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特許拒絶査定不服審判

2022-011379

フォント生成方法及びシステム

審判番号
2022-011379
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-116916外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年07月22日
審決日
2023年02月08日
公報発行日
2023年03月31日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .537-WY (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-116916「フォント生成方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年11月 1日出願公開、特開2021-174497、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は,令和2年7月7日(パリ条約による優先権主張2020年4月17日,韓国)の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

令和3年 9月22日付け 拒絶理由通知

令和3年12月27日 意見書・手続補正書 提出

令和4年 5月10日付け 拒絶査定

令和4年 7月22日 審判請求書・手続補正書 提出

第2 原査定の概要

原査定(令和4年5月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

・(明確性)出願は,特許請求の範囲の請求項1ないし11の記載が下記の点で,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

・請求項1の「前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報及び前記分解されたコンポーネントそれぞれの固有の模様の情報を利用して,前記複数の文字の書体と同一又は類似の書体を有する複数のターゲット文字を生成するデコーダ部」との記載は,分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報といった漠然とした情報を用いてどのようにターゲット文字を生成するのかは明確でない。

・請求項1の「前記分解されたコンポーネントそれぞれの固有の模様の情報を利用して,前記複数の文字の書体と同一又は類似の書体を有する複数のターゲット文字を生成するデコーダ部」との記載は,分解されたコンポーネントそれぞれの固有の模様の情報を用いてどのようにターゲット文字を生成するのかは明確でない。

同様の記載を有する請求項11,請求項1を引用する請求項2-10についても同様である。

・請求項 9-10

拒絶理由通知において,学習部が,比較結果からアップデートの内容をどのように決定するのかが不明であり,学習部の構成は明確でないと指摘した点に関し,補正によって請求項9に追加された,「前記エンコーダ部のアップデートとは, 書体の情報の抽出に関する前記エンコーダ部のパラメータを補正又は調整することを意味し,前記メモリ部のアップデートとは,前記メモリ部に保存された書体の情報及び固有の模様の情報の少なくとも一方に関する情報をアップデートすることを意味し,前記デコーダ部のアップデートとは,文字の生成に関するパラメータを補正又は調整することを意味し,前記基準文字は,ユーザーの手書き文字に該当する」との記載を考慮しても,比較結果からアップデートの内容をどのように決定するのかは依然として不明である。

また,請求項10に関しても,拒絶理由通知で指摘したように,比較結果から,差異値が最小化されるようなアップデート内容をどのように決定するのかが依然として不明である。

以上のことから,依然として請求項9-10の記載では,学習部が,比較結果からアップデートの内容をどのように決定するのかが不明であり,学習部の構成は明確でない。

第3 本願発明

本願の請求項1ないし9に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は,令和4年7月22日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項9に記載された事項により特定される,以下のとおりの発明である。(下線部が補正箇所を示す。)

「【請求項1】
特定の言語の文字体系をなす互いに異なる複数のコンポーネントタイプにそれぞれ該当するコンポーネントが少なくとも1つ含まれる複数の文字の入力を受け,前記複数のコンポーネントタイプにそれぞれ該当するコンポーネントに関する文字の特性が反映された書体の情報が取得されるように,前記複数の文字をコンポーネント単位で分解し,前記分解されたコンポーネントから前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報を抽出するエンコーダ部と,
前記分解されたコンポーネント毎に割り当てされた保存空間に,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報を前記分解されたコンポーネントとマッピングして保存するメモリ部と,
前記メモリ部に保存された,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報を組み合わせて,前記分解されたコンポーネントそれぞれに関する文字体系に従って設定された規則である固有の模様の情報を適用して,前記複数の文字の書体と同一又は類似の書体を有する複数のターゲット文字を生成するデコーダ部とを含み,
続きを表示(全44行)
前記メモリ部には,
前記分解されたコンポーネントを基準に,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報及び前記分解されたコンポーネントそれぞれの固有の模様の情報に対する前記メモリ部上のアクセスアドレスが互いにマッピングされて保存され,
前記デコーダ部は,
前記アクセスアドレスを用いて,前記メモリ部に保存された,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報及び前記分解されたコンポーネントそれぞれの固有の模様の情報のうち,前記メモリ部から前記ターゲット文字に該当する書体の情報及び固有の模様の情報を呼び出し,前記複数のターゲット文字を生成し,
前記デコーダ部を介して生成された複数のターゲット文字は,
前記複数の文字と少なくとも1つの他の文字を含む,フォント生成システム。
【請求項2】
前記複数の文字それぞれは,
前記互いに異なる複数のコンポーネントタイプを有する少なくとも2つのコンポーネントの組み合わせによって形成され,
前記少なくとも2つのコンポーネント間の相対位置は,
前記少なくとも2つのコンポーネントのコンポーネントタイプによって決定される,請求項1に記載のフォント生成システム。
【請求項3】
前記複数の文字は,
前記互いに異なる複数のコンポーネントタイプのそれぞれに該当するコンポーネントを少なくとも1つ以上含む,請求項2に記載のフォント生成システム。
【請求項4】
前記メモリ部は,
前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報を保存する第1メモリ部と,
前記分解されたコンポーネントそれぞれの固有の模様の情報を保存する第2メモリ部とを含む,請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のフォント生成システム。
【請求項5】
前記デコーダ部は,
前記第1メモリ部に保存された書体の情報,及び前記第2メモリ部に保存された固有の模様の情報を利用して,前記複数のターゲット文字を生成する,請求項4に記載のフォント生成システム。
【請求項6】
前記分解されたコンポーネントそれぞれは,前記複数の文字に該当するユニコードを根拠に設定された互いに異なるラベルを有し,
前記第1メモリ部に保存された書体の情報,及び前記第2メモリ部に保存された固有の模様の情報は,前記ラベルに基づき,前記分解されたコンポーネントとそれぞれマッピングされる,請求項4に記載のフォント生成システム。
【請求項7】
メモリアドレッサをさらに含み,
前記メモリアドレッサは,
前記複数の文字それぞれに対するユニコードを利用して,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報に対するメモリアクセスアドレスを生成する,請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載のフォント生成システム。
【請求項8】
前記メモリアクセスアドレスは,
前記複数の文字それぞれに対するユニコード,及び前記複数の文字それぞれを構成するコンポーネントのコンポーネントタイプにより特定される,請求項7に記載のフォント生成システム。
【請求項9】
特定の言語の文字体系をなす互いに異なる複数のコンポーネントタイプにそれぞれ該当するコンポーネントが少なくとも1つ含まれる複数の文字の入力を受ける段階と,
前記複数のコンポーネントタイプにそれぞれ該当するコンポーネントに関する文字の特性が反映された書体の情報が取得されるように,前記複数の文字をコンポーネント単位で分解する段階と,
前記分解されたコンポーネントから前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報を抽出し,前記分解されたコンポーネント毎に割り当てされた保存空間に,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報を前記分解されたコンポーネントとマッピングして保存する段階と,
前記保存された,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報を組み合わせて,前記分解されたコンポーネントそれぞれに関する文字体系に従って設定された規則である固有の模様の情報を適用して,前記複数の文字の書体と同一又は類似の書体を有する複数のターゲット文字を生成する段階とを含み,
前記分解されたコンポーネントを基準に,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報及び前記分解されたコンポーネントそれぞれの固有の模様の情報に対するアクセスアドレスが互いにマッピングされて保存され,
前記アクセスアドレスを用いて,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報及び前記分解されたコンポーネントそれぞれの固有の模様の情報のうち,前記ターゲット文字に該当する書体の情報及び固有の模様の情報を呼び出すことによって,前記複数のターゲット文字が生成され,
前記生成された複数のターゲット文字は,
前記複数の文字と少なくとも1つの他の文字を含む,フォント生成方法。」

第4 判断

1 本願発明1について

(1)明確性要件の判断枠組み

特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請求の範囲の記載だけではなく,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から判断されるべきである。

以下,この観点に立って,判断する。

(2)請求項1における「デコーダ部」

ア 原査定において明確でないとされた請求項1における「デコーダ部」は,令和4年7月22日提出の手続補正書では,以下のように記載されている。

「前記メモリ部に保存された,前記分解されたコンポーネントそれぞれの書体の情報を組み合わせて,前記分解されたコンポーネントそれぞれに関する文字体系に従って設定された規則である固有の模様の情報を適用して,前記複数の文字の書体と同一又は類似の書体を有する複数のターゲット文字を生成するデコーダ部」

(3)「書体の情報」について

本願明細書および図面には,「書体の情報」に関して,以下のように記載されている。(下線は当審が付加した。以下同様。)

ア「【0062】

一方,本発明で「書体の情報」は,文字を書く人によって変更可能な情報であって,文字のスタイル,雰囲気のように外向的な要素に対することを意味し得る。

【0063】

即ち,同じ内容を有する文字であっても,互いに異なる書体の情報に該当する文字は,その視覚的外観が異なり得る。しかし,互いに異なる書体を有するが,その文字のコンポーネントの構成が同一である場合,該当文字を見る人は,全て同じ意味で理解したり,発音し得る。即ち,本発明で「書体」は,文字を形成するためのコンポーネント固有の模様は損なわないとともに,文字を構成するコンポーネントの細部的な模様(画の方向,画の長さ,文字の厚さ,文字の大きさ等)に対することを意味し得る。」

イ 図2b(a)

[図:0001395093000001.jpg]

ウ「【0068】

反面,書体の情報は(図2bの(a)の図面符号720を参照),固有の模様の情報に基づくとともに,コンポーネントに対するディテールな模様の情報を意味し得る。このような書体の情報は,コンポーネントを構成する画の厚さ,複数の画間の配置位置,配置間隔,画の斜め程度,画の長さ,画の曲がり程度,コンポーネントの大きさ程度のように,コンポーネント又は文字の個性を示し得る情報を含み得る。書体の情報に含まれる情報は,前記で挙げられた情報以外にも非常に多様なことがある。

【0069】

例えば,図2bの(a)の図面符号720を参照すると,同一のコンポーネント

【0070】

[図:0001395093000002.jpg]

であっても,異なる書体の情報に応じて,互いに視覚的な外観および雰囲気を有することが分かる。このような書体の情報は,手書き毎の固有のスタイル,個性を反映する情報であって,手書きからどれだけ正確に書体の情報を抽出するかによって,実際の人の手書きと類似度の高いフォントを生成することができる。」

エ 図2b(b)

[図:0001395093000003.jpg]

オ「【0071】

他の例として,図2bの(b)を見ると,

【0072】

[図:0001395093000004.jpg]

のコンポーネント730もやはり,固有の模様の情報(例えば,円の記号733の上端に,2つの画731,732が配置される)を有し,図2bの(b)の図面符号740を参照すると,互いに異なる視覚的な外観を有するように示し得る。これは,同一である固有の模様の情報を有しても,互いに異なる書体の情報を有するためである。」

カ 図2c

[図:0001395093000005.jpg]

キ「【0073】

従って,このような書体の情報によると,図2cの(a),(b),(c),及び(d)に示すように,同じ意味を有する文字であっても(例えば,

【0074】

[図:0001395093000006.jpg]

),互いに異なる模様,即ち,互いに異なる書体又はスタイルを有する文字を形成することができる。」

上記ア~キの記載は,本願発明1を解釈するうえで,「書体の情報」という用語の意味を示すものとして考慮すべきものであると認められる。

(4)「固有の模様の情報」について

本願明細書および図面には,「固有の模様の情報」に関して,以下のように記載されている。

ア「【0064】

反面,「固有の模様の情報」は,書体の情報と関係なく,該当コンポーネント又は文字が持つべきである固有の模様に対するものであって,特定の言語体系により約束した模様に対する情報又は符号を意味し得る。」

イ 図2b(a)

[図:0001395093000007.jpg]

ウ「【0065】

例えば,図2bの(a)に示すように,

【0066】

[図:0001395093000008.jpg]

というコンポーネント710の場合,固有の模様の情報は,i)第1画711の右側終端で第2画712と所定の角度をなす,ii)第2画712の上端は,第1画711の右側終端と互いに接する等のように,該当言語体系で,該当コンポーネントの模様に設定した規則による情報を含み得る。

【0067】

このような固有の模様の情報は,書体の情報が変更されても,変更されないことがある。即ち,固有の模様の情報は,書体の情報に関係なく,同じ言語に該当する同一のコンポーネントであれば,共通に適用され得る情報を意味し得る。」

エ「【0135】

一方,前記第2メモリ部に保存された前記固有の模様の情報は,コンポーネント間の配置情報をさらに含み得る。ここで,コンポーネント間の配置情報は,特定文字でコンポーネント間の配置関係,又は配置規則に対するものであり得る。」

上記ア~エの記載は,本願発明1を解釈するうえで,「固有の模様の情報」という用語の意味を示すものとして考慮すべきものであると認められる。

(5)「デコーダ部」における「ターゲット文字」の生成について

本願明細書および図面には,「デコーダ部」における「ターゲット文字」の生成に関して,以下のように記載されている。

ア「【0075】

次に,デコーダ部130は,メモリ部120に保存された書体の情報及び固有の模様の情報のうち少なくとも一つを利用して,エンコーダ部110に入力された複数の単位文字の書体と対応する書体を有する複数の文字を生成するようになり得る。ここで,対応する書体とは,入力された文字の書体と類似又は同一の書体を意味するものであってもよい。

【0076】

デコーダ部130は,エンコーダ部110に入力された複数の単位文字から分解されたコンポーネントの書体の情報を利用し,前記複数の単位文字と同一又は類似の書体を有する文字を生成できる。この際,本発明にかかるデコーダ部130は,前記複数の単位文字と少なくとも1つの他の文字を生成できる。即ち,デコーダ部130は,入力された文字でなくても,入力された文字から抽出した書体の情報を利用し,入力された文字と類似又は同一の書体を有する文字を生成できる。」

イ 図1

[図:0001395093000009.jpg]

ウ「【0077】

例えば,図1で見たように,入力文字として

【0078】

[図:0001395093000010.jpg]

が入力された場合(図1の(a)参照),入力された文字に含まれているコンポーネントを利用し,入力された文字

【0079】

[図:0001395093000011.jpg]

と,入力された文字に含まれていない

【0080】

[図:0001395093000012.jpg]

(図1の(b)参照)を生成できる。」

エ「【0086】

一方,複数の単位文字それぞれは,互いに異なるコンポーネントタイプを有する少なくとも2つのコンポーネントの組み合わせにより形成され得る。この際,前記少なくとも2つのコンポーネント間の相対位置は,前記少なくとも2つのコンポーネントのコンポーネントタイプによって決定され得る。」

オ「【0144】

一方,本発明では,デコーダ部130で生成される文字を,「ターゲット文字」と名付けることができる。

【0145】

より具体的に,デコーダ部130は,前記で見てみた第1メモリ部に保存された書体の情報,及び第2メモリ部に保存された模様の情報を利用して,複数の文字,即ち,ターゲット文字を生成し得る。

【0146】

この際,本発明にかかるデコーダ部130は,前記複数の単位文字と少なくとも1つの他の文字を生成し得る。即ち,デコーダ部130は,デコーダ部を介して入力された文字ではなくても,入力された文字から抽出した書体の情報を利用して,入力された文字と類似又は同一の書体を有する文字を生成し得る。

【0147】

例えば,前記図1で見たように,入力文字として

【0148】

[図:0001395093000013.jpg]

の入力を受けた場合(図1の(a)参照),デコーダ部130は入力を受けた文字に含まれているコンポーネントを利用し,入力された文字

【0149】

[図:0001395093000014.jpg]

と,入力された文字に含まれていない

【0150】

[図:0001395093000015.jpg]

(図1の(b)参照)を生成することができる。

【0151】

デコーダ部130は,メモリ部120でそれぞれのコンポーネントに対してアクセスするためのアクセスアドレスを有している。デコーダ部130は,このようなアクセスアドレスを利用し,生成しようとするターゲット文字の書体の情報及び固有の模様の情報を呼び出すことによって,ターゲット文字を生成することができる。

【0152】

前記で見てみた方法を通じて,本発明ではコンポーネント単位で保存された書体の情報及び固有の模様の情報を利用し,デコーダ部130で特定言語に対する一組のフォントを生成することができる。この際,デコーダ部130には,一組のフォントを生成するためのターゲット文字に対する情報を予め保存していることがある。」

上記ア~オの記載は,本願発明1における「デコーダ部」の「ターゲット文字」の生成を解釈するうえで,考慮すべきものであると認められる。

特に,上記エの記載から,「コンポーネント」に関する本願明細書の以下の記載を参酌すると,「単位文字」は,「互いに異なるコンポーネントタイプを有する少なくとも2つのコンポーネントの組み合わせにより形成され」,「少なくとも2つのコンポーネント間の相対位置は,前記少なくとも2つのコンポーネントのコンポーネントタイプによって決定され得る」ものであるといえる。

(6)請求項1の「デコーダ部」による「ターゲット文字」の生成の解釈

ア 上記(3)の記載から,「書体の情報」は,文字を書く人によって変更可能な情報であって,文字のスタイル,雰囲気のように外向的な要素に対することを意味し,コンポーネントを構成する画の厚さ,複数の画間の配置位置,配置間隔,画の斜め程度,画の長さ,画の曲がり程度,コンポーネントの大きさ程度のように,コンポーネント又は文字の個性を示し得る情報を含み得,手書き毎の固有のスタイル,個性を反映する情報であるといえる。

イ 上記(4)の記載から,「固有の模様の情報」は,書体の情報と関係なく,該当コンポーネント又は文字が持つべきである固有の模様に対するものであって,特定の言語体系により約束した模様に対する情報又は符号を意味し,かつ,特定文字でコンポーネント間の配置関係,又は配置規則に対するものであるコンポーネント間の配置情報をさらに含み得るといえる。

ウ そして,上記(5)の記載から,上記(2)記載の請求項1の記載を,当業者であれば,「デコーダ部」において「複数のターゲット文字を生成する」にあたり,「ターゲット文字」(単位文字)を構成する「互いに異なるコンポーネントタイプを有する少なくとも2つのコンポーネントの組み合わせ」を選択し,各「コンポーネント」に対応する上記アの意味の「書体の情報」を上記イの意味の「固有の模様の情報」に含まれた「コンポーネント間の配置情報」(コンポーネント間の配置関係,又は配置規則)に従って,配置することで,「ターゲット文字」(単位文字)を生成していることを意味していると解釈できるといえる。

(7)小括

以上から,請求項1の記載は,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術常識を基礎として,当該請求項の発明特定事項の意味内容や技術的意味を十分理解でき,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,本願発明1が明確でないとはいえない。

2 本願発明2ないし本願発明8について

本願請求項2ないし本願請求項8は,いずれも,請求項1を直接または間接的に引用する請求項であるところ,請求項2ないし請求項8の記載それぞれに不明確な点はなく,また,上記1で述べたように,請求項1の記載が不明確であるとはいえないから,各請求項における引用形式を考慮した場合においても不明確な点は認められない。

よって,本願発明2ないし本願発明8が明確でないとはいえない。

3 本願発明9について

本願発明9は,フォント生成方法の発明であって,フォント生成システムの発明である本願発明1における発明特定事項を,発明のカテゴリに合わせて記載表現を変更したものであり,上記1で述べた本願発明1と同様の理由により,請求項9の記載は,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術常識を基礎として,当該請求項の発明特定事項の意味内容や技術的意味を十分理解でき,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえない。

よって,本願発明9が明確でないとはいえない。

第5 原査定について

上記第4で述べたように,本願請求項1ないし本願請求項9の記載は,いずれも,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術常識を基礎とすることで,当該請求項の発明特定事項の意味内容や技術的意味を十分理解でき,第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるとはいえないから,本願発明1ないし本願発明9が明確でないとはいえない。

また,原査定で不明確とされた「学習部」の記載に該当する請求項は,審判請求時の補正により削除されている。

したがって,原査定の理由(明確性)を,維持することができない。

第6 むすび

以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

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2022-011379

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