量が、45.4gとなるように適量加えた。
【0145】
【表1】
[図:0001403936000001.jpg]
【0146】
【表2】
[図:0001403936000002.jpg]
【0147】
【表3】
[図:0001403936000003.jpg]
【0148】
【表4】
[図:0001403936000004.jpg]
【0149】
【表5】
[図:0001403936000005.jpg]
【0150】
【表6】
[図:0001403936000006.jpg]
【0151】
【表7】
[図:0001403936000007.jpg]
【0152】
表1~表7で用いた材料は下記の通りである。
BR730:JSR社製ハイシスポリブタジエンゴム(シス-1,4-結合含有量=95質量%、1,2-ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)
ZN-DA90S:日触テクノファインケミカル社製アクリル酸亜鉛(ステアリン酸亜鉛を10質量%含有)
ジクミルパーオキサイド:東京化成工業社製
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
PBDS:川口化学工業社製ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
オレイン酸:東京化成工業社製(不飽和脂肪酸、C18、(9)、式(2)中、R11が8、R12が7、R11の炭素数/R12の炭素数=1.1)
デカン酸:東京化成工業社製(純度98%以上)
ミリスチン酸:東京化成工業社製(純度98%以上)
ステアリン酸:東京化成工業社製(純度98%以上)
オクタン酸亜鉛:三津和化学薬品社製
デカン酸亜鉛:三津和化学薬品社製
ミリスチン酸亜鉛:日油社製(純度90%以上)
ステアリン酸亜鉛:和光純薬社製(純度99%以上)
安息香酸:東京化成工業社製(純度98%以上)
ジメチルアミノ安息香酸:東京化成工業社製、4-ジメチルアミノ安息香酸(純度98%以上)
アニス酸:東京化成工業社製、p-アニス酸(4-メトキシ安息香酸、純度99%以上)
クロロ安息香酸:東京化成工業社製、4-クロロ安息香酸(純度99%以上)
アセトキシ安息香酸:東京化成工業社製、4-アセトキシ安息香酸(純度98%以上)
2,4-ジメトキシ安息香酸:東京化成工業社製(純度99.0%以上)
2,4,5-トリメトキシ安息香酸:東京化成工業社製(純度98.0%以上)
2,4,6-トリクロロ安息香酸:東京化成工業社製(純度98.0%以上)
4-tert-ブチル安息香酸:東京化成工業社製(純度99.0%以上)
【0153】
(2)カバーの作製およびゴルフボールの作製
表8に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。カバー用組成物の押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160~230℃に加熱された。得られたカバー用組成物を上述のようにして得られた球状コア上に射出成形して、球状コアと前記コアを被覆するカバーを有するゴルフボールを作製した。得られたゴルフボールについて評価した結果を、表1~表7に併せて示した。
【0154】
【表8】
[図:0001403936000008.jpg]
【0155】
表8で用いた材料は以下の通りである。
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製のナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井デュポンポリケミカル社製の亜鉛イオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
酸化チタン:石原産業社製A220
【0156】
表1~表7に示すように球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75と、中心硬度H0との硬度差D1(H75-H0)が、ショアC硬度で15以上、35以下であり、球状コアの表面硬度(Hs)と前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75との硬度差D2(Hs-H75)が、ショアC硬度で-1以上、3.5以下であり、(前記球状コアの中心硬度H0+球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75)/2と球状コアの中心から半径37.5%地点の硬度H37.5との硬度差D3((H0+H75)/2-H37.5)がショアC硬度で0.5以上6.5以下であるゴルフボールは、いずれも球状コアの反発性が高く、飛行性能に優れる。」
と記載されており、
「球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層のカバーとを有するゴルフボール」であって、
「球状コアの直径が39.8mm」であり、
「前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3~8のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、(d)不飽和脂肪酸および/またはその金属塩(炭素数が3~8のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩を除く)、(e1)飽和脂肪族カルボン酸および/またはその金属塩、および/または、(e2)芳香族カルボン酸および/またはその金属塩を含有するゴム組成物から形成されたものであり、
前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75と、中心硬度H0との硬度差D1(H75-H0)が、ショアC硬度で20.6以上、31.1以下であり、
球状コアの表面硬度(Hs)と前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75との硬度差D2(Hs-H75)が、ショアC硬度で-0.3以上、1.4以下であり、
(前記球状コアの中心硬度H0+球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75)/2と球状コアの中心から半径37.5%地点の硬度H37.5との硬度差D3((H0+H75)/2-H37.5)がショアC硬度で0.65以上、3.95以下であり、
前記球状コアの中心から半径50%地点の硬度H50と、中心硬度H0との硬度差D4(H50-H0)が、ショアC硬度で10.3以上、14.1以下であり、
前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75と、前記球状コアの中心から半径50%地点の硬度H50との硬度差D5(H75-H50)が、ショアC硬度で10.3以上、17.2以下であり、
前記硬度差の比(D2/D1)が、-0.01以上、0.05以下であること」
により、ゴルフボールNo.1と比較して飛距離が伸びることが理解でき、上記本願発明の課題を解決し得ることが理解できる。
3 しかし、本件の実施例の硬度分布が中心から表面まで線形的に変化するものではないところ、球状コアの直径が38.8mm~40.8mmの範囲で39.8mmとは異なる値をとった場合、本願の実施例で用いる硬度計は、スプリング式硬度計ショアC型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型であって、コアを半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から所定の距離において硬度を測定するものであるから(【0139】参照。)、中心から半径某%地点での硬度は、球状コアの直径が変われば、当然異なる数値を示すことは明らかである。
してみると、少なくとも、球状コアの中心から半径50%地点の硬度H50、球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75、及び球状コアの表面硬度Hsは、球状コアの直径に応じて変化するのであるから、これらの硬度を用いて算出した中心硬度H0との硬度差D1(H75-H0)、球状コアの表面硬度(Hs)と前記球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75との硬度差D2(Hs-H75)、(前記球状コアの中心硬度H0+球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75)/2と球状コアの中心から半径37.5%地点の硬度H37.5との硬度差D3((H0+H75)/2-H37.5)、及び前記球状コアの中心から半径50%地点の硬度H50と、中心硬度H0との硬度差D4(H50-H0)も、当然のことながら、球状コアの直径が38.8mm~40.8mmの範囲で異なる値をとった場合に、本願発明の課題を解決するように球状コアの反発係数を高くしつつ、上記複数の各地点の硬度が、当該直径との相関を持ち、硬度差やその比の値を維持するように変化することが明らかであるとはいえない。
4 そして、本件明細書において、球状コアの直径が38.8mm~40.8mmの範囲で39.8mmとは異なる値をとった場合に、少なくとも、球状コアの中心から半径50%地点の硬度H50、球状コアの中心から半径75%地点の硬度H75、及び球状コアの表面硬度Hsの数値が示されていない以上、硬度差D1(H75-H0)、硬度差D2(Hs-H75)、硬度差D3((H0+H75)/2-H37.5)、硬度差D4(H50-H0)、及び硬度差D5(H75-H50)が、上記第2で記載された特許請求の範囲の数値範囲に包含されるのか、否かは不明である。
5 また、段落【0115】には、「前記球状コアの直径は、…さらに好ましくは38.8mm以上であり、…最も好ましくは40.8mm以下である。」と記載され、「前記球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。」と記載され、球状コアの直径の大きさとカバーの厚さとの関係からカバーの機能が記載されているだけであって、球状コアの硬度分布はもとより、飛距離への寄与については何ら記載されていない。
6 してみると、本願の請求項1に係る発明において、球状コアの直径が38.8mm~40.8mmの範囲で39.8mmとは異なる値をとった場合に、上記第4 1の本願発明の課題を解決できると認識できるものとはいえない。
7 請求人は、令和5年4月7日に提出された意見書の「3.特許法第36条第6項第1号(サポート要件)の規定について」において、「本願明細書の段落0144には、直径が39.8mmの球状コアを作製したことが記載され、表1~表4には、直径が39.8mmの球状コアを使用した実施例のゴルフボールが開示されています。本願請求項1、2では、球状コアの直径を38.8mm~40.8mm、すなわち、実施例である球状コアの直径39.8mmに対して士1mmの範囲としています。この範囲は、実施例である直径39.8mmに十分近く、また、ゴルフボールの製造上の許容誤差として認められる範囲であると考えます。さらに、本願発明を、この数値範囲まで拡張した場合に、本願発明の効果が得られず、本願発明の課題が解決できないことは、明細書から示唆されていませんし、当業者の技術常識からも明らかではないと考えます。」と、主張する。
8 しかし、当初明細書等において、直径39.8mmに対して士1mmの範囲が製造上の許容誤差、いわゆる公差と呼べるものであるのかについては、何ら記載されていないし、上記意見書においても何ら立証していない。
9 そして、上記3のとおり、球状コアの直径に応じて、特許請求の範囲の請求項1で特定される各硬度及び硬度差が異なる値を示すことは明らかであるのだから、請求人の上記主張は採用できない。
10 上記のとおり、請求項1に係る発明では、本願発明の課題を解決する範囲を超えて請求するものであり、また、発明の詳細な説明に記載された実施例から本願発明の範囲まで一般化できるものではないから、本願発明は、上記本願発明の解決しようとする課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない。
よって、本願発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものではない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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