特許拒絶査定不服審判
2021-015297
電力供給制御システムおよびその方法
- 審判番号
- 2021-015297
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-522114
- 請求日
- 2021年11月09日
- 審決日
- 2022年09月15日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エーベロース、インベスト、アクチボラグ
- 【請求人代理人】中村 行孝
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】赤岡 明
- 【請求人代理人】出口 智也
- 審判長/審判官
- 審判長 角田 慎治
- 審判官 福田 正悟
- 審判官 寺谷 大亮
- 分類
- P18 .121-WZ (H02J) / P18 .56 -WZ (H02J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条の2第5項第3号、特許法第17条の2第5項第4号、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-522114「電力供給制御システムおよびその方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月 4日国際公開、WO2017/072305、平成30年12月20日国内公表、特表2018-537937〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)10年28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年10月30日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成30年 6月28日 手続補正書、上申書の提出
令和 2年 9月23日付け 拒絶理由通知
令和 3年 2月24日 意見書、手続補正書の提出
7月 9日付け 拒絶査定
11月 9日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 4年 2月21日付け 前置報告
4月20日 上申書の提出
以下では、令和3年2月24日の手続補正書による補正を「原補正」といい、同年7月9日付けの拒絶査定を「原査定」といい、同年11月9日の手続補正書による補正を「本件補正」という。
第2 本件補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の請求項1の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。なお、下線は、本件補正による補正箇所を示す。
「【請求項1】
負荷および供給源のうちの少なくとも一方を電気網に接続するための電力供給制御システムであって、前記システムは、
少なくとも、第1のパラメータおよび第2のパラメータを有する第1の供給体制に関連付けられた第1の電力計器、および、第1のパラメータおよび第2のパラメータを有する第2の供給体制に関連付けられた第2の電力計器と、
前記電気網と前記負荷/前記供給源との間の少なくとも二つの前記電力計器のうちの各電力計器を個別に接続するように構成されたスイッチングユニットと、
前記スイッチングユニットと運用接続状態であって、各電力計器を接続または切断するために、前記スイッチングユニットを制御するように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、前記第1の供給体制の前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータ、および、前記第2の供給体制の前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータに関連するリアルタイムデータを取得するために、遠隔データレポジトリと通信するための通信回路を備え、
前記制御ユニットは、前記リアルタイムデータおよび少なくとも一つの所定条件に基づき、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを接続して他の電力計器を切断するように、構成され、
前記所定条件は、前記第1の供給体制の前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータ、および、前記第2の供給体制の前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータに基づくものである、
電力供給制御システム。」
(2)本件補正前の請求項1の記載
本件補正前の、原補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。なお、下線は、原補正による補正箇所を示す。
「【請求項1】
負荷および供給源のうちの少なくとも一方を電気網に接続するための電力供給制御システムであって、前記システムは、
種々のパラメータを有する異なる供給体制にそれぞれ関連付けられた少なくとも二つの電力計器と、
前記電気網と前記負荷/前記供給源との間の前記少なくとも二つの電力計器のうちの各電力計器を個別に接続するように構成されたスイッチングユニットと、
前記スイッチングユニットと運用接続状態であって、各電力計器を接続または切断するために、前記スイッチングユニットを制御するように構成された制御ユニットと、
を備え、
前記制御ユニットは、前記パラメータのうちの少なくとも一つに関連するリアルタイムデータを取得するために、遠隔データレポジトリと通信するための通信回路を備え、
前記制御ユニットは、前記リアルタイムデータおよび少なくとも一つの所定条件に基づき、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを接続して他の電力計器を切断するように、構成され、
前記制御ユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、さらに構成される、
電力供給制御システム。」
(3)前記(1)及び(2)によれば、本件補正は、請求項1に係る以下のA~Dの補正(以下、それぞれ「補正事項A」~「補正事項D」という。)を含むものである。
A 「少なくとも二つの電力計器」について、
本件補正前は、前記「少なくとも二つの電力計器」が「種々のパラメータを有する異なる供給体制にそれぞれ関連付けられた」ものとされていたのを、
本件補正後は、前記「少なくとも二つの電力計器」が「第1のパラメータおよび第2のパラメータを有する第1の供給体制に関連付けられた第1の電力計器、および、第1のパラメータおよび第2のパラメータを有する第2の供給体制に関連付けられた第2の電力計器」とする補正
B 「リアルタイムデータ」について、
本件補正前は、前記「リアルタイムデータ」が「前記パラメータのうちの少なくとも一つに関連する」とされていたのを、
本件補正後は、前記「リアルタイムデータ」が「前記第1の供給体制の前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータ、および、前記第2の供給体制の前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータに関連する」とする補正
C 「制御ユニット」について、
本件補正前に記載されていた「前記制御ユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、さらに構成される」との発明特定事項を削除する補正
D 「所定条件」について、
本件補正前は、前記「所定条件」が具体的に特定されていなかったのを、
本件補正後は、前記「所定条件」が「前記第1の供給体制の前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータ、および、前記第2の供給体制の前記第1のパラメータおよび前記第2のパラメータに基づくものである」とする補正
2 本件補正の適否
前記補正事項Cが、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものに該当するかについて検討する。
(1)補正事項Cが特許法第17条の2第5項第1号に規定されている「請求項の削除」を目的とするものでないことは、明らかである。
(2)本件補正前の「前記制御ユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、さらに構成される」との記載において、「誤記」と考えられる事項が存在しないことは、その記載からして明らかであるから、補正事項Cは、特許法第17条の2第5項第3号に規定されている「誤記の訂正」を目的とするものではない。
(3)本件補正前の「前記制御ユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、さらに構成される」との記載は、その記載のとおり、「制御ユニット」が「シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、さらに構成される」という内容を明確に特定しているから、補正事項Cは、特許法第17条の2第5項第4号に規定されている「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものではない。
(4)補正事項Cによって、本件補正前の記載において明確であった「前記制御ユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、さらに構成される」との発明特定事項が削除された。
そうすると、本件補正後の請求項1は、本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項の一部が削除されており、請求項1の記載が拡張されているから、補正事項Cは、特許法第17条の2第5項第2号に規定されている「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではない。
(5)前記(1)~(4)で検討したとおり、補正事項Cは、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものではない。
3 本件補正についてのむすび
前記2のとおりであるから、補正事項Cを含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げる事項を目的とするものではないから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、原補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項6】
種々のパラメータを有する異なる供給体制にそれぞれ関連付けられた少なくとも二つの電力計器と、電気網と負荷/供給源との間の前記少なくとも二つの電力計器のうちの各電力計器を個別に接続するように構成されたスイッチングユニットと、を備える電力供給制御システムにおける、前記負荷および前記供給源のうちの少なくとも一方を前記電気網に接続するための方法であって、前記方法は、
前記パラメータのうちの少なくとも一つに関連するリアルタイムデータを遠隔データレポジトリから取り出すステップと、
前記リアルタイムデータおよび少なくとも一つの所定条件に基づき、一つの電力計器を接続して他の電力計器を切断するために、前記スイッチングユニットを動作させるステップと、
を備え、
前記スイッチングユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、動作される、
方法。」
第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略次のとおりである。
この出願の請求項1~8に係る発明は、本願の優先権主張の日の前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1~4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1. 特開2011-28423号公報
2.特開2012-120407号公報
3.実願昭53-22242号(実開昭54-126026号)のマイクロフィルム
4.特開平7-46777号公報
第5 引用文献の記載事項及び引用発明等
1 引用文献1の記載事項及び引用発明について
原査定の拒絶の理由で引用された上記引用文献1(特開2011-28423号公報)には、次の事項が記載されている(以下、下線は当審において付与した。)。
(1)「【0038】
[エネルギー供給者選択装置の概略]
図1を参照して、需要者は電力会社たるA社20A及びB社20Bといつでも電力の供給を受ける契約をしている。このとき、需要者構内にはA社20A及びB社20Bからの電力が供給ルート(例えば、電線)30により供給される。」
(2)「【0042】
このように本発明では、需要者は複数の電力会社から電力の供給を受けることができ、スイッチ14A,14Bにより選択された電力会社の電力が需要者に実際に供給される。以下、電力会社の選択を行うエネルギー供給者選択装置について図2を参照して説明する。
【0043】
[エネルギー供給者選択装置]
図2は、エネルギー供給者選択装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
エネルギー供給者選択装置1は、例えば、電力会社、サービス事業者又は需要者によって設置される。エネルギー供給者選択装置1は、収集手段11、モード選択手段12、供給者選択手段13、スイッチ14A,14B、計量器15A,15B、通信手段16、及び料金算出手段17を備える。
【0045】
収集手段11は、ネットワーク40を介してA社20A及びB社20Bから、それぞれの電力(量)の料金単価、及びA社20A及びB社20Bがそれぞれ発電する際に排出する二酸化炭素排出量を、リアルタイムで収集する(例えば、毎日所定の時刻に収集する)。
【0046】
なお、エネルギー供給者選択装置1の設置会社がA社20A及びB社20Bから料金単価及び二酸化炭素排出量を自動収集(クロール)するようにして、自動収集した料金単価及び二酸化炭素排出量をエネルギー供給者選択装置1に送信することで、収集手段11が料金単価及び二酸化炭素排出量を取得することとしてもよい。
【0047】
モード選択手段12は、A社20A及びB社20Bから電力の供給を受ける電力会社を選択する際に、収集手段11が収集した料金単価及び二酸化炭素排出量のうちいずれの情報を優先するか決定する「モード(コスト優先モード、環境負荷削減モード)」を選択する。コスト優先モードは需要者が負担するコストを軽減させることを優先し、環境負荷削減モードは需要者に供給される電力を発電する際に排出される二酸化炭素排出量を削減することを優先する。なお、各モードは需要者により任意に選択される。
【0048】
このようなモードを設けることで、コストを優先したい需要者の要望にも、環境負荷の軽減を優先したい需要者の要望にも適切に対処することができ、需要者に供給されるエネルギーを総合的に最適化することができる。
【0049】
供給者選択手段13は、収集手段11が収集した料金単価及び二酸化炭素排出量をパラメータとして、モード選択手段12により選択されたモードに基づいてA社20A及びB社20Bから電力の供給を受ける電力会社を選択する。なお、コスト優先モード又は環境負荷削減モードのいずれにおいても、電力の供給を受ける電力会社を選択するためのパラメータとして、料金単価又は二酸化炭素排出量を単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。すなわち、コスト優先モードである場合に、例えば、料金単価のみに基づいて電力の供給を受ける電力会社を選択してもよく、また、料金単価を重視しつつも二酸化炭素排出量も考慮した上で総合的に電力の供給を受ける電力会社を選択してもよい。
【0050】
ここで、供給者選択手段13は、収集手段11が料金単価及び二酸化炭素排出量を取得する度に(より詳細には、収集した料金単価又は二酸化炭素排出量が変化する度に)、電力の供給を受ける電力会社を選択する。そのため、電力会社における料金単価又は二酸化炭素排出量が変動する場合には、変動に応じて直ちに最適な電力会社を選択することができる。
【0051】
スイッチ14A,14Bは、A社20A及びB社20Bのいずれの電力の供給を受けるか選択する。供給者選択手段13が電力の供給を受ける電力会社を選択すると、対応するスイッチ14A,14Bがオン(閉)となる。
【0052】
計量器15A,15Bは、A社20A及びB社20Bのそれぞれに対応して設けられ、供給される電力(kW)、電力量(kWh)、供給時間等を記録する。また、計量器15A,15Bは、通信手段16を介してA社20A及びB社20Bのそれぞれと通信可能に接続され、計量器15A,15Bで記憶された電力、電力量、供給時間等の電力供給状況はリアルタイムでA社20A及びB社20Bに送信される。これにより、A社20A及びB社20Bの各電力会社は、電力供給状況をリアルタイムに把握でき、電力の需給予測を行うことができる。
【0053】
通信手段16は、ネットワーク40を介してA社20A及びB社20Bと通信する。例えば、通信手段16はA社20A及びB社20Bから送信される料金単価及び二酸化炭素排出量を受信し、また、通信手段16は計量器15A,15Bで記憶された電力、電力量、供給時間等の電力供給状況をA社20A及びB社20Bに送信する。」
(3)「【0055】
[エネルギー供給者選択装置の動作例]
図3は、エネルギー供給者選択装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0056】
S1:エネルギー供給者選択装置1のモード選択手段12は、モードを選択する。例えば、需要者が負担するコストを軽減させることを優先するコスト優先モード、又は需要者が生じる二酸化炭素排出量を削減することを優先する環境負荷削減モードから、需要者の選択に基づいて1のモードを選択する。
【0057】
S2:次に、エネルギー供給者選択装置1の収集手段11は、通信手段16を介して、各電力会社から電力(量)の料金単価、及び電力発電時に排出する二酸化炭素排出量を収集する。なお、収集した料金単価及び二酸化炭素排出量は、図示しない記憶手段に記憶される。
【0058】
S3:次に、エネルギー供給者選択装置1は、収集した料金単価及び二酸化炭素排出量が、記憶手段に記憶された情報と異なるか判別する。
S4:また、エネルギー供給者選択装置1は、S1において従前とは異なるモードが選択されたか判別する。
【0059】
S5:S3又はS4においてYESと判別されると、エネルギー供給者選択装置1の供給者選択手段13は、収集した料金単価及び二酸化炭素排出量をパラメータとして、選択されたモードに基づいて電力の供給を受ける電力会社を選択する。
【0060】
なお、電力会社では電力の需給予測を行うとともに、需要者に供給される電力(需用電力)が電力会社が発電する電力(供給電力)を上回る場合には、需要者に供給する電力を制限することがある。本実施の形態では、このような場合に、電力会社から送信される供給不可信号を通信手段16により受信する。そして、この供給不可信号を受信した場合には、供給者選択手段13は供給不可信号を送信した電力会社を選択しないように構成されている。これにより、各電力会社は需用電力が供給電力を上回る場合に需給調整を行うことができる。
【0061】
S6:供給者選択手段13により電力の供給を受ける電力会社が選択されると、エネルギー供給者選択装置1はスイッチ14A,14Bを制御し、選択した電力会社から電力の供給を受ける。
【0062】
S7:次に、エネルギー供給者選択装置1の計量器15A,15Bは、供給される電力、電力量、供給時間等を計量し、記憶する。」
(4)図1
[図:0001394618000001.jpg]
図1によれば、「スイッチ14A及びスイッチ14B」は、「供給ルート30と需要者負荷との間のA社計量器15A及びB社計量器15Bのうちの各計量器を個別に接続するように構成されたもの」であると認められる。
(5)図2
[図:0001394618000002.jpg]
(6)図3
[図:0001394618000003.jpg]
前記(1)~(6)の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「需要者は電力会社たるA社20A及びB社20Bといつでも電力の供給を受ける契約をしており、需要者構内にはA社20A及びB社20Bからの電力が供給ルート(例えば、電線)30により供給され、(前記(1)の記載を参照)
電力会社の選択を行うエネルギー供給者選択装置は、収集手段11、モード選択手段12、供給者選択手段13、スイッチ14A,14B、計量器15A,15B、通信手段16、及び料金算出手段17を備え、
収集手段11は、ネットワーク40を介してA社20A及びB社20Bから、それぞれの電力(量)の料金単価、及びA社20A及びB社20Bがそれぞれ発電する際に排出する二酸化炭素排出量を、リアルタイムで収集(例えば、毎日所定の時刻に収集)し、
モード選択手段12は、A社20A及びB社20Bから電力の供給を受ける電力会社を選択する際に、収集手段11が収集した料金単価及び二酸化炭素排出量のうちいずれの情報を優先するか決定する「モード(コスト優先モード、環境負荷削減モード)」を選択し、コスト優先モードは需要者が負担するコストを軽減させることを優先し、環境負荷削減モードは需要者に供給される電力を発電する際に排出される二酸化炭素排出量を削減することを優先するものであり、
供給者選択手段13は、収集手段11が収集した料金単価及び二酸化炭素排出量をパラメータとして、モード選択手段12により選択されたモードに基づいてA社20A及びB社20Bから電力の供給を受ける電力会社を選択し、なお、コスト優先モード又は環境負荷削減モードのいずれにおいても、電力の供給を受ける電力会社を選択するためのパラメータとして、料金単価又は二酸化炭素排出量を単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよく、すなわち、コスト優先モードである場合に、例えば、料金単価のみに基づいて電力の供給を受ける電力会社を選択してもよく、また、料金単価を重視しつつも二酸化炭素排出量も考慮した上で総合的に電力の供給を受ける電力会社を選択してもよく、
スイッチ14A,14Bは、A社20A及びB社20Bのいずれの電力の供給を受けるか選択し、供給者選択手段13が電力の供給を受ける電力会社を選択すると、対応するスイッチ14A,14Bがオン(閉)となり、
計量器15A,15Bは、A社20A及びB社20Bのそれぞれに対応して設けられ、供給される電力(kW)、電力量(kWh)、供給時間等を記録し、
通信手段16は、ネットワーク40を介してA社20A及びB社20Bと通信し、A社20A及びB社20Bから送信される料金単価及び二酸化炭素排出量を受信し、(前記(2)及び(5)の記載を参照)
スイッチ14A及びスイッチ14Bは、供給ルート30と需要者負荷との間のA社計量器15A及びB社計量器15Bのうちの各計量器を個別に接続するように構成されたものであり、(前記(4)の記載を参照)
エネルギー供給者選択装置1の動作として、
モード選択手段12は、需要者が負担するコストを軽減させることを優先するコスト優先モード、又は需要者が生じる二酸化炭素排出量を削減することを優先する環境負荷削減モードから、需要者の選択に基づいて1のモードを選択し、
収集手段11は、通信手段16を介して、各電力会社から電力(量)の料金単価、及び電力発電時に排出する二酸化炭素排出量を収集し、
エネルギー供給者選択装置1は、収集した料金単価及び二酸化炭素排出量が、記憶手段に記憶された情報と異なるか判別し(S3)、また、従前とは異なるモードが選択されたか判別し(S4)、
S3又はS4においてYESと判別されると、エネルギー供給者選択装置1の供給者選択手段13は、収集した料金単価及び二酸化炭素排出量をパラメータとして、選択されたモードに基づいて電力の供給を受ける電力会社を選択し、
供給者選択手段13により電力の供給を受ける電力会社が選択されると、エネルギー供給者選択装置1はスイッチ14A,14Bを制御し、選択した電力会社から電力の供給を受け、
計量器15A,15Bは、供給される電力、電力量、供給時間等を計量し、記憶する、(前記(3)及び(6)の記載を参照)
方法」
2 周知事項1
周知技術を示すために原査定で引用された前記引用文献2(特開2012-120407号公報)、引用文献3(実願昭53-22242号(実開昭54-126026号)のマイクロフィルム)及び引用文献4(特開平7-46777号公報)には、それぞれ、以下の事項が記載されている。
(引用文献2)
「【0026】
ここで、商用交流電源1からの給電からインバータ4からの給電に切換えるときには、スイッチSW2をオン状態としたままでスイッチSW1をオンさせ、その後スイッチSW2をオフさせるように制御する。同様に、インバータ4からの給電から商用交流電源1からの給電に切換えるときには、スイッチSW1をオン状態としたままでスイッチSW2をオンさせ、その後スイッチSW1をオフさせるように制御する。このように、スイッチSW1,SW2のオン/オフを切換える際に、スイッチSW1,SW2がともにオンされている期間であるラップ期間を設けることによって、商用交流電源1とインバータ4とを無瞬断で切換えることができる。」
(引用文献3)
「このような場合、負荷に異常を与えない様にするために、インバータ装置を他の電源に同期させ、数サイクルの間、第1図に示した切換用遮断器2の両方を投入し、ラップして運転する方式が必要となる。このタイムチャートの例を第2図に示す。図において、(a)はインバータ側の遮断器、(b)はバイパス側の遮断器のバイパス切換時のタイムチャート、Tはラップ期間で一般に数サイクルである。この方式により切換時は電源の断時間もなく、負荷は正常に運転を続けることができる。」(第2頁第3行~第13行)
(引用文献4)
「【0011】切替開閉器1は、切替指令を受けて、A,B両電源を、所定時間同時投入した後に切り替えるものであり、例えば、本出願人の出願に係る特願平1-301476号(特開平3-163716号の公報)のオーバラップ型電源切替開閉器が適用される。この切替開閉器1による電源の切替は、切替指令が出て所定の短時間(例えば0.3秒)で完了する。本発明の無瞬断電源切替装置は、各電源にダメージを与えないで電源の切替を行うことができるA,B両電源の実用上の同期点(同期点の前後一定範囲)で、切替開閉器1を動作させようとするものであるが、切替開閉器1は、切替指令から切替完了までに所定の動作時間を必要とする。従って、本発明においては、切替動作完了が、上記同期点内あるように余裕をもって切替指令を発するように構成されている。」
前記引用文献2~4に記載されているように、「瞬断を防ぐために、二つのスイッチがともにオンされている期間を設けること」(以下「周知事項1」という。)は、周知技術である。
3 周知事項2
当審で新たに引用する、特開平3-135340号公報(以下「引用文献A」という。)には、需要家への電力供給に関する課題として、以下の記載がある。
(1)「近年、一般需要家にもコンピュータやマイクロプロセッサを使用した機器が普及するなど短時間の停電も許されない社会情勢となってきており」(第2頁右上欄第2行~第4行)
前記引用文献Aに記載されているように、「需要家において短時間の停電も許されないこと」(以下「周知事項2」という。)は、需要家への電力供給に関する分野において周知な課題である。
第6 対比
1 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明を対比する。
なお、以下で対比するにあたり、本願発明の「負荷/供給源」は、本願発明の他の記載である「前記負荷および前記供給源のうちの少なくとも一方」を参酌し、「負荷および供給源のうちの少なくとも一方」を意味するものとして認定した。
(1)本願発明の「種々のパラメータを有する異なる供給体制にそれぞれ関連付けられた少なくとも二つの電力計器と、」について
ア 引用発明の「料金単価及び二酸化炭素排出量」は、パラメータの一種であるから、本願発明の「種々のパラメータ」に相当する。
イ 引用発明の「A社20A及びB社20B」は、電力の供給を行う、異なる電力会社であるから、本願発明の「異なる供給体制」に相当する。また、引用発明の「A社20A及びB社20B」のそれぞれは、料金単価及び二酸化炭素排出量を有するものである。
ウ 前記ア及びイで言及した事項を踏まえると、引用発明の「料金単価及び二酸化炭素排出量」を有する「A社20A及びB社20B」は、本願発明の「種々のパラメータを有する異なる供給体制」に相当する。
エ 引用発明の「計量器15A,15B」は、「A社20A及びB社20Bのそれぞれに対応して設けられ、供給される電力(kW)、電力量(kWh)」を「記録」するものであるから、本願発明の「二つの電力計器」に相当する。
オ 前記ウ及びエで言及した事項を踏まえると、引用発明の当該「計量器15A,15B」は、本願発明の「種々のパラメータを有する異なる供給体制にそれぞれ関連付けられた少なくとも二つの電力計器」に相当する。
(2)本願発明の「電気網と負荷/供給源との間の前記少なくとも二つの電力計器のうちの各電力計器を個別に接続するように構成されたスイッチングユニットと、」について
ア 引用発明の「供給ルート30」は、「需要者構内」に「電力会社たるA社20A及びB社20B」から電力を供給する電線であるから、本願発明の「電気網」に相当する。
イ 引用発明の「需要家負荷」は、本願発明の「負荷」に相当する。
ウ 引用発明の「スイッチ14A及びスイッチ14B」は、「供給ルート30と需要者負荷との間のA社計量器15A及びB社計量器15Bのうちの各計量器を個別に接続するように構成されたもの」である。
エ 前記ア~ウ及び前記(1)で言及した事項を踏まえると、本願発明の「スイッチングユニット」と引用発明の「スイッチ14A及びスイッチ14B」は、「電気網と負荷/供給源との間の前記少なくとも二つの電力計器のうちの各電力計器を個別に接続するように構成されたもの」である点で共通する。
(3)本願発明の「を備える電力供給制御システムにおける、前記負荷および前記供給源のうちの少なくとも一方を前記電気網に接続するための方法であって、」について
ア 引用発明の「エネルギー供給者選択装置1」は、電力会社の選択を行うことによって、電力の供給を制御するものであり、ある種のシステムであるから、本願発明の「電力供給制御システム」に相当する。
イ 引用発明の「エネルギー供給者選択装置1の動作」は、スイッチ14A,14Bを制御し、選択した電力会社から電力の供給を受けるための方法である。その際に、スイッチ14A,14Bを制御し、需要者負荷を供給ルート30に接続するから、引用発明の「エネルギー供給者選択装置1の動作」は、需要者負荷を供給ルート30に接続するための方法であるといえる。
ウ 前記ア~イ及び前記(2)で言及した事項を踏まえると、引用発明の「エネルギー供給者選択装置1の動作」は、後述する相違点を除き、本願発明の「電力供給制御システムにおける、前記負荷および前記供給源のうちの少なくとも一方を前記電気網に接続するための方法」に相当する。
(4)本願発明の「前記方法は、前記パラメータのうちの少なくとも一つに関連するリアルタイムデータを遠隔データレポジトリから取り出すステップと、」について
ア 引用発明では、エネルギー供給者選択装置1の動作として、「収集手段11は、通信手段16を介して、各電力会社から電力(量)の料金単価、及び電力発電時に排出する二酸化炭素排出量」を、「リアルタイムで収集(例えば、毎日所定の時刻に収集)」している。
イ 引用発明における、「リアルタイムで収集」した「電力(量)の料金単価、及び電力発電時に排出する二酸化炭素排出量」は、リアルタイムデータといえるものであり、前記(1)で言及した事項を踏まえると、本願発明の「前記パラメータのうちの少なくとも一つに関連するリアルタイムデータ」に相当するといえる。
ウ 引用発明における、「リアルタイムで収集」は、例えば、毎日所定の時刻に収集するものであるから、「A社20A及びB社20B」にアクセスして「電力(量)の料金単価、及び電力発電時に排出する二酸化炭素排出量」を取り出すものといえる。そして、「A社20A及びB社20B」は、「電力(量)の料金単価、及び電力発電時に排出する二酸化炭素排出量」を保存・保管しておく手段を当然備えるものと解され、当該保存・保管する手段は、本願発明の「遠隔データレポジトリ」に相当する。
エ 前記ア~ウで言及した事項を踏まえると、前記アの引用発明の「エネルギー供給者選択装置1の動作」は、本願発明の「前記パラメータのうちの少なくとも一つに関連するリアルタイムデータを遠隔データレポジトリから取り出すステップ」に相当する。
(5)本願発明の「前記リアルタイムデータおよび少なくとも一つの所定条件に基づき、一つの電力計器を接続して他の電力計器を切断するために、前記スイッチングユニットを動作させるステップと、を備え、」について
ア 引用発明では、エネルギー供給者選択装置1の動作として、「モード選択手段12は、需要者が負担するコストを軽減させることを優先するコスト優先モード、又は需要者が生じる二酸化炭素排出量を削減することを優先する環境負荷削減モードから、需要者の選択に基づいて1のモードを選択し、」「供給者選択手段13は、収集した料金単価及び二酸化炭素排出量をパラメータとして、選択されたモードに基づいて電力の供給を受ける電力会社を選択し、供給者選択手段13により電力の供給を受ける電力会社が選択されると、エネルギー供給者選択装置1はスイッチ14A,14Bを制御し、選択した電力会社から電力の供給を受け」ている。
イ 前記アによれば、引用発明では、収集した料金単価及び二酸化炭素排出量、及び、選択されたモードに基づき、スイッチ14A,14Bを制御させるといえる。
ウ 引用発明の「モード」は、需要者が負担するコストを軽減させることを優先する、または、需要者が生じる二酸化炭素排出量を削減することを優先するといった、ある種の条件であるから、本願発明の「所定条件」に相当する。
エ 引用発明の「スイッチ14A,14Bを制御」は、選択した電力会社に対応するスイッチ14Aまたはスイッチ14Bをオン(閉)にすることである。また、選択する電力会社は、A社20A及びB社20Bのうちのいずれか一方であるから、選択しなかった電力会社に対応するスイッチ14Aまたはスイッチ14Bがオフ(開)になることは、自明である。そして、スイッチ14A及びスイッチ14Bは、それぞれ、計量器15A及び計量器15Bに接続されているから、引用発明の「スイッチ14A,14Bを制御」は、一つの計量器を接続して他の計量器を切断するためであるといえる。
オ 前記ア~エ及び前記(1)~(4)で言及した事項を踏まえると、前記アの引用発明の「エネルギー供給者選択装置1の動作」は、本願発明の「前記リアルタイムデータおよび少なくとも一つの所定条件に基づき、一つの電力計器を接続して他の電力計器を切断するために、動作させるステップ」を含むものであるといえる。
カ 前記オで言及した事項を踏まえると、本願発明と引用発明とは、「前記リアルタイムデータおよび少なくとも一つの所定条件に基づき、一つの電力計器を接続して他の電力計器を切断するために、動作させるステップと、を備え」る点で共通する。
(6)本願発明の「前記スイッチングユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、動作される、」について
ア 本願発明でいう「前記スイッチングユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、動作される」点は、引用文献1には開示されていない。
2 一致点及び相違点
前記(1)~(6)で言及した事項を踏まえると、本願発明と引用発明は、次の点で一致する。
<一致点>
「種々のパラメータを有する異なる供給体制にそれぞれ関連付けられた少なくとも二つの電力計器と、電気網と負荷/供給源との間の前記少なくとも二つの電力計器のうちの各電力計器を個別に接続するように構成されたものと、を備える電力供給制御システムにおける、前記負荷および前記供給源のうちの少なくとも一方を前記電気網に接続するための方法であって、前記方法は、
前記パラメータのうちの少なくとも一つに関連するリアルタイムデータを遠隔データレポジトリから取り出すステップと、
前記リアルタイムデータおよび少なくとも一つの所定条件に基づき、一つの電力計器を接続して他の電力計器を切断するために、動作させるステップと、
を備える、
方法」
そして、本願発明と引用発明は、次の点で相違する。
<相違点1>
本願発明では、「スイッチングユニット」を備えるのに対し、引用発明では、スイッチ14A及びスイッチ14Bを備えるものの、それらをまとめた「ユニット」について特定されていない点。
上記に付随して、本願発明では、一つの電力計器を接続して他の電力計器を切断するために、「スイッチングユニット」を動作させるのに対し、引用発明では、一つの計量器を接続して他の計量器を切断するために、スイッチ14A及びスイッチ14Bを動作させるものの、「ユニット」について特定されていないために、「スイッチングユニット」を動作させていない点。
<相違点2>
本願発明では、「前記スイッチングユニットは、シームレスな切換えを達成するために、前記少なくとも二つの電力計器のうちの一つを、他の電力計器を切断する前に接続するように、動作される」のに対し、引用発明では、スイッチ14A及びスイッチ14Bがそのように動作されていない点。
第7 判断
1 相違点1について
電気機器の分野において、複数の素子をまとめて「ユニット」とすることは、文献を挙げるまでもなく周知慣用な技術である。
そうすると、引用発明において、スイッチ14A及びスイッチ14Bをまとめて「スイッチングユニット」とすることは、当業者が適宜なし得ることである。
上記に伴い、引用発明において、スイッチ14A及びスイッチ14Bをまとめた「スイッチングユニット」は、一つの計量器を接続して他の計量器を切断するために、動作することは明らかである。
また、これによる効果も当業者が予測できる範囲のものである。
2 相違点2について
引用発明は需要家への電力供給に関する分野に属するものであり、前記第5の3で示したとおり、需要家への電力供給に関する分野において「需要家において短時間の停電も許されないこと」(周知事項2)は周知な課題であることを鑑みると、引用発明においても、当該周知な課題を解決するための手段として、前記第5の2で示したとおり、「瞬断を防ぐために、二つのスイッチがともにオンされている期間を設けること」(周知事項1)は周知技術であるから、引用発明に当該周知技術を適用し、スイッチ14A及びスイッチ14Bがともにオンされている期間を設けることは、当業者が容易になし得ることである。
上記に伴い、スイッチ14A及びスイッチ14Bは、シームレスな切換えを達成するために、二つの計量器のうちの一つを、他の計量器を切断する前に接続するように、動作されることは明らかである。
「スイッチングユニット」については、前記「1 相違点1について」で言及したとおりである。
また、これによる効果も当業者が予測できる範囲のものである。
3 小括
したがって、本願発明は、引用発明、周知事項、及び、周知慣用な技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
4 請求人の主張
(1)審判請求書における主張について
審判請求書における主張は、本件補正によって補正された特許請求の範囲の記載に基づくものであると、理解できる。
しかしながら、本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、審判請求書における主張は、特許請求の範囲の記載に基づくものではないものとなった。
よって、審判請求書における主張は、採用できない。
(2)令和3年2月24日の意見書における主張について
請求人は、同意見書において、前記相違点2について、「引用文献2から4は、無停電電源装置およびそのスイッチングの技術に関するものであります。無停電電源装置におけるスイッチング動作は、必然的に中断することなく行われる必要があります。したがって、引用文献2から4に開示されたスイッチングが、このような性質を有することは、驚くべきことではありません。しかし、電力供給のメータリングを行う本願の当業者が、無停電電源装置のスイッチングソリューションを検討するとは思えません。提案された文献の組み合わせは、不適切な後知恵を用いて、すなわち、本発明の知識を用いて類似の解決策を検索したことによって検出されたものと思料します。
本発明の特許性は、シームレススイッチの提供ではありません。そのようなスイッチは、それ自体知られております。本発明の特許性は、二つの電力計器を用いる電力計システムに対してそのようなスイッチングアプローチを含めたことにあり、これは予期されたものではありません。したがって、本願は、これらの引用文献に基づいて否定されるべきものではないと思料します。」と主張する。
しかしながら、前記「2 相違点2について」で述べたとおり、引用発明は、需要家への電力供給に関する分野に属し、「需要家において短時間の停電も許されないこと」という周知な課題を有しているといえ、また、「瞬断を防ぐために、二つのスイッチがともにオンされている期間を設けること」が周知技術であることから、これらに触れた、需要家への電力供給に関する分野における当業者が引用発明に当該周知技術を適用することは、当業者の通常の創作能力の発揮であって、不適切な後知恵を用いたものであるとはいえない。
よって、同意見書における主張は、採用できない。
第8 むすび
前記第7のとおりであるから、本願発明は、引用発明、周知事項、及び、周知慣用な技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-015297