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特許拒絶査定不服審判

2021-009443

配電線路に連携された変圧器の負荷量に基づいた電柱に設置された電気車充電装置、電気車充電システムおよび電柱に設置された電気車充電装置の制御方法

審判番号
2021-009443
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-554516
請求日
2021年07月15日
審決日
2022年04月28日
公報発行日
2022年10月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】韓國電力公社
  • 【請求人代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 山田 正文
  • 審判官 畑中 博幸
  • 審判官 山本 章裕
分類
P18 .121-Z (H02J) / P18 .56 -Z (H02J) / P18 .57 -Z (H02J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-554516「配電線路に連携された変圧器の負荷量に基づいた電柱に設置された電気車充電装置、電気車充電システムおよび電柱に設置された電気車充電装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月11日国際公開、WO2018/186527、令和 2年 6月11日国内公表、特表2020-517214〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2017年6月12日(パリ条約による優先権主張 2017年4月5日、韓国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 2年11月 9日付け:拒絶理由通知 令和 3年 2月10日 :意見書、手続補正書の提出 令和 3年 3月10日付け:拒絶査定 令和 3年 7月15日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和3年7月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和3年7月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の概要 令和3年7月15日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、令和3年2月10日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された発明特定事項により特定される、 「電気車に電源を供給するように構成された第1ポート; 配電線路に連携された変圧器によって変換された電源が供給されるように構成された第2ポート; 前記第1ポートと前記第2ポート間の開閉状態をスイッチングする遮断部;および 前記変圧器の負荷量情報が伝達され、前記負荷量情報に対応する負荷量が基準負荷量より大きい場合、前記第1ポートと前記第2ポート間が電気的に開放されるように前記遮断部を制御する制御部;を含み、 前記負荷量は、前記変圧器によって変換される総電力量である、電柱に設置された電気車充電装置。」 との発明を、 「電柱に設置された電気車充電装置とコンバータを含む電気車充電システムであって、 前記電気車充電装置は、 電気車に電源を供給するように構成された第1ポート; 配電線路に連携された変圧器によって変換された電源が供給されるように構成された第2ポート; 前記第1ポートと前記第2ポート間の開閉状態をスイッチングする遮断部;および 前記変圧器の負荷量情報が伝達され、前記負荷量情報に対応する負荷量が基準負荷量より大きい場合、前記第1ポートと前記第2ポート間が電気的に開放されるように前記遮断部を制御する制御部;を含み、 前記負荷量は、前記変圧器によって変換される総電力量であり、 前記コンバータは第1地中ケーブルと第2地中ケーブルに電気的に連結されて地中に設置され、前記第1地中ケーブルは前記電気車充電装置に電気的に連結され、前記第2地中ケーブルは前記変圧器に電気的に連結される、電気車充電システム。」(下線部は、補正箇所を示す。) との発明とする補正を含むものである。 2 補正の適否 ア 本件補正について 本件補正により、請求項1に係る発明は、「電気車充電装置」から「電気車充電システム」に変更された。 ここで、補正後の請求項1の記載によれば、「電気車充電システム」は「電気車充電装置」と「コンバータ」を含むものであり、また「電気車充電システム」に関し、本願明細書の段落【0017】には「図1を参照すると、本発明の一実施例に係る電気車充電システムは、電気車充電装置100、知能型分電盤180、データ集中処理装置210、変圧器(図示されず)を含むことができ、電柱10、配電線路20、駐車空間30、車両衝突防止用ボラード40、車両ストッパー50、充電スタンド表示板60、映像装置70を含む電気車充電スタンドに備えられ得る。」と記載されている。 してみると、「電気車充電システム」は「電気車充電装置」と「電気車充電装置」以外の構成を含むものであり、「電気車充電装置」から「電気車充電システム」に変更することを含む本件補正は、補正前の請求項1における「電気車充電装置」の発明特定事項を限定する補正とはいえず、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当しない。 また、本件補正により、「電気車充電システム」が「コンバータ」を含み、該「コンバータ」が「第1地中ケーブルと第2地中ケーブルに電気的に連結されて地中に設置され、前記第1地中ケーブルは前記電気車充電装置に電気的に連結され、前記第2地中ケーブルは前記変圧器に電気的に連結される」ことが付加された。 しかし、上記付加は、本件補正前の請求項1における発明特定事項の一つを、概念的により下位の発明特定事項とするものではなく、「コンバータ」に「電気的に連結され」る「第1地中ケーブルと第2地中ケーブル」という新たな発明特定事項を付加するものであって、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当しない。 そして、上記本件補正は、特許法第17条の2第5項第1、3、4号に掲げる「請求項の削除」、「誤記の訂正」、「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものにも該当しないことは明らかである。 イ まとめ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 なお、審判請求人は、審判請求書において、補正の根拠(本願明細書の段落【0093】ないし【0096】及び図7を参照)を明示するに留まり、本件補正が、特許法第17条の2第5項各号に規定するいずれの目的に該当するかについて、何ら具体的に説明していない。 第3 本願発明について 1 本願発明 令和3年7月15日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和3年2月10日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されたものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」の[理由]の「1」に本件補正前の請求項1(令和3年2月10日に手続補正された請求項1)として記載したとおりのものである。 2 原査定の拒絶理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(特開2012-200084号公報)に記載された発明及び引用文献2(特開2009-065785号公報)、引用文献3(韓国公開実用新案第2011-0007572号公報)に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、 というものである。 3 引用文献の記載事項、引用発明 (1)引用文献1、引用発明 ア 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2012-200084号公報)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。)。 「【0013】 以下図面に基づいて、実施形態について詳細を説明する。 実施形態1について説明をする。 図1は、実施形態1の充電システムの一実施例を示す図である。図1に示す充電システムは、受電設備1、車両充電装置2を備えている。該充電システムは、例えば、充電スタンド、コンビニエンスストアなどの施設に設けられる。 【0014】 系統電力を受電する受電設備1は、例えば、キュービクル式受電設備が知られている。受電設備1は受電した高電圧を受電設備1内で変圧して、施設に供給される。例えば、受電したAC6600Vを受電設備1内でAC100VまたはAC200Vに変圧して、施設の負荷4および車両充電装置2に供給する。受電設備1は、変圧器、遮断機、開閉器、計器類などを備えているが本例では、受電設備1の内部に変圧器6、検出部7、制御部8、通信部9を示している。 【0015】 変圧器6は、図1に示す系統側5の高電圧を低電圧に変圧し、変圧した電圧を施設の負荷4に供給する。 検出部7は、変圧器6の二次側の出力電力を、計器を用いて計測して、制御部8に電力に関する情報(電力情報)を通知する。検出部7の計器には、例えば、計器用に電力を変成する電力需給用計器用変成器、使用電力量を測定する電力需給用計器、大電圧を小電圧に変圧する計器用変圧器、大電流を小電流に変流する変流器が備えられている。また、検出部7の計器には計器用変圧器を介して接続され変圧器6の二次側の電流を測定する電流計と、変流器を介して接続され変圧器6の二次側電圧を測定する電圧計を備えている。また、電力に関する情報(電力情報)とは、施設における負荷4と車両充電装置2で消費される電力量を示す値である。 【0016】 制御部8は、検出部7が計測した電力値を取得して、通信部9に通知する。制御部8は、Central Processing Unit(CPU)やプログラマブルなデバイス(Field Programmable Gate Array(FPGA)、Programmable Logic Device(PLD)など)を用いることが考えられる。また、制御部8は記録部を備え、制御部8が実行するプログラムやデータが記録されている。記録部は、例えばRead Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)などのメモリやハードディスクなどが考えられる。なお、記録部にはパラメータ値、変数値などのデータを記録してもよいし、実行時のワークエリアとして用いてもよい。 【0017】 通信部9は、車両充電装置2の通信部13と通信をする。通信部9は、車両充電装置2に電力情報を含む送信信号を送信する。通信部9と通信部13間の通信方式は、例えば、有線または無線による通信でもよいし、電力線を用いた通信などでもよい。有線通信は、例えば、光通信、Local Area Network(LAN)、モデムを用いた通信などである。無線通信は、例えば、Personal Handy-phone System(PHS)、無線LAN、無線モデムを用いた通信などである。電力線通信を用いる場合には電力線10を用いて通信を行う。 【0018】 車両充電装置2は、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給する。車両充電装置2は、AC/DC変換部11、DC/DC変換部12、通信部13、制御部14、通信部15などを備えている。AC/DC変換部11は、変圧器6の二次側から供給される交流を直流に変換する。DC/DC変換部12は、AC/DC変換部11により変換された直流電圧を、車両3に電力を供給する際に必要な電圧に変換する。なお、本例ではDC/DC変換部12を用いているが、AC/DC変換部11の出力が車両3に電力を供給する際に必要な電圧を出力できる場合にはDC/DC変換部12を設けなくてよい。 【0019】 通信部13は、受電設備1の受電設備の通信部9と通信をする。通信部13は、受電設備1から送信される電力情報を含む送信信号を受信する。通信部13と通信部9間の通信は有線でも無線でもよく、有線ならば電力線を用いた通信などでもよい。有線通信は、例えば、光通信、Local Area Network(LAN)、モデムを用いた通信などである。無線通信は、例えば、Personal Handy-phone System(PHS)、無線LAN、無線モデムを用いた通信などである。電力線通信を用いる場合には電力線10を用いて通信を行う。 【0020】 制御部14は、検出部7が計測した電力値Wmを通信部13から取得するとともに、車両3が要求する電流値Arを通信部15から取得する。電力値Wmは、1つ以上の負荷4と車両充電装置2で使用されている電力とを合計した値に近似している。 ・・・(中略)・・・。 【0037】 実施形態2について説明をする。 図4は、実施形態2の充電システムの一実施例を示す図である。図4に示す充電システムは、受電設備1、車両充電装置40を備えている。該充電システムは、例えば、充電スタンド、コンビニエンスストアなどの施設に設けられる。車両充電装置40は、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給する。車両充電装置40は、AC/DC変換部11、DC/DC変換部12、通信部13、制御部14、通信部15、第1の遮断部41、第2の遮断部42、蓄電部43などを備えている。実施形態2は、検出部7で検出された電力値Wmが閾値Thを超えたとき、系統電力が供給される電力線を遮断し、蓄電部43に蓄電された電力を用いて車両3を充電する。図4の例では、電力値Wmが閾値Thを超えたとき、制御部14は第1の遮断部41と第2の遮断部42を遮断状態にする制御をする。電力値Wmが閾値Th以下のときは、制御部14は第1の遮断部41と第2の遮断部42を導通状態にする制御をする。また、蓄電部43は第1の遮断部41と第2の遮断部42が導通状態のときに充電される。 【0038】 第1の遮断部41は、AC/DC変換部11の交流入力前段に設けられ、制御部14から出力される制御信号により電力線10の導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御を行う。第1の遮断部41として、例えば、リレーなどを用いることが考えられる。 【0039】 第2の遮断部42は、AC/DC変換部11の直流出力後段に設けられ、制御部14から出力される制御信号により電力線10の導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御を行う。第2の遮断部42として、例えば、リレーなどを用いることが考えられる。 【0040】 なお、第1の遮断部41と第2の遮断部42は、必ずしも2つ必要ではなく、どちらか一方を備えて遮断ができればよい。 蓄電部43は、AC/DC変換部11から供給される直流電力を蓄電する。蓄電部43として、例えば、リチウムバッテリやコンデンサなどが考えられる。 【0041】 実施形態2の制御部14は、検出部7が計測した電力値Wmを通信部13から取得するとともに、車両3が要求する電流値Arを通信部15から取得する。電力値Wmは、1つ以上の負荷4と車両充電装置2で使用されている電力とを合計した値に近似している。ここで、車両3の要求する電流値Arは、例えば、CHAdeMO(チャデモ)などの規格に従って取得した電流指令値である。車両3に電力を供給する際に必要な電圧値Vcは、例えば、車両3において決められている充電電圧値である。」 図1 [図:0001388891000001.jpg] 図4 [図:0001388891000002.jpg] イ 引用文献1の上記記載及び図面によれば、次の事項が記載されている。 (ア)まず、段落【0037】ないし【0041】及び図4によれば、引用文献1には実施形態2である受電設備1、車両充電装置40を備えた充電システムが記載され、また、図4には、電力系統から受電し変圧器6を介して複数の負荷4及び車両充電装置40に電力を供給する受電設備1と、遮断部41、AC/DC変換器11、遮断部42及びDC/DC変換器12を介して車両3に電力を供給する車両充電装置40が示されている。そして図4には、受電設備1が変圧器6、検出部7、制御部8、通信部9を含み、通信部9が車両充電装置40に含まれる通信部13と通信することも示されている。 ここで、段落【0013】ないし【0020】には、変圧器6、検出部7、制御部8、通信部9を含む受電設備1と、AC/DC変換器11、DC/DC変換部12を含む車両充電装置1と、負荷4とを備えた実施形態1の車両充電システムが記載されているところ、段落【0041】によれば、実施形態2の制御部14は検出部7が計測した電力値Wmを通信部13から取得し、段落【0020】によれば実施形態1の制御部14も検出部7が計測した電力値Wmを通信部16から取得している。 してみると、引用文献1において、実施形態2の変圧器6、検出部7、制御部8、通信部9、AC/DC変換器11、DC/DC変換部12及び負荷4は、実施形態1の変圧器6、検出部7、制御部8、通信部9、AC/DC変換器11、DC/DC変換部12及び負荷4の機能と同じ機能を前提としていると認められる。 (イ)段落【0037】によれば、実施形態2の充電システムの構成として、AC/DC変換部11、DC/DC変換部12、通信部13、制御部14、第1の遮断部41及び第2の遮断部42を備え、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給する車両充電装置40が記載されている。 また、段落【0018】によれば、「AC/DC変換部11」は変圧器6の二次側から供給される交流を直流に変換し、「DC/DC変換部12」はAC/DC変換部11により変換された直流電圧を車両3に電力を供給する際に必要な電圧に変換する。そして、段落【0015】、【0019】によれば、「通信部13」は変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置1で消費される電力量を示す電力情報を受信する。 よって、上記(ア)で述べた点を踏まえれば、引用文献1には実施形態2として、変圧器6の二次側から供給される交流を直流に変換するAC/DC変換部11、AC/DC変換部11により変換された直流電圧を車両3に電力を供給する際に必要な電圧に変換するDC/DC変換部12、変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置40で消費される電力量を示す電力情報を受信する通信部13、制御部14、第1の遮断部41及び第2の遮断部42を備え、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給する車両充電装置40が記載されている。 (ウ)段落【0014】に「系統電力を受電する受電設備1は、・・・受電した高電圧を・・・変圧して、・・・施設の負荷4および車両充電装置2に供給する。」、同段落【0015】に「変圧器6は、・・系統側5の高電圧を低電圧に変圧し、変圧した電圧を施設の負荷4に供給する。」と記載され、また、図4を参照すれば、電力系統からの高電圧を変圧器6によって変圧された電圧が車両充電装置40に供給されることが見て取れる。 そして、車両充電装置40に該変圧された電圧が供給されるのであるから、車両充電装置40が、該変圧された電圧が供給されるよう構成された入力部を備えていることは当然のことである。 よって、上記(ア)で述べた点を踏まえれば、引用文献1に記載された車両充電装置40は、電力系統からの高電圧を変圧器6によって変圧された電圧が供給されるよう構成された入力部を備えているといえる。 (エ)段落【0037】に「車両充電装置40は、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給する。」と記載されており、「電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給」する車両充電装置40が、該電力を供給するよう構成された出力部を備えていることは当然ことである。 よって、引用文献1に記載された車両充電装置40は、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給するよう構成された出力部を備えているといえる。 (オ)段落【0038】、【0039】によれば、第1の遮断部41は、AC/DC変換部11の交流入力前段に設けられ、導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御を行い、リレーが用いられ、第2の遮断部42は、AC/DC変換部11の直流出力後段に設けられ、導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御を行い、リレーが用いられる。 (カ)段落【0015】に「検出部7は、変圧器6の二次側の出力電力を・・・計測して」、段落【0041】に「実施形態2の制御部14は、検出部7が計測した電力値Wmを通信部13から取得する」、段落【0037】に「検出部7で検出された電力値Wmが閾値Thを超えたとき、系統電力が供給される電力線を遮断し、・・・。図4の例では、電力値Wmが閾値Thを超えたとき、制御部14は第1の遮断部41と第2の遮断部42を遮断状態にする制御をする。」とそれぞれ記載されている。 よって、上記(ア)で述べた点も踏まえれば、引用文献1に記載された車両充電装置40の制御部14は、変圧器6の2次側の出力電力の電力値Wmを通信部13から取得し、電力値Wmが閾値Thを超えたとき、第1の遮断部41と第2の遮断部42を遮断状態に制御をするといえる。 ウ 以上(ア)ないし(カ)によれば、引用文献1には、実施形態2に着目すると次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「変圧器6の二次側から供給される交流を直流に変換するAC/DC変換部11、AC/DC変換部11により変換された直流電圧を車両3に電力を供給する際に必要な電圧に変換するDC/DC変換部12、変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置で消費される電力量を示す電力情報を受信する通信部13、制御部14、第1の遮断部41及び第2の遮断部42を備え、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給する車両充電装置40において、 電力系統からの高電圧を変圧器6によって変圧された電圧が供給されるよう構成された入力部と、 電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給するよう構成された出力部とを備え、 第1の遮断部41は、AC/DC変換部11の交流入力前段に設けられ、導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御を行い、リレーが用いられ、 第2の遮断部42は、AC/DC変換部11の直流出力後段に設けられ、導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御を行い、リレーが用いられ、 制御部14は、変圧器6の2次側の出力電力の電力値Wmを通信部13から取得し、電力値Wmが閾値Thを超えたとき、第1の遮断部41と第2の遮断部42を遮断状態に制御をする、車両充電装置40。」 (2)引用文献2 ア 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2009-65785号公報)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。)。 「【0027】 以下、本発明に係る電力供給スタンドについて説明する。 図1は、本発明の第一実施例に係る電力供給スタンド(100)を示す図であり、電力供給スタンド(100)から電気自動車(10)に電力が供給されている状態を示す。 ・・・(中略)・・・。 【0031】 以下、電力供給スタンド(100)について説明する。 電力供給スタンド(100)は、電力取出し線(1)、電力供給器(2)を有している。 【0032】 電力取出し線(1)は電柱(P)に架設された送電線(C)から電力を取出し、取出した電力を電力供給器(2)まで送るためのものである。電力取出し線(1)は送電線(C)から直接電力を取出してもよいし、電柱に備え付けられている変圧器(P1)で電圧を降下させてから電力を取出してもよい。 【0033】 電力供給器(2)は電力取出し線(1)により取出した電力を蓄電池に供給するためのものであり、電柱(P)に、利用者が操作しやすい高さで設置される。 ・・・(中略)・・・ 【0045】 ・・・(中略)・・・。 このように、電力供給器(2)は直流電力と交流電力の両方を供給することができるため、充電器を搭載している電気自動車(10)、充電器を搭載していない電気自動車(10)の両方に対して電力を供給することができる。現在の潮流からすると、交流電源コンセントから充電器を搭載した電気自動車に電力を供給して充電することが多いと考えられる。」 図1 [図:0001388891000003.jpg] 引用文献2の上記記載及び図面によれば、次の事項が記載されている。 「電気自動車に電力を供給して充電する電力供給器を電柱に設置すること。」 (3)引用文献3 ア 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(韓国公開実用新案第2011-0007572号公報)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付加した。)。 [図:0001388891000004.jpg] (当審仮訳:[0001]本発明は電気自動車充電用充電装置及び方法に関するものであり、電気自動車(90)を充電するための充電装置が配電線路コンクリート電柱(110)下部に設置し、顧客(100)の顧客認識カード(51)によって充電装置である充電箱(80)の内部に含まれるカード認識部(50)を介して充電が行われることを特徴とする。) [図:0001388891000005.jpg] (当審仮訳:[0008]図1は本発明による電気自動車の充電方法を示すための全体図である。 [0009]全国道路に沿って分布している配電線路コンクリート電柱(110)下部に充電箱(80)を設けて充電する。) [図:0001388891000006.jpg] (当審仮訳:[0013]上記の目的を達成するために、本発明は、全国道路に沿って分布している配電線路コンクリート電柱(110)の下部に充電箱(80)を設置し、充電箱(80)の内部構成要素である電気使用量を計測する電子式電力量計と顧客(100)の情報を認識するカード認識部(50)とカード認識部(50)により電源をオンオフさせる電源スイッチ部(30)と、各部を制御する制御部(60)を含むことを特徴とする。) 図1 [図:0001388891000007.jpg] 引用文献3の上記記載及び図面によれば、次の事項が記載されている。 「電気自動車を充電するための充電箱を電柱に設置すること。」 4 対比 ア 本願発明と引用発明1とを対比する。 (ア)引用発明の「電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給する」ことは、本願発明の「電気車に電源を供給する」ことに相当する。 してみると、引用発明の「電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3に電力を供給するよう構成された出力部」と、本願発明とは、「電気車に電源を供給するように構成された出力部」である点で共通する。 ただし、本願発明の「第1ポート」に関し、本願明細書の段落【0029】に「例えば、前記第1および第2ポート110、120は有線方式で電源を供給するように電源ケーブルに連結される構造を有することができ、無線方式で近距離で電源を供給するようにコイルで具現されてもよい。」と記載されていることから、「第1ポート」は「電源ケーブルに連結される構造」や「無線方式で近距離で電源を供給」する「コイル」を含むところ、引用発明はこのような構成を備えていない。 よって、出力部に関し、本願発明は「第1ポート」を含むのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 (イ)引用発明において、「電力系統からの高電圧を変圧器6によって変圧」するところ、配電線路に変圧器を連携させることにより電力系統から配電線路を介して変圧器に高電圧を供給することは技術常識である。 また、引用発明の「車両充電装置」には「変圧器6によって変圧された電圧が供給される」のであるから、「車両充電装置」に「変圧器6」によって変換された電源が供給されることは当然のことである。 してみると、引用発明の「電力系統からの高電圧を変圧器6によって変圧された電圧が供給されるよう構成された入力部」と本願発明とは、「配電線路に連携された変圧器によって変換された電源が供給されるように構成された入力部」である点で共通する。 ただし、上記(ア)で「第1ポート」について述べたのと同様に、本願発明の「第2ポート」は「電源ケーブルに連結される構造」や「無線方式で近距離で電源を供給」する「コイル」を含むところ、引用発明はこのような構成を備えていない。 よって、入力部に関し、本願発明は「第2ポート」を含むのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 (ウ)引用発明の「第1の遮断部41」は、「AC/DC変換部11の交流入力前段」に設けられ、「導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御」を行い、「リレー」が用いられ、「第2の遮断部42」は、「AC/DC変換部11の直流出力後段」に設けられ、「導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御」を行い、「リレー」が用いられることから、「第1の遮断部41」及び「第2の遮断部42」は、「入力部」と「出力部」間の「開」と「閉」の状態をスイッチングしているといえる。 よって、上記(ア)、(イ)も踏まえれば、引用発明の「AC/DC変換部11の交流入力前段に設けられ、導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御を行い、リレーを用い」られる「第1の遮断部41」及び「AC/DC変換部11の直流出力後段に設けられ、導通(ON)と遮断(OFF)の切り替え制御を行い、リレーを用い」られるた「第2の遮断部42」と本願発明とは、「入力部と出力部間の開閉状態をスイッチングする遮断部」である点で共通する。 ただし、本願発明は、開閉状態がスイッチングされる対象は「前記第1ポートと前記第2ポート間」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 (エ)引用発明において「変圧器6の二次側の出力電力」は「負荷4と車両充電装置40で消費される」から、「負荷4と車両充電装置40」は「変圧器6」に対する「負荷」といえ、「変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置で消費される電力量」を示す「電力情報」は、本願発明の「変圧器の負荷量情報」に相当する。 また、引用発明において、「通信部13」は「変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置で消費される電力量を示す電力情報」を受信し、「制御部14」は「変圧器6の2次側の出力電力の電力値Wm」を「通信部13」から取得しているから、「制御部14」が取得する「電力値Wm」は、「変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置40で消費される電力量」に基づいた値である。してみると、引用発明の「電力値Wm」は、本願発明の「変圧器によって変換される総電力量」である「負荷量情報に対応する負荷量」に相当する。 そして、引用発明の「閾値Th」は「電力値Wm」に対する基準値といえるから、本願発明の「負荷量」と比較される「基準負荷量」に相当する。 さらに、引用発明において、「第1の遮断部41と第2の遮断部42を遮断状態に制御をする」ことで、「入力部」と「出力部」間が電気的に開放されることは当然のことである。 よって、上記(ア)、(イ)も踏まえれば、引用発明の「制御部14は、変圧器6の2次側の出力電力の電力値Wmを通信部13から取得し、電力値Wmが閾値Thを超えたとき、第1の遮断部41と第2の遮断部42を遮断状態に制御をする」ことと本願発明とは、「負荷量情報に対応する負荷量が基準負荷量より大きい場合、出力部と入力部間が電気的に開放されるように前記遮断部を制御する制御部」である点で共通する。 ただし、制御部に関し、本願発明は「変圧器の負荷量情報が伝達され」るのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 また、本願発明は、電気的に開放される対象が「前記第1ポートと前記第2ポート間」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 (オ)上記(エ)で述べたように、引用発明の「電力値Wm」は、本願発明の「変圧器によって変換される総電力量」である「負荷量」に相当する。 (カ)引用発明の「車両充電装置40」は「電気自動車やハイブリッド自動車などの車両3」に電力を供給するから、本願発明の「電気車充電装置」に相当する。 ただし、電気車充電装置において、本願発明は「電柱に設置され」るのに対し、引用発明はその旨特定されていない点で相違する。 イ 上記(ア)ないし(カ)によれば、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。 (一致点) 「電気車に電源を供給するように構成された出力部; 配電線路に連携された変圧器によって変換された電源が供給されるように構成された入力部; 入力部と出力部間の開閉状態をスイッチングする遮断部;および 負荷量情報に対応する負荷量が基準負荷量より大きい場合、出力部と入力部間が電気的に開放されるように前記遮断部を制御する制御部;を含み、 負荷量は前記変圧器によって変換される総電力量である、電気車充電装置。」 (相違点1) 出力部に関し、本願発明は「第1ポート」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。 (相違点2) 入力部に関し、本願発明は「第2ポート」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。 (相違点3) 本願発明は、開閉状態がスイッチングされる対象は「前記第1ポートと前記第2ポート間」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点 (相違点4) 制御部に関し、本願発明は「変圧器の負荷量情報が伝達され」るのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。 (相違点5) 本願発明は、電気的に開放される対象が「前記第1ポートと前記第2ポート間」であるのに対し、引用発明はその旨特定されていない点 (相違点6) 電気車充電装置において、本願発明は「電柱に設置され」るのに対し、引用発明はその旨特定されていない点。 5 判断 上記各相違点について検討する。 (1)相違点1ないし3、相違点5について 上記「4 ア(ア)」で述べたように、本願発明の「第1ポート」は「電源ケーブルに連結される構造」や「無線方式で近距離で電源を供給」する「コイル」を含むところ、車両用の充電装置に電源ケーブルを接続するために接続具を備えることは、文献を挙げるまでもなく普通に行われていることである。 してみると、引用発明の「入力部」及び「出力部」として、電源ケーブルを接続するための接続具を採用することは当業者が容易になし得ることである。また、このような接続具を採用した引用発明においては、「第1の遮断部41」及び「第2の遮断部42」により、「入力部」側の接続具と「出力部」側の接続具との間が電気的に開閉される。 よって、相違点1ないし3、5に係る構成は、引用発明に基づいて当業者が容易になし得たことである。 (2)相違点4について 引用発明の「車両充電装置40」は、「通信部13」が「変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置で消費される電力量を示す電力情報」を受信し、「制御部14」は「変圧器6の2次側の出力電力の電力値Wmを通信部13から取得」するものである。 ここで、引用発明において、「制御部14」における「第1の遮断部41と第2の遮断部42」の制御は「電力値Wm」に基づいて行われるのであるから、「制御部14」が「変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置40で消費される電力量」に基づく「電力値Wm」を取得する際に、「通信部13」から「電力値Wm」を取得するか又は「通信部13」から「変圧器6の二次側の出力電力を計測した負荷4と車両充電装置40で消費される電力量」を示す「電力情報」を受信し、「制御部14」で「電力値Wm」とするかは当業者が適宜選択し得る事項である。 よって、引用発明においても相違点4に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 (3)相違点6について 引用文献2に「電気自動車に電力を供給して充電する電力供給器を電柱に設置すること」、引用文献3に「電気自動車を充電するための充電箱を電柱に設置すること」がそれぞれ記載されているように(上記「3(2)(3)を参照)、電気自動車を充電するための充電装置を電柱に設置することは周知の技術事項といえる。 してみると、引用発明の「車両充電装置」を電柱に設置し、相違点6に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 (4)作用効果について そして、上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。 (5)請求人の主張について 審判請求人は、令和3年2月10日提出の意見書において、「引用文献1では、変圧器の二次側の出力電力値を、充電を行うか否かを決定する指標としています。一方、本願発明では、変圧器によって変換される総電力量、すなわち、変圧器の一次側の電力値を、充電を行うか否かを決定する指標としています。このように、本願発明と引用文献1に記載の発明とでは、充電を行うか否かを決定する指標が異なります。」と主張する。 しかしながら、本願発明では「変圧器の一次側の電力値」を充電を行うか否かを決定する指標とすることは何等規定されていない。また、本願明細書(段落【0020】参照)においても「データ集中処理装置210は、前記変圧器の電流、電圧または電力データを収集し処理して負荷量情報を生成することができる。ここで、前記負荷量情報は前記変圧器によって変換される総電力量と定義され得る。」と記載されているのみで、「変圧器の一次側の電力値」を該指標とすることを示唆する記載は見当たらない。 よって、審判請求人の主張は、特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいておらず、採用することができない。 なお、令和3年7月15日提出の審判請求書における審判請求人の主張は、同日提出の手続補正書の内容に基づくものであるが、当該手続補正書による手続補正は、上記第2のとおり却下されたので、請求人の上記主張を採用することはできない。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-009443

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