特許拒絶査定不服審判
2020-010752
携帯用滅菌装置及びその使用方法
- 審判番号
- 2020-010752
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-575606外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年08月03日
- 審決日
- 2022年11月24日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】プログレッシブ スターリライゼイション,エルエルシー
- 【請求人代理人】特許業務法人白坂
- 分類
- P18 .121-WZ (A61L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2016-575606「携帯用滅菌装置及びその使用方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月 8日国際公開、WO2015/153084、平成29年 6月 8日国内公表、特表2017-514638〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月10日(パリ条約に基づく優先権主張外国庁受理 2014年3月10日 2014年9月22日 いずれもアメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 2月13日 :手続補正書の提出
平成30年 3月 9日 :手続補正書の提出
平成31年 3月19日付け:拒絶理由通知
令和 1年 9月26日 :手続補正書、意見書の提出
令和 2年 2月26日付け:拒絶査定
同年 8月 3日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年12月23日付け:補正の却下の決定
(令和2年8月3日提出の手続補正書による補正を却下)
同年 同月 同日付け:拒絶理由通知
同年 2月24日 :手続補正書、意見書の提出
同年 6月16日付け:拒絶理由通知(最後の拒絶理由)
(新規事項の追加及び明確性、先の拒絶理由を留保)
同年 8月30日 :手続補正書、意見書の提出
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1ないし19に係る発明は、令和4年8月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
なお、令和4年8月30日に提出された手続補正書による補正は、特許請求の範囲についての明瞭でない記載の釈明を目的とするものとして認容した。
【請求項1】
滅菌及び保管する装置であって、
最低点に液体を向かわせるよう構成された床部を備えた内部チャンバを有する滅菌キャビネットを規定する底部パネル、上部パネル、2つの側方パネル、背面パネル、及びドアと、
フィルタドアに形成される複数の穿孔部と、
前記複数の穿孔部を被覆するフィルタと、
前記床部の最低点に配置形成され、熱を維持し、流入する液体の蒸発を向上する材料から形成される凹部であって、前記凹部の上方のスクリーン床部をさらに備え、前記スクリーン床部は前記フィルタを支持する剛性プラットフォームを有する少なくとも1つの排出開口と、を備える装置。
第3 拒絶の理由
令和3年12月23日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「拒絶理由」という。)は、同日付けで令和2年8月3日付けの手続補正について補正の却下の決定を行っているので、令和1年9月26日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲に対する、概略次の拒絶理由を含むものである。
本願請求項1~19に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記引用文献1又は2に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2010/128408号
2.特表平7-505798号公報
3.省略
4.特開平6-146363号公報
5~15.省略
第4 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には次の記載がある。
・「[0045] Turning now to the invention, exemplary embodiments provide a mobile apparatus comprising a cabinet 2 that has at least one door 14 and at least one shelve 70 capable of admitting at least one surgical tray 80. After at least one surgical tray 80 is loaded into cabinet 2, the mobile apparatus 1 is inserted into an autoclave and sterilized.Then cabinet 2 may be rolled on wheels 104 into storage or directly into an operating room where its surgical tray(s) 80 are removed and used as required, thus avoiding the necessity of protective wraps and redundant chemical indicators. Alternative embodiments disclose a transport and sterilization cart that is used to transport the cabinet 2 into storage or into an operating room. 」
(本発明に目を向けると、例示的実施例は、少なくとも1つのドア14及び少なくとも1つの手術トレイ80を受容できる少なくとも1つの棚70を有するキャビネット2を含む移動装置を示す。少なくとも1つの手術トレイ80がキャビネット2に積み込まれた後、移動装置1はオートクレーブに挿入され、滅菌される。それからキャビネット2はホイール104で収納庫に運ばれるか、又は、保護ラップや冗長な化学指標を避けるため、手術トレイ80が要求に応じて取り出され使用される手術室に直接運ばれうる。代替的実施例は、キャビネット2を収納庫又は手術室に輸送する輸送滅菌カートを開示する。)
・「[0046] FIG 1 is a front elevated isometric view of the mobile apparatus 1 with its doors 14 open. FIG 2 is a front elevated isometric view of mobile apparatus 1 with its doors 14 closed. The mobile apparatus 1 includes cabinet 2. Cabinet 2 comprises cabinet roof 4, cabinet sides 6, cabinet back 8, cabinet front 10, and cabinet floor 16. Cabinet front 10 contains cabinet front aperture 12, and at 1east one door 14 sized to cover cabinet front aperture 12. 」
(図1はドア14が開かれた移動装置1の前上方からの等尺図である。図2はドア14が閉じられた移動装置1の前上方からの等尺図である。移動装置1はキャビネット2を含む。キャビネット2はキャビネット屋根部4、キャビネット側面部6、キャビネット背面部8、キャビネット前面部10、キャビネット床部16からなる。キャビネット前面部10はキャビネット前面開口12を含み、少なくとも1つのドア14はキャビネット前面開口12を覆う大きさに形成されている。)
・「[0051] According to some of the embodiments, the cabinet floor 16 contains a plurality of cabinet floor vents 50 arranged into groups. As may also be observed in FIG 7, each group of cabinet floor vents 50 is covered by filter 32 held in place by filter retainer 26.Each filter retainer 26 has a plurality of filter retainer vents 28 to allow passage of air through filter retainer 26, filter 32, and floor vents 50.」
(いくつかの実施例によると、キャビネット床部16はグループ毎に配列された複数のキャビネット床穿孔部50を含んでいる。図7にも見られるように、キャビネット床穿孔部50の各グループは、フィルタ保持具26により所定位置に保持されるフィルタ32によって覆われている。各フィルタ保持具26は複数のフィルタ保持具穿孔部28を有しており、フィルタ保持具26、フィルタ32、床穿孔部50を通して空気が通過できるようになっている。)
・「[0064] FIG 10 is a front cross-sectional view of mobile apparatus 1 inside autoclave 98, showing air flow through cabinet 2. Due to the steam content of air within autoclave 98, heated steam and air flows through filter retainer 26, filter 32 and roof vents 20 into cabinet 2, as indicated by arrows 100 in FIG. 10. Within cabinet 2, the heated steam and air sterilize the interior of cabinet 2 and its contents and surgical tray(s) 80 and their contents. The surgical tray(s) 80 are on shelf 70 supported by shelf supports 60. Hot autoclave air, steam, andcondensed water then exit cabinet 2 via floor vents 50, as indicate by arrows 102 in FIG 10. The cabinet 2 includes wheels 104.」
(図10は、オートクレーブ98内にある移動装置1の前方断面図であり、キャビネット2を通る空気流を示している。オートクレーブ内の空気の水蒸気成分により、熱された水蒸気と空気がフィルタ保持具26、フィルタ32、屋根穿孔部20を通じてキャビネット2内に流れ込み、熱された水蒸気と空気はキャビネット2内部及びその内容物、並びに手術トレイ80及びその内容物を滅菌する。手術トレイ80は棚サポート60に支持された棚70上にある。図10において矢印102で示されるように、熱いオートクレーブの空気、水蒸気、そして凝結水は、床穿孔部50を通してキャビネット2から出て行く。)
・「[0079] While the drawings depict threaded studs 22 extending a way from an outer surface of cabinet 2, and filters 32, filter retainers 26 and nuts 24 outside cabinet 2, it is intended to fall within the scope of this disclosure that threaded studs 22, filters 32, filter retainers 26 and nuts 24 may be disposed within cabinet 2. For example, in this embodiment in the case of the filters 32 covering floor vents 50, threaded studs 22 extend upwards from cabinet floor 16, and nuts 24 hold retainer down on filter 32, thus holding filter 32 in contact with cabinet floor 16 over floor vents 50, as shown in FIG 12.
[0080] FIG 12 is a front elevated isometric view of another mobile apparatus 201 with its doors 214 open. The filter retainers 226 and nuts 224 of mobile apparatus 201 are shown over the floor vents in the cabinet floor 216. In FIG 12, door closure members 237 are shown coupled to the cabinet front 210. The mobile apparatus 201 includes wheels 244.」
(図面は、キャビネット2の外表面から飛び出しているネジ山スタッドと、キャビネット2の外側にあるフィルタ32、フィルタ保持具26、ナット24を描写しているが、ネジ山スタッド22、フィルタ32、フィルタ保持具26及びナット24はキャビネット2内に配置されてもよいことが本開示の範囲に含まれることを意図している。例えば、図12に示されるように、フィルタ32が床穿孔部50を覆う場合の実施例においては、ネジ山スタッド22はキャビネット床部16から上方に延び、ナット24は保持具がフィルタ32を下向きに抑えるように保持し、したがってフィルタ32は床穿孔部50の上からキャビネット床部16に触れている。
図12は、そのドア214が開いた状態における移動装置201の前上方からの等尺図である。移動装置201のフィルタ保持具226とナット224がキャビネット床部216の床穿孔部を覆って示されている。図12では、ドア閉塞部材237がキャビネット前面210に取り付けられていることが示されている。移動装置201はホイール244を含んでいる。)
・「
[図:0001396548000001.jpg]
」(FIG.1)
・「
[図:0001396548000002.jpg]
」(FIG.2)
・「
[図:0001396548000003.jpg]
」(FIG.7)
・「
[図:0001396548000004.jpg]
」(FIG.12)
(2)引用文献1に記載された発明
(1)のとおり、[0045]には「少なくとも1つの手術トレイ80がキャビネット2に積み込まれた後、移動装置1はオートクレーブに挿入され、滅菌される。それからキャビネット2はホイール104で収納庫に運ばれるか、又は、保護ラップや冗長な化学指標を避けるため、手術トレイ80が要求に応じて取り出され使用される手術室に直接運ばれうる。」と記載されていることから、移動装置1が手術トレイを受容し滅菌、保管するものであることが示されている。
そうすると、引用文献1には、「手術トレイを受容し滅菌、保管する移動装置」、及び「移動装置が、内部空間を有するキャビネットを備える」ことが記載されているといえる。
そして、[0046]には「移動装置1はキャビネット2を含む。キャビネット2はキャビネット屋根部4、キャビネット側面部6、キャビネット背面部8、キャビネット前面部10、キャビネット床部16からなる。キャビネット前面部10はキャビネット前面開口12を含み、少なくとも1つのドア14はキャビネット前面開口12を覆う大きさに形成されている。」とキャビネット2の構成部材について説明されている。また、キャビネット2が手術トレイを受容する内部空間を有していることは明らかである。
そうすると、引用文献1には、「移動装置が、内部空間を有するキャビネット、キャビネット床部、キャビネット屋根部、キャビネット側面部、キャビネット背面部、ドアとを備える」ことが記載されているといえる。
図12には、キャビネット床部216及びドア214、並びに、キャビネット屋根部、キャビネット側面部、キャビネット背面部、キャビネット前面部を具備したキャビネット200が示されている。そして、[0079]~[0080]には「図12に示されるように、フィルタ32が床穿孔部50を覆う場合の実施例においては、ネジ山スタッド22はキャビネット床部16から上方に延び、ナット24は保持具がフィルタ32を下向きに抑えるように保持し、したがってフィルタ32は床穿孔部50の上からキャビネット床部16に触れている。([0079])」、「移動装置201のフィルタ保持具226とナット224がキャビネット床部216の床穿孔部を覆って示されている。([0080])」と記載されている。
そうすると図12に示された実施例のキャビネット200においても、「キャビネット床部に床穿孔部が形成される」こと、及び「フィルタ及びフィルタ保持具とで当該床穿孔部をキャビネット内部空間側から覆っている」ことが記載されているといえる。
また、[0051]には「図7にも見られるように、キャビネット床穿孔部50の各グループは、フィルタ保持具26により所定位置に保持されるフィルタ32によって覆われている。各フィルタ保持具26は複数のフィルタ保持具穿孔部28を有しており、フィルタ保持具26、フィルタ32、床穿孔部50を通して空気が通過できるようになっている。」と記載されており、これらの構成部材は他の実施例においても共通していると認められることから、図12に示された実施例のキャビネット200においても、「フィルタ保持具に複数のフィルタ保持具穿孔部が設けられている」ことが記載されているといえる。
以上のことから、図12に示された実施例の移動装置として、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明1>
手術トレイを受容し滅菌、保管する移動装置201であって、内部空間を有するキャビネット200、キャビネット床部216、キャビネット屋根部4、キャビネット側面部6、キャビネット背面部8、ドア214とを備え、キャビネット床部216には床穿孔部50が形成されるとともに、フィルタ32及び複数のフィルタ保持具穿孔部28が設けられたフィルタ保持具226とで床穿孔部50をキャビネット内部空間側から覆っている装置。
2.引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
引用文献2には次の記載がある。
・「実施例
本発明の好適な実施例及びその利点を添付図面の第1a図ないし第15図について詳細に説明する。これ等の図面では同様な又対応する部品に同様な参照数字を使ってある。
第1a図に示すように本発明による医療器具滅菌用の容器10は、ハウジング12及び取りはずしできるふた14を備えている。取りはずしできる受け皿(tray)16は、ハウジング12内に入れられ、検査鏡、鉗子、ピンセット、鋏等のような種種の医療器具を受けるようにしてある。
入口18は、水蒸気のような滅菌ガスが通過できるようにふた14に配置してある。入口18はその下側にフィルタを備えている。フィルタは、滅菌処理中は水蒸気及び滅菌ガスを通過させるが、乾燥時にはバクテリア及びその他の汚染物の容器10の内部への入込みを防ぎ又は抑止する。入口18はふた面19の上方に位置させ滅菌処理中に生ずる水分や湿気が容器10に入らないようにする。次に述べる2つの付加的フィルタはハウジング12の底部に配置してある。受け皿16は、取りはずしできる金属製取っ手20、22を備えハウジング12から受け皿16を容易に取出せるようにしてある。穴24は受け皿16に配置され水蒸気及び凝縮水が通過できるようにしてある。ハウジング12の両側部には金属クランプ26が取付けられ、ふた14に締付けてふた14を固着しハウジング12を固着するように手動で動かすことができる。ハウジング12及びふた14の間には、ふた14をハウジング12に締付けたときに実質的に密封した容器が得られるように適当な密封面を設けてある。取扱いが容易になるように容器12の互いに対向する端部にそれぞれ取っ手28を設けてある。」(第4頁左下欄第5行~右下欄第10行)
・「第2図は第1a図に示した医療器具滅菌用の容器の1実施例の部分縦断面図である。入口18は図示のように大気に通ずる穴30を備えている。取りはずしできるフィルタ32はねじ込みキャップ34により締付ける。密封部分36はハウジング12及びふた14の間に示してある。クランプ26は図示のようにピボット40により枢動クランプ部分42に枢動できるように取付けた固定部分38を備えている。唇状部44を手で押すと、クランプ42が外方に動かされふた14を受入れる。ふた14が定位置にあるときは、可動クランプ42はばね圧力により動かされふた14を密閉状態でハウジング12に固定するようにふた14に締付ける。
第2図はさらに、ハウジング12の底部45を持上げる架台46を示す。又ハウジング12の底部には2つの出口すなわち排出口47、49を配置してある。各排出口45、49内には、フィルタ32と同様に構成したフィルタ48、50を配置してある。好適な実施例ではこれ等のフィルタは互いに同じ構造を持つ。各穴52はハウジング12の底部45を貫いて出口47に配置され滅菌ガスの通過及び凝縮液の除去ができるようにしてある。フィルタ48はねじりキャップ56により定位置に保持してある。キャップ56には取っ手58が設けられねじ込みできるようにしてある。つかみ部材60はハウジング12の底部から延びキャップ56の部分に衝合しフィルタ48を確実に保持するようにしてある。
とくにハウジング12の底部は、フィルタ付き出口47、49に向かい下方に傾斜する。とくに底壁62、64は排出口47の場所に向かい互いに異なる方向に傾斜している。すなわちハウジング12の受け皿の左側の凝縮液又は湿気は重力により同様に傾斜するハウジング底壁(図示してない)に沿いフィルタ排出口(図示してない)に移動する。
又第2図に示すように受け皿16は前記したように穴24を備えている。とくに受け皿底部はドーム部分66及び穴24を設けてある。このドーム構造により凝縮液、水蒸気等を穴内に入れ凝縮液又は湿分の滴が受け皿16の底部に溜まらないようにする。
第2図の3-3線に沿う受け皿16の1つのすみ部の断面を示す第3図において、上部から見たドーム形部分66は、すみ部に穴24を位置させた長方形から成っている。ドーム形部分66は、これ等がそのすみ部で穴24まで傾斜するように形成してある。互いに隣接する穴24の間にみぞ68を形成し各穴24を経て凝縮液又は混合を排出するのに役立つようにしてある。」(第6頁右上欄第13行~右下欄第6行)
・「第4図は、各フィルタ32、48、50の構造とフィルタを入口及び出口に取付ける方式を一層詳細に示す。ねじ込みキャップ56は4個の鎖錠フランジ70を備えている。フィルタ32、48、50は、形状が円形で、フィルタ媒体74を支えるプラスチック製横部材72を持つプラスチック部材71を備えている。フィルタ媒体74は、滅菌ガス、空気及び水蒸気は流通させるが汚れ、じんあい又はバクテリアのような汚染物の通過を防ぎ又は抑止する任意適当な種類の工業的に利用できるフィルタでよい。利用できるフィルタ媒体の例はデキスター(Dexter)社により生産市販されているものがある。舌状片76はフィルタから延びフィルタを手により挿入し又は取出しを行うことができる。フィルタ32、48、50は、これ等を周期的に交換できるように使い捨てにできる。各口18、47、49のまわりに4個の鎖錠部材60を形成してフィルタ32、48又は50を選定した口18、47又は口49のカバー51に隣接して位置させそしてキャップ56をねじ込み、鎖錠フランジ70を鎖錠部材60内に緊密に保持する。」(第6頁右下欄第7~25行)
・「好適とする実施例では、本容器は、適当なプラスチックや重合体で形成される。前記したように透明なプラスチックは、低い熱伝導率を持ち、経済的な取付時間で滅菌装置の乾燥サイクル中にハウジング内の凝縮液を除くのに十分な放射熱を吸収することができない。従って好適な実施例では、経済的に凝縮液を除くのに十分な放射熱を吸収し引続いて容器を経て迅速にこの熱を放射するように、充満してない又は透明なプラスチックと協働して付加的な高い熱伝導率の材料を使用する。好適な実施例では非充てんの(non-filled)又は透明なプラスチック内に第5図に示した熱伝導率の高い材料78の混合物を使う。或いは熱伝導率の高い材料から成る被覆を透明なプラスチックに加えてもよい。好適な実施例の目的を達成するのに種種の高熱伝導率材料を使えばよいのはもちろんである。次は、実際上良好に作用することができ、蒸気滅菌器に使ったときに凝縮液の生成をなくす合成の高熱伝導率材料を持つ滅菌容器を形成する例である。
・・・(中略)・・・
前記例のうち任意の例により形成した滅菌容器は比較的高い熱伝導率を持つ。たとえばポリスルホンプラスチック材の熱伝導率は約1.7 btu/hr/f2/%f/inであるが、アルミニウム及びカーボンファイバの熱伝導率はそれぞれ10.8及び60 btu/hr/f2/OF/inである。好適な実施例により形成したプラスチック容器は伝導及び放射により実質的に一層多くの熱を吸収する。従って熱を一層早く吸収し湿分蒸発に一層有効であると共に最低限に作用する水蒸気滅菌器でバクテリアを殺すのに一層有効である。本発明の容器は、又受け皿16を含む内部全体に熱を一層迅速に伝えることにより湿気又はバクテリアを一層有効に処理することができる。」(第7頁左上欄第1行~第8頁左上欄第7行)
・「
[図:0001396548000005.jpg]
」(FIG.2)
・「
[図:0001396548000006.jpg]
」(FIG.4)
(2)引用文献2に記載された発明
上記(1)のとおり、引用文献2には「ハウジング12及び取りはずしできるふた14を備えている」「医療器具滅菌用の容器」(第4頁左下欄第10~12行)の実施例が記載されており、「取扱いが容易になるように容器12(※審決注:ハウジング12の誤記と認められる。)の互いに対向する端部にそれぞれ取っ手28を設けてあ」(第4頁右下欄第9~10行)ること、「ハウジング12の底部には2つの出口すなわち排出口47、49を配置してある。各排出口45(※審決注:47の誤記と認められる。)、49内には、フィルタ32と同様に構成したフィルタ48、50を配置してある。好適な実施例ではこれ等のフィルタは互いに同じ構造を持つ。各穴52はハウジング12の底部45を貫いて出口47に配置され滅菌ガスの通過及び凝縮液の除去ができるようにしてある。フィルタ48はねじりキャップ56により定位置に保持してある」(第6頁左下欄第1~9行)こと、「ハウジング12の底部は、フィルタ付き出口47、49に向かい下方に傾斜する。とくに底壁62、64は排出口47の場所に向かい互いに異なる方向に傾斜している。すなわちハウジング12の受け皿の左側の凝縮液又は湿気は重力により同様に傾斜するハウジング底壁(図示してない)に沿いフィルタ排出口(図示してない)に移動する」(第6頁左下欄第13~19行)ものであること、及び、「高い熱伝導率の材料を使用」(第7頁左上欄第9行)された容器が記載されている。
また、上記(1)で摘記した第2図及び第4図から、排出口47、49は底部45の他の部分より窪んだ凹部を有しており、当該凹部内に穴52が配置されていることが看取できる。さらに、第4図から、ねじりキャップ56には、取っ手58を挟んで2つの半円状穿孔部が形成されていることが看取できる。
以上を踏まえると、引用文献2には医療器具滅菌用の容器の実施例として、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明2>
医療器具滅菌用の容器であって、ハウジング12及び取りはずしできるふた14を備えており、
前記ハウジング12の互いに対向する端部にそれぞれ取っ手28を設けてあり、
前記ハウジング12のハウジング底部45には2つの排出口47、49が配置され、各前記排出口47、49内には、フィルタ48、50が配置され、少なくともフィルタ48はねじりキャップ56により定位置に保持されており、
前記ハウジング底部45の底壁62、64は前記排出口47、49の場所に向かい互いに異なる方向に傾斜しており、
前記排出口47、49は底部45の他の部分より窪んだ凹部を有するとともに当該凹部内にはハウジング12の底部45を貫いて滅菌ガスの通過及び凝縮液の除去ができる穴52が配置されており、前記ねじりキャップ56には取っ手58を挟んで2つの半円状穿孔部が形成されており、
高い熱伝導率を持つ材料で形成される容器。
3.引用文献4について
(1)引用文献4の記載事項
引用文献4には次の記載がある。
・「【請求項1】 内側にブリッジ部材を有する第1の環状部材と、該第1の環状部材の上面に設けられた、該第1の環状部材に係合可能な、対向する2枚の回動可能な半円状部材とからなるネットホルダーと、前記第1の環状部材と前記半円状部材との間に狭持される可撓性ネットとを備え、前記ネットホルダーは、前記可撓性ネットを狭持する前に、前記ブリッジ部材の平面部分に設けられた、前記環状部材の内周縁から半径方向中心に向かう細長い貫通孔に遊嵌する取付部材によりストレーナに固定されることを特徴とする排水口用フィルタ。」
・「【0002】【従来の技術】浴室や洗面台等の排水口には、毛髪等のごみが流れ込んで排水管が詰まるのを防ぐため、通常、金属製のストレーナを設けている。ストレーナとは、固形異物を濾別し、液体をほとんど抵抗なく通過させるための目の荒い多孔金属板であり、目皿ともいう。」
・「【0018】図3は本発明の排水口用フィルタをストレーナに装着する様子を示した分解説明図である。先ず、ネットホルダー1を雄ネジ30と雌ネジ32により前記に説明したようにストレーナ34に固定する。次いで、半円状部材7,7を跳ね上げ、可撓性ネット36を第1の環状部材3の上面に載置し、その後、半円状部材7,7を倒し、第1の環状部材3に係合させる。かくして、ネット36は第1の環状部材3と半円状部材7,7とにより狭持される。」
・「【0019】図4はストレーナ34に固定された本発明の排水口用フィルタを排水口にセットした状態の模式的断面図である。ストレーナ34は、ここでは、下面に鉤状フック38を有し、それを風呂場の床面または洗面台の底面40に設けられている排水口42の入口に取付けられた口金44に嵌合させることにより取着されている。本発明の排水口用フィルタはこの状態で使用される。使用につれて、ネット36により洗髪時の抜け毛、ゴミなどが濾別され堆積してくる。水捌けが悪くなるほど抜け毛、ゴミなどが堆積したら、ストレーナ34およびネットホルダー1を排水口の口金44に取着させたままの状態で、半円状部材7,7を跳ね上げ、抜け毛、ゴミなどが付着したネットを引き抜いて廃棄する。その後、新しいネット36を第1の環状部材3の上面に載置し、半円状部材7,7を倒して第1の環状部材3に係合させ、ネットを狭持させることにより、ネットの交換を終了する。このように、ネットホルダーをストレーナに固定し、これを排水口に一旦セットしてしまえば、後はネットの交換だけでよく、ネットの交換作業も非常に簡単かつ迅速に行うことができる。ネットを交換する際は、第1の環状部材と半円状部材とで狭持されていた、毛髪やゴミなどが全く付着していない清浄部分を指で摘んで水平方向に引き抜けばよいので、指が毛髪やゴミなどに接触して不潔感を感じることはない。」
・「【図3】
[図:0001396548000007.jpg]
」
・「【図4】
[図:0001396548000008.jpg]
」
第5 対比・判断
1.引用発明1を主引用発明とする場合
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「手術トレイを受容し滅菌、保管する移動装置201」、「内部空間を有するキャビネット200」、「ドア14」は、それぞれ、本願発明の「滅菌及び保管する装置」、「内部チャンバを有する滅菌キャビネット」、「ドア」に相当する。
また、本願発明は、「底部パネル」、「上部パネル」、「側方パネル」、「背面パネル」を有するものであるところ、「パネル」とは「鏡板 羽目板。[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」を意味するものである。そして、引用発明1の「キャビネット床部216」、「キャビネット屋根部4」、「キャビネット側面部6」、「キャビネット背面部8」も鏡板状の部材であることから、それぞれ、本願発明の「底部パネル」、「上部パネル」、「側方パネル」、「背面パネル」に相当する。
また、引用文献1の[0064]には、凝結水も床穿孔部50を通じてキャビネット2から排出されることが記載されているから、引用発明1の「床穿孔部50」は、本願発明の「少なくとも1つの排出開口」に相当する。
ここで、本願発明の「フィルタドア」とは一般的な技術用語ではないが、請求項の記載により特定されるとおり、「複数の穿孔部」が形成されており「フィルタ」によって被覆される「ドア」を意味するものと解される。
してみると、引用発明1のフィルタ保持具226は、複数のフィルタ保持具穿孔部28が設けられており、当該フィルタ保持具穿孔部28はフィルタ32によって覆われているから、引用発明1の「フィルタ保持具226」、「複数のフィルタ保持具穿孔部28」、「フィルタ32」は、それぞれ、本願発明の「フィルタドア」、「複数の穿孔部」、前記複数の穿孔部を被覆する「フィルタ」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明1との一致点、相違点は、次のとおりである。
・一致点
滅菌及び保管する装置であって、
床部を備えた内部チャンバを有する滅菌キャビネットを規定する底部パネル、上部パネル、2つの側方パネル、背面パネル、及びドアと、
フィルタドアに形成される複数の穿孔部と、
前記穿孔部を被覆するフィルタと、
少なくとも1つの排出開口と、を備える装置。
・相違点1-1
床部について、本願発明は「最低点に液体を向かわせるよう構成」されているのに対し、引用発明1はそのような特定を有しない点
・相違点1-2
排出開口の位置について、本願発明は「前記床部の最低点に配置形成され」ると特定されているのに対し、引用発明1はそのような特定を有しない点
・相違点1-3
排出開口が設けられる部分の形状について、本願発明は、「凹部」と特定されているのに対し、引用発明1はそのような特定を有しない点
・相違点1-4
排出開口が設けられる部分の材質について、本願発明は、「熱を維持し、流入する液体の蒸発を向上する材料から形成される」と特定されているのに対し、引用発明1はそのような特定を有しない点
・相違点1-5
フィルタの設置構造について、本願発明は「スクリーン床部をさらに備え、前記スクリーン床部は前記フィルタを支持する剛性プラットフォームを有する」と特定されているのに対し、引用発明1はそのような特定を有しない点
(2)判断
ア 相違点1-1、1-2、1-3についての判断
引用文献2には、「医療器具滅菌用の容器」に関する技術が開示され、「ハウジング12の底部は、フィルタ付き出口47、49に向かい下方に傾斜する。とくに底壁62、64は排出口47の場所に向かい互いに異なる方向に傾斜している。すなわちハウジング12の受け皿の左側の凝縮液又は湿気は重力により同様に傾斜するハウジング底壁(図示してない)に沿いフィルタ排出口(図示してない)に移動する」(第6頁左下欄第13~19行)」と記載されている。
また、引用文献2の第2図、第4図からも明らかなように、排出口47は、穴52を有するとともに、それを覆うフィルタ48を収納できる凹部形状を有している。
そして、当該技術により、凝縮液の排出効率が、底部が平坦なものに比べて高まることは当業者にとって自明である。
ここで、引用文献2に記載された「ハウジングの底部」は、本願発明の「最低点に液体を向かわせるよう構成」された「床部」に相当するとともに、引用文献2に記載された「フィルタ付き出口」は、本願発明の「床部の最低点に配置」された「排出開口」に相当し、かつ、当該排出開口が設けられている部分の形状は「凹部」である。
そうすると、引用文献2には、医療器具滅菌用の容器の床部の構造について、「最低点に液体を向かわせるように構成されるとともに、当該床部の最低点に配置された排出開口が凹部に設けられているように構成された」技術(以下、「技術1」という。)が記載されているといえる。
引用発明1は「手術トレイを受容し滅菌、保管する移動装置201」であり、引用文献2は、「医療器具滅菌用の容器」に関するもので、両者は、「医療器具の滅菌装置」という共通する技術分野に属するものである。
そして、共通する技術分野において、有利な効果を奏する技術があれば、他の技術に当該技術を組み合わせてみることは当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内の事項である。
そうすると、「医療器具の滅菌装置」という引用発明1と共通する技術分野に属し、凝縮液の排出効率が高まるという有利な効果を奏する引用文献2に接した当業者であれば、引用発明1において、キャビネット内の凝縮水の排出効率を高めるため、引用文献2に記載された技術1を採用することにより、相違点1-1、1-2、1-3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、その効果も引用発明1及び引用文献2に記載された技術から当業者が予測し得るものである。
イ 相違点1-4についての判断
引用文献2には、「医療器具滅菌用の容器」に関する技術が開示され、その第7頁左上欄第1行~第8頁左上欄第7行には、「好適とする実施例では、本容器は、適当なプラスチックや重合体で形成される。前記したように透明なプラスチックは、低い熱伝導率を持ち、経済的な取付時間で滅菌装置の乾燥サイクル中にハウジング内の凝縮液を除くのに十分な放射熱を吸収することができない。従って好適な実施例では、経済的に凝縮液を除くのに十分な放射熱を吸収し引続いて容器を経て迅速にこの熱を放射するように、充満してない又は透明なプラスチックと協働して付加的な高い熱伝導率の材料を使用する(第7頁左上欄第1~9行)」こと、及び、「好適な実施例により形成したプラスチック容器は伝導及び放射により実質的に一層多くの熱を吸収する。従って熱を一層早く吸収し湿分蒸発に一層有効であると共に最低限に作用する水蒸気滅菌器でバクテリアを殺すのに一層有効である。本発明の容器は、又受け皿16を含む内部全体に熱を一層迅速に伝えることにより湿気又はバクテリアを一層有効に処理することができる(第7頁右下欄第25行~第8頁左上欄第7行)」ことが記載されている。
そうすると、引用文献2には、医療器具滅菌用の容器において、「容器の材料に高い熱伝導率の材料を利用する」技術(以下、「技術2」という。)、及び、当該技術2により、「経済的に凝縮液を除く」という効果が得られることが記載されている。
ここで、引用文献2に記載された技術2における「容器」は、本願発明の「滅菌キャビネット」に相当するとともに、引用文献2に記載された技術2における「高い熱伝導率の材料」は、本願発明の「熱を維持し、流入する液体の蒸発を向上する材料」に相当する。
引用発明1は「手術トレイを受容し滅菌、保管する移動装置201」であり、引用文献2は、「医療器具滅菌用の容器」に関するもので、両者は、「医療器具の滅菌装置」という共通する技術分野に属するものである。
そして、共通する技術分野において、有利な効果を奏する技術があれば、他の技術に当該技術を組み合わせてみることは当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内の事項である。
そうすると、「医療器具の滅菌装置」という引用発明1と共通する技術分野に属し、経済的な凝縮液除去という有利な効果を奏する引用文献2に接した当業者であれば、引用発明1において、キャビネット内の凝縮水の排出効率を高めるため、引用文献2に記載された技術2を採用すること、すなわち、キャビネット全体を高熱伝導率材料で形成することは、当業者が容易に想到し得たことである。その際、相違点1-3において設けた「排出開口」の凹部についても同材料で形成されることとなるから、相違点1-4に係る本願発明の構成を満たすものとなる。
また、その効果も引用発明1及び引用文献2に記載された技術から当業者が予測し得るものである。
ウ 相違点1-5についての判断
排出開口にフィルタをどのように設置するかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。
そして引用文献4には、ネットホルダー1及びネット36を含む排水口フィルタを、排水口42に取り付けられた口金44に嵌合する多孔金属板であるストレーナ34を介して、排水口42に取り付ける構成が記載されており、排水口フィルタはストレーナの剛性プラットフォームにより支持されていることは明らかである。
してみると、引用文献4に記載の排水口及びストレーナは、本願発明の「排出開口」及び「上方のスクリーン床部」に相当しており、このようなストレーナを介してフィルタを排水口に取り付けるフィルタの設置構造は周知慣用技術であると解される。
そうすると、引用発明1において、フィルタの設置構造について、上記周知技術であるストレーナを介してフィルタを支持する構造を採用することにより、相違点1-5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、その効果も引用発明1及び周知技術から当業者が予測し得るものである。
エ 小括
以上のことから、引用発明1において、引用文献2に記載された技術事項及び周知技術を適用することにより、相違点1-1ないし1-5に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、その効果も引用発明1及び引用文献2に記載された技術並びに周知技術から当業者が予測し得るものである。
よって、本願発明は、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
2.引用発明2を主引用発明とする場合
(1)対比
上記1(1)での検討も踏まえ、本願発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「医療器具滅菌用の容器」、「ハウジング12」及び「取りはずしできるふた14」、「ハウジング底部45」、「取っ手28が設けられたハウジング12の互いに対向する端部」は、それぞれ、本願発明の「滅菌及び保管する装置」、「内部チャンバを有する滅菌キャビネット」、「底部パネル」、「2つの側方パネル」に相当する。また、引用発明2の「2つの穿孔部」が形成された「ねじりキャップ56」、「フィルタ48」は、それぞれ、本願発明の「複数の穿孔部」が形成された「フィルタドア」、前記複数の穿孔部を被覆する「フィルタ」に相当する。
また、引用発明2の「傾斜した底壁62、64」は、凝縮液を重力により排出口47及び49に移動させるように傾斜しているのであるから、本願発明の「最低点に液体を向かわせるよう構成された床部」に相当するとともに、引用発明2の排出口47及び49はハウジング底部45の最低点に配置されていることは明らかである。
さらに、引用発明2の容器は、「経済的に凝縮液を除くのに十分な放射熱を吸収し引続いて容器を経て迅速にこの熱を放射するように」その全体が高い熱伝導率の材料で形成されているから、凹部を有する排出口47及び49も同材料で構成されているものと解するのが相当である。そして引用発明2の「穴52」は「凝縮液の除去ができる」ものであるから、当該穴52を有する引用発明2の凹部を有する「排出口47及び49」は、本願発明の「前記床部の最低点に配置形成され、熱を維持し、流入する液体の蒸発を向上する材料から形成される凹部」であって「少なくとも1つの排出開口」に相当する。
してみると、本願発明と引用発明2との一致点、相違点は、次のとおりである。
・一致点
滅菌及び保管する装置であって、
最低点に液体を向かわせるよう構成された床部を備えた内部チャンバを有する滅菌キャビネットを規定する底部パネル、2つの側方パネルと、
フィルタドアに形成される複数の穿孔部と、
前記複数の穿孔部を被覆するフィルタと、
前記床部の最低点に配置形成され、熱を維持し、流入する液体の蒸発を向上する材料から形成される凹部であって、少なくとも1つの排出開口と、を備える装置。
・相違点2-1
「底部パネル、2つの側方パネル」を有する「キャビネット」について、本願発明は「上部パネル」、「背面パネル」、及び「ドア」により規定されている点をさらに特定するのに対し、引用発明2においてはハウジングと取りはずしできるふたを有するものである点
・相違点2-2
凹部である排出開口においてのフィルタの配置について、本願発明は「前記凹部の上方のスクリーン床部をさらに備え、前記スクリーン床部は前記フィルタを支持する剛性プラットフォームを有する」と特定するのに対し、引用発明2は凹部内に直接フィルタが配置されている点
(2)判断
ア 相違点2-1についての判断
例えば引用文献1にも見られるように、「上部パネル」、「背面パネル」、及び「ドア」を有する滅菌キャビネットは周知慣用技術であるから、引用発明2において、容器の内部空間へのアクセス性等を考慮して、ハウジングと取りはずしできるふたを有する滅菌キャビネットに代えて、周知である上部パネル、背面パネル及びドアを有する滅菌キャビネットを採用することにより、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。
また、その効果も引用発明2及び周知技術から当業者が予測し得るものである。
イ 相違点2-2についての判断
上記1(2)ウのとおり引用文献4にも見られるように、ストレーナのような支持部材を介してフィルタを配置することは、周知慣用技術である。
してみると、引用発明2において、排出口47上に直接フィルタ48を配置する構成に代えて、ストレーナ、すなわち「フィルタを支持する剛性プラットフォームを有する」「スクリーン床部」を介してフィルタを支持することは、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。
また、その効果も引用発明2及び周知技術から当業者が予測し得るものである。
ウ 小括
以上のことから、引用発明2において、周知技術を適用することにより、相違点2-1及び2-2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであり、そのことによる顕著な効果も認められない。
よって、本願発明は、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1または引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-010752