2021-009940
電子機器
- 審判番号
- 2021-009940
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-557680外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月27日
- 審決日
- 2022年05月31日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】パナソニックIPマネジメント株式会社
- 【請求人代理人】鎌田 健司
- 【請求人代理人】野村 幸一
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 20項目
第1 手続の経緯
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本願は、2016年(平成28年)10月11日(優先権主張 平成27年12月25日)を国際出願日とする出願であって、平成29年9月20日に手続補正がなされ、令和元年9月9日に手続補正がなされ、令和2年9月24日付けで拒絶理由が通知され、令和2年11月26日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和3年4月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和3年7月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、令和4年2月15日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和4年4月13日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成3年4月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献A-Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開平07-72961号公報
B.特開2013-254408号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
理由1(明確性) この出願は、特許請求の範囲の請求項1-6の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
理由2(サポート要件) この出願は、特許請求の範囲の請求項1-6の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3(進歩性) 本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2013-254408号公報(拒絶査定時の引用文献B)
2.特開平07-72961号公報(拒絶査定時の引用文献A)
3.国際公開第2012/029626号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、令和4年4月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】第1の負荷を収容する第1の筐体と、第2の負荷及び充電可能なバッテリを収容する第2の筐体と、前記第1の筐体と連結するとともに、前記第2の筐体を前記第1の筐体に対して回転軸により回動可能にする複数のヒンジ部と、前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷及び前記バッテリへ電力を供給する第1の電源配線と、前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線と、を備え、前記第1の電源配線と前記第2の電源配線は、前記複数のヒンジ部のうちのいずれか1つの、同一のヒンジ部内を通過するよう配置された、電子機器。」
なお、本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。
第3 各引用文献及び引用発明
1 引用文献1
令和4年2月15日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
(1) 段落【0024】-【0026】
「【0024】図1は、ハイブリッド型PC100の外形を示す斜視図である。ハイブリッド型PC100は、相互に物理的な分離および結合が可能な筐体で形成されたタブレット・ユニット120とベース・ユニット110で構成されている。図1(A)は、タブレット・ユニット120とベース・ユニット110が結合して構成するタブレット型PC100を示し、図1(B)は分離したときのベース・ユニット110を示し、図1(C)は分離したときのタブレット・ユニット120を示す。以後適宜、図1(A)の状態を結合状態といい、図1(B)、(C)の状態を分離状態ということにする。【0025】タブレット・ユニット120は、筐体の表面にディスプレイとタッチ・センサで構成されたタッチスクリーン105を備え、筐体の内部には分離状態でタブレット端末として機能するシステム・デバイスを搭載する。ベース・ユニット110は、ヒンジ111で相互に結合されたシステム筐体101と支持部材103で構成されている。タブレット・ユニット120はイジェクト・スイッチ113を操作してユーザが支持部材103に対して着脱することができる。【0026】システム筐体101は上面に入力デバイスとなるキーボード107およびタッチパッド109、図示しないUSB、外部ディスプレイおよびイーサネット(登録商標)などの外部コネクタ、AC/DCアダプタを接続する電源ジャックが設けられている。システム筐体101の表面に取り付けられているこれらのデバイスを表面デバイスということにする。システム筐体101は内部にシステム・デバイスを搭載する。」
(2) 段落【0038】
「【0038】コネクタ175は、同一の規格の複数の端子で構成されている。端子には信号ライン179が接続される複数の信号端子および電力ライン177が接続される複数の電力端子が割り当てられている。電力端子は電流容量の不足を補うために一例として、電力ライン177の最大電流が3Aのときに、端子1個の定格容量を1Aとし安全のために実際に流す電流を50%まで低減すると、2本の電力ライン177に対する端子の数が2本×(3A/0.5A)で12個となる。」
(3) 段落【0046】
「【0046】MPU259は、AC/DCアダプタ252で電池ユニット265を充電する際にFET271をオフにする。MPU259は、結合状態のときに電池ユニット165からシステム・デバイス261に電力を供給する際に、FET267、269をオフにして電池間の循環電流を抑制する。コネクタ275はコネクタ175に対応する複数の電力端子と信号端子を備え、結合状態でコネクタ175に接続される。コネクタ175、275に設けることができる端子の数は、タブレット・ユニット120の物理的な大きさにより制約を受ける。信号ライン179、279の信号線の数が増えるとコネクタ175、275の端子が不足してくる場合があり、システム・デバイス261の構成に影響を与える。」
(4) 段落【0060】-【0064】
「【0060】つぎに、AC/DCアダプタ252が接続されていないときの動作を説明する。図6は、結合状態における電池ユニット265からの給電経路を説明する図で、図7は、結合状態における電池ユニット165からの給電経路を説明する図で、図8は、結合状態においてAC/DCアダプタ252が接続されないときのベース・ユニット110とタブレット・ユニット120の動作を説明するフローチャートである。【0061】ブロック603でMPU159はコネクタ175の電力端子に電圧が印加されたことを検出するとFET173をオンにする。さらに、MPU159は、MPU259と通信してAC/DCアダプタ252が接続されていないことを確認する。MPU159は、コネクタ175の電力端子に、電池ユニット265が電圧を印加していると判断すると、FET167、169をオフにする。【0062】ここで、結合状態でかつAC/DCアダプタ252が接続されていないときの給電方法について説明する。この場合タブレット型PC100に対する電力源は電池ユニット165、265だけになる。分離状態でのタブレット・ユニット120のアベイラビリティを高めるためには分離するときに電池ユニット165にできるだけ多くの電気量を蓄積しておくことが望ましい。したがって、MPU159、259は最初に電池ユニット265を放電し、つづいて電池ユニット165を放電するようにFETおよび充電器を制御する。そして、必要に応じて電池ユニット265の電力で電池ユニット165を充電する。【0063】ブロック605では、電池ユニット265の出力電圧がハイバネーション電圧に到達するまで、電池ユニット265がシステム・デバイス161、261に図6の電力経路401、403で電力を供給する。ブロック607でMPU159は、電池ユニット165から充電要求がある場合に充電器163に充電パラメータを設定し、FET167、169をオンにし、FET171をオフにして充電する。このとき図6の電力経路405で電池ユニット265が電池ユニット165に充電電力を供給する。充電が終了するとMPU159は、FET167、169をオンにする。【0064】ブロック609で、MPU259は電池ユニット265の出力電圧を監視して、残容量があるか否かを判断する。残容量がないと判断したときは、ブロック611でFET267、269をオフにして電池ユニット265の放電を停止する。ブロック613でMPU159は電力ライン177の電圧を検出してベース・ユニット110からの電力供給が停止したことを検出するとFET171をオンにする。電池ユニット165は図7の電力経路411、413でシステム・デバイス161、261に電力を供給する。FET269がオフになってからFET171がオンになるまでの間は、FET171のボディ・ダイオードで電力を供給するため、システム・デバイス161、261に対する電圧低下は許容値以内に収まる。」
(5) 図1、図6-図8
「【図1】[図:0001388026000001.jpg]【図6】[図:0001388026000002.jpg]【図7】[図:0001388026000003.jpg]【図8】[図:0001388026000004.jpg]」
2 引用発明
したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ハイブリッド型PC100は、相互に物理的な分離および結合が可能な筐体で形成されたタブレット・ユニット120とベース・ユニット110で構成され、タブレット・ユニット120は、筐体の表面にディスプレイとタッチ・センサで構成されたタッチスクリーン105を備え、筐体の内部には分離状態でタブレット端末として機能するシステム・デバイスを搭載し、ベース・ユニット110は、ヒンジ111で相互に結合されたシステム筐体101と支持部材103で構成され、タブレット・ユニット120はイジェクト・スイッチ113を操作してユーザが支持部材103に対して着脱することができ、システム筐体101は上面に入力デバイスとなるキーボード107およびタッチパッド109が設けられ、システム筐体101は内部にシステム・デバイスを搭載し、続きを表示(全11行)コネクタ175は、同一の規格の複数の端子で構成され、端子には信号ライン179が接続される複数の信号端子および電力ライン177が接続される複数の電力端子が割り当てられ、コネクタ275はコネクタ175に対応する複数の電力端子と信号端子を備え、結合状態でコネクタ175に接続され、分離状態でのタブレット・ユニット120のアベイラビリティを高めるためには分離するときに電池ユニット165にできるだけ多くの電気量を蓄積しておくことが望ましく、したがって、MPU159、259は最初に電池ユニット265を放電し、つづいて電池ユニット165を放電するようにFETおよび充電器を制御し、ブロック605では、電池ユニット265の出力電圧がハイバネーション電圧に到達するまで、電池ユニット265がシステム・デバイス161、261に電力経路401、403で電力を供給し、ブロック609で、MPU259は電池ユニット265の出力電圧を監視して、残容量があるか否かを判断し、残容量がないと判断したときは、ブロック611でFET267、269をオフにして電池ユニット265の放電を停止し、ブロック613で、電池ユニット165は電力経路411、413でシステム・デバイス161、261に電力を供給する、ハイブリッド型PC100。」
3 引用文献2について
令和4年2月15日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面と共に、下記の記載がある。
(1) 段落【0015】-【0017】
「【0015】【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。(第1の実施例)図1は、情報処理装置本体の第1の実施例を示す斜視図である。図1に示すように、情報処理装置本体1は、前面に設けられた表示部として前方フレーム部2に構成された矩形の窓部に表示するようにバックライト付液晶ディスプレイ3を備え、その後方部位には座標入力手段の位置検出用としてコードレス電磁誘導(授受)方式(電子)ペンの位置検出デジタイザ4が配置されている。・・・(中略)・・・【0017】デジタイザ4の後方部位には、デジタイザ4の信号を計算し、座標を求めたり、入力された情報を所定演算処理するCPUやデータを格納するメモリ等からなる情報処理基板6、さらに、入力されたデータ、処理されたデータを記憶するための2.5インチハードディスクドライブ7等が備えられている。そして、前方フレーム2と後方フレーム8との間に上記の各部品を駆動するためのバッテリー(不図示)を保持されている。」
(2) 段落【0024】-【0025】前半部
「【0024】(第2の実施例)図5は、本発明に基づくキーボード部の第2の実施例を示す斜視図である。また、図6は、図5に示すキーボード部に情報処理装置本体が接続した状態を示す斜視図である。キーボード部22の後方には、情報処理装置本体1を保持する保持ユニット23がキーボード筺体に対して回動自在に設けられている。従って、図6に示すように、左側の回動軸24には情報処理装置本体1を保持した状態で、キーボード面14に対して表示面が垂直な位置から約45度まで傾けてもその姿勢を維持できるように図5に示すように、回転抑止力を発生せしめるトルクユニット25が配置してある。トルクユニット25はキーボード筺体側の回動軸26の外周部と、保持ユニット23側の回動軸27の外周部との間にねじりコイルバネ28を巻着し、回転によって生じる摩擦力によってねじりコイルバネ28の内周径がさらに締まり大きなトルクを発生する周知の技術を用いている。【0025】一方、右側の回動軸29内には電源(GND並びに3.3V)とキーボード信号のハーネス30が通っている。この保持ユニット23の構造によれば、天井の照明等の反射、あるいはユーザの視線の角度に対して最適な視野角度を設定することができる。」
(3) 【図5】
「[図:0001388026000005.jpg]」
(4) 段落【0025】後半部-【0028】
「(第3の実施例)図7は、本発明に基づくキーボード部の第3の実施例を示す斜視図である。図8は、図7に示すキーボード部に情報処理装置本体を接続し、その表示部を立てた状態を示す斜視図である。図9は、表示部を閉じて、キーボード部と情報処理装置本体とをホルダによって係止した状態を示す斜視図である。各図において、キーボード部31の後方には一般的なノートブック型パソコンに内蔵されていると同様の3.5インチフロッピーディスクドライブ32と、図9に示すようにバッテリー33が配置されている。また、中央部にはキーボード部31に対して情報処理装置本体1を固定するホルダ34を回動自在に保持するヒンジ部が構成されている。右側には第2の実施例において説明したようなトルクユニット25に相当するものが、また左側には中空の回動軸が設けてあり、表示部の裏面がキーボード部に対して45度から直立する程度まで、自由な角度で停止できる。また、左側の回動軸の中空部には、キーボード入力信号のフロッピーディスクドライブ32への信号線、あるいは電源等のハーネスが通してあって、ホルダ34の左側に設けたコネクタ35に接続されている。さらに、キーボード部31のヒンジ部とキーボード面との間の部位には入力ペン収納部36が形成されている。・・・(中略)・・・【0027】ホルダ34の右側の切り欠き43は、情報処理装置本体1の挿抜の際の手がかりのためのものであり、図9のように上方に伸びたラッチ44は、図7と図8に示すように、ホルダ34を回転させ、キーボード面を覆う位置でキーボード前方の凹み45に引っ掛けることにより係止せしめるものである。情報処理装置本体1の内部構造は、ほとんど第1の実施例と同じであるが、キーボード部と接続するためのコネクタ(不図示)は、ホルダ34側のコネクタ35に合致するように本体左側面に配置してあり、キーボードや電源ピンの他に上述のフロッピーディスクドライブの信号線も有している。また、右側には、図8に示すごとくICカードコネクタ46を有しており、情報処理装置本体1のみでも外出先等で様々なアプリケーションソフトウェアを利用したり、メモリ空間を増やして複雑な処理を速く実行したり、利便性をさらに向上させることができる。【0028】情報処理装置本体1をホルダ34にセットした情報処理システムは、フロッピーディスク,ハードディスク,ICカードコネクタ,ペン入力と様々な機能を有したノートブックパソコンと化すことができる。そして、入力ペン5を入力ペン収納部36に置いて、ホルダ34を閉じれば、ノートブックパソコンの形態のまま外へ持ち出すことも容易である。ノートブックタイプの状態で使用する場合には、キーボード31の後方のバッテリー33を優先的に用いる様に回路が構成され、また、不図示のACアダプタを接続すると電源OFF時にはバッテリー33と情報処理装置本体1内のバッテリーとの双方を充電可能である。」
(5) 【図9】
「[図:0001388026000006.jpg]」
4 引用文献3について
令和4年2月15日付けの当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面と共に、下記の記載がある。
(1) 段落[0020]
「図4を参照すると、ヒンジ部15、16は、軸方向においてディスプレイ11、12の外側に配置されている。図4では、ディスプレイ11、12の左側にヒンジ部16が配置され、ヒンジ部15、16とディスプレイ11、1が縦方向で重ならないようにしてある。」
(2) [図4]
「[図:0001388026000007.jpg]」
(3) 段落[0025]-[0028]
「[0025] 図5は、ヒンジ部16の周辺の概略構成を示す図である。[0026] 図5を参照すると、ヒンジ部16には、2つの回転軸22、23を連動して回転させるヒンジ機構21と、筐体13、14間の配線26を通す配線スペース27とがある。この構成によりフラットケーブルを用いなくても、筐体13、14の厚さを増すことなく筐体13、14間に配線26を渡すことができる。[0027] フラットケーブルを用いると、筐体13と筐体14との間の隙間にてケーブルが露出して破損の原因となったり、別途カバーで保護する必要が生じたりする。それに対して、本実施形態では、ヒンジ部16の配線スペース27にケーブルを通しているので、ケーブルが露出せず、安全である。[0028] ヒンジ部16を通る配線26は、複数の信号線を束ねた多芯シールドケーブルである。多芯のシールドケーブルを用いることで、信号線のノイズ耐性が高められている。」
(4) [図5]
「[図:0001388026000008.jpg]」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「タブレット・ユニット120」は、本願発明1の「第1の筐体」に相当する。
引用発明の「タブレット・ユニット120」に搭載される「システム・デバイス」や「電池ユニット165」等は、本願発明1の「第1の負荷」に相当する。
よって、引用発明の「筐体の内部には分離状態でタブレット端末として機能するシステム・デバイスを搭載し」ている「タブレット・ユニット120」は、本願発明1の「第1の負荷を収容する第1の筐体」に相当する。
イ 引用発明の「ベース・ユニット110」は、本願発明1の「第2の筐体」に相当する。
引用発明の「ベース・ユニット110」に搭載される「システム・デバイス」及び「電池ユニット265」等は、本願発明1の「第2の負荷及び充電可能なバッテリ」に相当する。
よって、引用発明の「システム筐体101は内部にシステム・デバイスを搭載し」ている「ベース・ユニット110」は、本願発明1の「第2の回路を収容する第2の筐体」に相当する。
ウ 引用発明の「ヒンジ111」は、本願発明1の「複数のヒンジ部」と、少なくとも、「ヒンジ部」である点で共通するといえる。
また、「ヒンジ111」が、「回転軸」を備えて、2つの部材を「回動可能にする」機能を備えることは、自明である。
よって、引用発明の「ベース・ユニット110は、ヒンジ111で相互に結合されたシステム筐体101と支持部材103で構成され、タブレット・ユニット120はイジェクト・スイッチ113を操作してユーザが支持部材103に対して着脱することができ」ることは、本願発明1の「前記第1の筐体と連結するとともに、前記第2の筐体を前記第1の筐体に対して回転軸により回動可能にする複数のヒンジ部」と、「前記第1の筐体と連結するとともに、前記第2の筐体を前記第1の筐体に対して回転軸により回動可能にする、ヒンジ部」である点で共通するといえる。
エ 引用発明の「電力経路413」(図7を参照)は、「ブロック613で、電池ユニット165は電力経路411、413でシステム・デバイス161、261に電力を供給する」から、本願発明1の「前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷及び前記バッテリへ電力を供給する第1の電源配線」と、「前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷へ電力を供給する第1の電源配線」である点で共通するといえる。
オ 引用発明の「電力経路403」(図6を参照)は、「ブロック605では、電池ユニット265の出力電圧がハイバネーション電圧に到達するまで、電池ユニット265がシステム・デバイス161、261に電力経路401、403で電力を供給し」ているから、本願発明1の「前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線」と、「前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線」である点で共通するといえる。
カ 引用発明の「ハイブリッド型PC100」は、本願発明1の「電子機器」に相当する。
キ よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。
[一致点]
「第1の負荷を収容する第1の筐体と、第2の負荷及び充電可能なバッテリを収容する第2の筐体と、前記第1の筐体と連結するとともに、前記第2の筐体を前記第1の筐体に対して回転軸により回動可能にする、ヒンジ部と、前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷へ電力を供給する第1の電源配線と、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線と、を備えた、電子機器。」
[相違点1]
本願発明1では、「前記第1の筐体と連結するとともに、前記第2の筐体を前記第1の筐体に対して回動可能にする複数のヒンジ部」を備えるのに対して、引用発明の「ヒンジ111」は、「複数のヒンジ部」で構成されることが特定されていない点。
[相違点2]
本願発明1では、「前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷及び前記バッテリへ電力を供給する第1の電源配線」を備えるのに対して、引用発明の「電力経路413」(図7を参照)は、「バッテリ」へ電力を供給することが特定されていない点。
[相違点3]
本願発明1では、「前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線」を備えるのに対して、引用発明の「電力経路403」(図6を参照)は、「前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し」ていない点。
[相違点4]
本願発明1では、「前記第1の電源配線と前記第2の電源配線は、前記複数のヒンジ部のうちのいずれか1つの、同一のヒンジ部内を通過するよう配置され」るのに対して、引用発明では、電源配線が、「前記複数のヒンジ部のうちのいずれか1つの、同一のヒンジ部内を通過するように配置され」ることが特定されていない点。
(2) 当審の判断
事案に鑑みて、「電源配線」について相互に関連する、上記[相違点2]-[相違点4]について、まとめて先に検討すると、上記[相違点2]-[相違点4]に係る、本願発明1の「前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷及び前記バッテリへ電力を供給する第1の電源配線と、
前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線と、を備え、
前記第1の電源配線と前記第2の電源配線は、前記複数のヒンジ部のうちのいずれか1つの、同一のヒンジ部内を通過するよう配置された」という構成は、上記引用文献1-3には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
引用文献2、引用文献3には、ヒンジの構成として、「複数のヒンジ部」を備えて、その一つに配線を通す周知技術は開示されているが、上記[相違点2]-[相違点4]に係る構成は、開示されていない
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、上記引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
2 請求項2-6について
本願発明2-6も、本願発明1の上記[相違点2]-[相違点4]に係る、本願発明1の「前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷及び前記バッテリへ電力を供給する第1の電源配線と、
前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線と、を備え、
前記第1の電源配線と前記第2の電源配線は、前記複数のヒンジ部のうちのいずれか1つの、同一のヒンジ部内を通過するよう配置された」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、上記引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第5 原査定についての判断
本件補正により補正された請求項1-6は、それぞれ、本願発明1の上記[相違点2]-[相違点4]に係る、本願発明1の「前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷及び前記バッテリへ電力を供給する第1の電源配線と、
前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線と、を備え、
前記第1の電源配線と前記第2の電源配線は、前記複数のヒンジ部のうちのいずれか1つの、同一のヒンジ部内を通過するよう配置された」という技術的事項を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-6は、当業者であっても、上記引用文献A-Bに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由の理由1(明確性)、理由2(サポート要件)についての判断
1 理由1(明確性)について
当審では、請求項1-6において、
(1)「複数のヒンジ部」とは、具体的には何であるのかが不明確であり、
(2)第1、第2の電源配線による電源供給が、どのように行われるのかが不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが、本件補正により、本件補正後の請求項1-6に係る発明は、
(1)「前記第1の筐体と連結するとともに、前記第2の筐体を前記第1の筐体に対して回転軸により回動可能にする複数のヒンジ部」を備えており、
(2)「前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷及び前記バッテリへ電力を供給する第1の電源配線と、前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線と、を備え、前記第1の電源配線と前記第2の電源配線は、前記複数のヒンジ部のうちのいずれか1つの、同一のヒンジ部内を通過するよう配置された」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
2 理由2(サポート要件)について
当審では、請求項1-6において、第1、第2の電源配線を用いた、あらゆる電源供給の態様が含まれると解される点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨の拒絶の理由を通知しているが、本件補正により、本件補正後の請求項1-6に係る発明は、「前記第1の筐体から前記第2の筐体へ電源供給の電流を入れ、前記第2の負荷及び前記バッテリへ電力を供給する第1の電源配線と、
前記第2の筐体から前記第1の筐体へ前記電流を戻し、前記第1の負荷へ電力を供給する第2の電源配線と、を備え、
前記第1の電源配線と前記第2の電源配線は、前記複数のヒンジ部のうちのいずれか1つの、同一のヒンジ部内を通過するよう配置された」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-009940