2021-009713
自動画像特徴除去
- 審判番号
- 2021-009713
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-532805外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月20日
- 審決日
- 2022年05月30日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エスワイエヌシー-アールエックス、リミテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 【請求人】カーモン ニリ
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 【請求人】セーモ サリット
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 分類
- P18 .121-Z (G06T)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)9月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年9月10日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
同年 3月15日付け:拒絶査定
同年 7月20日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~15に係る発明は、令和3年1月27日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、各構成の符号(A)~(D)は、説明のために当審で付したものである。また、これらの符号が付されたものを、それぞれ、「構成A」~「構成D」という。
[本願発明]
(A) 少なくとも1つのコンピュータプロセッサを介して、画像の取得後に人工的に追加された特徴を含む、被検者の身体の一部の少なくとも1つの画像を受信するステップと、
(B) 前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、前記画像内の前記特徴を識別するステップと、
(C) これに応じて、出力装置上で出力を生成するステップであって、前記出力の生成は、前記特徴が前記画像から除去された状態で前記画像を表示するようディスプレイを駆動するステップを含む、生成するステップと、
を含み、
(B) 前記特徴を識別するステップは、
(B1) 前記画像の第1のピクセルと前記第1のピクセルから所与の距離内にある前記画像の第2のピクセルとの間の第1の強度差を第1の閾値と比較するステップと、
(B2) 前記第1の強度差と前記第1の閾値との比較に基づいて、前記画像内の前記第1のピクセルを含む領域が前記特徴を含むと識別するステップと、
(B)を含む、
(D)方法。
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
上記引用文献1には、図面と共に次の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
ア 「【0001】本発明は、医用画像処理装置及び医用画像診断装置に関し、特に動画上の個人情報を消去することにより、個人情報の保護を行う技術に関するものである。【背景技術】【0002】医用画像診断装置により記録された画像は、診断はもとより、教育や学会発表等幅広く用いられることが多い。医用画像診断装置のうち、特にX線画像診断装置は通常、X線画像を無加工にて記録するため、被検体情報が画像に表示されたまま記録される。診断用の場合には画像に含まれる被検体情報は被検体の取り違えを防ぐ上で有用であるが、学会発表等、不特定多数の人に公開する場合には、個人情報保護の観点から被検体情報を消去する必要がある。そのため、現状では、人の手作業により被検体情報を消去しており、この作業に膨大な時間をかけている。 」
イ 「【0012】図1は、本実施形態に係るX線画像診断装置1の概要を示すブロック図である。本実施形態に係るX線画像診断装置1は、主たる構成として、X線透視像を取得する撮像部10と、撮像部10が撮像した画像を処理し、映像信号を生成する画像処理部20と、画像処理部20が生成した透視像201(映像信号1)を入力し、動画ファイルを生成する記録部30とを備えており、画像処理部20と記録部30は、撮像部10が置かれた検査室とは別の操作室に配置されている。【0013】撮像部10には、X線を照射するX線源11と、X線源11から出て被検体(ここでは患者)を透過したX線を検出するX線検出器12と、被検体を寝かせてX線撮影に応じて移動し、あるいは角度を変更して良好な撮像ができるようにするための機構を備えた寝台装置13と、X線源11からのX線照射、それに同期したX線検出器12からの画像信号の読出し、また寝台装置13の移動制御を行う制御装置14と、撮像の開始と終了を指示するためのスイッチ15とが備えられている。このスイッチ15を操作することにより、予め設定された透視条件(X線管の管電圧、管電流、曝照量(mAs)、曝照時間(msec)で連続的なX線の照射と透過X線検出とを行なう透視撮像を開始し或いは終了する。スイッチ15は、記録部30における記録開始のスイッチを兼ねている。」
ウ 「【0018】図2の画面では、透視像201が画面の右半分に表示される。画面左下部には、外部カメラ像501が透視像201よりも小さい画面(以下「小画面」)内にはめ込まれて表示される。更に画面左上部には、患者の個人情報212として、「ID:1234」、「氏名:日立太郎」、「性別:男性」、及び「住所:東京都・・・」、が表示される。外部カメラ像501がはめ込まれた小画面左上隅には、患者の氏名「日立太郎」が、小画面右下隅には、患者のID「1234」が表示される。」
エ 「【0020】<第一実施形態>第一実施形態は、透視時に個人情報を含む診断用の動画ファイルを生成・保存し、別の機会にその動画ファイルから個人情報を消去する実施形態である。以下、図5、図6に基づいて、本発明の第一実施形態について説明する。図5、図6は、第一実施形態に係る記録部30の構成を示すブロック図である。【0021】本実施形態に係る記録部30は、図5、6に示すように、主に、映像信号合成部31、画像受信制御部32、保存処理部33、読出部34、画像処理制御部35により構成される。画像受信制御部32は、合成映像信号1を受信する受信処理部321と、合成映像信号1を一時的に記憶する画像受信メモリ322とを備える。保存処理部33は、動画ファイルを固定的に記録する記録装置332と、記録装置332への書込処理を行う保存処理部331とを備える。読出部34は、記録装置332に記録された動画ファイルの読出処理を行うものであり、読みだした動画ファイルをモニタへ出力する、いわゆる再生処理も行う。画像処理制御部35は、動画ファイルから個人情報を削除する処理を行うものであり、動画ファイルを構成する各コマに対して文字認識処理を行い、文字の大きさ、位置を決定する文字認識部351と、認識した文字を黒く塗りつぶしたり、モザイク処理をかけたりするなどして、判読不可能にする文字消去処理部352と、を備える。【0022】映像信号合成部31、画像受信制御部32、保存処理部33、読出部34、画像処理制御部35は、演算・制御装置(例:CPU、MPU)、メモリ、ハードディスクといったハードウェアと、上記機能を実現するためのプログラムとが協働することにより構成される。」
オ 「【0024】撮像部10(X線検出器12)が得た電気信号に基づいて、画像処理部20は透視像201(映像信号1)を生成し、記録部30内の映像信号合成部31に送信する。映像信号合成部31は、外部カメラ像501(映像信号2)及び個人情報も受信する。【0025】映像信号合成部31は、透視像201、外部カメラ像501、及び個人情報を、予め定められたレイアウト情報に従って各コマ内にはめ込み、合成映像信号1を生成する。生成された合成映像信号1は、受信処理部321に送信される。」
カ 「【0028】読出部34は、記録装置332に記録された動画ファイル1を読出し、文字認識部351が動画ファイル1内にある文字認識を行い、文字の大きさ、位置を決定する。本実施形態では、文字であることが認識できればよく、その文字、又はテキスト情報の意味(属性)まで認識することは不要である。」
キ 「【0032】<第二実施形態>第二実施形態は、透視に個人情報を含む診断用の動画ファイルを生成・表示し、同時に、個人情報を消去した動画ファイルを生成・保存する実施形態である。以下、図7に基づいて、第二実施形態について説明する。図7は、第二実施形態に係る記録部30の構成を示すブロック図である。なお、第一実施形態と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。」
ク 「【0036】文字認識部351は、各コマに対して指定された抽出対象領域を対象に、文字認識処理を行い、文字消去処理部352は、認識された文字の消去処理を行う。これらの処理により、合成映像信号1から個人情報が削除された合成映像信号2が生成される。保存処理部331は、合成映像信号2を動画ファイル2として記録装置332に保存する。その他の実施形態として、記録装置332に固定的に保存する代わりに、モニタに表示するように構成してもよい。」
ケ 「【図2】[図:0001390183000001.jpg]」
コ 「【図7】[図:0001390183000002.jpg]」
(2)引用発明
上記(1)アの記載より、引用文献1には「医用画像処理装置及び医用画像診断装置に関し、特に動画上の個人情報を消去することにより、個人情報の保護を行う技術」が記載されており、また、第二実施形態に関する上記クの記載より、文字認識により認識された文字の消去処理により個人情報を削除するといった、個人情報を消去するための具体的な方法が記載されているから、引用文献1には、「医用画像処理装置及び医用画像診断装置に関し、特に動画上の個人情報を消去することにより、個人情報の保護を行う方法」が記載されているといえる。
また、上記(1)キの記載より、第二実施形態において、第一実施形態と同一符号のものは同様の構成であるから、第一実施形態として記載された事項である上記(1)エ~カについて、以下のことがいえる。
ア 上記(1)エについて、第二実施形態と同一符号が付された、記録部30を構成する映像信号合成部31、受信処理部321を備える画像受信制御部32、保存処理部33、読出部34、文字認識部351を備える画像処理制御部35については、第二実施形態においても第一実施形態と同様に、記録部30は、主に、映像信号合成部31、画像受信制御部32、保存処理部33、読出部34、画像処理制御部35により構成され、画像受信制御部32は、合成映像信号1を受信する受信処理部321を備え、画像処理制御部35は、文字認識部351と文字消去処理部352とを備え、映像信号合成部31、画像受信制御部32、保存処理部33、読出部34、画像処理制御部35は、演算・制御装置(例:CPU、MPU)、メモリ、ハードディスクといったハードウェアと、上記機能を実現するためのプログラムとが協働することにより構成される。
イ 上記(1)オについて、第二実施形態と同一符号が付された映像信号合成部31が生成する合成映像信号1については、第二実施形態においても第一実施形態と同様に、撮像部10(X線検出器12)が得た電気信号に基づいて、画像処理部20は透視像201(映像信号1)を生成し、記録部30内の映像信号合成部31に送信し、映像信号合成部31は、外部カメラ像501(映像信号2)及び個人情報も受信し、映像信号合成部31は、透視像201、外部カメラ像501、及び個人情報を、予め定められたレイアウト情報に従って各コマ内にはめ込み、合成映像信号1を生成し、生成された合成映像信号1は、受信処理部321に送信される。
ウ 上記(1)カについて、第二実施形態と同一符号が付された文字認識部351については、第二実施形態においても第一実施形態と同様に、文字認識部351が動画ファイル1内にある文字認識を行い、文字の大きさ、位置を決定し、その際、文字であることが認識できればよく、その文字、又はテキスト情報の意味(属性)まで認識することは不要である。
したがって、上記(1)及び上記ア~ウから、引用文献1には、第二実施形態として次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(a)~(i)は、当審が付したものである。また、これらの符号が付されたものを、それぞれ、「構成a」~「構成i」という。
[引用発明]
(a)医用画像処理装置及び医用画像診断装置に関し、特に動画上の個人情報を消去することにより、個人情報の保護を行う方法において、
(b)医用画像診断装置であるX線画像診断装置1は、撮像部10と、画像処理部20と、記録部30とを備え、
(c)記録部30は、主に、映像信号合成部31、画像受信制御部32、保存処理部33、読出部34、画像処理制御部35により構成され、画像受信制御部32は、合成映像信号1を受信する受信処理部321を備え、画像処理制御部35は、文字認識部351と文字消去処理部352とを備え、映像信号合成部31、画像受信制御部32、保存処理部33、読出部34、画像処理制御部35は、演算・制御装置(例:CPU、MPU)、メモリ、ハードディスクといったハードウェアと、上記機能を実現するためのプログラムとが協働することにより構成され、
(d)撮像部10には、X線を照射するX線源11と、X線源11から出て被検体(ここでは患者)を透過したX線を検出するX線検出器12とが備えられ、
(e)撮像部10(X線検出器12)が得た電気信号に基づいて、画像処理部20は透視像201(映像信号1)を生成し、記録部30内の映像信号合成部31に送信し、映像信号合成部31は、外部カメラ像501(映像信号2)及び個人情報も受信し、映像信号合成部31は、透視像201、外部カメラ像501、及び個人情報を、予め定められたレイアウト情報に従って各コマ内にはめ込み、合成映像信号1を生成し、生成された合成映像信号1は、受信処理部321に送信され、
(f)患者の個人情報212として、「ID:1234」、「氏名:日立太郎」、「性別:男性」、及び「住所:東京都・・・」があり、
(g)文字認識部351は、各コマに対して指定された抽出対象領域を対象に、文字認識処理を行い、文字消去処理部352は、認識された文字の消去処理を行い、
(h)文字認識部351が動画ファイル1内にある文字認識を行い、文字の大きさ、位置を決定し、その際、文字であることが認識できればよく、その文字、又はテキスト情報の意味(属性)まで認識することは不要であり、
(i)これらの処理により、合成映像信号1から個人情報が削除された合成映像信号2が生成され、保存処理部331は、合成映像信号2を動画ファイル2として記録装置332に保存し、その他の実施形態として、記録装置332に固定的に保存する代わりに、モニタに表示するように構成してもよい、
(a)方法。
2 引用文献3
(1)記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
上記引用文献3には、図面と共に次の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
「【0025】図2は、テロップ抽出部2の処理動作を模式的に示す図である。(a)は入力映像(原画像)200を示し、画像中に含まれる「A」という文字テロップを抽出する例である。このテロップ文字は劣化しており、テロップ文字の輪郭や内部にいくつかの画素欠損部を有している。また、テロップ文字の斜線部分には階段状のジャギーを有している。【0026】(b)では、テロップ文字のエッジ抽出処理を行う。テロップ抽出は水平走査線方向で順次行うものとする。符号201は抽出したエッジを表す。エッジ抽出処理では、映像信号101の水平に隣接する2つの画素間の輝度差を求め、該輝度差の絶対値が所定閾値より大きい場合にエッジと判定する。通常のテロップ文字は白色や黒色の高輝度または低輝度色で表示されるので、背景映像との輝度差が大きく、これからエッジを判別できる。エッジと判定された領域(符号201の黒色の文字輪郭部分)は、エッジ信号を例えば「1」とする。エッジでないと判定された領域(符号201の白色の背景部分)は、エッジ信号を「0」とする。なお、符号201xの部分は文字輪郭部分の劣化による画素の欠損であり、エッジ信号にも反映されている。また、エッジと判定された画素は、文字周囲の背景画素も含む。【0027】(c)では、符号202で示すようにエッジ信号「1」の拡張を行い、テロップ文字の内部領域を決定する。エッジ拡張の方法は、エッジ信号が「1」の画素より始まる矢印方向へ、隣接画素との輝度差の絶対値が所定閾値より小さい区間、テロップ文字内の領域として信号「1」の拡張を行うものである。閾値を適宜設定することで、テロップ文字が単色だけでなく、グラデーションもしくは階調差の緩やかな模様で塗られた場合でも、有効に拡張できる。もしテロップ内部に画素の欠損部があれば、拡張はそこで分断されることになる。【0028】(d)では、エッジ拡張により得られたマスク信号(マスク映像)を符号203で示す。黒色部分はテロップ文字領域でマスク信号=「1」、白色部分はテロップ文字以外の領域でマスク信号=「0」に対応する。図では、テロップ文字の輪郭と内部にいくつかの画素の欠損部が存在し、その部分ではマスク信号が欠落し、「1」ではなく「0」のままとなっている。また、絵柄のあるテロップ文字など、前記輝度差の絶対値が閾値より大きい場合はエッジ拡張が行われず、マスク信号は(b)のエッジ部分201のみとなる。なお、テロップ抽出法は上記方法に限るものではない。」
「【0030】(b)は、マスク映像203を用いて、映像信号(原画像)200より抽出したテロップ映像を符号301で示す。抽出方法として、次の2通り可能である。第1の方法は、マスク映像203より得られるテロップ文字の画素位置に対応した画素を、原画像200から抜き出すことでテロップ映像301を取得するものである。第2の方法は、マスク映像203より得られるテロップ文字の画素位置に対応する画素の輝度と、所定の単色(例えば白色)との輝度差が、所定閾値以内である場合、すべて所定の単色(例えば白色)にて置換する方法である。第2の方法によれば、単色(例えば白色)のテロップ文字に特化したことで、テロップ文字内のノイズ低減効果がある。」
(2)引用文献3に記載された技術
上記(1)から、引用文献3には、次の技術が記載されていると認められる。
「画像中に含まれる文字テロップを抽出する処理動作において、映像信号101の水平に隣接する2つの画素間の輝度差を求め、該輝度差の絶対値が所定閾値より大きい場合にエッジと判定し、エッジと判定された領域(符号201の黒色の文字輪郭部分)は、エッジ信号を例えば「1」とし、エッジ信号「1」の拡張を行い、テロップ文字の内部領域を決定し、エッジ拡張により得られたマスク映像203を用いて、映像信号(原画像)200よりテロップ映像を抽出すること」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明と対比する。
(1)構成Aについて
構成eの撮像部10(X線検出器12)が得た電気信号に基づいて生成される「透視像201」は、本願発明の「画像の取得後に人工的に追加された特徴を含む」における「画像」に相当する。
また、本願発明の「特徴」については、本願明細書の【0004】に以下のとおり記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。
「コンピュータプロセッサによって識別される人工的に追加される特徴は、被検者を識別するために、被検者に関連する測定データを表示するために、画像処理システムを識別するために( 例えば、画像は、画像処理システムの製造者に関連するロゴを含み得る) 、画像を特定の画像タイプとして分類するために、又は異なる機能を実行するために、画像処理システムによって追加される特徴を含み得る。特徴は、英数字、アイコン、写真、及び/ 又は任意の他のタイプ若しくは形状の特徴を含み得る。」
一方、構成fの「患者の個人情報212」は、「ID:1234」、「氏名:日立太郎」、「性別:男性」、及び「住所:東京都・・・」といった患者を識別するための情報を含むものであり、また、「ID:1234」といった英数字や、他のタイプのものとして漢字等を含むものであるといえるから、本願発明の「特徴」に相当する。
そして、構成eより、映像信号合成部31は透視像201を生成した後に、透視像201や個人情報等をレイアウト情報に従って各コマにはめ込むことにより合成映像信号1を生成しているということができ、さらに、構成d及びeより、透視像201は被検体(患者)を撮像することにより得られたものであり、被験者の身体の一部を含むものであるということができるから、引用発明の「合成映像信号1」は、本願発明の「画像の取得後に人工的に追加された特徴を含む、被検者の身体の一部の少なくとも1つの画像」に相当する。
構成cより、受信処理部321は合成映像信号1を受信する。そして、受信処理部321を備える画像受信制御部32は、演算・制御装置(例:CPU、MPU)等により実現されることから、受信処理部321による合成映像信号1の受信は、コンピュータプロセッサを介して行われるものであるといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「少なくとも1つのコンピュータプロセッサを介して、画像の取得後に人工的に追加された特徴を含む、被検者の身体の一部の少なくとも1つの画像を受信するステップ」を含む点で一致する。
(2)構成Bについて
構成g~iより、文字認識部351が文字認識処理を行い、認識された文字の消去処理を行うことで個人情報を削除しているといえるから、引用発明の文字認識部351は、「前記画像内の前記特徴を識別」しているといえる。
そして、構成cより、文字認識部351を備える画像処理制御部35は、演算・制御装置(例:CPU、MPU)等により実現されることから、文字認識部351の動作はコンピュータプロセッサを使用して行われるものであるといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、前記画像内の前記特徴を識別するステップ」を含む点で一致する。
(3)構成B1、B2について
構成h、iより、引用発明は、合成映像信号1中の個人情報の識別を、文字であることを認識することにより行うものであるといえる。
しかしながら、本願発明の「前記特徴を識別するステップ」は、
「 前記画像の第1のピクセルと前記第1のピクセルから所与の距離内にある前記画像の第2のピクセルとの間の第1の強度差を第1の閾値と比較するステップと、前記第1の強度差と前記第1の閾値との比較に基づいて、前記画像内の前記第1のピクセルを含む領域が前記特徴を含むと識別するステップ」
とを含むのに対し、引用発明は、文字であることを認識するための具体的な処理を特定していない点で相違する。
(4)構成Cについて
構成iより、引用発明は、合成映像信号1から個人情報が削除された合成映像信号2をモニタに表示していることから、「出力装置上で出力を生成する」際、「前記特徴が前記画像から除去された状態で前記画像を表示するようディスプレイを駆動」しているといえる。
したがって、本願発明と引用発明は、「これに応じて、出力装置上で出力を生成するステップであって、前記出力の生成は、前記特徴が前記画像から除去された状態で前記画像を表示するようディスプレイを駆動するステップを含む、生成するステップ」を含む点で一致する。
(5)構成Dについて
構成aより、引用発明は医用画像処理装置及び医用画像診断装置に関し、特に動画上の個人情報を消去することにより、個人情報の保護を行う方法であるから、本願発明と引用発明は「方法」である点で一致する。
(6)一致点、相違点について
上記(1)~(5)から、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
(A) 少なくとも1つのコンピュータプロセッサを介して、画像の取得後に人工的に追加された特徴を含む、被検者の身体の一部の少なくとも1つの画像を受信するステップと、
(B) 前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、前記画像内の前記特徴を識別するステップと、
(C) これに応じて、出力装置上で出力を生成するステップであって、前記出力の生成は、前記特徴が前記画像から除去された状態で前記画像を表示するようディスプレイを駆動するステップを含む、生成するステップと、を含む、
(D)方法。
[相違点]
本願発明の「前記特徴を識別するステップ」は、
「 前記画像の第1のピクセルと前記第1のピクセルから所与の距離内にある前記画像の第2のピクセルとの間の第1の強度差を第1の閾値と比較するステップと、前記第1の強度差と前記第1の閾値との比較に基づいて、前記画像内の前記第1のピクセルを含む領域が前記特徴を含むと識別するステップ」
とを含むのに対し、引用発明は、文字であることを認識するための具体的な処理を特定していない点で相違する。
2 相違点に対する判断
上記相違点について、以下に検討する。
一般に、輝度はピクセルの明るさの程度を指すことから、引用文献3に記載された技術(上記第4の2(2)参照)における輝度差は、ピクセルの明るさの強度差を示すものであるといえる。
また、引用文献3に記載された技術においては、エッジと判定された領域を拡張してテロップ文字の内部領域を決定していることから、少なくともエッジを含む領域をテロップ文字として抽出しているといえる。
したがって、画像中に含まれる文字を抽出する技術として、隣接する画素との強度差を閾値と比較することによりエッジを判定し、この判定結果に基づいてエッジを含む領域を画像中に含まれる文字として抽出することは、引用文献3(上記第4の2(2)参照)に記載されているように周知技術である。
当該技術は、本願発明における画像の第1のピクセルと前記第1のピクセルから所与の距離(1ピクセル)内にある前記画像の第2のピクセルとの間の第1の強度差を第1の閾値と比較し、前記第1の強度差と前記第1の閾値との比較に基づいて、前記画像内の前記第1のピクセルを含む領域が文字を含むと識別することに相当する。
そして、引用発明における文字であることを認識するための具体的な処理を、上記周知技術を考慮して、
「 前記画像の第1のピクセルと前記第1のピクセルから所与の距離内にある前記画像の第2のピクセルとの間の第1の強度差を第1の閾値と比較するステップと、前記第1の強度差と前記第1の閾値との比較に基づいて、前記画像内の前記第1のピクセルを含む領域が前記特徴を含むと識別するステップ」
により行うようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
3 審判請求人の主張について
審判請求人は、令和3年7月20日付け審判請求書において、以下のとおり主張している。
「(c)本願発明と引用文献1の発明との対比本願発明と引用文献1の発明とを対比すると、引用文献1には、「前記特徴を識別するステップは、前記画像の第1のピクセルと前記第1のピクセルから所与の距離内にある前記画像の第2のピクセルとの間の第1の強度差を第1の閾値と比較するステップと、前記第1の強度差と前記第1の閾値との比較に基づいて、前記画像内の前記第1のピクセルを含む領域が前記特徴を含むと識別するステップと、を含む」という本願発明の特徴を開示していない点で相違する。引用文献1の段落0021に「動画ファイルを構成する各コマに対して文字認識処理を行い」と記載されているように、引用文献1では、文字認識処理を行って文字を認識している。これに対し、本願発明では、ピクセル間の強度差と閾値とを比較して、特徴を含む領域を識別している。拒絶査定では、隣接する2つの画素間の輝度差を求め、該輝度差の絶対値が所定閾値より大きい場合に文字のエッジを判定することは引用文献3に開示されているように周知技術である、とのことである。しかしながら、引用文献3は、隣接する2つの画素間の輝度差によってエッジを検出しているだけで、本願発明の上記特徴を開示しているわけではない。例えば、エッジとエッジとの間の部分も文字を構成するが、第1のピクセルがエッジとエッジとの間にある場合、第1のピクセルと、隣接するピクセルとの間に輝度差はないので、第1のピクセルが特徴を含むとの検出ができない。引用文献1に発明に引用文献3の技術を適用したとしても、文字認識の工程において、エッジ検出により文字の認識の精度を高めるに過ぎない。引用文献1では、図2、図3、図4から明らかなように、文字は解剖画像内に混在するわけではない。文字は、カメラ画像の外側にある。したがって、文字認識は容易である。これに対し、例えば、本願の図2の右下の「776x776」という文字は、解剖画像内にある。このような場合、組織の画像と文字とが混在するので、文字認識処理では精度が落ちる。本願発明は、学会に発表するためにプライベート情報を除くためというよりは、「画像に人工的に追加された特徴を最初に特定しない場合、人工的に追加された特徴が、血管又は装置の一部に対応すると誤って識別される可能性がある(本願明細書の段落0037を参照)」ことを防止するために、特徴を検出して除去している。解剖画像内に文字があるような場合、本願発明の特徴による検出のやり方がよいことは明らかである。引用文献2にも本願発明の上記特徴は、開示も示唆もない。」
上記主張について検討する。
まず、審判請求人は、引用文献3は、隣接する2つの画素間の輝度差によってエッジを検出しているだけで、本願発明の特徴を開示していない旨主張する。
当該主張について検討するに、引用文献3は、画像中の文字を抽出する技術であり、上記2で検討したとおり、構成B1、B2に相当する処理によりエッジを判定し、この判定結果に基づいて文字を抽出するものである。
そして、本願発明は、特徴の識別を構成B1、B2を含むステップによって行うものであり、一方、引用文献3に記載の技術も文字の抽出を構成B1、B2を含むステップによって行うものであるといえるから、両者は相違せず、引用文献3が本願発明の特徴を開示していないとはいえない。
また、審判請求人は、引用文献1では、文字は解剖画像内に混在する訳ではなく、解剖画像内に文字があるような場合、本願発明の特徴による検出のやり方がよいことは明らかである旨主張する。
しかしながら、本願の特許請求の範囲の請求項1は、審判請求人の主張するような、解剖画像内に文字があるような場合であることを何ら特定していないから、当該主張が特許請求の範囲の記載に基づくものであるとはいえない。
したがって、審判請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ、
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2021-009713