2021-007760
イヤーセット制御方法およびシステム
- 審判番号
- 2021-007760
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-150281外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月15日
- 審決日
- 2022年06月21日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和元年8月20日(パリ条約による優先権主張2018年9月13日、韓国)の出願であって、令和2年10月7日付けで拒絶理由が通知され、令和3年1月12日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年2月5日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和3年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、その後、令和4年2月22日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和4年5月20日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和3年2月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-9、17-19に係る発明は、以下の引用文献A-Bに基づいて、本願請求項10-16、20-21に係る発明は、以下の引用文献A-Dに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2010-213099号公報
B.韓国公開特許第10-2016-0026177号公報
C.特開2014-146978号公報
D.特表2016-500233号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願請求項1-21に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.韓国公開特許第10-2016-0026177号公報(拒絶査定時の「引用文献B」)
2.特開2014-3592号公報(当審において新たに引用した文献)
3.特表2014-515140号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願請求項1-17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明17」という。)は、令和4年5月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】イヤーセット制御方法であって、第1イヤーセット及び第2イヤーセットを有するイヤーセットペアのうち前記第1イヤーセットのタッチセンサにより、前記第1イヤーセットのタッチ領域に対するタッチジェスチャーを認識する段階、第1種類のタッチジェスチャーの認識に応答し、予め設定された時間内に前記第1種類のタッチジェスチャーとは異なる第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識されるかどうかを確認する段階、および続きを表示(全14行)前記予め設定された時間内に前記第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識されなかった場合には、前記認識された第1種類のタッチジェスチャーに対して第1制御信号を生成し、前記予め設定された時間内に前記第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識された場合には、前記認識された第1種類のタッチジェスチャーに対して第2制御信号であって、前記第2種類のタッチジェスチャーのみが認識された場合に対して生成される第3制御信号とは異なる、第2制御信号を生成する段階前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの基本設定値を記録する段階、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの現在設定値を記録する段階、前記第1イヤーセットの前記タッチ領域および前記第2イヤーセットのタッチセンサによる前記第2イヤーセットのタッチ領域それぞれに対するタッチジェスチャーを認識する段階、および前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットそれぞれに対して予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識された場合、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの現在設定値を前記基本設定値に基づいて変更する段階を含み、前記基本設定値は、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットのオーディオボリュームに対する基本値を含み、前記現在設定値は、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットのオーディオボリュームに対する現在値を含み、前記変更する段階は、前記予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識されると同時に、前記現在設定値が、オーディオボリュームの最大値およびオーディオボリュームの最小値のうちの少なくとも1つに基づいて決定される予め設定された値の範囲を逸脱した場合、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの前記現在設定値を前記基本設定値に基づいて変更する、イヤーセット制御方法。」
なお、本願発明2-17の概要は以下のとおりである。
本願発明2-13は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明14は、本願発明1-13の「イヤーセット制御方法」を引用する「コンピュータプログラム」の発明である。
本願発明15は、本願発明1-13の「イヤーセット制御方法」を引用する「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明である。
本願発明16は、本願発明1に対応する「コンピュータ装置」の発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。
本願発明17は、本願発明16を減縮した発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。訳は当審訳。以下同様。)。
ア 段落[0084]
「[図:0001385876000001.jpg]」
(当審訳:
[0084] 以下、図2を参照して、本発明の実施例によるイヤホン及びこれを制御する移動端末機の動作方法に対して説明する。)
イ 段落[0087]
「[図:0001385876000002.jpg]」
(当審訳:
[0087] スピーカ部で入力されるジェスチャーの例として、一回タッチ(またはワンタッチまたはトック)、二回タッチ(またはダブルタッチまたはトックトック)、三回タッチ (またはトリプルタッチまたはトックトックトック)、接触(または接触タッチ)、近接(または近接タッチ)、挿入または脱着ジェスチャーが含まれることができるが、これに限定される必要はない。)
ウ 段落[0093]
「[図:0001385876000003.jpg]」
(当審訳:
[0093] 図4を参照すると、イヤホン部(200)は、第1スピーカ部(201a)、第2スピーカ部(201b)、イヤホンマイク(203)、イヤホン線(204)及びイヤホンプラグ(205)を含むことができる。)
エ 段落[0101]-[0102]
「[図:0001385876000004.jpg]」
(当審訳:
[0101] 図5に図示したように、第2スピーカ部(201b)の構成は、第1スピーカ部(201a)の構成と等しく、第2スピーカ部(201b)の動作方法は第1スピーカ部(201a)の動作方法と等しいので、第2スピーカ部(201b)に対する詳細な説明は第1スピーカ部(201a)に対する説明で代えるものとする。
[0102] 図5を参照すると、第1スピーカ部(201a)は、第1音響出力部(202a)、第1通信部(206a)、第1接触センサ(207a)、第1近接センサ(208a)及び第1加速度センサ(209a)を含むことができる。)
オ 段落[0113]
「[図:0001385876000005.jpg]」
(当審訳:
[0113] 挿入ジェスチャー検知信号、及び、脱着ジェスチャー検知信号は、第1接触センサ(207a)及び第1加速度センサ(209a)によって検知された情報に基づいて生成され得る。)
カ 段落[0118]
「[図:0001385876000006.jpg]」
(当審訳:
[0118] 第1スピーカ部(201a)、または、第2スピーカ部(201b)を通じて、第1ジェスチャーが検知されると、イヤホン部(200)は、第1ジェスチャー検知信号を、移動端末機(100)へ転送する(S301)。)
キ 段落[0124]
「[図:0001385876000007.jpg]」
(当審訳:
[0124] 第1音声信号が出力中に、第2ジェスチャーが検知されると、イヤホン部(200)は、第2ジェスチャー検知信号を移動端末機(100)へ転送する(S305)。)
ク 段落[0248]
「[図:0001385876000008.jpg]」
(当審訳:
[0248] すなわち、図19に図示されるように、音量レベルが“10”の状態で受話音が出力される状態で、第2スピーカ部(201b)の脱着ジェスチャーが検知された場合、脱着された状態で1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“2”だけ減少させて、音量レベルが“8”の状態で出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができる。また、第2スピーカ部(201b)が最初脱着された後1秒が経った状態でまた1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“6”まで減少させて出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができる。)
ケ 段落[0252]-[0253]
「[図:0001385876000009.jpg]」
(当審訳:
[0252] すなわち、図20に図示されるように、音量レベルが“6”の状態で受話音が出力される状態で、設定された時間以内に第2スピーカ部(201b)の挿入ジェスチャーが検知された後1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“2”だけ増加させて音量レベルが“8”の状態で受話音を出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができる。
[0253] また、第2スピーカ部(201b)が再挿入された後1秒が経った状態でまた1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“10”まで増加させて受話音を出力するように第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができる。)
コ 段落[0255]
「[図:0001385876000010.jpg]」
(当審訳:
[0255] 図21を参照すると、第2スピーカ部(201b)が使用者の耳(300)から脱着されて脱着ジェスチャーが検知されて以後、脱着された状態で4秒 (設定された時間)が経過した場合、移動端末機(100)内の制御部(180)は、通話を終了させてディスプレイ部(151)を制御して待機画面をディスプレイする。)
サ 段落[0257]
「[図:0001385876000011.jpg]」
(当審訳:
[0257] 一方、脱着された第2スピーカ部(201b)が、脱着された後4秒が経過した状態でまた使用者の耳(300)に挿入されても、制御部(180)は続いて第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御して受話音の出力を停止させてイヤホンマイク(203)を制御して送話音のセンシングを停止させる。)
(2) 引用発明
したがって、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「イヤホン及びこれを制御する移動端末機の動作方法であって、スピーカ部で入力されるジェスチャーの例として、一回タッチ(またはワンタッチまたはトック)、二回タッチ(またはダブルタッチまたはトックトック)、三回タッチ (またはトリプルタッチまたはトックトックトック)、接触(または接触タッチ)、近接(または近接タッチ)、挿入または脱着ジェスチャーが含まれ、イヤホン部(200)は、第1スピーカ部(201a)、第2スピーカ部(201b)、イヤホンマイク(203)、イヤホン線(204)及びイヤホンプラグ(205)を含み、第2スピーカ部(201b)の構成は、第1スピーカ部(201a)の構成と等しく、続きを表示(全14行)第1スピーカ部(201a)は、第1音響出力部(202a)、第1通信部(206a)、第1接触センサ(207a)、第1近接センサ(208a)及び第1加速度センサ(209a)を含み、挿入ジェスチャー検知信号、及び、脱着ジェスチャー検知信号は、第1接触センサ(207a)及び第1加速度センサ(209a)によって検知された情報に基づいて生成され得るものであり、第1スピーカ部(201a)、または、第2スピーカ部(201b)を通じて、第1ジェスチャーが検知されると、イヤホン部(200)は、第1ジェスチャー検知信号を、移動端末機(100)へ転送し(S301)、第1音声信号が出力中に、第2ジェスチャーが検知されると、イヤホン部(200)は、第2ジェスチャー検知信号を移動端末機(100)へ転送し(S305)、音量レベルが“10”の状態で受話音が出力される状態で、第2スピーカ部(201b)の脱着ジェスチャーが検知された場合、脱着された状態で1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“2”だけ減少させて、音量レベルが“8”の状態で出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができ、また、第2スピーカ部(201b)が最初脱着された後1秒が経った状態でまた1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“6”まで減少させて出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができ、音量レベルが“6”の状態で受話音が出力される状態で、設定された時間以内に第2スピーカ部(201b)の挿入ジェスチャーが検知された後1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“2”だけ増加させて音量レベルが“8”の状態で受話音を出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができ、また、第2スピーカ部(201b)が再挿入された後1秒が経った状態でまた1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“10”まで増加させて受話音を出力するように第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができ、第2スピーカ部(201b)が使用者の耳(300)から脱着されて脱着ジェスチャーが検知されて以後、脱着された状態で4秒(設定された時間)が経過した場合、移動端末機(100)内の制御部(180)は、通話を終了させてディスプレイ部(151)を制御して待機画面をディスプレイする一方、脱着された第2スピーカ部(201b)が、脱着された後4秒が経過した状態でまた使用者の耳(300)に挿入されても、制御部(180)は続いて第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御して受話音の出力を停止させてイヤホンマイク(203)を制御して送話音のセンシングを停止させる、イヤホン及びこれを制御する移動端末機の動作方法。」
2 引用文献2-3について
(1) 引用文献2
当審拒絶理由に引用した引用文献2には、段落【0003】に、以下の記載がある。
「【背景技術】【0003】移動体電話、タブレット及び携帯音楽デバイスなどの移動通信デバイス及び娯楽機器の使用はきわめて人気がある。一部のユーザーは、コンテンツを聴くためにBluetoothモノラルヘッドセットまたはBluetoothステレオヘッドセットなどのワイヤードヘッドセットまたはワイヤレスヘッドセットまたはイヤホンを好んで使用する。これらのヘッドセット及び携帯電話は通常、携帯電話をロック解除したり、電話に応答したり/ 通話を終了したり、音量レベルを調節したり、消音にしたり/ 消音を解除したりするなどの機能用の制御キーを含む。これらのさまざまな機能や、スピーカーのバランスを調整したり、曲を進めたりするなどのなどの他の機能に対応するために、さまざまなボタンが必要とされる。使用するデバイスの大きさに限りがあるため、設けられたボタンは、きわめて小さいことが多く、ユーザーが押す持続時間または順序によって定義されるような複数の機能を有することが多い。」
(2) 引用文献3
当審拒絶理由に引用した引用文献3には、段落【0003】に、以下の記載がある。
「【背景技術】【0003】移動通信と、携帯電話機、タブレット、携帯音楽機器などのエンタテイメント機器を利用することは、非常に人気が高まっている。ユーザによっては、コンテンツを聴くのに、モノラルまたはステレオのブルートゥース・ヘッドセットなど、有線もしくは無線のヘッドセットまたはイヤピースを使用することを好む。このようなヘッドセットは、通常、電話に出る/ 通話を切る、音量調節、ミュート/ ミュート解除などの機能のための制御キーを備えている。これらの様々な機能、およびスピーカのバランス調整、曲間の移動など、その他の機能を満たすためには、いくつかの異なるボタンが必要となる。使用時の機器のサイズが限られていることから、設けられるボタンは、極めて小さいことが多く、また、ユーザによる押下の継続時間または押下のシーケンスによって規定される複数の機能を有することが多い。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「イヤホン部(200)は、第1スピーカ部(201a)、第2スピーカ部(201b)、イヤホンマイク(203)、イヤホン線(204)及びイヤホンプラグ(205)を含」むから、本願発明1の「イヤーセット」に相当する。
よって、引用発明の「イヤホン及びこれを制御する移動端末機の動作方法」は、本願発明1の「イヤーセット制御方法」に相当する。
イ 引用発明の「第2スピーカ部(201b)」、「第1スピーカ部(201a)」は、それぞれ、本願発明1の「第1イヤーセット」、「第2イヤーセット」に相当する。
ここで、引用発明の「第2スピーカ部(201b)の構成は、第1スピーカ部(201a)の構成と等しく、第1スピーカ部(201a)は、第1音響出力部(202a)、第1通信部(206a)、第1接触センサ(207a)、第1近接センサ(208a)及び第1加速度センサ(209a)を含」んでいることは、本願発明1の「第1イヤーセットのタッチセンサ」に相当する。
よって、引用発明の「第1スピーカ部(201a)、または、第2スピーカ部(201b)を通じて、第1ジェスチャーが検知されると、イヤホン部(200)は、第1ジェスチャー検知信号を、移動端末機(100)へ転送し(S301)」ていることは、特に、引用発明の「第1ジェスチャー」が、「脱着ジェスチャー」であるケースでは、「挿入ジェスチャー検知信号、及び、脱着ジェスチャー検知信号は、第1接触センサ(207a)及び第1加速度センサ(209a)によって検知された情報に基づいて生成され得るものであり、
すなわち、音量レベルが“10”の状態で受話音が出力される状態で、第2スピーカ部(201b)の脱着ジェスチャーが検知された場合、脱着された状態で1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“2”だけ減少させて、音量レベルが“8”の状態で出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができ、
また、第2スピーカ部(201b)が最初脱着された後1秒が経った状態でまた1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“6”まで減少させて出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができ」るという動作であるから、本願発明1の「第1イヤーセット及び第2イヤーセットを有するイヤーセットペアのうち前記第1イヤーセットのタッチセンサにより、前記第1イヤーセットのタッチ領域に対するタッチジェスチャーを認識する段階」に相当する。
ウ 引用発明の「第1音声信号が出力中に、第2ジェスチャーが検知されると、イヤホン部(200)は、第2ジェスチャー検知信号を移動端末機(100)へ転送し(S305)」ていることは、特に、引用発明の「第2ジェスチャー」が、(「脱着ジェスチャー」から4秒以内に実行される)「挿入ジェスチャー」であるケースでは、以下の動作となる。
「音量レベルが“6”の状態で受話音が出力される状態で、設定された時間以内に第2スピーカ部(201b)の挿入ジェスチャーが検知された後1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“2”だけ増加させて音量レベルが“8”の状態で受話音を出力するように、第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができ、また、第2スピーカ部(201b)が再挿入された後1秒が経った状態でまた1秒が経過すると、制御部(180)は、受話音の音量レベルを“10”まで増加させて受話音を出力するように第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御することができ、第2スピーカ部(201b)が使用者の耳(300)から脱着されて脱着ジェスチャーが検知されて以後、脱着された状態で4秒 (設定された時間)が経過した場合、移動端末機(100)内の制御部(180)は、通話を終了させてディスプレイ部(151)を制御して待機画面をディスプレイする一方、脱着された第2スピーカ部(201b)が脱着された後4秒が経過した状態でまた使用者の耳(300)に挿入されても、制御部(180)は続いて第1、第2スピーカ部(201a、201b)を制御して受話音の出力を停止させてイヤホンマイク(203)を制御して送話音のセンシングを停止させる」。
そして、この場合の引用発明の動作は、本願発明1の「第1種類のタッチジェスチャーの認識に応答し、予め設定された時間内に前記第1種類のタッチジェスチャーとは異なる第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識されるかどうかを確認する段階、および、前記予め設定された時間内に前記第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識されなかった場合には、前記認識された第1種類のタッチジェスチャーに対して第1制御信号を生成し、前記予め設定された時間内に前記第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識された場合には、前記認識された第1種類のタッチジェスチャーに対して第2制御信号であって、前記第2種類のタッチジェスチャーのみが認識された場合に対して生成される第3制御信号とは異なる、第2制御信号を生成する段階」と、「第1種類のタッチジェスチャーの認識に応答し、予め設定された時間内に前記第1種類のタッチジェスチャーとは異なる第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識されるかどうかを確認する段階、および、前記予め設定された時間内に前記第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識されなかった場合には、前記認識された第1種類のタッチジェスチャーに対して第1制御信号を生成し、前記予め設定された時間内に前記第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識された場合には、前記認識された第1種類のタッチジェスチャーに対して第2制御信号であって、第2制御信号を生成する段階」である点で共通するといえる。
(2) 一致点、相違点
よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。
[一致点]
「イヤーセット制御方法であって、第1イヤーセット及び第2イヤーセットを有するイヤーセットペアのうち前記第1イヤーセットのタッチセンサにより、前記第1イヤーセットのタッチ領域に対するタッチジェスチャーを認識する段階、第1種類のタッチジェスチャーの認識に応答し、予め設定された時間内に前記第1種類のタッチジェスチャーとは異なる第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識されるかどうかを確認する段階、および前記予め設定された時間内に前記第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識されなかった場合には、前記認識された第1種類のタッチジェスチャーに対して第1制御信号を生成し、前記予め設定された時間内に前記第2種類のタッチジェスチャーがさらに認識された場合には、前記認識された第1種類のタッチジェスチャーに対して第2制御信号であって、第2制御信号を生成する段階を含む、イヤーセット制御方法。」
[相違点1]
本願発明1では、第2ジェスチャーに対する「第2制御信号」が、「前記第2種類のタッチジェスチャーのみが認識された場合に対して生成される第3制御信号とは異なる」ものであるのに対して、引用発明では、「挿入ジェスチャー」のみが認識された場合の制御が特定されていない点。
[相違点2]
本願発明1では、「前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの基本設定値を記録する段階、
前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの現在設定値を記録する段階、
前記第1イヤーセットの前記タッチ領域および前記第2イヤーセットのタッチセンサによる前記第2イヤーセットのタッチ領域それぞれに対するタッチジェスチャーを認識する段階、および
前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットそれぞれに対して予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識された場合、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの現在設定値を前記基本設定値に基づいて変更する段階
を含み、
前記基本設定値は、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットのオーディオボリュームに対する基本値を含み、
前記現在設定値は、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットのオーディオボリュームに対する現在値を含み、
前記変更する段階は、
前記予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識されると同時に、前記現在設定値が、オーディオボリュームの最大値およびオーディオボリュームの最小値のうちの少なくとも1つに基づいて決定される予め設定された値の範囲を逸脱した場合、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの前記現在設定値を前記基本設定値に基づいて変更する」のに対して、引用発明では、「前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットそれぞれに対して予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識された場合」であって、これと同時に、「オーディオボリューム」の「現在設定値」が「予め設定された値の範囲を逸脱した場合」に、「現在設定値」を「基本設定値に基づいて変更する」ことが特定されていない点。
(3) 当審の判断
事案に鑑みて、上記[相違点2]について先に検討すると、[相違点2]に係る本願発明1の「前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの基本設定値を記録する段階、
前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの現在設定値を記録する段階、
前記第1イヤーセットの前記タッチ領域および前記第2イヤーセットのタッチセンサによる前記第2イヤーセットのタッチ領域それぞれに対するタッチジェスチャーを認識する段階、および
前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットそれぞれに対して予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識された場合、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの現在設定値を前記基本設定値に基づいて変更する段階
を含み、
前記基本設定値は、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットのオーディオボリュームに対する基本値を含み、
前記現在設定値は、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットのオーディオボリュームに対する現在値を含み、
前記変更する段階は、
前記予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識されると同時に、前記現在設定値が、オーディオボリュームの最大値およびオーディオボリュームの最小値のうちの少なくとも1つに基づいて決定される予め設定された値の範囲を逸脱した場合、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの前記現在設定値を前記基本設定値に基づいて変更する」という構成は、上記引用文献1ないし3には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
なお、上記引用文献2、引用文献3には(上記「第5」、「2」を参照。)、それぞれ、一般に、ヘッドセットなどの小型の電子機器において、サイズ上の制約等を考慮して、操作の継続時間や操作のシーケンス毎に異なる制御を対応させる周知技術は記載されるが、上記[相違点2]に係る本願発明1の構成は記載されていない。
したがって、本願発明1は、相違点1を検討するまでもなく、当業者であっても引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用文献1-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 請求項2-17について
本願発明2-17も、本願発明1の上記[相違点2]に係る構成と、(実質的に)同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 当審拒絶理由についてのまとめ
以上のとおりであるから、当審拒絶理由によっては、もはや、本願を拒絶することはできない。
第7 原査定についての判断
令和4年5月20日付けの手続補正により、補正後の請求項1-17は、本願発明1の上記[相違点2]に係る「前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの基本設定値を記録する段階、
前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの現在設定値を記録する段階、
前記第1イヤーセットの前記タッチ領域および前記第2イヤーセットのタッチセンサによる前記第2イヤーセットのタッチ領域それぞれに対するタッチジェスチャーを認識する段階、および
前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットそれぞれに対して予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識された場合、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの現在設定値を前記基本設定値に基づいて変更する段階
を含み、
前記基本設定値は、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットのオーディオボリュームに対する基本値を含み、
前記現在設定値は、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットのオーディオボリュームに対する現在値を含み、
前記変更する段階は、
前記予め設定されたタッチジェスチャーが予め設定された時間範囲内に連続して認識されると同時に、前記現在設定値が、オーディオボリュームの最大値およびオーディオボリュームの最小値のうちの少なくとも1つに基づいて決定される予め設定された値の範囲を逸脱した場合、前記第1イヤーセットおよび前記第2イヤーセットの前記現在設定値を前記基本設定値に基づいて変更する」という技術的事項を有するものとなった。
当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Dには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1-17は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Dに基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-007760