特許拒絶査定不服審判
2021-009741
切替可能撮像装置レンズカバー
- 審判番号
- 2021-009741
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-500032
- 請求日
- 2021年07月21日
- 審決日
- 2022年05月09日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジェンテックス コーポレイション
- 【請求人代理人】田中 伸一郎
- 【請求人代理人】須田 洋之
- 【請求人代理人】倉澤 伊知郎
- 【請求人代理人】山本 泰史
- 【請求人代理人】鈴木 博子
- 【請求人代理人】藤木 尚
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬川 勝久
- 審判官 野村 伸雄
- 審判官 松川 直樹
- 分類
- P18 .113-Z (G03B) / P18 .121-Z (G03B) / P18 .575-Z (G03B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-500032「切替可能撮像装置レンズカバー」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日国際公開、WO2018/183517、令和 2年 5月21日国内公表、特表2020-514845〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)3月28日(パリ条約による優先権主張 2017年3月30日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 2年 9月29日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 2月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 3月31日付け:拒絶査定(原査定)
令和 3年 7月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和3年7月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年7月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項14の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項14】
車両用撮像装置レンズカバーであって、
撮像装置レンズに近接して配置されたカバーであって、前記カバーは撮像装置が前記カバーを通して画像データを捕捉するように構成され、前記カバーは、電気光学セルの表面上において前記撮像装置用の開口部を画定するマスキング層を有する前記電気光学セルを含み、前記カバーが、
前記撮像装置が前記カバーを通して概して目に見える第一の状態と、
前記撮像装置が前記カバーによって視界から概して隠される第二の状態と、の間で動作可能である、前記カバーを備える、車両用撮像装置レンズカバー。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和3年2月5日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項16の記載は次のとおりである。
「【請求項16】
車両用撮像装置レンズカバーであって、
撮像装置レンズに近接して配置されたカバーであって、前記カバーは撮像装置が前記カバーを通して画像データを捕捉するように構成され、前記カバーが、
前記撮像装置が前記カバーを通して概して目に見える第一の状態と、
前記撮像装置が前記カバーによって視界から概して隠される第二の状態と、の間で動作可能である、前記カバーを備える、車両用撮像装置レンズカバー。」
2 補正の適否
本件補正のうち請求項14についての補正は、本件補正前の請求項16に記載された発明を特定するために必要な事項である「カバー」について、「電気光学セルの表面上において前記撮像装置用の開口部を画定するマスキング層を有する前記電気光学セルを含み」と限定するものであって、本件補正前の請求項16に記載された発明と本件補正後の請求項14に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項14に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である実願平3-87932号(実開平5-32125号)のCD-ROM(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様。)。
「【請求項1】
車体に固定された少なくとも一端に監視窓を有したケ-スに車両周囲監視用カメラを内蔵し、前記ケ-スの窓とカメラレンズとの間にエレクトロクロミック層を設け、該エレクトロクロミック層に発色電圧又は消色電圧を印加することにより紫外線透過率を変化させるようにしたことを特徴とする車両用モニタ-カメラ。
【請求項2】
前記エレクトロクロミック層は前記ケ-スの窓に取付けたフ-ドガラスの前面に積層形成されている請求項1記載の車両用モニタ-カメラ。」
「【0004】
【考案が解決しようとする課題】
上記のような問題点に鑑み本考案は、電圧を印加すると着消色現象を生ずるエレクトロクロミック素子を利用してカメラへの入射光量を制御し、かつ半導体撮像素子の紫外線による機能劣化を防止し、さらに自動車のスタイリングデザインを劣化させたり見映えを悪くする点を改善し、またカメラへのいたずらや盗難を回避することのできる車両周囲監視装置を提供することを目的としている。」
「【0008】
【実施例】
次に本考案の一実施例を添付図面を参照して説明する。図1は本考案の一実施例である車両周囲監視用モニタ-カメラ3を車体の後部(スポイラ-部)に内蔵状態に取付けてなる自動車の部分外観図、図2は同上カメラを内蔵する保護ケ-ス1の斜視図、図3は同上ケ-スの断面図である。図において符号1で示すものは箱型のカメラ保護ケ-スであり、監視窓2をその前面に有していて、これと向きあう形でモニタ-カメラ本体3が搭載されている。監視窓2にはガラスもしくはプラスチック板等の無色透明な板よりなる保護フ-ド4が取付けられている。このフ-ド4には後記するような全固体型のエレクトロクロミック素子構成膜5をカメラ本体との間に有している。 【0009】
すなわち図3に例示したエレクトロクロミック素子構成膜は、基板となるガラス4の裏面に、透明電極層(ITO膜)12、第1発色層(IRTOF膜)13、電界質層(Ta2O5 (H 2O)膜)14、第2発色層兼電極層(WO 3膜)15及び透明絶縁層(Ta2O5 (H 2O)膜)16を順次に積層して構成されている。
【0010】
上記エレクトロクロミック素子構成膜5の対向電極に発色電圧又は消色電圧を印加すると、次のような電気化学反応が起き、着色、消色をする。この着色、消色機構は詳しくは解明されていないが、例えば下記の化学式のようにエレクトロクロミック素子を構成する発色層へのカチオンと電子のダブルインジェクションによるブロンズ形成にあると一般にいわれている。例えば、3酸化タングステン(WO3 )を用いるエレクトロクロミック素子の場合は、下記のような反応式で現される。」
「【0012】
本考案者等は、本考案で使用するエレクトロクロミック素子膜を設けてなるフ-ドガラスと、比較品として厚さ2mmの素通しガラスとを対比して、両者の光透過率を比較した。その結果を図4に特性グラフとして示した。グラフから分るように、エレクトロクロミック素子を使用したフ-ドガラスは、着色にともなって、光の透過をおさえるためいわゆるシャッタ-効果があり、CCDカメラの絞りとして使える。また、エレクトロクロミック素子は、着色時消色時ともに、紫外線を吸収するので、紫外領域における光の透過を大幅におさえることができ、従ってCCDを紫外線より保護することができる。更に、夜間消色時には、赤外域での透過がよいため、赤外線カメラのフ-ドガラスとしても使用できる。なお上記グラフによると、比較品は、紫外領域における光透過率は80%を大きく越えている。」
「【0014】
【考案の効果】
以上のように本考案によると、車体に固定された少なくとも一端に監視窓を有したケ-スに、車両周囲監視用カメラを内蔵し、前記ケ-スの窓とカメラレンズとの間にエレクトロクロミック層を設け、該エレクトロクロミック層に発色電圧又は消色電圧を印加することによりフ-ドを着色消色させることができるようにしたから、モニタ-カメラへの入射光の透過量をおさえ、また紫外線を吸収して半導体撮像素子の紫外線による機能劣化を防止し、また自動車のスタイリングを劣化させたり見映えを悪くする点が改善され、さらにまたカメラへのいたずらや盗難を回避することのできる効果がある。」
図1~4は、以下のとおりである。
図4から、フードガラスは消色時には着色時よりも可視領域全般における光透過率が大幅に向上することが把握できる。
[図:0001388906000001.jpg]
[図:0001388906000002.jpg]
イ 上記アから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(参考までに、括弧書きに段落番号等を記載する。)。
「電圧を印加すると着消色現象を生ずるエレクトロクロミック素子を利用してカメラへの入射光量を制御し、
自動車のスタイリングデザインを劣化させたり見映えを悪くする点を改善し、(【0004】、【0012】、【0014】)
エレクトロクロミック素子を使用したフ-ドガラスは、着色にともなって、光の透過をおさえ、
シャッタ-効果があり、CCDカメラの絞りとして使え、【0012】)
消色時には着色時よりも可視領域全般における光透過率が大幅に向上し、(図4)
カメラ保護ケ-スの監視窓とカメラレンズとの間にエレクトロクロミック素子膜を設けた(請求項1、図1)
車両周囲監視用モニタ-カメラを内蔵するカメラ保護ケ-スの監視窓に取り付けられているエレクトロクロミック素子膜を設けてなるフ-ドガラス。(【0008】、【0012】)」
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「車両周囲監視用モニタ-カメラを内蔵するカメラ保護ケ-スの監視窓に取り付けられているエレクトロクロミック素子膜を設けてなるフ-ドガラス」は、本件補正発明の「車両用撮像装置レンズカバー」に、
引用発明の「カメラ」は、本件補正発明の「撮像装置」に、
引用発明の「カメラレンズ」は、本件補正発明の「撮像装置レンズ」に、
引用発明の「エレクトロクロミック素子膜」は、本件補正発明の「電気光学セル」に、
それぞれ相当する。
イ 本件補正発明の「撮像装置レンズに近接して配置されたカバーであって、前記カバーは撮像装置が前記カバーを通して画像データを捕捉するように構成され」との構成について
引用発明は「カメラ保護ケ-スの監視窓とカメラレンズとの間にエレクトロクロミック素子膜を設け」、「車両周囲監視用モニタ-カメラを内蔵するカメラ保護ケ-スの監視窓に取り付けられているエレクトロクロミック素子膜を設けてなるフ-ドガラス」と特定されていることから、カメラ保護ケ-スに内蔵された車両周囲監視用モニタ-カメラを内蔵するカメラ保護ケ-スのカメラレンズと、カメラ保護ケ-スの監視窓に取り付けられているエレクトロクロミック素子膜を設けてなるフ-ドガラスとは、カメラ保護ケ-ス内で近接して配置されているものといえ、また、車両周囲監視用モニタ-カメラは、監視窓に取り付けられているエレクトロクロミック素子膜を設けてなるフ-ドガラスを通して監視するものといえる。
そうすると、引用発明は上記構成を備えているといえる。
ウ 引用発明の「エレクトロクロミック素子膜を設けてなるフ-ドガラス」と、本件補正発明の「前記カバーは、電気光学セルの表面上において前記撮像装置用の開口部を画定するマスキング層を有する前記電気光学セルを含み」とは、「前記カバーは、前記電気光学セルを含み」の点で一致する。
エ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「車両用撮像装置レンズカバーであって、
撮像装置レンズに近接して配置されたカバーであって、前記カバーは撮像装置が前記カバーを通して画像データを捕捉するように構成され、前記カバーは、電気光学セルを含む、車両用撮像装置レンズカバー。」
【相違点1】
カバーが、本件補正発明では「電気光学セルの表面上において前記撮像装置用の開口部を画定するマスキング層を有する」を有するのに対し、引用発明ではそのようなものを有するのか明らかでない点。
【相違点2】
本件補正発明では「前記撮像装置が前記カバーを通して概して目に見える第一の状態と、前記撮像装置が前記カバーによって視界から概して隠される第二の状態と、の間で動作可能である、前記カバーを備える」のに対し、引用発明では「電圧を印加すると着消色現象を生ずるエレクトロクロミック素子を利用してカメラへの入射光量を制御し、自動車のスタイリングデザインを劣化させたり見映えを悪くする点を改善し、エレクトロクロミック素子を使用したフ-ドガラスは、着色にともなって、光の透過をおさえ」るものである点。
(4)判断
以下、上記相違点について検討する。
ア 相違点1について
(ア)撮像装置に関する技術において、撮影のために必要な開口部以外の前面を覆うことは、周知技術(必要ならば、特開2017-40814号公報(特に、【0028】の「カバー64とケース65」、図1~3参照。)、特開2006-243573号公報(特に、【0037】の「スペーサ1a、1b」、図1~3参照。)、特表2011-507219号公報(特に、、【0034】、【0045】の「絞り70」、図2参照。)を参照されたい。)である。
(イ)ここで、引用発明は「自動車のスタイリングデザインを劣化させたり見映えを悪くする点を改善」しようとするものであるから、スタイリングデザインを劣化させる部分や見映えが悪い部分を改善、例えば隠すという動機が存在するといえ、引用発明には上記周知技術を適用する動機が存在するといえる。
(ウ)そして、「撮影のために必要な開口部以外の前面を覆う」という上記周知技術の引用発明への適用にあたっては、既に存在する「エレクトロクロミック素子を使用したフ-ドガラス」に「撮影のために必要な開口部以外の前面を覆う」という機能を付加することが自然であり、そうすると、引用発明において、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項にすぎない。
イ 相違点2について
(ア)まず、引用発明は「電圧を印加すると着消色現象を生ずるエレクトロクロミック素子を利用してカメラへの入射光量を制御し」と特定していることから、エレクトロクロミック素子は、消色している状態に動作可能である。そして、引用発明は「消色時には着色時よりも可視領域全般における光透過率が大幅に向上し」と特定され、「消色している状態」では、可視領域全般における光透過率が高いため、撮影可能になることは明らかであり、また、外から見ればカメラが視認できることも明らかである。
次に、引用発明では「エレクトロクロミック素子を使用したフ-ドガラスは、着色にともなって、光の透過をおさえ」と特定していることから、エレクトロクロミック素子は、光の透過をおさえ、着色している状態に動作可能である。そして、引用発明は「消色時には着色時よりも可視領域全般における光透過率が大幅に向上し」と特定され、「着色している状態」では、可視領域全般における光透過率が低く、引用発明においては「自動車のスタイリングデザインを劣化させたり見映えを悪くする点を改善し」ているのであるから、「着色している状態」において外からカメラが視認できないようにしていることは明らかであるといえる。
よって、相違点2は、実質的な相違点ではない。
(イ)また、仮に、引用発明において、「着色している状態」が、カメラが視界から「概して隠される」状態とはいえず、相違点2が実質的な相違点であるとしても、引用発明において、「自動車のスタイリングデザインを劣化させたり見映えを悪くする点を改善」するために、フードガラスの着色の状態として、車両周囲監視用モニタ-カメラが、エレクトロクロミック素子膜を設けてなるフ-ドガラスによって視界から概して隠される状態とすること、すなわち、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
ウ そして、相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 審判請求人の主張について
(1)本件審判請求人は、令和3年7月21日付けで提出された審判請求書において、
「引用例1には、モニターカメラ本体3の前方の監視窓2全体にわたって設けられたエレクトロクロミック素子構成膜5が開示されるのみであるので、本発明の「前記カバーは、電気光学セルの表面上において前記撮像装置用の開口部を画定するマスキング層を有する前記電気光学セルを含」む構成は開示されていないし、示唆もされていない。このような本願発明の構成によれば、本願の段落〔0025〕等に示すように、マスキング層106は、撮像装置104の開口部110を画定し、電気光学セル102が透明な状態にあるときに、撮像装置104または撮像装置ハウジングの他の部分が見えるのを阻害するという優れた作用効果を奏することができる。」
旨主張している。
(2)上記主張について、前記2(4)アで説示したとおりである。
さらにいえば、引用発明は「自動車のスタイリングデザインを劣化させたり見映えを悪くする点を改善し」と特定していることから、引用発明は、見映えを悪くするような他の部分がみえることを阻害しようとすることも、効果として想定されているといえる。
以上から、審判請求人の上記主張は、採用することができない。
4 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和3年7月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和3年2月5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項16に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項16に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の請求項16に係る発明の拒絶の理由の概略は、この出願の請求項16に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、この出願の請求項16に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1.実願平3-87932号(実開平5-32125号)のCD-ROM
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「カバー」について、「電気光学セルの表面上において前記撮像装置用の開口部を画定するマスキング層を有する前記電気光学セルを含み」を有しとの限定事項を省いたものである。
そうすると、上記限定事項が省かれたことから、本願発明と引用発明は、前記第2の[理由]2(3)の一致点で一致し、相違点2のみで相違することとなるが、前記第2の[理由]2(4)イ(ア)で検討したように、相違点2は実質的相違点ではない。したがって、本願発明は引用発明である。
また、仮に、相違点2が実質的な相違点である場合についても、前記第2の[理由]2(4)イ(イ)で検討したように、引用発明において、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、また、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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