特許拒絶査定不服審判
2021-009379
消費者装置内のUVモジュール
- 審判番号
- 2021-009379
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-561553外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月14日
- 審決日
- 2022年09月29日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
- 【請求人代理人】柴田 沙希子
- 分類
- P18 .121-Z (A61L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第1項第4号、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-561553「消費者装置内のUVモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月30日国際公開、WO2017/202508、令和 1年 6月20日国内公表、特表2019-516514〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)2月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年5月24日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和2年1月28日に手続補正書が提出され、同年9月8日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内(延長3月)の令和3年3月1日に意見書及び手続補正書が提出され、同年3月15日付けで拒絶査定がなされ(謄本送達は同月22日)、これに対して、同年7月14日に拒絶査定不服の審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 令和3年7月14日付け手続補正についての補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年7月14付け手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の内容
特許法第17条の2第1項第4号に該当する手続補正である令和3年7月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするものであって、そのうち請求項1についての補正は以下のとおりである。
(1)本件補正前の請求項1(すなわち、令和3年3月1日付け手続補正書の請求項1)
「 【請求項1】
UV-C浄化装置であって、
気体、液体若しくは固体状又はこれらの組み合わせの流体にUV-C光を当てるための1つ以上のUV-C LEDモジュールであって、各モジュールが、
底面及び上面を有するプリント回路基板(PCB)と、
前記プリント回路基板上に配置された1つ以上のUV-C LEDと、
1つ以上のUV-C透過性窓要素と、
を有し、
前記1つ以上のUV-C LEDが前記1つ以上のUV-C透過性窓要素と光学的に連通しており、
前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は、更に、上面、側面、及び前記プリント回路基板及び前記1つ以上のUV-C LEDをカプセル化する中空中央部分を更に有し、前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は、取り外し可能で交換可能である、
UV-C浄化装置。」
(2)本件補正後の請求項1(すなわち、令和3年7月14日付け手続補正書の請求項1)
「 【請求項1】
UV-C浄化装置であって、
気体、液体若しくは固体状又はこれらの組み合わせの流体にUV-C光を当てるための1つ以上のUV-C LEDモジュールであって、各モジュールが、
底面及び上面を有するプリント回路基板(PCB)と、
前記プリント回路基板上に配置された1つ以上のUV-C LEDと、
1つ以上のUV-C透過性窓要素と、
を有し、
前記1つ以上のUV-C LEDが前記1つ以上のUV-C透過性窓要素と光学的に連通しており、
前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は上面と側面と中空中央部分を有すると共に、前記プリント回路基板の少なくとも一部と前記1つ以上のUV-C LEDとを密封し、取り外し可能で交換可能である、
UV-C浄化装置。」
2.補正の適否
本件補正の前後の両請求項を対比すると、本件補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素」なる事項について、「更に、上面、側面、及び前記プリント回路基板及び前記1つ以上のUV-C LEDをカプセル化する中空中央部分を更に有し」との特定事項を「上面と側面と中空中央部分を有すると共に、前記プリント回路基板の少なくとも一部と前記1つ以上のUV-C LEDとを密封し」とするものである。
ここで、上記補正前の用語である「カプセル化」について、本願明細書【0045】の「図6は、気体、液体若しくは固体状又はこれらの組み合わせの流体にUV-C光を当てるためのUV-C LEDモジュール10の第3の例を示す。UV-Cチップ12は、PCB18上に配置され、半透明窓要素14と光学的に連通している。更に、この例では、半透明窓要素14は、UV-Cチップ12と、PCB18の上面21及び側面32を囲み、カプセル化している。」、【0046】の「図7は、気体、液体又は固体状又はこれらの組み合わせの流体にUV-C光を当てるためのUV-C LEDモジュールの第4の例を示す。UV-Cチップ12は、PCB18上に配置され、半透明窓要素14と光学的に連通している。更に、この例では、半透明窓要素14は、UV-Cチップ12、PCB18の上面21、側面32及び底面33を囲み、カプセル化する。」及び【0047】の「図8は、気体、液体若しくは固体状又はこれらの組み合わせの流体にUV-C光を当てるためのUV-C LEDモジュールの第5の例を示す。UV-Cチップ12は、PCB18上に配置され、UV-C透過性窓要素14と光学的に連通している。更に、この例では、UV-C透過性窓要素14は、UV-Cチップ12と、PCB18の上面21と、PCBハウジング37の上面38、及び側面38の少なくとも一部とを囲みカプセル化する。」と記載され、「カプセル化」は、透過性窓要素14が対象物を囲むことを意味するから、本願明細書の図6~8の態様が、「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は、更に、上面、側面、及び前記プリント回路基板及び前記1つ以上のUV-C LEDをカプセル化する」に含まれ、一方、図5の態様のものは、半透明窓要素14は、UV-Cチップ12と、PCB18を囲んでいないから、「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は、更に、上面、側面、及び前記プリント回路基板及び前記1つ以上のUV-C LEDをカプセル化する」に含まれないこと解される。
そして、上記補正後の用語である「密封」については、本願明細書【0030】に「LEDモジュールは湿気の多い状態でも水中でも作動可能でなければならないので、UV-C透過性要素は2つの重要な機能を果たす。第1に、これはLEDからのUVCの放出を可能にし、第2にこれは封止機能を提供する。この封止は、モジュールと固定位置(例えば消毒される空間を含むリザーバ壁)との間の漏れ止め密封(a leak tight seal)であってもよく、及び/又は封止はLED、PCB及び浄化されるべき流体の間にあっても良い。」と記載され、「密封」は、すきまのないように、厳重に封をすることであるから、本願明細書の図6~図8の態様が、「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は上面と側面と中空中央部分を有すると共に、前記プリント回路基板の少なくとも一部と前記1つ以上のUV-C LEDとを密封し」に含まれ、加えて、図5の態様においても、半透明窓要素14は、UV-Cチップ12と、PCB18の上面21の一部をすきまのないように封をしているから、「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は上面と側面と中空中央部分を有すると共に、前記プリント回路基板の少なくとも一部と前記1つ以上のUV-C LEDとを密封し」に含まれるといえる。
そうすると、上記補正により、補正前の「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は、更に、上面、側面、及び前記プリント回路基板及び前記1つ以上のUV-C LEDをカプセル化する」に含まれない図5の態様が、補正後の「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は上面と側面と中空中央部分を有すると共に、前記プリント回路基板の少なくとも一部と前記1つ以上のUV-C LEDとを密封し」に含まれることとなるから、「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素」なる事項についてする補正により、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明から拡張されているといえるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、本件補正が、同法第17条の2第5項第1、3及び4号にそれぞれ掲げる請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれにも該当しないことは明らかである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものにも該当しない。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1.本願発明
上記第2のとおり、本件補正は却下されたので、本願発明は、令和3年3月1日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1~13に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2、1.(1)に示したとおりである。
2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、「令和2年9月8日付け拒絶理由通知書に記載した理由1」であって、要するに、この出願の請求項1~13に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
そして、該拒絶の理由において引用された刊行物は次のとおりである。
<引用文献等一覧>
引用文献1:韓国公開特許第10-2015-0008772号公報
3 引用文献及びその記載事項
原査定で引用された本願優先日前に頒布された引用文献1には、次の記載がある。なお、摘記事項の後ろに当審の仮訳を掲載した。
(1a)「
[図:0001394450000001.jpg]
」
特許請求情報
請求項1
発光ダイオード照明装置において、回路基板;前記回路基板に装着されて、刺光線を発生させる照明用発光ダイオード;前記回路基板に装着されて、紫外線を発生させる紫外線発光ダイオード;を含むことを特徴とする発光ダイオード照明装置
(1b)「
[図:0001394450000002.jpg]
」
[0020]図1ないし図3を参照すると、本発明の望ましい実施例による発光ダイオード照明装置(100)は、発光ダイオード(LED;light emitting diode)を光源で利用する照明装置として、ハウジング(10)と、回路基板(20)と、照明用発光ダイオード(30)と、紫外線発光ダイオード(40)と、レンズ(50)と、コネクタ(60)を含んで構成される。
(1c)「
[図:0001394450000003.jpg]
・・・
[図:0001394450000004.jpg]
」
[0045]前記レンズ(50)は、透明または半透明材質の半球型レンズとして、前記照明用発光ダイオード(30)及び紫外線発光ダイオード(40)から発光される光を透過させることができる部材である。
・・・
[0047]前記レンズ(50)は、前記上部ケース(11)の開口部(17)に装着されて、下段部には下方に突出されている第2係止突起(51)が複数個形成されている。
[0048]前記第2係止突起(51)は、前記上部ケース(11)の半径方向に曲げられる弾性変形が可能な部材として前記開口部(17)に挿入されて、末端には前記上部ケース(11)の半径方向に突出されている係止爪(511)が形成されている。
[0049]前記第2係止突起(51)は前記レンズ(50)を前記上部ケース(11)方向に加圧する時弾性変形されて、前記係止爪(511)は前記上部ケース(11)の内周面に形成された第2係止溝(15)にお互いに分離可能に挿入してかかるようになる部分である。
[0050]本実施例では、前記第2係止突起(51)と前記第2係止溝(15)の結合によって、前記レンズ(50)と前記上部ケース(11)のスナップフィット(snap-fit)結合が具現されている。
(1d)「
[図:0001394450000005.jpg]
」
[0059]上述した構成の発光ダイオード照明装置(100)は、回路基板(20)と、前記回路基板(20)に装着されて可視光では(VR)を発生させる照明用発光ダイオード(30)と、前記回路基板(20)に装着されて紫外線(UV)を発生させる紫外線発光ダイオード(40)を含んでいるので、前記収納用ボックス(B)内部に収納された手袋やめがねなどの被照明物に付着した細菌を殺菌する殺菌機能と合わせて照明機能を有する長所がある。
(1e)「
[図:0001394450000006.jpg]
[図:0001394450000007.jpg]
[図:0001394450000008.jpg]
[図:0001394450000009.jpg]
[図:0001394450000010.jpg]
[図:0001394450000011.jpg]
[図:0001394450000012.jpg]
[図:0001394450000013.jpg]
」
図面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
4 引用文献1に記載された発明
引用文献1には、発光ダイオード照明装置(100)は、発光ダイオード(LED;light emitting diode)を光源で利用する照明装置として、ハウジング(10)と、回路基板(20)と、照明用発光ダイオード(30)と、紫外線発光ダイオード(40)と、レンズ(50)と、コネクタ(60)を含んで構成されることが、記載され(摘記1b参照。)、前記レンズ(50)は、透明または半透明材質の半球型レンズとして、前記照明用発光ダイオード(30)及び紫外線発光ダイオード(40)から発光される光を透過させることができる部材であること、上部ケース(11)の開口部(17)に装着されて、下段部には下方に突出されている第2係止突起(51)が複数個形成され、前記第2係止突起(51)は、前記上部ケース(11)の半径方向に曲げられる弾性変形が可能な部材として前記開口部(17)に挿入されて、末端には前記上部ケース(11)の半径方向に突出されている係止爪(511)が形成され、前記第2係止突起(51)は前記レンズ(50)を前記上部ケース(11)方向に加圧する時弾性変形されて、前記係止爪(511)は前記上部ケース(11)の内周面に形成された第2係止溝(15)にお互いに分離可能に挿入してかかるようになる部分であり、前記第2係止突起(51)と前記第2係止溝(15)の結合によって、前記レンズ(50)と前記上部ケース(11)のスナップフィット(snap-fit)結合が具現されていることが、記載され(摘記1c参照)、発光ダイオード照明装置(100)は、収納用ボックス(B)内部に収納された手袋やめがねなどの被照明物に付着した細菌を殺菌する殺菌機能を有することが、記載され(摘記1d参照)、紫外線発光ダイオード(40)は回路基板(20)上に配置され、回路基板(20)は底面及び上面を有することが、記載されているから(摘記1e参照)、
「ハウジング(10)と、回路基板(20)と、照明用発光ダイオード(30)と、紫外線発光ダイオード(40)と、レンズ(50)と、コネクタ(60)を含んで構成される発光ダイオード照明装置(100)であって、
回路基板(20)は底面及び上面を有し、
紫外線発光ダイオード(40)は回路基板(20)上に配置され、
前記レンズ(50)は、透明または半透明材質の半球型レンズとして、前記照明用発光ダイオード(30)及び紫外線発光ダイオード(40)から発光される光を透過させることができる部材であること、上部ケース(11)の開口部(17)に装着されて、下段部には下方に突出されている第2係止突起(51)が複数個形成され、前記第2係止突起(51)は、前記上部ケース(11)の半径方向に曲げられる弾性変形が可能な部材として前記開口部(17)に挿入されて、末端には前記上部ケース(11)の半径方向に突出されている係止爪(511)が形成され、前記第2係止突起(51)は前記レンズ(50)を前記上部ケース(11)方向に加圧する時弾性変形されて、前記係止爪(511)は前記上部ケース(11)の内周面に形成された第2係止溝(15)にお互いに分離可能に挿入してかかるようになる部分であり、前記第2係止突起(51)と前記第2係止溝(15)の結合によって、前記レンズ(50)と前記上部ケース(11)のスナップフィット(snap-fit)結合が具現され、
発光ダイオード照明装置(100)は、収納用ボックス(B)内部に収納された手袋やめがねなどの被照明物に付着した細菌を殺菌する殺菌機能を有する発光ダイオード照明装置(100)。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「回路基板(20)は底面及び上面を有し」は本願発明の「底面及び上面を有するプリント回路基板(PCB)」に相当する。
引用発明の「紫外線」は、UVの限りにおいて、本願発明の「UV-C」と一致し、引用発明の「紫外線発光ダイオード(40)」は、「UV LED」である限りにおいて、本願発明の「UV-C LED」と一致するから、引用発明の「紫外線発光ダイオード(40)は回路基板(20)上に配置され」は本願発明の「前記プリント回路基板上に配置された1つ以上のUV LED」に相当する。
引用発明の「レンズ(50)」及び「前記レンズ(50)は、透明または半透明材質の半球型レンズとして、前記照明用発光ダイオード(30)及び紫外線発光ダイオード(40)から発光される光を透過させることができる部材である」について、半球型であっても、上面、側面を有していることが明らかであり、半球型の内部は中空中央部分であるといえるし、レンズ(50)は上部ケース(11)とともに回路基板(20)及び紫外線発光ダイオード(40)を囲っているから(摘記1e参照)、本願発明の「1つ以上のUV透過性窓要素」、「前記1つ以上のUV LEDが前記1つ以上のUV透過性窓要素と光学的に連通しており」及び「前記1つ以上のUV透過性窓要素は、更に、上面、側面、及び前記プリント回路基板及び前記1つ以上のUV LEDをカプセル化する中空中央部分を更に有し」に相当する。
引用発明の「前記レンズ(50)」及び「上部ケース(11)の開口部(17)に装着されて、下段部には下方に突出されている第2係止突起(51)が複数個形成され、前記第2係止突起(51)は、前記上部ケース(11)の半径方向に曲げられる弾性変形が可能な部材として前記開口部(17)に挿入されて、末端には前記上部ケース(11)の半径方向に突出されている係止爪(511)が形成され、前記第2係止突起(51)は前記レンズ(50)を前記上部ケース(11)方向に加圧する時弾性変形されて、前記係止爪(511)は前記上部ケース(11)の内周面に形成された第2係止溝(15)にお互いに分離可能に挿入してかかるようになる部分であり、前記第2係止突起(51)と前記第2係止溝(15)の結合によって、前記レンズ(50)と前記上部ケース(11)のスナップフィット(snap-fit)結合が具現され」は、本願発明の「前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は、取り外し可能で交換可能である」に相当する。
引用発明の「収納用ボックス(B)内部に収納された手袋やめがねなどの被照明物に付着した細菌を殺菌する殺菌機能を有する発光ダイオード照明装置(100)」は、収納用ボックス(B)内部の空気にも紫外線を照射するものであることが明らかであるから(摘記1e参照)、本願発明の「UV化装置であって、
気体、液体若しくは固体状又はこれらの組み合わせの流体にUV光を当てるための
1つ以上のUV LEDモジュール」に相当する。
そうすると、本願発明と引用発明は「UV浄化装置であって、
気体、液体若しくは固体状又はこれらの組み合わせの流体にUV光を当てるための1つ以上のUV LEDモジュールであって、各モジュールが、
底面及び上面を有するプリント回路基板(PCB)と、
前記プリント回路基板上に配置された1つ以上のUV LEDと、
1つ以上のUV透過性窓要素と、
を有し、
前記1つ以上のUV LEDが前記1つ以上のUV-C透過性窓要素と光学的に連通しており、
前記1つ以上のUV透過性窓要素は、更に、上面、側面、及び前記プリント回路基板及び前記1つ以上のUV LEDをカプセル化する中空中央部分を更に有し、前記1つ以上のUV透過性窓要素は、取り外し可能で交換可能である、
UV浄化装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点>
UVが、本願発明ではUV-Cであるのに対し、引用発明ではUV-Cと特定されていない点。
(2)相違点についての検討
引用発明の「発光ダイオード照明装置(100)」は、「収納用ボックス(B)内部に収納された手袋やめがねなどの被照明物に付着した細菌を殺菌する殺菌機能を有する」ものとされている。
そして、UV-Cは、UV(紫外線)の中でも波長が短い100~280nmの光で、他の紫外線に比較し高い除菌効果があることは、出願時の技術常識である。
そうすると、引用発明において、UVとして他の紫外線に比較し高い除菌効果があるUV-Cを採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
(3)本願発明の効果について
本願明細書の記載からみて、本願発明により奏される効果が、引用発明と比較して、当業者の予測できない顕著なものであるとはいえない。
(4)審判請求人の主張及び当審の判断
ア 上記意見書による主張
審判請求人は、上記意見書において「本願発明は、「改善された光抽出効率を有するUV-C LEDパッケージを含むUV-CLED流体浄化装置が望まれており、これにより、当該装置に如何なる増大されたかさ又は重量を追わせることなく、かつ、全体の動作コストも著しく増大させることなく、増大された光強度の能力を可能にする」という技術的課題に対処し、「適切な封止を依然として提供しながら、追加の工具を使用することなくモジュールを所望の位置に簡単に適合させることができる」という技術的に有利な効果を実現しているものであります(本願明細書の段落0002~0005及び0029~0030等)。」と主張する。
イ 当審の判断
しかし、「封止」や「密封」については、本願明細書の段落0030に「LEDモジュールは湿気の多い状態でも水中でも作動可能でなければならないので、UV-C透過性要素は2つの重要な機能を果たす。第1に、これはLEDからのUVCの放出を可能にし、第2にこれは封止機能を提供する。この封止は、モジュールと固定位置(例えば消毒される空間を含むリザーバ壁)との間の漏れ止め密封(a leak tight seal)であってもよく、及び/又は封止はLED、PCB及び浄化されるべき流体の間にあっても良い。」との記載があるものの、「カプセル化」については、本願明細書の段落0045~0047に「半透明窓要素14は、UV-Cチップ12と、PCB18・・・を囲み、カプセル化している。」と記載されており、要は、半透明要素14で対象物を囲むことを「カプセル化」と称している。そして、本願発明において、「UV-C透過性窓要素は、更に、上面、側面、及び前記プリント回路基板及び前記1つ以上のUV-C LEDをカプセル化する中空中央部分を更に有し、前記1つ以上のUV-C透過性窓要素は、取り外し可能で交換可能である」と特定されるのみであり、必ずしも、封止・密封機能を提供できるような事項を備えているとはいえないから、そのような事項を備えることが特定されていない本願発明の効果とはいえない。
また、本願明細書の段落0029の「UV-C透過性窓要素は、PCBをカプセル化するための上面及び側面並びに中空中央部分を有してもよく、側面は、更に、溝を含むことができる。当該溝は、気体、液体若しくは固体状又はこれらの組み合わせの流体を収容するリザーバの側壁内へのモジュールの簡単な適合を可能にするためのものである。・・・これは、適切な封止を依然として提供しながら、追加の工具を使用することなくモジュールを所望の位置に簡単に適合させることができるので有利である。」との記載から、上記効果は、UV-C透過性窓要素の側面に溝を設けることにより、リザーバの側壁内へのモジュールの簡単な適合を可能にするものであり、側面に溝を含むことが特定されていない本願発明の効果とはいえない。
そうすると、審判請求人の上記主張は採用できない。
(5)小括
以上検討のとおり、本願発明は、引用発明及び出願時の技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-009379